更新日:2022年09月06日
20年かけて開発したセイコーならではの独自技術、スプリングドライブ。ロレックスやパテック・フィリップなどの超一流腕時計ブランドでも真似できないクォーツとメカニカル(機械式)を融合させたハイブリッドムーブメントです。
しかし、独自のハイブリッドムーブメントならではのデメリットやトラブルも気になるもの……「スプリングドライブ 邪道」や「スプリングドライブ 壊れやすい」などのネガティブワードを見かけると、選ぶのを控えがちになってしまうのも心情です。
「スプリングドライブの評判やイメージって壊れやすいけど、一生モノになるのかな?」
「グランドセイコーのクォーツやメカニカルの方がいいのかな……」
今回は、グランドセイコーのスプリングドライブについて、徹底的に解説致します。スプリングドライブのメリットとデメリットもどこよりもわかりやすくご紹介します。
スプリングドライブは、セイコーが1997年に独自に作り上げた機械式時計とクォーツ時計を融合させた「第三のムーブメント」です。機械式時計のゼンマイを動力源にしていながら、ICと水晶振動子で精度を制御しているため、機械式時計(ゼンマイ)の「パワー」とクォーツの「精度」を両立させているのが特徴です。
アナログとデジタルを融合させたハイブリッド車をイメージすれば、その凄さが伝わりやすいと思います。しかも、スプリングドライブは、腕時計を高精度に保つために、時計の設計図は0.01mm単位で記載。最終的な部品の加工・調整は、卓越した匠の技を持つ時計職人達が0.01mm以下の単位で仕上げています。
そんな精密な組み立てを必要とするスプリングドライブですが、ネット上のイメージや評判は辛辣な表現が目立ちます。
分かる人には分かる魅了もある、という印象です。
結論を先に伝えます。セイコーの独自技術「スプリングドライブ」は、世界に誇れるデザイン面・資産価値でも優れた第三のムーブメントです。購入後、後悔しないためにデメリットとメリットを一つひとつ丁寧に掘り下げて解説致します。
機械式時計を進化させた象徴とも言えるスプリングドライブ。クォーツ時計並みの精度を維持しながら、機械式時計の仕組みを上手く融合させた次世代のハイブリッドムーブメントです。
しかし、機械式時計の世界的な評価が高く、「クォーツショック」を世界に巻き起こしたセイコーでも、機械式とクォーツの完全な融合&実用化は20年近い年月を要しました。まずは、スプリングドライブへの理解を深めるためにも、開発秘話とストーリーを読み解いていきましょう。
1978年、世界初のクォーツ式飽和潜水仕様の600mダイバーズを完成させていたグランドセイコー。1969年の世界初のクォーツ式腕時計「クォーツアストロン」で、セイコー旋風を世界中に巻き起こしていた時代背景です。既に、腕時計に多くの革命を起こしていたグランドセイコーですが、一人の若き技術者が壮大な夢物語を描きます。
『機械式ムーブメントをクォーツ回路で制御(クォーツロック)したい』
諏訪精工舎(現:セイコーエプソン)の若手技術者、赤羽好和氏の発想です。もしその発想が現実となれば、機械式時計のデザイン性や美しさを維持しつつ、クォーツ時計並みの精度を兼ね備えるムーブメントを創り出せる夢のような仕組みです。
1978年には、諏訪精工舎は前述の「クォーツロック」の基本特許を出願していましたが、実用化をするためには多くの困難が待ち受けていました。
次の動画「グランドセイコー スプリングドライブ開発物語」と合わせて、記事をご覧になると理解が深まるのでお勧めです!!
1971年に諏訪精工舎に入社した赤羽好和氏は、クォーツウォッチの電池開発や「ツインクォーツ」の開発に携わります。ツインクォーツは、温度変化の誤差を補正するために、音叉型水晶振動子(クォーツ)をもう一つ搭載した仕組みで、年度±5秒の精度向上を可能としました。
ツインクォーツの精度補正を応用した「クォーツロック」の仕組みを思いついた赤羽好和氏は、まだ名前すらない「スプリングドライブ(機械式水晶時計)」の実用化という偉業に向けて、多忙な開発設計部門へ足繫く通います。そして、優秀な設計士、山田岳秀氏を口説き落とし、試作機の開発に取り組みます。その結果、1982年から「手巻き発電」の派生プロジェクトとして、スプリングドライブの第一次開発がスタートしました。
『例えれば、山の頂上から正確なペースメーカーに誘導されて自転車で降りるとしたら、エネルギーは自転車が下りる力で十分。あとは横を走るペースメーカーを追い越さないようにタイミングよくブレーキをかけてやれば良い』
(https://museum.seiko.co.jp/ の原文より抜粋)
「クォーツロック」の原理を検証する試作機は、ゼンマイの巻きほどける力で針を動かし、微量な電気を発生させICや水晶振動子を動かす仕組みです。電磁ブレーキをかけてスピードを制御することで、精度を維持したまま持続時間を伸ばそうと試みます。
