更新日:2020年07月26日

グランドセイコー【スプリングドライブの歴史】

今回は次世代型ムーブメント「スプリングドライブ5Days」のデビューを記念して、スプリングドライブのこれまでの歴史をご紹介したいと思います。クオーツショックから9Fクオーツ、そしてスプリングドライブに至るまでのグランドセイコーの歴史とはどんなものだったのでしょうか?日本最高峰の高級時計の心臓となるムーブメント。ぜひチェックしてみてくださいね。


スプリングドライブ



スプリングドライブとは?

スプリングドライブ

スプリングドライブ誕生までの歴史をご紹介する前に、まずは簡単にスプリングドライブについてご説明します。スプリングドライブの機構を知る事で、歴史がどのように積み上げられてきたのかより理解が深まりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

スプリングドライブはグランドセイコー独自のムーブメント機構です。 機械式に用いられるぜんまいを動力としつつ、クオーツの水晶振動を用いた制御システムを採用することで、高精度を誇っています。 これは機械式・クオーツの面でそれぞれに世界の最高峰と称えられるグランドセイコーの研究力と技術力だからこそ成し得た画期的な機構なのです。 「高精度の機械式」でありながら「電池やモーターが不要のクオーツ」でもある画期的なムーブメントは、時計業界に衝撃を与えた次世代がたムーブメントとして、グランドセイコーウォッチの心臓部に君臨しています。



GS【スプリングドライブの歴史】

スプリングドライブ

それではいよいよ、スプリングドライブが世に送られるまでのグランドセイコーの歴史を見ていきましょう。分岐点となるところで区切りつつ、順を追ってお伝えしていきます。



1960年~:グランドセイコー誕生から飛躍した功績


スプリングドライブ

スイスの高級時計が一般常識となっていた1960年、

「世界に挑戦する国産最高級の腕時計とつくる」
という志を持って誕生したのがグランドセイコーです。堅実なものづくりで実用性の高い国産腕時計は、誕生からまもなく、瞬く間に急成長していきます。
当時上級国家公務員の初任給が12,000円程度とされていた時代に、初代グランドセイコーは25,000円とう発売価格から、スイスに引けを取らない高級時計だったということがわかります。

       
1960年 初代グランドセイコー誕生 メカニカル
華々しく誕生したグランドセイコーの歴史はここから始まります。 スイス・クロノメーターの優秀規格のレベルをクリアしたものに証明書が発行されて発売されました。
1964年 セルフデータ メカニカル
機械式腕時計が主流だったこの時代、初代グランドセイコー発表からわずか4年で、防水50m、カレンダー機能搭載のセルフデータが誕生しました。
1967年 62GS メカニカル
グランドセイコーで始めての自動巻きが誕生。手巻きが不要のため、あえてリューズを4時の位置に配置し、他のモデルとの差別化を計っています。
1968年 61GS/45GSメカニカル
国産初となる自動巻き10振動ムーブメントが登場。45GSは従来よりも薄型スリムサイズで日付つきモデルには瞬時日送り機構が搭載されました。
1969年 19GS メカニカル
初の女性用小型10振動モデルが登場。
1969年 61GS V.F.A/45GS V.F.A メカニカル
「Very Fine Adjusted」制度が月差±1分以内という、当時機械式では超高精度のモデル。「グランドセイコー特別調整品」というステイタスを付けられて発売されました。
1970年 61GSスペシャル メカニカル
61GSをベースに、当時のGS規格よりも更に厳しい基準をクリアした61GSスペシャル。制度、デザイン共に当時のGS最高峰の腕時計として発表されました。
1972年 19GS V.F.A メカニカル
女性用の機械式時計として最高水準を満たした19GS V.F.A。当時日本ではレディースがそこまで浸透しておらず制度も低いものが多いなか、19GS V.F.A画期的なモデルとなりました。


