更新日:2024年11月27日
ひと昔前までは、“ロレックスの弟分”のイメージが強かったチューダー(チュードル/TUDOR)。2012年誕生の「ブラックベイ」コレクションから徐々に潮目が変わり始め、2018年には正規店が日本へ上陸、2019年&2023年のラグビーワールドカップ公式スポンサーへ就任するなど、独自の道を歩み始めます。ロレックスの廉価ブランド、という固定観念を脱却するべく、時計業界内でも徐々に影響力と存在感を強めています。
その勢いはとどまることを知らず、看板コレクションの「ブラックベイ クロノ」から2024年3月にリリースした珍しいピンクカラーの79360N-0019は、資産価値でもロレックスに迫る、中古市場で定価の2倍近い約140万円前後というリセールバリューを記録しています。
チューダーの人気モデルであるブラックベイ クロノは、ブラックはじめ、ホワイトやシャンパンゴールド、2024年8月新作のブルー(※M79360B-0002)など、シックな定番色が中心でした。
しかし2024年3月に、保守的なカラーリングを好むチューダーらしからぬ、「ブラックベイ クロノ“ピンク”79360N-0019」を発売!デイヴィッド・ベッカムやジェイ・チョウなどのアンバサダー達もピンクをカッコ良く着こなし、「勇猛果敢に挑むことは常識を覆す」を後押ししています。
本作79360N-0019は製造する本数を抑え、万人向けではないピンクカラーを纏うことで、“マイノリティー(少数派)の強み”をフルに発揮。メインストリーム層も購買意欲を刺激されたのか、ロレックスに迫る勢いで人気とリセールバリューが急上昇の事態に!!!チューダーが“ロレックスの次に来るブランド”になるかも、と “チューダーバブル”に淡い期待も生まれました。
本記事では、「高級腕時計の高額買取のプロ目線」で、ブラックベイ クロノ“ピンク”79360N-0019が、安定資産として投資価値があるのか?人気が爆発した背景と要因、現行モデルの価格推移、チューダー全体のリセールバリューを元に、なぜ79360N-0019のみが高騰したのか、その秘密を解き明かしていきます。
本作79360N-0019の魅力に触れる前に、簡単にチューダーの歴史や特色をおさらいしてみましょう。 1926年に設立されたチューダーは、当初はディフュージョンブランドとして、ロレックスの知名度向上や販売拡大に貢献。抜群の品質を誇るロレックスと共通のパーツを使用しつつ、ETA社の汎用ムーブメントを搭載することでコストを抑え、リーズナブルな価格帯で人気を博します。
2015年にはブランド初となる完全自社製ムーブメント「MT5601」を発表、更に2021年にはオメガ以外で初めて「マスター クロノメーター認定」を「ブラックベイ セラミック(※キャリバーMT5602-1U搭載)」で取得。カラフルなファブリックストラップをいち早く採用するなど、ロレックスから独立した確固たるアイデンティティを徐々に確立していきます。
セオリー重視の堅実なデザインが多い一方で、常識という“型に囚われない”チューダーらしさも持ち合わせている部分が、ブランドの一つの特色でしょうか。
それでは冒険心溢れるピンクダイヤル79360N-0019の基本情報・セールスポイントをご説明していきます。
モデル | ブラック ベイ クロノ
Black Bay Chrono |
---|---|
型番(Ref.) | 79360n-0019 |
ケースサイズ | 41 mm 厚さ:14.4 mm |
ケース素材 | 316Lステンレススチール製ケース、ポリッシュ&サテン仕上げ |
ムーブメント | クロノグラフ機能を搭載したマニュファクチュール キャリバー MT5813 両方向回転ローター搭載の機械式自動巻クロノグラフムーブメント |
パワーリザーブ | 約70時間 |
ベゼル | 316Lスチール製固定ベゼル、マットブラックのアルマイト加工ディスク、シルバーカラーのマーカー付きタキメーター |
ブレスレット | 316Lステンレススチール製5列ブレスレット、ポリッシュ&サテン仕上げ、チューダー独自の“T-fit”クイックアジャストクラスプ |
ダイヤル | ブラックカウンター付きピンク、ドーム型 6時位置に日付表示 |
防水性能 | 200 m (660 ft)防水 |
価格(税込) | 792,000円(税込) |
※掲載内容は2024年11月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
少し紫がかった落ち着いたトーンのピンク色が絶妙ですね。明るすぎないローズピンクぐらいのカラーリングでしょうか。
