更新日:2024年02月05日
今回はグランドセイコーのオーバーホール・修理について徹底調査しました。修理にはどんな選択肢があるのでしょうか?コンプリートサービス料金表のほか、また修理代・電池交換料金・研磨料金はどれくらいかかるのか、モデル別で例を上げてご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
なお、掲載の価格は2024年1月調査時点のものです。最新情報はグランドセイコー公式サイトをご確認ください。
グランドセイコーの腕時計の調子が悪い・・・壊れてしまった・・・というとき、修理にはどんな選択肢があるのでしょうか?海外メーカーと異なる国産の高級時計の修理について、まずはどんな選択肢があるのか、メリット・デメリットを交えてご紹介していきます。
自宅の近くに時計の修理店があれば、気軽に持ち込むことができて便利ですよね。修理店に依頼する最大のメリットはその料金が安いということです。一概には言えませんが、基本的に修理店には時計のブランドと関わらず“修理の難易度”で修理代金を計算しています。細かな修理代金は店舗によって異なるものの、メーカーと比較すると一般的には安く修理してもらえることが多いですよ。
また、修理店の方が修理にかかる時間が短いのも利点と言えます。簡単な修理なら最短当日に修理が完了する場合もあり、手軽なところが嬉しいですね。
但し、修理店にはデメリットも存在します。まず、対応しているブランドが限られている場合があるのです。簡単な修理ならそこまで厳密には決まっていないかもしれませんが、ロレックス専門修理店なども存在するほど、時計の修理には専門知識と多くの部品が必要となるため、中にはグランドセイコーの受付をおこなっていない店舗もあるかもしれません。
また、修理店では部品そのものを新品にすることはできませんので、複雑な修理に対しては応急処置程度で済まされてしまうこともあり得ます。
メーカーでの修理は多少申し込みが複雑な場合がありますが、何よりも安心して任せられるのが最大のメリット。グランドセイコーは国内ブランドなので、修理をネットなどで簡単に申し込みができますよ。またメーカーでは修理として持ち込まれた時計に対し“壊れた部分の修理”よりも“品質保証”や“信頼性”が軸となるため、メーカーの判断で不具合の部品を全て交換してくれる場合があります。オーバーホールや外装のメンテナンスなども同時におこなってもらえば、キレイに生まれ変わった時計が手元に戻ってきますよ。また、保証書をきちんと保管している場合、保証内の故障や修理であれば 、無料対象のなる可能性もあり、手厚い対応があるのもメーカーならではですよね。
なお、グランドセイコーは2021年10月1日より、新しいアフターサービスプログラムが導入され、保証期間を5年に延長しました。2021年1月1日~9月30日までの期間に購入した場合でも、購入日から5年の保証期間が適用されるとのことですので、保証期間内であれば迷わずグランドセイコー正規のコンプリートサービスに出しましょう。
デメリットとしては、価格帯が修理店よりも高くなる場合があるということです。メーカーでは基本的に時計本体価格から修理費を計算する傾向があるため、お手持ちの時計の型番、グランドセイコーの場合はムーブメントに紐づく型式番号、に相応する修理費の請求となります。また、修理できる工房が決まっていてその場ですぐに修理できるわけではないので、完了までに時間がかかってしまう場合がありますね。
グランドセイコーの時計の修理・電池交換は、高度な技術を持つグランドセイコー専門の修理技術者がメンテナンスサービスを行う「グランドセイコーサービススタジオ」で実施されます。
メンテナンス後には「グランドセイコー修理完了ご報告書」が発行され、修理履歴はデータベースに保存されます。12か月以内に同一箇所の同一現象が取扱説明書に沿った正しい使用状態で発生した場合は、無料で再修理を行う「再修理保証」があるので安心ですね。なお、このサービスは1999年以降に発売されたモデルが対象となります。
メーカー修理・電池交換は、グランドセイコー公式ホームページの「オンライン修理受付」より申込が可能です。こちらのページでは、「時計の品番もしくは型式番号」と「修理箇所」を選択することで、依頼する前に概算の見積もりが可能、さらにWebサイト上で修理状況を確認することもできますので、ぜひ利用したいですね。
なお、修理代金の支払い方法は、オンラインクレジットカード決済(一括払い)、または代引き(現金、クレジットカード、デビットカード)です。
それではサービスごとの料金表をご覧ください。
グランドセイコーのコンプリートサービスとは、内装修理・オーバーホールとセットで、ライトポリッシュを行うサービスです。ライトポリッシュとは、ケース・メタルバンドの表面を整え、艶を出すサービスです。
