更新日：2021年11月15日
5月にフランス海軍（マリーン ナショナーレ）とのパートナーシップの再構築を発表したスイスの腕時計ブランド、チューダー（TUDOR）は、幾度ものリークを経て、ついにフランス海軍の特殊部隊との共同開発した独自の仕様の新作ペラゴス FXD（PELAGOS FXD）を公式発表しました！
【2021年新作】チューダー25707B/21 ぺラゴス FXDは42mmのサテン仕上げチタニウム製ケースに機械式自動巻ムーブメント マニュファクチュール キャリバー MT5602 (COSC)を搭載。希望小売価格は443,300円（税込）です。早速、レギュラーモデルとの違いにも注目しながら、特徴・価格をチェックしていきましょう。
左）ぺラゴス 25600TB 右）ぺラゴス FXD 25707B/21
新作ペラゴスFXDの特徴を説明する前に、購入の際にも比較検討することになるであろう、従来モデルとのスペック面での違いをざっくり押さえておきましょう。現行のペラゴスは3モデル、左利き用のペラゴスLHD（25610TNL）、ブラックダイヤルのペラゴス25600TB、ブルーダイヤルの25600TNです。そこに今回の新作ペラゴスFXD（25707B/21）が仲間入りしました。従来のモデルと新作はどんな違いがあるのでしょうか？表にまとめてみました。
| PELAGOS LHD | PELAGOS | PELAGOS FXD（新作） | |
|---|---|---|---|
| 型番（Ref.） | 25610TNL | 25600TB/25600TN | 25707B/21 |
| ケース径 | 42mm | 42mm | 42mm |
| ケース厚 | 14.3mm | 14.3mm | 12.75mm |
| ムーブメント | MT5612-LHD | MT5612 | MT5602 |
| 防水性 | 500 m | 500 m | 200 m |
| ベゼル | 回転防止ベゼル | 回転防止ベゼル | 両方向回転ベゼル |
| ヘリウム排出バルブ | あり | あり | なし |
| 参考定価 | ¥521,400 | ¥521,400 | ¥443,300 |
いずれもケースサイズは同じですが、実は今回の新作は若干薄くなっています。また、搭載キャリバーも違っており、ペラゴスFXDにはデイト表示がありません。ヘリウム排出バルブもなくなり、防水性はペラゴスが誇る最高性能の500m防水ではなく、200m防水へとスペックダウンしていますが、これはフランス海軍の行動範疇において適切な数値にアジャストしたということでしょう。
さらにベルトもペラゴスFXDは金属ブレスを付属していないため、価格が443,300円と、従来のモデルより78,100円安くなっている点にも注目です。おそらくほとんどの人にとって防水性が200mか500mか、という点は問題にならないでしょうし、（フランス海軍でも200mでよい、と言うんですから！）、日付表示がなくてもよい、メタルブレスでなくてもい、といった条件が合えば、より低価格で購入できるペラゴスFXDは魅力的なのではないでしょうか。
新作ペラゴス FXDは「フランス海軍の権威ある戦闘ダイバー部隊として知られる“コマンドー・ユベール”の協力のもと開発された、特殊機能を含む独自の仕様を満たす本物のテクニカルウォッチ」と謳われています。公式リリースでは以下の通り、ポイントが紹介されています。
これらのポイントについてさらに詳しく解説していきましょう。
フランス海軍の戦闘ダイバー部隊と共同で開発されたペラゴス FXDを、”特別仕様”たらしめる最大の特徴は、一塊のブロックから機械加工され、ケース本体に固定されたストラップバーの構造ではないでしょうか。これにより堅牢性と信頼性が高められると同時に、通常モデルとは違う独特なフォルムに仕上がっています。
若干ラグが長めのシルエットのようにも感じられますが、長すぎる、というほどではありません。次に裏蓋です。
数十年にわたりチューダーはフランス海軍にダイバーズウォッチを供給した歴史がありますが、中でも特に有名なブルーのダイアルとベゼルを持つチューダーサブマリーナー Ref.9401は、1970年代半ばから1980年代に使用され、“Marine nationale”のイニシャル“M.N.”と、製造年を表す数字が刻まれており”チューダーMN”などと呼ばれています。このシンボリックなモデルに着想を得て、今回の新作ペラゴス FXDの裏蓋にはフランス海軍の錨マークロゴと共に、”M.N.21”の文字が刻まれています。どうせならビンテージライクにロゴなし、小さめの文字で“M.N.”、”21”と2行で刻印してくれた方がビンテージ愛好家の方には響いたかもしれませんが、現代的なデザインの感覚で行けば、ロゴと数字のデザインは収まりがよく見えますね。
従来のペラゴスは逆回転防止ベゼルを採用していましたが、新作ペラゴスFXDでは両方向回転ベゼルを採用、しかも発光性目盛りは反時計回りとなっています。一見不可解なこの表示方法、一体なぜなのでしょうか。
120のノッチを刻んだ回転ベゼルも、ペラゴス FXDに新しく採用された仕様の一つです。両方向に回転するベゼルには、0から60までの目盛りが反時計回りにあしらわれています。ダイバーズウォッチ規格ISO 6425:2018への準拠よりも、戦闘ダイバーたちの重要な任務である“水中ナビゲーション”に特化したニーズを満たす仕様を優先した結果です。
通常ダイバーズウォッチの回転ベゼルの役割は”潜水時間の計測”ですが、フランス海軍のミッションにおいてそれは求められていません。フランス海軍の”水中ナビゲーション”は、事前に綿密に計画されたルートをたどり、水面に浮上することなくピンポイントで目的地へ到達する、ということが求められます。磁気コンパスを用い、本モデルのベゼルにあしらわれた反時計回りの発光性目盛りを、各セクションごとに設定された所要時間に応じて、ベゼル上の数字を分針の位置に合わせ、三角形のマーカーに達したらコースを変える、というオペレーションを繰り返し、連続した直線の水泳を繰り返して目的地にたどり着くのです。このように頻繁なベゼル操作が必要となりますから、両方向回転ベゼルのほうが使い勝手がいいわけですね。さらにベゼルリングはケース本体よりも大きく、ふちには深くギザギザが刻まれていますが、これはグローブ着用の手でも操作しやすいように、と意図されたものです。
