更新日:2024年03月14日

【グランドセイコー2023年新作】400本限定!欧州限定モデル“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303

ヨーロッパ限定モデル“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303について

グランドセイコー(GRAND SEIKO)から欧州限定400本の「ヘリテージコレクション “Mountiwate Autumn Dusk(※岩手山 秋の夕暮れ)” SBGW303」がリリースされました!超正統派の“岩手山パターン”と、夕暮れ前の秋の澄んだ空気を彷彿させるオリーブグリーンカラーの組み合わせ。

いつも通り非の打ち所がないグランド(偉大)な限定モデルの新作ですが、お値段は£ 5,500(※約88万円。1ユーロ=160円計算)とお高め。円安差も災いして、ちょっと割高に感じてしまう本作……キャリバー9S64搭載現行モデル、 55周年記念限定モデル“桜隠し”SBGW289などの類似モデルとも比較した上で、「SBGW303は高いの(買い)か?」分析してみました!!

 グランドセイコー(UK)公式サイト

四季折々の風情を巧みに具現化するグランドセイコー。文字盤の色と質感を変えることで、無限の自然美を生み出しているのは、もはや伝統工芸の粋に達しています。プレス写真でも、絶妙な色遣いに仕上げてきているのは、いつもながら“最高の普通”といったところでしょう。まずは、グランドセイコー SBGW303の基本的なスペックをご紹介します。

GRAND SEIKO SBGW303の仕様・価格
モデル ヘリテージコレクション 「岩手山 秋の夕暮れ」
Heritage Collection Mount Iwate Autumn Dusk European Limited Edition
型番(Ref.) SBGW303
ケース径 36.5mm × 42.7mm × 11.6mm
ケース素材 ステンレススティール
文字盤 グリーン
ムーブメント メカニカル 手巻 キャリバー9S64
精度 平均日差+5秒~-3秒
駆動期間 最大巻上時約72時間持続
防水性 日常生活用強化防水(10気圧)
限定 欧州限定400本
価格 £5,500

※販売開始時期・価格は予告なく変更される場合があります。

36.5mmとかなり小ぶり。濃緑色のオリーブグリーンがどこまで風合いよくマッチしているのか注目です。ダイヤルとムーブメント、ケースデザインなどについて、詳しく見て参りましょう。

「欧州限定モデル“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303」は、岩手山パターン&オリーブグリーンの色味が魅惑的です。

グランドセイコーは岩手山モチーフのダイヤルが多い

■岩手山パターンについて■

“GSメカニカルウォッチの聖地”である「グランドセイコースタジオ 雫石」。そこから見える雄大な岩手山は、心象的シンボルとして地元民に愛されており、一説では県名(※注)にまでなってしまったという一説もあるほどです。

*注* 山からの溶岩流地形を「岩出」と称し、その元となる山を「岩出山」と呼ぶうちに訛って岩手山へと変化、山麓一帯が岩手郡になったという説

SBGW303の文字盤には、山肌の絶妙な凸凹を表現した“岩手山パターン”を採用。ゴツゴツしたテクスチャーは細い稜線で形成されており、微妙な光の加減を受けると様々な輝きを放ちます。SBGJ235は冬山の情景を表現したブルーカラーの“岩手山パターン”でしたが、今作のオリーブグリーンも落ち着いた温かみがあっていいですね!

「岩手山」を多彩に表現するグランドセイコー。パッと思いつくだけでも、“雲海”SBGH311“中天の空”SBGR325、中国限定モデル(※SBGH305、SBGH307、SBGH309)と、“岩手山パターン”以外のバリエーションも。SBGH305も「グリーンカラー&岩手山」のコンセプトでしたが、今作のSBGW303とは全然印象が違いますね!こういう、細かな違いを上質な完成度で表現できるのが、グランドセイコーの凄いところでしょう。

■オリーブグリーン■

ヨーロッパ限定モデルSBGW303は、“KATANA”SBGA491に色味が似ている

王道の“岩手山パターン”に、本作はナチュラルカラーのオリーブグリーンを採用。夕暮れ時の山並みは、「マジックアワー」とも呼ばれ、まるで魔法を纏うかのように、幻想的な景色へと染まっていきます。岩手山のゴツゴツした尾根のようなオリーブグリーンダイヤル。
海外公式ページには、『光を受けると虹色の輝きを放ち、魅惑的(※和訳まま)』とあります。実機レビューで詳細をいつの日かお届けしたいところです。

ちなみに『春は曙(あけぼの)』の出だしで有名な「枕草子(作:清少納言)」は、季節に関する“日本的美意識”を知的感性豊かに、四季の項目別に紹介しています。
『夏は夜』『冬は早朝(つとめて)』、そして『秋は夕暮れ』と続きます。秋はカラスがねぐらへ帰る様子も、日が暮れた後の風の音、虫の音色も美しい。鋭い審美眼で「秋は夕暮れ時が一番美しい」と、清少納言は語っているのです。視覚から聴覚へと訴えかけているのも素晴らしいところです。「いとをかし」な美しき言の葉ですなぁ~~。

