更新日:2022年09月21日
「KING OF ROLEX」と称されるロレックス唯一のクロノグラフ、デイトナ。アンティーク・旧型・現行モデル問わず、説明不要の驚異的な人気を誇り、ロレックスの王者どころか高級腕時計の王者と呼んでもいいかもしれません。
さて、「クロノグラフの王者」を語るなら忘れてはいけないのが「ハイビートクロノグラフの絶対王者」ゼニスの「エル・プリメロ」です。時計史に燦然と輝く「エル・プリメロ」は1969年に発表された世界初の高振動自動巻きクロノグラフ・ムーブメントです。毎時3万6000回という振動数で1/10秒単位での計測を可能としつつ、高い精度と安定性を誇ります。
2021年に登場した「ゼニス クロノマスター スポーツ」は、エル・プリメロを搭載し、リリース当初から、「ロレックスのデイトナに似ている!」とSNS上をにぎわせました。デイトナもかつてエル・プリメロを搭載していたことは有名で、以前から縁のあるロレックスとゼニス。古代中国の韓非子による「矛盾」の故事ではないですが、果たしてどちらが上なのでしょうか?
今回は、クロノマスタースポーツとデイトナの違いや似ているところ、評判や魅力を徹底比較してみます。合わせて、デイトナ&クロノマスタースポーツのメリットとデメリット、両者の人気モデルもご紹介。
デイトナについては皆さんよくご存じでしょうから、補足情報や忘れがちなお役立ち情報を中心に、クロノマスタースポーツとゼニスを深掘りしてみましょう!
一瞥しただけではどちらがどちらかわからない(?)ほど、そっくりなデイトナとクロノマスタースポーツ。類似性と独自性は記事の後半部分でじっくり比較するとして、まず「クロノマスタースポーツとはどんなモデルか?」をご紹介致します。そのために、「ゼニスの代名詞」でもある「エル・プリメロ」というムーブメントを簡単に説明しましょう!
1969年に世界初のハイビート自動巻きクロノグラフ「エル・プリメロ」を誕生させたゼニス。精度や品質、歴史的なエピソード……全てが飛びぬけており、腕時計の歴史を変えた金字塔的な「伝説のキャリバー」です。1990年代~2000年代には、ウブロの「スピリット・オブ・ビッグバン」やタグ・ホイヤーの「モンツァ」。パネライの「ルミノール クロノグラフRef.PAM00072」やブルガリの「ブルガリブルガリ&オクト」など、様々な高級腕時計がエル・プリメロを採用するなど、その実力は折り紙付きです。
そして、ロレックスの旧型デイトナも約13年間エル・プリメロを搭載しており、デイトナ&エル・プリメロ双方の人気に拍車をかけたと言えます。エル・プリメロには逸話も多く、存在そのものが「生ける伝説」のように価値を増し続けています。激動の1969年、シャルル・ベルモ氏と伝説の屋根裏部屋、ジャン・クロード・ビバー氏の予言……エル・プリメロに関する数々のエピソードは関連記事をご覧ください。
「生ける伝説」は初期設計のまま、50年以上の改良と進化を遂げ、新型エル・プリメロ「cal.3600」が2019年に誕生。その最新キャリバーを搭載した人気モデルこそが、クロノマスタースポーツなのです。クロノマスタースポーツの「Ref.03.3100.3600/69.M3100」は、時計界のアカデミー賞「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)」で、2021年のクロノグラフ賞を受賞。レギュラーモデルにも関わらず、品薄状態が相次ぐ人気ぶりです。
時計好きなら定番の雑誌「WATCH NAVI(ウォッチナビ)」さんの「2021年版 欲しい時計ベストランキング」同率1位に輝くなど、様々な記事や雑誌でもRef.03.3100.3600/69.M3100は軒並み高い評価を受けています。
関連記事はコチラ⇒https://watchnavi.getnavi.jp/topics/71887/2
面白い傾向として、「クロノマスタースポーツ 買えない」や「クロノマスタースポーツ 待ち」などのキーワードも、Google検索で目立つ状況となっています。正規品だとリリース当初は3ヶ月~半年待ちのエピソードがザラで、中には在庫があっても「購入実績が無い方には販売できない」「手に入るなら並行品でも構わない!」という口コミまであります。
ジュリアン・トルナーレ氏は『ゼニスにとっては、ブランド始まって以来の出来事』とも語っているので、ゼニスにとっては嬉しい悲鳴でしょう。現時点では高級腕時計の王者・デイトナに人気・実力・価値は及ばない(※読者様と同じ認識という前提で話を進めます)にしても、どこまで肉薄しているか徹底リサーチしてみました。
クロノマスタースポーツはなぜ人気なのでしょうか?その秘密に迫ります!
