更新日:2024年10月23日
2024年11月発売予定のグランドセイコー(GRAND SEIKO) 欧州限定モデル“池泉庭園(Chisen Teien)”SBGY040&“錦鯉(Nishikigoi)”SBGW321の速報をお届けします。
「THE NATURE OF TIME」という“時の本質”をブランドフィロソフィーに掲げるグランドセイコー。“移ろい続ける時間”を日本人ならではの精神性で捉え、森羅万象のダイヤルパターンを発案。無限に等しい“表情の変化”を具現化しています。
限定20本の“池泉庭園”SBGY040では、日本独特の「池泉庭園」に欠かせない「池」の水面に波紋が生まれ、その表情が微妙に変化する美しい瞬間を、300本限定の“錦鯉”SBGW321では、平安時代前期(9世紀頃)に貴族の娯楽として愉しまれた『池泉庭園で鯉を観賞する心安らぐ習慣』を表現。華美な衣装と暮らしをこよなく愛した、平安貴族も羨む2本の“Japanese style(和)”を生み出しています。
グランドセイコー SBGY040/横 38.5mm×縦 43.7mm×厚さ 10.2mm、18Kローズゴールドケース、スプリングドライブ 手巻 キャリバー9R31搭載。希望小売価格:31,000 ユーロ、2024年11月発売予定
日本庭園の伝統的なスタイルは、「池泉庭園(ちせんていえん)」「枯山水(かれさんすい)」「露地(ろじ)」の3種類に大別されるのですが、本作SBGY040&SBGW321では、四季折々の変化や水面の揺らぎを鑑賞する“池泉庭園と錦鯉”をチョイスしています。美しい池のある庭は、貴族の自慢だったそうですよ!
本記事では、濃青×金の“池泉庭園”SBGY040、濃紅×銀の“錦鯉”SBGW321の基礎知識は勿論、日本人でも即答しづらい「池泉庭園&錦鯉」の関係性、成り立ちと歴史ネタなど、多面的な視点で“池泉庭園と錦鯉”の美しさと趣きを解説していきます。
グランドセイコー SBGW321/横 36.5mm×縦 42.7mm×厚さ 11.6mm、ステンレススティールケース、メカニカル 手巻 キャリバー9S64搭載。希望小売価格:6,100ユーロ、2024年11月発売予定
繊細な季節の変化を細やかに感じ取り、日本独自の美意識で“時の豊かさ”を表現するグランドセイコー。多種多様な色のトーン、有機的な型打ち文字盤を掛け合わせ、造形の美しさを極め尽くします。
本作“池泉庭園”SBGY040&“錦鯉”SBGW321では、移ろい続ける時間をどのように表現したのでしょうか? GS欧州限定モデルSBGY040&SBGW321のアピールポイントを見定めてみました。
≪“池泉庭園”SBGY040と“錦鯉”SBGW321のセールスポイント≫
ここから予備知識となる日本の歴史についてガッツリご説明します。歴史の薀蓄に興味のない方は、次項目(「SBGY040&SBGW321のダイヤル」へ)お進みください。
日本人の視点でも、「池泉庭園と錦鯉」というテーマは真意を捉えづらいですね。
まず、「池泉庭園」について歴史を簡単に解説しましょう。
自然の中に神を見出す伝統的な「自然信仰」と、大陸から伝わった仏教や庭造りの技術が融合し、奈良時代には池を中心とした池泉式庭園が造られるようになりました。
平安時代前期には貴族が舟遊びを楽しむ池泉舟遊式庭園が誕生します。前期は寝殿造の邸宅と庭が一体となって作られた寝殿造庭園、後期には極楽浄土を表現した浄土庭園が流行り、池泉庭園の原型となっていったと伝えられています。
父・藤原道長と共に平安時代の栄華を極めた藤原頼通が開創した、かの有名な平等院の庭園は、平安時代に完成した最古の「浄土庭園」です。
鳳凰堂やそれを取り囲む池、宇治川や山々が一体となり、当時の貴族たちが夢見た浄土庭園の光景が再現されています。
“世界最古のガーデニングマニュアル(日本最古の庭園書)”とも云われる『作庭記』は、
諸説混在しますが、平安時代末期の11世紀後半頃に、藤原頼通の子である大貴族の橘俊綱が書き記したのではないか、と考えられています。
『作庭記』では、造園場所の地形や池の様子を見極め、趣向を凝らして自然の風景を表現することが指南されています。
