更新日:2022年12月06日

パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)2022年新作ノーチラス5811/1G 価格推移・資産価値考察&10月11月新作情報と今後の予想

世界一高いラグスポになったSS製ノーチラス。ホワイトゴールド素材の新作を2022年10月に発表

高級腕時計業界の一大ブーム、“ラグスポ(ラグジュアリースポーツウォッチ)”。世界三大時計ブランド、パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)が1976年に初めてスポーツウォッチとして手掛けたノーチラス(nautilus)は、ウェットスーツにもタキシードにも似合う“不変”的なデザインで、“普遍”的に世界中の時計ファンを魅了。“ラグスポの頂点”として君臨し続けています。近年では、「世界一高いステンレススティール製時計」とも称され、その価値は高まる一方です!

しかし、去年から状況は一変。2006年からロングセラーを誇ったステンレススティール(SS)製のRef.5711/1A-010が生産終了……SS素材のノーチラスは次々とカタログから姿を消していきます。そして、2022年10月にはホワイトゴールド製のRef.5811/1Gが、後継機として新たにリリース。45年に渡って愛されてきた“SS素材”のノーチラスの時代は終わり、“ゴールド素材”の新しいノーチラスへと生まれ変わろうとしています。

Ref.5811/1Gの登場は実勢相場にも影響を与え、2400万円前後で取引されていたRef.5711/1A-010の人気が再燃。わずか2週間余りで、約3400万円まで急騰……腕時計業界の様々な思惑も絡みあった「ステンレススティールVSゴールド」のパワーゲームへと発展しそうな状況です。ラグスポの最高峰、ノーチラスは今後どのようになっていくのでしょうか?

今回の記事はノーチラスの新作Ref.5811/1Gを中心に、前作からの変更点&前作とのスペック比較は勿論、パテック・フィリップの新作傾向。ステンレススティールとゴールドの価格推移や資産価値についても考察致します!
(*注*文中の価格表記は、新品販売価格相場を参照の上記載。)

価格高騰を続けるRef.5711/1A-010とRef.5811/1G-001の違いと比較表

一番気になる点は「前作Ref.5711/1Aとどこが違うか?」だと思います。一見すると、従来のノーチラスと大きな変更点は見受けられないので、前モデルと比較しながら、細かくチェックしてみましょう!まずは比較表をご覧ください!!

103613と103786の違い
Ref.5711/1A-010 変更点 Ref.5811/1G-001
SS 素材 18KWG
SS ブレスレット 18KWG (※特許取得の折り畳み式バックル。
2mmまたは4mmの幅で調整可能)
ブルー ダイヤル ブルー
(※外周に向かって濃くなるブラック・グラデーション)
3ピース構造 構造 2ピース構造
直径40mm×ケース厚8.3mm ケースサイズ 直径41mm×ケース厚約8.2mm
3,872,000円(※最終定価参考) 値段 9,383,000円(税込)
120m 防水性 120m
324SC or 26-330SC キャリバー Cal.26-330SC
約48時間 or 約45時間 パワーリザーブ 約45時間
新機能 従来の《継手巻真》に代わるオシドリとカンヌキの新しいシステム等

価格面・機能面・ステータス性……じっくりと見比べた上で、「5711でなければならないか、5811の方が良いのか」ゆっくりと答えをお出しください。

Ref.5811/1G-001は2ピース構造に戻し薄型化。メンテナンス面も改善

素材以外の5811と5711の大きな違いは、「1mm大きくなったケース幅と0.1mm薄くなった2ピース構造」に集約されます。先代Ref.5711/1Aまでは直径40mmだったケース径が41mmへとサイズアップ!更に、1976年の初代ノーチラスをトリビュートした2ピース構造にカムバックしました!!

ラグスポのベースとなる3針ドレスウォッチは、“シンプルさと高級感のバランス”が肝心。昨今の人気傾向は、「薄型の追求+39~41mmのケースサイズの大型(※2010年頃は36~38mmが主流)化」です。今作のRef.5811/1G-001も、流行を敏感に察知し、「ケース径を41mmに大型化&2ピース構造でケース厚約8.2mm」と変更しています。

注目すべきは、前作(Ref.5711/1A)が3ピース構造だったのに対し、2世代前(Ref.5800/1A)同様のオリジナルに忠実な2ピース構造に戻し、原点回帰した点でしょう!

<3ピース構造と2ピース構造の違い>

①「3ピース構造」:ベゼル+ケース本体+裏ぶた(※裏ぶたとケースがわかれ、ムーブメントの幅が大きくなる)
②「2ピース構造」:ベゼル+ケース本体(※裏ぶたとケースが一体型のためスリム)

3ピース構造は、「気密性の高さと優れた防水性」を獲得しやすく、メンテナンス面でも優秀です。しかし、新作のRef.5811/1G-001は、薄型設計を重視するために、2ピース構造を採用。2ピース構造でも、前作と変わらない12気圧防水性を確保しており、流石ノーチラスといったところでしょうか。

2ピース構造を採用するに当たって、パテック・フィリップは従来の「スプリットステム(※リューズの巻き真を分離して、引き出す構造)」に替わり、特許出願中の「オシドリとカンヌキの新しいシステム」を採用。「スプリットステム」の問題点であった「ユーザーの操作でリューズが抜けるトラブル」と「メンテナンス面の難易度の高さ」を改善。メンテナンス面を向上させています。

