更新日:2024年02月02日
また昨年リリースの話題で恐縮ですが、やはりこの海外限定モデルを紹介しないわけにはいかない!というわけでご紹介いたします。
2022年頃から、優しい色合いのライトブルー系を 多数手がけきたグランドセイコー(GRAND SEIKO)。2023年にリリースされた台湾限定モデルSBGH321では、二十四節気の「穀雨(こくう)」をテーマに、“淡く儚い晩春と心地よく爽やかな初夏”の季節感をティファニーブルー風カラーで情感豊かに再現しています。
グランドセイコー SBGH321/横40.0mm× 縦47.0mm×厚さ12.9mm、ステンレススチール製ケース、メカニカル 自動巻(手巻つき) キャリバー 9S85搭載。希望小売価格: TWD 195,000ニュー台湾ドル、100本限定
本作SBGH321は、二十四節気(※春夏秋冬を6分割した暦)の第六番目に該当する「穀雨(※4月20日~5月5日頃)」をチョイス しています。ちょうど、ゴールデンウイーク付近の「晩春」に当たり、海外では“Grain rain”と呼びます。穀物を潤す“恵みの雨”を絶妙な色彩(青と緑の中間くらいのミントグリーン)で仕上げていますね。
「雨後の筍(意味:似たようなことが次々と起きること)」のように、広い意味でのライトブルー系カラーがGS海外限定で続いているな、というファーストインプレッションを抱きました。ハイビートムーブメントの「SBGH系」も最近多い印象です。
それでは早速、SBGH321の魅力へ迫りましょう!!
11月発売のグランドセイコー海外モデルをご紹介しています!
グランドセイコー(TW)公式サイト(https://www.grand-seiko.com/tw-zh/collections/sbgh321g)のAI翻訳を記載致します。
『台湾限定「穀雨」の季節に鮮やかな風景を表現
この概念は、春の最後の節気である「五穀雨」に由来しており、寒さが徐々に去り、気温の上昇が早くなり、この時期に雨が大地を潤し、成長の絶好のチャンスとなることを意味しています。季節の微妙な変化で時の流れを自然に感じることができるので、二十四節気の中で一番美しい瞬間を切り取りましょう。雨上がりの青空をイメージしたカラーで、涼しげな情景が漂い、文字板に配された多面立体のアワーマーカーと針は、まばゆい太陽の光を反射する雨粒のようで、文字盤に透明感をプラス。』
“季節の微妙な変化”を淡い色使いのブルーとグリーンの中間色で表現するのはセンスがいいですね。“まばゆい太陽の光を反射する雨粒”という、語感も想像するだに美しいです。雨上がりの青空と風に揺れる若葉、春と夏の狭間の爽やかさは目も心も楽しめますよね。
SBGH321の見どころもまとめてみました。
≪SBGH321のセールスポイント≫
近頃グランドセイコー海外限定で多く見られるライトブルー系統に、本作は「62GS現代デザイン+キャリバー9S85」を組み合わせています。春っぽい、ふんわりした柔和な印象が素敵だと感じました。
まずは一番の長所と思しき文字盤からご説明していきます。
2023年新作SBGH321では、二十四節気「穀雨(こくう)」をコンセプトに、「パステルカラーのブルーグリーン+“桜隠し(SBGW289)似の型打ち文字盤模様”」で、柔らかい雰囲気の文字盤を完成させています。SNSでの評判も良く、ルックスへの感想はほぼ満点だった印象です。
本作のテーマ「穀雨」は、春の雨が百穀を潤す(※「百穀春雨」が由来)という意味を持ち、暦の上では春を締めくくる最後の節気(次は「立夏」)に当たります。
柔らかい雨が大地を潤し、新芽や若葉がグングンと育つ頃ですね。雨上がりの新緑は、太陽の光に当たるとキラキラ反射して、透明感のある煌めきに包まれます。
SBGH321は、徐々に夏へと移り変わる晩春の“繊細な移ろい”を、ブルー(青)ともグリーン(緑)とも呼べない、絶妙な色合いで表現。まるで、雨上がりの澄んだ青空と新緑の柔らかな緑色、をいいとこどりしているような色味です。
公式インスタ写真で見ると、ネイビースーツ(紺系)とパステルカラーのSBGH321がイイ感じでマッチしていますね。お馴染みのブルースチール針がいいアクセントになり、春の麗らかさ、新緑の爽やかさが程よいです。
“桜隠し”SBGW289は44GS史上最少(36.5mm)手巻きモデルの第一作として、海外でも認知度の高い作品
多種多彩な型打ち文字盤を十八番とするグランドセイコー。質感豊かな型打ち模様を使い分けて、似て非なる自然の違いを具現化する表現力は、高級腕時計業界の中でも抜きんでたものがあります。
本作SBGH321の型打ち文字盤模様(ダイヤルパターン)は、“桜隠し”SBGW289に似ています。和紙のような細かい凹凸のザラっとした質感と、淡いペールトーンカラーは相性も抜群です。
SBGW289の「桜色&和紙風テクスチャー」もベストマッチでしたが、本作SBGH321のミントグリーンも“可愛らしさと上品さ”の綱引き加減が惚れ惚れするクオリティーです。春っぽくてお洒落です!
