更新日:2022年12月18日
世界有数のオークションハウス・フィリップス(Phillips)は、2022年12月10日~11日に「ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブン(The New York Watch Auction: SEVEN)」を開催し、総売上は29億円を超えました。
グランドセイコーからは「グランドセイコーKODOコンスタントフォース・トゥールビヨン」の特別モデルSLGT001(限定1本)を始めとする、ヴィンテージウォッチから最新作までバリエーション豊富な合計10本の時計が出品されました。KODOは先天性心疾患の研究へのチャリティーという形での出品でした。
軒並み高額落札を記録したグランドセイコー、中には予想の3倍近い価格で落札されたモデルもあり、グランドセイコーが世界的に知名度を上げ、好評を博していることの証にもなりましたね。
このオークションではグランドセイコーのほか、パテックフィリップ、ロレックス、オーデマ・ピゲなどの人気モデルも出品されており、業界でも注目度の高いものでした。今後の時計買取価格にも影響を及ぼす可能性があります。このブログでは、出品された全てのグランドセイコーの予想落札価格から落札結果まで、すべてご紹介します!グランドセイコーの資産価値が気になる、という方は是非要チェックですよ!
現代モデルではユニークピースの「グランドセイコー KODOコンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT001 (Lot 100)」ほか、「厳美渓」「龍泉洞」などのUS限定モデル、ビンテージモデルでは「45GS」や「57GS セルフデーター」、「61GS V.F.A.」などが出品されました。さっそく1本ずつ落札結果とともに詳しく解説して参ります。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SLGT001 |
モデル名 | KODO コンスタントフォース・トゥールビヨン |
ケースサイズ | 43.8mm |
ケース素材 | ブリリアントハードチタン |
ムーブメント | メカニカル 手巻 Cal.9ST1 |
予想落札価格 | On Request |
落札結果 | USD478,800 (約65,595,600円) |
(※1ドル=137円で換算)
「どうすればぜんまいの力を一定にできるのか?」
これはぜんまいが解ける力を利用して動く機械式時計の発明以来、多くの時計師やメーカーが命題の1つです。
「ぜんまいのトルクが一定になれば、機械式時計の正確さはさらに増すはず」、とぜんまいを収めた香箱に円錐状の滑車を鎖で引かせる、鎖引き装置を意味する「フュージ」はその1つの答えでしたが、サイズの問題で、小さな懐中時計や腕時計には収めることが出来ませんでした。そこで次に注目されたのが、「定力装置」を意味する、「コンスタントフォース」です。
ぜんまいの力を別の小さなばね(定力ばねという)に蓄え、そのばねが元に戻ろうとする力で振り子やてんぷを動かすこの機構は、トルクを一定にするという点ではもちろん、フュージに比べてコンパクトで部品点数も少ないという点においても理想的でした。しかし、設計と製造が難しく、実現は困難極まりないもの、と思われいたのです。
2020年、グランドセイコーが発表したコンセプトモデル「T0(ティー・ゼロ)コンスタントフォース・トゥールビヨン」は、これまでにない手法でコンスタントフォースと、重力の影響を抑えるトゥールビヨンを同軸に搭載し、かつ一体化した世界初のムーブメントです。市場はこの革新的なムーブメントが、ケースと組み合わされてリリースされることを熱望していました。
その後、このコンセプトモデルを実現すべく、キャリバーを構成する340を超える部品の一つひとつを見直し、2年の歳月を経て、さらにコンセプトモデルよりも小型化した「キャリバー9ST1」を搭載した”KODO(鼓動)”がWatches and Wonders 2022に登場したのです。
「SLGT003」はグランドセイコー初の機械式複雑時計で、独創的な機構が生み出す音色と表情から、心臓の鼓動を意味する「Kodo」と名付けられました。