まずは、キング・オブ・クロノグラフ「デイトナ」のネット上のイメージや評判をまとめてみました。
インターネット上では資産面に関連した項目が気になっているようです。面白いキーワードが、「デイトナ 似てる」「デイトナ そっくり」など、デイトナの類似モデルのニーズも高まっている点でしょう。
今度は、クロノマスタースポーツのネット上のイメージや評判をまとめてみました。
2021年発売モデルにも関わらず、にわかに存在価値が高まっている様子です。面白い点は、クロノマスタースポーツは新しいモデルという点を差し引いたとしても、エル・プリメロ関連の不具合・故障以外、悪評が少ないのは特筆事項でしょう!それだけ、購入者の満足度が高いモデルだったと推察できます。
結論を先に述べますが、クロノマスタースポーツは評判以上のクロノグラフであることに間違いありません。資産価値の面では、まだまだデイトナに遠く及びませんが、デザイン性・機能性・話題性、伝家の宝刀エル・プリメロ……など、デイトナにはない付加価値も魅力です。ゼニス渾身の「クロノグラフの集大成」と言っても、差し支えないでしょう。
クロノマスタースポーツを初めて見た方なら、誰でも抱く第一印象は、「デイトナに似ている!」という感想でしょう。実際に、販売当初からTwitterやインスタグラムのSNS上では「デイトナにそっくり!」「いや、デイトナに似ていない!」など、活発な論議が交わされ、至るところで舌戦が繰り広げられていました。
では実際に、「どこまで似ていて、どこが似ていないのか?」を多角的に比較していきましょう!エル・プリメロ搭載の「ロレックス史上最後の他社製ムーブメントモデル、Ref.16520」で比較したいところですが、少しでもフェアな勝負にしたいので、2021年の売上高&売上本数第1位「Ref.116500LN」とRef.03.3100.3600/69.M3100で比べてみましょう。
まず、大雑把に「似ているところ」と「似ていないところ」に分別してみました。
以上が大まかな類似点です。あえて、セラミックベゼル関連を2つ挙げていますが、艶々とした光の反射が映し出す色の様子は、「デイトナ顔」の印象を決定づけていると言えます。
実際にアバウトに違いを述べてみても、「似ているようで結構違う」のですから、腕時計って不思議ですね。
<デザイン面の注目ポイント>
ケースサイズ・・・直径41mm×厚さ13.5mmVS直径40mm×厚さ12.5mmで、若干デイトナがスリム。
ケース素材・・・デイトナにはハイテク産業や化学産業で使用される最高の耐蝕性を誇る「オイスタースチール(904Lスチール系統)」をケースに使用
ベゼル素材・・・デイトナはロレックスの専売特許「セラクロムベゼル」を使用
アワーマーカー・・・ロジウムメッキ&スーパールミノバ加工された長方形VSルミネッセンス素材を採用したクロマライト ディスプレイのペンシル型
ケース&ブレスレット・・・どちらも一体型スチールブレスレット
「実用時計の最高峰」と称されるロレックスの総合力の高さが伺えますね!両方とも、決して小さくない約40mmのケースサイズなのに、スタイリッシュな高級感を与えているのは、「セラミック製のベゼル」で全体をキュッと引き締めているからでしょう。
文字盤全体を存在感のある広々とした「見やすさ」をキープしつつ、光の加減でキラリと輝く「目立ちやすさ」も添えています。それにしてもどちらも、黄金比率のように完成されたカッコいいデザインですね。
優劣の基準は様々でしょうが、ベゼルに照準を定めると、Ref.116500LNに軍配が上がります。セラクロムベゼルは一つ製造するのに、約40時間かかると言われています。各メーカー共、「耐金属アレルギー性、変色性、錆びにくさ」に優れたセラミック素材を使用する傾向がありますが、使い方次第では「デザイン性がカジュアルになりすぎる」センスの必要な素材でもあります。
Ref.116500LNは独自技術のプラチナコーティングも行い、独特な光沢感と高級感をプラスしています。クロノグラフのイケメンさを決定づけるベゼルに手間暇を惜しまないロレックスの「創意工夫」が勝利の決め手と致します。
勿論、Ref.03.3100.3600/69.M3100のロジウムメッキのインデックス&セラミック製ベゼルの光沢も美しいですが。
デザイン対決は・・・デイトナの勝利!!!