※ライトポリッシュ不要の場合は、修理依頼票の所定欄に記入することも可能ですが、ライトポリッシュを実施しない場合でも、コンプリートサービス料金は変わりません。
費用は「コンプリートサービス代 + 送料」となり、保証内修理の場合、往復送料は無料となります。
修理完了・発送までの目安は3~6週間ほど、ムーブメントや時計の状態によってはそれ以上となる場合もあるとのことです。
キャリバー | コンプリートサービス料金 | |
---|---|---|
クォーツ | 3F81,4J51,4J52,8J55,8J56,8N65, 9581,9587,9F61,9F62,9F82,9F83,9F85,9F86 | 48,000円+税 |
メカニカル | 9S25,9S27,9S51,9S54,9S55,9S56, 9S61,9S63,9S64,9S65,9S66,9S67,9S68,9S85,9S86 | 68,000円+税 |
メカニカルハイビート | 9SA5 | 74,000円+税 |
テンタグラフ | 9SC5 | 117,000円+税 |
古いメカニカル | 1964,1864,3180,4420,4520,4522, 4580,5641,5645,5646,5720,5722, 6145,6146,6155,6156,6185,6186, 6245,6246 | 別途要見積もり |
スプリングドライブ | 9R15,9R16,9R31,9R65,9R66 | 68,000円+税 |
スプリングドライブ 5Days | 9RA5 | 74,000円+税 |
スプリングドライブクロノグラフ | 9R84,9R86,9R96 | 117,000円+税 |
※情報は2024年1月現在のものです。予告なく変更される場合があります。
※貴金属のケースやブレスレットのモデルは上記料金に8,500円+税加算されます。
※コンプリートサービス料金には、内装部品、電池、パッキン交換、防水検査(防水時計のみ)の費用を含みます。(時計の状態により上記以外の費用が必要となる場合には見積もり連絡あり)
※製造中止(長時間経ている時計は、別途部品代、技術料が必要な場合あり。その際は見積もり連絡あり。)
※保証期間内の無料修理・再修理の場合は、ライトポリッシュは実施なし。
りゅうず交換が必要と判断された場合、りゅうず部品代がコンプリートサービス料金に含まれる場合と、別途りゅうず部品代がかかる場合があります。
部品保有期間が過ぎたキャリバーは製造中止後長期間経ているため、精度など初期の状態に修復できない場合があります。
コンプリートサービスとは別に、研磨修理を有料にて実施するサービスです。
コンプリートサービス料金に以下の料金が追加されます。
研磨箇所 | SS(一部18K含む) | 貴金属モデル(Pt、18KWG、18KYG等) |
---|---|---|
ケース | 25,000円+税 | 別途見積もり |
バンド | 20,000円+税 | 別途見積もり |
ケース+バンド | 45,000円+税 | 別途見積もり |
※情報は2024年1月現在のものです。予告なく変更される場合があります。
外装修理料金、またはバンド修理料金に以下の料金が追加されます。
研磨箇所 | SS,ブライトチタンモデル(一部18K含む) | 貴金属モデル(Pt、18KWG、18KYG等) |
---|---|---|
ケース | 28,000円+税 | 別途見積もり |
バンド | 22,000円+税 | 別途見積もり |
ケース+バンド | 50,000円+税 | 別途見積もり |
※情報は2024年1月のものです。予告なく変更される場合があります。
研磨のみを行う場合、ケース研磨には外装修理技術料、バンドのみの研磨にはバンド修理技術料が加算されます。(技術料は部品外し・洗浄・部品取付等の研磨前後の工程にかかる費用)
電池交換とケース研磨を希望する場合でも、外装修理技術料+研磨料金がかかります。
貴金属ブレスレットモデル | 技術料15,000円+部品代+税 |
---|---|
その他 | 技術料13,000円+部品代+税 |
※情報は2024年1月現在のものです。予告なく変更される場合があります。
外装修理料金には電池、パッキン交換、防水検査(防水時計のみ)の費用を含みます。※コンプリートサービスと外装修理を同時に行った場合、外装修理技術料はかかりません。
非防水・3気圧・5気圧の防水時計 | 8,000円+税 |
---|---|
10気圧以上の防水時計 | 8,000円+税 |
※情報は2024年1月現在のものです。予告なく変更される場合があります。
※電池交換料金には、電池、パッキン交換、防水検査(防水時計のみ)の費用を含みます。