そのコンスタントフォース機構は、トゥールビヨンに直接エネルギーを供給できるように設計されており、重力の影響を最小限に抑えることで精度(静的精度:平均日差+5秒~-3秒)を向上させ、従来発生していたトルク変化によるエネルギー損失をなくすことに成功しました。この驚異の機械式ムーブメントに、プラチナとブリリアント・ハード・チタニウムを組み合わせた「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT003」は、44,000,000 円(税込)で、限定20本で販売されました。
左)SLGT001 右)SLGT003
グランドセイコー初のコンプリケーションウオッチである「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT003」は、11月10日スイス ジュネーブ市 テアトル・デュ・レマンで開催された2022年度「ジュネーブ時計グランプリ(Grand Prix d'Horlogerie de Genève、GPHG)」にて、卓越した精度を備えた時計に贈られる「クロノメトリー」賞を受賞しました。
今回フィリップス・オークションに出品された「グランドセイコーKODOコンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT001」は世界に1本しかない”ユニークピース”で、基本性能はSLGT003と同じですが、ムーブメント、バンドの仕上げや、ケース素材、中留素材などが一部仕様が異なります。
ケース素材に、SLGT003はブリリアントハードトチタンとプラチナ950を使用していましたが、SLGT001はブリリアントハードチタンに統一しています。また、中留素材としてSLGT003はPT950(一部18Kホワイトゴールド)を使用していましたが、SLGT001はブリリアントハードチタン(一部18Kイエローゴールド)を使用しています。
予想落札価格はリクエストに応じて開示される、とのことで公表はされていませんでしたが、結果的には478,800ドル、約65,595,600円(※1ドル=137円で換算)で落札されました。SLGT003の定価44,000,000 円(税込)を思えばかなり伸びたな、と思わなくもないのですが、海外のメディアでは「少し安いのでは?数年後にはもっと価値が上がっているだろう」という論調もあるようです。円安ですしね・・・。
今回のロットの売上の一部は、先天性心疾患研究のための資金として、チルドレンズハート財団(Children’s Heart Foundation)に寄付される予定とのことで、チャリティーという意味合いも含めると、もう少し伸びてもおかしくはなかったのかもしれません。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGW273, SBGW275, SBGW277 |
モデル名 | 「厳美渓」 |
ケースサイズ | 37.3mm |
ケース素材 | ステンレス |
ムーブメント | 手巻メカニカル キャリバー 9S64 |
予想落札価格 | USD 8,000 - 16,000 |
落札結果 | USD35,280 (約4,833,360円) |
(※1ドル=137円で換算)
こちらはピアゾブログでもご紹介したことのある、2021年発売のグランドセイコー北米限定モデルのトリオセットですね!岩手県の厳美渓(げんびけい)にインスパイアされた色合いの異なる3種のグリーンダイヤルが特徴です。
日本の自然環境や伝統的なライフスタイルを表現するという、グランドセイコーのデザイン哲学を色濃く反映した文字盤は、雲母摺(きらずり)と呼ばれる浮世絵版画の技法に倣って仕上げられており、厳美渓の鬱蒼とした渓谷の側面から差し込む太陽の光をイメージしています。
今回出品された3本は2021年に北米限定で各140本の数量限定で販売されたもの。発売当初の価格は定価 4,900 ドルでしたが、今回予想落札価格は3本で8,000 - 16,000ドル、と控えめな予想でしたね。実際の落札価格は35,280ドル、と予想落札価格の2倍以上となりました。
注目すべきはそのシリアルナンバー。なんと「001/140」、ナンバー1、なんですね。今回のこのフィリップスオークションにはグランドセイコーUSAががっつり協賛していますから、これは特別に保管しておいたセットなんでしょうね。いずれも箱や保証書、限定証、タグはもちろん完全に付属し、5年の国際保証がつきます。
