更新日:2026年09月02日

【2026年新作】「ノースフラッグ」がGMT仕様で電撃復活!名機レンジャーIIの血脈を受け継ぐ究極のツールウォッチ|Ref.9140G1A0U

2026年9月1日、ジュネーブ・ウォッチ・デイズの開幕を翌日に控えたタイミングで、チューダー(Tudor)から思いがけないニュースが届きました。2021年に生産終了となっていた「ノースフラッグ(Northflag)」が、GMT機能とマスター クロノメーター認定という現行チューダーの最高スペックを携えて復活したのです。型番は9140G1A0U、日本価格は765,600円(税込)。全国9店舗のチューダー ブティックにて、ブティック限定モデルとして順次発売されています。

2026年新作 チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U イメージ

角張ったケース、一体型ブレスレット、そしてイエローの差し色——初代を知る人ならひと目でそれとわかるアイデンティティはそのままに、中身は大きく進化しました。その全貌を見ていきます。

ノースフラッグという名前は、1950年代に行われた英国北グリーンランド遠征探検に由来します。この探検隊に支給されたチューダーの時計は、2年にもおよぶ極寒の氷床の上で過酷なテストにさらされ、その耐久性を実証してみせました。チューダーが「強靭無比なツールウォッチ」としての名声を確立した、いわば原点のひとつです。

英国北グリーンランド遠征隊(British North Greenland Expedition)のキャンプ風景

そして2015年、この歴史を引き継ぐ形で初代「ノース フラッグ」(North Flag、当時の表記はスペースあり)がバーゼルワールドにて発表されました。この時計が特別だったのは、デザインだけではありません。チューダーが自社開発・自社製造した初のマニュファクチュール ムーブメント、Cal.MT5621を搭載した、ブランド初のモデルだったのです。以来10年、チューダーの機械式時計は次々と自社製ムーブメントへと切り替わっていきましたが、その出発点に立っていたのがこのノースフラッグでした。

しかし、決して大ヒットモデルというわけではなく、2021年にひっそりと生産終了。以降はレンジャーやブラックベイ プロがその立ち位置を引き継ぐ形となっていました。

今回の発表に先立ち、チューダー公式Instagramでは意味深な投稿がなされていました。1973年の「レンジャーII」(Ref.9111/0)そのものの写真とともに、「HOW IT STARTED.(すべての始まり)」という見出しが添えられ、キャプションでは、チューダーの冒険心と開拓の精神が常にブランドを前進させてきたこと、そして1973年にレンジャーIIで一体型ブレスレットという意匠を初めて冒険仕様のラインナップに導入したことが綴られていました。

今回のノースフラッグが単なる新作復刻ではなく、レンジャーIIから続く「一体型ブレスレットを纏った冒険時計」という系譜の延長線上にあることを、ブランド自らが強調していたことがうかがえます。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U のケース

新しいノースフラッグは、40mm×厚さ12.7mm、ラグ・トゥ・ラグ48.8mmの316Lステンレススチール製ケースを採用。サテンブラッシュド仕上げを基調に、ラグとベゼル上面にはポリッシュ仕上げの面取りが施され、輪郭にメリハリを与えています。このデザイン言語は、1973年の「レンジャーII」——樽型(トノー)のケース、大ぶりなリンクの一体型ブレスレットが特徴的だった歴史的モデル——を色濃く受け継いだものです。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U のケースサイドとT-fitクラスプ付き一体型ブレスレット

文字盤は変わらぬブラックですが、大きなアラビア数字のアワーマーカーはモノブロックの夜光セラミック製へと刷新され、より立体的な表情を獲得しました。45度に傾斜した24時間目盛り付きのフランジが囲み、そこにイエローのGMT針が重なることで、視認性の高いレイヤー構造を作り出しています。矢印型の24時間針と時針、角張った秒針、バトン型の分針という組み合わせも、歴史的モデルへのオマージュです。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U の文字盤 チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U の夜光アワーマーカー

ブレスレットは主にサテンブラッシュド仕上げの316Lステンレススチール製2リンク一体型で、チューダー独自の"T-fit"クイックアジャストクラスプにより、工具を使わず8mmの範囲を5段階で調整できます。クラスプにはセラミックのボールベアリングが採用され、操作感の向上にも配慮されています。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U のT-fitクラスプ

今回最大のアップデートが、GMT機能を備えたマニュファクチュール キャリバー MT5652-Uの搭載です。COSC(スイス公認クロノメーター検査協会)とMETAS(スイス連邦計量・認定局)の両方の認定を取得したマスター クロノメーター ムーブメントで、日差0/+5秒以内という高精度、15,000ガウスまでの耐磁性、そして65時間のパワーリザーブを誇ります。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U のオープンケースバックとマニュファクチュール キャリバーMT5652-U

