更新日:2024年09月24日
グランドセイコーにとって今後の命運を握る可能性を秘めた「45GS復刻デザイン」限定モデル、SLGW004&SLGW005が、2024年11月にリリースされます。
1968年誕生の「オリジナル45GS(4520-8000)」は、ブランド初の手巻き10振動ムーブメント「キャリバー4520」を搭載。先行機「44GS」が確立したデザイン文法「セイコースタイル」を受け継ぎ、“手巻きGSの最高傑作”と賞賛されます。
本作SLGW004&SLGW005は、レトロな45GSのデザインコードを引き継ぎつつ、約50年ぶりに開発した最新手巻き10振動ムーブメント「キャリバー9SA4」を搭載。オリジナルに忠実でありながら、最先端技術満載の復刻モデルを完成させています。
熱心なセイコーマニアの方達は、既に喜びを隠しきれないのか、ネット上でもSLGW005の話題を中心に大盛り上がりを見せていました。
18KイエローゴールドのSLGW004は全世界200本限定、希望小売価格は4,235,000円(税込)、ステンレススチールのSLGW005は全世界1,200本限定、希望小売価格は1,342,000円(税込)、いずれも11月9日(土)発売予定です。
グランドセイコー SLGW005/横38.8mm×縦43.7mm×厚さ10.4mm、ステンレススティール製ケース、メカニカル手巻 キャリバー9SA4搭載。希望小売価格:1,342,000円(税込)、2024年11月9日(土)発売予定、世界限定:1,200本 (※国内425本)
2017年のブランド独立を境に見かけなくなった、ダブルネーム文字盤が電撃復活しましたね!
しかも、6時位置には初代45GSの製造の地を示す“亀戸マーク(※稲妻のようなマーク)”と呼ばれる、第二精工舎のロゴも配されています。ひいき目抜きにしても、セイコーマニアにはたまらない、ヴィンテージ要素てんこ盛りの復刻デザインです。
*注*ダブルネーム文字盤とは、12時位置に「SEIKO」ロゴ、6時位置に「GS」ロゴが配置されたダイヤルのこと。「Grand Seiko」の英文字を含めた“トリプルロゴ”という言い方もある
2017年に独立ブランドへと新生し、ダブルネーム文字盤を廃止したグランドセイコー。その後7年間は、グランドセイコーのブランド名だけを12時位置に冠してきたのですが、本作ではオリジナルへの忠実さを取りました。
GS愛好家でも予想だにしなかった、いにしえの「初代45GSデザイン」と最先端手巻き10振動ムーブメントのキャリバー9SA4をフュージョンさせたSLGW004&SLGW005。覧古考新の精神で、45GS復刻モデルの長所と短所を探ってみましょう。
グランドセイコー SLGW004/横38.8mm×縦43.7mm×厚さ10.4mm、18Kイエローゴールド製ケース、メカニカル手巻 キャリバー9SA4搭載。希望小売価格:4,235,000円(税込)、2024年11月9日(土)発売予定、世界限定:200本 (※国内175本)
本作はお伝えしたい内容が多岐に渡りますが、端的に見どころをご紹介します。
≪45GS復刻デザインSLGW004&SLGW005のセールスポイント≫
新旧融合。約55年前の名機45GSが、最新の技術と細心の配慮で蘇りましたね。
読者の皆様もご存知のことと存じますが、グランドセイコーは2017年にセイコーから独立。海外展開を積極的に行うと共に、高級路線の道を歩み始めます。
そのタイミングを境に、トリプルロゴは消失してしまったのですが、本作SLGW004&SLGW005の12時位置には“控えめかつ大胆”にSEIKOロゴが君臨しています。久しぶりにトリプルロゴの新作を見たのですが、古くて新しい雰囲気が最高ですね。
今では立派に独り立ちしたグランドセイコーブランドから、セイコーウォッチの最高級手巻きメカニカルウォッチ(しかも10振動!)が出るという贅沢さは、何ものにも代えがたいものがあります。
この興奮そのままに、ダイヤルの魅力を饒舌に語りたいところですが、まずは45GSの歴史とグランドセイコー過去作(ダブルネーム&ロゴマークありについて先に解説致します。