勝者にお祝いも兼ねて、ここで豆知識を一つ。
<機能面の注目ポイント>
ムーブメント・・・自動巻エル・プリメロ「Cal.3600」VS自動巻Cal.4130
パワーリザーブ・・・約60時間VS約72時間
防水性・・・10気圧VS100m/330フィート防水(※1気圧≒10m防水)
ビート(振動)数・・・36,000振動/時(1秒間に10振動)VS28,800振動/時(1秒間に8振動)
実際に比較すると驚きですね!「実用時計の王者」とも呼ばれるロレックスのスペックの高さはさることながら、「クロノグラフの絶対王者」エル・プリメロの機能性の高さは流石の一言です。
振動数は耐久性や摩耗性に影響するので、一長一短ですが……8振動に落としてパワーリザーブを約72時間にパワーアップさせたロレックス。一方ゼニスは、10振動のパワーを維持したまま、シリコン製パーツの導入などで、耐久性や摩耗性を克服。肉厚の弱点もパーツ数を低減させることで、直径40mm×厚さ12.5mm(※Ref.03.3100.3600/69.M3100の場合)のスレンダーなボディーへビルドアップしています。消費エネルギーが大きくなるハイビート設計にもかかわらず、約60時間のパワーリザーブも誇るべきスタミナです。
しかもRef.03.3100.3600/69.M3100は、1/10秒計測の世界、つまり「10秒で一回転するクロノグラフ針」の高速スピンを実際に目視することも可能。ハイビートならではのテンプの動きと独特なビート音……時計の本質的な魅力として、「目と耳で楽しめるかどうか」は大事な要素ですので、伝統と最先端を見事に融合させたゼニスクロノマスタースポーツの勝利と致します。
こちらの関連記事でもお伝えした通り、ゼニスは日本びいきのメーカーです。「ルパン三世」50周年モデル三部作やヨシダスペシャルを筆頭に、10種類ほどのジャパニーズスペシャルエディションが存在します。
その関係性は古く、1927年(昭和2年)には日本国有鉄道の鉄道時計としてゼニスが正式採用されています。「ゼニット」の愛称で親しまれ、現在でも交通博物館で当時の鉄道時計の姿を見ることができます。しかし、歴史は残酷で、第一次世界大戦・第二次世界大戦が影響し、精度と耐久性に優れた「ミリタリーウォッチ」を製造していたゼニスからの供給は断たれてしまいます。
※ゼニスの腕時計は、第一次大戦中のアメリカ軍の信号部隊、第二次大戦のドイツ・イギリスの軍隊に採用
もしそのまま、ゼニスの時計が正式採用されたままだったら、ゼニスの人気は今とはまた違っていたかもしれませんね。
<価格・価値の注目ポイント>
税込定価・・・1,166,000円VS 1,457,500円
中古市場・・・115万円~140万円VS 500万円~650万円前後(※2022年9月現在、楽天市場など)
一時のバブル期よりは下落傾向にあるものの、依然プレミア価格をキープし続けるデイトナのRef.116500LNの資産価値は凄まじいですね!!安易に資産価値で比べた場合、Ref.116500LNの圧勝だと思うので、争点は「ロレックスバブルはいつまで続くか!?」に焦点を置いてみましょう。
まず、傾向としてロレックスは値崩れしづらいブランドです。更に、来年の2023年はデイトナ誕生60周年の節目の年です。現行デイトナがモデルチェンジするかどうかは定かではありませんが、もし高騰している116500LNが生産終了した場合、相場がどうなってしまうのか……見当もつかないレベルです。
ただし、「相場は水物」の格言通り、新型コロナウイルスの影響を含めた不安定な社会情勢は、不確定要素の多い状況がいつまで続くのか……見通しが立たないままデイトナの60周年の節目を迎えてしまいそうなのが、気掛かりですね。
資産価値が円熟期に突入しそうな116500LN。リーズナブルな価格で手に入れやすく、資産価値では未知数のRef.03.3100.3600/69.M3100。欲しくても定価で手に入れられない、デイトナ欲求をかき消すような消費者のニーズを満たすクロノマスター スポーツの「お買い得さ」は捨てがたいものがあるので、今回の勝負は引き分けと致します。
「腕時計自体の価値」で考えれば、どちらも甲乙つけがたい「クロノグラフの最高峰」なのは間違いありません。
番外編として、クロノマスタースポーツ(※エル・プリメロ関連も)VSデイトナの海外人気動画もご紹介致します!まずは、イギリスで人気の大手時計販売・買取店「Watchfinder & Co.」さんの動画「Rolex Daytona VS Zenith Chronomaster Sport」「Rolex Daytona vs Zenith El Primero」に寄せられている印象的なコメントの日本語翻訳を高評価が多いものを中心に抜粋します。
『自動巻きのロレックスデイトナの歴史がゼニスから非常に多くを必要とし、借りていることから、デイトナはエル・プリメロの一種のオマージュであると言えます』by Dan Ongさんのコメント
『ゼニスの見事なムーブメントを実際に見ることができると言うのを忘れていますよ!』by Sushim Shahさんのコメント
『もし私がこれらの時計を身に着けた二人の男性に会ったら、ゼニスを身に着けている人のほうが、話しやすいだろうなといつも思います。』by Laurence Draperさんのコメント
『いつものように素晴らしい!私は覚えている限りエル・プリメロに恋をしてきたので、今回はエル・プリメロに軍配が上がりました。デイトナは時計のスーパースターですが、私には何の感情も沸き起こらず、冷めたままです。』by Watch Geekさんのコメント
『Tゼニスは正直に言うとはるかに興味深いです』by Harvey Mushmanさんのコメント
『ゼニスは、より高級感のある、控えめな時計です。それは、他の時計愛好家の時計を除いて、注目を集めたくない人のための一種の時計です』by Ranara, Emersonさんのコメント
『ゼニスエル・プリメロはクロノグラフの王様です』by Greg Alonzoさんのコメント
『そうですね、両方お願いします。 デイトナは息子に、エル・プリメロは埋葬されるときに身に着けるためにね。』by Shipmateさんのコメント
「ゼニス愛」「エル・プリメロ愛」が溢れ出るコメントが沢山見られます!高評価の多いコメントはエル・プリメロ&クロノマスタースポーツを絶賛しているものが多いのも、興味深い風潮ですね!!