ホワイトゴールド製ノーチラス新作は、ブラックグラデーションと青文字盤の組み合わせがカッコいい

ダイヤル面でも、嬉しい若干のアクセントが加えられています。先代モデルまでは均一なブルーが代名詞でしたが、今作は放射状のブラックグラデーションがポイント!ホワイトゴールドのケース&ブルーソレイユ文字盤との対比に一役買っています。

WG素材の新作ノーチラスは、前作の5711よりも定価が2倍以上高い

最後の特徴は、特許取得の2mm~4mmで調整可能な折り畳み式バックルです。元々、腕にしっくりくる素晴らしい装着感で評判だったノーチラス。汗をかきやすい夏場や着込む事の多い冬場などの季節に、若干の微調整ができるのは、普段使いする際にありがたいアドバンテージですね!

そして、一番気になる……値段。国内参考定価は、9,383,000円(税込)と言われており、前作の3,872,000円(※最終定価参考)と比較すれば、約2.4倍!素材コスト高や構造の改良分が価格に反映されていますが……ますます、ノーチラスが“手の届かない雲上ラグスポ”として、私達消費者の前に君臨してしまいそうなのが気掛かりです。

パテック・フィリップの少量生産体制も加味すれば、一般市場に出回る時に幾らになるか想像もつかない状況です。後述のステンレススティールの動向によって、目まぐるしく変動していきそうですが、しばらくは定価を大幅に超えた高相場となるでしょう。

パテック・フィリップ 5811/1G-001の仕様・価格
ノーチラス Ref.5811/1G-001のスペック
モデル ノーチラス
Nautilus
型番(Ref.) 5811/1G-001
ケース ホワイトゴールド仕様。 ねじ込み式リュウズ。 サファイヤクリスタル・バック。 12気圧防水。 直径(10~4時位置):41 mm。 厚さ:8.2 mm。
バンド ホワイトゴールド・ブレスレット、ノーチラス折り畳み式バックル。 特許取得のロック可能な調整システム付折り畳み式バックル。
ムーブメント 自動巻ムーブメント。 キャリバー 26‑330 S C。 日付を窓表示。 センターセコンド。
機能 時・分・秒表示
文字盤 ブルー・ソレイユ、外周に向かって濃くなるブラック・グラデーション、水平エンボス加工、夜光付ゴールド植字アワーマーカー。
価格 ¥9,383,000 (税込)
※価格は予告なく変更される場合があります。
ラグスポブームで高騰するSSノーチラスの改善策として、パテック・フィリップはゴールドやプラチナ素材を使用し、時計の品質を守ろうとしている

前提として、パテックフィリップは年間に約66000~68000本の時計を製造。ノーチラスだけで見れば、年間1000本程度と噂されており、絶大な人気に対して世界の需要は置いてけぼりにされる一方です。全国30か所ある正規店の購入予約状況は、当たり前のように満員の状況が続きます。

ただでさえ、手に入れづらいノーチラス……しかも新作は、大御所中の大御所、パテック・フィリップが“ラグスポの定義”に異を唱えるように、「ゴールド製」のノーチラスで勝負をかけてきました。中古市場含め、阿鼻叫喚の“ラグスポ狂騒曲”を引き起こしそうです。

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ロレックスのスポーツウォッチ人気沸騰から始まった市場狂騒(競争)。2020年頃から、御三家(パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン)のラグスポへ人気が飛び火。追い打ちをかけるように、2020年にホワイト文字盤のRef.5711/1A-011が生産終了。更に、2021年には一番人気だったブルー文字盤Ref.5711/1A-010も生産終了……現在の市場高騰へと繋がっています。

今度は視点を変えて、パテック・フィリップの立場で状況をみてみましょう。かねてから、ステンレススティールモデル&ノーチラスが、全体のコレクションの代表的存在になることを懸念していたティエリー・スターン(パテック・フィリップCEO)氏。様々なインタビューで、状況を打破するための打開策を述べています。

「ステンレススティール製の時計はもう十分に作りました。スティール製だけを作るのは危険ですし、簡単すぎるのです」
「パテックフィリップでは、年間66,000本が限界であり、時計の品質を危険にさらしたくありません。ゴールド素材で販売することはブランドを保護することなのです」
「私達は常に美しいムーブメントの革新と美しいケースを作り続ければなりません。ノーチラスはコレクションの一部に過ぎないのです」
「年間66,000本の生産のうち、ノーチラスを含む約140の異なるモデルに分割して、パテック・フィリップは製造を行っています。品質を犠牲にしてノーチラスの生産を大幅に増やすことは、誰も望んでいないと思います」
「一つのモデルが優勢になりすぎると危険です。人々の好みは突然変わる可能性があり、提供する選択肢がなくなるからです。パテック・フィリップでは絶対に避けたいです」
「以前、IWCはゴールド製の時計を多く製造していましたが、ある時期から全てをSSで製造するように切り替えました。その後、ゴールド製の時計に戻そうとしましたが、上手くいきませんでした。SSにして値段を下げたものを、元に戻すのは容易ではないのです」

……身につまされる話ですよね。SS製のノーチラスに人気が集中すればするほど、パテック・フィリップは問題を抱えていく構図です。
ノーチラスの“ラグスポ狂騒曲”は、正規店や優良顧客も巻き込んだ自体に発展しています。いつ買えるかわからないウェイトリストが原因で、顧客とのピリピリした関係は終わりが見えず、正規ディーラーからも苦情は殺到……ウェイトリスト入り出来なかった方からは、「PPや正規ディーラーは、一部顧客を特別扱いしている」と非難轟々。“ラグスポの最高峰”ノーチラスは、今後どうなってしまうのでしょうか!?