このロットの収益は、フロリダ州マイアミにあるフェアチャイルド熱帯植物園に寄付されます。グランドセイコーの時のありのままの移ろいを表現する「THE NATURE OF TIME」というブランド哲学と完全に一致し、インスピレーションと創造性の源である自然界の重要性を認識していることの表明でもあるのでしょう。
グランドセイコーから素敵すぎる北米限定モデルがトリオで発表されました!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGK015 |
モデル名 | 「龍泉洞」 |
ケースサイズ | 39mm |
ケース素材 | ステンレス |
ムーブメント | メカニカル 手巻きキャリバー 9S63 |
予想落札価格 | USD 4,000 - 8,000 |
落札結果 | USD21,420 (約2,934,540円) |
(※1ドル=137円で換算)
こちらも2022年に北米限定で発売された希少モデルで、流行のブルーダイヤルですが、岩手県東部にある壮大な龍泉洞の洞窟内の澄んだ青い水の色と模様が反映されています。ステンレススチール製のケースは、微妙なカーブを描くことで装着性を高め、流れるような有機的なデザインとなっています。ケースには、グランドセイコー独自の「ザラツ研磨」を採用し、ポリッシュ仕上げとヘアライン仕上げを施し、美しいケースに仕上げています。搭載するキャリバー9S63は、72時間パワーリザーブ、日差+5~-3秒の高精度を誇ります。
そしてこちらもシリアルナンバーは「1/300」となっています。もちろん未使用品で、新品同様のコンディションで提供されます。付属品も充実しており、グランドセイコー国際保証書(5年)付き。コレクションに加えるのにこれ以上理想的なコンディションはないでしょう。
予想落札価格は4,000 - 8,000 ドルでしたが、落札価格は大幅に上回り、3倍近い 21,420ドル(約2,934,540円)となりました。 このロットの売却益も「厳美渓」と同様、フロリダ州マイアミにあるフェアチャイルド熱帯植物園に寄付されます。
US限定の2022年新作としてSBGK015、SBGK017、SBGJ259、SBGJ261を発表!2022年9月に販売開始。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | 45GS (4522-8000) |
モデル名 | 45GS |
ケースサイズ | 36.8mm |
ケース素材 | ステンレス |
ムーブメント | メカニカル 手巻きキャリバー 4522A |
予想落札価格 | USD 4,000 - 8,000 |
落札結果 | USD12,600 (約1,726,200円) |
(※1ドル=137円で換算)
グランドセイコースタイルのデザインは、「44GS」から「45GS」にも受け継がれています。 グランドセイコーのヴィンテージライン「45GS」は、第二精工舎工場で1968年頃から1970年代初頭まで生産されたモデルです。キャリバーは、時刻表示のみのキャリバー4520Aや、今回のロットのような日付表示付きのキャリバー4522A、時刻表示のみの "V.F.A. "など、さまざまなキャリバーを搭載して展開されました。
搭載する手巻きCal.4522は日付表示付きで、毎時36,000振動の「ハイビート」で知られ、ダイヤル6時位置の上に第二精工舎ロゴが記されています。
また、キャリバー4522Aの特筆すべき機能として、当時としては珍しいクイックデイト(日付早送り機能)が搭載されていました。
同じく第二精工舎製の手巻きCal.4420Bに比べ、ムーブメントの厚みが抑えられており、薄型化されています。なお、Cal.45シリーズの秒針停止機構は2022年に登場したコンスタンスフォース トゥールビヨンCal.9ST1にも応用されています。
今回出品されたのは1969年製造モデルで、未使用の新古品に近い状態で提供され、さらにオリジナルのグランドセイコープレゼンテーションボックス、タグが付属しています。
そして特筆すべき点として、このロットは、グランドセイコーUSAによる1年間の保証付きで提供されます!