何故ピンク?とお思いの方に向けて、「チューダーとピンク」の関係性について、要点となりそうな符号をピックアップしてみました。往年のチュードルファンお馴染みの“薔薇”もキーワードとなりそうです。
≪チューダーにまつわるピンク(薔薇色)の逸話≫
スポーツ分野を中心に、大胆なまでにピンクを推し色としてプッシュしていますね。日韓ワールドカップで“ベッカム様フィーバー”を巻き起こしたデイヴィッド・ベッカムは、現在「インテル・マイアミCF」の共同オーナーを務め、サッカーのユニフォームでは希少なピンクを採用、各方面で話題をさらっています。
チューダーの哲学「Born to Dare(挑戦者の精神)」と相通じるものがあったのか、今年になってチューダーも同クラブチームへのオフィシャルタイムキーパーへ就任していたりもします。
⇒「人気の理由②:アンバサダーのデイヴィッド・ベッカムが愛用」へ
チューダーにゆかりの深い“ローズ”ピンク文字盤を採用した本作79360N-0019。その圧倒的な人気のカギとなりそうな“強み”を「色→アンバサダー→ブランドイメージ」の順に分析していきましょう。
本作79360N-0019の魅力は、ローズピンク文字盤という個性に、“意外性”や“希少性”という特性が集約されているのではないか?とピアゾ編集部では分析。
チューダーというブランドは、オメガ以外では初のMETAS認定取得、ロレックスより先んじてチタン素材を導入するなど、技術革新の分野ではイケイケな方針を取ってきました。しかし、ことデザインにおいては「堅実」「鉄板」な、あまり型を破らない手堅いデザインが中心で、突っ込んだ物言いをすれば、少し退屈するくらいの「真面目過ぎるルックスが玉に瑕」だったイメージを持ち合わせていました。
それが今回、ピンクという“らしくない色”を選んだのですから、それはもう驚きました!!あのチューダーが、定番文字盤カラー(白やシルバー、ブラックやグレー、青)以外の淡いパステルカラーをチョイスしてきたとは……チューダー愛好家ならずとも、時計ファンなら目を見張ったのではないでしょうか?個人的には、グランドセイコーが“銀座グリッドパターン”のスカイブルーダイヤル銀座限定SBGH297を出したときぐらいの衝撃を覚えました。
2024年チューダーは新しいVisa Cash App RB F1チームのオフィシャルパートナーとなり、F1マイアミグランプリでは、チームのドライバーである角田裕毅とダニエル・リカルドがド派手なレインボーカラーのブラックベイ“カメレオン”モデルを着用し、注目を集めました。今までなかなかチューダーでは見ることのなかった鮮やかなカラーリングの時計で、鮮烈な印象を残しました。
つい最近もラスベガスグランプリに合わせて、ラスベガスのナイトライフの伝説的な性質とその華やかさに敬意を表した“キラキラ”なブラックベイを発表しています。ただしこれらはあくまでもドライバー専用で、こちらは市販モデルではありません。
また、ビザ・キャッシュアップ レッドブル F1チームのドライバー用モデルとして誕生した明るい“ビザ ブルー”のブラックベイ セラミック“ブルー”M79210CNU-0007 が非限定モデルとしてリリースされましたが、今回のピンクほど印象的なカラーではありません。
ロレックスは数年前に、「オイスターパーペチュアル」シリーズでポップ&キュートなデザインのキャンディダイヤルやセレブレーションダイヤルで大成功を収めましたし、チューダーもその影響を少なからず受けたのかもしれませんね。いよいよチューダーもその流れに続いていくのか、パステルカラー系の続編にも期待してしまいますね。
・・・視点を変えて、海外ファンが79360N-0019に対してどのようなイメージを抱いたのか探ってみましょう。当時の反応がどんなものだったのか、気になるコメントを抜粋してみました。
「今のところ今年最高の時計の一つ」
「素晴らしい!目にも楽しい」
賛否両論真っ二つになるのを予想していましたが、肯定的な意見が多く見受けられました。メーカーサイドとしては、好き嫌いがハッキリわかれても構わないと言わんばかりのスタンスで、生産数ごく僅かを謳っていましたが、海外を中心に幅広く受け入れられていきそうですね。
断定はできませんが、大胆なスピリットを体現するカラーであるピンクは、ブランドのイメージに合致する要注目色になっていく可能性もあり得ますね。ピンクカラーに薔薇ロゴが復活したりでもしたら、もうひと騒動起きてしまいそうです。
チューダー以外のブランドからはどんなピンクダイヤルが手掛けられているのか、インパクト重視で3モデルをチョイスしてみました。
2020年発売「オイスター パーペチュアル 36」Ref.126000のラインナップ、人気カラーのターコイズブルーやキャンディピンクに一目惚れした方も多し!