しかし、1982年の初代試作機は、3~4時間(それでも凄いですよね!)しか動き続けることが出来ず、「実用時計の最高峰」を目指すグランドセイコーの腕時計としては、まだまだ力不足な性能でした。実用化をするにあたって、ゼンマイで発電した電力で48時間駆動させ続けることは不可能に近い状況で、以下の3つの難敵が立ちふさがりました。
1982年当時では、実現の可能性が乏しかったため、第一次開発は中断。夢のバトンを引き継ぐまで10年以上の技術進歩と時間が必要でした。
1993年、第二次スプリングドライブの開発が再び始まります。セイコーの技術進化を背景に、セイコーエプソンとセイコー電子工業(現SII)が共同開発しました。初代開発ムーブメントの開発指揮をとったのは、独自のスイープ運針機構を開発するなどの実績を持つ高橋理氏です。
高橋理氏は、キネティックの発電技術を応用することで、スプリングドライブの実用化を目指します。スプリングドライブの実現に向けて、高橋理氏は「発電機がいかにあるべきか」という基礎を徹底的に学び直したといいます。
1993年、スプリングドライブ試作2号機が開発されます。
上記のような大幅な向上がみられたものの、それでも消費電力の問題は解決しませんでした。特に、ICの消費電力が大きいのが影響し、持続時間は約10時間程度が限界でした。
念願むなしく、目標の48時間に届かなかったため、1994年には開発が打ち切られてしまいます。そんな折、1997年に海外からスプリングドライブ開発チームに、とある重大ニュースが届きます。スプリングドライブの仕組みによく似たスイス時計メーカーの論文の発表です。今までの努力と苦労が水の泡になり兼ねない緊急事態です。
1997年、ウォッチ事業部副本部長の赤羽好和氏から、第三次開発のゴーサインが発せられます。最大のテーマは、「持続時間を48時間に到達させるための省電力化」です。
低パワー技術、超小型発電機などの技術的蓄積があったセイコーエプソンでも歯が立たない難敵です。回路設計担当の小池邦夫氏の元に、チームリーダーの高橋理氏は毎日のように「こうした方がいい……ああした方がいい」と技術論を交わしに来たと言われています。
スプリングドライブを実現するための最大の鍵は、発電を下回る低電圧ICの設計と製造です。スプリングドライブを実用化するためには、半導体メーカーの技術進歩と技術提供も必要不可欠でした。
スプリングドライブ開発のために、専用の低電圧超小型IC「SOI-IC」をセイコーエプソンは自社開発します。「SOI-IC」と呼ばれる低電圧ICは、消費電力が発電を下回る超高性能な省エネICです。
1997年12月26日、低電圧ICを組み込んだスプリングドライブ試作3号機が完成……ついに、スプリングドライブ開発チームは、悲願だった持続時間48時間の機械式ムーブメントとクォーツの融合を実現した記念すべき一日です。
翌年の1998年4月に、バーゼルフェアに出品し、技術発表。「クォーツショック」に匹敵するセンセーションをグランドセイコーは再び巻き起こしたのです。しかし、同年8月、スプリングドライブの発案者、赤羽好和氏の突然の訃報(享年52歳)が届きます……赤羽好和氏の生涯をかけたスプリングドライブの製品化まで、夢の実現まであと一歩というところでの悲しい知らせです。
その後もスプリングドライブの開発は順調に進み、1999年12月11日、キャリバー7R68搭載の初代セイコースプリングドライブが発売。2021年にはその偉業を称えるべく、国立科学博物館認定の「未来技術遺産(重要科学技術史資料)」に、「セイコー スプリングドライブ 7R68」が登録されました。
関連資料含め、「セイコーミュージアム 銀座」に常設展示されているので、熱心なスプリングドライブのファンなら、赤羽好和氏のように足繫く通って「スプリングドライブ愛」を高めるのも素敵な腕時計の楽しみ方ですね!!
パワーリザーブ48時間を成し遂げた伝説の試作3号機ムーブメントを巡って、「とある重大事件」がひっそりと起きていました。なんと、歴史的な発明品の試作3号機ムーブメントが行方不明になってしまうのです!?
さぞ、スプリングドライブ開発チームやセイコーエプソンは慌ててしまったでしょうね……そして、驚くべき場所から試作3号機ムーブメントが見つかります。スプリングドライブの発案者、赤羽好和氏の机の引き出しにしまわれていたそうです。
あまりにも大事な宝物だから、厳重に保管していたのか……それとも、子供のように独り占めしたかったのか……真偽は本人でなければ分かりませんが、赤羽好和氏の茶目っ気?に溢れるエピソードなのは、間違いありませんね!
2021年に発表された次世代のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9RA2」は、現時点でのグランドセイコーの技術の粋が詰まった次世代の性能のキャリバーでしょう。動力のロスを徹底的に減らすことで、従来のスプリングドライブの性能(※2004年完成の9R6系はパワーリザーブ約3日間)をはるかに上回る約5日間のパワーリザーブと平均月差±10秒の高精度を実現しています。まさに、「実用時計の最高峰」の呼び名が相応しいスペックの高さです!