付属品の写真にも、”Grand Seiko Fine Vintage W(atch)"といった文字が印刷された、見慣れない冊子が映っていますね!これは新しいシステムでしょうか・・・・?!今回はオークションという形式をとってはいるものの、中古の腕時計に製造メーカーの保証つきで販売される、というのはいわゆる「認定中古制度」を彷彿とさせますね。
最近ロレックスが認定中古制度を開始したことで業界に激震が走りましたが、もしやグランドセイコーも乗り出すのでしょうか?!そのための布石なのでは・・・?!なんて。どうでしょう。
今回のオークションでは予想落札価格が4,000 - 8,000 ドルのところ、実際には12,600ドル(約1,726,200円)と1.5倍ほどの落札価格となりました。
そしてこの「グランドセイコー 45GS (4522-8000)」は国内の中古腕時計市場ではコンディションによって幅はありますが、12~20万円前後で販売されている商品です。そもそも予想落札価格が高すぎじゃない?と思わなくもありませんし、保存状態が滅茶苦茶にいいほぼ”デッドストック”状態であることや、グランドセイコーUSAの1年保証が付く、という点を鑑みても「ずいぶん高いな」と言わざるを得ません。
グランドセイコーのヴィンテージで100万円を超える、というのはなかなか資産価値が高い部類でしょう。
オリジナルのプライスタグも付属していて、当時の定価は¥37,000だったことが分かります。円の価値が今とは違うとはいえ、いやー、凄い化けっぷりじゃないですか?!正直なところ申し上げまして、時計買取業者の間でもなかなかここまでの資産価値があるイメージがありませんので、意識改革には時間がかかりそうかな、と思いますが、今後国内の中古販売相場にも多少なりと影響があるかもしれませんね。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | 57GS (5722-9990) |
モデル名 | 57GS ”セルフデーター” |
ケースサイズ | 36.8mm |
ケース素材 | ステンレス |
ムーブメント | メカニカル 手巻きキャリバー 5722 |
予想落札価格 | USD 8,000 - 16,000 |
落札結果 | USD13,860 (約1,898,820円) |
(※1ドル=137円で換算)
諏訪精工舎で生産された1965年頃のグランドセイコー57GSです。
57GSシリーズは1964年に発表され、本機には初代グランドセイコーに搭載されたキャリバー3180を改良してカレンダー機能を搭載した、毎時18,800振動の「キャリバー5722」が搭載されています。
また、グランドセイコーで初めてザラツ研磨を採用したこの時計は、太く頑丈なラグが特徴的です。
この時計はグランドセイコーでオーバーホールを受けており、非常にきれいな状態です。オリジナルのシルバーサンバーストダイヤルは見事に保存されており、ケースとラグはその力強い形状を維持しています。ベルトはこのモデルの為にグランドセイコーが再現したベルトとなりますが、オリジナルボックス、クロノメーター認定証、タグ、パンフレット、バックルが付属する非常に珍しいコンプリートセットです。こちらにももちろんグランドセイコーUSAの1年保証が付随します。
グランドセイコーのヴィンテージモデルは、その洗練された高品質のムーブメントと、20世紀半ばの美しいデザインにより、国際市場で人気を博しています。このリファレンス57GSは、1960年代から70年代にかけて日本のメーカーが製造した高品質の機械式時計の代表的なモデルです。
今回のフィリップスオークションでは予想落札価格が8,000 - 16,000 ドルとなっており、実際には13,860ドル(約1,898,820円)で落札されました。予想落札価格の範囲内ではありますが、国内の中古腕時計市場での販売相場が10~20万円前後であることを思うと国内相場との乖離は甚だしく、やはりかなり高い落札価格となったと言えるでしょう。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | 6186 (6186-8000) |
モデル名 | 61GS V.F.A. |
ケースサイズ | 37.3mm |
ケース素材 | ステンレス |
ムーブメント | メカニカル 自動巻きキャリバー 6186 |
予想落札価格 | USD 10,000 - 20,000 |
落札結果 | USD30,240 (約4,142,880円) |
(※1ドル=137円で換算)
