更新日:2022年10月05日

【9Sメカニカルはダサい?カッコいい?】後悔しないためのグランドセイコー機械式時計、メリットとデメリット特徴まとめ

グランドセイコーの9Sメカニカルは一生モノか

世界に誇れる国産最高峰ブランド、グランドセイコー。高い技術力に裏付けされた確かな品質と精度は、世界有数のクオリティーを保ち続けています。
しかし、グランドセイコーのデザインはややもすると「地味」で「普通」と感じられるデザインも多いのは確かで、華やかな海外の高級腕時計と比べると見劣りしてしまい、「グランドセイコー やめとけ」や「グランドセイコー 買っちゃった」などの批判的な意見も目にすることがあります。

「グランドセイコーのメカニカルって、ダサい?カッコいい?」
「機械式腕時計を買うなら、ロレックスやオメガの方がいいのかな……」

今回は、グランドセイコーの9Sメカニカルについて、魅力と歴史、メリットとデメリットをどこよりもわかりやすく解説致します。群雄割拠の機械式腕時計の分野。9Sメカニカルへの本音&客観的分析もたっぷりにお届けします。

目次

9Sメカニカルはどんなムーブメント?

高級時計王国スイスに対抗できる国産ナンバーワンメーカー、グランドセイコー。シチズンやカシオなどのメーカーも世界的に有名ですが、どちらかと言うと高級時計よりランクの下がる一般時計で名を馳せている印象です。

セイコー唯一の技術「スプリングドライブ」や、セイコーの代名詞に近い「クォーツ」に注目が集まる傾向がありますが、グランドセイコーの腕時計を購入する際に決して見落としてはならないのが、9Sメカニカルシリーズです。

ついつい、海外のブランドウォッチやグランドセイコーならスプリングドライブに目移りしがちですが、機械式ムーブメントにおいても“世界最高峰”を目指してきたその歴史と壮大なドラマがあるのです。

9Sメカニカルのイメージや評判

まず、ネット上でも見かける9Sメカニカルのイメージや評判をまとめてみました。

【メカニカルの悪い評判とイメージ】
  • ダサい
  • 後悔
  • 故障、遅れる
  • クォーツ(スプリングドライブ) どっち
  • 貧乏、やめとけ、買ってはいけない、買っちゃった
【メカニカルの良い評判とイメージ】
  • オシャレ
  • 国産最高峰
  • 白樺(ホワイトバーチ)が綺麗
  • 高級感がある

インターネット上の評判や口コミは、グランドセイコー全般のイメージや評判が気になっているようです。グランドセイコー全般のイメージとも共通していますが、全体的にネット特有の否定的な印象が多く見受けられます。

結論を先に伝えます。グランドセイコーの9Sメカニカル時計は、世界に誇れるコストパフォーマンスに優れた価値の高いムーブメントです。購入後、後悔しないためにデメリットとメリットを一つひとつ丁寧に掘り下げて解説致します。

グランドセイコーの機械式時計100年に渡る開発の歴史

海外製の高級腕時計と甲乙つけがたい国産ナンバーワンブランド、グランドセイコー。「メイドインジャパンブランド」ならではの完成度の高いデザイン。高精度・高品質に仕上げる「匠の技」は、海外でも高い評価を受けています。

世界のトップブランドと互角以上に渡り合うグランドセイコーのメカニカル(GSメカニカル)の開発ストーリーと発展のドラマをご紹介します。

クォーツショックにも負けないGSメカニカル

腕時計選びの永遠のテーマとも言える「機械式VSクォーツ」という二つの選択肢。グランドセイコーに至っては、クォーツウォッチのパイオニアでもあり、第三の選択肢「スプリングドライブ」まであるのですから、時計好きからすれば嬉しくも悩ましい3つの選択肢でしょう。

「クォーツショック」が原因で、自身も大打撃を受け活動休止まで追い込まれたGSメカニカル……どのように復権を果たし、世界トップレベルにまで返り咲いたのでしょうか?

ロードマーベルとクラウンの良いとこどりをした初代グランドセイコー

GSメカニカルの歴史は、1960年誕生の「初代グランドセイコー」から始まりますが、礎とも言える「ロードマーベル(1958年)」と「クラウン(1959年)」の存在も忘れてはなりません。

実用性重視のロードマーベルは、キリッとした質実剛健なデザイン。一方クラウンは、エレガンスでやわらかなドレッシーさが魅力です。
そして、「実用性」と「優雅さ」の異なる個性を融合させ、生み出されたのが、セイコーの偉大(グランド)な時計、初代グランドセイコーです。しかし、「スイスに追いつき、追い越す」というスローガンを達成することは容易ではありませんでした。

腕時計の本場、スイス勢との技術の差は歴然としており、輸入規制が原因で、最新の工作機械すら手に入らずじまい……グランドセイコーの腕時計づくりは、工作機械の開発から始まりました。
一年後の1961年には、高品質なスイス時計が大量に入ってくるかもしれない「腕時計の輸入自由化」まで控えており、さらに高度経済成長期を経た日本では、顧客の購買能力が向上して高級品への需要も増しており、早急に世界と渡り合える国産時計の製造を急がなければいけない、という時代背景でした。

精度、デザイン、高級感で人気を博した初代グランドセイコーとCal.3180

グランドセイコーは、最新工作機械の導入や大学との共同研究を進め、数々の問題を克服していきます。てん輪の衝撃を吸収する(耐震装置)ための独自技術「ダイヤショック」や「スムースてん輪」など優れたパーツを開発。より高精度で高品質な腕時計づくりに邁進します。

目指すべきゴールは、スイス・クロノメーター検査基準に匹敵する高精度な国産最高級の腕時計です。初代グランドセイコーに搭載された「Cal.3180」は、ロードマーベルの「可動式のひげ持ち」、クラウンの「12mm径大型てん輪」という長所を掛け合わせることで、日差-3~+12秒という高精度を実現。

精度の追求は勿論、時刻の見やすさや快適な装着感、優れたデザイン……全てにおいて持ちうる技術の集大成を注ぎ込むことで、優れた視認性と高級感を両立させた「初代グランドセイコー」は生み出されます。

「正確、見やすい、美しい」という現在のグランドセイコーの王道を築きあげた偉大なモデルは、60年以上経つ今でもCal.3180も含めて、名機として多くの時計愛好家達に称えられています。

ボード水晶時計部門、機械式時計部門でスイス天文台コンクールのランキング上位常連になるグランドセイコー

高度経済成長期に追いつき追い越すように、グランドセイコーも世界トップレベルの機械式腕時計メーカーへと急成長を遂げていきます。
1956年発売のマーベルの時点で、既に国内ナンバーワンの地位を確立したグランドセイコー。世界屈指の高精度を目指すべく、時計界のF1とも称されるスイス天文台コンクールに、日本で初めて1964年から参加します。

セイコーグループの第二精工舎(現セイコーインスツル)と諏訪精工舎(現セイコーエプソン)は、競い合うように順位を上げていき、3年後の1967年には第二精工舎が企業賞2位、諏訪精工舎が3位を獲得。
翌年1968年にも、ジュネーブ天文台コンクールに初挑戦。機械式腕時計では最高の4位~10位までを独占(※1位~3位はスイス製クォーツ)し、機械式腕時計では総合1位という素晴らしい成績を残すのです。
1976年には、100年余り続いたスイス天文台コンクールの歴史は幕を閉じますが、コンクールを通して培ったノウハウや技術があるからこそ、グランドセイコーは数多くの「世界初」を成し遂げられたんでしょうね!

ピアゾの腕時計豆知識 
<ボード水晶時計部門でも上位を独占するグランドセイコー>

「後悔しないための9Fクォーツ」でも詳細を述べていますが、グランドセイコーの凄いところは、機械式腕時計でも上位に名を連ねている中、クォーツの分野でも上位を独占している点です。
諏訪精工舎が出品した水晶懐中時計は、1966年に2位から5位。1967年に1位から5位を獲得するなど、驚愕の結果を残します!!

「スイスに追いつき、追い越す」
という夢を現実そのものにしてしまったグランドセイコー。同じ日本人として、誇らしい逸話ですね!