バンド修理料金(バンドの部品交換や簡単な調整) | 技術料6,000円+部品代+税 |
---|---|
バンド交換料金(グランドセイコー サービススタジオでバンド全体交換を行う場合) | 技術料6,000円+バンド代+税 |
バンド修理料金+電池交換料金 | 技術料6,000円+部品代+6,000円+税 |
バンド交換料金+電池交換料金 | 技術料6,000円+バンド代+6,000円+税 |
※情報は2024年1月現在のものです。予告なく変更される場合があります。
※コンプリートサービスもしくは外装修理と同時にバンド交換・修理を行った場合、バンド交換・修理の技術料はかかりません。※バンド修理もしくはバンド交換と同時に電池交換を行った場合、電池交換料金が割引きされます。
グランドセイコーの時計修理には、修理店とメーカーの選択肢があり、そのメリット・デメリットがあることがわかりました。修理店ではそれぞれ規定が異なるため、今回はメーカー修理について、保証が効かなかった場合の修理代金の例をご紹介していきます。グランドセイコーの人気モデルを参考に、スプリングドライブや記念モデルなど、修理にかかる料金帯をチェックしていきましょう。また、保証書の有無でも価格が変動するため、修理に出す前準備しておくのがおすすめですよ。
なお、発送キットを利用した場合の往復送料は下記見積もりには含みません。往復送料は、オンラインクレジットカード決済の場合は1,540円(税込)、代引きの場合は1,870円(税込)です。(2024年1月現在)
シンプルなルックスで根強いを誇るSBGX061。2009年11月発売のクォーツキャリバー9F62搭載モデルです。こちらは「電池交換」の場合をみてみましょう。
故障内容 | 電池交換 |
---|---|
見積 | 8,000円+税 |
お引き渡し | 商品到着後~約2週間 |
電池交換の場合でも修理できる工房は決まっているため、結構時間がかかりますね。電池交換だけでしたら、お近くの修理店などに持ち込むのも一つの選択肢です。
なお、通常の電池交換メニューに加えてクオーツ精度の保証もある「バッテリープラスサービス」を依頼する場合は10,000円(+税)となります。
続いてはこちらの人気モデル。2019年にクオーツウオッチ誕生50周年を記念して発表された限定モデル、SBGN009でみていきましょう。こちらは「遅れ」が見られる個体の場合です。
故障内容 | 遅れが生じる |
---|---|
見積 | 48,000円 +税 |
お引渡し | 商品到着後~4週間 |
こちらはムーブメントの不具合ということで、有効期限内の保証書がある場合は無料修理対象となります。ただし、到着後に本体を確認し、保証外と判断されたものや保証書がない場合は、約48,000円(税別)の修理費用がかかります。
「キャリバー9F」誕生25周年記念モデルSBGN001。GMT機能を備えた新キャリバー「9F86」を初搭載し、2018年10月に800本限定で発売されました。こちらも今価格が徐々に高騰していきている人気モデル。「リューズやボタンの不具合」を理由に、修理の見積もりを出してみましょう。
故障内容 | 外部破損(リューズやボタン) |
---|---|
見積 | 17,300 円~+税(外装修理技術料金 13,000円、リューズ部品代 4,300円。ボタン部品代 別途見積もり) |
お引渡し | 商品到着後~約3週間 |
有効期限内の保証書がある場合はこちらも無料修理となります。ただし、保証期間内であっても、保証書の紛失や故意の破損などの場合は有償修理となります。
また、ボタン部品代が別途見積もりとなりますので最終的な見積もりは時計預かり後に連絡、となります。
希少価値が高いプレミアムブティック限定の人気モデルSBGJ231。メカニカルハイビート36000 GMT キャリバー9S86を搭載し、2017年に発売されました。電池交換不要のメカニカルですが、まずは「外装のキズ」などの修理費を見てみましょう。
故障内容 | 外装・バンドの傷 |
---|---|
見積 | 63,000円+税(外装修理技術料 13,000円、研磨料金 50,000円) |
お引渡し | 商品到着後~約5週間 |
外装やバンドのキズなどは保証対象外となるため、有効期限内の保証書がある場合でも修理費がかかります。具体的には、コンプリートサービスに含まれるライトポリッシュではなく、有償の研磨とレーザーレストア(通常では取り切れなかった打痕傷をレーザーで修復するサービス)となります。グランドセイコーの職人さんたちに高い技術力で、大きめのキズが目立たなくなったり、細かなキズも新品のような見栄えになります。長年愛用している時計などは、一度お願いしてみてもいいかもしれませんね。ただし、研磨で取り切れないキズに対して、部品交換が必要となった場合には、上記料金とは異なる見積り金額となります。