手っ取り早く、本作SLGW004&SLGW005の魅力を知りたい方はこちらへ⇒「SLGW004&SLGW005のダイヤル」へ
1967年当時、5振動の手巻時計として最高クラスの精度を実現した44GS。第二精工舎が製造した初のグランドセイコーは、今ではお馴染みの「ザラツ研磨」で歪みなく磨き上げられており、日本特有の美意識を反映した「燦然と輝く腕時計」を実現しました。製造期間わずか2年の短さでしたが、独自のデザイン文法「セイコースタイル」を確立した功績は計り知れないものがあります。
名前の由来は、ムーブメントの頭文字(例:44GSは手巻きCal.4420Bを搭載)を取ったもので、諏訪精工舎・第二精工舎問わず、同じ法則でモデル名を決めています。
似たような名前も多く、少し紛らわしい部分があるため、1960年代のグランドセイコー有名モデルを略歴形式でご紹介します。第二精工舎(亀戸工場)の歴史をおさらいしたい方は、『キングセイコー2023年新作SDKS013記事』をご覧ください。
わずか数年で目まぐるしい進化を遂げていますね。
特筆すべきは、今でこそ抜群の知名度を誇る44GSが、翌年に45GSが発売されたため短命に終わった事実でしょう。同じ製造拠点の第二精工舎から、より薄型で高振動(5→10振動)のムーブメントが開発されたのですから、無理からぬ話ではありますが……歴史は時に不思議ですね。
1968年~73年まで製造された45GSは、先行機44GSと同じデザイン文法「セイコースタイル」を継承し、ケースの形状もよく似ています。しかし、細かな点をブラッシュしており、ケースサイズを37mm→36.5mmへわずかにサイズダウンさせているのも特徴です。
*注*ムーブメントの厚さは、キャリバー4420が厚さ4mm×外径25.6mm→キャリバー4520は厚さ3.5mm×外径27.0mmに。本作に搭載されたキャリバー9SA4のムーブメントサイズは、厚さ4.15mm×外径31.0mm
「デザイン」で輝かしい功績を後世に残す44GSに対し、45GSは「精度」でその名を刻みます。ブランド初の毎時36,000振動の手巻きムーブメントは、61GSと並ぶ“ハイビート”というアイデンティティーをブランドのDNAとして残すのでした。
本作のデザインコードにも関係のあるダブルネーム文字盤や亀戸マーク。限定モデルの一部では、マニア垂涎の珍しいロゴマーク・刻印が施されている例も存在するので、幾つかの事例をご紹介します。
(左)プラチナ950のSBGW257(中)18KイエローゴールドのSBGW258(右)ブリリアントハードチタンのSBGW259
2020年発売のグランドセイコー誕生60周年「初代グランドセイコーデザイン復刻モデル」手巻きキャリバー9S64搭載のSBGW257・SBGW258・SBGW259です。
12時位置の「Grand Seiko」表記は、オリジナル(初代GS)と同じ書体です。6時位置には「SDマーク(※Special Dialの略、手裏剣を2つ重ねた模様)」がありますね。
貴金属のインデックスを採用したダイヤルにのみ、現在ではSDマークを使用しています。1960年代頃には、「EDマーク(※エキストラダイヤル)」「ADマーク(※アップリケダイヤル)」も植字されていました。
一見何の変哲もないデイト表示ありの3針モデルに見える、2014年発売の“グランドセイコーセカンド”57GS復刻限定モデルSBGV009。復刻モデルですので、12時位置にSEIKOロゴ、6時位置に「GrandSeiko」を表記しています。
ちなみに、実機レビュー記事でも触れていますが、当時の“グランドセイコーセカンド(43999や5722-9990など)”は、SEIKOロゴの下に「Chronometer」の文字が表記される珍しい個体(「Chronometer」文字+SDマークありの激レアモデル)も存在します。
12時位置のSEIKOロゴ&「Chronometer」表記ありの57GS復刻限定モデルも見てみたいものですよね!?
バーゼルワールド2017の新作「初代グランドセイコー リミテッドコレクション」SBGW253です。クラシカルな見た目にマッチした青焼き針がクールですね!