本来高価なはずのゴールドよりもステンレススティールは、その価値を増し続け相場も逆転!!まるで、シグナルを鳴らすように、Ref.5711/1A-010は再度急騰を見せています。問題を整理してみましょう。

問題①:正規店で予約してもノーチラスを買えない
問題②:ステンレススティールVSゴールドの価値逆転現象

①は由々しき問題です……以前は正規店で予約をすれば、「数年待ち」で順番に購入できた状況が、2020年2月より急変!「購入制限」が設けられてしまい、パテック・フィリップの時計の購入実績(ポイント制)次第で、やっと購入権利が得られる制度となってしまいます。絶対的な流通数の少なさと合わさり、入手難易度が跳ね上がった状況が続いてしまっているのです。

②に関しては、いよいよパテック・フィリップが本腰を入れた「打開策=ホワイトゴールド製のノーチラス」を講じてきましたね……ただ、皮肉なことに、「SS素材の3針ノーチラスはもう出ないかもしれない!」という危機感を煽る結果となり、Ref.5711/1A-010の実勢相場がわずか2週間で約1000万円アップのV字回復!!ティエリー・スターン氏の思惑と反する「どうしても欲しいのはSS製3針ノーチラス青文字盤だ」というアンチテーゼを市場は突き付けてしまっています。
では、具体的に有名ノーチラスモデルの価格推移で比較し、問題を深掘りしてみましょう!

ピアゾの腕時計コラム 
<ノーチラス50周年の2026年と今後>

言い切ることはできませんが、もしかしたら……SS製の3針ノーチラスは、しばらくコレクションから姿を消すかもしれません。元来、顧客へ“最高品質”を提供することにこだわり続けているパテック・フィリップ。素材や装飾の全てを自社製造にこだわってきたからこそ、その価値が維持できているのです。

時計ファンとして、気になるのは「ノーチラス50周年」を迎える2026年……4年後にラグスポブームが終焉しているのか、よりヒートアップしているのか。ゴールド(&プラチナ)製のノーチラスが新作として発表され続けるのか、SS製の3針ノーチラス青文字盤が発表となるのか。いずれも先行きは不透明ですが、「もしかしたら!?」に一抹の期待をしてもいいかもしれません。

「ステンレススティールの3針ノーチラスの価格推移は?」
「ゴールド製のノーチラスの価格は今後どうなるのだろう!」
そんな疑問に少しでもお答えできるように、ノーチラスの各モデルの価格推移と価格高騰の理由背景。今後の予想についても、ご説明致します。

まずはノーチラス新作 Ref.5811/1Gの販売価格の相場を見てみましょう。国内の流通量は少ないですが、海外では既に中古腕時計市場にかなり出回り始めており、2022年12月現在の相場は2,800万円~3,400万円前後と見られます。

パテック・フィリップ 5811G 販売価格

ノーチラスRef.5811/1Gの定価は¥9,383,000 (税込)ですから、セカンドマーケットでの販売価格は定価の2.9~3.6倍となっています。時計を買うときについつい「リセールバリュー」のことを考えてしまいますが、さすがパテック・フィリップのノーチラス、凄まじい換金率ですね。
とはいえ、予想通りではありますが、ホワイトゴールドモデルでも、ステンレススティールと販売価格は大差ないという状況。

5711/1A-010の仕様とスペック、価格推移や資産価値について

【5711/1A-010の基本情報と価格推移】

  • 型番:5711/1A-010
  • 製造期間:2010~2021年
  • 文字盤:ブルー・ブラック
  • 素材:ステンレススティール
  • ケースサイズ:直径43mm×厚さ8.3mm
  • キャリバー:324SC(2019年頃より順次Cal.26-330SC)
  • 参考定価:3,872,000円
  • 平均相場:新品販売価格3400万円前後、中古販売価格2000万円前後(11月現在)

まずは、“世界一高いステンレススティール時計”Ref.5711/1A-010の動向について、念入りにご説明致します!2018年前までは定価の約1.5倍程度の約400万円~500万円だった相場は、じわりじわりと年々上昇……2020年には800万円前後と価格が2倍まで上昇します。

この時点で「十分凄い!」のですが、ご存知の通り2021年1月に製造終了を発表。グラフの通り、大台の1000万円を突破します。ここ数年、高級腕時計市場が全体的に値上がりしている傾向はありましたが、定価300万円台のSS製モデルが1000万円超えで取引される状況は、時計史に残る“前代未聞の大事件”でしょう!