ちなみに、ムーブメント等に不具合があって、有償の研磨ではなく、ライトポリッシュを含むコンプリートサービスを依頼した場合は、コンプリートサービス代が68,000円+税、納期は約5週間となります。
また、コンプリートサービスと同時に外装・バンドの有償の研磨を依頼した場合は113,000 円(コンプリートサービス代 68,000円 + 研磨料金 45,000円)+税、納期は約8週間となります。
マスターショップ限定のSBGH243も高い人気を誇るメカニカルハイビート キャリバー9S85搭載モデル。こちらは「カレンダーの故障」として修理費用を確認してみます。
故障内容 | カレンダーの故障 |
---|---|
見積 | 68,000円 +税 |
お引渡し | 商品到着後~約5週間 |
有効期限内の保証書がある場合は基本的にカレンダーの故障も保証対象となり、修理費は0円となります。ただし、こちらも本体到着後に保証対象外とみなされた場合、オーバーホール代として68,000円の修理費がかかります。
グランドセイコーのメカニカルの基盤を作ったセイコーの130周年を記念して2011年に発売されたプラチナモデルのSBGW039。初代復刻版ということで高い人気を誇っていますが、こちらは「時計が動かない(止まってしまった)」という理由で修理費をみてみましょう。
故障内容 | 時計が完全に止まった |
---|---|
見積 | 68,000円+税 |
お引渡し | 商品到着後~約5週間 |
こちらもムーブメントの故障ということで、保証対象内であれば無償修理となります。ただし、故意による破損などが明らかとなった場合や保証書がない場合は、オーバーホール代として68,000円の修理費が発生します。
海外でも人気の高いモデル、雪白ブルー文字盤のSBGA407。スノーフレークとも呼ばれますね。「文字盤やガラス」に不具合が発生した場合をみていきたいと思います。
故障内容 | 文字盤、ガラスの不具合 |
---|---|
見積 | 137,800円 +税(技術料 13,000円、ガラス部品代 16,900円、文字板部品代 107,900円) |
お引渡し | 商品到着後~約3週間 |
保証対象内であれば、文字盤やガラスの交換は無償となります。ただし、時計を落としたりぶつけたりした場合など、故障原因が明らかなことが判明した際や、保証書を紛失している場合は、技術料、ガラス部品代、文字板部品代という形でコストがかかってきます。
雪白の文字盤交換は驚くほど高額ですね!特殊な意匠がある文字盤交換は高額になります。スタンダードな文字盤交換であれば2~5万円前後が目安ですが、タイプによってかなり差があります。
スプリングドライブシリーズでもやはりマスターショップのモデルが注目度が高いですね。 こちらのモデルでは水が入ってしまったり、ガラスが曇ってしまった想定で修理料金を調査してみました。ただし、SBGA375は強化防水(10気圧)仕様で、日常生活には充分に対応できるモデルです。
故障内容 | ガラスの曇り、水入り |
---|---|
見積 | 68,000円+税 |
お引渡し | 商品到着後~約5週間 |
「ガラスの曇り、水入り」の修理は、コンプリートサービス(オーバーホール)での対応となり、こちらも保証対象内なら無料で修理してもらえる故障内容です。ただし、保証対象外と判明した場合はオーバーホール代として68,000円のコストがかかります。
国内外問わず話題となっている銀座周辺の限定店舗販売モデルSBGA425。こちらは発売が2020年と比較的新しい時計ですが、今後オーバーホールをお考えの方のために、価格を調べてみました。
故障内容 | 故障なし、定期的なオーバーホール |
---|---|
見積 | 68,000円 +税 |
お引渡し | 商品到着後~約5週間 |
保証対象内なら無償のオーバーホール(コンプリートサービス)となりますが、保証対象外だとSBGA375と同様に68,000円のオーバーホール代がかかります。
今回は人気モデルを例にあげて、修理費用をリサーチしてみました。
修理の選択肢としては、修理店とメーカーがありますが、グランドセイコーのメーカー保証書をきちんと保管していて、保証対象内であれば修理店よりもメーカーの方が優待してもらえそうですね。
ただし、ただの電池交換であったり、保証対象外の場合や保証書を紛失してしまった場合は一度修理店で概算見積を出してもらってから検討するのもいいかもしれません。
国産の高級時計であるグランドセイコー。大切に長く使うためにも、修理に出す場合の趣味レーションや定期的メンテナンスはとても重要です。みなさんもぜひ参考にしてみてくださいね。