ペラゴスFXDがフランス海軍に採用されてきたチューダー ダイバーズウォッチに着想を得ているのは裏蓋だけではありません。ダイヤルとベゼルカラーに採用されたブルーカラーも然り、「スノーフレーク」針やスクエア型アワーマーカーも然りです。
従来のモデルよりもやや濃い”ネイビーブルー”が採用された文字盤からは、"ROTOR SELF-WINDING "の文字が消えています。
ペラゴス FXDに搭載されるのは、時針、分針、秒針を備えるマニュファクチュール キャリバーMT5602。
堅牢性、耐久性、信頼性そして精度を兼ね備えたこのムーブメントは、2ヶ所で固定されたトラバーシングブリッジによって支持される可変慣性テンプを有しています。また非磁性のシリコンバランススプリングを備えるほか、MT5602はスイス公認クロノメーター認定を取得しています。その認定ではムーブメントの状態で日差が-4秒から＋6秒を基準としているが、チューダーはさらにその上、腕時計として組みあげられた状態で日差が-2秒から+4秒というより高い基準を達成しています。
その他の特筆すべき特徴は約70時間のパワーリザーブ。それは金曜日の夜に腕時計を外し、月曜日の朝に身に着けたときに再びゼンマイを巻く必要がないのです。
ペラゴスのその他のモデルは3時位置に日付表示窓を備える キャリバー MT5612を搭載していますが、これもかつてのRef.9401に合わせたのか、海軍ミッションに日付表示なんて必要ない、ということなのか、このペラゴス フランス海軍モデルには日付表示機能のない、MT5602がチョイスされました。
新作ペラゴスFXDには2種類のベルトが用意されています。ネイビーブルー地にグレーのセンターラインを採用したファブリックストラップと、ウーヴンモチーフ入りでチタニウム製バックルを備えたネイビーブルー ラバーストラップです。
フランス海軍は歴史的に、チューダー製ダイバーズウォッチをブレスレットなしで発注し、主に手製のファブリックストラップを装着して使用していました。ダイバーたちが特に好んで利用していたストラップが2種あったようです。それは、ブラックの編み込みのナイロン製ストラップと、グリーンの生地にイエローまたはレッドのラインが特徴的なパラシュートを再利用した弾性バンドから作られた、ハンドメイドのストラップです。ペラゴス FXDでは、フランス海軍のダイバーと密接に関連しているこの後者の超機能的かつ歴史的価値のあるストラップにオマージュを捧げているのです。
チューダーは2010年にいち早くファブリックストラップを採用して以来、常に先駆者であり続けています。フランスのサン・テティエンヌで150年以上家族経営を続けるジュリアン・フォール社によって、19世紀製の織機を用いて生み出されるファブリックストラップ。それは品質と快適さを両立する唯一無二の存在です。ペラゴス FXDのためにジュリアン・フォールとチューダーは、フランス海軍の戦闘ダイバーが携わる険しい任務にも耐えうる最新技術を反映した新しい構造のストラップを開発しました。中央にグレーのラインが入ったネイビーブルーのポリエチレン製織りリボン（幅22ｍｍ）にセルフグリップ着脱システムを組み合わせた新ストラップは、あらゆる手首に快適にフィットします。
偶然にも、1864年創業のジュリアン・フォール社は長きにわたり、赤いポンポンが象徴的なフランス海軍の水兵帽bâchi (バシ)の縁につける装飾リボンを独占的に手掛けていました。このリボンには、水兵や操舵手が従事する船や部隊の名前が織り込まれ、軍人として不可欠なパーツだったのです。
ペラゴス FXDにはテキスタイルモチーフがエンボスされたワンピースのラバーストラップとチタニウム製“Ｄ”バックルも付属します。これまでチューダーが提供してきた中でも、格別なしなやかさと快適性を実感できるストラップです。
42mmと若干大きめではありますが、ファブリックベルトはお洒落な印象ですし、最近は女性があえて40mm超の時計をメンズライクに着こなすのも流行っていますので、一つの選択肢になり得るのではないでしょうか。
| モデル | ぺラゴス FXD
PELAGOS FXD |
|---|---|
| 型番（Ref.） | 25707B/21 |
| ケースサイズ | 42ｍｍ |
| ケース | チタニウム製ケース、サテンブラッシュド仕上げ |
| ベゼル | セラミック製ディスクを備えたチタニウム製両方向回転ベゼル、段階的ナビゲーションのためのレトログラード60分目盛り |
| リューズ | チューダーの盾のレリーフで飾られたチタニウム製リューズ |
| ダイヤル | ネイビーブルー |
| 防水 | 200m (660 ft）防水 |
| ブレスレット | セルフグリップ着脱システムによるファブリックストラップ、ネイビーブルーにグレーのセンターライン入り テキスタイルモチーフがエンボスされたネイビーブルーのラバーストラップ/チタニウム製バックルが付属 |
| ムーブメント | マニュファクチュール キャリバー MT5602 (COSC) 両方向回転ローター搭載の機械式自動巻ムーブメント |
| パワーリザーブ | 約70時間 |
| 機能 | 時針、分針、秒針 秒停止機能による正確な時刻設定 |
| 発売日 | 2021年11月11日(木)発売 |
| 価格 | 443,300円（税込） |
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