更新日:2024年04月24日
約50年ぶりに10振動の手巻きメカニカルムーブメント「キャリバー 9SA4」を生み出したグランドセイコー(GRAND SEIKO) 。昨年の「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2023」では、ブランド初のメカニカルクロノグラフムーブメント“TENTAGRAPH(テンタグラフ)”を発表し、大いに注目を集めましたが、今年もスイス現地を賑わせています。
一部ファン達の間では、「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(Watches & Wonders、略称W&WG)2024」最注目モデルの呼び声も高い、10振動手巻き機械式時計「Evolution 9 Collection 手巻メカニカルハイビート 36000 80 Hours」限定モデルSLGW002&レギュラーモデルSLGW003が、8月9日(金)に発売(予定)されます。
グランドセイコー SLGW003/横38.6mm× 縦45.0mm×厚さ10.0mm、ブリリアントハードチタン製ケース、メカニカル 手巻き キャリバー9SA4搭載。希望小売価格:1,452,000円(税込)、2024年8月9日(金)予定
エボリューション9コレクションに、「薄型手巻きドレスウォッチの“白樺”」という興味深い選択肢が加わりましたね。昨年発表の“TENTAGRAPH(テンタグラフ)”SLGC001に引き続き、重要モデルはエボリューション9コレクション。
同時発表&同コレクションに仲間入りした、新しいダイヤルパターン&絶妙なライトグリーンの限定モデル“厳美渓”SLGH021もグッとくるデザインをしていますし、GSの新作は今回も粒揃いです。
グランドセイコー(GS)の主力モデル“白樺”が新しいダイヤルパターン(※縦→横方向)を採用し、薄型手巻きドレスウォッチに生まれ変わったのですから、GSファン&手巻き愛好家の方としては、一刻も早く手に取って確かめてみたい気になる新作でしょう。
海外では早くも“White birch(白樺)”と区別して、“Birch Bark(白樺の樹皮)”の愛称で呼ばれています。
誕生60周年の節目である2020年に、毎秒10振動かつ80時間のロングリザーブを備えた自動巻きハイビートムーブメント「キャリバー9SA5」を完成させたグランドセイコー。
W&WG2023では、GS初の機械式クロノグラフムーブメント「キャリバー9SC5(※キャリバー9SA5がベース)」を発表。2024年の今回は、手巻きの心地よさ(感触や音)にこだわった、新世代の手巻メカニカルムーブメント「キャリバー9SA4」をリリースしました。
スポーツウォッチやカジュアルウォッチに力を入れていたエボリューション9コレクションですが、より“究(9)極の進化”を追い求め、変革の時が訪れているのかもしれません。
コンパクト&エレガントが付加された、“手巻き白樺”SLGW003&SLGW002について、強みと弱みを分析してみましょう!
グランドセイコーの看板モデル“白樺”。海外では“ホワイトバーチ(white birch)”の愛称で親しまれ、“雪白”と双璧をなす人気シリーズです。
2021年リリースのメカニカルハイビートモデル「SLGH005」は、数々のデザイン賞を受賞し、人気を牽引。2022年リリースのスプリングドライブモデル「SLGA009」もその流れに乗り、“白樺”コレクションは大成功を収めます。“緑樺(SLGH011)”や“黒樺(SLGH017)”のカラーバリエーションも、グランドセイコーらしい魅せる文字盤で好評でした。
本作SLGW003は“白樺”のメソッドをあまりいじらず、「スリム&エレガンス」のエッセンスをブレンドしています。
レギュラーSLGW003の見どころもまとめてみました。
≪SLGW003のセールスポイント≫
“白樺”シリーズの2024年新作は、リューズを巻き上げる「感触と音」が楽しみな手巻きドレスウォッチに新調、機械式腕時計のロマンを存分に味わえます。「究極の巻き心地」を目指した新世代の手巻きムーブメント「キャリバー9SA4」の凄さから解説致します。
『りゅうずを回し、時計に命を吹き込むこと。それはいわば時の本質と向き合う事だと、グランドセイコーは考えます。』
手巻きならではの「味」を最大限引き出すために、ベースとなるキャリバー9SA5のパーツ約40%を新たに設計。究極の手巻きムーブメントを目指し、キャリバー9SA4 は贅沢な巻き心地を実現しています。