デザインの秘密、44GSとザラツ研磨のストーリー

豪華な装飾に頼らない「機能美」を追求し続けるグランドセイコー。1967年にグランドセイコー初の自動巻モデル「62GS」が発表された際には、「セイコースタイル」と呼ばれるデザインの基盤が既に確立されています。
グランドセイコーのデザイン理念を象徴するセイコースタイルは、傑作機「44GS」によって、初めて具現化されます。第二精工舎が初めてグランドセイコーモデルを名乗った44GSは、製造期間わずか約2年の「幻の44GS」や「幻のグランドセイコー」と賞賛される不朽の名作です。

グランドセイコーの特徴的なデザインは、「ザラツ研磨」が欠かせません。ザラツ研磨を施し、歪みのない鏡面に磨き上げることで、光と陰のコントラストが高まり、優れた視認性と高級感ある燦然とした輝きを実現しています。
平面と平面が接する「稜線」を丁寧かつスピーディーに研磨することで、陰影の美しさすらもくっきりと浮かび上がらせているのです。「屏風」や「障子」を代表とする凛とした「光と陰」の美しさは、直線と平面が織りなす日本ならではの趣きでしょう。

「セイコースタイル」を手掛けた服部時計店(現セイコーホールディングス)のチーフデザイナーは、世界の高級腕時計の違いをたびたび観察していたと伝えられています。ある時、同じ腕時計でも形状や張りの違いで「輝き」が違うことを知ります。
そして、試行錯誤の末に、独自の洗練されたデザインコード「セイコースタイル」を創り上げるのです。グランドセイコーらしい実用性の追求、日本ならではの「用の美」が昇華された一つの美の極致にまで到達。
デザイン面でもスイス時計との違いを模索し続けてきたグランドセイコー……セイコースタイルを創り上げることによって、その答えをついに見つけ出したと言えるでしょう。

ピアゾの腕時計豆知識 
<44GS(第二精工舎)VS 62GS(諏訪精工舎)>

グランドセイコーがチームとして強い理由の一つに、切磋琢磨するように、第二精工舎や諏訪精工舎がお互いに名機を輩出している点が挙げられます。
1967年に、第二精工舎が初のグランドセイコー「44GS」を発表すれば、諏訪精工舎も負けじとグランドセイコー初の自動巻モデル「62GS」を発表しています。魅力や違いは割愛しますので、下記の動画もご参照ください。

クォーツショックが原因で15年間活動休止に追い込まれるGSメカニカル

機械式腕時計でも、名実ともに高級腕時計業界のトップレベルへと昇りつめたグランドセイコー。しかし、皮肉にも自身の革命的技術が原因で、メカニカルの分野は活動休止にまで追い込まれてしまいます。1969年誕生の世界初のクォーツ時計「セイコークォーツアストロン 35SQ」に端を発した、いわゆる「クォーツショック」の始まりです。腕時計の主流が、一気に機械式からクォーツ式に取って変わることとなりました。

1970~1980年代は、メカニカルの分野で見れば、「冬の時代」です。クォーツに傾倒し、1988年にグランドセイコー初のクォーツ式時計「95GS」を発売するなど、数々のクォーツの傑作機を発表。メカニカルは目立った活躍がないまま、1973年から15年余り高級機械式時計の開発中止が続きます。

裏付けとして、「雫石高級時計工房」のHPに記載されている通り、『約15年間休止していた高級機械式時計復活に向けた活動を1988年に再開』されるまで、長い長い冬眠期間が続きます。

キングセイコーを改良したCal.4S35は薄型化にも成功

1993年にクォーツを超えた究極のクォーツ「キャリバー9F」搭載モデルが世界的に高い評価を得ている一方、メカニカル部門は砂を嚙むような辛い時代が続きます。既にスイスの名門ブランドは、クォーツウォッチと差別化を図るように、高級機械式腕時計の人気が再燃し始めている状況です。
グランドセイコーでも高級機械式腕時計の復活を望む声が上がりましたが、より高精度な新型クォーツムーブメントの開発に力を注いでおり、メカニカルに人員を割けない立場まで追い込まれていました。

そこで、メカニカルチームは、既存のムーブメントを改良することから始めます。白羽の矢が立ったのは、「初代グランドセイコー」と並んで、国産時計の雄とも称される「キングセイコー」に搭載された52系ムーブメントです。
1992年に発売された薄型自動巻ムーブメント「Cal.4S35」は、グランドセイコーにとって偉大な復活の序章です。

セイコーインスツルメンツの3D-CADシステムは、9Sメカニカルの開発にも活躍

より良い究極のメカニカルムーブメントを追い求めるグランドセイコーですが、最先端のムーブメント作りは容易ではありませんでした。当初は4Sムーブメントを改良していけば、名門の復活を成し遂げられると考えられていましたが、20年以上の空白は甘くはなかったのです。

悩み抜いた開発者達は、完全なムーブメントの新規設計を決意。アイディアはあるものの、熟練した技術者達が一線を退いていたため、技術そのものが失われてしまっていたのです。
開発者達は引退した先輩達を訪ね歩き、助言をもらいながらシミュレーション&サンプル作成を繰り返し、4Sムーブメントを超えたグランドセイコーに相応しい機械式ムーブメント作りを目指します。

1996年には、 スイス公式クロノメーター検定機関C.O.S.C.(The Contrôle Officiel Suisse des Chronomètre)の精度検定に挑戦。初回テストで4個中3個が合格したのを皮切りに、量産品50個全て合格するレベルにまで追いつきます。

「クロノメーターを越える精度こそがグランドセイコーの精度である」
偉大な先輩達が築き上げた風土とプライドを継承し、グランドセイコーはより厳しい精度規格に該当する「新GS規格」を1998年に制定。平均日差が-3~+5秒(※クロノメーター基準は-4~+6秒)、検定姿勢は6姿勢、検定日数は17日(※クロノメーター基準は5姿勢並びに15日)という、より厳しいハードルを課すことで、機械式腕時計の名門グランドセイコーの完全復活を図ります。最先端技術であったセイコーインスツルメンツ開発の「3D-CADシステム」をいち早く導入できたのも幸いし、理想のムーブメント作りが目指せる環境が整い始めていました。

そして、1998年……究極の意味を持つ「9」の文字が相応しい「キャリバー9S51」と「キャリバー9S55」が完成。かつての名門、グランドセイコーが再び、機械式時計の分野においても「スイスに追いつき、追い越せ」を果たした記念すべき年です。

スプロンを使用し、自動巻き10振動モデルを日本で初めて完成させるグランドセイコー

2004年、9S5系ムーブメントを更に改良する新プロジェクトが始まります。日本初の自動巻き10振動モデルの完成です。

かつて1960年代のスイス天文台コンクールで、世界屈指の高精度を現実のものにしていたグランドセイコー。磨き続けた技術は高精度化以外にも、「高振動化」の技術も会得しています。おもちゃのコマでもコマの回転が早ければ早いほど動作が安定しているように、機械式腕時計も振動数が多ければ多いほど、衝撃の影響を受けにくくなり、高い精度を保つことを可能とします。

諏訪精工舎の自動巻式「Cal.61系」や第二精工舎の手巻式「Cal.45系」など、高振動ムーブメントの卓越した技術を確立していたのも功を奏しました。
ただし、問題がないわけではありません。8振動ムーブメントだった「Cal.9S5系」や「Cal.9S6系」を10振動ムーブメントにパワーアップした場合、パーツに加わる負担も大きくなるため、各パーツの耐久性を高める必要が生じたのです。

まず手始めに、新しい動力ぜんまいを開発。5年の開発期間の末に完成した「SPRON(スプロン)610」は、耐衝撃性能が2倍、耐磁性能が3倍と大幅なレベルアップを遂げます。ここまでのレベルアップを可能としたのは、多くの高級腕時計メーカーがゼンマイを外注している中、1940年代からゼンマイの研究や製造に携わっていた第二精工舎のノウハウがあったからでしょう。