このムーブメント自体は、決して目新しいものではありません。GMT機能を備えた基本アーキテクチャそのものは、すでにブラックベイ プロやブラックベイGMTにも採用されてきた実績あるものです。ただし、それらに搭載されるのはCOSC認定のみの「MT5652」であるのに対し、ノースフラッグが搭載する「MT5652-U」は、同じ基本構造をベースにMETASのマスター クロノメーター認定まで取得したアップグレード版で、これはペラゴス FXD GMT "ズールータイム"に搭載されているものと同格です。裏を返せば、目新しさよりも「すでに市場で信頼性が証明された機構」を、より高いスペックへと磨き上げてノースフラッグにも展開したということであり、この判断は妥当と言えるでしょう。奇をてらわず、実証済みの技術を惜しみなく投入する——これもまた、チューダーらしい堅実な姿勢の表れです。

なお、ローカル時針は独立して調整可能で、日付表示と連動する本格的なGMT機能を備えています。タイムゾーンをまたぐ移動の際も、針を進める・戻すだけで素早く現地時間に対応できる実用的な設計です。

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初代ノースフラッグを知るファンにとって、今回いちばんの驚きは9時位置にあったパワーリザーブインジケーターの廃止かもしれません。回転ディスクと矢印ポインターを組み合わせたこの表示は、初代の個性のひとつでもありました。この変更は、賛否が分かれるポイントと言えるでしょう。

実用性の観点で言えば、今回のパワーリザーブは65時間、およそ2.5日分です。長大なパワーリザーブを持つソーラー式や一部の手巻きモデルのならば可視化する意味もありますが、数日で使い切ってしまう自動巻きのパワーリザーブ表示はそもそもあまり実用上の意味を持たない、という見方もできるだけに、今回の廃止は理にかなった判断と言えるのではないでしょうか。

一方で、これは純粋な機能論だけでは語りきれない部分もあります。初代に備わっていたパワーリザーブインジケーターは、実用性とは別の軸——時計としての個性や記号性——において、非常に魅力的な意匠でした。その喪失を惜しむ声があることも事実です。今回、パワーリザーブ表示に代わって搭載されたGMT機能は、旅行、あるいはそのルーツの通り、極夜や白夜が続く高緯度地域でも真価を発揮する実用装備であり、機能面でのアップグレードとしては疑いようがありません。ただし、「無骨でメカニカルな面白さ」を求めていた層にとっては、ダイヤルの個性がやや大人しくなった、という受け止め方もできるでしょう。

チューダー ノースフラッグ 9140G1A0U のスペック詳細
チューダー 9140G1A0Uの仕様・価格
モデル ノースフラッグ
型番(Ref.) 9140G1A0U (M9140G1A0U-0001)
ケース素材 316Lステンレススチール(サテン&ポリッシュ仕上げ)
ケースサイズ 横 40mm × 縦 48.8mm × 厚さ 12.7mm
ベゼル ステンレススチール製固定ベゼル、サテン&ポリッシュ仕上げ
ムーブメント マニュファクチュール キャリバー MT5652-U(COSC、METAS認定 )
駆動方式 GMT機能を内蔵した両方向回転ローターシステム搭載の機械式自動巻ムーブメント
パワーリザーブ 約65時間(METAS認定)
リューズ ステンレススチール製円錐型スクリュー式リューズにチューダーのシールドロゴのレリーフ
ダイアル ブラックダイアル、24時間目盛り入りフランジ、3時位置日付表示 、「ノースフラッグ」針、スイス製スーパールミノバ®蓄光塗料が施されたアワーマーカー
クリスタル ドーム型サファイアクリスタル
ブレスレット ステンレススチール製一体型ブレスレット、サテン&ポリッシュ仕上げ、チューダー独自の“T-fit”クイックアジャストクラスプ
防水性 100m (330 ft)
希望小売価格 ¥765,600

※販売開始時期・価格は予告なく変更される場合があります。

新しいノースフラッグのデザインを理解するうえで欠かせないのが、1973年に発表された「レンジャーII」(Ref.9111/0)との関係です。TUDOR公式Instagramの投稿が示していた通り、チューダーは今回の復活にあたって、2015年の初代ノースフラッグ以上に、この1973年のオリジナルへの回帰を意識しています。

新型ノースフラッグ 9140G1A0U と1973年レンジャーII(Ref.9111/0)の比較写真
1973年レンジャーII(左)と新型ノースフラッグ(右)

レンジャーIIは、当時としては先進的だった樽型(トノー)に近いケースフォルムと、大ぶりなリンクを持つ一体型ブレスレットを特徴とするモデルでした。大きなアラビア数字のアワーマーカー、矢印型の針といった意匠は、当時から角張った力強い個性を放っていました。決してブランドを代表する大ヒットモデルではありませんでしたが、その独自性は半世紀を経た今なお色褪せていません。

