更新日:2024年03月14日
2024年はグランドセイコー スプリングドライブ「キャリバー9R」誕生20周年!本記事では、「赤×黒」のGMT搭載モデル「グランドセイコー スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル SBGE305」をご紹介します。
グランドセイコー SBGE305/横40.5mm× 縦48.7mm×厚さ14.7mm、ステンレススチール製ケース、スプリングドライブ 自動巻(手巻つき) キャリバー9R66搭載。希望小売価格: 847,000 円(税込)、2024年6月発売予定、世界限定:1,300本(うち国内:600本)
同時発表のピンク雪白ダイヤル「グランドセイコー ヘリテージコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル SBGA497」は、“朝焼けに美しく染まる雪原のようなグラデーション”が美麗でしたが、本作は“夏の穂高連峰の朝焼け”の色鮮やかさが醍醐味です!
それにしても、“赤富士”SBGH327や“レッドドラゴン” SBGH323といい、最近のグランドセイコー、赤文字盤を猛プッシュしていますね。
特に、2023年タイ限定モデル“諏訪湖の夕暮れ” SBGE299はよく似ていて共通点も多いです。
その他、「初代スプリングドライブGMTモデル」SBGE001、「グランドセイコー GMT 20周年記念限定モデル」“シュカブラ”SBGE275とも比較しつつ、新作SBGE305の詳細をご説明していきます。
約20年の歳月を経て、「機械式ムーブメントをクォーツ回路で制御(クォーツロック)したい」という、“夢の仕組み”を実現化したグランドセイコー。1999年12月11日に初代スプリングドライブ(※キャリバー7R68搭載)を発表。1978年の「クォーツロック」の基本特許出願、1982年の第一次開発中断、1994年の開発打ち切り&海外メーカーの論文発表……様々な苦難を乗り越えての快挙でした。
更に実用性を高めた「キャリバー9R65」を搭載したモデルを2004年に発売し、そのわずか2年後(2006年)には、スプリングドライブ初のGMT機能付きの「キャリバー9R66」も誕生し、驚異的な発想力&開発能力を歴史で証明してきました。
アニバーサリーモデルということもあり、ついスプリングドライブへの熱い思いを語ってしまいましたが、2024年の新作SBGE305に話題を戻しましょう。
≪SBGE305の基本情報≫
ピンク雪白文字盤で“穂高連峰の朝焼けを映す雪原”を表現したSBGA497とのコンセプト違い(夏の穂高連峰の朝焼け)を「赤×黒」で表現しています。
まずはダイヤルに着目していきましょう。
『2004年に誕生したグランドセイコー独自のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R」の誕生20周年を記念した限定モデルです。
ブラックのベゼルとダークレッドのダイヤルは、スプリングドライブムーブメントがつくられる「信州 時の匠工房」から望む穂高連峰の険しい岩肌があらわになる、鮮やかな夏の朝焼けの情景を表現しています。深みのあるダイヤルに映えるシルバーのGMT針が、視認性を高めます。』
率直に申し上げて、“穂高連峰の険しい岩肌”というには、本作は少し物足りないような?
グランドセイコーは既に赤文字盤を数多く手掛けており、深みのある色合いだけでは目新しい長所にはなりません。赤系統のみに絞ってもダイヤルパターンやカラーリングは多種多彩なため、「赤×黒」の派手な色合いとは裏腹に、本作は地味な印象を受けました。
同時発表のSBGA497 は薄ピンクの雪白パターンで“特別感のある限定モデル”に仕上げています。
夏の朝焼けの穂高岳、GSお得意の微細な凹凸の違いがSBGE305の文字盤にもあれば・・・
本作も「穂高連峰の険しい岩肌」を表現するなら、つるっとしたシンプルな赤文字盤ではなく、ダイヤルパターンはもう一味効いたアニバーサリーイヤー向けの文字盤だと嬉しかったところです。
淡いピンクと雪白パターンが美しいSBGA497
候補案としては、雪白新バージョンのカラーバリエーション(SBGA497)が、やはり有力でしょうか。同じピンク系ではGMTの雰囲気が合わなそうなので、“ダイヤルが真っ赤な雪白(雪赤?)”やお馴染みの青焼き針をレッドスチール針に変えた、赤い秒針を搭載しても周年記念モデルの雰囲気が出そうです。
ちなみに雪白GMTはタイ限定モデルのSBGE297(※白文字盤)が既にリリースされており、完成度も高かった印象です。繊細な質感の雪白文字盤も、スポーティーさが強まってオシャレです。
真っ白な雪白文字盤と青ベゼルがハイセンスなSBGE297
では「赤×黒」カラーに映える、ダイヤルパターンは?