SBGW253はステンレススティール製ですのでSDマークなしとなっています。12時位置に懐かしの「GrandSeiko」フォントのみ、というデザインも古めかしく熟成された“大人の色気”がありますね。
*注*同時発表されたプラチナ999製SBGW251、18Kイエローゴールド製SBGW252は、6時位置にSDマークあり
バーゼルワールド2016で発表されたブライトチタンモデルSBGH043です。
12時位置にSEIKOロゴ、6時位置にGSロゴ……だけでなく、「GrandSeiko」「AUTOMATIC」「HI-BEAT36000」の表記もあり、情報量がてんこ盛りです。サッパリした12時位置とは対照的に、6時位置がギッシリですね。
今となって見てみると、これはこれでアリな気もしてきます。
ご存じのない方からすれば意外な事実かもしれませんが、初代“雪白”SBGA011もトリプルロゴでした。一時期は「コラボモデルでもないのに、3つもロゴがあるのはくどい」と辛辣な意見を浴びせられることもありました。「SPRINGDRIVE」表記もありますし、パワーリザーブインジケーター付近が少し窮屈そうです。
ロングセラー商品として安定したリセールバリュー(※15年以上も40万円付近)をキープしてきた初代“雪白”SBGA011。本作SLGW004&SLGW005のトリプルロゴ復活で、そのユニークなロゴ表記が再評価される可能性も出てきましたね。
(熱狂的なGSフリークの方は)これを機に、「AJHH(日本正規高級時計協会)特別限定モデル」SBGA129(※雪白ダイヤル&Seikoロゴあり)のような、トリプルロゴありのローカル限定モデルを蒐集するのも面白いかもしれません。
初代グランドセイコーの意匠を「現代デザイン」で再解釈した限定モデルSBGR305。2017年発売のSBGR305から、見慣れたレイアウトに落ち着き始めます。信州のダイヤモンドダストを彷彿とさせる、粒々とした梨地ダイヤルとあっさりしたロゴ配置は趣きがありますね。
キャリバー9S68を搭載しているため、その数字になぞらえた世界限定968本でした。SBGR305の裏ぶたは「獅子の紋章」プリントなし、でムーブメントの動きが見やすくていいですね。
2018年新作の「キャリバー9S 20周年記念限定モデル」SBGH265を中心にご説明します。
12時位置は最近のロゴ表記(GSロゴ、GrandSeiko表記)ですが、6時位置に「VFA」と記載されています。18KYGモデルのSBGH266には、「SPECIAL」表記がありますね。
「V.F.A.」とは「Very Fine Adjusted」の頭文字をとったセイコー独自の略称で、(1969年当時の規格で)平均日差±2秒以内を保証する超高精度特別モデルを意味します。
ちなみに、「VFA」は45GSに所縁のあるモデル名としても知られています。
1960年代後半に、“時計界のF1”と称されるスイス天文台コンクールで、セイコーウォッチはランキング上位を席巻。ニューシャンテル天文台クロノメーター検定(※1969年~1970年)で合格したムーブメントCal.4580搭載「45GS VFA(Ref.4580-7000、4580-7010)」超高精度モデルも、一般向けに発売されています。
45GS VFA は、独自のケースデザイン(※セイコースタイルではない、VFA 表記もなし)を採用した黒文字盤の4580-7000、入手困難なシルバー文字盤(※VFA 表記あり)4580-7010の2種類が存在します。復刻するならセイコースタイルらしさが残る4580-7010が妥当でしょうか。
余談ですが、資産価値的に気になる初代GS復刻モデルについても少しだけ記載します。
2011年発売の「SEIKO創業130周年記念限定モデル」SBGW033(※SS製、参考定価451,500円 (税込)、1300本限定)、2013年発売の「セイコー腕時計100周年記念ヒストリカルコレクション」SBGW047(※SS製、参考定価472,500円 (税込)、700本限定)の2モデルは、二次流通市場で100万円に届くリセールバリューをキープしています。
グランドセイコーは限定モデルの手数が大変多いため、(弊社でも把握しきれない)“お値打ち品”が、まだ眠っているかもしれません。
弊社姉妹サイトの『ブランド時計販売のクエリ』では、ダブルネーム文字盤のローカル限定モデル&GS復刻限定モデルを多数取り扱っております。一点限り早い者勝ちですので、興味の湧いた方は是非チェックしてみてください。
『歪みの無い鏡面を連ねたフラットな表面とケースサイドのカーブが特徴的なエッジのきいたケースは、現代の技術によって再現され、「グランドセイコースタイル」の誕生以来の特徴である「光と陰」を基調とした、際立つ輝きを放ちます。