新しいノースフラッグでは、この1973年モデルの「大きなアラビア数字」「角張った針の造形」「ケースからシームレスに続く一体型ブレスレット」という要素が、素材やムーブメントを現代の水準にアップデートした形で再構築されています。単なる懐古的なデザインではなく、半世紀前の思想を現代の機械式時計として翻訳し直した——そう捉えると、今回の復活の意味合いがより立体的に見えてきます。

もうひとつの比較対象は、2015年から2021年まで販売されていた先代ノースフラッグ(Ref.91210N)です。同じ40mmケースを持ちながら、両者には明確な違いがあります。

新型ノースフラッグ 9140G1A0U と先代ノースフラッグ(Ref.91210N)の比較写真
先代ノースフラッグ(左)と新型ノースフラッグ(右)
項目 先代ノースフラッグ(Ref.91210N) 新ノースフラッグ(Ref.9140G1A0U)
発表年 2015年(2021年生産終了) 2026年
ケース厚 13.4mm 12.7mm
ラグ・トゥ・ラグ 約50mm 48.8mm
防水性 100m 100m
ムーブメント Cal.MT5621 Cal.MT5652-U
認定 COSC公認クロノメーター COSC公認クロノメーター+METASマスター クロノメーター
パワーリザーブ 約70時間 約65時間
複雑機能 パワーリザーブ表示(9時位置) GMT機能(センター24時間針)
耐磁性能 非公表 15,000ガウスまで対応
ベゼル ステンレス&セラミックのダブル素材固定ベゼル ステンレス製固定ベゼル
アワーマーカー 夜光塗料充填のアプライドインデックス モノブロック夜光セラミック製
参考価格帯 436,700円(税込・最終定価) 765,600円(税込)

まず注目したいのは、ケースがひと回り引き締まったことです。厚さは13.4mmから12.7mmへ、ラグ・トゥ・ラグも約50mmから48.8mmへとわずかながら縮小し、GMTモジュールを組み込みながらも、装着感としてはむしろコンパクトになっています。
文字盤にイエローの“NORTHFLAG”のロゴ表記が配置された点も見過ごせません。

数値上のパワーリザーブは70時間から65時間へとわずかに短くなっていますが、これはGMTモジュールを組み込んだことによる設計上のトレードオフと考えられ、METASによる厳格な精度・耐磁性・防水性・パワーリザーブの一括認証を新たに取得している点を踏まえれば、時計としての完成度はむしろ大きく引き上げられたと言えます。ベゼルはダブル素材からステンレス単一素材へとシンプル化されましたが、これは一体型ブレスレットとの視覚的な統一感を高めるための判断でしょう。

価格面では、実勢価格として40万円台だった先代から76万円台へと、円安や原材料価格の上昇を背景に大きく値上がりしています。とはいえ、マスター クロノメーター認定と自社製GMTムーブメントを備えたモデルとして見れば、チューダーらしい「価格を超える価値」というブランド哲学の範囲内に収まっている、コレクション内でも説得力のあるポジションと言ってよいでしょう。

新しいノースフラッグのイメージ

新しいノースフラッグは、ブラックベイやペラゴスが主軸を占める現行チューダーのラインナップにおいて、依然として異彩を放つ存在です。角張った1970年代スタイルのケース、一体型ブレスレット、そしてイエローの差し色——このアイデンティティを保ちながら、GMT機能とマスター クロノメーター認定という現代的な実用性を手に入れました。

パワーリザーブインジケーターの廃止は一部で惜しむ声もありますが、数日程度のパワーリザーブを可視化する意義が薄い以上、その分を極夜・白夜地域でも活躍する実用的なGMT機能に置き換えたのは理にかなった判断です。ムーブメントについても、ブラックベイ プロやブラックベイGMTですでに実績のあるアーキテクチャを土台に、ペラゴス FXD ズールータイムと同格のマスター クロノメーター仕様へと磨き上げることで、目新しさよりも信頼性を優先する、いかにもチューダーらしい堅実さがうかがえます。

「現行チューダーで最も強く推薦できる1本」とまでは言い切れないものの、76万円台という価格でマスター クロノメーター認定のGMTウォッチが手に入ると考えれば、コレクション内で十分に説得力のあるポジションを確立した1本と言えるでしょう。1973年のレンジャーII、そして2015年の初代ノースフラッグという2つの物語を背負いながら、新しい世代のツールウォッチとしての一歩を踏み出しました。

価格・スペックは2026年9月時点のチューダー公式発表に基づきます。最新情報はチューダー公式サイトでご確認ください。

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