更新日:2025年10月20日

【なぜ凄い?】世界三大時計ブランドが選ばれる理由、人気の秘訣を徹底解説

パテック・フィリップの2024年新作キュビタス青文字盤は資産価値でも話題

長い歴史と高い技術力、時を超越した気品で、王侯貴族や上流階級に認められてきたパテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)、オーデマ・ピゲ(AUDEMARS PIGUET)、ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)の3つの名門ブランドは、「世界三大時計ブランド」とも呼ばれています。高い格式を誇り、雲上御三家とも称されています。
そんな時計界の御三家が、「投資資産」として近年更に注目度が増しているのを読者の皆様はご存知でしょうか?

本記事では、圧倒的なステータス性で高級腕時計業界の頂点に君臨する3つの最高級ブランドに着目し、「高額時計買取のプロ」の視点で、その凄さと人気の理由を紐解きます。

雲上御三家オーデマ・ピゲの看板モデルはロイヤルオーク

三大時計ブランド(The Holy Trinity of Watches)と呼ばれる所以は諸説紛々あり、実は明確な判断基準や公的な格付けランキングがあるわけではありません。学術的な「定義」というよりは、時計業界内の共通認識に近く、評価の積み重ねによって定着した「概念」に近い呼称です。ざっくばらんに言えば、海外時計メディアが「Holy Trinity」、日本時計雑誌が「世界三大時計」の言い回しを繰り返し言及したことで、徐々に認知されていったといえます。

なぜ他のブランドではなく、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンの3つが選ばれたのかについて解説する前に、まずは各ブランドの概要と伝統、人気コレクションについてご説明致します。
「世界三大時計ブランドと呼ばれる理由、なぜ他のブランドは選ばれないのか?」

世界三大時計ブランドの中でも飛び抜けた存在感を放ち、業界内でも揺るぎない地位を獲得しているパテック・フィリップ(PP)。「別格」の言葉が相応しく、資産投資対象としてももっとも安定的な価値維持力を保ちます。

パテック・フィリップは1839年にスイスで設立、大手グループ企業に属さない独立経営、ジュネーブ最古の独立したマニュファクチュールを守り続けています。創業当時から掲げる「世界一の時計をつくる」は、歴史でも証明されており、1868年にスイス初の腕時計製作、1889年に懐中時計用永久カレンダー機構の特許取得など、100を優に超える技術特許を保有。同社が貫き続ける哲学「永久修理保証」は、今までに制作した全ての時計の修理を受け付けることを公言した稀有なシステムでもあります。その二つの理念が、歯車のように上手く噛み合うことで、“父から子、子から孫へと受け継がれる時計”のイメージが定着、業界でも群を抜いた地位を確立したのでしょう。

顧客の顔ぶれも実に華やかで、ヴィクトリア女王、ローマ教皇、アインシュタイン、ワーグナー、チャイコフスキー、キュリー夫人、ウォルト・ディズニーなど、沢山の偉人達に愛されてきたのも特徴です。

パテック・フィリップは、人生の最後に買いたい“上がり時計”を語る際に、必ず話題になるブランドとしても有名です。投資家達にはノーチラスが人気ですが、超複雑時計こそがPPの本質であり真髄! オークションピースは世界中のコレクターから垂涎の的として話題をさらいます。

*注*PP・AP・VCの各モデルでご紹介する価格帯は現行モデルの大まかな目安です。素材・機能・時期によって価格は上下することを予めご了承ください。
一部、販売終了のコレクションについては、当時の参考価格を記載します。

ノーチラス 5811/1G-001は定価2~3倍のリセールバリューを誇る

パテック・フィリップ を象徴するビッグネーム、ノーチラス

  • 価格帯:約500万~1500万円前後
  • ステータス性:★★★★★
  • 入手難易度 :★★★★★
  • リセールバリュー:★★★★★
  • 着用有名人 :ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、ヴィクトリア・ベッカムなど

1976年登場のPP初のラグジュアリースポーツウォッチである「ノーチラス」。「ウェットスーツにもディナースーツにもマッチする時計」のコンセプトに恥じぬ“エレガントで薄く頑丈なフォルム”は、 時計好きなら一度は所有したい憧れの存在です。
デザイン・ステータス・機能性・資産価値、全てのバランスがハイレベルで纏まっており、穴が見当たりません。

