更新日:2023年12月06日
『正確な時を計る』終わることのない、計時・計測への情熱を燃やし続けるセイコー。1964年の東京オリンピック公式計時を担当、同年、国産初の手巻きクロノグラフ「クラウン クロノグラフ」の誕生を皮切りに、驚くべき快挙を成し遂げます。“激動の1969年”に、世界初の垂直クラッチ方式の自動巻きクロノグラフ「61 ファイブスポーツ スピードタイマー」を5月21日に発売!しかも、世界初のクォーツ腕時計「アストロン」の開発に集中(※同年末の12月25日発表)していた中での偉業です。
クロノグラフの歴史に、多大な功績を残した「スピードタイマー」。セイコー プロスペックスを象徴するコレクションから、「SEIKOブランド100周年記念限定モデル SBEC023」が、12月8日(金)に発売されます。根強い人気のパンダ顔、385,000円(税込)という手を伸ばしやすいプライスゾーン、国内150本(※世界限定1,000本)というレア度などを考慮すると、ちょっとした争奪戦に発展するかもしれません。
*注*メカニカルクロノグラフのレギュラーモデルSBEC021も同日発売、352,000円(税込)です。
スポーツ計時のパイオニアとして、1960年代に名を馳せたセイコー。当時から変わらない、“一瞬一瞬への挑戦”にこめられた想いと技術、その集大成に迫ります。1960~70年代の「セイコー クロノグラフ」の逸話と共に、6138系デザイン(61系デザイン)の妙味も解説していきますよ!
Seiko Prospex Seikoブランド100周年記念 SPEEDTIMER メカニカルクロノグラフ 限定モデル 特設ページ
一部のファンからは、「1970年代の最高傑作」との呼び声もあるキャリバー6138搭載モデル!6138系デザインは、半世紀以上経った現代でも、海外のウォッチマニア達からも根強い人気を誇ります。
本作は1960年代後半~1970年代の昭和レトロな雰囲気をそのままに、今風な高級感をプラスして要所をバージョンアップさせているのもポイントです。スポーティーさと気品、機能性と外観美、異なる要素の“理想的バランス”を探求、模索段階なせいか、“昭和のような不完全さ”も残り、結果として その味付けが功を奏しているような印象も。
≪SBEC023(&SBEC021)の見どころ≫
「Seiko Brand 100th Anniversary Limited Editions」の第二弾「マリンマスター」も、随所でセイコーのこだわりを感じさせる、“芸が細かい変革”でした。本作もその流れを引き継ぎ、ツールウォッチ要素の強い「プロスペックス」というブランドイメージに、“高級感という美観”をプラスアルファしていきたいのかもしれません。
第三弾に逆パンダのスピードタイマーが加わり、より一層モノトーン(白&黒)の美しさが強まりましたね。限定モデルのSBEC023は、メインカラーが黒寄りのブルーグレーなので、白黒カラーを基調にアクセントとして「青色」を使ってくるかも?