またまた、「グランドセイコー 61GS V.F.A.」が高額落札されました!昨年のフィリップスオークションでも話題となり、こちらのピアゾブログでもご紹介しました。
このモデルは、グランドセイコーの歴史を物語る素晴らしい時計です。
1960年代後半、グランドセイコーは高精度時計の国際規格であるスイスのCOSC(Contrôle Officiel Suisse des Chronomètres)の基準を満たすクロノメーター認定腕時計を既に開発していましたが、1969年に発表した「V.F.A.」シリーズは、日差-2~+2秒という高精度を実現し、さらに2年間は月差±1分の精度を保証するという、機械式腕時計としては前代未聞の、驚異的な精度を誇っていました。
「V.F.A.」とは、"Very Fine Adjusted "の略です。「V.F.A.」は、グランドセイコー独自の厳しい基準のもと、国際規格を超える精度を追求した超高精度時計なのです。
グランドセイコーのヴィンテージモデルは、諏訪精工舎と第二精工舎の2つの工場で生産されており、両者の間で最高級ムーブメントの生産を競わせていた、と言われています。今回の「グランドセイコー 61GS V.F.A.」(1973年製)は、文字盤の「V.F.A.」表示の下の工場ロゴから、「諏訪精工舎」で生産されたことがわかります。
さらに文字盤の12時位置には「GRAND SEIKO」の表記がありますが、これは「グランドセイコーV.F.A」モデルのみに適応されたものでした。さらに、他のモデルよりもインデックスの幅が狭く、高さがあるのが特徴です。初期のモデルは日付表示のみのキャリバー6185を搭載していましたが、1972年にデイ&デイトを搭載したキャリバー6816が発表され、本機ではこちらを搭載しているため、日本の漢字表記で曜日も表示されます。
この「グランドセイコー 61GS V.F.A.」の予想落札価格は10,000 - 20,000 ドルとなっていましたが、実際の落札価格は大幅に上回り、30,240ドル(約4,142,880円)という高額落札となりました!
腕時計のヴィンテージモデルにおいては「ノンポリッシュ」つまり「研磨されていない」=「オリジナルの形状を保っている」ということで評価が高くなります。このモデルも、目視で確認できるほどのガラスの欠けやキズなどのダメージは見受けられますが、研磨されていない素晴らしいオリジナルの状態で提供されている点が、今回の高い評価の一因となっています。しかしこんなにガラスのダメージが大きいのにケースにあまり傷がなさそうなのが不思議ですね。
2021年5月8~9日にジュネーブのフィリップスで開催された腕時計オークション、The Geneva Watch Auction: XIIIにて、グランドセイコー2本が出品され、高額で落札されました!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGW251 |
モデル名 | 初代グランドセイコー リミテッドコレクション |
ケースサイズ | 38.5mm |
ケース素材 | プラチナ999 |
ムーブメント | メカニカル手巻きキャリバー9S64 |
予想落札価格 | USD 15,000 - 30,000 |
落札結果 | USD23,940 (約3,279,780円) |
(※1ドル=137円で換算)
グランドセイコーは、セイコーから独立した自社ブランドとなることを発表した2017年に、1960年の初代グランドセイコーウォッチへのオマージュとして、スチール、ゴールド、プラチナの3種類の限定モデルを発表しました。
グランドセイコー独立前は、文字盤の12時位置に「Seiko」のロゴ、6時位置に「Grand Seiko」の文字が配置されていましたが、独立後は「Grand Seiko」のロゴのみとなりました。プラチナ製のSBGW251は、セイコー創業136周年を記念して136本だけ限定生産されたモデルで、99.9%のプラチナ製であることを示す「999PT」の刻印があります。オリジナルの初代モデルのケース径は35mmでしたが、本作では現代的な38mmにサイズアップされています。
SBGW251は28,800振動/時、静的精度で平均日差+5~-3秒、パワーリザーブ約72時間(約3日間)を誇るセンターセコンド付きの手巻き「キャリバー9S64」を搭載しています。文字盤にはグランドセイコーの初期モデルを模したプラチナモデルならではのグランドセイコーロゴが刻印され、時分針とインデックスにはダイヤモンドカットが施されています。シリアルは111/136番で、ワンオーナーの時計です。コンディションは素晴らしく、オリジナルの付属品を全て揃えています。
