更新日:2026年08月29日
2026年8月25日、オメガの「スピードマスター 38」コレクションが約9年ぶりに全面刷新され、新作7モデルが登場しました。楕円形だったサブダイアルが丸型に変わり、ベゼルも厚みのあるクラシカルなスタイルへ回帰するなど、ブランドの顔とも言える"ムーンウォッチ"のデザインコードにこれまで以上に接近したのが今回のアップデートの最大のポイントです。
この記事では、新作7モデルのスペックを一挙に紹介するとともに、「何が良くなり、何が変わらなかったのか」を編集部の視点で整理。さらに、旧世代モデルおよびムーンウォッチ プロフェッショナルとのスペック比較を通じて、新しい「スピードマスター 38」の立ち位置を掘り下げていきます。
「スピードマスター 38」は、1988年に登場した自動巻きの小型スピードマスター「スピードマスター リデュースド」の系譜に連なるミドルサイズのラインです。ただし、初期モデルのケース径は39mm前後でしたから、42mmのムーンウォッチと比べればひと回り小ぶりではあるものの、当時から現在の38mmに近いサイズ感を保ってきたコレクションとも言えます。
2017年に大幅刷新された前世代は、楕円形のサブダイアルや二重構造のベゼルなど、どちらかというとラグジュアリー志向・ユニセックス寄りのデザインを採用していました。今回の2026年モデルでは、その方向性を転換。丸型サブダイアルの復活、ダイアル上の文字情報の削減、そして"ドット・オーバー・ナインティ(D.O.N.)"を配した厚みのあるクラシカルベゼルの採用により、ムーンウォッチのDNAをより色濃く受け継ぐデザインへと生まれ変わりました。
ブレスレットも、現行ムーンウォッチと同様の5連リンク仕様を小型化した"ムーンウォッチスタイル"に一新され、2段階の調整幅を持つコンフォートアジャストメントシステムも新たに搭載されています。
搭載ムーブメントは、日付表示のある6モデルに自動巻きコーアクシャル キャリバー3330、日付表示のないブラックダイアルモデルにはノンデイト仕様のキャリバー3332が採用されています。ケースバックにはシーホースのメダリオンの刻印が施されています。
7モデルは大きく「ステンレススティール モデル」3本、「バイカラー モデル」2本、「ダイヤモンドベゼル モデル」2本の3グループに分かれます。共通スペックは、ケース径38mm×厚さ14.75mm×ラグ・トゥ・ラグ44.96mm、防水性100m、パワーリザーブ約52時間、ラグ幅18mmです。
ムーンウォッチの意匠を最も色濃く受け継ぐ、コレクションのエントリーモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 ブラック ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.30.38.50.01.002 |
| ケース素材 | ステンレススティール |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3332(コーアクシャル、ノンデイト) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥979,000 |
温かみのあるグレーベゼルに、セドナ™ゴールドカラーのアクセントを効かせたステンレスモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 シルバリー ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.30.38.50.02.003 |
| ケース素材 | ステンレススティール |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥990,000 |
ブルーセラミック製ベゼルとラッカー仕上げのホワイトダイアルを組み合わせたモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 ホワイト ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.30.38.50.04.001 |
| ケース素材 | ステンレススティール |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,056,000 |
グリーンのベゼルリングと18Kムーンシャイン™ゴールドを合わせたバイカラーモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 オパリンシルバー ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.20.38.50.02.001 |
| ケース素材 | ステンレススティール+18Kムーンシャイン™ゴールド |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,738,000 |
コレクションの人気色である"カプチーノ"スタイルを継承したバイカラーモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 アイボリー ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.20.38.50.02.002 |
| ケース素材 | ステンレススティール+18Kセドナ™ゴールド |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,738,000 |
52石・合計1.53カラットのダイヤモンドをセットした華やかな一本です。
| モデル名 | スピードマスター 38 アイスブルー ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.15.38.50.03.001 |