1972年~:クオーツショックによる生産中止からの復活


スプリングドライブ

1960年の誕生から順調かつ飛躍的に開発を進めてきたグランドセイコー。順風満帆に見えた矢先に起きたのが、クオーツショックでした。 グランドセイコーが「V.F.A.」を発表した1969年に、セイコーでは世界初となるクオーツ式腕時計を発表したのです。もともと大型電化製品や家具などと同等のサイズだったクオーツの機構を、超縮小し腕時計サイズにまで小型化することに成功したセイコー。これは時計業界に衝撃を走らせただけでなく、飛躍的な技術革新として瞬く間に世界に浸透していきました。また、クオーツは正確な制度を保ちつつリーズナブルに購入できることから、需要も一気に急増し、文字通り時計界の歴史を塗り替える出来事となったのです。

その一方、これまで機械式に頼ってきたグランドセイコーを含む各メーカーにとっては、大打撃となりました。この出来事はクオーツショックと呼ばれ、グランドセイコーは一時生産中止にまで追い込まれたのです。 しかし、これがグランドセイコーにとって今後の時計業界の先駆者となるムーブメントを打ち出すきっかけともなったのです。

   
1988年 95GS クオーツ
生産中止期間を経てグランドセイコーが再稼働。グランドセイコー初となるクオーツ式ムーブメントを搭載したモデルが誕生。95GSは従来のクオーツに使用されていた水晶振動子よりも各耐性に優れた水晶振動子をさらに選りすぐって利用することで、より高い精度を実現しています。
1989年 8NGS クオーツ
10気圧防水を搭載したクオーツモデルを発表し、実用性の高さをアピールしました。
1992年 3FGS クオーツ
女性用のクオーツムーブメントを発表。男性用と利用できるペアモデルとして人気を集めました。


1993年~:9Fクオーツの誕生


スプリングドライブ

クオーツショックから再び立ち直ったグランドセイコー。クオーツ搭載初期からたったの5年、1993年に完全復活となる「クオーツを越えたクオーツ」を発表することになります。これまでのクオーツの常識を覆すキャリバー9F83は、時計の本質を徹底的に追求し、細部にまで妥協を許さないグランドセイコーのこだわりが感じられるムーブメントです。 今後登場する9Fシリーズの初代であり、グランドセイコーの高い技術力を世に再確認させるきっかけともなりました。

 
1993年 9F8シリーズ クオーツ
「バックラッシュアジャスト機構」「ツインパルス制御モーター」「瞬間日送り機構」など、従来のクオーツでは不可能といわれてきた数々の新機構が搭載された9F。「クオーツを越えたクオーツ」として世界から絶賛されました。
1997年 9F6シリーズ クオーツ
腕馴染みの良い緩やかな曲線を描いたデザインで、抜群の装着感が体感できる9F6シリーズ。品のあるルックスと実用性を兼ね備え、当時グランドセイコーを代表するモデルに登り詰めました。


1998年~:メカニカルの復活


スプリングドライブ

1980年に登場したクオーツ式腕時計の勢いは、1990年代に突入しても衰えていませんでしたが、時計愛好家たちからは機械式時計の復活を願う声が集まっていました。長い歴史と伝統を誇るスイスの高級時計メーカーたちは、機械式時計を再び世に送り出すため動き始めます。そして、長年メカニカルを作り続けてきたグランドセイコーもまた、その復活へと足を進めることになりました。

しかし、既に機械式の研究には20年以上のブランクがあったグランドセイコー。すでに当時の研究者たちは引退しており、また、新たなグランドセイコーの規格を満たすためには、既存の研究を発展させるだけではなく、新たに一から開発をスタートさせなければいけないことに気付きました。 グランドセイコーはスイスのクロノメーターより更に厳しい「新GS規格」を独自制定し、それに遵守した機械式の開発に成功することで、クオーツとメカニカルの二刀流の座を手にしたのです。

   
1998年 9S5シリーズ メカニカル
これまでのグランドセイコーの歴史と先進技術の融合から生まれた9S5シリーズが登場し、グランドセイコーの機械式が完全復活を遂げました。
2002年 9S56シリーズGMT メカニカル
グランドセイコーで初となる、4本指針のモデルとなった9S56。伝統的なダイヤルを復活させつつ、アクティブで躍動感のあるデザインはグランドセイコーに新たな風を吹き込みました。
2003年 強化耐磁シリーズ クオーツ
メカニカルの研究を進めつつ、クオーツにも余念がないグランドセイコー。携帯やパソコンなどの磁気を持つ電化製品に対応するために、強化耐磁シリーズは発売されました。