どれも素敵なコメントですが、Shipmateさんの「息子にはデイトナ、自分にはエル・プリメロ」というウィットに富んだコメントがいいですね。どちらも欲しいけれど、財産として残すのはデイトナ、男の矜持を表現するにはエル・プリメロ、ということでしょう。
他にも、「クロノマスタースポーツVSデイトナ」をまとめた動画は、数万回再生されており人気です。海外人気腕時計ユーチューバー達もクロノマスタースポーツを賞賛しています。
それにしても、海外の目線や感想は、勉強になるものが多いですね!ついつい、日本の認識だと、デイトナ圧勝のイメージを持ちがちですが、クロノマスタースポーツ&エル・プリメロも負けじと熱心な海外ファンの方が多くいることを再認識できる結果でしたね。
次項ではゼニスとロレックスの架け橋となった「エル・プリメロ」について、そして2021年に堂々完成した最新キャリバー、エル・プリメロ「Cal.3600」の凄さ、「永遠の機械式時計」デファイラボについてもご説明します。
そもそも、デイトナはなぜ人気なのでしょうか?オメガのスピードマスター、タグ・ホイヤーのカレラ、ブライトリングのクロノマット……どれも素晴らしいモデルであり、デイトナの代わり(代替機)としても重宝される名作です。しかし、人気が過熱し続けているのはやはり「デイトナ」です。
端的な結論を述べますが、デイトナは様々なエピソードや付加価値(資産価値・所有欲・レア度)など、多くのファクターがプラスされています。身もふたもない話ですが、「デイトナはデイトナ」だから人気なのでしょう。
同様に、高級腕時計業界において「伝説のクロノグラフ」はもう一つ存在します。誕生から50年以上を経て、ますます価値を増し続ける「生ける伝説」エル・プリメロです。近年、時計愛好家達は、よりオリジナリティー性を求め、自社製ムーブメントが重要視する傾向があります。
「ムーブメントが時計の全てではない。しかし、ムーブメントあってこその時計」そんなニーズに応える絶対王者的存在がエル・プリメロであり、ムーブメントで腕時計を選ぶ方にとって、ゼニスは欠かせないメーカーとして君臨しています。
詳細は関連記事でお伝えしているので、エル・プリメロの凄さを簡単にまとめてみました。
伝説級の逸話を数多く残し続ける「腕時計業界のレジェンドプレーヤー」が、エル・プリメロなのです。特筆すべきは、「デイトナとエル・プリメロの関係性」でしょう。
「エル・プリメロはデイトナに搭載されたことで、より権威性が高まった」
「デイトナもリリース数年間は不人気だったのが、エル・プリメロを搭載して人気が後押しされた」
鶏が先か、卵が先か。エル・プリメロが凄かったからデイトナの凄さも正当に評価されるようになったのか、デイトナRef.16520の「ロレックス市場最後の他社ムーブメント」というキラーフレーズが、エル・プリメロ伝説を押し上げたのか……答えの出ない「歴史のたられば」を面白おかしく空想するのも、腕時計選びの楽しみの1つかもしれないですね。
誕生50周年の節目(2019年)に進化を遂げたエル・プリメロCal.3600。パワーリザーブが従来の約50時間から約60時間にパワーアップした点や、1/10秒単位の計測が行えるクロノグラフ機能の追加、リューズを引いて秒針を停止させる「ストップセコンド機能(秒針停止機能)」や逆回転するリューズなどの変化も見受けられます。
エル・プリメロが「クロノグラフの絶対王者」と称される所以は、様々な機能性の向上を図りながら、パーツ数を減らすなど、他の追随を許さない進化を続けている点にあります。
Cal.400のパーツ数は278点に対し、Cal.3600のパーツ数311点。日付位置を6時位置に変更するなどのカスタマイズを加えたCal.400Bの326点よりも少ないのです。
元ゼニスCEOのジャン・クロード・ビバー氏が、エル・プリメロ21のインタビューで『これこそが成長です』と過去に述べていたように、ネジや石などの小さなパーツをそぎ落とし、前述の圧巻のクオリティーを実現。「優れた設計」をそのままに、「最新の技術」を無駄なく融合させています。
関連して、NY発の世界的な時計メディア「HODINKEE(ホディンキー)」で、ジュリアン・トルナーレ氏(ゼニスCEO)が、語っている内容を抜粋します。
『この時計、ムーブメントは大変熱心な愛好家の方に愛されていますので、コレクターの方々にヒアリングを重ね、エル・プリメロから捨ててはいけないものが何かを聞き、精査しました。そこで行き着いたのが、単なるムーブメントチェンジではなく、よりコンテンポラリーな雰囲気・バイブスを備えた時計です』
『スポーティなクロノマスターにはより高い精度が求められ、それにはより高い振動数が必要となりました。よりスポーティなセラミックベゼルを備え、10分の1秒を刻むことのできるエル・プリメロの誕生は、まさに進化を果たしたと言えます』
『ただし、それを達成したからと先代のエル・プリメロを捨てることはしません。代えがたい家族ですし、長きにわたってコレクターの方からの不満もなかったムーブメントですから。今後も改善を加えながら、ゼニスのコレクションに残る予定です』
引用文献→https://www.hodinkee.jp/articles/zenith-chronomaster-sports-elproero-review
クロノマスタースポーツにも搭載されているエル・プリメロCal.3600。クロノマスタースポーツがデイトナに似ていると揶揄されることも多い昨今、初期デイトナに人気と価値を与えたのもゼニス独自のエル・プリメロだったことは忘れてはいけない事実です。
トルナーレ氏のインタビューの通り、捨てるべきものを捨て、残すべきものを残し、シンプル・イズ・ベストをより追求したCal.3600……A386(1969年の名機)のトリコロールカラーやゲイ・フレア風のブレスレットなど、クロノマスタースポーツも往年の名作の魅力をよりシンプルに凝縮させています。根っからのエル・プリメロ愛好家もその価値を認めているからこそ、クロノマスタースポーツは人気モデルとなったのではないでしょうか。
トータルでデイトナの魅力や価値を判断してみましょう!