そして、空前のラグスポブームと共に、“ノーチラス(ラグスポ)は儲かるもの”と、時計に興味のないバイヤー達も市場になだれ込み、需要と供給のバランスが崩壊……その煽りを受けたように、Ref.5711/1A-010は最高額約4000万円を記録しています。

9月末には落ち着いたように見えた市場価格も、新作のゴールドモデル発表後、価格が再度高騰……ファンとしては、SS製のノーチラスを望んでいたということでしょうか。8月付近の最高価格約4000万円に迫る約3400万円まで上昇しています。

ピアゾの腕時計豆知識 
<5711/1A-010と5711/1A-001の違い>
  • 2006年~2010年頃まで製造された5711/1A-001が旧型モデル、2010年以降に製造された5711/1A-010が新型モデル
  • 1A-010はシースルーバック、1A-001はステンレス裏蓋
  • 1A-010はブレスレットのコマ連結がネジからピンに変更
  • 新型5711/1A-010の方が高値で取引される傾向
5711/1A-011の価格推移も高騰傾向が目立つ

【5711/1A-011の基本情報と価格推移】

  • 型番:5711/1A-011
  • 製造期間:2012~2019年
  • 文字盤:ホワイト
  • 素材:ステンレススティール
  • ケースサイズ:直径40mm×厚さ8.3mm
  • キャリバー:324SC / 26-330SC
  • 参考定価:3,575,000円
  • 平均相場:新品販売価格3000万円前後、中古販売価格1800万円前後(11月現在)

青文字盤以外にも、SS製ホワイトダイヤルのRef.5711/1A-011もプレミア価格で取引されています。5711系の人気は万全と言ったところでしょうか。“ラグスポ=SS製の青文字盤”のイメージが定着しているはずなのに、根強く3000万円前後をキープしているのは、驚異的な状況です。

注目すべきは、ゴールド製の新作発表後の価格上昇!10月過ぎには、最高額の約3200万円を記録しています。今後もRef.5711/1A-010と並んで、“最後(かもしれない)SS製ノーチラス”の謳い文句を武器に、“ノーチラス旋風”を巻き起こしていきそうです。

RG製5711/1R-001の価格推移は、定価に対してSS製3針ノーチラスモデルよりも価格上昇が少ない

【5711/1R-001の基本情報と価格推移】

  • 型番:5711/1R-001
  • 製造期間:2015~2022年
  • 文字盤:ブラウン
  • 素材:ローズゴールド
  • ケースサイズ:直径40mm×厚さ8.3mm
  • キャリバー:26-330SC
  • 参考定価:6,798,000円
  • 平均相場:新品販売価格4000万円前後、中古販売価格3200万円前後(11月現在)

“5711系最後の砦”Ref.5711/1R-001も、今年になってコレクションから消え、5711系は完全廃盤……新作発表まで、「6711/1Aのリファレンス(Ref.)が出るのではないか?」と噂されていました。実際は、ゴールド製の5811系がレギュラー入り。前述の通り、今後はパテック・フィリップがSS製モデルよりもゴールド系に力を入れていくと思うので、“5711系最後のゴールド製ノーチラス”Ref.5711/1R-001の動向は、要チェックな存在です。

価格推移で見ると、SS製の5711系同様、右肩上がりを続けています。2021年4月には約1500万円だった価格は、2021年後半に2000万円~2500万円前後を記録。空前絶後のラグスポブームも合わさり、現在では3500万円~4000万円前後をさまよい続けています。
異様な状況が続いており、感覚がマヒしがちなので、「最高額と価格上昇率」で4モデルを比較してみました。“SS素材とゴールドの因果関係”は、「伸び率」にご注目ください!

<主要5711系モデルの最高額と価格上昇率比較>

5711/1A-010:定価387万円目安が約4000万円に上昇(約10.3倍)
5711/1A-011:定価357万円目安が約3200万円に上昇(約9倍)
5711/1R-001:定価680万円目安が約4050万円に上昇(約6倍)
5712/1A-001(※後述。SS製プチコン):定価655万円目安が約3300万円(約5倍)

あまりにも高すぎるリセールバリューや資産価値は、“投資対象”として白羽の矢が立ってしまうのも無理がないかもしれません。極端な物言いをすれば、「“5711系の3針ノーチラス”であれば、ゴールドorステンレススティール問わず、3000万円~4000万円で安定して売れる」状況です。パテック・フィリップが培ってきた“品質管理の徹底”が品薄状態を招き、裏目になってしまっているのです。

アクアノートやノーチラスを除き、最高品質のゴールドやプラチナを使用して、厳選した自社製造の“少量生産”を貫いたパテック・フィリップ。ロイヤルオーク同様の“不変さ”は「揺るぎないものの一つ」でしょうが、ティエリー・スターン氏が懸念しているように、様々な面で「生まれ変わらなければいけない」ほど……ノーチラスというモデルは追い込まれているのかもしれません。

ピアゾの腕時計豆知識 
<50年前の広告が現実に。ゴールドより価値を持つスティール>

約50年前に、“御三家のライバル”オーデマ・ピゲは、初代ロイヤルオークで『スティールの何がゴールドより高価値にさせるのか?』という広告メッセージを使用しています。2022年現在、本当に「SSがゴールドより価値を持つ」と予見した人は、当時何人いるでしょうか?1972年発売当初は、「慣習からはみ出た行為」と批判的な意見も集まったロイヤルオーク。しかし、超一流のドレスウォッチメーカーが手掛けたスポーツウォッチは、「エレガントorスポーティー」しかなかった腕時計の歴史を変え、「エレガント&スポーティー」を融合させた“ラグスポの元祖”として、ノーチラスと人気を二分します。

パテック・フィリップも他社では真似できない丁寧に研磨された超一流の磨き抜かれたステンレススティールを使用し、ノーチラスの“品質管理”を徹底。少量生産を貫いてきました。しかし、再三お伝えしている通り、パテックフィリップの少量生産は、「高い需要と少なすぎる供給」のアンバランスさを市場に招いてしまい、定価の5倍~10倍近い高騰を招いてしまったのです。