SBGW251の発売当時の定価は¥3,456,000(税込)でした。今回の予想落札価格は15,000 - 30,000 ドルと控えめな設定で、実際の落札価格は23,940ドル(約3,279,780円)と、レート次第ではありますが、ほぼ定価と同様、という結果となりました。今回の他の出品作品と比較すると伸び悩んだ印象がありますね。
2017年新作モデル 初代グランドセイコー リミテッドコレクション2017 「復刻デザイン」プラチナ999 SBGW251のご紹介。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGH266(9S85-01F0) |
モデル名 | キャリバー9S 20周年記念限定モデル メカニカル・ハイビート 36000 |
ケースサイズ | 39.5mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | メカニカル 自動巻 キャリバー9S85 |
予想落札価格 | USD 15,000 - 30,000 |
落札結果 | USD20,160 (約2,761,920円) |
(※1ドル=137円で換算)
1960年にグランドセイコー初の腕時計を発売した後、1998年に誕生した機械式キャリバー「9S メカニカル」は、グランドセイコーの歴史の中で最も重要な出来事であったといえるでしょう。このキャリバーは、グランドセイコーが得意とする高精度と優れた耐久性を実現するために、ゼロから設計された全く新しいキャリバーでした。以来、キャリバー9Sは、主要部品を1000分の1ミリの精度で製造できるMEMS技術(Micro Electro MechanicalSystems)によって、常に改良を続けながら進化しています。現在、「9S メカニカル」はグランドセイコーの機械式キャリバー全体のベースとなっており、その高精度、ロングパワーリザーブ、堅牢な構造から、世界最高級のキャリバーとして高い評価を得ています。
2018年、このキャリバーの誕生20周年を記念して、グランドセイコーは3種類の新作を発表しました。そのうちの1本が、通常より厳しい精度規準「グランドセイコースペシャル規格」で調整され、日差+4~-2秒の精度を実現した18Kゴールド製の「SBGH266」です。その精度の証としてダイヤル6時位置に「SPECIAL」と表記されています。
また文字盤には 1968年に「グランドセイコー ハイビート」を開発した第二精工舎が使用していたシンボルマークと、GSのイニシャル「G」とを交互に配したデザインが、ダイヤル中央から放射状に繊細なモザイク模様で表現されています。
150本限定、定価¥2,800,000円(+税)で発売されたSBGH266。今回のオークションにはシリアルナンバー「1/150」と、グランドセイコーの保管品と思われる新品同様の時計が出品されました。予想落札価格は15,000 - 30,000 ドルで、実際の落札価格は20,160ドル(約2,761,920円)と、こちらも上述のSBGW251同様、定価にほど近い価格となりました。
こちらの時計の収益もフェアチャイルド熱帯植物園に寄付されますが、あまりその点は落札価格に影響を与えなかったようですね。
キャリバー9Sの誕生20周年を記念して、「キャリバー9S85」をそれぞれ異なる精度で仕上げた、3つの限定モデルが登場しました。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGA384 |
モデル名 | スプリングドライブ U.S.リミテッドエディション |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | 18Kピンクゴールド |
ムーブメント | スプリングドライブ キャリバー9R15 |
予想落札価格 | USD 15,000 - 30,000 |
落札結果 | USD 25,200 (約3,452,400円) |
(※1ドル=137円で換算)
この18Kローズゴールドのグランドセイコー スプリングドライブ リミテッドエディションは、3つのモデルのうちの1つで、初の米国市場向け専用モデルとして50本限定で発売されました。
この特別な時計は、日本の浮世絵で歌舞伎役者の背景を表現する際によく見られる技法である「雲母摺(きらずり)」からインスピレーションを受けた光沢のあるダイヤルを採用しています。