詳しい話や性能については、「スプリングドライブの各キャリバーの違い」の記事後半部分でお伝えします。
スプリングドライブの仕組みを簡潔に記載します。
その結果……
ゼンマイ→ローター→歯車→針の順に、規則正しい動き(正確な時の刻み)をスプリングドライブは可能としているのです。仕組みの説明を文面だけで説明しても、凄さがわかりづらいと思うので、大まかなスプリングドライブの特長もまとめてみました。
まずは、スプリングドライブならではの利点(メリット)を順番にご説明します。
スプリングドライブの説明でよく見かける「機械式時計(メカニカル)とクォーツのいいとこどり」という特長の紹介は、まさに的を射ています。なぜなら、機械式時計の最大のテーマである「精度」の問題と、クォーツの課題である「デザイン面」を解決した次世代のムーブメントがスプリングドライブだからです。
機械式時計はゼンマイのほどける力を歯車に伝達し、歯車中心の針を回転させて時刻を表示しています。ゼンマイのおもちゃがイメージしやすいですが、どれだけゼンマイを長く強く巻き上げたとしても一気にほどけてしまいます。
そこで、「脱進機(エスケープメント)」と呼ばれるブレーキング機構が、歯車にブレーキをかけることで、ブレーキのほどける速さを減速。適切なブレーキングが、正確な時間を生み出しているのです。しかし、機械式時計の仕組みは、機械部品の物理的なエネルギーのみを使用しているため、どうしても一日に数秒のズレが生じてしまいます。
一方、スプリングドライブは、ブレーキ機構に脱進機ではなく、TSR(トライシンクロレギュレーター)と呼ばれる調速機構を用いています。TSRが歯車に電磁ブレーキをかけることで、脱進機よりも精度に優れた調速を可能としているのです。機械式時計が毎日数秒ズレる精度が限界なのに対し、スプリングドライブは月差±15秒~±10秒という高精度を実現しています。
更に、クォーツと違い、電池のエネルギーを使用していないため、電池交換の手間以外にもデザイン面でもスプリングドライブは優れています。動力がゼンマイの力を使用しているため、クォーツに搭載しているステップモーター(弱いトルク)では不可能な長くて太い針を動かす(強いトルク)ことができます。そのため、クロノグラフやGMTなどの強いトルクが必要なデザインをスプリングドライブは搭載することも可能なのです。
スプリングドライブは、自転車のライトがタイヤを回す力で発光する原理と同じく、ゼンマイのほどける力をステータ(ローターにコイルを巻いたもの)に伝え発電します。その電気エネルギーが、水晶振動子とICを動かします。つまり、クォーツのような外部エネルギー(電池)に頼らない自己完結した動力の仕組みなのです。
そのため、クォーツに必要な電池交換の手間が、スプリングドライブは不要です。クォーツに必須なステップモーターも不要のため、クォーツよりも磁気帯びに強いメリットも兼ね備えます。
精度で比較した場合、一般的なクォーツが月差±20秒程度。一方、スプリングドライブが月差±15秒~±10秒程度なので、いかに高精度かお分かりになるかと思います。
余談になりますが、クオーツには「スーパークォーツ」と呼ばれる年差±15秒の超高精度を誇るクォーツムーブメントも存在します。グランドセイコーの「9F系キャリバー」は、年差±10秒程度の圧倒的精度を実現している程です。
「正確な時の申し子」のスーパークォーツに比べれば、精度においては若干の見劣りをしてしまうかもしれませんが、機械式時計と同じゼンマイ駆動でありながら、月差±15秒~±10秒程度という高精度を誇ります。その凄さは、ゼンマイ駆動としては異例中の異例でしょう。
1988年に世界初の電池交換不要の自動巻発電クオーツ腕時計「オートクォーツ(現:キネティック)」は、スプリングドライブにとって「兄貴分」のような存在です。キネティックもスプリングドライブも、機械式とクォーツムーブメントを組み合わせた自動巻き発電クォーツの仕組みです。
スプリングドライブとの大きな違いは、キネティックには充電用電池が搭載されており、内部の発電モーターの電気を充電して蓄えることで、電力の問題を解決しています。しかし、キネティックは「定期的な着用(腕の振りで充電する必要がある)」の問題があり、世界的な普及にまでは至りませんでした。
しかし、キネティックの技術応用のお陰で、現在のスプリングドライブがあるので、世界的な活躍は出来なかったものの偉大な兄貴的存在なのは間違いないでしょう。
スプリングドライブのメリットである「耐衝撃性」と「極低温下の安定性」は、ダイバーズウォッチとして必須の機能も併せ持ちます。別の言い方をすれば、スプリングドライブは機能性で見た際に、ダイバーズウォッチとして理想的なムーブメントと言えます。
機械式時計の故障の要因の一つとして、歯車にブレーキをかける脱進機の「アンクル」と呼ばれるパーツが摩耗しやすい傾向があります。一方、スプリングドライブは、電磁ブレーキの仕組みを使用しているため、アンクルを搭載していません。その結果、機械式時計よりも耐衝撃性と堅牢性に優れています。
また、ダイバーズウォッチに必要不可欠な極低温下の動作に強いのも、スプリングドライブの大きな利点でしょう。身近にあるスマートフォンが、冬場の寒い中だと、使用している最中に突然電源が落ちたり、予想よりもバッテリーの残量が減っている経験が誰しもあると思います。クォーツムーブメントもスマートフォン同様、ムーブメントが冷えすぎると電力が伝わらず止まってしまう(電池切れ)弱点を抱えています。
スプリングドライブは電池が不要なため、ダイバーズウォッチに必要不可欠な極低温下においても電池切れの心配がなく、安定した動作性と正確な時を刻み続けることが可能なのです。
2010年の100個限定ウォッチ、「セイコー スプリングドライブ スペースウォーク」をご存じでしょうか?世界初の宇宙空間での活動を対象にしたスプリングドライブ搭載のスペースウォッチです。
宇宙空間は-20℃~+70℃もの温度差がある過酷な環境であり、無重力状態は勿論、強い放射線の問題もあります。しかし、スペースウォークは、5時間38分にわたる宇宙船外活動(EVA)の間、正確な時間を表示することに成功。ストップウォッチも完璧に作動する高性能ぶりを発揮しました。
実際の映像もあるのでご覧ください。スプリングドライブがフワフワと浮いており、頑強性と安定した動作性を証明していますね!