SS製プチコン5712/1A-001の価格推移は、WG新作ノーチラス発表後に下落傾向を見せている

【5712/1A-001の基本情報と価格推移】

  • 型番:5712/1A-001
  • 製造期間:2006年~
  • 文字盤:ブラック・ブルー
  • 素材:ステンレススティール
  • ケースサイズ:直径40mm×厚さ8.52mm
  • キャリバー:240 PS IRM C LU
  • 参考定価:6,556,000円
  • 平均相場:新品販売価格2300万円前後、中古販売価格1500万円前後(11月現在)

こちらは2006年(ノーチラス30周年)からノーチラスの根幹を下支えしている“ノーチラス初のコンプリケーション(複雑機構)”モデルのRef.5712/1A-001です。3針モデルとは、対極の「SS製プチコンプリケーション(プチコン)」は、いまだに現役機として、コレクションにその名を連ねています。

シンプルな3針モデルもトップ水準のパテック・フィリップですが、“永久カレンダーのエキスパート”としても有名で、複雑機構技術にも定評があります。そもそも、1889年の「懐中時計用永久カレンダー」の特許取得。1925年に腕時計史上初の「永久カレンダー搭載モデル」の製作で、100年近く幅広いコンプリケーテッド・ウォッチを手がけてきたパテック・フィリップ。ピアゾ編集部の独自の見解ですが、「ノーチラスが生まれ変わる」ために、「ステンレススティールVSゴールドの価値」が、“適正価格”に落ち着くためには……コンプリケーションシリーズが、大きなカギを握っていると踏んでいます。

前述のティエリー・スターン氏のインタビュー内容にもあった「スチール製だけを作るのは危険ですし、簡単すぎる」という発言。ラグスポ人気が白熱すればするほど、他社からは真似しやすい、比較的製造が簡単な“ノーチラス似”のシンプルな3針モデルが市場に数多く出回ってしまいます。ラグスポ全体で見れば、「供給過多」を引き起こしている状況で、結果として“手の届かないラグスポ”ノーチラスの需要を肥大させてしまうのです。

一方、少数生産を続ける“本物”の3針ノーチラス自体は、ピラミッドの構図のように、絶対的な“ラグスポの頂点”として君臨。「多すぎる需要と少なすぎる供給」のシーソーゲームは、相対的に“適正価格”以上の莫大な“資産価値”を生み出してしまっているのです。
本来、パテック・フィリップにおいて、「コンプリケーション」という存在は、圧倒的なブランド力を誇る存在です。3針より高いのが常なはずなのです。しかし、グラフの通り、いつしかノーチラスというモデルで絞ってみれば、「3針とコンプリケーション」の立場も逆転。新作のホワイトゴールド製ノーチラスを発表した10月に、Ref.5712/1A-001は下落傾向を見せ始めています。

ピアゾの腕時計豆知識 
<高額落札されたパテックフィリップの超高級ウォッチ達>

“適正価格”と“資産価値”を見極めるために、パテックフィリップ全体で高額落札された時計を見てみましょう!

≪高額落札モデル一覧≫

グランドコンプリケーション 5208P・・・約1.3億円
グランドマスター・チャイム 5175R-001・・・約3億円
TIFFANY & CO - PATEK PHILIPPE ノーチラス 5711/1A-018(※2021年12月発売の170本限定モデル)・・・初落札が約4.7億円!フィリップス主催の「The 2021 New York Watch Auction」では、約7.35億円で落札!!!
ノーチラス(オリーブグリーン) 5711/A-014・・・平均取引価格約6700万円!!

事実は小説より奇なり。20以上の複雑機構を搭載&18Kローズゴールド製のグランドマスター・チャイム 5175R-001の落札価格も破格ですが……“ティファニーブルー”の5711/1A-018は、“ノーチラス 5711/1A伝説”を不動のものとするエピソードですね!!同様に、オリーブグリーン文字盤の5711/A-014も定価約400万円に対し、平均取引価格約6700万円(※Watch Charts参照)と17倍以上の価値を記録しています。

グラフでは用意できませんが、5711系ホワイトゴールド製のノーチラスRef.5711G-001の動向にも注目です。世界最大級の高級時計専門マーケット「Chrono24」で、新品未使用が約1100万円で出品(※2022年11月現在)……同じ5711系なのに、SS製ノーチラス青文字盤ではない、ホワイトゴールドのグレー文字盤は、SS製モデルよりも半値以下の相場で取引されているのが現実なのです。

先に述べた「“5711系の3針ノーチラス”であれば、ゴールドorステンレススティール問わず、3000万円~4000万円で安定して売れる」と矛盾した状況が続いており、“5711系の異端児的存在”が新作Ref.5811/1Gの登場で今後どうなっていくのか……こちらのモデルも“ノーチラス新生”のための重要なファクターとなりそうです。

“ノーチラス新生”の重要任務を担う、残り3モデルにも着目してみましょう!あえて、多くを語らず簡単なご紹介にのみ、留めます。
前提として、パテック・フィリップは、常に「量より質」を伝統としており、“最高品質の素材”だけでなく、“最高水準”の人材育成にも尽力しています。約2400人の従業員が、自社で職業訓練で研鑽を積むのは“当たり前”で、部門によっては多額のコストをかけて数年単位で“業界トップの専門技術”を会得できるのです。ロレックスが年間に約100万本を製造するのとは対極の少量生産でのみなし得る“最高峰の適正価格”にご注目ください!!