まるでグランドセイコーのフィロソフィーそのもののようでもありますね。
また、歴史に疎い方でも聞き馴染みのある「枯山水(※水を使わない、池がない庭園。白砂や石の配置で自然を表現)」は、寝殿造から書院造庭園へと変化した鎌倉時代頃に、原型が誕生したそうです。日本史の授業を思い出しますね。
2023年元旦には、グランドセイコーから欧州限定 手巻きスプリングドライブ“枯山水”SBGY027が発売されています。本作SBGY040&SBGW321との対比にもご注目ください。
何故、GSは錦鯉を選んだのか?という疑問につきましては、「ダイヤル⇒ケースデザイン⇒ムーブメント」の順にゆるりと解説していきます。まずは文字盤の芸術性から見ていきましょう。
いつも通りと言っては何ですが、本作“池泉庭園”SBGY040&“錦鯉”SBGW321は、「濃紺×金、濃紅×銀」カラー&型打ち文字盤が妙味です。
『日本庭園は、移り変わる季節を身近に感じることで、自然の美しさを日常生活に取り入れるという、この国の生来の美意識の好例です。 ユニークな池泉庭園、つまり日本式の池庭園に欠かせない池が、最新のグランドセイコーのヨーロッパ限定版時計のインスピレーションとなっています。』
季節・時間帯・天気が影響し、千変万化の美しい表情を覗かせる日本庭園。「池泉庭園」は奈良時代~平安時代に貴族文化と共に栄えた、歴史の長い王道の庭園様式です。豪華絢爛な寝殿造の南側には、川や海をイメージした「池泉」が設けられ、広大な自然を演出しています。
岩や砂で山水の趣きを再現した「枯山水」が、質素・ストイックさを美としているのに対し、「池泉庭園」は池を中心にした雄大な自然美を味わえるのが特徴です。このあたりの哲学の違いが文字盤にどのように反映されているのか、眺めてみましょう。
手巻きスプリングドライブモデル(※キャリバー9R31搭載)のSBGY040は、池泉庭園の穏やかな波紋、目まぐるしく変化する水面のさざ波をダークブルー文字盤で再現。平安貴族が好みそうな華美な輝きを放つ18Kローズゴールドケースの明るい色調と、深みのある濃紺色の暗いトーンの対比が荘厳です。
続いて、“錦鯉”SBGW321のイヤルを観察してみましょう。
『日本庭園は、移り変わる季節を身近に感じることで自然の美しさを日常生活に取り入れるという、この国の本来の美意識の好例です。
錦鯉、つまり日本の虹色に輝く鯉は、グランドセイコーの最新のヨーロッパ限定版時計にインスピレーションを与えました。錦鯉は、独特の池泉庭園に欠かせない池の重要な自然の特徴です。』
『池泉庭園で鯉を観賞する心安らぐ習慣は、 9世紀に日本の貴族の娯楽として始まり、それ以来、鯉の魅力的な存在は歓迎されてきました。今日、虹色に輝く鯉は世界中で非常に人気があり、 「泳ぐ宝石」として珍重されています。』
「錦秋」「故郷に錦を飾る」など、古くから美しいものを形容する時に使用される言葉「錦」。江戸時代に二十村郷(※新潟県中越地域周辺)で産まれ、現在では100種類以上の品種改良に成功した「錦鯉」は、高級織物「錦」のように、精緻で豪華絢爛。虹色に光り輝く、その色鮮やかな美しさは“泳ぐ宝石”の呼び名でも物足りない、奇跡の結晶です。
最大マーケットである中国向けの錦鯉輸出再開のニュースも記憶に新しい所ですが、経済成長真っ只中の東南アジアを中心に、海外では広い庭に大きな池を設置する方が増加傾向にあり、煌びやかな美しさを持つ「錦鯉」の飼育が一大ブームとなっているそうです。アメリカでは自宅の個人プールを池に見立てて、錦鯉が飼育されているとのこと。日本ではあり得ない、面白い発想ですね!
ステンレススティール製の手巻きメカニカルモデル(※キャリバー9S64搭載)のSBGW321は、国内外で愛される観賞魚「錦鯉」の色鮮やかな姿を明るめの濃紅色で配色。外側に向かって渦を巻いて広がる独特な模様(※螺旋放射パターン)を用い、キラキラと輝く鯉の鱗を再現しています。
本作“池泉庭園”SBGY040が、(池の)暗い水面を表現しているように見えるのに対し、“錦鯉”SBGW321は堂々と力強いビビッドな赤色が目を惹きますね!