去年のW&WG2023では、「コラムホイール式&垂直クラッチ方式」の10振動自動巻き機械式クロノグラフ キャリバー9SC5を発表し、目の肥えたスイス現地のファンをアッと驚かせましたし、ムーブメントの開発にも余念がないですね。
精度が高まるハイビートは、パワーリザーブが短くなるデメリットがありますが、キャリバー9SA4はその弱点を克服。キャリバー9SA5と同じ約80時間のロングリザーブを実現し、更に巻き上げ効率も向上させています。
ちなみに、W&WGイベントに初参加した2022年には、エボリューション9コレクション5機種を発表していますし、3年連続で同コレクションの進化を促しています。2年連続でキャリバー9SA5を別のアプローチで改良しているのも、面白い傾向ですね。
まずは簡潔に、キャリバー9SA5がどう変化したのか?共通点と改善点をまとめてみました。
≪キャリバー9SA4とキャリバー9SA5の類似点・変更点≫
ゼンマイを巻くたびに、鳥のセキレイを模した「こはぜ」が歯車をついばむのも、キャリバー9SA4のトレードマーク
いいとこ鳥ならぬ、いいとこ取り性能の手巻きムーブメント キャリバー9SA4。動力ゼンマイの逆回転を防ぐ「こはぜ」の形は、メカニカルウォッチの製造地「グランドセイコースタジオ 雫石」の敷地内で見かけるセキレイをモチーフにしているそうです。
リューズを巻き上げる度に、コツコツと動くコハゼの動きは、セキレイがついばむかのような愛らしい仕草で、視覚でもオーナーを楽しませてくれます。岩手県・雫石川の流れを表現した繊細なストライプパターンも、雄大な自然美を想像させるクオリティーで美しいですね。
キャリバー9SA4は、ローター(回転錘)がなくなった分、ムーブメント全体をじっくり鑑賞するのに適しています。
自動巻き機構があったスペースには、パワーリザーブ表示機構を搭載。ムーブメントの「受け」パーツに、パワーリザーブ表示を配置しているのも考え抜かれたディテールです。
些細なムダも省くように、リューズ近くのわずかな隙間を上手に活用し、ムーブメントの美観も徹底的に見直すこだわりがたまりませんね!
視覚・聴覚・触覚の五感に訴えかける、手巻き愛好家の理想に近い究極の手巻きムーブメントといっても過言ではないかもしれません。カリカリと巻き上げる手巻き独自のクリック音と刺激、腕に乗せたフィット感……こればかりは、実物を確かめてみないと正確な答えは出ないので、実機レビューで感想を述べさせて頂きます。
『「グランドセイコー雫石 スタジオ」と同じ岩手県にある平庭高原には、約400ヘクタールという広大な面積に、荘厳な白樺林が自生しています。本作のダイヤルは、明るい場所に向かってすらりと伸びる白樺の、凹凸が不規則に連なる樹皮の美しさを、精緻な型打模様で表現しました。』
新ムーブメント キャリバー9SA4に生まれ変わり、白樺のデザインも新しいダイヤルパターンを採用しています。
“白樺”コレクションと言えば、木肌のようなザラリとした「縦方向」の凹凸感が醍醐味です。倍の労力(※ 2倍の塗料&14~15回の塗り作業)を要し、独特の型打ち模様を完成させている白樺ダイヤル。本作SLGW003では、白樺の樹皮にインスピレーションを得た「横方向」の不規則な凹凸の美しさへチェンジしてきました。
2021年リリースのSLGH005に比べると、ベゼルは薄くなり、針やインデックスもシャープな形状に刷新。スラリと伸びる白樺の如く、デザインも全体的にスリムな見た目になっています。
日付表示を無くし、ノンデイトモデルに変えてきた点も、SNS上の時計愛好家達に刺さっている印象です。
⇒「SLGW003(2024白樺)とSLGH005(2021白樺)を比較」へ
“テンタグラフ”SLGC001やライトグリーン“厳美渓”SLGH021もラインナップ入りし、エボリューション9コレクションは「究(9)極の進化」を続けている
レギュラーのSLGW003、限定モデルのSLGW002が加わり、エボリューション9コレクションもバリエーション豊かになってきました。色のバリエーションはスタンダードな傾向(※白・黒・青が中心)でした。GSで多く見かける、ピンク系やライトブルー系、赤系がないのは、少し意外です。
ノーマル“白樺”SLGH005やスプドラSLGA009、グリーンダイヤルのSLGH011とブラックダイヤルのSLGH017以外にも、“手巻きドレスウォッチ”SLGW003という、悩ましい選択肢が用意されました。皆さまは、どの“白樺”がお好きですか?