| ケース素材 | ステンレススティール(ベゼルにダイヤモンド52石) |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,837,000 |
アイスブルーダイアルと同じダイヤモンドベゼルを、白蝶貝ダイアルと組み合わせたモデルです。
| モデル名 | スピードマスター 38 マザー・オブ・パール ダイアル |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 324.15.38.50.05.001 |
| ケース素材 | ステンレススティール(ベゼルにダイヤモンド52石) |
| ケースサイズ | 直径38mm × 厚さ14.75mm(ラグ・トゥ・ラグ44.96mm) |
| ムーブメント | Cal.3330(コーアクシャル、デイト付) |
| 駆動方式 | 自動巻き |
| パワーリザーブ | 約52時間 |
| 防水性 | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,947,000 |
今回の刷新で、丸型サブダイアルや厚みのあるクラシックベゼル、ドット・オーバー・90の採用によって、ムーンウォッチ プロフェッショナルに一段と近いルックスへと仕上がりました。また、12時位置のモデル表記の下の”CO-AXIAL CHRONOMETER”というテキストが廃され、2段表記になったことで、すっきりとした印象を与えています。
前世代が"よりラグジュアリーでファッション性を意識したアプローチ"だったのに対し、新しいデザイン言語はムーンウォッチに近いスタイリングへ原点回帰したと言えます。特に興味深いのが、サブダイアルの配置に対する考え方の変化です。旧型では楕円形サブダイアルによって、クロノグラフのインダイアル配置を視覚的にバランスを取る工夫がなされていました。今回その手法を捨て、オリジナルに寄せる、という選択をしています。
このほか、よりムーンウォッチのスタイルに近い、短く丸みを帯びたリンクを採用したことで、ヴィンテージ感としなやかさが増しています。2段階の調整幅を持つコンフォートアジャストメントシステムが新たに組み込まれた点も、装着感の向上につながる進化として挙げられます。防水性能も100mとなっており、50m防水のムーンウォッチ(ヘサライトモデル)を上回っている点は、新型スピードマスター38ならではの強みと言えるでしょう。
一方で気になるのが「ケースの薄型化が見送られた」という点です。多くの時計ファンが今回の刷新でケースの薄型化を期待していたと思われますが、それは実現しませんでした。搭載キャリバーが従来と同じ自動巻きCal.3330(ノンデイトモデルはCal.3332)のまま据え置かれたため、ケース径38mmというコンパクトなサイズに対して、厚さ14.75mmという数値はやや厚みを感じさせる仕上がりになっています。
また、今回搭載されているキャリバー3330/3332は、オメガのマスタークロノメーター認定を受けていない数少ないムーブメントの一つです。COSC認定のクロノメーターではあるものの、耐磁性能などの面で、マスタークロノメーター認定を受けた現行ムーンウォッチとは異なる仕様となっています。
サブダイアルが丸型に戻ったことで、パッと見の印象はたしかにムーンウォッチへぐっと近づきました。とはいえ、実際に並べてみると、新型スピードマスター38のサブダイアルはケースのわりに外側へ寄って配置されており、いわゆる"離れ目"感が拭いきれません。これを新しい38mmのスピードマスターの「個性」と捉えることもできますが、ムーンウォッチの整然とした顔つき・絶妙なバランスを好む方はやや不満の残るところでしょう。
ムーンウォッチが搭載する手巻きCal.3861とは異なり、新型スピードマスター38が搭載するCal.3330(ノンデイトモデルはCal.3332)は、2012年に登場した40mmの自動巻きスピードマスター レーシングから採用が始まった自動巻きキャリバーです。同じCal.3330を搭載する42mm前後の自動巻きスピードマスター(例:Ref.327.10.43.50.06.001)を見ると、サブダイアルの配置バランスはむしろ良好でした。
つまり問題の本質は、本来40~42mmクラスの自動巻きケースに合わせて設計されたキャリバーを、そのまま38mmケースへ載せていることにあります。裏を返せば、38mmケースのサイズ感にぴったり合わせて、かつマスタークロノメーター基準で新設計されたキャリバーがいつか投入されれば、サブダイアルのバランスも含めて、名実ともにより”スマート”なスピードマスターになるはずです。
今回は価格面を考慮した結果かもしれませんが、トレンドはむしろ小型化寄りの昨今にあって、次なる刷新でどこまで踏み込んでくるのか、個人的には大いに期待したいところです。
ここからは、新型ブラックダイアルモデル(324.30.38.50.01.002)を軸に、①同じサイズの旧世代モデル、②”ムーンウォッチ” プロフェッショナルとのスペックを比較していきます。
| 項目 | 旧型 324.30.38.50.01.001 | 新型 324.30.38.50.01.002 |
|---|---|---|
| 生産時期 | 2017年~ | 2026年~ |
| サブダイアル形状 | 楕円形 | 丸型 |
| デイト表示 | あり(6時位置) | なし |
| 搭載キャリバー | Cal.3330(コーアクシャル) | Cal.3332(コーアクシャル、ノンデイト) |
| ベゼル | 黒アルミニウム製、比較的細身のインサート | 黒アルミニウム製、厚みのあるクラシックタイプ(DON) |
| 文字盤表記 | 4段(”CO-AXIAL CHRONOMETER”表記あり) | 2段 |