文字盤がつるっとしていないから、よりふんわりした雰囲気にまとまっているのでしょうね。
SNSの口コミではSBGH321を「GS版ティファニー」と呼ぶ声もあり、色に対する感想は国内外問わず、ベタ褒め気味でした。
鮮やかなターコイズブルーで世界中の時計ファンを魅了した、「ロレックス オイスターパーペチュアル41」の124300と見比べてみたいものですねー。
SBGH303はパステルイエロー&キラズリダイヤルでゴージャスな顔立ち
公式情報で言及していませんが、本作SBGH321は「キラズリダイヤル(※SBGH303やSBGH295等)」と近しい雰囲気を持ち合わせています。
グリーンとイエローの中間な色合いが個性的な2022年タイ限定モデル“KOKE-IRO ”SBGH303は、浮世絵技法「雲母摺(きらずり)」を活かし、エレガントな雰囲気に温かみのある光沢を上乗せしていました。
US限定モデルの“霜降”SBGH295は、キラズリダイヤル&アイスブルーカラーで、「霜降(※二十四節気の18番目、立冬の手前)」をモチーフにしているため、SBGH321とは対照的な寒々しい色合いに感じるのが面白い対比です。同じ水色系統(&きらずり?)でも、正反対な季節感に纏め上げるのですから流石です!
大自然や季節の移ろいを“日本独自の美意識”で、文字盤に落とし込む ……巧みなセンスと匠の技術の融合は、さながら「(自然美にも)追いつき、追い越す」勢いで、次々と色とりどりのダイヤルを生み出していっていますよね。
SBGH321のケースのサイズは、横40.0mm× 縦47.0mm×厚さ12.9mm、素材はステンレススティールです。二十四節気シリーズ のレギュラーモデルSBGH271やSBGH273と同じ大きさですね。
本作は「62GS」現代デザインを採用しているのもポイントです。ベゼルレスな丸っこいフォルムは、パステルカラーの柔らかい雰囲気と見目好くフィットしています。
辰年特別限定モデル“レッドドラゴン” SBGH323でかなり詳しく語っていますが、「62GS」現代デザインは比較的珍しいデザイン文法(※レギュラーは二十四節気シリーズの4種類)もウリの一つ。
キラズリダイヤルの“霜降”SBGH295、“KOKE-IRO ”SBGH303も、「62GS」現代デザインです。
他には、アジア地域限定モデルSBGH323(赤)、62GS中国限定のSBGH305&SBGH309(緑&クリーム)、三越限定のSBGH319(濃紺)、銀座限定2022モデルのSBGH297(ターコイズブルー)……個性的な色使いが多いのも「62GS」現代デザインの魅力です。
くっきりとしたビビッドカラー、優しげな色合いのパステルカラー、どちらの色系統にも「62GS」現代デザインは融合していますね。
「62GS」現代デザインは、ガラス縁のない広々としたダイヤル、シャープな多面体のケースが特徴的
ちなみに、レギュラーコレクションのSBGA443(春分)、SBGH271(立夏)、SBGH273(秋分)、SBGA445(大雪)は、「二十四節気シリーズ&「62GS」現代デザイン」の先駆け的存在です。
2019年12月のUS限定モデルから、二十四節気シリーズ(※海外では「ジャパンシーズンズ」のカテゴリーで人気)を追っかけてきましたが、同シリーズもちゃくちゃくとバリエーションが増えてきましたね。
グランドセイコーのリリースペースを考えると、「七十二候(※二十四節気を更に3分割した言葉)」まで四季を細分化していきそうな気配を醸し出していますよね。
https://www.instagram.com/p/CydQqoRRZkC/
「36mmで欲しい」「37~38mmがベスト」など、サイズに関する意見も多く寄せられていました。サイズ違いは確かに欲しいですよね。
燦然と輝くケースに、柔らかな光に包まれたミントグリーン文字盤。実機はもっと綺麗でしょうね。
SBGH321搭載のムーブメントは、二十四節気レギュラーのSBGH271(緑文字盤)とSBGH273(紺文字盤)と同じ「キャリバー9S85」を採用しています。カラーリングが似ているオセアニア限定“鳴門の渦潮”SBGH331、香港・マカオ限定“定山渓”SBGH325もキャリバー9S85でしたね。
シースルーの裏蓋には控えめな「Limited Edition」「XX OF 100」の刻印。主張し過ぎてない素っ気なさが刺さる人には刺さりそうです。限定要素を強調していない外観も、(ある意味)グランドセイコーらしくて、“最高の普通”を味わえますね。
ただ限定100本はかなりのレア度です。海外限定モデルは個性的かつ斬新なデザイン(カラーリング)が多く、いち時計ファンとしては羨ましく感じますよ。
SBGH321の価格は、195,000TWD(ニュー台湾ドル)です。現在のレート(2023年1月28日)で計算すると、約924,300円(※1ニュー台湾ドル=4.74円)となります。