パテックのアクアノートは青文字盤が定番

名門が誇るカジュアルエレガンスの体現

  • 価格帯:約400万~1000万円前後
  • ステータス性:★★★★☆
  • 入手難易度 :★★★★☆
  • リセールバリュー:★★★★☆
  • 着用有名人 :リオネル・メッシ、秋元康、山田涼介など

1997年デビューのカジュアルエレガンスの傑作「アクアノート」。ノーチラスっぽさを残す丸みを帯びた八角形ケース&ベゼル、地球儀を連想させるグリッド模様は、癖が少なくカジュアルでもスーツでも似合います。

2025年新作のカラトラバ Ref.6196Pは、2003年5196以来の「クンロク」

不朽のシンプルドレスウォッチ

  • 価格帯:約600万~700万円前後
  • ステータス性:★★★★★
  • 入手難易度 :★★★☆☆
  • リセールバリュー:★★★☆☆
  • 着用有名人 :ロバート・デ・ニーロ、ダイアナ妃、麻生太郎など

1932年に原点のRef.96(通称“クンロク”)を発売し、90年以上の長い歴史を持つ「カラトラバ」。色褪せることのないシンプルなラウンドケースは、パテック・フィリップならではの優雅さと美しさを兼ね備えています。

パテック・フィリップのコンプリケーションウォッチは世界中のセレブ達に人気

磨き抜かれた技が魅せる精緻なタイムピース

  • 価格帯:約800万~1500万円前後
  • ステータス性:★★★★☆
  • 入手難易度 :★★★★☆
  • リセールバリュー:★★★★☆
  • 着用有名人 :マーク・ザッカーバーグ氏(Facebook創業者)、山本由伸など

PPの真骨頂でもある「コンプリケーション」。日本語で「複雑」の意味を持つコレクション名は、クロノグラフ・トゥールビヨン・ムーンフェイズ・カレンダーなどの超絶技巧を寸分違わぬ正確な技術で一本の腕時計へ仕上げます。

永久カレンダー&レトログラード式日付表示&ムーンフェイズ機能搭載の6159G-001

パテック・フィリップだから出来る機械式時計のロマンの集大成

  • 価格帯:約1500万~5000万円前後
  • ステータス性:★★★★★
  • 入手難易度 :★★★★★
  • リセールバリュー:★★★★☆
  • 着用有名人 :デビッド・ベッカム、ヒカキンなど

コンプリケーションとは別に、複数の複雑機構を搭載した時計を「グランド・コンプリケーション」と名付け、別のコレクションとして存在させるパテック・フィリップ。ただでさえ難易度の高い複雑機構を当たり前のように複数組み合わせるのですから、その実力は推して知るべしです。
オークションピースは聖杯の最高峰として、数千万円~数十億円で落札される異次元のリセールバリューを誇ります。

40mmのケースサイズがちょうどいいキュビタス 7128/1G&7128/1R

パテック・フィリップ期待の新星

  • 価格帯:約650万~1400万円前後
  • ステータス性:★★★☆☆
  • 入手難易度 :★★★★☆
  • リセールバリュー:★★★★☆
  • 着用有名人 :オーランド・ブルーム、ズラタン・イブラヒモビッチ、山田涼介など

ノーチラスの系譜として世界中のファン達から活躍を嘱望される「キュビタス」。2024年誕生の新コレクションは、アクアノートやノーチラスのいとこ的位置づけ、とティエリー・スターン氏が公言していますが、二次流通市場では上々の滑り出しを見せ始めています。
ただ、新作がゆえの様子見、という段階でもありますので、リセールバリューに関しては今後大きく変動する可能性もあります。

オーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)は、1875年にスイス・ル・ブラッシュでジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲによって創業された高級時計ブランドです。創業当初から複雑機構(永久カレンダーやミニッツリピーターなど)を得意とし、独立経営を続ける数少ない老舗メゾンのひとつです。