<デイトナの評価>
資産価値・・・★★★★★★★
ステータス性・・・★★★★★
デザイン性・・・★★★★★
手に入れやすさ・・・☆☆☆☆☆
メンテナンス性・・・★★★★☆
使いやすさや重さ・・・★★★★☆
総合的な評価・・・★★★★★
<デイトナのメリット>
・まだまだ期待できるぶっちぎりの資産価値の高さ
・圧倒的な人気
・ロレックス&デイトナのステータス性の高さ
・一生モノにできるアフターケアの充実さと耐久性
・普遍的な完成されたデザイン
<デイトナのデメリット>
・デイトナバブルが崩壊すると金銭的・精神的ダメージが大きい
・そもそも入手自体が困難で欲しいモデルが手に入らない
・持っている人は持っているため被りやすい
・超人気&超有名モデルゆえに悪目立ちするリスクあり
・「ダサい」「古い」など風評被害
・資産価値が高すぎるため普段使いするには神経を使う
栄枯盛衰、盛者必衰……デイトナの一長一短な部分ですが、あまりにも資産価値が高すぎて、「腕時計」としては懸念事項が無きにしも非ずです。実際に、各項目の「良い部分」と「悪い部分」に着目してみましょう。
この項目は説明不要かもしれません。デイトナの最大の魅力は、「持っていること自体に対する満足感」、所有欲を完全に満たせる点かもしれません。
例えるなら、RPGの最強装備や伝説のアイテムのように、「念願のデイトナを手に入れたぞ!」という達成感を得られることができます。更に、「デイトナ(ロレックス含む)が似合う自分になりたい!!」と仕事やプライベートへの活力を充実させられる嬉しいおまけも付いてくるとしたら、デイトナは本当に伝説の装備品かもしれません。
デイトナのデメリット「あるある!」ですが、デイトナが超人気の高級腕時計なために、「あいつにデイトナはまだ早い!」や「腕時計だけは超一流」など、嫌味ややっかみを買いやすいのも事実です。デイトナの圧倒的なブランド力とステータス性は、着ける環境次第では残念ながら持ち主を傷つける刃にもなり得るのです。
RPGゲームに例えるなら、スライムを倒している装備品が「ゆうしゃのつるぎ」ではオーバーキルな状況のように、場合によってはトゥーマッチな印象で悪目立ちしてしまう可能性もあるのです。デイトナの価値を最大限に引き出すためには、TPOに相応しいファッションコーディネートセンスも求められます。
着けていれば、どこでも羨望のまなざしを受けられるデイトナ。デイトナのデザイン性の秀逸さもあり、Tシャツやジーパンのカジュアルファッションや長袖シャツにそっとデイトナをしのばせたスーツの場面でも、華々しく活躍させることができます。
飛行機や新幹線などの公共の乗り物、高級ホテルやレストラン……デイトナを着けていることで、手厚いサービスを受けたり、見知らぬ隣人と時計談義に花が咲けば、「デイトナを着けていて良かったな!」としみじみ実感することでしょう。
デイトナをお持ちの方がデメリットとして挙げる盲点の一つが、「自分と全く同じ時計を街中で見かけると残念な気持ちになる」というエピソードです。個人差はあれど、やっとの思いで手に入れたデイトナを他人が「当たり前」のように、手首に着けているのを目撃してしまったら……確かに、残念な気持ちになってしまいますね。
デイトナは間違いなく、手に入れづらい名機中の名機ですが、抜群の認知度も兼ね備えているため、見知らぬ他人と被りやすいデメリットは避けられません。
一長一短な部分があるので、デメリットには該当しませんでしたが、リセールバリューが高すぎるがために、「生活傷を気にしてしまう」、「ベルト交換をするか否かを気にしてしまう」など、デイトナオーナーにしかできない贅沢な悩みですが、ちょっと気になるポイントです。
一生モノの名機としてデイトナを愛機にするなら、ガシガシ細かな傷を気にせず、カッコ良く豪華に普段使いしてしまえばいいのですが……いざ、手放す時も考慮して、少しでも細かな傷を減らしたいと思うのも人情でしょう。
スペック面では最高峰の実用性を誇るデイトナは、普段使いしにくい、という矛盾も内包しています。
デイトナの弱点を強いて、他にもあげるとすれば、
・メンズ時計にしては小ぶりなため体型次第で似合いにくい
・正規店で手に入りづらい
・「ロレ沼」と呼ばれるロレックスへの中毒性
なども考えられます。
平均的な体型の日本人男性にとってデイトナのサイズ感は小さい、とはあまり思いませんが、体格のよい方、『デカ厚』が好きな方にとっては少し物足りないかもしれません。
生活に支障をきたす「ロレ沼」は、それだけロレックス&デイトナの腕時計の満足度が高い、という裏返しでもあります。
腕時計自体にデメリットがほとんどないのは、「実用時計の最高峰」ロレックスの一番人気(キング・オブ・ロレックス)がやはりデイトナであることを再認識できる結果でしたね。
クロノマスタースポーツも課題点は残すものの、なかなかの総合力の高さです!