第四弾を一点読みすると、1969年という年が「61 ファイブスポーツ スピードタイマー(※5月発売)」「クォーツ アストロン(※12月発売)」と世界初尽くしのメモリアルイヤーなので、順当にアストロンが第四弾に選ばれるのではないでしょうか。機械式が続いているので、そろそろクォーツやソーラーもあり得そうです。2024年は、クォーツ55周年の節目ですし。シルエットからは予測不可能なので、当て勘止まりですが。
クロノグラフの歴史を変えた、と称しても過言ではないセイコーのスピードタイマー。その凄さをわかりやすくお伝えするために、簡単に1960~70年代の歴史をご紹介します!「Cal.6138(※Cal.6139含む)」の活躍は、61系デザインとして、本作にもきっちり受け継がれています。
改めてセイコーの歴史を綴ると、大業の連続ですよね。 クロノグラフを主役として歴史を語るとすると、オリンピックの公式計時・クォーツ腕時計の発明という大イベント(※1964年、1969年)と並行し、クロノグラフでも世界初となれたという事実が、セイコーの凄すぎるところでしょう!!!二兎を追う者は 二兎を得る、事実は小説より奇なり、筆舌に尽くしがたいイノベーション力ですよね。
時計史において、セイコーの功績に異論を唱える方はほぼいないでしょうが、クロノグラフ史で見ても、セイコーは技術的貢献を果たすのです。
「61ファイブスポーツ スピードタイマー」が登場した1969年という年は、時計愛好家達にとって“特別な年”として知られています。当ブログでも、「ホイヤー視点」「ゼニス視点」で、“世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント”開発競争をお伝えしましたが、セイコーだけが「垂直クラッチ機構」の搭載に成功しているのです。
ほぼタッチの差で同時期に発表しているので“歴史の勝者”を決めるのは難しいですが、アイディア力、コストパフォーマンス、大量生産体制の総合的「商品力」で見れば、セイコーは図抜けたものがあります。垂直クラッチ方式は、今でこそポピュラーな動力伝達方式ですが、当時としては異例中の異例な発想!針飛びが起こりづらい、実用的で精度が高い仕組みは、後にロレックスなど名だたるブランドにも採用される、伝説的大発明だったのです。
スイスの名だたるウォッチメーカー達が、社運をかけて臨んだ世界初の自動巻きクロノグラフ開発競争。4社合同のホイヤー連合は、約50万スイスフランの開発費(!)をかけたとも伝えられています。
驚くべきことに、セイコーは当時32 歳という若さの設計担当の大木俊彦氏が、(ほぼ)一人で作り上げたと言われています。当時のセイコーは、クロノグラフに関する知識が乏しかったため、それが功を奏し、コロンブスの卵的な垂直クラッチ方式を思いついたのではないか?とも、推察されています。
諏訪精工舎の開発陣は、アストロンの開発に没頭していたため、「Cal.6139」が世界初の自動巻きクロノグラフだったのを“誰も知らなかった”というおまけ話も。 「スイスに追いつき、追い越す」を合言葉に、高精度時計を追求してきたセイコーは、知らず知らずのうちに、追い抜いてしまっていたのです。
ソーラークロノグラフは最安値74,800円(税込)から、メカニカルも約35万円~40万円前後のミドルクラスで、多彩なラインナップを誇るスピードタイマーコレクション(※2023年12月現在)
クォーツ&メカニカルクロノグラフで、腕時計の常識を変えたセイコー。ロレックスやオメガのように、“高級腕時計”というポジショニングを狙わず、低価格で若者向けに販売した“廉価版モデル”を数多く生み出した功績も偉大です。
70年代はモータースポーツブームもあり、若者達にクロノグラフ搭載のスピードタイマーが大ブレイク!「パンダ」「茶馬」「黒馬」などの人気機種は、現代の腕時計に勝るとも劣らない完成度の高いデザインとして知られており、今でも世界中の腕時計マニア達を魅了し続けています。
当時のヴィンテージモデルは、コンディションの良い個体は減りつつあるものの、10万円以下の良品も出品されており、昭和レトロな機械式腕時計を低価格で楽しめるのも、スピードタイマーの良さでしょう。
1960~70年代のスピードタイマーを調べると、よく見かける「諏訪」「亀戸」というキーワード。“亀甲紋様”のダイヤルが高貴なSDKS013でも、少しご説明しましたが、諏訪精工舎(諏訪工場)と第二精工舎(亀戸工場)のライバル関係が、クロノグラフの進化にも好影響をもたらします。
諏訪工場・・・「61系ファイブスポーツ スピードタイマー(※Cal.6138、6139、6119等)」
「垂直クラッチ&コラムホイール方式」の高級クロノグラフは、現在では見慣れた存在ですが、1969年当時に耐衝撃性・正確性を両立しているのが、どえらい技術と発想力なのです(力説)!
「キャリバー6138(※61系スピードタイマー)」は、“セイコー自動巻クロノグラフの先駆け”であり、デザインコードでも6138系デザインを確立し、本作SBEC023でも重要なカギを握っていますよ!
1964年の東京オリンピックで、0.01秒単位の高精度な計時を実現したセイコー。スピードタイマーは、そのストップウォッチの設計思想とデザイン要素を受け継いでいるのも特徴です。
本作も1964年の高精度ストップウォッチを想起させる、上面の広いフラットな形状のプッシュボタンを継承。確実かつ正確な操作を可能とする、優れた押しやすさは顕在です!
