更新日:2026年05月20日
チューダー ヘリテージブラックベイ 79230Rの実機レビューをお届けします!
チューダー ヘリテージブラックベイ 79230Rは、41mmのステンレススチール(SS)製ケースに自動巻き Cal.MT5602を搭載しています。かつてロレックスの「ディフュージョンブランド」として誕生し、独自の進化を遂げて完全なる独立ブランドとしての地位を確立したチューダー(TUDOR)。その復活劇と現在の躍進を決定づけた絶対的アイコンが「ブラックベイ(BLACK BAY)」コレクションです。
今回ご紹介する「ヘリテージ ブラックベイ バーガンディレッド(Ref.79230R)」は、2012年に登場した記念すべきファーストモデルのDNAを受け継ぎながら、内部機構をドラスティックに進化させた2世代目にあたる傑作です。
時計愛好家の皆様に向け、ブランドの歴史的ターニングポイントとなったこのモデルを、3つの視点からディープに紐解いていきます。早速実機をレビューしていきましょう。
本作Ref.79230Rの登場は2016年。これはチューダーの歴史において、極めて象徴的な意味を持つ年でした。 2012年に華々しくデビューした初代ブラックベイ(Ref.79220R)は、文字盤に往年の「小バラ」ロゴを冠し、汎用ムーブメントであるETA社製のキャリバーを搭載していました。
それに対し、2016年に発表された本作Ref.79230Rは、文字盤のロゴを現代的な「盾(シールド)」マークへと刷新。そして何より、チューダーが完全自社開発した「マニュファクチュール・ムーブメント」をその堅牢なケースへと初めて積み込んだのです。数量限定の希少性はありませんが、チューダーが「ロレックスのパーツや他社製機械に頼るブランド」から、「自社で最高峰の機械を内製する単独のマニュファクチュール」へと完全に脱皮したことを世界に証明した、歴史的パラダイムシフトを象徴する一本です。
時針と秒針の先端に配された四角いモチーフ。これは1969年にフランス海軍に納入された「チューダー サブマリーナー」に採用されていた伝説的なディテールです。ロレックスのベンツ針との差別化であり、グローブをはめた水中でも一目で時針と分針を見間違えないための実用的なデザインが、現代の文字盤に見事に蘇っています。
ブラックベイのアイデンティティとも言えるのが、この深みのある「バーガンディレッド(ワインレッド)」のアルミニウム製ベゼルインサートです。 ダイバーズウォッチにおいて、視認性を重視した黒や、海を連想させる青は定番ですが、この深みのある赤は極めて異例の選択でした。
この赤は、ヴィンテージのロレックスやチューダーのサブマリーナーが、長年の経年変化や紫外線によって奇跡的に退色した「フェードベゼル」の色味をあらかじめサンプリングしたものです。マットな質感に仕上げられたアノダイズド(陽極酸化)アルミのベゼルは、光の当たり方によってボルドーのようにも、落ち着いたブラウンのようにも表情を変え、ツールウォッチでありながらどこか色気のある知的な腕元を演出します。腕に着けている時も存在感が感じられますね。
ラグは長めですが、先端にかけて若干内側に入っているので着用感にも問題無さそうです。
埋め込み式リューズ。リューズは、1958年に発表された伝説の「Ref.7924(通称ビッグクラウン)」をオマージュした、ガードなしの大型8mmリューズを採用。リューズのトップには、文字盤からは消えてしまった「小バラ(チューダーローズ)」の刻印がひっそりと残されており、新旧のファンを狂喜させました。さらに、リューズの根元(アルマイト加工された陽極酸化アルミ製のリューズチューブ)が、ベゼルと同色のバーガンディレッドで塗装されている点も、ディテールにこだわるチューダーならではの粋な演出です。
ケース厚は14.7mmとかなり重厚感があります。
ムーブメントはマニュファクチュールのキャリバーMT5602を搭載。自動巻き(チューダー自社開発)、28,800振動/時、パワーリザーブ約70時間、25石、耐磁性シリコン製バランススプリング(ヒゲゼンマイ)、ツインブリッジ(テンプ受け)、フリースプラング(可変慣性テンプ)スイス公認クロノメーター(COSC認証)。
