更新日:2022年12月25日
世界有数のオークションハウス・フィリップス(Phillips)は、2022年12月10日~11日に「ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブン(The New York Watch Auction: SEVEN)」を開催し、180本近い高級ブランドの腕時計が出品され、その総売上は29億円を超えました!
出品された時計ブランドを見てみると、パテック・フィリップ、ロレックス、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オメガ、パネライ、リシャール・ミル、ロジェ・デュブイ、F.P.ジュルヌ、ブレゲ、ブルガリ、カルティエ、シャネル、ショパール、エルメス、ホイヤー、ロンジンなどなど、錚々たる顔ぶれ。ヴィンテージウォッチから最新モデルまで新旧入り混じり、お馴染みの定番モデルから一生お目にかかることもなさそうなレアモデルまで、多種多様なモデルは見ているだけでも時計愛好家にとっては本当に心躍る、楽しいオークションだったのではないでしょうか。
日本のモデルではクレドール1本、グランドセイコーが10本出品され、いずれも高額落札されています。グランドセイコーの落札結果についてはこちらのブログをご覧ください。
本当は全てのモデルについてご紹介したいところですが、本ブログでは「ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブン」から定番モデルを押さえつつ、予想落札価格を大幅に上回り、今後も資産価値に注目が集まりそうな様々なブランドのプレミアモデルを、その稀少性を決めるポイントとともにご紹介いたします。
オークション常連のロレックスや、パテック・フィリップ他にも、意外な伏兵が登場?!世界での時計の人気ブランドは国内とまた様相が違っていたりしますので、世界的な規模感で時計の資産価値が見えてくるかも?!
グランドセイコーからは「グランドセイコーKODOコンスタントフォース・トゥールビヨン」の特別モデルSLGT001(限定1本)を始めとする、ヴィンテージウォッチから最新作までバリエーション豊富な合計10本の時計が出品されました。
ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブンにはロレックスの時計が多数出品されましたが、特にデイトナは多めだった印象です。こちらにリストアップしたもののほかにも、ライトグリーンダイヤルの「デイトナビーチ ref.116519」や、ブルーのソーダライトダイヤルのWG製「デイトナ ref. 16519」、「Cosmograph」の「R」と「APH」の間に隙間がある「APHデイトナ」、水色ダイヤルの「デイデイト”ステラ”」、特許申請中(”Patent Pending”と刻印のある裏蓋、一行目にシードゥエラー、二行目にサブマリーナ2000と、すべて同じフォントサイズの文字がダブルでプリントされた文字盤を備えたシードゥエラーなど、愛好家のツボとも言えるレアなポイント満載のロレックスが出品されました。
ロレックス人気モデルの最新定価リストはこちら!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 116500LN |
モデル名 | コスモグラフ デイトナ |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 4130 |
予想落札価格 | USD 12,000 - 24,000 |
落札結果 | USD32,760 (約4,488,120円) |
(※1ドル=137円で換算)
こちらは定番、ロレックス現行モデルの「コスモグラフデイトナ ref.116500LN」黒文字盤です。2022年12月現在の定価は1,720,400 円(税込)で、中古腕時計市場の相場は380~500万円前後ですので、ごく妥当なラインの落札価格ですね。一時期の高騰期を過ぎ、落ち着いてきた感はあるものの、以前定価と比較すればとんでもないリセールバリューです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 6239 |
モデル名 | コスモグラフ デイトナ |
ケースサイズ | 36.5mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 手巻き cal. 72B |
予想落札価格 | USD 30,000 - 60,000 |
落札結果 | USD108,360 (約14,845,320円) |
(※1ドル=137円で換算)
コスモグラフ・デイトナが誕生した1963年の初期モデルが出品されました。レアなポイントは、まず6時位置の表記です。2つの「Swiss」表記があるダブルスイスと、トリチウム夜光を示す”T-Swiss-T”表記の間に存在した、”Swiss”だけ、のバージョンなのです。また、この6239は初期のオパリンシルバーホワイト文字盤、非常に珍しいマークIベゼルなどのポイントもあり、アカデミックなモデル、と評されるほど。落札額も予想落札価格を大幅に上回りました。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 6239 |
モデル名 | コスモグラフ デイトナ ”ポール・ニューマン” |
ケースサイズ | 36.5mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 手巻き cal. 722-1 |
予想落札価格 | USD 70,000 - 140,000 |
落札結果 | USD 201,600 (約27,619,200円) |