| ブレスレット | 従来型リンク仕様 | ムーンウォッチスタイル5連リンク+コンフォートアジャストメントシステム |
| 防水性 | 100m(10気圧) | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥935,000(2026年7月・生産終了時点の価格) | ¥979,000 |
新型は旧型に対して約4万4,000円の値上げとなっていますが、ブレスレットの機構強化やムーンウォッチ譲りのデザイン刷新を踏まえると、順当な価格改定と言えそうです。デイト表示がなくなった点は好みが分かれるところですが、ダイアル面がよりシンプルになり、ムーンウォッチらしいクリーンな見た目を優先した結果と考えられます。
| 項目 | ムーンウォッチ プロフェッショナル 310.30.42.50.01.001 | スピードマスター 38 324.30.38.50.01.002 |
|---|---|---|
| ケースサイズ | 直径42mm × 厚さ13.54mm | 直径38mm × 厚さ14.75mm |
| ラグ・トゥ・ラグ | 47.50mm | 44.96mm |
| 駆動方式 | 手巻き | 自動巻き |
| 搭載キャリバー | Cal.3861(コーアクシャル) | Cal.3332(コーアクシャル) |
| クロノメーター認定 | マスタークロノメーター認定 | クロノメーター認定(COSC、マスタークロノメーターではない) |
| パワーリザーブ | 約50時間 | 約52時間 |
| 風防 | ヘサライト風防(強化プラスチックガラス) | サファイアクリスタル(ボックス型) |
| 防水性 | 50m(5気圧) | 100m(10気圧) |
| 日本定価(税込) | ¥1,166,000 | ¥979,000 |
※2026年8月調査時点
数値だけを見ると、新型スピードマスター38は42mmのムーンウォッチよりコンパクトでありながら、ケース自体の厚みはむしろ1.2mm以上増しています。これは手巻きか自動巻きか、という構造上の違いによるところが大きいですが、Cal.3330は登場当初からすでに厚みに対する不満の声はありましたので、今後の改善点と言えるでしょう。
一方で、サファイアクリスタルの採用や100m防水、自動巻きによる利便性など、実用面ではスピードマスター38に軍配が上がる部分も少なくありません。
なお、ムーンウォッチのサファイアクリスタルモデル(310.30.42.50.01.002)は ¥1,342,000ですので、さらに価格の差が大きいことがお分かりいただけるかと思います。
見逃せないのが価格のポジションです。新型ブラックダイアルモデルの¥979,000という価格は、ムーンウォッチはもちろん、現行スピードマスター ラインナップ全体のなかでもっとも手頃な設定になっています。自動巻きとはいえ、コーアクシャル脱進機やCOSC認定クロノメーターといった本格的な技術は惜しみなく投入されており、価格以上の満足感が得られる一本と言えるでしょう。
もっとも、今後の値上げ傾向を踏まえると、100万円以下で定価購入できるスピードマスターとしては、これが最後のチャンスになる可能性も十分に考えられます。予算内でスピードマスターの世界に足を踏み入れたいという方は、早めにチェックしておいて損はなさそうです。
2026年の「スピードマスター 38」刷新は、丸型サブダイアルや厚みのあるクラシックベゼル、ムーンウォッチスタイルのブレスレットなど、随所に"原点回帰"を感じさせるアップデートとなりました。特にノンデイトのブラックダイアルモデルは、初代スピードマスター リデュースドの精神を令和に蘇らせた一本として、多くの時計ファンの注目を集めそうです。
一方で、ケースの薄型化やマスタークロノメーター認定、そしてサブダイアルのバランスといった、より本格的なアップグレードは今回見送られました。次なる刷新でキャリバーそのものに手が入るのか、今後の動向にも注目です。とはいえ、アンダー100万円で手に入るスピードマスターとしての価値は、いま最も見逃せないポイントかもしれません。
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| モデル | 型番 | ケース素材 | ムーブメント | 日本定価(税込) |
|---|---|---|---|---|
| ブラック ダイアル | 324.30.38.50.01.002 | ステンレススティール | Cal.3332(ノンデイト) | ¥979,000 |
| シルバリー ダイアル | 324.30.38.50.02.003 | ステンレススティール | Cal.3330 | ¥990,000 |
| ホワイト ダイアル | 324.30.38.50.04.001 | ステンレススティール | Cal.3330 | ¥1,056,000 |
| オパリンシルバー ダイアル | 324.20.38.50.02.001 | ステンレス+18Kムーンシャイン™ゴールド | Cal.3330 | ¥1,738,000 |
| アイボリー ダイアル | 324.20.38.50.02.002 | ステンレス+18Kセドナ™ゴールド | Cal.3330 | ¥1,738,000 |
| アイスブルー ダイアル | 324.15.38.50.03.001 | ステンレス(ダイヤモンドベゼル) | Cal.3330 | ¥1,837,000 |
| マザー・オブ・パール ダイアル | 324.15.38.50.05.001 | ステンレス(ダイヤモンドベゼル) | Cal.3330 | ¥1,947,000 |
※すべて直径38mm×厚さ14.75mm、防水性100m、パワーリザーブ約52時間で共通です。
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