ノーチラス ムーンフェイズ Ref.5712/1R-001

≪Ref.5712/1R-001の特徴≫
・柔らかい美しさのローズゴールド&多機能なプチコン(ムーンフェイズ、ポインターデイト、スモールセコンド、パワーリザーブインジケーター)を組み合わせたノーチラス
・多機能機とは思えないスッキリとした洗練された“至高のハイテクラグスポ”

パテックフィリップ並びにティエリー・スターン氏の思惑を完全に汲み取ることは不可能ですが……もしかしたら、未来のノーチラスの“本命”は、話題が沸騰しているRef.5811/1Gではなく、Ref.5712/1R-001や後述のRef.5990/1A-011のような“多機能なハイテクラグスポ”かもしれません。

ムーンフェイズ、ポインターデイト、スモールセコンド、パワーリザーブインジケーターと「多機能さ」がウリなはずなのに、一瞥してわかる通り、スッキリとした至高のルックス……超一級品のチョコレートのように、魅惑的な芳醇な香りまで、届いてきそうです!これだけの多機能性で、ケース厚約8.62mm!!「ノーチラスはやっぱり凄い!」と再認識させられますね!!

パテック・フィリップ 5712/1R-001の仕様・価格
Ref.5712/1R-001のスペックと概要について
モデル ノーチラス ムーンフェイズ
Nautilus Moonphase
型番(Ref.) 5712/1R-001
ケース ローズゴールド仕様。 ねじ込み式リュウズ。 サファイヤクリスタル・バック。 6気圧防水。 ケース径(10-4時方向):40 mm。 厚さ:8.52 mm。
バンド ローズゴールド仕様。 特許取得のロック可能な調整システム付折り畳み式バックル。
ムーブメント 自動巻ムーブメント。 キャリバー 240 PS IRM C LU。 日付を指針表示。 ムーンフェイズ。 パワーリザーブ表示。 スモールセコンド。
機能 日付指針表示、ムーンフェイズ、およびパワーリザーブ表示
文字盤 ブラウン・ソレイユ、外周に向かって濃くなるブラック・グラデーション、夜光付ゴールド植字アワーマーカー。
価格 ¥11,132,000 (税込)
※価格は予告なく変更される場合があります。

ノーチラス Ref.7118/1300R-001

≪Ref.7118/1300R-001の特徴≫
・シャンパン&コニャックのグラデーションが美麗な68個のスぺサルタイトガーネット
・Ref.5712/1R-001と同価格の11,132,000円

Ref.7118/1300R-001のジェムセッティングも見事ですね……スぺサルタイトガーネットは、別名マンダリンガーネットとも呼ばれ、鮮やかなオレンジカラーが特徴です。透明度の高い大粒なスぺサルタイトガーネットは、宝石にできる高品質なものが少なく、希少性が高いことで知られています。そんな珍しいスぺサルタイトガーネットを68個も用い、シャンパン&コニャックカラーで、ダイヤルに濃淡を描くパテック・フィリップ。ローズゴールドのケース&ブレスレットとの組み合わせもバッチリで、極めて「上品」なのがいいですね!

パテック・フィリップ 7118/1300R-001の仕様・価格
Ref.7118/1300R-001のスペックと概要について
モデル ノーチラス
Nautilus
型番(Ref.) 7118/1300R-001
ケース ローズゴールド仕様。 サファイヤクリスタル・バック。 6気圧防水。 直径(10~4時位置):35.2 mm。 厚さ:8.62 mm。
バンド ローズゴールド仕様。 特許取得の折り畳み式バックル。
ムーブメント 自動巻ムーブメント。 キャリバー 324 S C。 日付を窓表示。 センターセコンド。
機能 時・分・秒・日付表示
文字盤 ローズゴールドめっき、波形模様のモチーフ、オジーヴ型コニャック・カラーのスペサルタイト・アワーマーカー。
ジェムセッティング 11個のオジーヴ型コニャック・カラー・スペサルタイト:0.34カラット(アワーマーカー)。 68個のバゲットカット・スペサルタイト、《シャンパン》から《コニャック》までのカラー・グラデーション:2.04カラット(ベゼル)。 合計79個のスペサルタイト(2.38カラット)。
REF 7118-1300R-001
価格 ¥11,132,000 (税込)
※価格は予告なく変更される場合があります。

ノーチラス トラベルタイム クロノグラフ Ref.5990/1A-011

≪Ref.5990/1A-011の特徴≫
・ノーチラスのSS製新作モデル
・5711や5712とひと味違う独特なグレーの文字盤
・トラベルタイム&クロノグラフの複雑機構モデルで、“多機能なハイテクラグスポ”

パテック・フィリップでは稀になりつつあるノーチラス&SS製の組み合わせ。新作ノーチラス・トラベルタイム・クロノグラフRef.5990/1A-011は、トラベルタイムの定番Ref.5990/1A-001の後継機で、ブラック・グラデーションのダークブルーが“大人の気品”を演出。今はまだ、シンプルな3針ノーチラスに人気が集中していますが、5年後10年後……主役の地位が、“多機能なハイテクラグスポ”に取って代わる可能性も十分あり得ます!