(※1ドル=137円で換算)
もはや説明不要かもしれません。ロレックスのオークション常連モデルと言えばこちら、デイトナ ポール・ニューマン( “Paul Newman”)。「ポール・ニューマン」と呼ばれるエキゾチックダイヤル仕様の6239は、コレクターの間で最も人気があり、その希少性、不朽の美学、そして名高い歴史が評価されています。
この時計は、オリジナルオーナーの家族から委託され出品されたもので。全体的に保存状態が良く、魅力的なブラックの "ポール・ニューマン "文字盤にホワイトのスモールダイヤルを備えています。外側の赤いセコンドトラックと、6時位置の "DAYTONA "の文字の鮮やかな赤、そしてサブダイヤルに表示されたアールデコ調のフォントが、この時計の美しさをさらに深みのあるものにしています。
予想落札価格は70,000 - 140,000 ドルでしたが、201,600ドル、およそ2,700万円と高額落札となっています。
世界で唯一無二のポール・ニューマン自身が所有・使用したロレックス“ポール・ニューマン”コスモグラフ・デイトナ(Paul Newman's Legendary 'Paul Newman')が日本円にして約20億円(1ドル=114円で換算)で落札されました!!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 19000 |
モデル名 | オイスタークォーツ デイデイト |
ケースサイズ | 36mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | クォーツ cal. 5035 |
予想落札価格 | USD 12,000 - 24,000 |
落札結果 | USD44,100 (約6,041,700円) |
(※1ドル=137円で換算)
スイスで最も古い時計学校であるジュネーブ時計学校(L’École d’Horologerie de Genève)は1824年に設立され、ジュネーブの中心部からすぐのプチ・ランシーに本部を置きました。
ロレックスは1984年に最初の時計製造実習生を迎え入れましたが、それ以前は他のブランドと同様に、将来の時計職人の練習用として時計を時計学校に寄贈することがあったことが調査からわかっています。興味深いことに、ロレックスはクオーツムーブメント、キャリバー5035を搭載したリファレンス19000「オイスタークオーツ デイデイト」を寄贈することにしたのです。さらに驚くべきことに、ロレックスは寄贈された時計を他のリファレンス19000とは異なり、ステンレススチールのケースに収めたのです。おそらくジュネーブ時計学校の学生たちは、1970年代後半から流行し始めた複雑なクオーツムーブメントを扱う練習が必要であり、コスト面からスチールが選ばれたのだと推測されます。
また教習用の時計は、過去を覗き見る窓として、あるいは見慣れたリファレンスのムーブメントに若い時計職人の名前が刻印されていることの不自然さから、コレクターの間で高い人気を誇っています。今回出品されたロレックス オイスタークォーツは、オークションでは4度目の登場となり、ケースバックには「L'École d'Horologerie de Genève」の刻印があり、知る人ぞ知るレア物であることがさりげなく伺える1本なのです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 116610LV |
モデル名 | サブマリーナデイト ”ハルク” |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 3135 |
予想落札価格 | USD 8,000 - 16,000 |
落札結果 | USD 23,940 (約3,279,780円) |
(※1ドル=137円で換算)
こちらは定番。「カーミット」の愛称で親しまれたサブマリーナーリファレンス16610LVの後継モデルとして2010年に発売された「116610LV」は、サンバーストグリーンダイヤルとグリーンのセラクロムベゼルを組み合わせており、グリーンの肌をトレードマークとする”インクレディブル・ハルク”から「ハルク(Hulk)」という愛称を付けられました。
日本国内での中古販売相場は290~400万円前後と幅広いですが、今回出品された時計は、オリジナルの付属品が全て揃った状態の良いもの、という以外、レアな特徴のあるものでもありませんでしたので、 予想落札価格は最高でも16,000ドル(約220万円)と控えめでした。実際の落札価格は23,940ドル、約328万円と100万円近く上回り、意外な結果、と言えるかもしれません。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ロレックス |
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型番(Ref.) | 1675 |
モデル名 | GMTマスター |
ケースサイズ | 39.5mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 1560 |
予想落札価格 | USD 30,000 - 60,000 |
落札結果 | USD69,300 (約9,494,100円) |
(※1ドル=137円で換算)