類似モデルは、2021年発売の限定モデルSBEC007&レギュラーのSBEC009でしょう。計器然としたストップウォッチ風の顔立ちと大きなプッシュボタンが目を惹く、“新生SPEEDTIMER”の象徴的存在でした。
斜めの角度で見ると、今にも動き出しそうな迫力がありますね~~!!ついつい、スタート&ストップボタンをカチャカチャと押したくなっちゃいますね(ガマン)。
『スピードタイマー
確実・正確に時を計り、0.1秒、0.01秒に挑むアスリートたちを支え続けてきたセイコー。1960年代にスポーツ計時のパイオニアとして、世界のスポーツシーンに新たな精度基準を打ち立てた計時機器を開発しました。「スピードタイマー」は、セイコーが長年にわたって培ってきた、計時機器に求められる高い実用性を追求するデザイン哲学に基づいたコレクションです。時間を正確に読み取るための視認性や判読性を備え、スポーツシーンに限らず、あらゆるシーンで正確に一瞬一瞬を記録します。』
「クラウン クロノグラフ」で培った、操作性に優れたハンマー型のプッシュボタン&引き出しやすい形状のリューズは、本作にも絶妙なアクセントとして活かされています。計時計測に必要不可欠な“操作性”を追求しつつ、セイコーならではのデザイン哲学へと昇華しているのがいいですね!
SBEC023は逆パンダダイヤルだが、レギュラーモデルのSBEC021はパンダ顔
『本作は、1972年に発売して今なお当時のデザインが高い評価を得ている、「キャリバー6138」を搭載したクロノグラフをデザインソースにしています。その流線形のケースや、エレガントなブレスレット、時分針とストップウオッチ針を見分けやすいツートーンのダイヤル、先端がオレンジ色のストップウオッチ針などを受け継ぎました。』
キャリバー6138搭載の61系スピードタイマーは、デザインセンスでも人気を博します。特に、“ベビーパンダ”“ベビー逆パンダ”とも呼ばれる「6138-8000、6138-8001」は、シンプルかつ洗練されたディテールで根強い人気を誇り、資産価値でも目を見張る高価格帯(※国内中古市場で20万~30万円目安)の出品も相次いでいます。
SBEC023(&SBEC021)は、6138-8000のデザインコードを中心に、6138-8001や6138-0020などの複数モデルから、現代でもウケるエッセンスをうまーくブレンドしたハイブリッドデザインなのが、セイコー100周年モデルに相応しいセールスポイントとなっています。
ケース・ブレスレット・時分針・オレンジのストップウォッチ針、各デザイン要素に注目してみましょう!
*注*6138系デザインは、「縦目or横目」「丸目or角目」「タキメーターベゼル有無orインナーベゼル有無」「スッキリデザイン系orごってりデコラティブ系」と、デザインの種類が多岐に渡ります。 そのため、本作に共通する6138系デザインのモデルを中心に、以下項目(ケース、ブレス、ツートンダイヤル、橙色のストップウォッチ針)を解説しております。
61系スピードタイマー、44mmの6138-0010は通称「ビッグパンダ」
1970年代を代表する和製クロノグラフの覇者、61系スピードタイマー。曲線を主体とした流線形のケースデザインは、6138系全体にほぼ共通のデザインとして受け継がれています。流線形ながら丸っこいフォルムが、実に愛らしいですね!