欧州限定モデルSBGW303は、岩手山パターン&オリーブグリーンカラーで“岩手山 秋の夕暮れ”を表現
雄大な岩手山の山肌を表現した「岩手山パターン」系は、SBGH301やSBGJ26のシックな黒文字盤、SBGK002の赤文字盤(※SBGK002)とも好相性。
(今のところ)「雪白パターン」は、信州で製造されるスプドラ&クォーツモデルにしか使われていないので、メカニカルモデル(※塩尻工場で製造)に採用された「岩手山パターン」をスプドラに使うわけにはいかないのかもしれませんが…いっそ節目の年に相応しい新たな型打ちパターンを作るのもよかったかも。
スノーフレーク(雪白)より荒々しいテクスチャーの“シュカブラ”SBGE275
似たようなモチーフで言えば、信州の山肌を覆う「朝霧」SBGE285や北アルプスの自然美「シュカブラ」を再現したSBGE275(→SBGE275販売ページはこちら)などは、大自然のダイナミックさが文字盤に反映されていて、“特別仕様らしさ”の演出にひと役買いそうです。
雄々しく鬣(たてがみ)をゆらす獅子パターンのSBGC253
池田屋時計店創業125周年記念限定モデルの“白鷺”SBGE287、獅子シリーズSBGA481やSBGC253などの型打ち文字盤も魅力的です。定番ではありますが、GSらしい「獅子=気高き精神」で、最高峰の腕時計を目指す意志、をアピールするのもアリですね。
初代スプリングドライブGMTのSBGE001が、「黒ベゼル+赤GMT針」の配色ですので、本作SBGE305を「赤×黒」でコーディネートしたのは悪くないチョイスです。
徳島県のシンボル「白鷺(しらさぎ)」をテーマとし、ダイヤルパターンには羽模様が表現。横44mmのステンレススチール製ケースにスプリングドライブ Cal.9R66を搭載。
優しい印象のシルバーカラーダイヤル。横44.5mmのブライトチタン製ケースにスプリングドライブ Cal.9R65を搭載。
雄々しくなびくたてがみをイメージしたダイヤルパターン。横44.5mmのブライトチタンケースにスプリングドライブ Cal.9R86を搭載。
SBGE305のケースサイズは、横40.5mm×縦48.7mm×厚さ14.7mm、素材はステンレススティール(※ベゼルはセラミックス)です。
グランドセイコーらしい“用の美”を感じさせます。派手な赤文字盤ですが、悪目立ちしない落ち着いた雰囲気を感じさせるのは流石ですね。
ちなみに、18年前に発売された初代GMTモデルのSBGE001はケース径44mm(※ケース厚は14.7mmと同じ)、大きめサイズでリリースされました。レギュラーモデルでは、SBGE277(黒文字盤)やSBGE295(緑文字盤)がケース径44mmです。
グランドセイコーは古めのモデルでも、(全体的な傾向で)根強い資産価値を誇ります。GSウォッチをお持ちの方は、この機会に買取を検討するのもいかがでしょうか?
タイ限定モデルのSBGE299は、バーガンディーレッド&ブラックベゼルで“諏訪湖の夕暮れ”を表現
本作SBGE305は、キャリバー9R66搭載レギュラーモデルSBGE255(青文字盤)やSBGE253(黒文字盤)と同サイズです。
タイ限定モデルのSBGE299記事では、サイズ感についてもみっちり説明しています↓↓
本作はグランドセイコー初の9Rスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R65」に GMT機能を付加した「キャリバー9R66」を搭載しています。
ソリッドバックの裏ぶたには「LIMITED EDITION」「No.XXXX/1300」の文字が印字されています。
世界限定1300本(うち国内600本)ですので、さほどレア度は高くないですね。
2022年発表の GMT20周年記念限定モデル“シュカブラ”SBGE275は、「キャリバー9R66」をより高精度に特別調整した「キャリバー9R16」を搭載していました。
*注*「キャリバー9R66」は平均月差±15秒(日差±1秒相当)、「キャリバー9R16」は平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)と高精度。
キャリバー9R16 は、特別調整精度の証として、回転錘に18Kイエローゴールド製の「獅子の紋章」があしらわれている
9R16ならより”周年記念”の特別感が演出できたでしょうが、価格がかなり上がります。本作は“シュカブラ”SBGE275の発売当時の定価と同じ設定になっています。あまり差がないよう配慮したのかもしれませんね。
SBGE305の価格は847,000円(税込)です。
レギュラーモデルのSBGE253やSBGE255は792,000円(税込)、価格面は“ちょい高”に落ち着いています。円安差の大きい海外類似モデル(※“諏訪湖の夕暮れ”SBGE299や“赤富士”SBGH327は発売時期は100万円前後のレート)だったので、「値段だけはプレミアム」にならなかったのは好印象です。