宇宙に旅立ったスペースウォークはその後、2個のうち1個がニューヨーク開催の「アンティコルム」のオークションに出品され、慈善団体「The Nature Conservancy(TNC)」と「The Challenger Center for Space Science Education」に寄付されたそうです。
スプリングドライブの最大のメリットと言えば、氷の上を滑るように滑らかに動くスイープ運針の美しさでしょう。「静かすぎる!」と揶揄されるほど、スムーズに動き続けるスイープ運針は、クォーツ式のステップ運針(※カチッカチッと1秒を刻む)や機械式時計のビート運針(チチチチッと小刻みに震えるように動く)とも違う独特な滑らかな動きを誇り、スプリングドライブの所有者を魅了し続けます。
グランドセイコーの大人気デザイン「雪白」の美しい白い文字盤上を青針が流れるように動く様は、「時を刻まない針」という表現がピッタリな芸術性です。
全体を通して、グランドセイコーのスプリングドライブに絞って、ご紹介している今回の記事ですが、この項目に限っては例外的に、「クレドール」の偉業をピックアップしてみました。グランドセイコー同様、クレドールも2019年(クレドール設立45周年)にセイコーから独立しており、ドレスウォッチなど希少性の高いモデル作りを得意としています。
無音で正確な時を刻むスプリングドライブに、もっとも相性の良い機能と言えば、高級複雑時計の代名詞「ミニッツリピーター機構」であり、関連して「マイクロアーティスト工房(長野県塩尻市)」の快挙を取り上げざるを得ないからです。
※注釈※マイクロアーティスト工房は、「スプリングドライブ8DAYS」などのグランドセイコーのモデルも手掛けています。
マイクロアーティスト工房誕生前の1990年代、セイコーが世界初のクォーツ腕時計の普及に力を注ぐ反面、機械式腕時計づくりのノウハウは色あせつつありました。更に、人や設備まで失われつつあったといいます。マイクロアーティスト工房の初期設立メンバーは、技能五輪世界大会の金メダリスト、塩原氏だけだったそうです。そんな危機的状況を救ったのが、スプリングドライブの開発チームのメンバーである茂木正俊氏です。
2003年に茂木正俊氏はマイクロアーティスト工房に所属。2004年には、「クレドール スプリングドライブ スケルトン彫金モデル」を発表し、少数精鋭の工房の組織づくりに貢献します。
2006年には、「クレドール スプリングドライブ ソヌリ」を発表。世界でも限られた時計メーカーしか作れない超絶技巧をたった6年で作るレベルに到達した事実は、その難しさを理解する方達を深く驚愕させたのです。
どこか懐かしい日本人の琴線に触れる心地よい音色は、ゴングの代わりにお寺の梵鐘をイメージしたお鈴(りん)を当初自作して組み込んだそうです。美しい音色の完成のために、富山県で仏具を作る藤巻製作所に協力を仰ぎ、音でも和の美しさを表現するこだわりぶりは……まさに、「匠の技」ですよね!!
スプリングドライブの価値や魅力は、もしかしたら本場「日本」よりも海外の方が評価が高いかもしれません。「和」と「洋」の国民性の違いが影響しているかもしれませんが、海外の時計愛好家達はスプリングドライブの美しさと凄さ、ジャパニーズウォッチの価値を高く評価しています。
もうすぐ100万再生、約3万の高評価。海外の腕時計人気ユーチューバーもその価値と凄さを認めていますね!海外の人気ユーチューバー「Teddy」さんも、スプリングドライブの仕組みと凄さをわかりやすく解説しているので、興味のある方は日本語字幕付きでご覧ください。
関連して、イギリスで人気の大手時計買取店「Watchfinder & Co.」さんもグランドセイコーのスプリングドライブ搭載ダイバーズウォッチ「SBGA229」が、ロレックスサブマリーナに匹敵する性能であることを讃えています。
また、今回記事の後半部分「スプリングドライブの人気ダイヤル紹介」の最後(ダイバーズウォッチのモデル紹介)でも、別動画にて海外の評価の高さをご紹介しています。
Heritage piece.#GrandSeiko #SpringDrive pic.twitter.com/w39l6p6wyf
— Teddy Baldassarre (@baldassarreted) September 19, 2021
Grand Seiko Spring Drive GMT "Eagle" USA Limited Edition. https://t.co/KpR1O4pUp9#GrandSeiko#SpringDrive#Horology#GrandSeikoSBGE263 pic.twitter.com/jEpkxAwpCZ
— European Watch Co (@EuropeanWatchCo) September 9, 2021
another GS, get used to it… the SBGA211 aka “The Snowflake”. A future classic, we are talking a springdrive movement, one of the greatest innovations in watchmaking in recent times, titanium build, 9R65 movement (-+1 sec a day) but look at that dial, GS is honestly another level pic.twitter.com/QazMMMspIG
— N ⚡ (@ZNXM_) January 28, 2022
Masterpiece.. Springdrive snowflake!
— xnahtanfake_ (@nahtanfake) August 25, 2021
This is my Hi beat.. pic.twitter.com/bjYfzWFdKg
このように好意的なスプリングドライブの投稿もネット上には多数見受けられます。その他の海外の高評価については、関連記事で詳しく述べているので、合わせてチェックしてみましょう。
スプリングドライブの特徴のまとめも兼ねて、スプリングドライブとグランドセイコーの機械式やクォーツの違いを簡単にわかりやすくまとめてみました。表も合わせてご覧ください。(※スマホは横にスクロールしてください)
ムーブメント | 動力(トルク) | 制御 | 価格 | 寿命 | 精度 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
機械式 | ゼンマイ(強) | 脱進機 | 中~高 | 長 | 日差数秒 | ・ステータス性が高く、寿命も長い ・衝撃に弱く、オーバーホール必須 |
クォーツ式 | 電池(弱) | 電気信号 | 低~中 | 短 | 年差±10秒 | ・精度は高いが、電池交換が必須 ・寿命が短く、ステータス性が低め |
スプリングドライブ | ゼンマイ(強) | 電気信号 | 中~高 | 長 | 月差±15秒~±10秒 | ・精度は高めで、電池交換がいらない ・衝撃に強いが、メンテナンス面が問題 |
<機械式時計のメリットとデメリット、違い>
◎歴史が長く芸術性が高い
▲クォーツ式やスプリングドライブに比べ、精度に劣る
▲構造上、衝撃に弱い
▲メリットでもあり、デメリットでもある巻き上げの手間が生じる
<クォーツ式のメリットとデメリット、違い>
◎コストパフォーマンスに優れる
◎圧倒的な精度の高さ
▲寿命が短い
▲歴史が短いのもあり、ステータス性が低いのが難点
▲トルクのパワーが弱く、太い針を動かせないため、デザイン性が乏しい
<スプリングドライブのメリットとデメリット>
◎機械式時計とクォーツのいいとこどりをしている
▲グランドセイコーしか作っていないため、メンテナンス面が最大の弱点
▲分厚く小型化や多機能性が課題
スプリングドライブのデメリットについては、後ほど詳しくご説明します。
グランドセイコーの型番は、「S◯G◯+数字3桁(通し番号)」で構成されているのをご存知でしょうか?1番目にはSEIKOの「S」。3番目にはGrand Seikoシリーズの「G」の文字が、グランドセイコーのモデルには共通してつけられています。
≪2番目のアルファベットの法則≫ほぼ全てのモデルは、2番目のアルファベットを見れば、「B」と「T」の文字でどちらのモデルか判別が可能です。グランドセイコー60周年に作られたムーブメント(※キャリバー9RA2やキャリバー9SA5)搭載の限定モデルには、例外的に「L」の文字が2番目に入っています。
≪4番目のアルファベットの法則≫4番目の文字は、ムーブメントの種類に応じてアルファベットが振り分けられています。型番への理解が深まれば、「メンズモデルorレディースモデル」か「スプリングドライブor機械式orクォーツ」のどれか一瞥して判断できるようになりますよ!