そういえば、パンダが最強クラスで可愛いのは 、ベビースキーマ(※赤ちゃんのように、手足が短く丸っこい身体を守ってあげたいと感じる自然な本能)に該当するからだ、という説もありますよね、パンダ顔の61系スピードタイマーを眺めていると、カッコいいのにどこか可愛らしく思えるのは、本能に訴えかけるフォルムだからなのかも?そういえば1972年はパンダ来日フィーバーの年でもあります。
40mmオーバーのボリューミーなモデルは、“ビッグパンダ”“ビッグダブルクロノ”“UFO”などのペットネームも持ちます。1970年代で「UFO」と聞くと、ついあの曲を連想してしまいますね。
ちなみに、今作もケースによーく目を凝らすと、“円状”のヘアライン仕上げが施されています。“往年の70年代”を思い出させるクラシカルな味付けがいいですね!「○」という形は、見ていると優しい、幸せな気持ちになりますね。
ヴィンテージ品のため(少しわかりづらいですが)パンダダイヤルの6138-8000も多連ブレスレット
6138-8000や8001、6138-0020に見られた、エレガントな多連ブレスレットは、本作SBEC023(&SBEC021)にも、アップグレードされて継承。掘り下げた見解や分析は⇒ 「進化したブレスレット」へ。
6138-0020も見やすいツートンカラー、こちらの個体は縦のヘアラインもあり
6138系デザインは、多くのモデルで視認性にも秀でたツートンカラーを採用しています。白黒のパンダ(逆パンダ)以外にも、ブラウン文字盤&角型ゴールドインダイヤルの茶馬、ブラック文字盤&角目ブルーインダイヤルの黒馬も大人気ですよ!!!
本作の横三つ目も見やすいツートンカラーが絶妙ですが、オリジナルの縦目2レジスタークロノグラフも完成度が高く、双方甲乙つけがたいですね~~~!!!
インダイヤルと文字盤に、段差が付いた立体的なデザインもカッコいいですね!Watches & Wonders 2023で、GS初の機械式クロノグラフで世界中を驚愕させた“テンタグラフ”SLGC001も、サブダイヤルが一段低い二層構造でしたね。
レギュラーモデルのSBEC021と共通した特徴として、(6138系の一部モデルは)文字盤に縦のヘアラインが施されていたりもします。パンダ顔ですし、レギュラーモデルも売れそうですね(ボソッ)
6138-8000、ストップウォッチの先端のみがオレンジ色
ストップウォッチ針と時分針は、ひと目で見分けがつくように、カラーリングにも工夫がされています。写真の通り、50年以上の時を経ても、色褪せない美しさを保持しているのは流石です!!
伝説のジャパニーズクロノグラフ、1969 スピードタイマーはオレンジ一色で勝負!
「61ファイブスポーツ スピードタイマー(※通称:1969 スピードタイマー)」はご覧の通り、ストップウォッチ針(&30分積算計)全体がオレンジ色。
一方、6138-8000や6138-8001(の一部モデル)は、先端だけがオレンジ(※もしくはイエロー)色に塗り分けられているのも魅力の一つです。
本作も30分計&12時間計は、先端がオレンジ色としっかり色分けがされています。しかも、限定モデルSBEC023は時分針の先端が黒色(※SBEC021はスモールセコンドの針先端が白色)など、遊び心も加えられたりします。
未来にタイムスリップして、「SBEC023(とSBEC021)は、50年後にどれだけ美しいままなのか?」思わず、想像を膨ませてしまいます。
第二弾の「マリンマスター」もSBEN005&007もそうでしたが、セイコー100周年はブレスレットも気合いが入っています!!!
6138系のエレガントな多連ブレスレットは、よりしなやかなピッチの細い中ゴマへアップグレード!今までのスピードタイマーがシンプルな3連ブレスだったので、かなーり美観や印象に変化が見られました。
実用性や着用感は申し分ないでしょうが、どこかミスマッチな、違和感を覚えたのも事実。原因は何だろう?と、ピアゾ編集部で激論を交わした結果、“違和感の正体”と結論づけられたのは以下の2つ 。
あくまでピアゾ編集部の独自の見解ですのであしからず。
①は要するに「サイズ感のちぐはぐさ」。元来、スピードタイマーシリーズは、年齢を問わない“男らしさと上品さ”を併せ持つ、カジュアル&スポーティーさが魅力の一つでした。
しかし今作は、ブレスレットを筆頭に、ドレッシーさを強めている傾向があります。そうなってくると、気になるのはズバリ14.6mmのケース厚、ごついケースと華やかな多連ブレスレットは、ちぐはぐさを残してしまったのかもしれません。
セイコー公式ページでも、『ブレスレットが多列で構成されているほどドレッシーな傾向に』と言っている通りなので、度々ファンの間で話題にも出る“薄さの問題”はどうにか改善して欲しいものです。
https://www.seiko-design.com/stories/strap/ (セイコー公式サイト)
ではSBEC005のブレスレットだったとしたら、とイメージしてみると・・・
(左)SBEC023(右)SBEC005のブレスレットだったとしたら、のイメージ
どうでしょうかね?どっちもどっち?