ダイヤルの12時位置には「SEIKO」、6時位置にはオリジナルモデルと同じ書体で再現した「GS」のロゴと「HI-BEAT」の文字、ムーブメントの毎時振動数を示す「36000」の数字、そしてオリジナルモデルの発祥の地を示す「第二精工舎」のロゴマークが配され、1968年当時の45GSのデザインを再現しています。』
文字盤の色や文字は、ほぼオリジナルの45GSと同じです。
クラシカルな雰囲気のドーフィン針、多面カットのインデックス、懐かしのフォントとロゴ。いずれも初代45GSのデザインコードに忠実で、オリジナルモデルをありありと再現しています。
12時位置のシンプルさと6時位置の納まりの良さは、“不変の美しさ”と称しても過言ではありません。
SSモデルのSLGW005はシルバー文字盤であるのに対し、18KYGモデルのSLGW004はややクリームがかった色味(キャップゴールド 4522-8000似)を採用しており、ダイヤルの風合いもオリジナル45GSに忠実です。
1968年発売の45GS「キャリバー4520」モデル、時分針はブラックのツートンカラー入り
時分針の色合いはちょっぴりアレンジが加えられています。
オリジナル45GSは、時分針の真ん中にブラックの筋目が入るツートンカラーだったのですが、本作SLGW004&SLGW005では不採用のようですね。
それでは、SLGW004&SLGW005のダイヤルを交互に見比べていきましょう。まずはSLGW004から。
エレガントな18KイエローゴールドモデルのSLGW004。
オリジナルの「45GS キャップゴールド」は、260ミクロンの極厚金張り加工が施されていましたが、SLGW004も負けじと優雅ですね。45GS デザインの質素な佇まいに、18KYGのゴージャスさが見事に加えられています。
45GS キャップゴールド同様、文字盤をクリーミーな色味にしたことで、ほのかな温かみもブレンドできています。奥ゆかしいルックスにゴールドカラーはエレガントですね~。
オリジナル45GS(4520-8000)のディテールに瓜二つのステンレススティールモデルSLGW005。シルバー調のカラーリングが繰り広げる光と陰のコントラストは、55年余りの歳月を経て、輝きを増しているようですね。SLGW004のゴージャスな金色も艶やかでしたが、SLGW005の銀色もタイムレスな煌めきでグッときますね。
文字盤全体が情報量の少ないシンプルな3針タイプ(※デイト表示なし)のせいか、「トリプルロゴ+HI-BEAT36000 亀戸マーク」のゴテゴテした表記が、スッキリしたディテールに落ち着いて見えます。(オリジナル45GSの完成度が凄すぎるのですが)多すぎず、少なすぎないヴィンテージデザインの鑑を完成させていますね。
本作SLGW004&SLGW005は横 38.8mm×縦 43.7mm×厚さ 10.4mmです。
文字盤のデザインをわずかに改良しているように、ケースサイズも若干のサイズアップを遂げています。初代45GSはケース径36.5mm × ケース厚8.8mmでしたが、本作はケース径38.8mm × ケース厚10.4mmと約2mm前後大きくなりました。
キャリバーのサイズアップに伴ってケースサイズが大きくなるのはやむを得ない事情ですし、サイズ変更は致し方なしですね。シンプルな3針タイプで約39mmは大きい、という意見も見かけましたが、実際に試着してみないと何とも言えません。
SLGW004&SLGW005を購入検討中の方にとって、一番のライバルは“手巻き白樺”レギュラーSLGW003&限定モデルSLGW002でしょう。
ケースサイズは、横38.6mm×縦45.0mm×厚さ10.0mmでした。そこまでサイズは変わりませんが、エボリューション9コレクションならではの低重心をウリにしていたので、腕馴染みがどれくらい違うのか少々気になりますね。いつの日か、実機レビューで感想と感動をお届けしたいものです。
SLGW004&SLGW005に搭載されるキャリバー9SA4は、“究極の手巻きムーブメント”に相応しい贅沢な巻き心地が自慢です。今年の4月に発表されたWatches and Wonders Geneva 2024では、世界中から高い評価を集めていました。手巻き愛好家の間では、その巻き心地の気持ち良さに魅了されるとの噂も見かけます。
キャリバー9SA4はセキレイをモチーフにした「こはぜ」の動き、美しい仕上げを楽しめる
鶺鴒をイメージした「こはぜ(※動力ぜんまいの逆回転を防ぐ部品)」が可愛らしいですね。
キャリバー9SA5のパーツ約40%を新たに設計し、手巻きならではの感触や音を追い求め、機能美と造形美を融合させたキャリバー9SA4。その美観を強調するように、本作SLGW004&SLGW005ではシースルーバックを採用しています。本作の外見はクラシックですが、中身はハイテクノロジーがギッシリ凝縮されていて、ギャップがたまりませんね。
オリジナル45GSは金のGSメダリオンがはめ込まれたソリッドケースバックでしたが、ヴィンテージファンの皆様いかがお思いでしょうか?