<クロノマスタースポーツ>
資産価値・・・★★★☆☆
ステータス性・・・★★★★☆(期待を込めて★4つの価値あり!)
デザイン性・・・★★★★★
手に入れやすさ・・・★★☆☆☆
メンテナンス性・・・★★☆☆☆
使いやすさや重さ・・・★★★★☆
総合的な評価・・・★★★★☆
<クロノマスタースポーツのメリット>
・時計通も唸らせる伝説のキャリバー、エル・プリメロ搭載モデル
・値段、話題性、快適な装着性、カッコいいクロノグラフ、スペック面などトータルバランスは最高峰
・2021年受賞作
・人とかぶりにくい満足感
・まだまだ「隠れた名作」なので、愛機にしても周りに「いやらしさ」を与えない
<クロノマスタースポーツのデメリット>
・ゼニスの企業方針も影響して、メンテナンス面が課題
・ゼニス全体がバイヤー泣かせのブランドなので、統計的に資産面で見劣りしてしまう
・昔は野暮ったかったモデルが多々あったため、ゼニスへの偏見を持たれてしまう
<クロノマスタースポーツにまつわる誤解>
・ハイビートだから壊れやすい、摩耗が激しいなど
後述しますが、エル・プリメロ含めた「誤解」も幾つかあるため、この項目はゼニス全般の強みを掘り下げてご説明致します!!
前述の「クロノマスタースポーツとデイトナの違い」の項目で詳細を伝えたように、「実用時計の最高峰」ロレックスのデイトナと比較しても、実力伯仲な総合力の高さを誇る部分が、クロノマスタースポーツの最大の武器でしょう!おそらく、読者の方も少なからず「あれ!?思ったよりも凄い時計じゃん!」と思ったはずです。
実際に似たような価格帯で、競合相手を探してみても、
・高品質な自社製自動巻きクロノグラフ
・10気圧防水(100m防水)
・装着性に優れたブレスレット
など、いかにクロノマスタースポーツがトータルバランスに秀でているかがわかります。興味のある方は、実際に有名ブランドのクロノグラフをご自身で調べてみることをお勧めします!意外と選択肢が少ないです。
大袈裟な表現でなく、価値を正当に評価した場合、対抗馬になり得るモデルは、デイトナ以外存在しないかもしれません。クロノマスタースポーツには、エル・プリメロという「とっておき」が搭載されているのですから。
クロノマスターは時計好きには有名なモデルですが、時計に詳しくない方含め知らない人も多いため、「人とかぶらない名作」を自分の腕に独占できるのは、デイトナにない大きなメリットです。愛機として使用していたとしても、他者に”いやらしさ”を持たれにくいのです。
しかも、ゼニスは昔からムーブメントを自社で作り続けてきた重厚なバックボーンを持ち、どんな時計通も唸らすエル・プリメロを搭載しています。デイトナは「誰からも羨望のまなざし」を得られるのに対し、クロノマスタースポーツは「自分だけが知っている」「知っている人は知っている、してやったり感」を得ることができます。
他人とは違う「センスの良さ」をさりげなく誇示したい場合は、クロノマスタースポーツ一択…かもしれません。
ゼニス&エル・プリメロが持っているイメージの長所ですが、有名ブランドのロレックスやオメガよりも「ゼニスの時計着けてる!この人は時計にこだわりのある人なんだな」と、時計の知識がある方へポジティブな印象を与えます。ひと言で言えば、「イメージの良いブランド」なのです。
国民的アニメの「ルパン三世」一味の次元大介が、アニメの一話からゼニスのエル・プリメロをしているのをご存知でしょうか?
次元大介と言えば、「渋い」「カッコいい」「男の中の男」など、にじみ出る男の色気を醸し出していますよね!同様に、ゼニス&エル・プリメロを愛機にすれば、「自分を持っている」男だけが演出できる独特な渋みを持ち主にプラスすることができるかも?
