更新日:2022年04月25日

グランドセイコーがフィリップスオークションで高額落札!

2021年5月8~9日にジュネーブのフィリップスで開催された腕時計オークション、The Geneva Watch Auction: XIIIにて、グランドセイコー2本が出品され、高額で落札されました!

グランドセイコーSBGD001、61GS V.F.Aがフィリップスオークションで高額落札!

今回出品されたのは「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」と、「グランドセイコー 61GS V.F.A」。グランドセイコーがフィリップスに出品されるのはこれが初めてですが、いずれも予想価格を上回る高額で落札されました!早速詳細を見ていきましょう。

グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001

1本目はロットナンバー16「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」。高級時計の専門工房「マイクロアーティスト工房」が手がけたはじめてのグランドセイコーで、バーゼルワールド2016で発表されたプラチナモデルです。

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」

--- via www.phillips.com

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」  43mm、プラチナケース、クロコダイルストラップ、スプリングドライブ Cal.9R01、平均月差±10秒、日常生活用強化防水(10気圧)、定価 6,000,000円+税(発売当時)

この「グランドセイコー SBGD001」のエスティメート(予想落札価格)はF30,000 ~ 50,000 スイスフラン(約350万円〜585万円)と、実は定価を下回る予想でした。 しかし蓋を開けてみれば、落札価格は88,200 スイスフラン(約1,065万円)という結果に!

フィリップスで落札された「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」

<フィリップス公式サイトより>

エスティメートはフィリップスのチームによって、小売価格、中古市場の調査、フィリップスの専門家が個人的に買いたいと思う金額などが考慮され産出される仕組みですが、今回のグランドセイコーについては通常より予想が立てにくかったのは間違いないでしょう。というのも、日本の、とりわけハイエンドモデルの腕時計は海外のオークションでの実績が少なく、グランドセイコーブランドではありませんが、セイコーのクレドールの叡智Ⅱが昨年11月に開催されたオークションにてエスティメートを上回る金額で落札された実績がある程度なのです。

「グランドセイコー スプリングドライブ 8DAYS ref.SBGD001」について

この時計を手掛けたのは、「現代の名工」も所属し、スプリングドライブをベースとした独自の複雑時計の製造を担当する長野県塩尻市にある高級時計の専門工房「マイクロアーティスト工房」。世界レベルの高い技能を継承する目的で設立され、ミニッツリピーターやソヌリなどを継続して生産しています。そして「グランドセイコー スプリングドライブ 8DAYS ref.SBGD001」はまだたった8本しか製造されていない稀少な腕時計です。

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」について

「グランドセイコー スプリングドライブ 8DAYS ref.SBGD001」のケース素材には、プラチナを95%含むPT950を採用し、プラチナ専用のザラツ研磨法を施すことにより、従来のプラチナとは次元が異なる美しい仕上げを実現しています。

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」 プラチナケース

諏訪地方の朝に見られる「ダイヤモンドダスト」のように光を浴びて輝く文字盤は、独自の複合仕上げによって、奥行き感のあるデザインとなっていながらも、視認性を損ねないグランドセイコーならではの高い技術力が窺える出来栄えです。これは海外でも高く評価されるところでしょう。

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」ダイヤモンドダストダイヤル

この「グランドセイコー スプリングドライブ 8DAYS ref.SBGD001」では、一週間以上のロングパワーリザーブを誇るムーブメント「キャリバー9R01」を搭載。 通常のスプリングドライブは、動力源となるぜんまいが香箱(こうばこ)に納められおり、搭載される香箱は一つのみですが、このモデルでは、三つの香箱を直列に配置することにより、最大約8日間(約192時間)の連続駆動を可能にしています。また、通常のスプリングドライブではダイヤル上にあるパワーリザーブ表示を、裏面に配置し、ダイヤルの対称美が尊重されています。裏蓋がシースルー仕様になっていますので、パワーリザーブ表示は裏側で確認できます。

「グランドセイコースプリングドライブ 8DAYS SBGD001」裏蓋

--- via www.phillips.com

定価600万円(税抜)の時計が1,000万円超で落札されるという、近年のロレックスのような現象がグランドセイコーで起きたわけです。セイコーウオッチ株式会社は高級志向の購買層をターゲットとして昨年米国法人を再編、Grand Seiko Corp.of America(GSA)という子会社を設立しました。その狙い通りに事は進んでおり、グランドセイコーがハイエンド市場で確かな存在感を確立しつつあります。今回のオークションもそれをより一層印象づけたのではないでしょうか。

グランドセイコー 61GS V.F.A

2本目はロットナンバー173「グランドセイコー 61GS V.F.A」。「V.F.A.」とは「Very Fine Adjusted」の略で、超高精度に調整されたモデルにのみ許される称号で、今回は1972年発売デイデイト式V.F.A.が出品されました。

「グランドセイコー 61GS V.F.A」

「グランドセイコー 61GS V.F.A」  6186-8000-G 1972年製。37mm。ステンレススティール。自動巻き cal. 6186B。

予想落札価格は7,000 ~ 10,000 スイスフランでしたが、落札価格は44,100 スイスフラン(約533万円)と、こちらも予想の4倍以上となりました!!実はこちらのほうがまたさらに驚きの高額落札ではないでしょうか?!