次に、脱進機と呼ばれるがんぎ車やアンクルも一新。MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を駆使し、特殊な樹脂を高精度の型へ加工後、極限まで肉抜きを施すことで、硬度を保ったまま超軽量化された脱進機パーツ作りにも成功し、毎時36,000振動のハイビートムーブメント、「Cal.9S85」の完成に至ります。
プロジェクト開始から5年後、41年ぶりに10振動ムーブメントを復活させたグランドセイコー。「Cal.9S85」搭載の「メカニカル ハイビート 36000」は、毎時36,000振動のハイビートを誇るだけでなく、平均日差-3~+5秒と持続時間約55時間の精度とスタミナも両立させています。

2014年には、「メカニカルハイビート36000GMT限定モデル  SBGJ005」が、「プティット・エギュィーユ」部門賞(※8000スイスフラン以下の時計対象。小さな針という意味)を受賞。日本製のメカニカルウォッチとしては、初の快挙であり、グランドセイコーの努力と性能が世界的にも認められた瞬間です。

ピアゾの腕時計豆知識 
<いにしえの10振動モデルと幻の12振動モデル>

1968年当時、グランドセイコーは10振動モデルを3モデル完成させています。自動巻きの「61GS」や手巻きの「45GS」に、女性向け「19GS」は、当時の世界最高峰の高精度を実現。
41年ぶりに10振動にチャレンジする決め手となったのが、12振動の超高振動ムーブメント「Cal.8L88」の存在です。2008年5月から発売されたCal.8L88搭載の「クレドール ジュリ 典雅  GBBX998」で手応えを掴んだのがきっかけとなり、グランドセイコーの10振動ムーブメント開発に拍車がかかったと言われています。

ちなみに、「クレドール ジュリ 典雅」は中尊寺金色堂をモチーフにしており、漆芸家の全龍福(チョン・ヨンボク)氏と共同開発。蒔絵(まきえ)や螺鈿細工の漆工芸が施された「クレドール ジュリ 典雅」は、5250万円!!の最上級ドレスウォッチです。まさに、豪華絢爛の言葉がピッタリですね!!

メカニカル60周年の技術が詰まったキャリバー9SA5は、世界でも人気のムーブメント

グランドセイコーは、2017年の独立ブランド化以降、世界の時計関係者から注目を集めるまでブランド価値を高めます。特に、2020年に発表された「キャリバー9SA5」は、60周年の集大成に相応しい高精度と高品質……その高性能ぶりに世界中を驚かせることに成功しています。

詳細は後述しますが、キャリバー9SA5に使用された「デュアルインパルス脱進機」や特殊合金素材「スプロン」など、最先端技術&素材と匠の技を融合させた世界に誇れる10振動のハイビートキャリバーを実現。一つの証明として、キャリバー9SA5搭載の「SLGH005」は、時計のアカデミー賞とも言われるジュネーブ時計グランプリで、「メンズウオッチ」部門賞を2021年に受賞しています。

ピアゾの腕時計豆知識 
<SLGH005と大谷翔平選手>

セイコーは大谷選手と広告出演契約を結んでおり、2021年にMLBア・リーグ™MVPに輝いた大谷翔平選手に贈呈したのが、時計のアカデミー賞を受賞したグランドセイコーのSLGH005です……メカニカルと大谷翔平選手のたゆまぬ苦労と努力を考えると、どちらも栄えある賞に輝いており、グッとくるエピソードですね!

関連記事では、大谷翔平選手とグランドセイコーの不思議な縁についてもまとめているので、興味のある方はお読みください!!

750年以上変わらない機械式の仕組みを最大限活用する9Sメカニカル

世界初の機械式時計は、1270~1300年頃の北イタリアから南ドイツ周辺の地域で作られた「塔時計」が始まりだと言われています。基本的な仕組みは750年以上変わらず、「動力源」と「調速機」に「脱進機」の3要素で構成されています。機械式腕時計の仕組みを簡単に説明しましょう。

①:機械式腕時計は、巻き上げたゼンマイがほどける力を動力にしている
②:①の動力を「てんぷ(調速機)」が、正確な振動を繰り返すことで、歯車の回転を調節しながら規則的な往復回転運動(振り子)を続ける
③:②の往復回転運動をアンクルとがんぎ車(脱進機)へ伝え、強すぎるゼンマイの力を一定の速度に調節する
④:③で調節された力を分針、秒針に伝え正確な時刻を刻み続ける

……仕組みの説明だけでは、機械式時計の魅力が伝わりにくいと思うので、合わせて特長もまとめてみました。

<グランドセイコーの9Sメカニカルを選ぶメリット>
  • 世界有数の自社一貫生産(マニュファクチュール)ブランドが製造している
  • 機械式時計ならではの寿命の長さ
  • 先端技術「MEMS」が作り出す0.001mm単位の軽量なパーツ
  • 国産ナンバーワンのブランド力

機械式時計は仕組み自体が普遍的な面があり、メーカーそのものの評価や強みが特長にも繋がります。「グランドセイコー」のブランドバリューは、海外を中心に高く評価されているので、選んで間違いの少ない選択肢だと言えます。
ファーストウォッチとしても、コレクション目的としても、ハズレが少ないのが9Sメカニカルの堅実かつ安定した魅力です。日本では、一部の時計関係者や愛好家達にしか、正当な価値が理解されていない傾向があるので、理解を深めるためにも9Sメカニカルのメリットを順番にご説明します。

ピアゾの腕時計豆知識 
<ガリレオ・ガリレイと振り子の法則、「機械式時計の父」クリスチャン・ホイヘンス>

機械式時計にも活用されている「振り子の等時性」の法則。1583年に学生だったガリレオ・ガリレイが発見したと伝えられています……凄い才能と洞察力ですね!!

その法則を応用&研究して、振り子時計とてんぷゼンマイを発明したのが、17世紀に活躍したオランダの科学者クリスチャン・ホイヘンス氏です。振り子は仕組み上、ある程度の長さが必要なため、時計の小型化を難しくする要因の一つでした。クリスチャン・ホイヘンス氏は、振り子に替わるパーツとして、てんぷゼンマイを1675年に発明。
現在の機械式時計の基礎に多大な貢献をした偉大な人物ですね!!

グランドセイコーは世界有数のマニュファクチュールブランド

星の数ほど魅力的な機械式時計が存在する高級腕時計業界……ライバル達と差別化を図るために、自社で一貫製造する「マニュファクチュール」方式を多くのメーカーが取り入れていますが、全ての工程を自社でまかなう「真のマニュファクチュールブランド」は一握りしか存在しません。

例えばムーブメントパーツの製造で最も難しい「ひげゼンマイ」は、ロレックスやランゲ&ゾーネなどの一部のメーカーしか自社開発できないパーツです。グランドセイコーは、ムーブメントの開発や設計、製造や組立に調整……検査と出荷を全て自社で手掛けており、複雑なパーツである「ひげゼンマイ」や動力ゼンマイなどの金属素材の開発まで自社で完成させています。

高級腕時計をネームバリューやイメージで、ついつい判断しがちな腕時計選びですが、長く使えば使うほど、腕時計に詳しくなればなるほど、「真のマニュファクチュールブランド」というファクターは、時計選びにも反映されることでしょう。

9Sメカニカルムーブメントを実際に作っている動画も合わせてご紹介します。実直にひたむきに……より良い時計づくりに努めるグランドセイコーならではの魅力を物語っている動画ですね!だからこそ、海外の熱心な時計愛好家達のハートを揺さぶり続けているのかもしれません……

日本を代表するクラフトマン達が所属する雫石高級時計工房

諏訪精工舎(セイコーエプソン)が、長野県塩尻市にてクォーツモデルとスプリングドライブモデルを製造する一方、第二精工舎(セイコーインスツルメンツ)は、岩手県雫石町にて機械式モデルの製造を一手に引き受けています。
2004年からは機械式腕時計を一貫生産する専門工房「雫石高級時計工房」が誕生。「現代の名工」や「黄綬褒章」を受賞した卓越した技術を持つ技能士が多数所属しています。