1963年に製造されたこのモデルは、リファレンス1675の中でも最も希少で完全、そして最も保存状態の良いモデルのひとつです。その見事なブラックラッカーのギルトダイヤルには、極めて稀な「アンダーライン」と「ダブルスイス」の両方の特徴が見られます。ロレックスのコレクターや歴史家は、アンダーラインとダブルスイスの特徴は過渡期のもので、ロレックスがラジウムの代わりにトリチウムをダイヤルに使用したことを意味する、と仮定しています。さらに、この初期のケースには、イタリアの地名でその地の山の形状に似ていることから、コレクターによってしばしば「コルニーノ(”Cornino”)」と呼ばれる尖ったデザインのリューズガードを備えています。
実は出品数が最も多かったのがパテック・フィリップ(Patek Philippe)。定番のノーチラス、カラトラバからワールドタイム、コンプリケーションなど40本以上出品された時計のうち、落札価格が最も安いもので懐中時計の15,120ドル、最高額はパーペチュアルカレンダークロノグラフ(Lot 127)の 792,300ドルで1億円超と、いずれも大変な高額で落札されています。
全体を振り返ると、なかなか普段お目にかからないようなコンプリケーションモデルやユニークなモデルが高額落札され、シングルシール以外のノーチラスはほどほど。ワールドタイムが5本も出品されていたのは圧巻でしたが、いずれも想定の範囲内といった結果に終わっていました。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 3998J-013 |
モデル名 | カラトラバ ”ヒエログリフダイヤル” |
ケースサイズ | 34mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | 自動巻き cal. 315 SC |
予想落札価格 | USD 50,000 - 100,000 |
落札結果 | USD239,400 (約32,797,800円) |
(※1ドル=137円で換算)
「キワモノもここまで来たか」驚きに満ちた時計の登場です。実は今回のオークションの出品リストを見たときから「可愛い!」とピアゾ編集部内でも人気だった1本。なんと文字盤のインデックスがエジプトの象形文字「ヒエログリフ」なのです。時間が読み取れるのかは謎ですが、面白すぎて目が離せませんね。
2002年に製造された本作は、パテック・フィリップの特別な顧客のオーダーによって製作されたものです。象形文字のインデックスである上に、そのレイアウトも独特です。
象形文字ひとつひとつをアルファベットに置き換えると、6時位置に「HALMUT」、12時位置に「NAUTUN」、という文字が読み取れるそうです。(全くわからないw)「ヘンリー・グレイヴス スーパーコンプリケーション」の所有者で、熱心な収集家であるカタールの王子、サウド・ビン・ムハメド・アル・ターニ氏が仕事上の付き合いのあった写真家ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)氏のために作らせたもの、と言われているようです。ええと、時間は読めなくてもいいんですよね?w
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 725/3 |
モデル名 | ポケットウォッチ |
ケースサイズ | 46mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | 手巻き cal. 17-170 |
予想落札価格 | USD 25,000 - 50,000 |
落札結果 | USD226,800 (約31,071,600円) |
(※1ドル=137円で換算)
3000万円の懐中時計・・・。なかなかのインパクトですね!リファレンス725は、1518、1526、2497、2499といったアイコニックな腕時計のDNAを受け継ぐ、ブランドで最も格式の高い懐中時計モデルの1つです。1940年に初めて発表されたこのモデルは、イエローゴールド、ピンクゴールド、プラチナで展開され、これまでに725-1、725-2、725-4というリファレンスが知られていましたが、今回新たにリファレンス725-3というバリエーションが発見されたのです。その稀少さから予想落札価格の4倍近くという驚愕の高値がついたようです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 5070J-010 |
モデル名 | コンプリケーテッド クロノグラフ |
ケースサイズ | 42mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | 手巻き cal. 27-70 |
予想落札価格 | USD 80,000 - 200,000 |
落札結果 | USD441,000 (約60,417,000円) |
(※1ドル=137円で換算)
これは恐らく世界に1本のユニークピースで、文字盤の6時位置に小さな「MSO」という文字を組み合わせたモノグラムが施されているのが特徴です。()パテック・フィリップがこのような特別な仕様を許可するのは限られた顧客のみで、これがコレクターの垂涎の的となる所以なのです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 2499 |
モデル名 | パーペチュアル カレンダー クロノグラフ |
ケースサイズ | 37.5mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | 手巻き cal.13'''Q |
予想落札価格 | USD 400,000 - 800,000 |
落札結果 | USD792,300 (約108,545,100円) |
(※1ドル=137円で換算)
年間わずか約10本ほど、34年の製造期間でたった349本しか製造されなかったというパテック・フィリップのパーペチュアルカレンダークロノグラフ2499。コレクターの間では「聖杯モデル( "grail model”)」と呼ばれ、パテック・フィリップ収集の終着点、とまで言われています。