スプリングドライブが搭載されているセイコーブランドは、「グランドセイコー」「クレドール」「ガランテ」などの幾つかのブランドが存在します。今回は、グランドセイコーのスプリングドライブのキャリバーに限定してご紹介します。
グランドセイコーのムーブメントは、どれも究極を意味する「9」の文字が頭文字として名付けられています。今回は代表的なキャリバーのエピソードを中心に、違いや特徴を簡単にご紹介します。
スプリングドライブのムーブメントは大きく分けると、上記の4つの種類があります。今回は、最新キャリバーのエピソードを中心に、スプリングドライブの凄さをご紹介致します。
2019年に発表された手巻きスプリングドライブ「9R02」と「9R31」2種類のムーブメント。初代スプリングドライブ開発チームを率いた高橋理氏が、再びチームリーダーとして、より実用性の高い手巻きキャリバーを目指し、生み出されました。
「9R31」には、新機構「デュアルスプリングバレル」を搭載。動力源であるゼンマイを一つの香箱に、2本の薄く長いゼンマイを内蔵することで、約72時間の持続時間を確保しています。超薄型の手巻きムーブメントを搭載することで、より味わい深いエレガントな日本の美を表現しているのが特徴です。
更に、9R02には「デュアルスプリングバレル」だけでなく、「トルクリターンシステム」という高橋理氏が発明したもう一つの機構を搭載。こちらも超薄型の手巻きムーブメントなのに、大幅なパワーリザーブの向上(約72時間を超える約84時間!)に成功しています。どちらのキャリバーも固有の美しさを放っており、甲乙つけがたいラグジュアリーな手巻きキャリバーでしょう。
9R02はマイクロアーティスト工房で、9R31は匠工房で開発されています。機能面で比較すれば、9R31は「デュアルスプリングバレル」のみ。9R02には「デュアルスプリングバレル+トルクリターンシステム」が搭載されています。
ちなみに、キャリバー「9R01」は、マイクロアーティスト工房が2016年に初めて手掛けたグランドセイコーのキャリバーです。3つの香箱を直列に配置しており、3倍の動力源(パワーリザーブ約192時間)の連続駆動を可能としています。
2021年発表の新しい自動巻スプリングドライブムーブメント「9RA2」は、スペック面で見ればグランドセイコーの技術の集大成と呼べるハイスペックさがウリでしょう。新しく「真空パッケージIC」を採用したことで、水晶振動子とICの消費電力ロスを減らし、温度変化の影響を受けにくくしています。その結果、水晶振動子の弱点である温度変化の弱さを軽減することで、平均月差±10秒という高精度を実現しています。
他にも、大きさの異なる香箱を2つ並べて配置した「デュアルサイズバレル」と「オフセットマジックレバー」という二つの機能を採用したことで、120時間の驚異的なパワーリザーブを確保するとともに、約0.8mmの薄型化に成功。更に、薄くなったムーブメントの耐久性と耐衝撃性をカバーさせるために、「ワンピースセンターブリッジ」で頑強性をキープしています。
グランドセイコーの傑出した技術の粋が詰め込まれた自動巻きキャリバー「9RA2」は、「薄さと頑丈さ」「精度と持続時間」などの機能の矛盾点すら解決した次世代を支える夢のキャリバーと呼んでも差し支えがないでしょう。
スプリングドライブ搭載モデルを選ぶ際の嬉しい点と言えば、GMTスプリングドライブとクロノグラフスプリングドライブというデザイン性に優れたキャリバーが多数存在する部分でしょう!
パワーリザーブで見れば、約72時間と若干の見劣りがするものの、自動巻きスプリングドライブ「クロノグラフGMT キャリバー9R96」なら、平均月差±10秒という高精度を維持しつつ、デュアルタイム表示機能(24時針)やストップウォッチ機能、カレンダー連動時差修正機能など機能面でも充実しています。
大まかなスプリングドライブの4つのキャリバーの特徴をまとめます。
・手巻きキャリバー=ハイエンドなドレスウォッチ自身の好みに応じて、キャリバーの種類と違いを念頭に置いて、スプリングドライブをチョイスするのも有効なスプリングドライブウォッチの選び方でしょう。
スプリングドライブ搭載モデルを選ぶのに役立つ代表的な型番例も抜粋してみました!