デザイン完成度を含め、本作はトータルバランスがほぼ非の打ち所がないモデル(ムーブメント)で間違いがないでしょう。褒め称えるだけでは興が醒めるので、あえてデメリットと要望を幾つか提示致します。
グランドセイコーのブランドコンセプトである「最高の普通」「実用時計の最高峰」を考慮すると、日常生活用防水(3気圧防水)は改善の余地ありでしょう。
“グランドセイコーセカンド”が誕生した際に、『恒久的な使いやすさを備えてこそ真の高級ウオッチ』をテーマに掲げ、「デイト表示の追加+防水性能を3気圧→5気圧防水」へパワーアップさせていますし、(復刻限定モデルではありますが)実用性の向上という、もう一声はあってもよかった気がします。
更にもう一つ。
キャリバー9SA4はローター(回転錘)がなくなった分、ムーブメントの鑑賞に適しています。せっかく“究極の手巻きムーブメント”を完成させたのですから、どーんと見せつけるように無装飾(※裏ぶた中央のプリントなし)の方が、GSらしい“控えめの美”があったように思えます。あるいは、オリジナル45GSと同じく、メタリックなソリッドバック仕様で勝負してもカッコ良かったかもしれません。
SLGW004は18Kイエローゴールド&クロコダイルストラップ、4,235,000円(税込)です。
SLGW005はステンレススチールケース&クロコダイルストラップ、1,342,000円(税込)です。
キャリバー9SA4搭載の“手巻き白樺”SLGW002&SLGW003と見比べ、値段設定について考察してみましょう。
ブリリアントハードチタンのレギュラーSLGW003が1,452,000円(税込)、本作は相対的に安めの価格設定ですね。人気が予想されるSLGW005が、チタン製のSLGW003より110,000円安いのは嬉しいところです。SLGW003&SLGW005の値付けは、あまり違和感がありませんね。
それよりも気になったのは、SLGW004は18Kイエローゴールド&クロコダイルストラップで4,235,000円(税込)、18Kピンクゴールド&クロコダイルストラップのSLGW002が6,050,000円(税込)、約180万円の差が生じてしまっています。SLGW005が余裕で買えてしまう金額ですし、少し情報を整理してみましょう。
世界的に銅が値上がりしている影響を受け、YGよりPGのほうがやや高め、というのはロレックスなどでも見られる傾向です。
「デイデイト 40」の場合、REF.228238(※イエローゴールド、税込価格6,562,600円)、REF.228235(※エバーローズゴールド、税込価格7,007,000円)で約44万円の差。コスモグラフ デイトナの場合、REF.126518LN(イエローゴールド、税込価格4,592,500円)、REF.126515LN(エバーローズゴールド、税込価格4,814,700円)で約22万円の差でした。
本作の場合、高級路線のエボリューション9コレクション、バランス重視のヘリテージコレクションというランク的な差も影響し、型打ち模様の有無や仕上げの差(=手間賃)など、コミコミ価格が約180万円の差に繋がっているのだと推察できます。しかし、それらの事情を考慮しても、2つの価格差は不思議なほどです。
“手巻き白樺”SLGW002&SLGW003記事の懸念事項として、「手巻きなのにメカニカルやスプリングドライブより高い、(チタン製のSLGW003自体が)ややお高め」と分析して、この価格差ですからね。
180万円の差、うーん・・・言葉に詰まりますね。
おまけ話ですが、SLGW005の価格設定について、ピアゾ編集部内でも時計談議に花を咲かせ、以下のような意見が出ました。
「2011年発売のSBGW033のように、SLGW005は手頃な価格帯(※高くても90万円台前後)がよかった」
「キャリバー9S64でもいいから、手を出しやすい復刻モデル(例:45GS復刻、初代45GS現代デザイン)が出てくれれば・・・」
「45GSは“手巻きのハイビート”がアイデンティティー。8振動の9S64というわけにはいかない」
「(パワーリザーブが犠牲になってもいいから)自動巻きハイビート9S85をベースにした手巻きハイビートムーブメントを新設計して、やや価格を抑えた45GS復刻モデルが今後リリースして欲しい!」
約55年ぶりに45GSが電撃復活したのですから、“究極の手巻きムーブメント”9SA4でリリースする選択は英断です。しかし、1960年発売の初代「グランドセイコー」が大卒初任給の約2倍の高額モデル(※当時の価格は2万5000円)、という背景も加味すると、コストパフォーマンスにも秀でた45GS復刻モデルが将来的には出て欲しいものですね。
(左)昭和の完成形「セイコースタイル」SLGW005(右)令和の究極深化「エボリューション9スタイル」SLGW003
キャリバー9SA4搭載モデルのSLGW005と“手巻き白樺”SLGW003を見た目中心に比較してみました。
本来なら類似の復刻限定モデル(資産価値も高いSBGW033やSBGW047が妥当?)と見比べたいところですが、スペックや時代背景、価格設定がまるで異なるため、性能の近いSLGW003を今回はセレクトしました。
≪SLGW005と“手巻き白樺”SLGW003の違い≫
