更新日:2024年12月07日
年末が近づき、グランドセイコー海外限定モデルが新作ラッシュを迎えています。
日本文化に深く根ざし、古来より日本人が最も愛し、愛でてきた花、と言っても過言ではない「桜」。そんな桜をテーマに、グランドセイコー(GRAND SEIKO)から 、ヘリテージコレクション SBGJ287 ”夜桜”が2024年12月より発売されます。香港・マカオにあるThong Sia Watchグループのグランドセイコー ブティックで、140本限定での販売です。
グランドセイコー SBGJ287/40 x 46.2 x 14 mm、エバーブリリアントスチール、メカニカル 自動巻(手巻つき) キャリバー9S86搭載。希望小売価格: HK$ 59,500、2024年12月発売予定。
先日ご紹介した「アジア・パシフィック限定 180本“藤(Fuji)”SBGJ285」と兄弟モデルかと思えるほどのこちら。それもそのはず、「Grand Seiko Asia-Pacific Pte. Ltd.(グランドセイコー アジア・パシフィック)」はセイコーウオッチとThong Sia Watch (Far East) Co. Ltd.の合弁会社です。繋がりがあるわけですね。
「夜桜」をモチーフとした本作は、SBGJ285の「藤」よりもより濃く鮮やかなパープルダイヤルに仕上がっています。昼間の明るい薄ピンクの桜とはまた一味違う、夜にライトアップされた幻想的な桜を思い起こさせるSBGJ287、その幽玄の美に迫ります。
グランドセイコー(GRAND SEIKO)から 、「Grand Seiko Asia-Pacific Pte. Ltd. (グランドセイコー アジア・パシフィック)」の設立2周年を祝し、藤の花の魅力満開な“藤(Fuji)”SBGJ285が2024年12月1日より発売されます。
「グランドセイコー ヘリテージコレクション 香港・マカオ限定 ”夜桜” SBGJ287」の特徴・セールスポイントをまとめます。
SBGJ287のセールスポイント
2023年発売の香港・マカオ限定モデルは「定山渓」をテーマに、62GSケースにレイクグリーンカラーの”床紅葉”パターンダイヤルを備えたメカニカルハイビートモデルでしたね。ゴールドを差し色にしているあたりは共通するものの、がらりと変わったものですね。
初秋を迎えた北海道・定山渓の水の色を再現したレイクグリーンの文字盤が印象的な限定モデル「SBGH325」をご紹介します。
それでは”夜桜” SBGJ287の魅力を1つ1つご紹介して参りましょう。
SBGJ287は、和紙のようなテクスチャのパープルダイヤルにゴールドのGSロゴと針がアクセントとなっています。周囲を囲う24時間目盛りのダイヤルリングは昼がシルバー、夜が同系色に塗り分けられており、主張しすぎるものではありません。
多面カットを施したインデックスと時分針は、より美しい煌めきを放ちつつ、視認性を高めています。
「このモデルは、自然の移ろいの美しさをたたえ、はかない時間への感謝の気持ちを呼び起こすとともに、ブランドの卓越した美意識と卓越したクラフトマンシップへの誇りを示すものです。 夜桜のお花見は、自然と時間が静止した瞬間のような、静謐で深遠な体験です。」 ---公式SNSより抄訳
本作は桜の中でも特に「夜桜」にフォーカスした作品です。昼間の満開の桜には賑やかな華やかさがありますが、打って変わって夜桜には永遠に見ていたくなるような深遠な静謐さが漂いますね。
明るさだけではない、仄暗さも感じさせる紫の色合いがなんとも絶妙です。
ここで古来より日本人の心を掴んで離さない桜の魅力を知るべく、少しその歴史を振り返ってみましょう。
日本人と桜の関わりは古く、『古事記』や『日本書紀』などコノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫、木花開耶姫、木花之佐久夜毘売... )という、桜のように美しい容姿を持ちつつ、儚い運命を背負った女神が登場します。桜の花の化身として知られ、「桜」という名称は「サクヤ」から転じたという説もあります。
花見の起源は奈良時代に遡ると言われていますが、当時の貴族の間では桜よりも大陸からの渡来物である梅がもてはやされていました。平安時代になると遣唐使が廃止されて国風文化が花開き、平安宮の紫宸殿の庭に植えられていた左近の梅が枯れた際、桜に植え替えられたことも相まって、桜人気が高まったと言われています。平安時代の中期以降、和歌の世界では「花」といえば桜を指す、と言われるまでになります。
桜を詠んだ和歌は数多くありますが、有名どころをご紹介しましょう。
いずれも咲き誇る桜そのもの、というより、散りゆく桜の儚さを美学としているあたりが日本らしい感覚ですね。
また一方で、農民の間では春の訪れを告げる桜のもとで五穀豊穣を願う「豊作祈願」のお花見も行われていました江戸時代には庶民にも花見は”粋”な春の娯楽としてひろがっていきます。
桜は神の化身として、豊作祈願の象徴として、あるいは無常の美の象徴として、日本人に長らく愛され続けてきたんですね。
”The Nature of Time”をブランドフィロソフィーに掲げ、日本独自の美意識と精神性を追求し、時計という小さな世界にあらゆる森羅万象を描き出すグランドセイコー。
もちろん「桜」をモチーフとしたモデルはすでにいくつかリリースされています。
SBGA443 「花筏(はないかだ)」
風に舞い散った桜の花びらが川の水面を覆う「花筏(はないかだ)」の情景を描いた62GS現代デザインモデル「SBGA443」。40.0mmのブライトチタン製ケースにスプリングドライブのキャリバー9R65を搭載しています。
SBGW289 「桜隠し」
2022年に「44GS」55周年を記念した特別な限定モデル「SBGW289」。桜の花を雪が覆い隠す「桜隠し」の情景を描いたグレイッシュなピンク色のダイヤルに同系色のGSロゴも印象的な1本。44GS市場最小となる36.5mmのスティール製ケースに手巻「キャリバー9S64」を搭載しています。