ちなみに、濃い紅(あか)色は、平安時代に人気色として貴族達にもてはやされ、一部の貴婦人にしか使用を許されない“禁色(きんじき)”としても知られています。後に、“今様色(※「いまよう=流行」の意味)”と呼ばれ、918年には原材料の紅花衣類の着用に罰則を科す禁令(!)も出されるほど、平安貴族達を魅了したそうです。グランドセイコーは赤文字盤を矢継ぎ早に手掛けていますので、今後“今様色”になっていくのか注目ですね。
“池泉庭園”SBGY040&“錦鯉”SBGW321は、歴史的背景や薀蓄を知るとより面白くなるテーマですので、本記事では少し趣向を凝らして、合間に「鯉にまつわるおまけ話」を設けます。池の周りを散歩するように、気軽にお読みくださいませ。
「鯉」の歴史は古く、「日本書紀」には景行天皇が「鯉を池に放って、朝夕ご覧になって遊ばれた」との記述もあり、9世紀頃には貴族の庭園の池で鑑賞されていた、と伝えられています。
一方、海から遠い豪雪地帯である新潟の二十村郷で、冬の貴重なたんぱく源としてため池に食用の鯉を飼うようになったのが錦鯉のルーツ、と云われています。深い雪に閉ざされ娯楽がない集落では、身近な存在の鯉の微妙な色・模様の変化に関心を持った結果、独自の品種改良が進み、「錦鯉」に進化していったそうです。
色&模様の対比もお見事な“池泉庭園”SBGY040(濃紺×金)と“錦鯉”SBGW321(濃紅×銀)ですが、類似モデルも見ていきましょう!
『SBGY040の深いブルーの文字盤は、水面の波紋が池の様相を微妙に変える美しい瞬間を模倣してデザインされており、日本の伝統的な和柄に似た模様のデザインが使用されています。和柄は、日本のスタイルを意味する「和」と模様を意味する「柄」から来ており、伝統的な風習と自然に基づいた古代のデザインで、着物、磁器、室内装飾に広く使用され、日常生活を明るくします。』
“池泉庭園”SBGY040の型打ち模様には、日本の伝統的な和柄「青海波文様(せいがいはもんよう)」パターンを採用。扇状に重なり合った同心円状の連続模様(※青海波)は、無限に繰り返す穏やかな波を模しており、“平穏な生活が未来永劫続くように”という願いが込められています。ポジティブなメッセージ性の和柄が、静まった暗い水面の濃紺色を際立たせますね。
GSからリリースされた同一パターンの文字盤を探してみると、ちょっと珍しい国内ローカルモデルに採用されていました。
老舗時計店「中井脩」とコラボしたNAKAISHUオリジナルモデルの“鳥取砂丘1955”SBGA013と同じ模様に見えますね。鳥取砂丘は1955年に国の天然記念物に指定されており、SBGA013ではその風紋をサンドベージュ色&青海波文様パターンを組み合わせ、“鳥取地域の宝”を再現しています。
2018年8月発売の日本橋三越本店限定モデルSBGA389では、「夜に煌めく日本橋の川」というテーマを上品な藍色と青海波文様パターンで再現。お馴染みの「6・9・12」のアラビア数字といい、高貴なムードが漂っています。
ダイヤルの色味や題材(※池泉と川)含め、本作SBGY040に一番共通点が多いモデルですが、18Kローズゴールドの色使いが功を奏して、雰囲気がまるで異なりますよね……SBGA389の特別感は言わずもがな、非の付け所がありませんが、“池泉庭園”SBGY040はじーっと眺めたくなるミステリアスさも秘めています。
2022年発売の兄弟機、日本橋三越本店限定モデルSBGE291も、青海波文様パターンを用いていましたが、こちらはブラウン&ブラックのGMT搭載モデル。アクティブな日本人男性が颯爽と身に着ける、ダンディさが魅力でした。
青海波文様パターンの鑑賞から少し離れ、色味や素材が似ている類似モデル、テーマが対となる関連モデルも見比べていきましょう。
同一条件(※“池泉庭園”SBGY040は濃青色文字盤、18Kピンクーゴールド製ケース)に絞ると、海外ローカルの「金生儀(※台湾の高級時計店)」創業100周年記念限定モデルSBGY032も、本作SBGY040によく似ています。次点で、初代グランドセイコー復刻モデルSBGW314も同色(※濃青×金)の色遣いでしたが、面白いほどに(本作とは)外観の装いが異なります。
ラストを飾るのは、2023年発売欧州限定モデル“枯山水”SBGY027です。