ゼニス自体は50年以上もエル・プリメロを輩出したイメージの良いメーカーではありますが、少しコアなブランドと言う事もあり、ゼニスがどんなブランドなのか詳しくない方が「なんとなく、高く売れない」イメージを持っていたり、「ディスコンモデルを売ろうとしたら、想像より安値だった!」といった過去のイメージを払拭できず、買い控えされやすいデメリットを持ったままなのは、ロレックスとは対極の大きな弱点だと言えます。
「デザインがコロコロ変わった」
「野暮ったいデザインが多かった」
過去のゼニス事情を知っている方には、負のイメージも持たれてしまうゼニスですが、LVMHグループ参加後は「垢ぬけた」「今風なカッコいいモデルが増えた!」など、ゼニスらしさが再構築されているのも事実です。クロノマスタースポーツは、過渡期にすい星のように現れたまさに「期待の星」かもしれません。
並行差別とは:メーカーが正規店で購入された「正規品」とそれ以外の「並行輸入品」を区別し、オーバーホール・メンテナンス料金を別で設定するなど、正規品を優遇する措置を取ること。
ブライトリングやLVMHグループ(タグホイヤー・ゼニス・ウブロ)などの時計では、正規品の1.5~2倍の費用が掛かる場合があります。しかも、エル・プリメロは一般的な時計修理業者にメンテナンスを依頼した場合、純正パーツがない・技術不足で修理内容に不具合が生じる、などのリスクも存在します。せっかくのエル・プリメロの価値を損なう結果になりかねません。
ちなみに、「ハイビートだから壊れやすい」や「摩耗が激しい」などの誤解も持たれやすいエル・プリメロですが、別記事「エル・プリメロは故障、壊れやすい」で述べたように、誤った操作や修理店の知識&技術不足で「壊れるのでなく、壊してしまう」傾向が多いので、くれぐれもご注意ください。
『デファイは、確実に次の時代のスタンダードになっていくと思います。コネクテッド・ウォッチも、いつか陳腐化するときが来るかもしれませんがデファイ ラボは決してそうならない。機械式でありながら、摩耗もなく、潤滑油も必要ない。200年だって動き続ける。機械式時計は永遠と言いますが、この時計は、本当の意味での永遠を保証してくれるものです』
コネクテッドウォッチの陳腐化…腕時計好きなら、ハッとするひと言ですよね!ゼニス自身が『1675年に発明されたテンプ用のヒゲゼンマイ以来の大発明』とも称するデファイラボの凄さをまとめてみました。
<デファイラボのここが凄い!>
・「ゼニスオシレーター」は、ヒゲゼンマイとテンワ、アンクルと緩急針の機能が一体構造になった単体の脱進&調速機
※従来は30個の部品で構成される脱進&調速機をたった一つのシリコン製プレート状の部品に集約している
・摩擦や摩耗などの接触がないため注油がいらない
・クォーツに迫る平均日差±0.3秒の高精度。10万8000振動/時の限定モデルを向上させ、量産化も進み12万9600振動/時と超ハイビートを更にパワーアップ!
・パワーリザーブが約60時間
・耐磁性(ISO-764)&熱衝撃性能(ISO-3159)&計時精度(TIMELAB-ジュネーブ時計精密工学ラボラトリー)の3つの規格をクリアした品質の高さ
・ベゼルの素材にチタンの3倍軽いアエロニス(アルミニウム気泡をポリマーで固体化)素材を使用
ハイビートという「最強の矛」に定評のあるゼニスですが、2019年に業界を騒然とさせたゼニスオシレーターの12万9600振動/時には、ただただ圧倒されてしまいますね!関連動画で実際の音を聴いてみると、その凄さを実感できます。
時計業界の流行り廃り、繁栄と衰退は読みづらいものですが、ゼニス自体がこれだけのテクノロジーを要している超実力派メーカーなのは、後々エル・プリメロとクロノマスタースポーツにとって追い風となるでしょう。それにしても、デファイラボの技術を応用した量産化モデルの登場が、今から待ち遠しいですね。
クロノマスタースポーツの弱点を他にもあげるとすれば、
・エル・プリメロの印象が強すぎる
・デイトナ「じゃない方の」クロノグラフ
なども考えられます。マイナス要素よりもプラス要素の方が遥かに多いですが、現状はエル・プリメロのイメージに頼り切りな部分もあります。
気心知れた仲なら、「デイトナじゃない方じゃん!」「うん、エル・プリメロが載ってる方だよ」とウィットに富んだジョークでかわすのも、隠れた時計好きを楽しませていいかもしれません。
多くの超人気モデルを要するデイトナ勢。新進気鋭のクロノマスタースポーツ勢……ロレックスしか知らない、根っからのゼニス好き、あらゆる方が楽しめるように、「デイトナVSクロノマスター」の看板モデルを先鋒・中堅・大将戦の「3VS3」形式でご紹介致します。
※クロノマスタースポーツは2019年登場モデルなので、クロノマスター全般でモデルをチョイスします。
まっとうに勝負すれば、「横綱相撲」でデイトナ勢が押し切りそうなこの勝負。果たして、決着はどうなるでしょう?
<デイトナRef.116508みどころ>
・デイトナRef.116508のグリーンダイヤルは定価の3倍以上、メテオライトダイヤルは定価の4~5倍以上の資産価値!(調査時)
・デイトナ初のグリーン文字盤は、ロレックスの箱にも用いられる由緒正しいカラーリング
・存在感あるイエローゴールドは、けばけばしやすく敬遠されがちな色合いだったが、グリーンダイヤルと組み合わせることで、ラグジュアリーにピッタリな上品な仕上がりに落ち着いている
・思い切って最上級のハイエンドモデルを手に入れるなら、ド派手さと落ち着きのバランス面でもお勧め!
<クロノマスター スポーツRef.03.3103.3600/69.M3100みどころ>
・クロノマスター スポーツ初のブティック エディションは、ベゼルにトリコロールカラー(グレー、アンスラサイト、ブルーの三色)を採用
・クロノグラフの針が高速回転する様子はもはや芸術的
・ベゼル&カウンターのダブルトリコロールカラーを爽やかにまとめるホワイトダイヤルは清潔感のある高級感
のっけから絶大なインパクトを放つデイトナRef.116508に対し、歴史の浅いRef.03.3103.3600/69.M3100の若々しさが対照的ですね!評価・比較基準は難しいですが、LVMHグループが『ラグジュアリービジネスのワールドリーダー』を理念に掲げているので、「ラグジュアリー」に重点を置いて、勝敗をつけてみましょう!