1972年、ゴールドやプラチナの貴金属製薄型ドレスウォッチが主流だった時代に、世界初の“ステンレススティール製ラグジュアリースポーツウォッチ”にすてラグスポの元祖であるロイヤルオークを発表し、高級腕時計の常識をひっくり返しました。1986年に世界初の自動巻きトゥールビヨンモデルを発表するなど、革新と伝統の軌跡は枚挙に暇がありません。

1875年の創業当時から続く、他社資本の影響を受けない「家族経営」という武器は、独立独歩の気風を育み、ユニークなタイムピースを生み出します。

伝説のデザイナー ジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたスポーティー&エレガントのロイヤルオークは資産価値でも抜群の安定感を誇ります。人気・評判がロイヤルオークに一極集中するきらいがありますが、派生機のロイヤルオークオフショア、2019年デビューのCODE 11.59 バイ オーデマ・ピゲなどコレクション整備も順調、コロナ禍以降も粘り強い成長軌道を描いています。

ロイヤルオークの限定モデルはプレミア価格をキープしている

ラグジュアリースポーツウォッチの元祖であり至高

  • 価格帯:約450万~1000万円前後
  • ステータス性:★★★★★
  • 入手難易度 :★★★★☆
  • リセールバリュー:★★★★★
  • 着用有名人 :松井秀喜、稲垣吾郎、エド・シーラン、メッシなど

オーデマ・ピゲの代表作であり、珠玉の傑作でもあるロイヤルオーク(RO)。APの顔として、断トツの資産価値・人気・ステータス性を誇ります。コレクション自体のバリエーションも豊富で、オートマティック・クロノグラフ・オープンワーク・ミニ・ジャンボ・エクストラシン・フロステッドゴールドなど、多種多彩なROを楽しめます。革新的なAPの情熱を反映するように、チタンやセラミック、アクアライトなど先進素材にも意欲的にチャレンジしています。

ロイヤルオークオフショアのレアモデルも高騰が続く

ダイナミックな造形美を得意とする傾奇者

  • 価格帯:約400万~900万円前後
  • ステータス性:★★★★☆
  • 入手難易度 :★★★☆☆
  • リセールバリュー:★★★★☆
  • 着用有名人 :アンドレス・イニエスタ、ジョン・メイヤー、優里など

ROを型破りなデザインで、より大胆にワイルドな風格を纏わせた1993年誕生の「ロイヤル オーク オフショア」。ロイヤルオークがドレスウォッチのように美しく繊細な個性を演出しているのに対し、オフショアはエレガントな装いを保持しながらインパクトの方向性を強めています。
初代オフショアは“ビースト(野獣)”のペットネームを持つ異色作で、業界では賛否両論を巻き起こしました。ロイヤルオークを大きくしただけではない、オフショアならではのアイデンティティーは独特な存在感で所有者を魅了します。

CODE 11.59 バイ オーデマ・ピゲ 15210ST.OO.A348KB.01の評判はぼちぼち

腕時計に新しい夜明けを告げる“次なる革新”

  • 価格帯:約500万~900万円前後
  • ステータス性:★★★☆☆
  • 入手難易度 :★☆☆☆☆
  • リセールバリュー:★★★☆☆
  • 着用有名人 :藤ヶ谷太輔、滝沢カレンなど

2019年にコレクションの新たな柱として、華々しいデビューを飾った「オーデマ・ピゲ CODE 11.59 バイ オーデマ・ピゲ」。「C=Challenge(挑戦)、O=Own(継承)、D=Dare(追求心)、E=Evolve(進化)」の意味を持ち、オーデマ・ピゲの歴史に新しい時間を刻んでいきます。
デザイン自体は攻めたものが多いのに反し、スタイルはクラシックで、奇を衒っていない正統派です。

  • 価格帯:約250万~400万円目安(参考定価)
  • ステータス性:★★☆☆☆
  • 入手難易度 :★★☆☆☆
  • リセールバリュー:★★☆☆☆

公式サイトに明確な記載がなく、ひっそりと生産終了?を迎えた1995年発表の「ミレネリー」。ローマのコロッセオを彷彿させる楕円形のオーバルケースは、機械式時計の美しさを堪能できる仕掛けが満載。製造本数が少なく、一部時計フリーク達の熱視線を集めます。