リファレンス2499は、プッシャーの形状やインデックスなどによって4つのシリーズに分けられ、こちらのモデルは第3シリーズの1本です。
そんなただでさえ稀少なモデルですが、さらに注目のポイントが6時位置のムーンフェイズの下に記された”Howes”の文字です。アメリカのジュエラー Howesのダブルネームモデルであることが窺い知れます。この作品はハウズの極めて重要な顧客のためにオーダーされたものと考えられています。さらにケースバック内側にはアメリカ市場向けに作られた時計であることを表す「HOX」が、ケースバック外側には「18K」の表示があり、そのオリジナリティをさらに際立たせており優れた保存状態と相まって、最も目の肥えた愛好家のための”優勝”モデルと言えるかもしれません。いやー奥が深いですね、アンティークのパテック・フィリップ。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 5711/1A-001 |
モデル名 | ノーチラス |
ケースサイズ | 42.5mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 315 SC |
予想落札価格 | USD 40,000 - 80,000 |
落札結果 | USD100,800 (約13,809,600円) |
(※1ドル=137円で換算)
ノーチラス5711は15年間製造されていました。今回出品された初期の「シリーズ1」モデルが、パテックが2019年に26-330 SCを導入するまで搭載されていた324 SCに置き換える前に、自社製「キャリバー315」を搭載していたことは実はあまり認識されていません。2008年1月に工場に納品され、同年4月1日に販売されたこのロットは、2年弱の生産期間中にこの第一世代のムーブメントを搭載した、最も希少な「クラシックダイヤル」5711のうちの1つです。状態もよく、付属品も完備しており、予想落札価格を2万ドルほど上回る結果となりました。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | パテック・フィリップ |
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型番(Ref.) | 5976/1G-001 |
モデル名 | ノーチラス クロノグラフ ”ノーチラス誕生40周年限定” |
ケースサイズ | 44mm |
ケース素材 | 18Kホワイトゴールド |
ムーブメント | 自動巻き cal. CH 28-520 C |
予想落札価格 | USD 150,000 - 300,000 |
落札結果 | USD 504,000 (約69,048,000円) |
(※1ドル=137円で換算)
「ノーチラス 5976/1G-001」は2016年にノーチラスの誕生40周年を記念して世界1300本限定で発売されたモデルです。ホワイトゴールド素材をケースに採用し、ケースサイズは44mmとノーチラス最大の大きさ。鮮やかなブルーダイヤルには「1976-40-2016」と刻印されています。さらに今はなくなってしまった工場出荷時の密封シール状態で、オリジナルの付属品のすべてと貴重なコルク製の記念ボックスを完備している、というコンディションも高評価に繋がり、予想落札価格150,000 - 300,000 ドルのところ、504,000ドル、約6900万円で落札されました。
オーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)は多数のロイヤルオークが出品され、その人気を印象づけました。しかしそのほとんどが想定通りで、予想落札価格を何倍も大幅に上回った、というようなサプライズモデルはありませんでした。
予想落札価格が公開されていなかった2022年最新モデルの「オーデマ・ピゲ ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ブルーセラミック 26579CS.OO.1225CS.99 (lot-88A)」は6000万円超えを記録。セラミック製ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダーと言えばこれまでにホワイトやブラックがありますが、NBA選手のドレイモンド・グリーンやフランスの俳優オマール・シー、アメリカのコメディアンのケヴィン・ハートなど、名だたる世界の有名人たちが着用していることでも有名です。つまり「オーデマ・ピゲの最高顧客の証」とも言えるモデルですから、納得の高額落札、といったところでしょう。ちなみに今回出品されたその最新ブルーバージョンはFIFAワールドカップ2022でオランダ代表ファン・ダイクが着用していたことも目撃されています!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | オーデマ・ピゲ |
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型番(Ref.) | 15400OR |
モデル名 | ロイヤルオーク |
ケースサイズ | 41mm |
ケース素材 | 18Kピンクゴールド |
ムーブメント | 自動巻き cal. 4302 |
予想落札価格 | USD 30,000 - 60,000 |
落札結果 | USD 94,500 (約12,946,500円) |
(※1ドル=137円で換算)