フィリップスで落札された「グランドセイコー 61GS V.F.A」

<フィリップス公式サイトより>

「グランドセイコー6186-8000-G」は恐らくこれまでの国内の中古腕時計市場で100万円を上回る例すら少なかったはず。それがいきなり500万円超えとは!

「グランドセイコー 61GS V.F.A」について

今回出品されたのは1972年発売デイデイト式V.F.A.モデルです。 「V.F.A.」とは「Very Fine Adjusted」の略で、極めて厳格な精度規格と品質管理のもとに、クロノメーター検定よりもはるかに高く、機械式腕時計では前例のない「月差-1分~+1分」を実現した特別精度調整モデルを指します。

「グランドセイコー 61GS V.F.A」とは

--- via www.phillips.com

1969年初出のV.F.A.モデルの文字板にはV.F.A.表示がありませんでしたが、1970年代には表示されるようになりました。今回出品されたモデルに搭載されたのは自動巻きのCal.6186搭載モデルで、他にCal.6185、手巻きCal.4580などがありました。2018年にはキャリバー9S 20周年記念として「V.F.A.」へのオマージュを込めたSBGH265が発売されたことも話題となりました。

「グランドセイコー 61GS V.F.A」 裏蓋

--- via www.phillips.com

今回落札された個体の裏蓋に刻まれた数字のうち、2は1972を表し、7は製造された月の7月を表しています。コンディションも信じられないほどよかった、ということも高い評価に繋がりました。

グランドセイコーのV.F.Aモデルでは、同じく1972年製の「グランドセイコー 6185-8021」が先月のサザビーズの香港オークションImportant Watchesに出品され、こちらもエスティメートを僅かに上回る81,900香港ドル(約115万円)という高額で落札されています。

6185-8021 61GS

国内需要と必ずしも一致しないのが不思議なところですが、こういったグランドセイコーのレアモデルがこれからどんどんと評価を上げていきそうな情勢ですね!

オークションハウス、フィリップス(PHILLIPS AUCTIONEERS)とは?

フィリップス・オークショニアズ(PHILLIPS AUCTIONEERS以下、フィリップス)は、サザビーズ(SOTHEBY‘S)やクリスティーズ(CHRISTIE’S)よりは歴史は浅いものの、成長著しいオークションハウスです。フィリップスは、クリスティーズの創業者ジェームズ・クリスティー(James Christie)の下で働いていたハリー・フィリップス(Harry Phillips)によって、1796年にロンドンで設立されました。取扱い総額が最も高いのは20世紀およびコンテンポラリーの分野で、次いで時計となっています。ニューヨーク、ロンドン、香港、ジュネーブ、パリ、東京など世界中にオフィスを構え、時計のオークションは主にジュネーブ、NY、香港で開催されています。かの有名な「ポール・ニューマンのポール・ニューマンデイトナ」が史上最高額の1775万ドル (約20億円、手数料を含む) で落札されたのも、2017年のニューヨークで開催されたフィリップスオークションでした。フィリップスは今ではすっかり時計業界でトップクラスのオークションハウスに数えられるようになりました。

フィリップスがこれだけの快進撃を続けている背景には、2014年11月に時計を専門的に扱う、”Phillips in Association with Bacs & Russo”が設立されたことが大きく影響しています。クリスティーズにて国際時計部門のトップを務め、最高の時計オークショニアとしても有名なオーレル・バックス氏と、その妻であり自身もヴィンテージ時計の専門家として名高い(クリスティーズ元社員のリビア・ルッソと、フィリップスは独占的パートナーシップを締結し、この部門を立ち上げたのです。

就任以降、最も希少で非常に興味深い腕時計を揃えた素晴らしい時計オークションを世界中で次々と開催し、時には7桁オーバーの時計が複数出品されるほど驚くべき成果を挙げてきたオーレル・バックス氏率いるフィリップス。その評判はすぐに世に広まり、世界中のレアな腕時計を見たければ、フィリップスのカタログを見るのが一番手っ取り早いとさえ思われます。そしてONE、TWO、THREEと連続した数字だけがタイトルとしてつけられたジュネーブ オークションも今年の5月でXIII、つまり13回目となり、そこにロレックスやパテック フィリップなどの時計と並んで、ついに日本のグランドセイコーが2本も出品されたのです!




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