更新日:2023年11月20日
オメガとスヌーピー?
一見なんの関連性もなさそうな両者ですが、実はオメガのスピードマスターに”スヌーピーアワードモデル”なるものが存在するのをご存じでしょうか。2003年、2015年、2020年に合計3種のオメガ スヌーピーアワードモデルが発売され、今やコレクターズアイテムとしてなかなか買えない超人気モデルになっています。限定ではない50周年記念の2020年モデルも予約したものの、まだ買えていない人が大多数という状況です!ここ数年、”オメガの限定モデル”は相場が急騰することがあり、注目を集めています。
本ブログでは、歴代のオメガ スピードマスターの”スヌーピーアワードモデル”の魅力やスペック、定価とともに、実勢相場や買取価格相場の推移をご紹介しながら、その資産価値に迫ります!
2003年に発売された初代オメガ スヌーピーアワードモデルである3578.51は、ダイヤルが黒で9時位置とケースバックに宇宙服を着たスヌーピーが描かれており、後続機と区別して巷では“黒スヌーピー”などと呼ばれています。
モデル | スピードマスター スヌーピーアワード
SPEEDMASTER PROFESSIONAL MOONWATCH |
---|---|
型番(Ref.) | 3578.51.00 |
ケースサイズ | 42mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
風防 | 強化プラスチックガラス |
ダイヤル | ブラック |
ムーブメント | 手巻きキャリバー オメガ 1861 |
パワーリザーブ | 48時間 |
機能 | クロノグラフ、スモールセコンド、タキメーター |
防水性 | 3 気圧 (30 メートル / 100 フィート) |
生産本数 | 5,441本限定 |
参考価格 | 367,500円(税込) |
初代3578.51はさほど奇抜なデザインではなく、スタンダートなスピードマスタープロフェッショナル3570.50にペイントしたのかな?と言った程度のビジュアルです。アポロ13号の活動時間である142時間54分41秒にちなみ、5441本限定で発売されました。
裏蓋のスヌーピーの上には米国の第26代大統領セオドア・ルーズベルトの名言「Eyes on the stars(星を見てごらん)」というメッセージも。周囲には”The Moon Watch Snoopy Award Limited Edition"という文字、そして限定ナンバーを表す○○○○/5441という数字が刻まれています。
2022年2月現在、中古腕時計市場でなんと200~300万円台という超高額で販売されている「スピードマスター プロフェッショナル スヌーピー スヌーピーアワード Ref. 3578.51」。以下は3578.51のある時点での販売価格と買取価格の相場を表にしたものです。(瞬間的な数値で、年間の相場ではありませんのでご注意下さいね。)
販売価格相場 | 買取価格相場 | |
---|---|---|
2011年 | 39~40万円 | 30~32万円 |
2017年 | 110~130万円 | 90~95万円 |
2018年 | 110~198万円 | 90~135万円 |
2019年 | 120~200万円 | 85~140万円 |
2020年 | 100~120万円 | 70~100万円 |
2021年 | 160~210万円 | 115~150万円 |
2022年 | 190~335万円 | 150~240万円 |
発売当初の定価が367,500円だったことを思うと、当時買った人は宝くじに当たったような気分でしょう。初代 3578.51は後続機と比べればスヌーピーの主張も控えめですが、オメガの時計の文字盤にキャラクターが描かれる、というのは当時としては珍しく、ミッキーやミニーが描かれたジェラルド・ジェンタばりの驚きを持って迎えられました。そのせいか、実は当初あまり人気が振るわず、数年かけても5441本はなかなか売り切れなかったそうで、定価以下で販売された時期もあったというから驚きです。
2010年頃まで定価からわずかに上昇している程度で落ち着いた値動きでしたが、徐々に評価を上げ、2010年代後半になってくると3倍近い売値をたたき出しています。限定という希少性、為替相場の影響、さらに時計自体の評価が国内外で上昇したことなどから、相場が高騰したのです。その後も中古高級腕時計市場全体がレアモデルを評価する傾向が強まり、どんどんと価格が上昇しています。
2022年2月現在、3578.51の販売価格は300万円を超えるような個体も出てきています。コロナ禍にあっても高級腕時計市場は衰えを見せるどころかむしろ活況を見せており、ロレックスデイトナに至っては700万円に迫る勢いです。
オメガの腕時計は、知名度も抜群で人気がある一方で、バリエーションの多さも影響してか、ロレックスほどの「レア感」を持ったモデルは少なく、高級腕時計としては「手に入れやすい」という印象があります。ただし、このスヌーピー3578.51に関しては、その高騰ぶりはロレックスに近いと言えるでしょう。
次は2015年に発売された2代目、「スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード ref.311.32.42.30.04.003」です。