そんな、秋の夕暮れの美しさを文字盤に表現した、2023年ヨーロッパ限定モデルSBGW303。似たようなカラーリングで言うと……今年リリースの北米版「SBGA491(玉鋼)」に雰囲気が似ていますね。SBGW303とSBGA491は、オリーブグリーンの色味も近く、GSロゴのゴールドの使い方も共通しています。

 グランドセイコーSBGA491の公式ページ

他には、SBGH271も思い浮かびますが、こちらは緑が生い茂る夏の爽やかな風「薫風」を表現しているので、グリーンの色味もダークな深みが強く、ゴールドが多いのも特徴的です。どちらも色の系統で言うと濃緑色なのですが、全然別物なのが面白いですね!

SBGA491やSBGH271のマット気味な仕上がりに対し、“岩手山パターン”のSBGW303は、光沢感のあるやや明るめな印象を与えています。ゴールドの使い方が“上品で控えめ”なのも奥ゆかしさがあって、よきかな、です。

他ブランドではロレックスのデイトジャスト36のミントグリーン・・・は少し色味が違いますね、やはりデイデイト40のオリーブグリーンあたりが近しい印象でしょうか。

ロレックスと比較

GSはデイトもない分、シンメトリーなデザインがよりスッキリした印象を与えますね。

SBGW303は手巻きムーブメント「キャリバー9S64」を搭載しています。日差+10~-1秒の精度、約72時間(約3日間)のパワーリザーブを備えた、信頼性の高いキャリバーです。デイト表示のない、シンプルな3針モデル。情報量少な目&グリーンダイヤルで、眼精疲労の回復にも良さそう(?)。

SBGW303の搭載ムーブメントは手巻き「キャリバー9S64」

裏面は「LIMITED EDITION」の文字と「No.XXXX/400」のシリアルナンバーも刻印されています。勇ましくてカッコいい獅子の紋章。クラシカルな雰囲気のソリッドバックも調和がとれていて、アリだと思います。

SBGW303のケースサイズは36.5mmとやや小ぶりなのもポイント

“用の美”も得意とするグランドセイコー。本作もエレガントな「横36.5mm × 縦42.7mm × 厚さ11.6mm」の“極上スリム”は顕在です!

このサイズ感、どこかで聞いたことがあるなと調べてみたところ、44GS 55周年記念限定モデルの“桜隠し(※SBGW289)”と全く同じプロポーションでした。

SBGW289はピンクピンクしていない、控えめな淡い赤みが実にキュート!36.5mmのサイズ感もケースデザインとマッチしていて、柔らかさと上品さのバランスが見事でした。

本作も手巻きの44GSならではの良さを活かし、「薄く軽い、着けやすい」ユニセックスなサイズ感で勝負しています。

SBGW303は類似モデルと比較しても高い傾向が目立つ

GSファンにはお馴染みの“岩手山パターン”と優しい色合いのオリーブグリーン文字盤が特徴のSBGW303、果たして、安いのか高いのか!?

「“桜隠し”が2022年発売当時627,000円(税込)なので5500ユーロ(約88万円)は約1.4倍以上の価格。ズバリ高いかも」
「現行のSBGW297、SBGW299は定価693,000円(税込)。ほぼ同時期発売で、20万円近い価格差はデカい!」

同一条件(※横36.5mm × 縦42.7mm × 厚さ11.6mm、メタルブレスレット)を中心に、SBGW303にも搭載されているキャリバー9S64現行(限定)モデルと比較してみました。率直に、SBGW303は外観的良さは置いておいて、値段的デメリットは大きいかもしれません。

 グランドセイコー公式サイト「キャリバー9S64搭載モデル」

SBGW289(桜隠し)を筆頭に、他にも狙い目のモデルは多い

比較の軸となるのは、2023年11月に発売されたSBGW297(ホワイト文字盤)SBGW299(ダークブルー文字盤)の693,000円でしょう。レギュラーモデルながら、「扇子」を思わせる“直線的な放射型打ち模様”はいい味を出しており、有力な対抗馬と言えます。

そして、ピアゾ編集部的にSBGW303の“最大のライバル”は、“桜隠し”と踏んでいます。「春VS秋」「1200本 VS 400本」の違いはあるものの、サイズ・色合いの柔らかさ・日付表示なしなど、共通点も多いのです。ゴールドをGSロゴにのみ、一点使いしているのも同じだったりします。「どちらが上か!?」の結論は、筆者的には、SBGW289(桜隠し)に軍配を挙げさせて頂きます。

グランドセイコーは2023年1月に10~13%前後定価値上げをしており、それを考慮して10%弱上乗せしたとしても、SBGW289 の値段は約70万円と“お買い得”なのが決め手です。円安の状況下で5500 ユーロ、という値段的デメリットはやはり大きいですね。