10振動のキャリバー9S85を例に出して、その凄さを説明します。221の精密なパーツ群を完成させる作業の一つに、部品表面を1000分の5mmほど剥く工程が必要です。精密かつ繊細な作業は、専門の職人でないと仕上げることができないほどです。
また、部品の組み立ても1mm以下のサイズが多く、熟練した職人の手仕事でしか組み上げることは不可能でしょう。200~300点のパーツで構成される機械式腕時計は、パーツ同士の最適な組み合わせが存在しており、職人達が1/100mm単位で丁寧に調整することで、初めて完成品の9Sメカニカルとして成り立つからです。

グランドセイコーは「マイスター制度」も導入されており、卓越した匠が次世代の匠を自ら指名し、後継者の指導と育成にも腕を振るっています。まさに、100年以上の機械式時計の歴史と情熱が、雫石高級時計工房に集約されていると言っても過言ではありません。

ピアゾの腕時計豆知識 
<クラフトマンの伝統技術「振れ取り」>

てんぷの振り子運動は、機械式腕時計の精度に大きく影響します。中でも、「振れ取り」と呼ばれるひげゼンマイの調整作業は、匠の奥義とも呼べる伝統技術です。てんぷの運動の歪みを顕微鏡で一瞥して捉え、0.1mm以下の隙間にピンセットの先端で触れることで、滑らかな波紋のように回転するまで調整を繰り返します。
一瞬のタイミングをとらえるピンセットの絶妙な力加減は、筆舌に尽くしがたい……匠にしか出来ない伝統技術ですね!!

精巧&軽量パーツのカギ、MEMS

雫石高級時計工房の職人達が、どんなに優れた技法を持っていたとしても、パーツそのもののクオリティーが高くなければ、ムーブメント精度を高めることは不可能です。
グランドセイコーは、脱進機の製造にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)という先端技術を採用。0.001mm単位の精度で、高精度かつ軽量化がされた精密なパーツを作り出しています。

「MEMS」の先端技術、雫石高級時計工房の匠の技……2つの優れた技術が合わさることによって、生み出される芸術品こそがキャリバー9Sシリーズなのです。

機械式腕時計は所有することに特別な喜びがある

機械式腕時計全般に言える最大の長所は、歴史に裏打ちされた技術の集大成に該当する「伝統」と「ロマン」が詰まっている点です。

既に生活の一部になったスマートフォンやパソコンでも簡単に正確な時間を知ることが出来る現代……それでも、機械式腕時計は私達の憧れとして君臨し続ける存在です。つまり、機械式腕時計は“持っていることに特別感”があるのです。

古くから、時計は富裕層のみが持つことが出来る特別なアイテムでした。更に、男性の立場で見れば、身につけられる存在感のある自然なアクセサリーと言えば、多くの人が「腕時計」と答えるはずです。

ブランドの伝統が踏襲された機械式腕時計は、家宝として親から子、子から孫に譲り渡す風習もあります。定期的なオーバーホールやメンテナンスは必要なものの、工芸品のような芸術性と資産面でも優秀な装飾品としての要素を併せ持っている最高のアイテムが、機械式腕時計なのです。
そして、家宝として子孫に引き継ぐに値する価値を持つブランドこそが、国産ナンバーワンの実力と伝統を持つグランドセイコーなのです。

WWG2022で世界初を成し遂げたグランドセイコーのKodo コンスタントフォース・トゥールビヨン(SLGT003)

機械式腕時計ならではの魅力と言えば、世界三大複雑機構の「パーペチュアルカレンダー」「ミニッツリピーター」「トゥールビヨン」に代表されるステータスとロマンが詰まった機能は外せません。
世界三大複雑機構の価値をひと言で説明するのは難しいですが……トゥールビヨンで見れば、製造難易度が高すぎる(コストがかさむ)のが原因となり、中古品でも家一軒と同等の価格がするモデルも数多く存在するほどでした。

そんな複雑精緻なトゥールビヨンを世界で初めて「コンスタントフォース」と同軸に一体化させてしまう時計史に残る偉業をグランドセイコーは達成。機能の凄さについては後ほど述べますが、ごく一部のトップブランドにしか作れないトゥールビヨン機構に、まだまだ珍しい機能であるコンスタントフォースを組み合わせた傑作機が、「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン(SLGT003)」です。

WWG2022(WATCHES & WONDERS GENEVA)でロレックス、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ブルガリ……並み居る高級腕時計業界の強豪達がハイエンドウォッチの記念碑的存在を発表する中、グランドセイコーも「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン(SLGT003)」で世界を大いに驚かせたのです。

ピアゾの腕時計豆知識 
<創業の地、「アトリエ銀座」も誕生!!>

グランドセイコー最高のハイエンドウォッチと称しても過言ではない「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン(SLGT003)」。世界最高峰の時計職人と設計者、デザイナー達の尽力がなければ生み出されなかったでしょう。
Kodoを作り出したプロフェッショナル達の本拠地が、創業の地である銀座に新しく構える「アトリエ銀座」です。

創業者、服部金太郎氏の「良品は必ず需要者の愛顧を得る」という信念を引き継ぎ、たゆまぬ努力で具現化したからこそ、世界に類を見ない超傑作機KodoのSLGT003が誕生したのでしょう。
「実用時計の最高峰」「最高の普通」を目指すグランドセイコーらしい、「良品」という表現とSLGT003の圧倒的な完成度の高さ。アンバランスな言葉の組み合わせがたまりませんね!!

グランドセイコー全体に言えることですが、「国産ナンバーワン」というブランド力は、ファーストウォッチにしてもコレクション目的にしても強い効力を発揮します。前述の通り、特にメカニカルウォッチは、ブランド力そのものが付加価値としてプラスに働きます。

「ロレックスのデイトナ、Ref.116520がどうしても欲しい!」
「オメガのスピードマスタームーンウォッチの新作(310.32.42.50.01.001)買いたいな……」

時計好きなら誰しも一度は憧れる自然な感情です。

「海外ブランドの派手なクロノグラフもいいけど、普段使いで考えれば、実用性のある3針モデルが欲しい……」
「日本人だから国産最高峰の腕時計がやっぱり欲しい!」
と別の感情を抱くのもまた、楽しい腕時計選びならではの迷いの感情です。

「グランドセイコーのデメリットとメリットまとめ」記事でも述べたように、グランドセイコーの海外ブランドと差別化されたあっさりした「地味」で質実剛健なラインナップは、そんな感情を抱く方達に打ってつけの国産最高峰のブランドなのです。

グランドセイコーの9Sメカニカルは、全体的に年数が経過しても価値が落ちにくい横ばい状態のモデルが多いのが特徴です。悪く言えば、プレミアモデルが現状少ない傾向は、資産価値が急降下しづらい、安定した「手堅さ」の裏返しでもあります。
今でこそ、多くのモデルに横ばい状態が多く見られますが、関連記事でも述べたように、一部のモデルでは権威あるオークションを筆頭にプレミア価格で落札されているので、9Sメカニカルは資産価値の面でも注目です。

9Fクォーツの海外評価でもお伝えしたアメリカのベストセラー作家ビル・アドラー氏。インタビューコメントを抜粋してご紹介します。

『数多く陳列された腕時計のなかでひと際目を引いたのがこの「SBGW031(※手巻き機械式)」でした。ラウンドケースにアイボリーダイヤルを備えたとてもシンプルな3針のモデルですが、なぜかとても目を奪われたのです』
『ショーケースから取り出してもらい針を回してみると、これまで私が触ったことのあるどの腕時計とも違う本当にスムーズな巻心地に感動しました』
『手に入れたばかりのSBGW031を手首に巻いてアメリカに帰りました。ワシントンD.C.に到着して腕時計に目を落とすと、まぁこれは当たり前なのですが、まだ日本の時間を刻み続けていました』
『ガラスの中には日本の空気が閉じ込められているような、そんな不思議な感じがしたのを今でも覚えています』

日本の空気が閉じ込められている……まさにその表現こそが、グランドセイコーの腕時計の魅力ですね!