昭和レトロVS令和モダン、2つの完成されたデザイン文法が、がっぷり四つの名勝負を繰り広げていますね。守るべきデザインコードはしっかり継承し、時代に適した新ルールを追加しています。
筆者個人の感想ですが、グランドセイコーを象徴するGSロゴが、SLGW003の12時位置、SLGW005の6時位置、どちらにも程よくマッチしているのが驚きです。GSロゴの初出は1967年誕生の44GSからですが、本当によく出来たカッコいいロゴですよね、感服致しました!!
SLGW004&SLGW005について、どのような評判や口コミがあるのか調査しました。
「SEIKOロゴが入ってるGSが好き」
「SLGW003とどっちを買うか悩む」
「SLGW005がブティックオンラインで売り切れ!」
本作SLGW005とSLGW003、どちらを選ぶか迷っている声をちらほら見かけました。
「よだれが出るほど素晴らしい」
「完璧、どうしても欲しい!」
「ダブルネーム文字盤のファンではないが、SLGW005は美しい」
コメントを埋め尽くさんばかりに、大絶賛の嵐が巻き起こっています。
美観の素晴らしさが群を抜いている本作SLGW004&SLGW005。復刻の忠実さ、仕上げの丁寧さ、ムーブメントの心地よさは、高級手巻きドレスウォッチに相応しい完成度でした。SLGW005 は早々にブティックオンラインが売り切れていますし、注目度の高さも伺えます。
しかし、実用性(防水性能&裏ぶたのプリント)では、少々課題を残すのも事実。オリジナルの45GSは、ノンデイトのCal.4520やデイト表示ありのCal.4522、VFA モデルのCal.4580と多種多様な進化を遂げています。今後出るであろう45GS復刻デザインは、現代に適した“多様性(※ゴージャスな高級路線、トータルバランスが良い廉価版、実用性に優れたレギュラーモデル)”を兼ね備えていくといいですね。
モデル | ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル
Heritage Collection Re-creation of the 45GS Limited Edition |
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型番(Ref.) | SLGW004 |
ケースサイズ | 横 38.8mm 縦 43.7mm 厚さ 10.4mm |
ケース素材 | "18Kイエローゴールド 裏ぶた:18Kイエローゴールド+サファイアガラス" |
ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー9SA4 |
精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
駆動期間 | 約72時間(約3日間) |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり |
その他 | 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記 |
生産本数 | 世界限定:200本(うち国内:175本) |
取扱店舗 | グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよびグランドセイコーマスターショップ |
発売日 | 2024年11月9日発売予定 |
価格 | 4,235,000 円(税込) |
モデル | ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル
Heritage Collection Re-creation of the 45GS Limited Edition |
---|---|
型番(Ref.) | SLGW005 |
ケースサイズ | 横 38.8mm 縦 43.7mm 厚さ 10.4mm |
ケース素材 | ステンレススチール 裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス |
ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー9SA4 |
精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
駆動期間 | 約72時間(約3日間) |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり |
その他 | 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記 |
生産本数 | 世界限定:1,200本(うち国内:425本) |
取扱店舗 | グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよびグランドセイコーマスターショップ |
発売日 | 2024年11月9日発売予定 |
価格 | 1,342,000 円(税込) |
※販売開始時期・価格は予告なく変更される場合があります。
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