人気のロイヤルオーク ref.15400、ピンクゴールド×ブルーのタペストリーダイヤルモデル。着用回数が極めて少ない、新品同様のコンディションです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | オーデマ・ピゲ |
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型番(Ref.) | 16202ST.OO.1240ST.01 |
モデル名 | ロイヤルオーク ”ジャンボ” エクストラ・シン |
ケースサイズ | 39mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 7121 |
予想落札価格 | USD 40,000 - 80,000 |
落札結果 | USD 107,100 (約14,672,700円) |
(※1ドル=137円で換算)
ロイヤルオークの誕生50周年を記念して、オーデマ・ピゲはオリジナルモデルへのトリビュートとしてステンレススチール製の新モデル、リファレンス16202STを発表しました。直径39mmのこのモデルは、オリジナルのリファレンス5402を忠実に再現しています。人気モデルであることはもちろんですが、こちらの収益は慈善団体へ寄付されるチャリティー、ということで少し上振れしたのかもしれません。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | オーデマ・ピゲ |
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型番(Ref.) | 15202PT.OO.1240PT.01 |
モデル名 | ロイヤルオーク”ジャンボ” エクストラ・シン |
ケースサイズ | 39mm |
ケース素材 | プラチナ |
ムーブメント | 自動巻き cal. 2121 |
予想落札価格 | USD 100,000 - 200,000 |
落札結果 | USD277,200 (約37,976,400円) |
(※1ドル=137円で換算)
プラチナ製のロイヤルオーク "ジャンボ "は、2000年に20本だけ作られた誕生20周年記念のリファレンス14802PTのように、かなり”例外度”が高く、さらに本作は2021年に100本限定で発売され、スモークグリーンのサンバーストダイヤルも珍しく、稀少性の高いモデルです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | オーデマ・ピゲ |
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型番(Ref.) | 26579CS.OO.1225CS.99 |
モデル名 | ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ブルーセラミック |
ケースサイズ | 41mm |
ケース素材 | セラミック |
ムーブメント | 自動巻き cal. 5134 |
予想落札価格 | USD On Request |
落札結果 | USD441,000 (約60,417,000円) |
(※1ドル=137円で換算)
2017年にブラックセラミック、2019年にホワイトセラミックの「ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー」を発表してきたオーデマ・ピゲの、ロイヤルオーク誕生50周年を記念した2022年最新バージョンはブルーセラミック製でした。
さらにこのモデルは、この時計の発祥地である”the City of Lights(光の都)”、つまりフランスのパリを象徴するエッフェル塔をモチーフにしたスケルトンローターを備えた、これまでにないスペシャルオーダー品となっています。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | オーデマ・ピゲ |
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型番(Ref.) | 26595SR.OO.A032VE.01 |
モデル名 | リマスター01 クロノグラフ |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | ステンレススティール |
ムーブメント | 自動巻き cal. 4409 |
予想落札価格 | USD 20,000 - 40,000 |
落札結果 | USD 76,860 (約10,529,820円) |
(※1ドル=137円で換算)
最後にロイヤルオーク以外のモデルを。オーデマ・ピゲの1940年代の名作「クロノグラフ Ref.1533」の復刻モデル「リ・マスター01 クロノグラフ Ref.26595SR.OO.A032VE.01」です。2020年の発売当時は500本限定、オーデマ・ピゲのブティックのみで販売されましたが、現在は中古腕時計市場でも500~700万円前後で販売されています。それを思うと随分落札価格が伸びた印象ですね。
今回のオークションでは他にも多くのブランドの腕時計が出品されていましたが、その中でもいくつか高額落札モデルをピックアップしてご紹介します。
最近俄かに富裕層の間で人気が高まってきている感のあるF.P.Journe (フランソワ・ポール・ジュルヌ) 。今回のオークションにも15本ほど出品され、軒並み高額落札されており、その存在感を印象付けました。特にロットナンバー48の「スヴラン トゥールビヨン」は今回のオークションの中で最も落札価格が高かったモデルで、なんと約1億7000万円ほどで落札されました!時計の資産価値が気になる、という方には今後も目が離せない大注目ブランドですね!