同様に、「Revolution」誌のアジア版編集長を4年間、現「WorldTempus」編集長に就任したスザンヌ・ウォン氏の文章も抜粋します。

『グランドセイコーは、目の肥えた玄人や熱狂的時計ファンからリスペクトを受けているが、同時にもっと評価されるべきブランドだと、あえて言いたいと思う』
『音楽専門家であれば、この事実と、現代の聴衆がビートルズのことをどのように感じているかという事実と極めて似ていることに気付くだろう。ビートルズは、歴史上最も偉大なバンドであるということは周知の事実だが、その一方で、実際にどれほど独創的で創造的だったかという点で称賛を受けることはあまりなく、その点でかなり過小評価されている』
『時計愛好家が、グランドセイコー発売の話を聞いて異常な興奮で失神したという話はまだ聞いていないし、東京にあるグランドセイコー本社に熱烈なファンレターを送ったという話も聞いていない。しかしこの両者には、とりわけ先ほど触れた独創性と創造性という点で、共通しているところがたくさんある』

グランドセイコーのストロングポイントである「独創性と創造性」をわかりやすい例えで、心に響くように表現していますね!
合わせて、4つの動画もご覧ください。動画を見ているだけで、同じ日本人として誇らしく思えるのは私だけではないですよね!?

約80万回再生に届く600近いコメント欄が、見渡す限り英語コメントで埋め尽くされています!!
「The amazing Grand Seiko fine wristwatches(素晴らしいグランドセイコーの高級腕時計)」by Bao Nguyenさんのコメント
「This is amazing. Thanks Japan for your cars and watches... Love you(これは素晴らしいです。 あなたの車と時計を日本に感謝します...あなたを愛しています)」by IMさんのコメント
「At the age of 21, I manage to bought a first GS quartz two tone 18k Grand Seiko 95GS by my own for me it's truly a mark of my success. I'm not capable of acquire these modern automatic Grand Seiko now as it's still too expensive , but i will be on my way..(21歳の時、私は自分で最初のGSクォーツツートーン18kグランドセイコー95GSを購入することができました。それは本当に私の成功の証です。 まだ高すぎるので、今はこれらの最新の自動グランドセイコーを入手することはできませんが、私は途中です)」by Jakkree Nethikulさんのコメント
……少しおかしな和訳が目立つグーグル翻訳でも、読んだ人の心を打つ賞賛のコメントが沢山見られます!

「SLGH005」の白樺(ホワイトバーチ)は、多くの人気海外腕時計ユーチューバー達をも魅了しています。上記の動画を筆頭に、「SLGH005」や「White Birch(ホワイトバーチ)」とYouTubeで検索すれば、数万回再生クラスの海外動画が多く存在します。

ついつい、日本人の感性でグランドセイコーを推し量りがちですが、海外の目線も勉強になりますね……ビートルズのエピソードのように、グランドセイコーに熱心なファンレターが沢山届く日をピアゾ編集部一同願っています!スザンヌ・ウォン氏が述べているように、それだけの卓越した「独創性と創造性」を持ち続けているメーカーですから。

9Sメカニカルの特徴のまとめも兼ねて、スプリングドライブとクォーツとの違いを簡単にお伝えします。

ムーブメント 動力(トルク) 制御 価格 寿命 精度 ムーブメントの簡単な特徴
機械式 ゼンマイ(強) 脱進機 中~高 日差数秒 一生モノの愛機に出来る
磁気と衝撃が課題
クォーツ式 電池(弱) 電気信号 低~中 年差数秒 年差数秒の高精度を誇り、普段使い◎
寿命&ステータス性の低さが課題
スプリングドライブ ゼンマイ(強) 電気信号 中~高 月差数秒 独自技術でオリジナリティ性が抜群
メンテナンス面が課題

<9Fクォーツのメリットとデメリット、違い>
◎圧倒的精度の高さ
◎ラフに普段使いしやすい
▲寿命の短さ
▲クォーツ特有のステータス性の低さ

<スプリングドライブのメリットとデメリット>
◎独自技術ムーブメントは大きな武器
▲メンテナンス面が大きな課題

<9Sメカニカルのメリットとデメリット、違い>
◎芸術性とステータス性の高さ
▲機械式特有の巻き上げの手間
▲構造上、衝撃と磁気にはどうしても弱い

……ひと言でまとめてみました。9Sメカニカルのデメリットに関しては、記事の後半部分で詳しく述べます。関連記事で比較しつつ、自分のライフスタイルに適したムーブメントを選ぶのが、後悔しないための秘訣です。

9Sメカニカルの各キャリバーの違い概要

世界有数の海外ムーブメントと比較しても甲乙つけがたいグランドセイコーの9Sメカニカルシリーズ。「雫石高級時計工房」の匠達が、最先端のパーツ達を丁寧な手作業で仕上げています。
2022年7月現在、9Sメカニカルの現行キャリバーは、「9S8シリーズ」の2種類と「9S6シリーズ」の5種類、最新キャリバー「9SA5」と小型メカニカル自動巻き「9S27」を含めた合計9種類(※9ST1を除いて)です。
今回は最新の主力キャリバー「9SA5」とWWG2022で発表されたばかりの9ST1のエピソードを中心に、「9S8シリーズ」と「9S6シリーズ」の違いや特徴を簡単にご紹介します。

キャリバー 静的精度 携帯精度 持続時間 振動数 ムーブメントの簡単な特徴
9SA5(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+8~-1秒 約80時間 36,000振動/時
(10振動/秒)
・メカニカルハイビート36000
・ デュアルインパルス脱進機&ツインバレル&瞬間日送り機構
9S86(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+8~-1秒 約55時間 36,000振動/時
(10振動/秒)
・メカニカルハイビート36000GMT
・日付表示機能&24時針(デュアルタイム表示機能)
9S85(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+8~-1秒 約55時間 36,000振動/時
(10振動/秒)
・メカニカルハイビート36000
・ 日付表示機能
9S68(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+10~-1秒 約72時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・メカニカル自動巻3DAYS
・ 日付表示機能
9S66(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+10~-1秒 約72時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・メカニカル自動巻3DAYS GMT
・日付表示機能&24時針(デュアルタイム表示機能)
9S65(自動巻、手巻つき) 平均日差+5~-3秒 日差+10~-1秒 約72時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・メカニカル自動巻3DAYS
・日付表示機能
9S64(手巻) 平均日差+5~-3秒 日差+10~-1秒 約72時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・手巻メカニカル
・日付表示機能「なし」
9S63(手巻) 平均日差+5~-3秒 日差+10~-1秒 約72時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・小秒針つき手巻メカニカル
・日付表示機能「なし」&パワーリザーブ表示&小秒針
9S27(手巻つき) 平均日差+8~-3秒 日差+10~-5秒 約50時間 28,800振動/時
(8振動/秒)
・小型メカニカル自動巻
・日付表示機能

前述の「名門復活~10振動ムーブメント~」でも述べたように、キャリバー9S8系(9S8シリーズ)とキャリバー9S6系(9S6シリーズ)の最大の違いは、「振動数」です。9S8系が10振動/秒なのに対し、9S6系は8振動/秒と、機械式時計の精度を司る「てんぷ」の毎秒当たりの振動数が違います。
6振動~8振動のムーブメントが一般的であり、8振動以上のムーブメントを「ハイビート」と呼ぶので、10振動(毎時36,000振動)がいかに超ハイビートかが伝わるかと思います。

ハイビートの利点は、比較表の「携帯精度」の項目がわかりやすいように、振動数が多くなればなるほど……外的要因(衝撃)の影響や姿勢性原因の誤差を受けにくくなります。ただ、パーツへの負担も大きいという弱点もあるため、一概にハイビートとロービートどちらが優れているかは決められないのも事実です。

キャリバー9S8系がいかに凄いか?一つの例を出しますが、あの有名なオメガの「コーアクシャル脱進機」でさえ、開発当時では8振動(28800振動)だったのを7振動(25200振動)にまで落としています。
グランドセイコーは、あの名門オメガですら下げざるを得なかった振動数をきちんと「普通」に動くトラブルがほぼない10振動の高級腕時計として、主力モデルに据えているのです。各キャリバーの細かな違いは、「キャリバーまとめ記事」で改めて、魅力と価値をたっぷり語ることにします!