シンプルな3針自動巻きモデルに、多彩なサイズとダイヤルカラーを取り揃えた「ロレックス オイスター パーペチュアル」コレクション。2020年新作では、ケースサイズが「26mm、31mm、34mm、36mm、39mm」→「28mm、31mm、34mm、36mm、41mm」から変化した以外にも、キャンディカラーで好評を博します。ブラックベイ系から、ターコイズブルーやコーラルレッド風のダイヤルがリリースされないか、今後の展開が気になりますね。
中古市場では現在でも定価の2~3倍近い価格で争奪戦が繰り広げられています。
2024年新作の62GS ハイビート 38mm“桜隠し”SBGH341&“桜若葉”SBGH343
日本の風情を文字盤に凝縮することを十八番とするグランドセイコー。春やサクラにちなんだ“桜隠し”SBGW289や“花見”SBGW313、“春分”SBGA443など多数の和ピンクをリリースしています。
Watches & Wonders 2023でも目を惹くWBN2313.BA0001の現地実機フォト
タグ・ホイヤーの2023年新作「36mmカレラ キャリバー7 デイト」WBN2313.BA0001もガツンと来るインパクトがありました。ビビッドなカラーリングを強くすると、どぎつさも増してしまうものですが、可愛らしさを残すファンキーなアバンギャルドさでした。
その他にも以下のようなものがあります。
一部の男性からすれば、「普段使いするには甘すぎる」と敬遠されがちなピンク色ですが、多様性の時代に適した絶妙なバランスのラグスポウォッチが発売されています。多様性が尊重される潮流にあって、ピンクは女性が好む色、という固定観念は、時計業界でもだんだんと払拭されつつありますね。
女性向けと思われがちなピンクダイヤル。ブラックベイ クロノ“ピンク”79360N-0019がカッコよく見える一つの要因として、デイヴィッド・ベッカムの存在は欠かせないファクターの一つです。同氏に本作79360N-0019を着用させ、大々的にアピール(※インテル・マイアミCFのオフィシャルタイムキーパー就任含め)したことで、ピンク色への抵抗感をだいぶ和らげる効果があったのではないでしょうか。
インテル・マイアミCFは“サッカー史上最高選手”の呼び声高い、リオネル・メッシを2023年に獲得。最下位争いを繰り広げていたインテル・マイアミCFは、メッシ加入以降は公式戦9戦全勝!同氏は移籍2年でチームを優勝に導き、歴代最多記録の46度目のチームタイトルを勝ち取っています。ベッカムもそうですが、“たった一人の大きな影響力”を思い知らされますね、本当に凄い。
『ブラックベイ クロノ ピンクは万人向けではないかもしれないが、製造される数も少ない。 』
ピンク色はメインストリーム向けではない、とプレスリリースでも言及しているチューダー。その広告塔として中心的役割を担う“ベッカム様”の華麗なる軌跡、圧倒的モテオーラを放つファッションに注目してみましょう。
日本サッカー界の悲願であった決勝トーナメント進出を果たした2002年日韓W杯。“サムライブルー”の躍進ともに、一世を風靡したのが元イングランド代表ベッカム選手でした。狙い通りのスペースへピタリと合わせる芸術的クロスで玄人を唸らせる一方、眉目秀麗な容姿でサッカーに興味のない一般女性もメロメロに……当時の若者は“ベッカムヘア”に憧れ、街中にソフトモヒカン姿が大量に出現する社会現象を巻き起こしました。30~50代のオシャレ系男性の方なら、一度はあの髪型にチャレンジしようか、当時は真剣に迷いましたよね!?