アストロン SBXC003のスポーティーなブレスレットぐらいがちょうどよかった?
②については 6138系多連ブレスレットが全てフラットな直線的デザインで硬派にまとまっているのに対し、今作は丸みがある分柔和でエレガントな印象を強めています。その結果、ダイヤルとブレスレットのバランスとメリハリを損ねてしまっているのかもしれません。
アストロン(SBXC003)のように、筋目の面積が多い“力強くスポーティー”なブレスレットもアリだったような気もします。
正解のない話ですが、“カッコ良くてエレガント路線”よりも“カッコ良さと可愛さ”に尖らせて、よりスポーティー&キュート路線に舵を切ってもよかったのかも!?
身も蓋もない話ですが、「横三つ目+3連ブレスレット」の組み合わせは、デイトナ(特にポールニューマンモデル)に見慣れているせいで違和感があるのかもしれません。
「パンダ+クロノグラフ」と脳内で連想すると、「デイトナ!」と答えを思い浮かべてしまう方も多いのでは?
その結果、「横三つ目+多連ブレスレット」が、しっくりこない=違和感に繋がっているのかもしれませんね。裏を返せば、それだけデイトナがレジェンド過ぎるということなのでしょうが。
余談ですが、その後も議論は白熱、セイコーの時計づくりへの情熱に負けない(?)、熱い時計談義にも発展しました。一部の意見を抜粋します。
「世界初の自動巻きクロノグラフ、国産クロノグラフの雄なんだから、男らしく『新モデルの○○は××をモチーフにしました』と公式情報で言い切って欲しい。その方が、アーカイブモデルの歴史を背負い、新モデルの格が上がる!!」
「復刻モデルではないので、複数モデル(といっても同じ6138系)からデザインのエッセンスをいいとこどりするハイブリッドモデルなのも悪くない」
「売れる戦略重視なら、『復刻+縦目クロノ』にしてもよかった中、時計ビギナーにも人気の横パンダ顔にしたのは好印象」
さて、ご自身の時計哲学に当てはまるものはありますか?
少し辛口な論評を加えてしまいましたが、限定モデルならではのブラックレザーストラップは、ご覧の通りのイケメンぶりです!個人的には、多連ブレスレットより革ベルトの方が似合っているかな、という印象です。
牛皮革のブラックレザーは、縫い目を裏地で覆って仕上げ、汗による劣化も防ぎます。
2021年からコレクションの拡充、変革を推し進める新生スピードタイマー。ソーラー、もしくは「キャリバー8R46」がラインナップの中心ですが、SBEC005 と同じ「キャリバー8R48」を搭載しています。
スタート・ストップ時の針飛びを少なくする、耐衝撃性に優れた「垂直クラッチ方式」は勿論、確実性の高い動作を可能とする「コラムホイール」も顕在!「1969 スピードタイマー」から続く、お馴染みの技術も脈々と本作に受け継がれています。
ちょっと違うのは、SBEC005のシースルーバック仕様を、本作ではソリッドケースバックへ変更した点。それに伴い、「16mm→14.6mm」とちょっぴり薄くなったりもしています。
1960年代の人気フレーズ「大きいことはいいことだ」は、現代の腕時計トレンドには、ミスマッチ。英断でしょう!
裏ぶたには、「Limited Edition」の文字とXマーク、シリアルナンバー(※No. 0001/1000~1000/1000)が、シンプルに表記されていますね。
続きの比較は ⇒「SBEC023とSBEC005を比較」へ
トータルの出来が良い分、ブレスレットや分厚さの細かい点にケチをつけてしまいましたが、それでも、SBEC023が385,000円(税込)という価格設定は、率直に「安い」と思います。
前作のSBEC005が参考定価418,000円(税込)で、お値段据え置きどころか、実質値下げ!!今作は国内150本という少なさなので、いずれは「早いうちに手に入れとけばよかった」なーんて、声も挙がったりする可能性もあり得そうです。
2023年3月に価格改定を行ったセイコー プロスペックス。スピードタイマーの「SBEC009 / SBEC011」は、¥330,000→¥385,000へ値上げ(※16.7%増)し、5万円以上の値上がりがある中、ソリッドバック採用とはいえ、新規ブレスレット開発、薄型化、追加ストラップ付きなどのアピールポイントを持ちながら、385,000円(税込)の価格帯でリリースできたのは、天晴れな心意気でしょう!!