パテック・フィリップ 5990/1A-011の仕様・価格
ノーチラス・トラベルタイム・クロノグラフRef.5990/1A-011のスペックと概要について
モデル ノーチラス トラベルタイム クロノグラフ
Nautilus Travel Time chronograph
型番(Ref.) 5990/1A-011
ケース ステンレススチール仕様。 ねじ込み式リュウズ。 サファイヤクリスタル・バック。 12気圧防水。 ケース径(10-4時方向):40.5 mm。 厚さ:12.53 mm。
バンド ステンレススチール仕様。 特許取得のロック可能な調整システム付折り畳み式バックル。
ムーブメント 自動巻ムーブメント。 キャリバー CH 28‑520 C FUS。
機能 フライバック・クロノグラフ。 センター・クロノグラフ秒針。 60分計。 出発地と現地の時刻を表示。 出発地と現地の昼夜を窓表示。 現地の日付を指針表示。
文字盤 外周に向かって濃くなるブラック・グラデーションのブルー・ソレイユ、水平エンボス加工、ゴールドの夜光付植字アワーマーカー。
価格 ¥9,218,000 (税込)
※価格は予告なく変更される場合があります。

ノーチラス以外にも魅力的な新作が発表されていますので、簡単にご紹介します。

ワールドタイム・フライバック・クロノグラフ Ref.5935A-001

サーモンピンクカラーが印象的な「ワールドタイム・フライバック・クロノグラフ Ref.5935A-001」。搭載された「CH 28-520 HU」は、従来のワールドタイマー(※世界24タイムゾーンの時刻を同時表示)と30分フライバッククロノグラフを併存。「コンプリケーションモデル=ゴールド、スポーツモデル=ステンレススティール」というパテック・フィリップの今までの定説を覆す、コンプリケーションでは珍しいSSケースなのが特筆事項でしょう!

ワールドタイム・フライバック・クロノグラフRef.5935A-001のスペックと概要について

ワールドタイム・フライバック・クロノグラフ Ref.5935A-001
ステンレススチール仕様。 サファイヤクリスタル・バック。 3気圧防水。 ケース径:41 mm。 厚さ:12.75 mm。
自動巻ムーブメント。 キャリバー CH 28‑520 HU。 フライバック・クロノグラフ。 センター・クロノグラフ秒針。 30分計。 ワールドタイム。 世界24タイムゾーンの時刻を24時間表示(昼夜表示付)。ローズゴールドめっきのオパーリンダイヤル。カーフスキン・バンド。8,591,000円。

パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド クロノグラフ Ref.5204G-001

流行のグリーン文字盤と「クロノグラフ×パーペチュアルカレンダー」を組み合わせた「パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド クロノグラフ Ref.5204G-001。」グランドコンプリケーションにもかかわらず、厚さ約14.3mm!クラシカルなタッチの雰囲気と7件の特許技術を組み合わせたパテックフィリップならではのハーモニーが魅力です。

パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド クロノグラフRef.5204G-001のスペックと概要について

パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド クロノグラフ Ref.5204G-001
ホワイトゴールド仕様。 サファイヤクリスタル・バックとソリッド・ケースバックが共に付属。 3気圧防水。 ケース径:40 mm。 厚さ:14.3 mm。
手巻ムーブメント。 キャリバー CHR 29‑535 PS Q。 スプリット秒針クロノグラフ。 瞬時運針式30分計。 永久カレンダー。 曜日、月、閏年サイクル、昼夜を窓表示。 日付を指針表示。 ムーンフェイズ。 スモールセコンド。外周に向かって濃くなるブラック・グラデーションのオリーブグリーン・ソレイユダイヤル。カーフスキン・バンド。42,438,000円。

パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド レフティークロノグラフ Ref.5373P-001

ロレックスが今年の新作で、左利き仕様の「GMTマスターII Ref.126720VTNR」を発表したのも衝撃的でしたが……パテックフィリップもレフティー向けの「パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド レフティークロノグラフ Ref.5373P-001」を10月新作としてリリース。ロレックスとパテック・フィリップがけん引した流れで、“レフティーブーム”が起きるビジョンもあり得ます!? Ref.5373P-001のスペックと概要について

パーペチュアルカレンダー スプリットセコンド レフティークロノグラフ Ref.5373P-001
プラチナ仕様。 サファイヤクリスタル・バックとソリッド・ケースバックが共に付属。 3気圧防水。 直径:38.3 mm。 厚さ:12.93 mm。
手巻ムーブメント。 キャリバー CHR 27‑525 PS Q。 シングルプッシュボタン・スプリット秒針クロノグラフ。 60分計。 永久カレンダー。 曜日、月、閏年サイクル、昼夜を窓表示。 日付を指針表示。 ムーンフェイズ。 スモールセコンド。ゴールド植字数字を配し、外周に向かって濃くなるブラック・グラデーションの縦サテン仕上げアントラサイト文字盤。カーフスキン・バンド。価格はリクエストによる。

アクアノート・ルーチェ レインボー クロノグラフ Ref.7968/300R-001

アクアノート・ルーチェ・コレクション初のクロノグラフは、レインボーで登場!「アクアノート・ルーチェ レインボー クロノグラフ Ref.7968/300R-001」にはベゼルの内側に40個のバゲットカットされたダイヤモンド、その外周を色とりどりに飾る40個のマルチカラー・サファイヤ。目を凝らせば美しさに見惚れるアクアノートパターンのホワイト・マザーオブパールは、立体的な流麗さも表現しています。