時計に詳しい方であれば、チューダーの自社キャリバーの型番にある「MT」が「Manufacture TUDOR」の略であることはご存知でしょう。 しかし、このCal.MT5602がデビューした当時、時計業界の技術者たちが最も驚愕したのは、その価格帯を遥かに超越した「素材」の贅沢さにありました。
このムーブメントには、高級時計の最新トレンドである「シリコン製のヒゲゼンマイ(バランススプリング)」が標準装備されています。シリコン素材は磁気を全く帯びないため、現代人の生活環境において時計狂いの最大の原因となる「スマートフォンやPCによる磁気帯び」を根本からシャットアウトします。当時、本家ロレックスでさえ一部のモデル(パラクロム・ヒゲゼンマイなど)で磁気対策を行っていた中で、チューダーがこの価格帯の実用時計に最高峰の耐磁素材を投入してきたことは、グループ全体の技術的自信と、本気で市場を獲りにいくという強い意思の現れでした。
Cal.MT5602の設計思想は、徹底した「堅牢さ」と「利便性」にあります。パワーリザーブは、現代のプレミアムウォッチの基準となる約70時間を確保。金曜日の夜に時計を外し、土日に別の時計を楽しんだとしても、月曜日の朝にそのまま動き続けている、いわゆる「ウィークエンド・プルーフ(週末耐性)」を実現しています。さらに、精度を司るテンプを支える構造には、片持ちではなく、両側からがっちりと固定する「ツインブリッジ(両持ち)」を採用。これにより、ダイビングや日常の激しい動きによる外部からの衝撃に対しても、テンプの軸がブレずに安定した高精度を維持できます。
さらに調整機構には緩急針を排した「フリースプラング(可変慣性テンプ)」を採用し、スイス公認クロノメーター(COSC)の厳しい基準を余裕でクリアする高精度を長期にわたって維持する仕組みを完成させました。汎用エタ芯だった前作に比べ、ケースの厚みがムーブメントの肉厚化に伴い「約14.8mm」へとわずかに増しましたが、それと引き換えに手に入れたこのモンスター級のスペックは、機械式時計のメカニズムを愛する人々にとって、厚みという参入障壁を補って余りある最大のロマンとなっています。
ベルトはファブリックとなっているので、スポーティーな印象。アウトドアが好きな方でも気軽に身に着けることが出来ますね。本来ならリベットブレスなのですが…!辛口で言ってしまうのであれば、唯一惜しいところ。
2012年発表の前作「79220」から2016年にモデルチェンジされた本作。前作と本作で好き嫌いが分かれそうですが…皆様はどちらがお好きでしょうか?
チューダーが単なるロレックスの弟分ではなく、時代を牽引するトップランナーであることを完全に証明した「ヘリテージ ブラックベイ バーガンディレッド(Ref.79230R)」。ヴィンテージの枯れたエッセンスを宿すバーガンディのアルミベゼル、大型のビッグクラウン、そして横顔にノスタルジーを添えるリベットブレス。外観にこれだけの「オールドスクールな愉しみ」を凝縮しながら、その心臓部にはシリコン製ヒゲゼンマイと70時間パワーリザーブを備えた最新鋭のマニュファクチュール・キャリバーMT5602が脈打っている。この「外見は極上のクラシック、中身はハイテクサイボーグ」という二面性こそが、多くの時計好きの物欲を刺激してやまない理由です。
現行のセラミックやラグジュアリーダイバーズにはない、1950年代のツールウォッチが持っていた熱いソウルを現代の最高クオリティで愉しむ。このボルドーの輝きを腕元に滑らせる瞬間、チューダーが紡いできたダイバーズの栄光の歴史と、新たな時代へ突き進むブランドの力強い鼓動を、誰よりも深く実感していただけるはずです。
| モデル | ヘリテージブラックベイ Heritage Black Bay |
|---|---|
| 型番(REF.) | 79230R |
| ケースサイズ | 41mm |
| ムーブメント | 自動巻き Cal.MT5602 |
| パワーリザーブ | 約70時間 |
| 防水 | 200m防水 |
| その他 | 2016年販売モデル モデルチェンジ |
| 定価(税込) | 431200円 |
※掲載内容は2024年02月調査時点のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください。
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