SLGW003ケースデザインやサイズ感について詳しく見ていきましょう。
SLGW003のケースサイズは、横38.6mm× 縦45.0mm×厚さ10.0mm。ケース厚9.95mmの薄型ボディーに、エボリューション9コレクションならではの低重心を組み合わせ、繊細かつ優美な腕馴染みを実現しています。
2024年2月の新作“桜隠し”SBGH341&“桜若葉”SBGH343でもそうでしたが、コレクション全体の小型化が促進されています。手巻きメカニカル「キャリバー9S64」搭載の“季春”SBGW283(37.3mm)やSBGW291(36.5mm)、“雪白クォーツ”SBGX355(37.0mm)など、小さめケースサイズのリリースに引き続き、いよいよ厚みという課題にも着手してきましたね。
一例として、高級薄型手巻きドレスウォッチ&型打ち文字盤のエレガンスコレクション 「御神渡り(おみわたり)」SBGY007と見比べてましょう。
うねるように凍る湖面を再現したアイスブルーのSBGY007は、手巻きスプリングドライブ「キャリバー9R31」を搭載、横38.5mm× 縦43.7mm×厚さ10.2mm。サイズ自体は本作SLGW003と大きく変わりません。
「御神渡りを(光学多層コーティングして)色が変わる文字盤にしてほしい」という、海外GSファンの要望も口コミで見かけましたが、本作は1つその答えに近付くものかもしません。
ダイヤルパターンやムーブメント以外にも、GSエレガンスコレクションらしい、温和で柔らかな趣の丸みを帯びたサファイアガラスが魅力のSBGY007。同じ手巻きドレスでも、エレガンスコレクションと本作ではだいぶ雰囲気が異なりますね。
「SLGH002」を皮切りに、2020年に新たなデザイン文法「エボリューション9スタイル」を打ち出したグランドセイコー。3つの核となる「審美性・視認性・装着性」の進化は、薄型ドレスウォッチの“白樺”SLGW003にも反映されています。
エボリューション9が追い求めてきた、光と陰を尊び、その狭間に生まれる「中間の美」を慈しむ心。1960年以来絶え間ない進化を遂げてきたグランドセイコーが、根底にある「美学と品格」を“深化(※原文のまま)”させるために編み出したデザイン文法です。進化のための深化、とはシャレが効いていますね。
グランドセイコー公式サイト「グランドセイコー エボリューション9スタイル」
本作SLGW003は、GSレギュラーでは珍しい「ブリリアントハードチタン」素材をケースに使用しています。一般的なステンレススティール(SS)の2倍の硬さを持ち、純チタン(JIS2 種)同様の軽さ&傷つきにくいメリットを兼ね備えます。ブリリアントハードチタン素材は、ザラツ研磨を駆使すると、グランドセイコーのドレスウォッチらしい、白く美しい上品な輝きを放つのも魅力です。
一番右が初代グランドセイコー デザイン復刻モデルのSBGW259、ケース径38.0mm×ケース厚10.9mm(※メカニカル手巻)
SLGW003は“高原の白い貴公子”と呼ばれる白樺の樹のように、ほっそりとした爽やかなルックスに対し、SBGW259は本作とデザインのベクトルが異なります。同じブリリアントハードチタン素材&手巻きメカニカルドレスウォッチですが、SBGW259は初代グランドセイコーデザイン復刻モデル(※エレガンスコレクション)で、ダイヤルが美しく丸みを帯びているのが特徴です。
ケースサイズの小型化を続行するグランドセイコー。
10mm以下(9.95mm)の薄型手巻きドレスウォッチという選択肢が増え、ビギナー~中級者のGSファンからすれば、どれを買うべきか……ますます悩んでしまう状況ではありませんか?