ピアゾの腕時計豆知識 
<世界的に人気な名キャリバー、エルプリメロも毎時36,000振動のハイビート>

どのメーカーもロービート&ハイビートの弱点を改善しており、簡単に優劣をつけづらいムーブメント事情……それでも、10振動(毎時36,000振動)の傑作ムーブメントと言えば、時計好きならすぐに「エルプリメロ」を思い浮かべるでしょう。

ゼニスが1969年に発表した毎時36,000振動のハイビートムーブメント「エルプリメロ」は、機械式時計の常識を覆した傑作機です。ゼニスの「クロノマスター 1969(51.2080.4061/69.C494)」やロレックスのデイトナ「Ref.16520」にも搭載されたエルプリメロは、機械式時計愛好家なら誰でも認める名機中の名機です。

腕時計の本場、スイス勢が6振動~8振動の高級腕時計を多数輩出する中、独自性を貫くグランドセイコー。10振動ハイビートならではの滑らかな針の動きと安定した精度は、一見の価値ありです!!

キャリバー9SA5は世界屈指の高精度と高機能な10振動ハイビートムーブメント

2020年に発表された「キャリバー9SA5」は、「実用時計の最高峰」というグランドセイコーの哲学を具現化した最高峰の機械式ムーブメントです。10振動までてんぷの振動数が上がると、その振動の速さに脱進機(がんぎ車とアンクル)が追い付けず、動力の伝達効率は下がってしまいます。

キャリバー9SA5に搭載されている独自構造の「デュアルインパルス脱進機」は、「MEMS」技術で作られた複雑な形状のパーツをシンプルな構成で組み合わせ、脱進機効率を飛躍的に高めることに成功。動力ゼンマイの「ツインバレル(※従来の2倍のトルク)」と連動することで、約80時間の長時間持続を可能としています。
ひげゼンマイに使用されている「スプロン」は、コバルトとニッケルの特殊合金素材を発明。財団法人「電気磁気材料研究所」と共同開発を続け、巻き上げのカーブを決定するまで何万回もシミュレーションを行う徹底ぶりです!!

キャリバー9ST1は複雑機構コンスタントフォースとトゥールビヨンで、姿勢差とゼンマイの巻き上げのバラつきの問題を解決している

グランドセイコーの凄いところは、前述のキャリバー9SA5の開発と並行して、コンセプトムーブメント「T0(ティー・ゼロ)コンスタントフォース・トゥールビヨン」を別プロジェクトとして進行していた点です。

なぜならプロジェクト立ち上げからわずか10年で、限定モデルKodoのSLGT003を、WWG2022という権威性の高いジュネーブの時計の祭典にて発表するまでに至っているからです……書いていて、目を疑ってしまう5w1hです、本当に!

川内谷卓磨氏が設計した「コンスタントフォース・トゥールビヨン」は、機械式時計の弱点である「姿勢差」と「エネルギー供給のばらつき」を減らした恐るべき2つの複雑機構の融合です。重力が原因で生じる姿勢差の問題はトゥールビヨン機構で。動力ゼンマイの巻き上げ量が原因のトルク差の問題はコンスタントフォース機構で解決しています。

タグホイヤーが「ホイヤー02T フライングトゥールビヨン CAR5A90.FT6121」で、100万円台のトゥールビヨンが世界を震撼させ、トゥールビヨン機構は比較的見かけられるようになった複雑機構の一つです。一方、コンスタントフォースは限られたメーカーからしか発表されていません。

ましてや、2つの複雑機構を10年足らずのプロジェクトで開発、発表できるその技術力と独創性
……グランドセイコーの底力と独自性は圧巻です!!!

GSメカニカルは性能は良いが、イメージや評判が悪い傾向がある

高精度・高機能・高品質と3拍子揃ったグランドセイコーの9Sメカニカル。しかし、インターネット上の評判を代表するように、「グランドセイコー やめとけ」や「グランドセイコー 後悔」のネガティブワードに引きずられるように、課題と問題点が幾つか残っているのも現状です。

「海外の有名な機械式時計にしておけばよかった……」と後悔しないためにも、9Sメカニカルの問題点をきちんと把握しておきましょう!合わせて、メカニカル全般のデメリットと問題点もお伝えします。

GSメカニカルは認知度やステータス性が低いデメリットがある

関連記事「後悔しないためのグランドセイコー購入のデメリットとメリットまとめ」でも詳しくお伝えしたように、「グランドセイコーの時計はイメージ(認知度やステータス性)が弱点」です。
関連記事でも引用したピエール=イヴ・ドンゼ教授の指摘を抜粋します。

『バーゼルワールド(注釈:2017年開催)での服部真二会長のスピーチを聞きましたが、ブランドとして考えるなら、より大事なのは、技術ではなくイメージですね。グランドセイコーにはすでに技術があるわけですから』
https://www.webchronos.net/features/14064/より抜粋)

ここ数年でイメージや評価は逆転していくと考えられますが、現時点で腕時計にあまり詳しくない層が、9Sメカニカルウォッチを見かけた際に、「グランドセイコーの9Sメカニカルだ!キャー!カッコいい!!」とはならないのが、9Sメカニカルを選ぶ際の最大のハードルでしょう。
「実用時計の最高峰」「最高の普通」をグランドセイコーはコンセプトにしているため、煌びやかな見栄えのする高級時計の対極である「地味」で「洗練した美しさ」を魅力としています。

ただ、グランドセイコーの腕時計(9Sメカニカル含む)は、海外の高い評価を中心に、一部の若者達にも手堅く根強い人気を集めています。細部まで職人芸が行き届いた「究極のシンプルさ」は、「普段使いのしやすさ」と「着けていて嫌味にならない」など、デメリットを帳消しにするほどの数多くのメリットを兼ね備えています。
最後に、「グランドセイコーの機械式腕時計は、安心して選べる」という点だけは、改めて強調致します。

機械式腕時計は磁気帯びが弱点

他のメカニカルウォッチに比べて、耐磁性能の高い9Sメカニカルですが、クォーツやスプリングドライブよりも磁気に対してはデリケートに接するのが賢明です。9Sメカニカルに使用されているひげゼンマイの「スプロン」は、約1万A/mの耐磁性があり、「磁気帯び」のトラブルを起こしにくい傾向があります。

しかし、「磁気帯び」という症状は厄介な代物です。クォーツが磁気帯びになった場合は、モーターだけが磁気帯びで済むのですが……メカニカルの場合は、鉄系の部品全てに磁気が残ってしまいます。
宝石や指輪を火元に近づけないのが当たり前のように、機械式時計を故障から守るために、スマートフォンやPCなどの電化製品に5~10センチ離しておくように心がけましょう。

機械式腕時計はショックが原因で故障の可能性がある

古くから機械式時計の大敵と言われてきた磁気・水気・衝撃の問題……磁気や水気は課題をクリアしつつありますが、機械式腕時計にとって衝撃は構造上「アキレス腱」に近い、最大の課題です。
200~300の精密パーツを複雑に組み立て完成させた精密機械である機械式腕時計も、強いショックは故障の要因になり得ます。
機械式腕時計の心臓部分に当たるひげゼンマイは、特にデリケートなパーツであり、ちょっとした衝撃が原因で、変形や歪みを引き起こす可能性があるのでご注意ください。

ピアゾの腕時計豆知識 
<衝撃で見たロービートVSハイビート>

パーツの摩耗が少ないロービート……「A.ランゲ&ゾーネ」の自動巻きムーブメント「Cal.L922.1」に代表されるカチカチとした時を刻む音は、時計通をも唸らせます。
しかし、ロービート(6振動以下)とハイビート(8振動以上)を衝撃で比較した際には、ハイビートに軍配が上がります。ベーゴマのように、高速で回転している方がぶつかり合った際の衝撃に強いのです。つまり、ロービートは衝撃に弱い傾向があるのです。
ロービート、ハイビート問わずですが、ゴルフやバッティングのような手首にインパクトが加わるスポーツ。バイクのように継続的に腕時計が揺れる環境では、腕時計を外すように心がけましょう!