しかしレギュラーモデルと基本スペックを同じくしつつ、「ダイヤル」と「生産本数」の違いが差額5.5万円に繋がるのは評価が分かれるところでしょう。
同時リリースの雪白ピンクSBGA497では、シンプルな雪白の「SBGA211」との差額5.5万円は妥当と感じましたが、本作SBGE305はひと工夫足りない分ちょっと高め、に思えました。
姉妹サイト「ブランド時計販売のクエリ」では、600本限定モデルの「マホガニーレッド×ブラックベゼル」SBGE245を一本限りお値打ち価格で販売中。
売り切れの際はご容赦ください。同予算(70~90万円)で魅力的なスプリングドライブの限定モデルを多数取り扱っておりますので、購入検討者の方はぜひ一度チェックしてみてください。
タイ限定モデル“諏訪湖の夕暮れ”SBGE299がよく似ていますね。細かな点で言えば、GMT針&6時位置「GMT」文字が「ゴールド→シルバー」へ、インナーリングが「赤黒→赤銀」に変化しています。
SBGE299は扇形に広がる“直線的な放射パターン”を濃赤色と組み合わせており、立体とも平面ともつかない、直線と曲線の芸術が巧みでした。海外では「SBGE305はSBGE299のダウングレード」という揶揄も。
“GSゴジラ”ことSBGA405は、力強いゴツゴツしたディテールで破壊の王ゴジラっぽさが際立っていてカッコ良かったですね。こちらも「キャリバー9R16」搭載しています。
1954年に第1作が公開されてから生誕65周年記念を記念し誕生した怪獣王ゴジラとのコラボモデルをご紹介します。
(左)“レッドドラゴン”SBGH323(右)“赤富士”SBGH327
辰年仕様のアジア地域限定“レッドドラゴン”SBGH323、アジア・パシフィック限定“赤富士”SBGH327も、「赤文字盤+放射模様」で、御利益がありそうな“開運ウォッチ”に仕上げてきていました。
最近増えつつある縦ストライプの“床パターン”がオシャレな“床もみじ”SBGJ273。映し鏡のようなリフレクションの絶景をレギュラーモデルで楽しめる、粋なレッドダイヤルです。
有名海外コミュニティサイトに寄せられた意見も辛口なものが目立ちます。
「見た目が酷い、色以外に目を引くものがない」
「赤文字盤のスポーツシリーズは好きだけど、タイのGS9 LE(SBGE299)の劣化版に見える」
「40.5mmケースは絶妙なサイズ」
目の肥えたGS通には少し魅力が足りなかったようですね。
スプリングドライブは、その凄さがもはや当たり前の認識となりつつありますが、高精度を保つために、設計図は0.01mm単位で記載し、最終的な部品の加工・調整は、0.01mm以下の単位で、匠の技を持つ時計職人達が仕上げていきます。
グランドセイコーは20年間に渡り、衰えることのない“ものづくりへの情熱”を真っ赤に燃やし続け、多くの派生機や進化モデルを手掛けてきました。
似たようなモデルも目立ち始めた昨今ですが、それでも絶妙な色遣い、繊細な凹凸の文字盤がリリースされると胸が躍るものです。
「岩肌っぽいテクスチャー、特別仕様のムーブメント」があれば、よりスプリングドライブ9R20周年に相応しかったかもしれません。
好みは人それぞれでしょうが、SBGA497の方が「穂高連峰の朝焼け」を風合いよく仕上げている印象です。
今年は始まったばかりですし、まだまだ記念モデルはリリースされるでしょうから、次回作以降にも期待を膨らませましょう。
モデル | スポーツコレクション キャリバー9R 20周年記念限定モデル
Sports Collection Caliber 9R 20th Anniversary Limited Edition |
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型番(Ref.) | SBGE305 |
ケースサイズ | 横 40.5mm 縦 48.7mm 厚さ 14.7mm |
ケース素材 | ステンレススチール ベゼル:セラミックス |
ムーブメント | スプリングドライブ 自動巻(手巻つき) キャリバー9R66 |
精度 | 平均月差±15秒(日差±1秒相当) |
駆動期間 | 最大巻上時約72時間(約3日間)持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(20気圧) |
耐磁性 | あり |
生産本数 | 世界限定:1,300本(うち国内:600本) |
取扱店舗 | グランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよび グランドセイコーマスターショップ、グランドセイコーショップ |
発売日 | 2024年6月8日(土)発売予定 |
価格 | 847,000 円(税込) |
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