本作SLGW003を買うか否か、真剣に検討を重ねている方は、シンプルに値段で考えてみると、答えを出しやすいかもしれません。
SLGW003はブリリアントハードチタン素材を使用、随所に細かい工夫を施しているのも影響し、150万円近い1,452,000円(税込)という価格に。ピアゾ編集部でも「(トータルで判断すると)ややお高め」という意見が多数派。
現行の白樺オールスターズを軸に、多角的な視点で値段について分析してみました。
キャリバー9SA5(※キャリバー9SA4のベース)搭載の現行レギュラーモデルには白樺シリーズが多数、スプドラのSLGA009もSLGH005と同額
ステンレススティール素材のSLGH005、SLGA009(※スプリングドライブ9RA2)はいずれも1,210,000円(税込)。ステンレススティール素材の“緑樺”SLGH011も1,210,000円(税込)ですが、ブライトチタン素材の“黒樺”SLGH017は1,386,000円(税込)と素材差の分、少しお高めです。
本作はブリリアントハードチタン製で、更に高めの1,452,000円(税込)でした。
「SS→ブリリアントハードチタン、機械式(orスプドラ)→ハイビート手巻き、(白樺模様)縦→横」に変えた結果、約25万円(242,000円)の価格上昇に繋がってしまい、そこが本作の唯一の「気になるところ」かもしれません。
グランドセイコーは、2024年4月4日(木)から一部商品の価格改定(値上げ)を発表しており、白樺シリーズも軒並み5.5万円の値上げが行われています。(SLGH005&SLGA009&SLGH011は1,155,000円 → 1,210,000円に、SLGH017は1,331,000円 → 1,386,000円へ) 価格改定のペースは、海外の高級ブランドよりも頻繁ではありませんが、ひと昔前に比べると、GSウォッチ達は(価格も)高級仕様になってきましたね。
特許取得済みの新しい技法「光学多層コーティング」を使用した2024年4月新作SBGC275、変化する色合いの評判は上々の滑り出し
ただ「白樺模様を横にしただけ」と、インパクト不足は否めないところです。価格に釣り合う「もう一声、もうひと捻りデザインの工夫があれば、もっとよかったのに」と感じました。手巻きなのに、メカニカルやスプリングドライブよりも高いですからね。
海外の口コミで見かけた「(SBGC275に採用された)光学多層コーティングの白樺ダイヤルが見たかった」という意見は、ある種的を射ています。横ではなく、アトランダムな「斜め」方向に乱反射する白樺模様、あるいはグラデーション2トンカラーを取り入れるなど、デザインの斬新さも本作にプラスされていたら、文句なしに凄い“理想の手巻き白樺”だったでしょう。
期待の裏返しとして辛口意見を呈しましたが、グランドセイコーなら近いうちにきっと期待以上の手巻き看板モデルを完成させてくれるはずです!!
5連ブレスレットが優艶な“御神渡り”SBGY013
エレガンスコレクションのSBGY013は、手巻きスプリングドライブ9R31搭載(SS素材)で1,210,000 円(税込)。同スペックのSBGY007はクロコダイルバンドで、1,100,000 円(税込)です。
本作もこのくらいの価格設定だと、よかったのですが。
「ブリリアントハードチタン製&キャリバー9S64(手巻き)」のSBGW259は1,089,000円(税込)。手巻きシリーズSBGW系はアンダー100万円がメインで、色とりどりのSS製手巻きドレスを638,000円~748,000円(税込)とリーズナブルな価格帯で入手可能です。
ちなみに「キャリバー9S64」搭載モデルで最安値はSBGW231の550,000円(税込)です。
多くは語りませんが、いくらハイビートだからと心臓に悪い価格帯に、本作は突き抜けてしまっているのはいかがなものかと・・・
≪SLGW003のデメリット≫
本作を機に白樺系の値段を底上げしたい意図が(もしかしたらGS制作陣に)あるのかもしれませんが、現行の白樺モデル達も全盛期に比べると流通が多くなり、相場は息切れ気味。
2024年4月新作の手巻きハイビート薄型ドレスウォッチSLGW003は、玄人向けの独特な強みが多く、(価格設定が影響して)販売も少し苦戦する可能性があります。
海外含めたハイビート手巻き愛好家や熱狂的GSファン、人と違う白樺が欲しい層を中心にどれだけ売れていくのか……今後の動向を見守りましょう。
じわりじわり、コレクション全体の価格上昇が続いているグランドセイコー。無理のない範囲で、中古の美品で手巻きGSドレスウォッチを楽しむ考え方もあります。
弊社姉妹サイトの『ブランド時計販売のクエリ』のラインナップで、奥深い「手巻き時計の浪漫」に浸るのはいかがでしょうか?