手巻き、自動巻き問わず機械式腕時計は巻き上げ不足が誤差に繋がる

機械式腕時計の魅力でもあり、忙しい時の煩わしい部分でもあるのが、巻き上げや時刻合わせの手間です。特に、自動巻き・手巻き問わず「巻き上げ不足」は、機械式腕時計のズレや遅れに繋がるのでお気をつけください!

手巻き式時計は、毎日同じ時間帯に満タンまで巻くのが重要です。巻きが弱いと、ゼンマイが解ける際のトルク(原動力)も弱くなってしまい、精度が狂いやすくなります。同様に、自動巻き時計も、デスクワーク中心の生活リズムのように、巻き上げが足りていない環境では、誤差が大きくなってしまいます。

機械式腕時計は初期費用とオーバーホール代が高め

機械式腕時計全般に言えるデメリットですが、クォーツ腕時計に比べると、購入費用とメンテナンス費用(初期投資とランニングコスト)が割高です。メンテナンスに限って言えば、長い目&総合的に見て、細かな傷を目立たなくする&ムーブメントの不具合にも対応する「コンプリートサービス(オーバーホール)」を活用するのが賢明です。
グランドセイコーのコンプリートサービスについてはコチラ⇒https://www.grand-seiko.com/jp-ja/support/complete

関連記事の「モデル別修理代金例」を見ると、実際のメンテナンス代を計算しやすいと思うので、事前にお役立てください。

強いて言えば、ですが、9Sメカニカルのその他の問題も2点挙げてみます。

・似たようなデザインの3針モデルばかり
・サイズが比較的大きめ

デザインのバリエーションが乏しい影響で、コレクション欲求が刺激されにくいのは9Sメカニカルの弱点かもしれません。ただ、9Fクォーツやスプリングドライブという選択肢もあるので、実用的な3針モデルが数多くラインナップされている部分は、一概に悪いとも言い切れません。

細かな部分まで9Sメカニカルのデメリットを述べましたが、グランドセイコーの9Sメカニカルを一言で言えば、「本物の高級腕時計」です。高品質・高性能・高技術……手が届きやすいリーズナブルな価格帯も多く、全ての面で「超一流の機械式腕時計」です。

「スプリングドライブは持っているから、9Sメカニカルや9Fクォーツウォッチも買いたい!」
「派手な海外ブランドの腕時計もいいけど……洗練されたデザインの国産機械式腕時計も欲しい……」

国産ナンバーワンの実力とステータス性は、9Sメカニカルを選ぶ際にもあらゆる面で有利に働きます。腕時計選びが暗礁に乗り上げた際には、再度この記事をじっくりと熟読ください。

オシャレでコスパ最強の9Sメカニカル搭載モデルまとめ

9Sメカニカルならではの美しさと芸術性は、国産最高峰の名作揃いです。2022年4月現在で、58種類のモデルがラインナップされています。
究極のメカニカル……という言葉も大言壮語ではない、50万円弱から超一流の機械式腕時計をリーズナブルに購入できるのは大きな魅力です。ハイビートキャリバー36000、白樺ダイヤルを筆頭に、機能性・デザイン性に優れた10モデルをご紹介!迷いがちな腕時計選びにお役立て出来るように、類似モデルも合わせてピックアップします!!なお、記載の価格情報は2022年7月現在のものです。

SBGR317は初心者にもお勧めの機械式最安価格528,000円

<9SメカニカルSBGR317スペック>
ケースサイズ:横40mm×縦46.6mm×厚さ13mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:デュアルカーブサファイア
文字盤:ブラック
ムーブメント:9S65(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約72時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯性精度:日差+10~-1秒
定価:528,000円

大人っぽさや誠実さを演出しやすい黒文字盤。528,000円のお手頃価格で、究極のメカニカルを手に入れることができます。快適な装着感、悪目立ちしないバランスの取れた40mmのケースサイズは、あらゆる場面で「買ってよかった!」と価値を実感できるでしょう。
白樺や雪白を筆頭に、ホワイトカラーのダイヤルも世界的に人気です。手堅くGSメカニカルウォッチを選ぶ場合は、「SBGR315(白文字盤)」や少し大きめの42mmサイズの「SBGR307(白文字盤)」も同価格(528,000円)なのでお忘れなく。同カラーの大きめモデルなら、「SBGR309(黒文字盤)」も。

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「トータルバランスが抜群の9Sメカニカルシリーズ。洗練されたシンプルなデザインなので、どんな場面でも活躍します!実際に目で見て、手で触れれば……その魅力と価値が理解できると思います」
「ファーストウォッチで機械式腕時計が欲しい方、機械式腕時計にハマり始めた方、若い方に特にお勧めです!就職が決まった息子さんへのプレゼントにももってこいです!」
本格的な3針機械式モデルなら新作のSLGH011

<9SメカニカルSLGH011スペック> ケースサイズ:横40mm×縦47mm×厚さ11.7mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:ボックス型サファイア
文字盤:ブラック
ムーブメント:9SA5(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約80時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:1,045,000円

メカニカルハイビート36000の最新キャリバー9SA5搭載の「SLGH011」なら、100万円前後の価格でグランドセイコーの技術の粋を思う存分、堪能することができます。毎時36,000振動のハイビートと約80時間のパワーリザーブ……それでいて、独自の水平輪列構造によって薄型化にまで成功しています。
ロゴと秒針がゴールドに光輝く世界限定550本(国内200本)の「SLGH009」も本格的な機械式腕時計を購入したい方、コレクションしたい方にはうってつけです!

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「グランドセイコーが凄いところは、10振動ハイビートモデルなのに安定した動作を保ちつつ、約1センチ近く薄型にしてしまった部分です!」
水色が可愛くてオシャレなSBGX346

<9SメカニカルSBGW283スペック>
ケースサイズ:横37.3mm×縦44.3mm×厚さ11.7mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:ボックス型サファイア
文字盤:水色
ムーブメント:9S64(手巻き)
パワーリザーブ:約72時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯性精度:日差+10~-1秒
定価:550,000円

爽やかな水色のカラーリングが美しい「SBGW283」は、手巻きすら愛おしく思えるメカニカルウォッチです。グランドセイコー得意の季節の移ろいをスッキリとしたフォルムで表現。
春から夏にかけて吹く心地よい穏やかな風すら、腕時計に閉じ込めたような……そんな淡い印象を感じ取れるのが、「SBGW283」の魅力です。今回はご紹介しませんが、44GS史上最少36.5mmサイズの「SBGW289 」も、可愛らしいピンク色のダイヤルが魅力的なので、合わせて関連記事をご確認ください。

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「Cal. 9S64でワンサイズ薄型にしているから、淡い水色の文字盤が映えるんでしょうね!青空よりも綺麗かもしれません」
夏に最高のSBGH271

<9SメカニカルSBGH271スペック>
ケースサイズ:横40mm×縦47mm×厚さ12.9mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:ボックス型サファイア
文字盤:グリーン
ムーブメント:9S85(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約55時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:704,000円

立夏の青竹のようなグリーンが特徴的な「SBGH271」。青々としたダイヤルを照らし出すかのようなゴールデンの3針とインデックス……ジリジリと照りつける太陽の日差しをイメージさせるコントラストは、まさに「日本の美」です。
まるで夏の終わりの切なさすらダイヤルに切り取っているかのような「SBGH271」。10振動のハイビートが繰り出すダイナミックな秒針は、安定した力強さで持ち主を日夜励まし続けるでしょう。ちなみに、関連記事の「SBGW264」含め、北米限定モデル「SBGW273」「SBGW275」「SBGW277」など、グランドセイコーはグリーンダイヤルも得意としています。

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「実際に夜にSBGH271を腕に着けてみれば、その魅力が伝わると思います。花火大会と一緒に観たら、本当に綺麗だろうな……」
白樺(ホワイトバーチ)のSLGH005は、海外の評価も高い9Sメカニカルの看板モデル