海外限定モデルの“鳴門の渦潮”SBGH331は約897,000円、キャリバー9S85搭載の国内レギュラーモデルの定価は77~88万円前後(※二十四節気シリーズのSBGH271とSBGH273は77万円)なので、価格差・円安差は比較的少なめです。
アジア・パシフィック限定“赤富士”SBGH327が、100万円オーバー(約1,055,000円目安)だったので、本作SBGH321は“国内定価+ちょい高”くらいの値段設定は嬉しいところです。
(左)“穀雨”SBGH321(中)“鳴門の渦潮”SBGH331(右)“定山渓”SBGH325。本作はGSロゴのシルバー、秒針のブルーが味わい深い
SBGH321に似ているモデルも選りすぐってみました。
先ほどちらっと名前を出した“鳴門の渦潮”SBGH331、“定山渓”SBGH325両作の色調には、ダイヤルパターンは異なりますが、本作に相通じるものがあります。
ぐるぐると回転したダイナミックな幾何学模様&抜けるような水色が美しいSBGH331。世界三大潮流、「鳴門の渦潮」を放射螺旋模様パターンで表現し、見ていて吸い込まれそうなダイヤルを完成させています。
目の肥えた海外GSファンは、SBGH331 を本作SBGH321の比較対象としても名前を挙げていました。
レイクグリーンカラーの“床紅葉”パターン&「62GS」現代デザインのSBGH325。
透き通ったエメラルドグリーン寄りの水色は、見るだけで心が弾む美しさです。
三者三様、どれも美しいですが、本作SBGH321は、他二つに比べ、万人受けしそうなダイヤルパターン・風合いがチャーミングですよね。
モデルの系統は全く違いますが、ちょっとグリーン寄りの印象もあるので、ライトグリーンダイヤルの横浜髙島屋限定のSBGE303の色調とも近しいですね。
美しいライトグリーンダイヤルを備えた限定50本の横浜髙島屋限定モデルをご紹介します。
読者の皆さまはどれが一番お好きですか?
2022年頃からちらほらと見かけましたが、2023年には様々なライトブルー系統色の限定モデルがグランドセイコーからリリースされています。色系統が近いGS限定モデルをピックアップしてみました。
2022年の「昼下がりの銀座」SBGH297、2023年の「朝の銀座」SBGH315、2024年の「夜明けの銀座」SBGH317。「銀座グリッドパターン」は3作とも、それぞれ模様が異なる
<ライトブルー系グランドセイコー限定モデル>
銀座の地図を再現した「銀座グリッドパターン」のSBGH317、裏ぶたの陽極酸化処理を施した水色のチタン製ローターも美しいSBGJ275、雪白スカイブルー&スプリングドライブのSLGA017……などなど、グランドセイコーにかかれば、十人十色ならぬ“十機十色”。レパートリー豊富に手掛けています。
ライトブルー系統縛りで、これだけの魅力的な限定モデルをリリースしているのは凄いと思いますが、若干飽きてきた、とも言えなくもないですね。
SBGH321はSNSの反応も好感触です。
「GSティファニーだ」
「オーストラリア版(SBGH331)より、ずっといい」
「(この外観で)36mmを作って欲しい」
他にも、「ゴージャス」「アメージング」など、ひと言で感情が伝わる書き込みを多く見かけました。
購入希望者の方は、実機レビュー動画もお見逃しなく!! どの角度で見ても、いい色味です。
二十四節気ならではの“繊細な季節の移ろい”をブルーグリーンカラーで文字盤に落とし込んだSBGH321。雨粒のように光を浴びると輝き、新緑のようにフレッシュで癒される色味は「お見事!」のひと言につきますね。
2024年も絶妙な色合いの海外限定モデルが多数リリースされそうで楽しみです。
モデル | ヘリテージコレクション メカニカルハイビート 36000 台湾限定 「穀雨」
Heritage Collection Taiwan Limited Edition ”GRAIN RAIN” Automatic Hi-Beat 36000 |
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型番(Ref.) | SBGH321 |
ケースサイズ | 横 40.0mm 縦 47.0mm 厚さ 12.9mm |
ケース素材 | ステンレススチール 裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス |
ムーブメント | メカニカル 自動巻(手巻つき) キャリバー9S85 |
精度 | 平均日差+5秒~-3秒 |
駆動期間 | 最大巻上時約55時間持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
耐磁性 | あり |
生産本数 | 100本 |
取扱店舗 | 台湾のグランドセイコー正規店 |
発売日 | 2023年発売 |
価格 | TWD 195,000.00 |