  • 参考定価:2024年新作リ・マスター02オートマティック 15240SG.OO.A347CR.01は税込価格6,490,000円(※発売当時)
  • ステータス性:★★☆☆☆
  • 入手難易度 :★★★☆☆
  • リセールバリュー:★★★☆☆

公式サイトに記載はあるものの、該当モデルなし、と新作の登場が待ち遠しい「リ・マスター」。APはロイヤルオークの八角形ケースを筆頭に、台形や円形、長方形など多彩なケースデザインを手掛けてきました。アシンメトリーブームが時計業界に起きた場合、非対称デザインのリ・マスターにコレクター達の食指が動く恐れもあり得る、ダークホース的なコレクションです。

世界三大時計ブランドの中でもっと古い歴史を持つ“世界最古級のメゾン”ヴァシュロン・コンスタンタン(VC)。1755年の創業から270年以上に渡り、一度も途切れることなく時計の製造を続ける超老舗ブランドです。気品佇むクラシカルなデザイン、複雑時計の製作に一家言を持っており、エレガントな雲上時計は世界中の富裕層から支持を集めます。

他の雲上ブランドであるPPやAPと比べると、若干手頃な価格帯のモデルを取り揃えているのも訴求点の一つです。現行モデルのフィフティーシックス オートマティックRef.4600E/000A-B487は、2,006,400円(税込価格)と手を伸ばしやすい値段で、世界三大時計ブランドデビューを飾れます。

VCの時計は他二つの雲上ブランドと比較すると、リセールバリューではやや遅れを取る状況が続きます。ラグスポブームの波に乗り、オーヴァーシーズが一時期大健闘を見せましたが、市場価格の下落傾向に伴い、評価も下がり気味です。

逆説的に言えば、二次市場で欲しいモデルを入手しやすいという利点は、パテック・フィリップやオーデマ・ピゲにはない強みでもあります。時計そのもののクオリティーは、PPやAPと比べても遜色のない一級品なのは間違いありませんし、雲上時計を手に取る“きっかけ”としてもヴァシュロン・コンスタンタンは最適なブランドです。
全体的に中古価格も下がり続けていますし、“買い時”のモデルが多数眠っているかもしれません。

ヴァシュロン・コンスタンタンのオーヴァーシーズは市場価格が下落傾向にある

人生という「旅」の頼れる相棒

  • 価格帯:約400万~1200万円前後
  • ステータス性:★★★★☆
  • 入手難易度 :★★★☆☆
  • リセールバリュー:★★★☆☆
  • 着用有名人 :イチロー、アレクサンダー・スカルスガルドなど

PPのノーチラス、APのロイヤルオークと肩を並べる“ラグスポ三銃士”「オーヴァーシーズ」。1996年登場の同モデルは、コロナ禍で火が付いた高級腕時計ブームで一躍スターダムにのし上がり、大人向けスポーツウォッチ、として人気を博しました。
吸い込まれるような文字盤の色気、しっとりと馴染む装着感、流行に左右されない独特な気品は、タイムレスな美しさを体現しています。

パトリモニーはシンプルなドレスウォッチで男女問わず一定以上の需要がある

スリム&ビューティーなパトリモニー

  • 価格帯:約500万~900万円前後
  • ステータス性:★★☆☆☆
  • 入手難易度 :★★★☆☆
  • リセールバリュー:★★☆☆☆
  • 着用有名人 :Ne-yo、福山雅治、織田裕二など

1950年代頃のクラシックスタイルを現代的に再解釈した「パトリモニー」。2004年に登場した、VCを代表するドレスウォッチコレクションで、調和の取れた無駄のないプロポーションが魅力です。
エレガンスとミニマリズムの両立が素晴らしく、12時位置のマルタクロスロゴは、さりげなくダイヤルを引き立たせます。

フィフティーシックス 4600E/000A-B487は定価約200万円とリーズナブル

200万円から手に入る雲上時計

  • 価格帯:約200万~700万円前後
  • ステータス性:★★☆☆☆
  • 入手難易度 :★★☆☆☆
  • リセールバリュー:★★☆☆☆

1956年発売の「リファレンス 6073」をモチーフにした、2018年誕生の「フィフティーシックス」。VC自慢の名機をリバイバルしたデザインは、アンティークでありながらもモダン。雲上時計とは思えない、リーズナブルな価格設定も魅力ですが、リセールバリューという観点では鳴かず飛ばず、という印象ですね。