エレガンスコレクションの手巻きメカニカル「キャリバー9S64」搭載“晩冬”SBGW281など、お買い得商品を多数販売中です。
その他ブランド(※カルティエのタンク、オメガのスピマス、パネライのルミノール等)の手巻きモデルも販売中です。
値段項目では手厳しい意見をぶつけましたが、本作SLGW003は超一流の高級手巻き薄型ドレスウォッチの最高峰であるのは間違いありません!
約25万円の価格差が生じたノーマル白樺SLGH005と本作をスペック&デザインで比較してみました。
SLGW003 | 項目 | SLGH005 |
---|---|---|
9SA4 メカニカル 手巻 | ムーブメント | 9SA5 メカニカル 自動巻(手巻つき) |
平均日差+5秒~-3秒 | 精度 | 平均日差+5秒~-3秒 |
最大巻上時約80時間 | 駆動期間 | 最大巻上時約80時間持続 |
36,000振動/時(10振動/秒) | 振動数 | 36,000振動/時(10振動/秒) |
横38.6mm×縦45.0mm×厚さ10.0mm | ケースサイズ | 横40.0mm×縦47.0mm×厚さ11.7mm |
日常生活用防水 | 防水性能 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
シースルーバック(4本ねじ固定裏ぶた) | 裏ぶた | シースルースクリューバック |
デュアルインパルス脱進機 ツインバレル パワーリザーブインジケーター |
その他機能 | デュアルインパルス脱進機 ツインバレル 瞬間日送り機構 |
平均日差+5秒~-3秒 | 精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
約72時間 | パワーリザーブ | 約72時間 |
1,452,000 円(税込) | 価格 | 1,210,000 円(税込) |
(左)本作SLGW003(右)自動巻きメカニカルのSLGH005
≪SLGW003と“白樺”SLGH005違いと変化≫
キラーコンテンツとして、GS人気に大きく貢献した“白樺”シリーズ。本作のデザインコードも、基本的なレシピを下手にいじっておらず、良く言えば「今まで通りに近い、ちょっと違う“白樺”」を楽しめます。
「多面カットを施した長い分針と明確に違う幅広の時針」という、エボリューション9スタイルの哲学は守りつつ、時分針や細長いインデックスが全て、エレガントなデザインに一新されています。ほっそりと全体的に引き締まった印象です。
最大の魅力は、手巻き10振動ハイビート キャリバー9SA4だから成し得た“感触と音”。 ここに価値を見出せるかどうかは個人の好みですね。
SLGW003はドレスウォッチですが、最低限の生活防水&耐磁性能を保持。薄くて軽い、錆びにくて丈夫なチタン製ですので、長い目で使用すれば十分元が取れそうな強みも併せ持ちます。
SLGW003とSLGH005は、「ねじ止め式orスクリューバック」という裏ぶたの違いもあります。
裏ぶたの閉じ方は、ケース形状や気密性にも関わってくる、もっとも腕に触れる大切なパーツですので、大まかな特徴をおさらいしてみました。
≪時計の裏ぶた固定方法と特徴≫
クラシックスタイルなねじ止め式、実用性抜群のスクリューバック式。
本作SLGW003は手巻き薄型ドレスウォッチに相応しい、シースルーバック(4本ねじ固定裏ぶた)を手堅くチョイスしてきましたね。
サビに強いチタン製ですが、ねじ止め式裏ぶたは防水性能が低めで、
ケースと裏ぶたの隙間から汗や汚れが侵入しやすく、内部に思わぬ腐食やトラブルが生じる恐れがあります。
柔らかい布やクロスなどでサッとふき取るだけでも、パーツの持ちや愛機の寿命がかなり変わってきますので、簡単なお手入れだけでも日々心掛けるのが肝要ですよ!