先鋒戦は・・・デイトナの貫禄勝ち!!!
<デイトナRef.116506みどころ>
・プラチナ×アイスブルーのプレミアム感に、約280グラムの重量感は感動を覚えるほど
・定価約800万円に対し、セカンドマーケットでは2000万円以上で販売される資産価値と人気。通称”チョコミント”
・木村拓哉さんやHIKAKINさん、ロジャー・フェデラー選手、やマイケル・ジョーダンさんなどレジェンドプレイヤーが愛用
<クロノマスター リバイバル A3818「エアウェイト カバーガール」みどころ>
・ゼニスの歴史に関する書籍の表紙(Zenith: Swiss Watch Manufacture Since 1865)を飾り、”カバーガール”の愛称を持つ
・A3818は入手困難な幻のエル・プリメロと称される
・2020年発売のリバイバルA3818は100本全てが即日完売
・ブレスレット&ケースにチタン×スーパーマンブルー。重さは約78グラム
中堅戦対決も伝説級の逸話が尽きないですね!清涼感と高級感を両立させたアイスブルー人気の火付け役と、幻のエル・プリメロの復刻モデルの比較対決です。奇しくも、文字盤がどちらもブルーカラーですね。
Ref.116506はセラミックベゼルがチョコレートブラウンなのもあり、ポップな”可愛らしさ”も武器にしているのに対し、エアウェイト カバーガールはチタン製とスーパーマンブルーで確かな”強さ”を伺わせます。今回の勝負基準は、対照的な魅力を持つ「可愛さVS強さ」で判断してみましょう。
中堅戦は・・・引き分け!!!
大将戦はRef.116500LNとRef.03.3100.3600/69.M3100の比較が妥当ですが、上記で詳細を述べているのもあり……趣向を変えて、「デイトナVSエル・プリメロ」の総力戦で勝負してみましょう!初代デイトナが1963年、エル・プリメロが1969年と共に50年以上の歴史を持つ両者。どちらが本当の王者に相応しいか、「逸話のインパクト」を最重要視して、判断致します。
<デイトナの仰天逸話!>
・ヴィンテージロレックス、通称”ヴィンロレ”と呼ばれる”4ケタRef”の(6239、6240、6241、6263、6265など)の資産価値は桁違い!
・ポール・ニューマンの“ポール・ニューマン”デイトナRef.6239は、1,775万2,500ドル(約20億円)で落札された
・エル・プリメロ搭載のRef.16520の販売当時定価は65万円。現在は340~500万円前後と高騰中!
・米空軍の退役軍人が所持していた未着用のデイトナ ポール・ニューマンRef.6263は、駐在先の米軍基地にある売店で345.97ドルで購入(しかも10%の値引きつき!)
※全ての関係書類が揃っているのもあり、最低でも約50万~70万ドルの価値
<エル・プリメロの仰天伝説!>
・1969年世界初のハイビート自動巻きクロノグラフとしてデビュー。初期設計のまま50年以上改良と進化を続ける現役機
・約13年間ロレックス唯一の他社製ムーブメントとして採用される
・クォーツショックと伝説の屋根裏部屋、シャルル・ベルモ氏の逸話
・他社有名ブランドもエル・プリメロを搭載
・次元大介愛用の幻の「ENIT」(※)バージョン(限定1本)が、2020年11月のフィリップス オークションで189,000スイスフランで落札される
※zenithの「Z」と「H」を黒塗りしたルパン三世のみに登場するブランド名
大将戦に相応しい衝撃の事実の連発ですね!実際にまとめてみると、デイトナにはポール・ニューマン。ゼニスにはエル・プリメロの存在が必要不可欠なのを再認識します。
大将戦は・・・デイトナの勝利!!!
大将戦の結論でも述べた「デイトナ顔」の影響力は凄まじいものがありますね……ゼニスの人気モデルは、クロノマスターシリーズだけでなく、 レインボークロノ エル・プリメロ「Ref.02.0363.400」なども「デイトナ顔」で人気です。
とは言え、強力タッグで完成度を高めたエル・プリメロ&クロノマスタースポーツは、今後クロノグラフ1強に近いデイトナ人気に、「待った!」をかけるのか?伝説の名機、A386がトリコロールカラー&横3つ目(デイトナ顔)で人気を博したように、ゼニスとしても由緒正しいデザインなのは間違いありません。正統進化を遂げたクロノマスタースポーツのスマッシュヒットに期待しましょう!
来年、2023年に誕生60周年の節目を迎えるデイトナ。ロレックス&ゼニスの胸躍る素晴らしい新作の登場が、腕時計ファンの一人として、今から楽しみです。
数多くの伝説を残す、デイトナとエル・プリメロ。相場の変動と本物の見極めが難しいロレックス。政治的理由が影響し査定そのものが難しいゼニス。お客様の希望に沿う高額買取を実現するためには、独自のノウハウを持つバイヤー・買取店の協力が必要不可欠です。
ピアゾの9社一括査定は、ロレックス&ゼニスの買取を得意とする業界屈指9社のトップバイヤーとオークション形式で交渉を行います。ロレックス&ゼニスをどこよりも高く売りたいとお考えの方は、9社一括査定をご利用ください!