2004年~:スプリングドライブ遂に誕生


スプリングドライブ

今やグランドセイコーの心臓のひとつとされるスプリングドライブですが、実は第三のムーブメントとして誕生したのは1999年のこと。セイコーが開発したキネティックという名前で既に搭載モデルが発売されていました。しかし、それから約5年にもわたる歳月をかけて、グランドセイコーの名にふさわしい自動巻き機構と72時間のパワーリザーブが加わった“スプリングドライブ”が登場したのです。

スプリングドライブとは、機械式とクオーツの技術を融合させた、これまでにない全く新しいムーブメントの機構。電池も使わない自己完結型でありながら、クオーツの高精度を誇る画期的なムーブメントです。実は開発自体は1977年に始動していましたが、かつて無い新機構は実用化にはほど遠く、現実となるには「夢」のような話でした。世界の時計業界を驚愕させることになるのは、それから20年以上もあとの話。ここまでにメカニカルからクオーツまで、惜しみない研究と努力が生み出したのが、2つを融合させたスプリングドライブなのです。

       
2004年 9R6シリーズ スプリングドライブ
スプリングドライブ搭載モデルのデビューです。水晶振動子がぜんまいがほどける力を正確に制御することのできる独創機構。クオーツと同等の高精度、月差±15秒、日差±1秒相当を誇ります。
2006年 9S67シリーズ メカニカル
72時間のロングパワーリザーブを誇るメカニカル9S67。ぜんまいの厚みと幅を改良することでこのロングリザーブが実現し、メカニカルの新たな可能性を追求しました。
2007年 9R8シリーズ スプリングドライブクロノグラフ
GMTとストップウォッチ機能が備わったスプリングドライブがデビュー。駆動方式にはスプリングドライブ、動力伝達方式には垂直クラッチを採用しています。
2009年 9S8シリーズ メカニカルハイビート
41年ぶりに新規開発された自動巻き10振動ムーブメント。最先端技術MEMSを採用し、脱進機の全てのパーツを一新することで、優れた持続時間を実現することに成功したメカニカルハイビートは、機械式の根強い愛好家達から絶大な支持を得ています。
2014年 9S86シリーズ メカニカルハイビート
GMT搭載で更にグレードアップしたメカニカルハイビート キャリバー9S86。動ムーブメント搭載のSBGJ005は2014年のジュネーブ時計グランプリで受賞歴もあります。
2016年 ブラックセラミックス スプリングドライブ
グランドセイコーにとって未知の世界となるブラックセラミック採用モデルが登場。スイスウォッチでもセラミック採用が急増するなか、グランドセイコーでもスプリングドライブ搭載の軽量なセラミックを用いることで、近未来モデルの発表に成功しました。
2016年 スプリングドライブ8Days スプリングドライブ
61GSをベースに、当時のGS規格よりも更に厳しい基準をクリアした61GSスペシャル。制度、デザイン共に当時のGS最高峰の腕時計として発表されました。


2020年~:そして新たな次世代ムーブメント発表へ


スプリングドライブ

2020年 スプリングドライブ5Days スプリングドライブ
グランドセイコー誕生60周年を記念して2020年11月に発表される予定の次世代型ムーブメント スプリングドライブ5Days。なめらかに滑る繊細な秒針と、ダイバーズウォッチ規格に耐えうる耐衝撃性を変え備えたニューモデルには、世界中から注目が集まっています。



まとめ

スプリングドライブ

今回はグランドセイコーのスプリングドライブ発表に至るまでの、ムーブメントの歴史についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?こうして順を追ってみていくと、グランドセイコーがいかに日本最高峰の高級時計ブランドであることがわかりますね。 近年グランドセイコーの需要が高まっているなか、資産価値としても注目されています。よろしければ以下の関連記事も参考にしてみてくださいね。


スプリングドライブ

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