グランドセイコーのすべてのモデルがそうであるように、現代モデルは、独自の特性、製造方法、キャリバーで独自の道を切り開いていますが、何らかの形で常に過去へのオマージュを捧げ続けているのです。 「グランドセイコースタイル」と呼ばれる44GSケースのデザインは、日本の美意識に基づいた光と影のグラデーションを表現しています。44GSのケースデザインに見られる完璧にフラットな鏡面仕上げは、光と影を調和を生み出しています。
このスプリングドライブモデルには、信州時計工房で特別に調整されたキャリバー9R15が搭載されています。
今回出品された「SBGA384」は2019年に販売されたワンオーナー品で、シリアルナンバーは31/50、保証書、タグ、製品カタログ、ボックスが付属しています。販売当時の定価は29,500ドルでした。予想落札価格は15,000 - 30,000 ドルと設定され、落札価格は25,200ドル(約3,452,400円)でしたので、こちらもやはり定価よりは少し下がっていますね。
「グランドセイコー・コーポレーション・オブ・アメリカ」設立!アメリカ市場での販売強化戦略の第一弾がこのUS限定モデル。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | グランドセイコー |
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型番(Ref.) | SBGZ001 |
モデル名 | スプリングドライブ20周年記念モデル |
ケースサイズ | 38.5mm |
ケース素材 | プラチナ950 |
ムーブメント | 手巻スプリングドライブ キャリバー 9R02 |
予想落札価格 | USD 40,000 - 80,000 |
落札結果 | USD 81,900 (約11,220,300円) |
(※1ドル=137円で換算)
2019年のバーゼルワールド2019にて、1999年に誕生したセイコー独自のムーブメント「スプリングドライブ」の誕生20周年を記念し、グランドセイコーは新開発ムーブメント・手巻スプリングドライブを搭載したエレガンスコレクション4機種を発売しました。
今回出品された「SBGZ001」は特にプレミアムな1本で、風紋の刻まれた信州の雪をイメージした独特な模様を再現した「雪白(ゆきしろ、スノーフレーク)」文字盤と、エングレービング加工されたプラチナケースを備えています。ケースは厚さたった9.8mmで、その薄さがさらにドレスウォッチらしい上品なエレガンスを引き立てています。
「SBGZ001」には、「信州 時の匠工房」を構成する主要工房の一つ、マイクロアーティスト工房から新たに生み出されたデュアル・スプリング・バレルと、トルクリターンシステムとを融合させた新機構により、約84時間の持続時間を実現させた「手巻スプリングドライブ キャリバー 9R02」を搭載しています。
出品されたのは限定30本のうちのシリアルナンバー26。ワンオーナー品で、着用回数は少なく、未使用にほど近いコンディションでオークションに初出品されました。このロットを購入した方には、好きな言葉を18Kイエローゴールド・プレートに彫金を施してムーブメントをカスタマイズできる特典と、さらに、落札日から1年間のメーカー保証がつきます。
「SBGZ001」の予想落札価格は40,000 - 80,000 ドルで、実際の落札価格はわずかにそれを上回り、81,900(約11,220,300円)でした。
1999年に登場した独自機構スプリングドライブの誕生20周年を記念した特別なモデルが発表されました!
Photo courtesy of Phillips.
フィリップスオークションが開催した「ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブン(The New York Watch Auction: SEVEN)」。蓋を開けてみれば、出品された10本のグランドセイコーのうち、すべてのロットが公表されていた予想落札価格の下限を上回り、さらに半分は予想落札価格の上限を上回るという、上々の結果。落札結果の傾向として、現代モデルの中ではUS限定(地域限定)モデルが、ヴィンテージは45GSと61GS V.F.A.が高評価となりました。57GSも国内相場を考えれば十分高値すぎる結果だと言えますが・・・。
中古買取という視点から見ると、やはり今回のヴィンテージモデル3本の落札結果は驚嘆に値しますね。2021年のフィリップスオークションで「61GS V.F.A」が高額落札されて以降、V.F.Aモデルの相場は上がりましたし、国内の販売・買取相場への影響も少しは出てくるかもしれませんね。