レギュラーモデルのSBEC021の352,000円(税込)という設定も凄いですよね。10%の値上げが当たり前な状況で、とても頑張っていますよね。ささやかながら、賞賛の拍手とエールをお送りします。最高だよ、セイコー(喝采)
比較対象はほぼ同条件のSBEC005が最適でしょう。大まかなデザインの変更点は以下の通りです。
<SBEC005とSBEC023の類似・相違点>
〇タキメーター目盛りの最大値が「500」表記(※6138オリジナルは「600」や「400」もあり)
〇オリジナル同様、ストップウォッチ針は先端がオレンジ
▼今作SBEC023はインダイヤルの針も先端がオレンジ+ブラック
▼前作SBEC005のインダイヤルは縦二つ目のオマージュカラー(黒2色+白1色)、SBEC023のインダイヤルは3つ目とも同一色
▼今作は時分針も白と黒のツートンカラー
他にも、インナースケールに「5-60」の分目盛りが追加されて(※6138-8000も同デザイン)いたり、今作SBEC023は情報量が多めです。しかし、見ていてあまりごちゃごちゃ感じない、整ったルックスに感じるのは、それだけ文字盤全体のバランスがとれているということでしょう。
「顔が好みだ!」という意見も見かけますし、一目惚れで購買意欲を刺激されっぱなしな方も多そうです。人気作のSBEC005と並べても引けを取らない、“やっぱイケメン”っぷりはお見事です。
SBEC005 | 項目 | SBEC023 |
---|---|---|
8R48 | ムーブメント | 8R48 |
日差+25秒~−15秒 | 精度 | 日差+25秒~−15秒 |
最大巻上時約45時間 | パワーリザーブ | 最大巻上時約45時間 |
振動数:28,800振動/時 | 振動数 | 振動数:28,800振動/時 |
怪41.0mm ×厚16.0mm | ケースサイズ | 怪42.0mm ×厚14.6mm |
10気圧防水 | 防水性 | 10気圧防水 |
約190グラム | 重量 | 約183グラム |
シースルーバック | 裏蓋 | ソリッドバック |
418,000円(税込) | 価格 | 385,000円(税込) |
シースルーバックがマスト条件でなければ、3万円弱のプライスダウンは大きなストロングポイントでしょう!
Xマークが嫌だ、6138系デザインのいいとこどりが気になる、L系列のムーブメントを新規開発して欲しい、ネット上では様々な意見も見かけますが、人気のパンダ文字盤が、「レギュラー&35万円弱」と、手に入れやすいと概ね高評価です。
参考定価418,000円(税込)に対し、相場約32~34万円前後となかなかの粘り強い資産価値を見せています。新生スピードタイマーの中では、リセールバリューの面で健闘している方でしょう。
SBEC023はスペックやデザイン、コンセプトなどの条件面も前作と近しい部分が多いため、資産価値も“ちょっと楽しみ”が持てる(定価マイナス程度の30万~35万円も?)かな、と予想します。
6138系ハイブリッドデザインがオシャレなSBEC023(&SBEC021)。SNS上も活発に情報交換がされていますよ!
「発表ペースが早すぎる」
「ありよりのあり!値段は気になるけど、カッコいい」
「縦目でもよかった」
「オリジナルのように二つ目にして欲しかった」
期待&愛情の裏返しなのか、ほんのり否定的な意見もちらほら見かけましたが、概ね好評だった印象です。第二弾のマリンマスターの時よりは、価格に対するネガティブな感想は少なかったようにも思えます。
続いて、海外のコメントも!全体的にルックスを讃える声が多めでした。
「GSの特徴を手に入れたのがプロスペックスというブランドだ。自分の好みではないが、きっと売れる」
「6138系のクラシックなデザインは完璧だ!」
「サイズは大きいが、ラグ間のバランスはいい!仕上がりもバッチリ」
「厚さと値段以外は文句なし!」
ザッと目を通した感じでは、デザイン面は海外でもべた褒めでした!