  • 価格帯:約350万~600万円前後
  • ステータス性:★☆☆☆☆
  • 入手難易度 :★★☆☆☆
  • リセールバリュー:★☆☆☆☆

VCを象徴するマルタクロス(十字)をコレクションの名に据えた「マルタ」。2000年発売の同モデルは、力強くも美しいトノー型ケースが特徴。流行の影響を受けない独自路線がたまりません。

ユニークなモデルが多いヒストリークは、一部モデルがプレミア化

ブランドの遺産へのトリビュート

  • 価格帯:約500万~1200万円前後
  • ステータス性:★★★★☆
  • 入手難易度 :★★★★☆
  • リセールバリュー:★★☆☆☆
  • 着用有名人 :ドナルド・トランプ、ブラッド・ピット、タモリなど

ブランド創業1755年から続く、壮大な時計づくりのエッセンスを未来へ紡ぐコレクション「ヒストリーク」、過去の名作を現代風にブラッシュアップしています。斜め方向に文字盤をデザインしたヒストリーク・アメリカンは、運転向けの時計として人気。ヒストリーク222 Ref.4200H/222A-B934は、VCでは珍しく(?)プレミア化しており、色々な意味で面白い風変わりなポジショニングを確立しています。

パテック・フィリップの腕時計は価格維持率が高く、永久修理もある一生モノ

ではなぜ、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンの3ブランドが世界三大時計ブランドの地位を確立しているのでしょうか? ピアゾスタッフ内で話し合いを行い、4つの要因を選別しました。

≪パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンが選ばれる理由≫

  • 長い歴史で培われた伝統と格式
  • 技術的革新と複雑時計の実績
  • 需要が供給を上回る希少性、オークションや市場でも高評価
  • 第三者機関(ジュネーブシールなど)の評価軸に照らした高水準 の時計づくり

最大の理由は、顧客や第三者達からの「評価の積み重ね=品格」が、他ブランドに比べ突出している点でしょう。その品格の高さは、大相撲に例えると「横綱」です。圧倒的実力があれば、大関までは昇進できるものの、品格・力量が抜群でないと横綱にはなれないのです。
順を追って理由を解説していきます。

ヴァシュロン・コンスタンタンのラグジュアリースポーツウォッチ、Ref.222の系譜

ヴァシュロン・コンスタンタンのブランドDNAを象徴するように、多数の派生機が生まれたRef.222

PP・AP・VCを雲の上の存在たらしめる理由は、豊潤な歴史に裏打ちされた“伝統と格式”という権威性が多分に影響を及ぼしています。雲上御三家の呼び名が相応しい独特な“別格感”は、戦争やクォーツショックなどの困難に屈せず、超一流の時計を途切れることなく作り続けてきた“信頼と実績”の証でもあります。
PPは約180年、APは150年、VCは270年、と時計産業を支えてきた「時計界の頂点」ならではのオーラは、他の追随を許しません。

1986年発表の世界初自動巻きトゥールビヨンウォッチ25643BAはケース厚4.8mm

当時、世界最小&最薄のオーデマ・ピゲの自動巻きトゥールビヨン 25643BA

「ロレックスがなぜ世界三大時計に選ばれないのか?」にも関連したトピックスですが、世界三大時計ブランドは複雑時計分野において卓越した実績を残し、“時計の可能性”を切り拓いてきました。
ざっと歴史をかいつまんだだけでも、PPは1889年の懐中時計用永久カレンダーや1925年の永久カレンダー付腕時計を開発、APは1892年の腕時計式ミニッツリピーターや1986年の世界最薄自動巻きトゥールビヨン「Cal.2870」を開発、VCは18世紀末に複雑機構を製作し始め、2024年には世界最多の63機能を搭載した複雑時計「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」を発表しています。

複雑時計は見た者に驚きと感動を提供するメカニカルウォッチのロマンが詰まっています。「動く美術品」とも称される複雑時計(コンプリケーションウォッチ)は、何百何千を超える極小パーツを精密に組立て、年単位の歳月を費やした末に一つのムーブメントが完成します。その構造美は、腕時計というアイテムを芸術へ昇華し、時計史の針そのものを進めてきたのです。

もっとも高い腕時計は最高落札額3100万スイスフランのグランドマスター・チャイム 6300A-010

パテック・フィリップの創業175周年を祝う記念モデル 6300A-010は、約33億9481万円の超高額落札!!