3針スプリングドライブ・・・・SBGA型番はムーブメントや機能とも連動しているので、購入したいモデルタイプが決まっている方や絞り込んで探したい方はお役立てください。
非の打ち所がないように感じられるスプリングドライブですが、課題点や問題点も山積みなのが現状です。スプリングドライブのメリットと凄さについては、前半部分でしっかり紹介したと思うので、後半部分はスプリングドライブの問題点やデメリットについて言及致します。スプリングドライブの長所である「機械式とクォーツのいいとこどり」は、裏を返せば「悪いとこどり」してしまっているのが、大きな問題点でしょう。
購入後に後悔しないためにも、スプリングドライブの課題点をしっかりと把握しておきましょう!
スプリングドライブは機械式時計やクォーツよりも磁気帯びに強いのは事実です。クォーツならステップモーター、機械式時計ならテンプを搭載していないため、他のムーブメントよりも磁気帯びの影響を受けづらいのです。
しかし、スプリングドライブは磁力で時計の精度をコントロールしているため、長い間磁気を帯び続けてしまうと、時刻の狂いやズレ、止まったなどの症状が発生してしまうのでご注意ください。磁気帯びはスプリングドライブの寿命にも影響するので、身近な電化製品(スマートフォン・テレビ・パソコン・オーディオ機器)から最低5センチ(できれば10センチ)以上離して置く習慣づくりが、大切なスプリングドライブを磁気から守る有効な防衛手段です。
磁気に弱いクォーツを題材にご説明していますが、高級腕時計全般を磁気から守るためのガイドブックとして、関連記事をお役立てください。
グランドセイコーはロレックスのミルガウス、IWCのインヂュニアのような強化耐磁モデル作りも得意としています。クオーツモデルの「SBGX089」と「SBGX091」は耐磁性能40,000A/m。メカニカルモデルの「SBGR079」と「SBGR077」は80,000A/mの耐磁性能を誇ります。
スプリングドライブは比較的磁気のトラブルに強いので、機能的には必要ないのかもしれませんが、スマートフォンやWi-Fiなどの電磁環境も益々進化していくでしょうし、スプリングドライブも耐磁モデルが必要かもしれません……実用性を追求するグランドセイコーなら、既に手を打っているかもしれませんので、磁気トラブルを避けたい方はスプリングドライブの今後の更なる進化を心待ちにしてみましょう!
スプリングドライブを購入した後につきまとう最大の問題と課題点はメンテナンス面の問題でしょう。スプリングドライブのウリでもある「独自性=グランドセイコーしか作っていない」というメリットが、メンテナンス面だけで考えれば、まんまデメリットにも当てはまってしまうのです。
・維持費が高い
・修理が難しい(純正部品のパーツ問題)
・時間がかかる
という3つの課題とデメリットを抱えています。順を追って、ご説明します。
スプリングドライブを一生モノの愛機にする際にネックになるのは、維持費(ランニングコスト)が高い点でしょう。長い年月で見れば、「グランドセイコーしか作っていないスプリングドライブ」という長所が霞んでしまうほど、ランニングコストがかさむのは大きなデメリットです。
スプリングドライブも機械式時計と同様、大まかに3~8年を目安にオーバーホールでメンテナンスする必要性があります。200以上の精密なパーツ群とゼンマイ(歯車)を使っているため、オイル切れや劣化したまま普段使いすると、最悪壊れるなどの悪影響が出てしまいます。
スプリングドライブのメンテナンスは特殊で、オーバーホールは基本的にグランドセイコーでしか取り扱っていません。グランドセイコーの機械式時計やクォーツ式なら、近くの修理店でも対応できますが、スプリングドライブはクォーツとメカニカルを融合した複雑な内部構造なため、グランドセイコーでも訓練を積んだ一部の時計技師しかメンテナンスが出来ないのです。そのため、グランドセイコー専門のメンテナンスサービス「コンプリートサービス」しか実質、選択肢がないのが現実です。
コンプリートサービスはコチラ⇒https://www.grand-seiko.com/jp-ja/support/complete以下で「コンプリートサービス料金」をご紹介しています。
クォーツやメカニカルに比べ、56,000円~85,000円+税(2022年5月現在)と割高なため、スプリングドライブを一生モノにする場合、後々維持費がかさんでしまうのを念頭に置いておきましょう。
グランドセイコーの公式HPにも明記してありますが、純正部品のパーツの保有期間は、生産終了から10年が目安です。
サポートはコチラ⇒https://www.grand-seiko.com/jp-ja/support
踏み込んで課題点についてお伝えすると、購入したムーブメントが生産終了から10年程度までは盤石な保証体制ではありますが、一生モノの長い年月で考えた場合、パーツの在庫がなくなってしまった数十年後は、グランドセイコーに限った話ではありませんが、メーカーでも修理が困難になってしまうリスクを内包しているのです。
スプリングドライブは仕組み面で見れば、電池交換が不要な機械式時計のように半永久的に使用できるハイブリッドムーブメントです。しかし、クォーツのパーツ(トライシンクロレギュレーターやIC)が故障してしまった場合、純正部品のパーツが在庫切れだと完全修復は難しいのが現状です。
腕の良い街の修理屋さんに頼んで、非正規パーツで修理する手段もあります……しかし、言葉を強めますが、資産価値の面でやめておいた方がいいでしょう。せっかくの資産価値が高い高級腕時計の複雑ムーブメント「スプリングドライブ」が、非正規パーツで組み立て修理してしまうと、その価値が大幅に損なわれる可能性があるからです。
グランドセイコーしか作っていないスプリングドライブ。メンテナンスの期間の長さで考えた場合、「グランドセイコーしか直せない」というデメリットにも直結しています。基本的に、修理完了・発送までの目安は3~6週間程度ですが、時計のコンディション次第ではそれ以上の時間を要するケースも存在します。
口コミでも見かける「オーバーホールを頼んだら数ヶ月待ちだった……」という修理の順番待ちの問題もお忘れのないように。
スプリングドライブのその他の問題と言えば、他の高級腕時計に比べると「分厚くて大きめ」という構造上の問題でしょう。
・小型化
この二点が実用性とデザインで見た場合の課題点でしょう。世界に誇れるほど精巧な腕時計づくりの技術を持つグランドセイコーも小型化&多機能化に日夜チャレンジしていますが、人気のスポーツウォッチやラグジュアリーウォッチと比べるとまだまだ課題が残っている状況です。
ただし、時計の分厚さが気にならない、むしろ厚みがある方が好み、という方にとっても全く問題にならず、長所にすらなりうるものでしょう。
せっかく購入したスプリングドライブの素晴らしい時計、定期的にメーカーオーバホールをして、長く愛用できればそれが一番ではありますが、高級腕時計の買取を行うピアゾ編集部ならではの結論ですが、様々なデメリットを考慮して、、
「とりあえず、オーバーホールのタイミングまでグランドセイコー独自のスプリングドライブを楽しんじゃおう!」
「ステータス性は高いし、資産価値も今後期待できるから、コレクション目的で購入。タイミング見て高額買取。また別の新しい腕時計を楽しむのもアリかも……」
といったスプリングドライブの愛し方も、一案としてご参考になればと思います。
重箱の隅を楊枝でほじくるように、細かなデメリットにも触れてみましたが、クォーツショックやスプリングドライブで世界を驚愕させたグランドセイコーなら、今後驚くような実用性に秀でたスプリングドライブを生み出してくれることでしょう。国産トップブランド、グランドセイコーならきっとやってくれるはずです!!