ベッカムフィーバーは日本だけにとどまらず、英国でもゴシップ記事が毎日のように出回り、アメリカではH&Mのキャンペーンで下着一枚のセクシーなベッカム像がニューヨークやロサンゼルスに建てられる、など逸話は枚挙にいとまがないほどの人気ぶりを誇りました。
スポーツ&時計ファンである筆者個人の見解も混じりますが、メッシやロナウドより世界的人気(特に日本)を誇った“ベッキンガム宮殿”住まいのベッカムが、ソフトモヒカンより奇抜なピンクカラーを大胆不敵に着こなし、インテル・マイアミFCのユニフォームと共にブラックベイ クロノ“ピンク”79360N-0019を猛烈後押しするとは予想だにしませんでした。
ブラックベイ ブロンズ Ref. 79250BAの頃はオールブラウンコーデで大人の色気を演出
往年のベッカムと言えば、ナイスミドルが好むような落ち着いた茶色系のイメージが強かったのですが、本作79360N-0019では自慢のタトゥーを見せつける大胆不敵なピンクコーディネートを披露。やんちゃさを残す“永遠の美青年”ぶりがたまりませんね!
余談ですが、今年9月には息子夫婦(ブルックリン・ベッカム&ニコラ)が愛犬をピンク色に染め上げ、ネット上では早速賛否両論が繰り広げられています。
他のアンバサダーや選手達も79360N-0019を着用しており、一定以上のイメージ改善は望めるでしょう。しかし、ポピュラーカルチャーへの影響力という観点で捉えた場合、グローバルなファッションアイコンとしての地位を既に確立しているデイビッド・ベッカム氏の右に出る者はいないのではないでしょうか?
その気高き「挑戦者の精神(BORN TO DARE)」は、“キックの王様”と呼ばれた全盛期の輝きまでも、チューダー&ピンクカラーに宿しそうな勢いです。
チューダーブランドにはベッカム以外にも、ピンクを大胆にイメージチェンジさせる有力なアンバサダー、公式タイムキーパーが控えています。ピンクにまつわるネタ中心で確認していきましょう。
大胆不敵なローズピンクのユニフォームが眩しいジロ・デ・イタリア
2024年に107回目の開催を迎えたプロロードレース、ジロ・デ・イタリア。サイクルロードレース界の頂点であり、世界3大自転車レース(3大グランツール)の一つとして数えられます。憧れのローズピンクユニフォームを獲得するためには、エベレスト登頂6回分の過酷なレースを総合首位で駆け抜けなければなりません。ホットトピックとしては、今年から遂に「TUDOR プロサイクリングチーム」が、このレースへ初参戦していたりもします。遠くて近い未来に、チューダーサイクリングチーム優勝記念限定モデルがリリースされて欲しいものですね!