世界三大時計ブランドの超人気モデルは、慢性的な品薄が常態化しており、需要が供給を大幅に上回る“需要超過”が慢性化……投資対象に値するプレミア現象を誘発しています。PPのノーチラス、APのロイヤルオークなどの人気・限定モデルは定価の2倍以上に跳ねるケースも珍しくなく、中古市場では常に高い注目を集めます。

腕時計高額落札ランキングのトップ10は、1~10位の9部門(※4位はロレックス コスモグラフ デイトナ “ポール・ニューマン” Ref. 6239で約20億2591万円)をパテック・フィリップが独占!世界三大時計ブランドは、オークションでも高評価を受けています。

ヒストリーク アメリカン 82035/000G-B735のケース&裏ぶたにはジュネーブスタンプあり

ヒストリーク アメリカン 82035/000G-B735の実機レビュー写真、ケースと裏ぶたにジュネーブシールの刻印がある

世界三大時計ブランドは、品質においても頂点に相応しい性能を誇ります。3社ともいち早くマニュファクチュールを取り入れたことで、設計から製造、仕上げまでの最終工程を自社内で完結。徹底した品質管理体制を整えたことで、第三者機関の評価に基づく高水準を維持しています。

機械式時計には精度や品質を判断する様々な規格が存在しますが、スイス時計の最上位に位置する「ジュネーブ・シール(ジュネーブスタンプ)」を、世界三大時計ブランドの多くのモデルが取得。時計の信頼性を不動のものとしています。
驚愕すべき事実ですが、パテック・フィリップは120年以上の間、厳格な審査のジュネーブシールを100%獲得しています、とんでもないですね。第三者機関が認める「高品質」をキープできるからこそ、複雑機構のような独創性に満ち溢れた時計を創り続けられるのでしょう。

換金率200%オーバーのデイトナ 126500LN ホワイト

業界で圧倒的売り上げシェアを持つ“不動の王者”ロレックス。雲上御三家に選ばれない理由は、世界三大時計ブランドとの方向性の違いが影響しています。ロレックスは雲上御三家に匹敵する「高い技術力とマニュファクチュール体制」を保持していますが、創業以来「時計の実用性」を重視しています。PP・AP・VCは前述の通り、芸術性の高い豪華な仕上げやロマン溢れる複雑機構を極め、時計市場の発展に尽力してきました。
ロレックスはスポーティーなツールウォッチのイメージがあるのに対し、世界三大時計ブランドはエレガントなドレスウォッチを得意としてきました。ベクトルが違うゆえに、評価のされ方も違うのです。

A.ランゲ&ゾーネ初のスポーツウォッチ、オデュッセウス

世界三大時計、に関連してよく見かける表現として、ブレゲとA.ランゲ&ゾーネを加えた「世界五大時計ブランド」、「ビッグ3(Rolex/PP/AP)」「ビッグ4(Rolex/PP/AP/Richard Mille)」という呼び名も存在します。
ブレゲとA.ランゲ&ゾーネは、世界三大時計ブランドに見劣りしない技術・芸術性・功績を持ちますが、休眠期間があり(一時的にとはいえ)歴史が途絶えています。雲上御三家は、途切れることなく脈々と伝統を継承していますし、その当たりが差となって顕れているのではないか、とも考えられています。

ビッグ3・ビッグ4の言い回しは、Holy Trinity(世界三大時計)と混在するケースはあるものの、一般的には「“売り上げ”上位の超高級ブランド」のことを指しており、概念的な御三家 とは別カテゴリーです。
書き手次第で、諸説混在するため少しわかりづらい事案ですが、売り上げランキングトップクラスのオメガやカルティエは、世界五大時計には該当しないのです。