SBGH341「桜隠し」&SBGH343「桜若葉」
2024年、62GS現代デザインモデルから同じく「桜隠し」を描いたSBGH341と、二十四節気の一つである春の「清明」の頃に芽吹く、桜の若葉の瑞々しさを表現したライトグリーンのSBGH343が登場。 ブライトチタン製の38mmケースにメカニカル 自動巻ハイビートキャリバー9S85を搭載しています。
こうして見てみると、いずれも明るい陽射しのもとの桜ばかりで、「夜桜」というのは新しいパターンだということが分かりますね。SBGJ287の上品で高貴な紫の色合いはこれまでのグランドセイコーには珍しく、国内でリリースされないことが実に残念でもありますね。
ただ実はグランドセイコーブランドではなく、「セイコーアストロン」からは「夜桜」をテーマにしたモデルが2021年にリリースされています。
セイコー アストロン SBXC083
「セイコー アストロン SBXC083」は、濃い紫をベースとしたラメ入りのグラデーションダイヤルで、オールブラックなケースもあいまって、よりダークな印象を与えますね。
SBGJ287の40mmのケースには、スチールの1.7倍の耐食性をセイコー独自の「エバーブリリアントスチール」を採用しています。形状は、1967年の44GSをベースに、実用性に沿って進化させた「44GS 現代デザイン」で、ザラツ研磨による平滑な鏡面を多用しつつ、ゆるやかなカーブを描くケースサイドの稜線が、美しさと装着感をより高めています。
SBGJ287に搭載されているのは、「メカニカルハイビート36000 GMT キャリバー9S86」。ハイビートムーブメント「キャリバー9S85」の性能はそのままに、GMT機能を付加したムーブメントで、パワーリザーブは約55時間です。
ケース厚は14mmとしっかりとした厚みがあり、好みの分かれるところではありますが、たとえばロレックスの最新のGMTマスターIIのケース厚は12mmですから、改善の余地がある、とも言えそうですね。
SBGJ287を購入した方にはもれなくグランドセイコーオリジナルの「招き猫」がプレゼントされます。
なんだかちょっとシュールな感じもありますね。過去にも瀬戸焼の招き猫がノベルティとして用意されていたことがありましたが、それよりは明るい色調で可愛らしさもありますね。
SBGJ287と同じスペック、つまり、40mmのエバーブリリアントスチール製ケースにキャリバー9S86を搭載した44GSモデルは、現行ではSBGJ263、SBGJ265、SBGJ267、そして先日発表された「アジア・パシフィック限定 180本“藤(Fuji)”SBGJ285」が挙げられます。
SBGJ287の定価は59,500香港ドル、日本円で約115万円です(1HKD = 19.29円で換算)。レギュラーのSBGJ263、SBGJ265、SBGJ267は定価1,023,000 円(税込)ですから、やや割高ではありますが、これが内税か外税かはっきりしておりませんが、税込みだとさほど差はなさそうです。
「素晴らしい色だ!」
「今すぐ香港に行きたい!」
「これをスプリングドライブで出してほしい」
「クロノグラフより分厚いのはいただけない」
文字盤色に対する評価は上々でした。海外でのスプリングドライブ人気が窺える意見もありますね。
一方ケースの厚みに関してはやや辛辣な声もあるようで、確かに例えばロレックスのデイトナ 126500LN のケース厚は 11.9 mmということを思うと、確かにクロノグラフでもないのに分厚い、と不満の声が上がるのも無理はないかもしれません。
同じく日本を象徴する花をテーマとした「アジア・パシフィック限定 180本“藤(Fuji)”SBGJ285」とはまた趣を異にする、深みのある紫を打ち出したSBGJ287「夜桜」。暗闇にほんのりと浮かび上がる桜の光景を見事に描き出していましたね。
桜と言えば、満開を迎えたかと思えばあっという間に散りゆくその「儚さ」に風情を見出す、というのが定番ですが、本作は「夜桜」の「時間が止まったかのような静謐さ」に注目した点が出色でしたね。
そしてどうやらこちらは「最後の香港・マカオ限定モデル」と紹介されています。2019年のSBGW255を皮切りに、2020年のSBGE267「シャンパンダイヤモンド」、2021年のSBGH287「スノーレイクブルー」、2023年の SBGH325「定山渓」など、さまざまなモデルが登場してきたわけですが、最後に恥じぬ素晴らしい1本だったのではないでしょうか。
今後は他の海外限定モデルも出ない、という噂もあり、また新しい情報が入りましたらお伝えして参ります!
モデル | ヘリテージコレクション 香港・マカオ限定 「夜桜」
Heritage Collection Thong Sia Hong Kong and Macau Exclusive Model Night Sakura |
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型番(Ref.) | SBGJ287 |
ケースサイズ | 40 x 46.2 x 14 mm |
ケース素材 | エバーブリリアントスチール |
ムーブメント | メカニカル 自動巻(手巻つき) キャリバー9S86 |
精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
駆動期間 | 約72時間(約3日間) |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
その他 | ノベルティ:グランドセイコー招き猫 |
生産本数 | 限定140本 |
取扱店舗 | 香港・マカオのセイコーショップ、グランドセイコー特約店 |
発売日 | 2024年12月発売予定 |
価格 | HK$ 59,500 |
※販売開始時期・価格は予告なく変更される場合があります。
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