公式インスタグラムで「Pink is my color」と公言しているジェイ・チョウ(周杰倫)。ピンクは彼の象徴的な色であり、人気曲『花海(Floral Sea)』の際には、コンサート会場はピンク一色のペンライトに染まります。「Pink Ocean/ピンク・オーシャン」のイントロには、ジェイの息子ロメオの声が使われています。
その他アンバサダー&有名人も少しだけ。
海外ではアンバサダーのレディー・ガガ、トム・クルーズやウィル・スミス。国内では櫻井翔や窪塚洋介などが、ブラックベイ系を愛用しています。
ブラックベイ クロノ“ピンク”79360N-0019をカッコ良く着用するレディー・ガガ、見てみたいですね~~~。
チューダーの現行モデルは、定価2倍以上の大幅なプレ値がつくモデルはあまり多くありません。しいて言えば、正規店でブラックベイ系の品薄が目立ちつつあり、2022年新作のブラックベイ プロ Ref. 79470は、あまり値崩れする(※40万円前後)ことなく、中古市場に出回っている状況です。
チューダー全体の資産価値という観点では、現行モデルよりも「チュードル」呼びされていた頃の「サブマリーナ」「クロノタイム」などが高騰しており、入手困難な状況がしばらく続いています。海外オークションでは4桁Ref.のヴィンテージロレックスが数百~数千万円の目を見張る価格で落札されますが、チューダーも一部のモデルは同様の傾向が見られます。ロレックスも廃番になると急騰することがあり、その点は“ロレックスの弟分”っぽいですね。
では、チューダーの現行モデルはリセールバリューが低いのか?というと、一概には言えず、発売されてまもない「新作」は急騰する傾向があります。超プレミア価格(※レア度の高い限定モデルなどは除外)はまだあまり見かけませんが、如何せんスタートダッシュを得意としているので、ジロ・デ・イタリアばりの“逃げ切り優勝”をしそうなモデルはないか、アンテナを張っておくと後のスーパースターが見つかるかもしれません。
資産価値の踏み込んだ見解は後ほど⇒「投資価値あり?ブラックベイ クロノ “ピンク” 79360N-0019 中古市場の動向」へ
2018年に日本上陸を果たし、ロレックスとはまた違う道を邁進するチューダー。並行輸入品の時代は、チュードル呼びが当たり前で知名度も少し低めでしたが、近年変化の兆しも見せ始めています。
磁気から愛機を守る、チューダー独自のコンセプトヒーロー「SUPER T」
つい先日も、10月11日(金)~20日(日)の期間限定で、チューダーのショールームが“若者の街”下北沢にオープン。気になるモデルを好きなだけ試着出来る以外にも、SUPER Tのミッションを体験できるアーケードゲームを用意し、若者への訴求を図っています。
謎(?)のスーパーヒーロー SUPER Tは、磁気を発するアイテムに囲まれた現代社会から、機械式時計を守るべく生み出されたキャラらしく、チューダーの超耐磁性能を擬人化したもの、だそうです。名前といい、スーパー○ンのようなムキムキボディーが逞しいですね。
ロレックスより安価でありながら、オメガ以外で唯一METAS認定モデルという品質は、文句のつけようもありませんし、若者達にその良さが浸透していけば、チューダーは“ベストプライス”になり得るポテンシャルを秘めていますよね。
海外含め、“チューダーブーム到来”という話はまだ見かけませんが、ロレックス同様“チューダーマラソン”が開催されているという噂も。ブラックベイ系を中心に、一部モデルはもてはやされつつある状況ですので、長いスパンでじわりじわり人気モデルが増えていないか、腰を据えてチェックしておくのもよいでしょう。
記事後半では、実際にブラックベイ クロノ “ピンク” 79360N-0019が安定資産として投資価値があるのか、多角的に分析していきましょう。
79360N-0019は国内流通量が少ないため、海外大手オンラインマーケットプレイスのボリュームゾーンを参考値として扱います。79360N-0019の国内定価は792,000円で、円安の影響があるにしても、ほぼ定価2倍のプレ値である約140~160万円前後を記録するのは凄い伸び率ですね。
(ドルベースでは定価がUSD 5,675、相場のボリュームゾーン9500ドル前後)
一部関係のない79360N系も混在しますが、国内でも115~145万円前後で売り切れ(※時期は不明)を記録しています。別のオークションサイトでは、150万円以上でも売れていたので、ここまで上がっていたのか、という一つの指標としてお役立てください。
チューダー全体の相場をザックリとご説明すると、ややマイナー寄りな時計コレクター向けモデルが人気傾向です。アンティークウォッチのサブマリーナや薔薇ロゴ系(デカ薔薇やコバラ、バラサブ)は長期間高騰を続け、資産価値としても非常に安定しています。
別記事「チューダー 現在価格高騰中のモデルは?」でも記載しましたが、チュードル呼び時代の生産終了系(サブマリーナ、クロノタイム)のリセールバリューが圧倒的に強く、最近のモデルではラグビーワールドカップ2019記念モデル「ブラックベイ クロノ ダーク 79360DK」が100~110万円前後のプレミア価格を維持している程度です。資産価値とデザインの関係性でも、本作79360N-0019はちょっと珍しく、イレギュラーな立ち位置ですね。
ブラックベイ系以外にも、レンジャーやぺラゴス、クレア ドゥ ローズが名を連ねるTUDORコレクション。未来のスターはどのモデル!?