中古時計市場は、コロナパンデミックに伴う「高級腕時計ブーム」以降、厳しい状況が続き、過渡期を迎えています。2022年3月のピークから2年間で16%以上下落したものの、中古市場は安定期に突入、一説では「10年以内に一次市場に匹敵する規模へ成長するのではないか?」という声も見かけます。
懸念事項としては、人気のブランドとそうでないブランドの格差が広がり始め、「勝ち組と負け組」の二極化が加速しつつあります。2024年版「Morgan Stanley×LuxeConsult」の年次レポートによると、独立系ブランドの「ビッグ4(Rolex/PP/AP/Richard Mille)」が合計47%のシェア率を占有……ほぼ過半数を占める勢いで、上位集中の流れが加速しています。強いブランドはシェアを伸ばす一方、多くのブランドは厳しい局面を迎えており、本質的な競争力が試される時期に差し掛かっているのです。

そんな背景もあり、世界三大時計ブランドは「安定資産」として更に評価を高め、注目を集めつつある訳です。高級腕時計を取り巻く背景を元に、世界三大時計ブランドは投資に値するか、ゆっくりと紐解いていきましょう。

2025年度のパテック・フィリップ ノーチラスの中古販売相場

≪PPの換金率の高いモデル≫

ノーチラスRef.5711/1A、5811/1G、5980/60G、5968A/001、5167A、5712/1A、5726/1A、5980/1A、5164Aなど

ノーチラスの人気モデルは、定価を大幅に上回るプレ値を連発しています。キュビタス5821/1Aも1500万円前後を記録していますが、新しいモデルのため波乱含みの展開になる恐れも。ちなみに、カラトラバは換金率の高いモデルがあまりない、という点も補足しておきます。
投資観点で簡潔に分析すると、PPは長期的な価値維持力が強く、資産対象として安定感があります。2023年の20.5億⇒2024年23億スイスフラン、と売り上げも順調に推移しており、市場シェアも5.6%から6.5%と影響力を増しています。キュビタスの長期的な資産価値については未知数な部分もありますが、懸念材料は特に見当たらないため、底堅く推移する気配が濃厚です。ド本命の「◎」の強さを市場でも維持しそうです。

2025年度のオーデマ・ピゲ ロイヤルオークの中古販売相場

≪APの換金率の高いモデル≫

ロイヤルオーク16202ST、15510ST、オフショアは15600TIなど限定系

看板機種ロイヤルオーク、派生機オフショアの限定系は高いリセールバリューを維持しています。ロイヤルオーク系は手数が多いため、短期的な値上がりを狙えるのも特徴で、時計を投資目的で捉える方には気になるブランドの一つでしょう。しかし、CODE 11.59など他コレクションのパフォーマンスがイマイチで、ブランド自体の価値保持率は減少傾向にあります。

パテック・フィリップ同様、オーデマ・ピゲ自体のブランド価値は非常に高く、ロイヤルオークが“絶対的地位”に君臨しているため、人気モデルは堅調な動きをしていくと予想されます。
不安要素としては、ロイヤルオーク頼みという点で、一部有識者達からは「雲上御三家に相応しくない」と厳しく糾弾する意見も散見されるところでしょうか。。
対抗の「○」が妥当な評価でしょう。

2025年度のヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズの中古販売相場

≪VCの換金率の高いモデル≫

オーヴァーシーズ4520V/210A-B128、先代機4500V/110A-B128

ロレックスやパテック・フィリップと比べると、パフォーマンスはやや低調。リセールバリューが跳ねづらい理由としては、ヴァシュロン・コンスタンタンは芸術性を重んじた“通好み”な作品が多く、一般的に「認知度が低い=マイナー向け」なイメージが根付いているのも影響していると推察できます。
2023年には推定売上高が10億9700万スイスフランを突破、「ビリオネアクラブ」入りしたものの、2024年は9億4200万スイスフランと減少……シェア率も2.7%⇒2.5%と低下し、PPの6.5%やAPの5.2%と水をあけられていますし、ここ数年がブランドとして踏ん張りどころでしょう。如何せんオーヴァーシーズ以外のコレクションも苦戦続きで、ブランド全体の足を引っ張っている状況で、投資観点では「△」の流れが続きそうです。