シンプルな3針モデルが多いイメージのグランドセイコー。GMTの「SLGH005」が、2021年度ジュネーブ時計グランプリ「メンズウオッチ」部門賞を受賞するなど、クロノグラフやGMTモデルにも力を入れています。
スプリングドライブの凄さと美しさを表現した要注目の人気ダイヤルを8モデルご紹介します!! デザイン面や機能面で遊び心を感じるモデルを中心に、新作モデルや限定モデル、定番モデルも忘れずにピックアップしてみました。
<スプリングドライブSBGA201スペック>
ケースサイズ:横41mm×縦49mm×厚さ12.5mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス
文字盤:ホワイト
ムーブメント:9R65
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:572,000円
グランドセイコーのロングセラーモデルの「SBGA201」と「SBGA203」は、値段も572,000円とお手頃でスプリングドライブの入門にもピッタリな人気モデルでしょう。滑らかで美しいスイープ運針、光の加減で表情が変わるシルバーのダイヤル……セイコースタイルの基本をしっかり抑えたスタンダードな3針モデルなら、飽きの来ない上質なひと時を日々満喫できることでしょう。
「完成されたデザインの3針モデルとスプリングドライブの組み合わせです。コストパフォーマンスと実用性のバランスがいい、スプリングドライブデビューにもってこいな王道モデルです」
<スプリングドライブSBGY008スペック>
ケースサイズ:横38.5mm×縦43.7mm×厚さ10.2mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/18Kピンクゴールド
裏ぶた:18Kピンクゴールドとサファイアガラス
文字盤:ホワイト
ムーブメント:9R31
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:4,180,000円
モデル数:世界限定60本(国内30本)
信州の雪景色を彷彿とさせる真っ白な文字盤と温かな春をイメージさせるピンクゴールドのベゼルと文字針……「信州 時の匠工房」の職人達が一つひとつ丁寧にハンドクラフトした「SBGY008」は、和風ドレスウォッチの芸術品です。
木の枝から零れ落ちる「垂り雪(しずりゆき)」の美しさをケースサイドの異なるサイズのダイヤモンドで表現。熟練の職人芸でステッチを手縫いしたレザーストラップまでこだわっており、細部の細部まで匠の手作業のあたたかさを感じ取れる特別品です。
「冬を象徴する白……春を象徴する桜色。四季の美しさまで詰まった贅沢なハイエンドモデルです」
<スプリングドライブSLGA007スペック>
ケースサイズ:横40mm×縦47.6mm×厚さ11.8mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス
文字盤:ブルー
ムーブメント:9RA2
パワーリザーブ:約120時間
精度:平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)
定価:990,000円
モデル数:世界限定2,021本(国内500本)
セイコー創業140周年記念限定モデル「SLGA007」(→実機レビューあり)も「信州 時の匠工房」が作り上げた実用性とデザインに優れたスプリングドライブモデルです。信州を代表する大自然「諏訪湖」の水面をダイヤルに切り取ったかのような多彩な表情は一見の価値アリです!文字盤に採用された「ミナモパターン」は、光を受けた角度次第で、水面の揺らぎのように変化に富んだ顔色で、所有者を気まぐれに楽しませてくれます。
最新キャリバー「9RA2」を搭載したことで、ケースの薄型化とパワーリザーブ約120時間、平均月差±10秒という高精度さも兼ね備えており、実用面でも申し分のない性能です。
<グランドセイコー GMT SBGE255スペック>
ケースサイズ:横40.5mm×縦48.7mm×厚さ14.7mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス(※ベゼルはセラミックス)
文字盤:ブラック
ムーブメント:9R66
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:715,000円
GMTベゼルも加わり、デザイン性でも大満足な「SBGE255」は、スポーツウォッチの定番&セイコースタイルの基本を押さえつつ、夏の穏やかな時間までも表現しています。
実用性を追求するグランドセイコーらしい、耐傷性能と強度に優れるジルコニア・セラミックスをベゼルに……リューズの位置を4時位置に配置することで、アクティブな状況でも手首のスムーズな動きを実現しています。
「注目すべきは何と言っても4時位置にリューズがある点でしょう。実用性とデザイン性を両立させたワンポイントは、GMTのベゼルだから映えるのかもしれません」
<グランドセイコー GMT SBGE271スペック>
ケースサイズ:横40.2mm×縦48.5mm×厚さ14mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス
文字盤:ブラック
ムーブメント:9R66
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:726,000円