現行モデルの傾向も簡潔に。チューダーの新作は、スタートダッシュを得意としている印象で、リリース直後からしばらくは、品薄状態に影響を受けた上昇するものの、ほとんどのモデルは、その後緩やかに定価付近に落ち着いてしまうため、高騰し続けるモデルがあまりない“スタミナ不足”の傾向を見せています。
一例を挙げると、2018年新作「ブラックベイ フィフティーエイト 79030N」が発売当初は約1.3倍(※定価378,000円に対し販売相場50万円前後)でしたが、2024年には価格改定で定価561,000円となり、中古相場は43~52万円前後に。安定感がある反面、もうひと伸びがありませんでした。
次項目ではブラックベイ クロノ “ピンク” 79360N-0019の今後の展望について考察してみましょう。
チューダー(ブラックベイ系)は投資目的として相応しいのか?“チューダーバブル”そのものが起きるのか、考察を深めてみましょう。
軸となるのは、やはりロレックスとの相互関係でしょうか。現状の状況を踏まえた、一つの仮説ですので、読者の皆様も独自見解を育てるのにお役立てください。
ロレックスの価格高騰は一時期のピークはすぎたものの、まだまだ高い水準を維持しています。
ロレックス デイトナとオメガ スピマスの比較記事【値段とコストパフォーマンス】項目でも詳細を記述していますが、次の投資先はどこが相応しいのか?“ポストロレックス”探しが始まっており、オメガやブレゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンやオーデマ・ピゲの一部モデルが高騰傾向にあります。
先行きは不透明ですが、“ロレックスの弟分”のイメージが強いチューダーは、後継者としては最適なブランドであり、オメガと並んで要警戒のブランドでしょう。
大まかにここ数年の流れを説明すると、「ロレックスバブル⇒買えない、次の投資先が欲しい⇒オメガなどの有名ブランドの一部モデルが高騰⇒チューダーも安定資産と見做され上昇傾向?」という状況です。
しかしその上げ気配、冷静にご対応ください!
弊社買取担当ともじっくりチューダー談義を重ねたのですが、海外大手オークションサイトでは、本作79360N-0019の在庫が増え続けている状況で、価格崩壊が突如到来してもおかしくない“危険水準”に到達しています。
これから先、79360N-0019のリセールバリューが突き抜けた結果、その他パンダ文字盤などの相場が上がる「79360Nシリーズの他の文字盤を牽引する」ビジョンもなきにしもあらず、ではありますが、如何せんチューダーというブランドは「発売初期ブースト→定価付近に落ち着く」傾向が多いため、安易に手を出す行為はあまりお勧めしかねます。
本作79360N-0019は高騰している状況ですが、買取のプロ目線で見ると、無責任に「イケる!」と煽るよりは“乗っかる前に注意してね”というのが本音です。マスメディアが持ち上げまくったベッカムフィーバーの如く、79360N-0019のリセールバリューが夢から醒めてしまわないか、冷静かつ温かく見守るのがベターです。
チューダーアンバサダー達の勇猛果敢なチャレンジ精神から生み出された2024年新作ブラックベイ クロノ “ピンク”79360N-0019。チューダーブランドは、技術革新に裏付けられた申し分ない性能とは裏腹に、少し地味なデザインが今までは多かったかもしれませんが、本作のリリースでまた少し変わっていくかもしれません。
「ブラックベイ クロノ」は、冒険心溢れるコレクションですので、メインストリームの購買意欲を刺激する“意外性”抜群なデザインが今後増えていきそうですね。
ロレックスとは違う道を模索し、時代に応じた個性を磨くチューダー。“BORN TO DARE(挑戦者の精神)”というブランド哲学のもと、「他に類をみない腕時計」への飽くなき挑戦は終わりません。
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