不安要素ばかり並べましたが、ヴァシュロン・コンスタンタンファンの方ご安心ください!
腐っても鯛、ではありませんが雲上御三家の威光はどんな状況下でも輝きを増すのは間違いなく、逆境でも「×」にはなりにくいのも事実です。ヒストリークやフィフティーシックスの狙い目を探すのも面白い時期かもしれません。

弱点や心配事がほぼない世界三大時計ブランドですが、2025年8月7日から適用された米相互39%関税の影響は大きく、スイス時計業界全体が岐路に立たされています。一説では12~22%の価格上昇が見込まれ、一部の人気限定モデルは約20%近い値上げが起きるのではないかと予想されています。

独立系大手ブランドが属するビッグ4、オメガやヴァシュロン・コンスタンタンのグループ傘下、オリスなどの小規模ブランド、いずれの立場にしても米国への負担増に伴う価格改定(値上げ)、というしわ寄せがすぐそこまで訪れており、時計業界は予断を許さない状況です。

とあるアナリストは、関税の影響も二極化されるのではないか?と予測しています。パテック・フィリップやオーデマ・ピゲなどの“少数生産”をウリにしているブランドは、価格を引き上げても販売量が少ないのが功を奏し、価格上昇の影響が小さいと考えられています。一方、“大量生産”を得意とするブランドは、価格上昇の影響が売り上げにも響くと云われています。スウォッチグループは40%近い減益を引き起こす可能性も示唆されていますし、数を売って利益をねん出したいブランドは頭の痛いシチュエーションが長引きそうです。

希少性が高いプレミアモデルはトランプ関税のショックを追い風に変える可能性があり得ますし、エントリー~ミドルクラスは流動性が低下した結果、価格転嫁の影響をモロに食らい、時計市場そのものが冷え込んでいく恐れもあります。厳格であるが故に閉鎖的な側面もある高級時計業界へ新たな風を吹かせつつあったマイクロブランドが、倒産の憂き目に遭わないか、個人的な見解ですが「心配」の一言に尽きます。

スイス政府と米国の交渉も難航しており、先行きは不透明ですが、安定資産と見做される三大時計ブランドへ、ますます人気が集中していく展開は現実味を帯び始めています。いち時計ファンとして気掛かりなのは、強いブランドが偏ることで、時計市場そのものの消費が冷え込み、ニッチなブランドが淘汰されていく結果、「多様性の喪失」が引き起こされないか、という点です。多様性の時代ですし、百人百様が喜ぶ色々な“個性”を纏った腕時計が少しでも生き残って欲しいものです。
ファッションの世界では個性を重要視した“画一的な美からの脱却”を模索している段階なのですが、ファッションアイテムの代名詞である高級腕時計は人気モデルに偏りが見え、競争環境の再構築を必要とする転換期へと突入しているのかもしれません。

コロナパンデミックに端を発する数年間の経済的混乱は、世界中で価格上昇の渦を巻き、世界経済は混迷を極めています。消費者は価格上昇に対して慎重になり、買い控えや代替品の選別に勤しむ、という動きも見られ始めました。短期的な視野で見れば、企業側は「価格上昇とコスト削減」の二つの手段で凌げばよいのですが、それも限界を迎えています。
腕時計メーカーは「自社に価値をもたらす顧客の選別」「優良顧客を満たす価値の創出」を重視した長期的なビジョンが求められ、顧客を軸にした戦略全体の見直しを迫られています。

世界三大時計ブランドは、限られた顧客へ質の高い時計を提供し、“顧客との信頼関係”を重んじた姿勢が、長い年月をかけてブランドイメージを向上させてきました。いかに顧客と信頼関係を作り、自社独自の価値をカルチャーとして根付かせるか……このあたりに、腕時計メーカーは生き残りのための「ヒント」が隠れていそうですね。

原材料・人件費の高騰、物価上昇の影響を受け、値上がりが続く高級腕時計業界。世界三大時計ブランドの人気モデルは、定価以上のプレミア価格がついており、高額買取のチャンスが到来しています。景気のリセッションが進むと買い取り額が下落傾向になるため、適切なタイミングで手放す“売り時”を見極めることが重要となります。
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