<9SメカニカルSLGH005スペック>
ケースサイズ:横40mm ×縦47mm×厚さ11.7mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:ボックス型サファイア
文字盤:ホワイト
ムーブメント:9SA5(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約80時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:1,045,000円

本来ならお勧めモデルのトップを飾るのが相応しい「SLGH005」。スプリングドライブの雪白(スノーフレーク)「SBGA211」と人気を二分するグランドセイコー自慢の白樺(ホワイトバーチ)モデルです。
大谷翔平選手もメジャーで大活躍した2021年に、ジュネーブ時計グランプリの「メンズウオッチ」部門賞にも輝いており、資産価値・人気・デザインの美しさ……海外の名作メカニカルウォッチにも比肩できる傑作機と言って差し支えがないでしょう。

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「けなすところを探すのすら難しい、9Sメカニカルの看板モデルです。ザラリとしたダイヤル、真冬の水面の美しさイメージさせる青針……月並みな褒め言葉では言い足りない歴史に残る名機です」
波模様のダイヤルが美しいSBGJ249

<9SメカニカルSBGJ249スペック>
ケースサイズ:横39.5mm×縦46.9mm×厚さ14.1mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:ボックス型サファイア
文字盤:ホワイト
ムーブメント:9S86(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約55時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:814,000円

インデックスがユニークな魅力を放つ「SBGJ249」は、さざ波のようなホワイトのダイヤルパターンとテンパーブルーのGMT針が、夏の爽やかさを表現。
まるで、湖や大きな池に佇んでいるかのような錯覚すら覚える、波模様のダイヤルはもっと評価されて然るべき、確かな仕上がりにまとまっています。

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「SLGH005と比較した際に……こちらは逆に、GMT針をテンパーブルーで目立たせ、3針含め落ち着いたシルバーにまとめているのがいいですよね!ずっと見ていると、海の水面のように吸い込まれてしまいそうです……」
メカニカルハイビートGMTウォッチのSBGJ237はツートンベゼルで人気

<9SメカニカルSBGJ237スペック>
ケースサイズ:横44.2mm×縦50.6mm×厚さ14.4mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:デュアルカーブサファイア
文字盤:ミッドナイトブルー
ムーブメント:9S86(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約55時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:792,000円

GMTウォッチの定番と言えば、「SBGJ237」です。ミッドナイトブルーの落ち着いたダイヤルと白と青のサファイアガラスベゼルは、公式HPでも表現しているように、ヴィンテージモデルのような風格すら漂わせています。
存在感のある44.2mmのケースサイズと分厚い14.4mmのボリューム感は、スポーツウォッチで見れば理想的かもしれない迫力すら兼ね備えています。
グリーンのダイヤルと赤針の組み合わせもたまらない「SBGJ239」とどちらを選べばいいか悩みますね!!

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「セイコースタイルとスポーティーなデザインは、本当にいい組み合わせですね!ツートンベゼルのオシャレさは色褪せることのない輝きを放っています!!」
16時位置のリューズがカッコいいコンパクトGMTウォッチSBGM245

<9SメカニカルSBGM245 スペック>
ケースサイズ:横40.5mm ×縦48.6mm×厚さ14.4mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
ガラス材質:デュアルカーブサファイア
文字盤:ブルー
ムーブメント:9S66(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約72時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+10~-1秒
定価:638,000円

実用性と美しさを追求するグランドセイコー。40.5mmのコンパクトなケースサイズに、GMTとしてのスポーティーな味わいをしっかりと凝縮させているのが「SBGM245」です。
操作の邪魔にならない16時位置のリューズが、控えめで上品なワンポイントとして、持ち主を飽きずに楽しませてくれるでしょう。写真の通り、「SBGM247」とペアウォッチにするのもオシャレですね!!

【口コミ/ピアゾ編集部の推薦コメント】
「悪く言えば、似たようなデザインが多いグランドセイコー。グランドセイコーに詳しくなっていくと、『あ!リューズの位置が違う』『GMT針を赤一色じゃなくて、白で抜いている』みたいに、自分だけの楽しみ方や違いを探せて面白いですよ!」
スポーティーなハイビートGMTウォッチSBGJ233

<9SメカニカルSBGJ233スペック>
ケースサイズ:横46.4mm×縦52.5mm×厚さ14.6mm
コーティング:内面無反射コーティング
外装:ブライトチタンとセラミックスとサファイアガラス(※ベゼルはセラミックス)
ガラス材質:デュアルカーブサファイア
文字盤:グランドセイコーブルー
ムーブメント:9S86(手巻きつき自動巻)
パワーリザーブ:約55時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
携帯精度:日差+8~-1秒
定価:1,540,000円

ある意味、グランドセイコーらしくないデザインの高級スポーツウオッチ「SBGJ233」は、アバンギャルド(前衛的)という言葉が相応しい挑戦的なデザインや機能が持ち味です。
ブルーセラミックスとブライトチタンという異素材の組み合わせは、硬いセラミックスパーツが咄嗟の衝撃をしっかりブロック。ブライトチタンパーツが傷つかないように守ってくれる優れものです。

グランドセイコーブルーのダイヤルを際立たせる6時・9時・12時位置のアラビア文字&3時位置のデイト窓のコンビネーションは、アンバランスなようで絶妙な落ち着きに仕上がっています。
スプリングドライブにも「SBGC221(白文字盤)と「SBGC223(黒文字盤)」の2モデル達も、まるで「グランドセイコーのデザインは『地味』だとは言わせない!」と主張するかのように、存在感を放っています。合わせて、興味のある方はチェックを。

トゥールビヨンの渦とコンスタントフォースの音色も美しいKodoのSLGT003

<9SメカニカルSLGT003スペック>
ケースサイズ:横43.8mm×縦50.6mm×厚さ12.9mm
コーティング:内面無反射コーティング
ガラス材質:ボックス型サファイア
ムーブメント:9ST1(手巻き)
パワーリザーブ:約72時間
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
コンスタントフォース機構の作動時間:約50時間
定価:44,000,000円
モデル数:世界限定20本

グランドセイコーの大トリを飾るに相応しいのが、世界限定20本の「SLGT003」です。Kodo(鼓動)の名の通り、トゥールビヨン(※フランス語で「渦」という意味)の渦巻き状の回転を、コンスタントフォース機構が追いかける極上のハーモニーは、「SLGT003」でしか堪能できない「最高の贅沢」でしょう。
16分音符の規則正しいリズムは、脱進機とコンスタントフォースの音が組み合わさり、視覚だけではなく、聴覚さえも心地の良い「鼓動」のように、持ち主を幸せに包みこみます。

グランドセイコーの9Sメカニカルを多角的に評価と分析した今回の記事はいかがだったでしょうか?
記事前半部分でお伝えした通り、活動休止で約15年間のブランクがあるにも関わらず、SLGH005やSLGT003などの傑作機を多数輩出する実力は間違いなく、世界屈指と言えます。

資産価値で見ても、根強く安定しており、大外れしない洗練されたデザインは、一生モノの愛機に選んだとしても後悔は残らないでしょう。
グランドセイコーの良い点は、9Sメカニカルがこれだけの完成度を誇りながら、選ぶのすら困難にさせてしまうスプリングドライブ&9Fクォーツという選択肢が残されている点です。この記事と関連記事が、自分に相応しい自慢の9Sメカニカルを見つけ出すお手伝いが出来ることを願っています。

一生モノにピッタリな9Sメカニカルウォッチ。しかし、実際に使ってみると巻き上げの手間を煩わしく感じたり、メンテナンスやアフターケアで苦労するのも、自然な心の移ろいと言えます。

「どうしても、一度はロレックスを購入したいから、虎の子の9Sメカニカルウォッチを高額買取してもらいたい!」
「調べてみたら、ヴィンテージモデルが眠っていたから、適正価格で買い取ってほしい!!」
「コレクションスペースも狭くなってきたので、最近人気のグランドセイコーウォッチをまとめて売りたい!」

そんな買取にありがちなお悩みの手助けに、ピアゾの9社一括査定は便利です。お持ちのグランドセイコーコレクションの適正価値の見極めにお役立てください。




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