SLGW003の評判は、目の肥えたGS通の方達も唸らせています。
「ウォッチワンダー2024はグランドセイコーのSLGW003が一番気になる」
「コハゼ・・・可愛すぎる」
「手巻きノンデイト10振動、欲しい!」
国内SNSでは全体的にべた褒め傾向で、「コハゼ」や「ノンデイト」のキーワードが人気でした。
「グランドセイコーは、革新性と細部へのこだわりが、スイス大手ブランドより、先を行っている」
「GSが大好きですが、価格を引き上げようとしている中、クラスプ(ブレスレットも)更新しないのが残念です」
「もっとシンプルな文字盤に、光学多層コーティングを搭載してほしい!」
「スノーフレーク(雪白)や御神渡りに、色が変わる機能を希望します」
海外のコメントでは、考えさせられる意見も多く寄せられています。
白樺や雪白が光学多層コーティングを採用し、光の当たる角度で色彩が変化したら、さぞ美しいでしょうね。
Watches & Wonders2023で、日本刀のように切れ味鋭い“ジャパニーズクロノグラフ”テンタグラフのSLGC001を発表し、今年は「白樺デザイン&手巻き10振動メカニカル」で、“ジャパニーズドレスウォッチ”の極致に達したグランドセイコー。
『時計に命を吹き込む』時の本質にアプローチしたグランドセイコーの自信作です。
モデル | Evolution 9 Collection 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル
Evolution 9 Collection Manual-winding Mechanical Hi-Beat 36000 |
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型番(Ref.) | SLGW003 |
ケースサイズ | 横 38.6mm 縦 45.0mm 厚さ 10.0mm |
ケース素材 | ブリリアントハードチタンとサファイアガラス 裏ぶた仕様:シースルーバック、4本ねじ固定裏ぶた |
ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー9SA4 |
精度 | 静的精度:平均日差+5秒~-3秒 |
駆動期間 | 最大巻上時約80時間持続 |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり |
取扱店舗 | グランドセイコーブティック、およびグランドセイコーサロン |
発売日 | 2024年8月9日発売予定 |
価格 | 1,452,000円(税込) |
繊細でいてゴージャスな18Kピンクゴールドの限定モデルSLGW002も控えめにご紹介致します。
ケースや中留に見目麗しい18Kピンクゴールドを採用。金無垢のインデックスを顕す6時位置のSD(Special Dial)マークは、初代グランドセイコーにも採用されたラグジュアリーウォッチの証です。
世界限定80本(※国内50本)、6,050,000円(税込)です。
モデル | Evolution 9 Collection 手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours 限定モデル
Evolution 9 Collection Manual-winding Mechanical Hi-Beat 36000 |
---|---|
型番(Ref.) | SLGW002 |
ケースサイズ | 横 38.6mm 縦 45.4mm 厚さ 10.0mm |
ケース素材 | 18Kピンクゴールド 裏ぶた:18Kピンクゴールドとサファイアガラス 裏ぶた仕様: シースルーバック、4本ねじ固定裏ぶた |
ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー9SA4 |
精度 | 静的精度:平均日差+5秒~-3秒 |
駆動期間 | 最大巻上時約80時間持続 |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり |
生産本数 | 世界限定80本(うち国内50本) |
取扱店舗 | グランドセイコーブティック、およびグランドセイコーサロン |
発売日 | 2024年8月9日発売予定 |
価格 | 6,050,000 円(税込) |
いにしえの手巻き10振動ハイビートムーブメントを50年ぶりに蘇らせたグランドセイコー。1970年代には、レトロフューチャーな国産ハイビート手巻きウォッチを多数手がけてきましたが、本作SLGW003&SLGW002は、エレガントな高級感と気品に満ち溢れた薄型ドレスウォッチへリニューアルしています。
公式にも記載されている「(時計に)命を吹き込む」という言葉は、既に使い古されたものに新たな価値を与え、蘇らせるという意味を持つので、ひょっとしたら“あの頃”の手巻きGSウォッチが、次々と再誕していく可能性もあり得ます。往年のGSファン達も食指を動きそうな名作達が、どのように手を加えられていくのか、続報を心待ちにしましょう。
本作SLGW003は、1,452,000 円(税込)という値段はやや高めでしたが、それでも白樺風ダイヤルを10mm以下の薄型手巻きドレスウォッチに昇華してきた、コンセプトと出来栄えが素晴らしかったですね。
“手巻きの10振動メカニカル”というグランドセイコーらしさが、今後どのような快進撃を始めるのか、期待感もハイビートな2024年の新作でした。
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