モデル | スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード
SPEEDMASTER PROFESSIONAL ”Silver Snoopy Award” Apollo XIII 45th Anniversary |
---|---|
型番(Ref.) | 311.32.42.30.04.003 |
ケースサイズ | 42mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ストラップ | ナイロン ストラップ |
風防 | 両面に無反射処理を施した、ボックス型強化サファイアガラス |
ダイヤル | ホワイト |
ムーブメント | 手巻きキャリバー オメガ 1861 |
パワーリザーブ | 48時間 |
機能 | クロノグラフ、スモールセコンド、タキメーター |
防水性 | 5 気圧 (50 メートル / 167 フィート) |
生産本数 | 1,970本限定 |
参考価格 | 766,800円(税込) |
2015年発売のオメガスヌーピー2nd「スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード ref.311.32.42.30.04.003」は白文字盤の”白スヌーピー”です。
「シルバー スヌーピー アワード」受賞45周年を記念して発表されたモデルで、9時位置の寝そべったスヌーピーの吹き出しには、1995年公開の映画『アポロ 13』の中でエド・ハリスが演じる、飛行管制主任ジーン・クランツの有名なセリフ"Failure is not an option"(失敗という選択肢はない)という言葉が。また、ダイアルの0~14秒の間には"What could you do in 14 seconds?"(14秒で何ができた?)という言葉と、スヌーピーの漫画を象徴する14コマの四角形を配置しています。
シルバースヌーピーアワードを受賞した年とかけて1,970本限定で発売されました。
裏蓋は背景にダークブルーのエナメル加工を施し、手作業で仕上げられた925シルバー製のスヌーピーメダルがセットされ、周囲には“SILVER SNOOPY AWARD” “EYES ON THE STARS”“45TH ANNIVERSARY”“APOLLO XIII”という文字や限定数を表す“〇〇〇〇/1970” の数字が刻まれています。
2022年2月現在、中古腕時計市場でなんと500~600万円台という超高額で販売されている「スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード ref.311.32.42.30.04.003」。以下はある時点での販売価格と買取価格の相場を表にしたものです。(年間を通しての相場ではありません。)
販売価格相場 | 買取価格相場 | |
---|---|---|
2017年 | 160~200万円 | 110~150万円 |
2018年 | 240~270万円 | 160~180万円 |
2020年 | 300~400万円 | 200~270万円 |
2021年 | 460~580万円 | 320~390万円 |
2022年 | 590~650万円 | 400~450万円 |
「スピードマスター アポロ13号 45周年記念 スヌーピー アワード ref.311.32.42.30.04.003」の発売当初の定価は766,800円(税込)でした。それが今や600万円前後で販売されているとは!!ロレックスデイトナといい勝負です。現在流通しているスピードマスターの中で最もプレミアがついているモデルかもしれません。
2022年5月頃にいきなり3割近く販売価格が上昇しました。詳しく原因は把握しておりますが、恐らく販売サイトの在庫ゼロの状況で強気な価格設定をしたところがあったのでしょう。そこから下がることなく、上昇基調です。スピマスとしては珍しい感じのあるホワイトダイヤル、という点もあるでしょうが、このプレミア化の要因として一番に挙げられるのはやはり限定本数の少なさです。1stモデルの当初の売れ行きの悪さへの反省も含まれてか、1stでは5,440本あった生産本数が、2ndでは大幅に1970本と大幅に減りました。これがのちにこれほどまでのプレミア化につながるとは、製作したオメガ側も予想していなかったのではないでしょうか。1970本というその数自体はそこまで少ない様にも感じませんが、やはり世界中で人気があればこれでも少ない、ということなのでしょう。
個人的には宇宙服を着ているスヌーピーのほうが可愛いけどなぁ、なんて思いますけど、全体が白×黒のモノトーンでまさに”スヌーピーカラー”にもなっている方がいい、という方も多いでしょうね。
2020年に発売された3台目モデルは「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル ref.310.32.42.50.02.001」です。前2作と大きく違うのが、こちらは限定モデルではなくレギュラーモデルとして追加された点です。
モデル | スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル
SPEEDMASTER PROFESSIONAL 'Silver Snoopy Award' 50th Anniversary |