Ref.7968/300R-001のスペックと概要について

アクアノート・ルーチェ レインボー クロノグラフ Ref.7968/300R-001
ローズゴールド仕様。 サファイヤクリスタル・バック。 3気圧防水。 直径(10~4時位置):39.9 mm。 厚さ:10.37 mm。
自動巻ムーブメント。 キャリバー CH 28‑520 C。 フライバック・クロノグラフ。 センター・クロノグラフ秒針。 60分計。アクアノート・パターンのホワイト・マザーオブパール文字盤。バゲットカット・マルチカラー・サファイヤのアワーマーカーとゴールドの植字数字。コンポジット素材のバンド。28,611,000円。

10月11月の新作傾向で見たパテック・フィリップの今後の展望

11月にもグランドコンプリケーションシリーズ4モデル(※プラチナ&ホワイトゴールド各2種)を発表!現行コレクションが更に充実されました。

  • グランドコンプリケーションRef.5271/10P(プラチナ製赤文字盤)
  • グランドコンプリケーションRef.5271/11P(プラチナ製青文字盤)
  • グランドコンプリケーションRef.6300/400G
  • グランドコンプリケーションRef.6300/401G

パテック・フィリップが掲げる哲学の一つに、『スターはいない』という格言がありますが、10月&11月の新作傾向を見れば、ノーチラスを主軸に据えず、全てのモデルを今後はより大事にしていきたいということでしょう。

≪新作傾向まとめと今後の予想≫

  • レフティーモデルやレインボーカラーなど、他社の成功した戦略を柔軟に採用
  • 「コンプリケーションモデルにSS、ノーチラスにホワイトゴールド」など、“過去の定例”との逆転現象が続くかも
  • ノーチラスのSS青文字盤は、複雑系やチャリティーオークションでしか見られないかも

10月&11月の新作の傾向の通り、実勢相場で突出し過ぎてしまった“スタープレイヤー”ノーチラスは、一般的なニーズ(SS製ノーチラス青文字盤)とは異なる戦略を今後もパテック・フィリップは仕掛けてきそうです。SS製ノーチラス(※ディスコンモデル)達の相場が“適正価格”に落ち着くまでは、その傾向は続くかもしれませんね。

そして、気になる……Ref.5711/1A-010を中心とした“ノーチラスバブル”がいつまで続くか、2つのパターンで予測してみました。

①:SS製5711系モデルの値があまり下がらない。硬直状態がしばらく続く
②:SS製5711系モデルの価格推移は据え置きのまま。WG製5811/1Gが“新・主役”となり、大高騰が起きてしまう!!

今後の展開のポイントは、「SS製5711系モデル」が主役のままで居続けるか。「新作WG製5811/1G」が実勢相場の“ドル箱スター”として、“新・主役”になるのか……“ノーチラス新旧交代”の展開次第で、「硬直状態がキープされたままor相場が激しく変動していく」どちらの流れに傾くのか、予断を許さぬ状況が今後も続いていくと思います。パテック・フィリップとしては、コンプリケーション系の“多機能なハイテクラグスポ”Ref.5712/1RやRef.5990/1A-011で矛先をずらし、加熱し過ぎた“ノーチラスバブル”の鎮静化を図ったのかも!?

“不変”的な美しさで私達を悩殺してきたSS製3針ノーチラス。5711/1Aが生産終了後は、「完全になくなってしまう!?」という噂も流れたものですが、ホワイトゴールド製の“新型ノーチラス”に生まれ変わり、よりエレガントになって帰ってきましたね!

相場がヒートアップしがちな状況の中、“変えるところを変え、変えないところを変えない”パテック・フィリップの“決断”は“英断”だったと思います。SS製3針ノーチラスが欲しい人からすれば、「買えないところを買える」ようにしてほしいものですが、流通が少ない分出逢えた時の感慨もまたひとしお。心からノーチラスを愛している時計ファンに、少しでも“適正価格”で、その感動が届いてほしいものです。

『パテック フィリップは100年後も同じであり続けるでしょうか?最もシンプルな時計でさえ、何百にも及ぶ全ての部品が未来にも同様に機能すると信じています。このコミットメントは、私に課された責任なのです』
『パテック フィリップではどんなに頑張っても製作のペースは変えられません。このスタンダードを遵守する姿勢こそが私たちの名声を確立しているものに他なりません』

ティエリー・スターン氏が公式HPで述べているように、パテック・フィリップの全てのモデルの時計達は、世代を超えたタイムピースとしての“責務”を全うする「完全性と信頼の維持」に重点が置かれています。“作り急がない”から、パテック・フィリップの時計は、こんなにも私達時計ファンを魅了してしまうのかもしれませんね。

大ブームのラグスポ代表作、ノーチラスの新作についつい、意識が向きがちですが……魅惑的な他の作品達もノーチラス同様に、丁寧に時間をかけて作りこまれており、パテック・フィリップは変わらぬスタンスで“芸術性の極致”を完成させています。

「ノーチラスの5711でなければならないか、5811の方が良いのか」
「他に、本当に欲しいタイムピースはないのか?」
ゆっくりと時間をかけて、冷静な頭と素直な心で、私達は答えを出していくのが良さそうです。

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