他の動画も含めると、「ナイス」や「ビューティフル」など、シンプルなコメントも目立ちました。それだけ、“単純に見た目が好き”ということなのでしょう!
現行ラインナップの機械式クロノグラフを中心に、スピードタイマー限定モデルのリセールバリューを調査してみました。まだ若い、新しめなコレクションなので、3か月後・半年後、どのようになっていくのか、プロスペックスの手腕に乞うご期待といったところでしょう。
≪機械式クロノグラフ スピードタイマー限定モデルの販売価格相場(※中古・新品未使用込み)≫
強いモデルで「定価ちょい下」目安ですかね。30万円割れの価格帯が多い中、SBEC023がどれだけのスタートダッシュを記録するのか注目です。1969 スピードタイマーは、“世界初の自動巻きクロノグラフ”という肩書きを有しているので、ひいき目で見ると、いつかは、跳ねるモデルも誕生しそうな気もします。
姉妹サイト 「ブランド時計販売のクエリ」でも、スピードタイマー限定モデルを多数取り揃えています。「善は急げ」ですよ|ω・)→(★)
スポーティーなカッコ良さに、現代的な高級感をプラスしたセイコー100周年記念のスピードタイマー。1960~70年代の“あの頃”のノスタルジックさを纏いつつ、細かいところをチューンナップしているのが持ち味でしょう!
モデル | プロスペックス スピードタイマー メカニカルクロノグラフ SEIKOブランド100周年記念 限定モデル
SPEEDTIMER MECHANIAL CHRONOGRAPH Limited Edition |
---|---|
型番(Ref.) | SBEC023 |
ケース径 | 横:42.0mm × 縦:49.5mm ×厚さ:14.6mm |
ケース素材 | ステンレススチール(ダイヤシールド※) |
ムーブメント | メカニカルクロノグラフムーブメント キャリバー8R48 |
精度 | 日差+25秒~−15秒(気温5℃~35℃において腕に着けた場合) |
駆動期間 | 最大巻上時約45時間持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧防水) |
機能 |
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その他 |
|
限定 | 世界限定:1,000本(うち国内:150本) セイコーウオッチサロン専用モデル |
発売日 | 2023年12月8日(金)発売予定 |
価格 | 385,000 円(税込) |
モデル | プロスペックス スピードタイマー メカニカルクロノグラフ
SPEEDTIMER MECHANIAL CHRONOGRAPH |
---|---|
型番(Ref.) | SBEC021 |
ケース径 | 横:42.0mm × 縦:49.5mm ×厚さ:14.6mm |
ケース素材 | ステンレススチール(ダイヤシールド※) |
ムーブメント | メカニカルクロノグラフムーブメント キャリバー8R48 |
精度 | 日差+25秒~−15秒(気温5℃~35℃において腕に着けた場合) |
駆動期間 | 最大巻上時約45時間持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧防水) |
機能 |
|
その他 | スクリューバック |
限定 | セイコーウオッチサロン専用モデル |
発売日 | 2023年12月8日(金)発売予定 |
価格 | 352,000 円(税込) |
初代スピードタイマーの革新性と伝統を引き継ぎ、更なる進化を遂げるプロスペックスのSBEC021&SBEC023。セイコー100周年第二弾の「マリンマスター」にも共通していますが、“プロスペックス=武骨なツールウォッチメーカー”というブランドイメージを覆すべく、“価格以上の高級感”を付与できるよう模索を続けていますね。
1960年代にスポーツ計時のパイオニアとして名を馳せ、いくつもの不可能を可能にしてきた実績を考えれば、新しい挑戦もいつの日か、SEIKO(成功)となり得るでしょう。
来年で4年目を迎える新生スピードタイマー。コレクションの拡幅を狙ったテコ入れ含め、来年以降も動きは激しそうです。