---|---|
型番(Ref.) | 310.32.42.50.02.001 |
ケースサイズ | 42mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ストラップ | ナイロン ストラップ |
風防 | 両面に無反射加工を施したドーム型強化無反射サファイアガラス |
ダイヤル | シルバー |
ムーブメント | 手巻きオメガ コーアクシャル マスター クロノメーター キャリバー3861 |
パワーリザーブ | 50時間 |
機能 | クロノグラフ、スモールセコンド、タキメーター、超高耐磁性能ムーブメント |
防水性 | 5 気圧 (50 メートル / 167 フィート) |
生産本数 | 非限定 |
価格 | 1,130,000円(税込)/発売当時 1,221,000円(税込)/2022年2月時点 |
「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル ref.310.32.42.50.02.001」は1970年の「シルバー スヌーピー アワード」から50周年を記念して制作されました。
シルバーダイヤルの9時位置のスモールセコンドには、宇宙服を身にまとった愛らしいスヌーピーと”50TH ANNIVERSARY”の文字がエンボス加工されたメダリオンがあしらわれています。
裏蓋にはまるでスヌーピー船長が月の裏側を旅行しているかのような楽しい光景を眺めることができる楽しい仕掛けが用意されています。お馴染みのセオドア・ルーズベルトの名言、「Eyes on the stars(地に足を付けて星を見てごらん)」の文字も見て取ることができます。
「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル ref.310.32.42.50.02.001」の発売当初の定価は¥1,133,000 (税込)でしたが、2022年現在、¥1,221,000(税込)に価格改定されています。
2022年2月現在、中古腕時計市場では300万円台で販売されている「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル Ref. 310.32.42.50.02.001」。以下はある時点での販売価格と買取価格の相場を表にしたものです。
販売価格相場 | 買取価格相場 | |
---|---|---|
2021年5月 | 410~440万円 | 280~340万円 |
2021年7月 | 410~418万円 | 280~290万円 |
2022年2月 | 330~360万円 | 230~250万円 |
3代目の「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 50周年記念モデル Ref. 310.32.42.50.02.001」の販売・買取相場は、先にご紹介した限定モデル2作と比較すれば、また落ち着いていると言えるでしょう。2022年2月時点での販売相場は定価の2.8~3倍となっていますので、あくまでも比較的、という意味ですのであしからず。相場の傾向としては、順調に下降していることが分かりますね。
実際のところ、中古腕時計市場での流通量は、レギュラーモデルとしてはあまり多くなく、発売前から予約をしていた知人でも2022年2月現在で「まだ連絡が来ない」と嘆いています。(それって限定より遅くない・・・?)気を長くして待つしかないのでしょうが、前2作と違って「待てばそのうち手元に届く」わけです。生産終了でもしない限り、あまり今後相場が急騰することはないかもしれません。まぁ業者の間ではあまりにもデリバリーが遅いので、実質限定なのでは、などと囁かれていたりしますが。
順当に行けば2025年にまた「スピードマスター シルバー スヌーピー アワード 55周年記念モデル」が出るのではないかと予想しますが、果たしてそれまでに予約した購入希望者全員にデリバリーされるのでしょうか?
オメガ スヌーピーアワードモデルの販売価格や買取価格相場についてご紹介して参りました。通常であればデイトナやロイヤルオークのように定価の何倍ものプレミアがつくことは少ないオメガですが、まれに限定モデルの中ではこのようなプレミアに化けるものもある、というのが興味深いですよね。
オメガ スヌーピーアワードモデルの購入を考えている方にはご注意頂きたい点があります。
ヤフ〇クやメ〇カリなど、安く(と言っても100万円前後だったりしますが)出品されているものの中には、いわゆる”リダン”という、通常モデルの文字盤や裏蓋を交換しただけのものも散見されます。これは時計本体は本物ですし、プロでもなかなか見分けが難しい場合もあります。購入する際には、少なくともオリジナルの「限定証明書」があるものを選ぶようにご注意下さいね。「限定証明書」自体もコピー品だったりする場合があるので、あれば安心、とも言い切れないのですが。
上記のような理由から、オメガ スヌーピーアワードモデルの時計の販売価格・買取価格は「限定証明書」などの付属品の有無が、通常のオメガの時計よりもかなり大きく影響します。そのため、販売相場を調べてみると、最安値と最高値の幅が数十万~数百万円も開いていることがあります。残念ながらコピー品も多く出回っていますので、購入の際はよくよくお調べになって下さいね。