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | F.P.ジュルヌ |
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モデル名 | スヴラン トゥールビヨン |
ケースサイズ | 38mm |
ケース素材 | プラチナ |
ムーブメント | 手巻き cal. 1498 |
予想落札価格 | USD 300,000 - 600,000 |
落札結果 | USD1,240,000 (約169,880,000円) |
(※1ドル=137円で換算)
初期のこの希少なモデルは、1999年に製造された「038番」で、ケースバックのエングレービングはジュルヌの初期の作品によく見られるもので非常に人気のある作品です。この個体には稀に見る”エラー”も。裏蓋には"Inv. Fecit "ではなく”In . Fecit” と刻印されており、"v "が欠けているのは、この非常に初期の製造モデルにおける魅力的な「ヒューマンエラー」なのです。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | カルティエ |
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型番(Ref.) | 1734 |
モデル名 | タンク・アメリカン |
ケースサイズ | 26.5mm |
ケース素材 | プラチナ |
ムーブメント | 手巻き cal. 430MC |
予想落札価格 | USD 4,000 - 8,000 |
落札結果 | USD17,640 (約2,416,680円) |
(※1ドル=137円で換算)
1989年、カルティエは力強く男性的なサイズのモダンな腕時計、「タンク・アメリカン」を発表しました。「タンク・アメリカン」は、カルティエのタンクウォッチとして初めて防水ケースを採用した、タンクシリーズの進化におけるマイルストーンとなるモデルです。
今回出品された時計は保存状態も素晴らしく、オリジナルのボックスや保証書などの付属品も完備されており、高い評価へと繋がりました。
なお、カルティエからはオークション常連モデルの「クラッシュ」も出品され、カルティエ・ロンドンで製造された稀少なモデルとうことで注目が集まっていました。予想落札価格の範囲内ではありましたが、453,600ドルという超高額で落札されています。
20世紀のもっとも偉大な時計職人にして、イギリスのウォッチメイキングを象徴する存在とも言われる、ジョージ・ダニエルズ(George Daniels)。独立時計師アカデミーに所属していたイギリスの時計師で、ブレゲの研究や、のちにオメガに採用されるコーアクシャル・エスケープメント(同軸脱進機)の開発などの功績があり、日本での知名度はハッキリ言って低いと思われますが、今回のオークションでは上述のF.P.ジュルヌに次ぐ2番目の落札額を記録しています。
Photo courtesy of Phillips.
ブランド | ジョージ・ダニエルズ |
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モデル名 | アニバーサリー |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | 手巻き コーアクシャル |
予想落札価格 | USD 400,000 - 1,000,000 |
落札結果 | USD816,500 (約111,860,500円) |
(※1ドル=137円で換算)
2009年、ダニエルズの発明から35周年を記念して、彼の天才的な才能とデザイン精神が腕時計に凝縮された同軸脱進機の記念モデルが発表されました。弟子のロジャー・W・スミスとともに、イエローゴールドのこのモデルはわずか35本しか製造されませんでした。そのうちの1本が今回出品された時計で、ムーブメントにはNo.09というナンバーが刻印されています。
ブラックのローマ数字が刻まれた大きなゴールドのリング、日付と秒を示す2つの小さなサブダイヤル、12時位置には扇形のパワーリザーブ表示、「DANIELS」の文字。ダイヤルにはシルバーに輝くエンジンターンドパターンを手作業で施されています。
あまりに珍しすぎて、プロにもこの時計の評価は難しかったのでしょう、予想落札価格は400,000 - 1,000,000 ドルとかなり幅がありましたが、実際の落札価格は816,500ドル、1.1億円超となりました。
2022年12月開催の「ニューヨーク・ウォッチ・オークション:セブン(The New York Watch Auction: SEVEN)」の高額落札モデルの一部をご紹介して参りました。今回のオークションには日本が誇るグランドセイコーやクレドールが出品され、その結果にも大いに注目が集まりました。海外のオークションを見ていると、ロレックスはやはりデイトナ人気が凄まじい一方、パテック・フィリップはノーチラスだけじゃないんだぞ!ということも感じますよね。ジョージ・ダニエルズやF.P.ジュルヌのような、時計好きでないと知らないようなブランドも海外ではかなり評価が高く、高値で取引されている資産価値の高いブランドだ、ということも分かります。
日本の中古腕時計市場も一部のブランド・モデルに人気が集中しがちではありますが、世界にはもっと多様性溢れる素敵な腕時計があることを知り、楽しみながら自分好みの1本を是非見つけて頂きたいですね!