二十四節気(春夏秋冬を24等分した名称)をテーマに日本の美しさを表現し続けるグランドセイコー。2021年新作の「SBGE271」は、秋の夜長の落ち着きをブラックの文字盤に……GMTの金色の針で、夜空を照らす月の光の輝きを絶妙に表しています。
GMT搭載なのに、726,000円と比較的お手頃な価格なのも購入意欲をそそる定番のGMTスプリングドライブです。
「控えめな光り輝くシルバーのベゼル、いわし雲をイメージした味わい深いブラックのダイヤル……3時位置のリューズボタンと金色の針。コストパフォーマンスも良い、ある意味欲張りなデザインの定番モデルです」
<グランドセイコー クロノグラフGMT SBGC242スペック>
ケースサイズ:横43.8mm×縦51.2mm×厚さ16.1mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ステンレス(一部18Kイエローゴールド)
ベゼル:セラミックス
裏ぶた:サファイアガラス
文字盤:ブラック
ムーブメント:9R86
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:2,035,000円
正統派スポーティーなクロノグラフが好みの方に、スプリングドライブ&クロノグラフ&GMTを組み合わせた「SBGC242」はいかがでしょうか? 18Kイエローゴールドを使ったプッシュボタンはクリック感も心地よく、従来のクロノグラフモデルよりも若干のサイズダウンを実現し、装着性にも優れています。
高級感と知的さを演出できた「最高に普通」な王道クロノグラフです。
「十二角形のイエローゴールドベゼルは、視認性も抜群!実用性をキープしつつ、クロノグラフのデザインと美しさを昇華させた鉄板モデルです」
<クロノグラフ15周年記念限定モデルSBGC247スペック>
ケースサイズ:横43.5mm×縦51.2mm×厚さ16.1mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ブライトチタン
裏ぶた:ブライトチタンとサファイアガラス
文字盤:ホワイト
ムーブメント:9R96
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)
定価:1,276,000円
モデル数:世界限定700本(国内300本)
グランドセイコーが作り上げた人気デザイン「雪白」とも違う荒々しい雪景色をダイヤルに表現した「シュカブラ」模様が輝かしい「SBGC247」は、クロノグラフ15周年を祝う数量限定モデルです。
力強さと荘厳さすら漂わせる仕上がりは、特別感満載のクォリティーの高さです。回転錘にあしらわれた18Kイエローゴールド製の「獅子の紋章」がより輝いて見える程です!!
「雪白のスノーフレークとは、また違うダイヤルの美しさです。白とシルバーの対比のお陰か、ブレスレットまでよりピカピカと輝いて見えます」
<ダイバーズウォッチSBGA463スペック>
ケースサイズ:横44.2mm×縦 51mm×厚さ14mm
コーティング&外装:内面無反射コーティング/ブライトチタン
ガラス材質:サファイア
文字盤:ブラック
ムーブメント:9R65
パワーリザーブ:約72時間
精度:平均月差±15秒(日差±1秒相当)
定価:869,000円
実用時計の最高峰……言葉にするなら容易いですが、過酷な深海の活動も想定して実用性を形に成すのは様々なトラブルをクリアしなければなりません。
あえて、グランドセイコーの「有言実行」ぶりを見倣い、ここでは詳細な説明を致しません。関連動画でグランドセイコーの価値を別の方が詳しくご説明しているように、超人気ダイバーズウォッチの代名詞「ロレックス サブマリーナ」を凌ぐ評価が多数見受けられているからです。海外の評価の高さこそ、グランドセイコーの「実用時計の最高峰」を証明しているでしょう。
※1:00当たりからグランドセイコーのダイバーズウォッチとサブマリーナを比較した感想を述べています。
ダイバーズウォッチの宿命でもある砂や塩分に対しても配慮したベゼルのアフターサービス分解含め、既に海外でも評価の高いダイバーズウォッチを進化させた「SBGA463」の詳細は関連記事でご確認ください。
スプリングドライブの特徴や仕組み、多くのメリットと購入後のデメリットについても解説した今回の記事、いかがだったでしょうか?
スプリングドライブの凄さや価値については、これでもまだ伝え足りないくらいですが、その魅力が幾分でも伝われば幸いです。
スプリングドライブを総評すると、機能面で見れば「一生モノの高級腕時計」に値するグランドセイコーが生み出した「第三のムーブメント」で間違いありません。しかし、「スプリングドライブの問題点」で詳細を述べた通り、メンテナンスの面で多少の問題と課題が残っており、無理して一生モノの愛機として使用し続けるのは、窮屈さが残ってしまうかもしれません。
スプリングドライブの課題点(デメリット)すら、「あばたもえくぼ」のように愛し続けて、一生モノにするも良し。「見切り千両」で、多くの名機達をコレクションするのも一興です。この記事を読み込んで、自分なりのスプリングドライブモデルの愛し方と関わり方の指針が見つかればと思います。
スプリングドライブは機械式時計やクォーツと比べると、メンテナンス面で課題が残ります。特に、ランニングコストがかさむ点は、長い目で見れば大きな痛手となります。
「オーバーホールの時期だから、スプリングドライブモデルを思い切って手放しちゃおう!」手放し時に悩みがちな高級腕時計のジレンマ解決に、ピアゾの9社一括査定はいかがでしょうか?グランドセイコーは最近、資産価値の変動も多数見受けられるので、一括査定で大切なスプリングドライブの適正価値を見定めください。