「キャリバー9S64搭載現行モデル」は、デザイン以外にも価格面でも力作揃いだったりします。
キャリバー9S64搭載モデルの現行最安値は、SBGW231の550,000円(税込)。価格設定に革ベルトの影響を考慮したとしても、30万円以上の価格差は「もう一本、ミドルクラスの腕時計が手に入る」値段の開きです。

他にも、2022年モデルのSBGW283(「季春 (きしゅん)」水色文字盤)やSBGW285(「杪夏(びょうか)」グリーン文字盤)税込み605,000 円(※どちらも革ベルト)もあり、レギュラーモデル全体のトータルバランスは優秀です。

2023年12月発売予定のSBGW305は、シルバーダイヤル&5連リンクブレスレットを715,000 円(税込)の価格で楽しめます。

仮に、SBGW303の値段が60~70万円台で発売されていたとしても、「よくある岩手山パターン+オリーブ文字盤」は、秋の山々のように色とりどりなキャリバー9S64搭載モデルの中では、“地味”な組み合わせかも?
肯定的に捉えれば、それだけキャリバー9S64搭載現行モデルのラインナップが充実しているということなのでしょうが。

気になるウィークポイントをもう一つ。400本という本数もレア度的には、“中途半端”さが残ります。「銀座限定 2023モデル SBGH315」は、目新しい「銀座グリッドパターン」を採用したにも関わらず、“400本限定&見慣れたブルーカラー”という属性が災いしたのか、価格的には跳ねていないのが現状です。

逆に、銀座限定2022モデル SBGH297」は、“200本限定&流行色のターコイズブルー”でプレミア価格を記録……ちょっとした違いが、大きな差に繋がるのもグランドセイコー限定モデルの近年の傾向なのです。

SBGW303は「見慣れたデザイン+そこそこ多い本数」というファクターを備えており、5500ユーロという価格帯も考慮すると、割高でインパクトも弱め、に思えてしまいます。素敵なデザインなのは間違いないのですが、いちGSファンとしては、もう一声“強み”が欲しかった気もします。

(ほぼ)同じ値段・スペックの限定モデルを入手するなら、SBGW289(桜隠し)の方が割安感もあって狙い目かも?
→姉妹サイト「ブランド時計販売のクエリ」 でもSBGW289(桜隠し)を販売中です。(※在庫切れの場合はご容赦ください)

ちょっと辛口な評価をお伝えしましたが、SBGW303のネット上の滑り出しは上々です。

「海外限定でこんな素敵なの出さないで!ちょい渋でカッコよすぎる」
「欲しい!」
「色味がいい」

投稿数はまだ少なめなので、知っている人は知っているという状況です。これからの賑いに期待しましょう!

ちなみに類似モデルのSBGW283「季春」に対しては

「GSはスポーツモデルをドレスウォッチの厚さまで薄くできれば勝者になれる!」
「ドレッシーにもカジュアルにも使えていい」
「文字盤はパテック・フィリップやロレックスのように美しい。が、手巻きにしては分厚い」

など、厚さに関するコメントが目立ちます。

SBGW289(桜隠し)については

「他のブランドとは違う、繊細さを体現しているのがGSの良さ」
「美しさとシンプルさの完璧な融合」
「モデルの数が多いので、ネーミング部門がデザイナーに追いつくのが大変そう!」

と、日本独特の“繊細さ”は、海外でもウケがよさそうです。

グランドセイコーはリリースペースも驚異的です。秋だけでも、「秋の夜長」「秋の夜更け」「秋麗(あきうらら)」「秋入梅(あきついり)」など、美しい日本語はまだまだあるので、今後のGSネーミングチームの頑張り(?)にも注目です。

最近のグランドセイコーは、「レア度とデザイン性」をシビアにチェックされている傾向が目立ちます。SBGW303は良く言えば上品な顔立ちなのですが、ファーストインプレッションがちょっと地味なのがマイナス要素だと言えます。日本的な“控えめの美しさ”は、悪く言えばひと目で心を奪われるような強い個性がない、とも捉えられかねません。

これまでにリリースされた欧州限定モデルもエレガンスコレクションばかり(※ “枯山水”SBGY027、SBGW267&SBGW269等)で、控えめ過ぎる部分が気になるものの、某海外記事では「日本のカラトラバ」と称され、腑に落ちる言い回しではあります。

類似カラーの北米版「SBGA491(玉鋼)」は、わかりやすい“KATANA(刀)”というネーミングなので、SBGW303ももっと“わかりやすい日本らしさ”は欲しかった気もします。“ZEN(禅)”や“WABI-SABI(侘び寂び)”や“RIN(凛)”のような、こってこてな日本要素があるともっとウケるのかもしれませんね。

「一葉落ちて天下の秋を知る(意味:わずかな前兆から未来を察知する)」の言葉のように、“お宝の山”が既に多数リリースされているGS。多くの海外限定モデルが出ているので、雄大な岩手山のように“すそ野”を広げて、厳しくコレクション全体をチェックしてみてください!

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