スマホやPCの画面をせわしなく「見る」機会が多い現代人だからこそ、平安貴族のようにまったりと「観る」「視る」「眺める」の“心の眼”で、“池泉庭園”SBGY040との違いを捉えてみてください。
記事後半では、欧州限定モデル“Mountiwate Autumn Dusk(※岩手山 秋の夕暮れ)” SBGW303と本作SBGY040を比較しますので、こちらもお楽しみに!⇒「SBGY040と“秋の穂高連峰”SBGY035、SBGW321と“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303を比較」へ
『SBGW321の配色は錦鯉を表現しており、ブラックのストラップ、シルバーカラーのステンレススチールケースに鮮やかなレッドの文字盤、ロゴと秒針のゴールドトーンのアクセントを組み合わせています。中心から外側に向かって放射状に広がる螺旋状の文字盤パターンは、池の太陽の光に反射した鯉のきらめく鱗を彷彿とさせます。』
“錦鯉”SBGW321の型打ち模様には、“ピーコックグリーン”SBGJ227や“ブルーピーコック”SBGJ261などに採用された螺旋放射パターンを使用。ダイヤル中央から規則的に広がる(大きくなる)複雑な長方形模様は、錦鯉のレインボーに輝く鱗を表現するのにうってつけですね。
こちらが2017年発売“ピーコックグリーン”SBGJ227です。
鮮やかな青緑色と螺旋放射パターンは、その名の通り孔雀の羽根のようにエキゾチックな美しさに溢れています。GSロゴとGMT針の金色がいい仕事をしていますね!
人気を博したSBGJ227の後継モデルは、2022年新作US限定モデルの“ブルーピーコック”SBGJ261です。鮮やかな青文字盤は、光の反射具合によって、パープルにも見えたりもします。
読者の皆様はどちらの螺旋放射パターンがお気に入りですか?
おまけとして、他の螺旋放射パターンを軽めにご紹介します。
オセアニア150本限定“鳴門の渦潮”SBGH331”
本作SBGW321が「錦鯉」を題材としていますし、2023年11月新作のオセアニア限定“鳴門の渦潮”SBGH331も見比べると面白そうです。「世界三大潮流」の一つに数えられる鳴門海峡。その渦潮をイメージした幾何学模様は、ダイナミックかつ繊細です。
斜め方向の菱形(「◆」)を規則的に組み合わせた鳴門の渦潮パターンでも、「錦鯉」の鱗っぽさを出せたはずですが、SBGW321ではピーコックパターンの螺旋放射模様を採用しているのが興味深いですね。何故なのか考えを巡らせたいものです。
GS9 Club 150本限定モデルSBGW319
GrandSeikoの「GS」、第二精工舎を象徴する「S(※は亀戸マークとも)」のモノグラムを規則的に配置したGS9 Club 限定モデルSBGW319。奇想天外な独特な型打ち模様は、2018年3月新作の「キャリバー9S 20周年記念限定モデル」SBGH265・SBGH266・SBGH267の三部作、SBGM235やSBGR311などで、同一の螺旋放射パターンを“電撃⚡発表”しています。
(左)“レッドドラゴン”SBGH323(右)“赤富士”SBGH327
本作SBGW321の「青海波文様」は吉祥紋様(※縁起の良い和柄)。「赤&金カラーの“縁起物”」繋がりで、アジア地域向け辰年限定モデル“レッドドラゴン”SBGH323、葛飾北斎の代表作「赤富士」を模したアジア・パシフィック限定 “Red Fuji(赤富士)” SBGH327も見比べておきたいところです。どれも御利益がありそうな開運ウォッチですね!?
立身出世のシンボルとして知られる「鯉」。古代中国の故事「登竜門(※鯉の滝登り)」では、「龍門」という峡谷(※漫画『キングダム』でも有名な「函谷関」の上流)を、コイのみが天まで登りきり「龍」になったという伝説が残されています。その登竜門伝説を元に、江戸時代前期頃には子供の成長と出世を願う「鯉のぼり」が根付いていったと云われています。
「俎板の鯉」の語源通り、まな板に載せられたコイは、一旦覚悟を決めるとじっと動かずびくともしない、という逸話も残しています。座して死を待つしかない状況でも微動だにしないコイは、“淡水の王”の呼称が相応しいメンタルの強さですね!!!
角度によっては真っ黒な文字盤にも見える“池泉庭園”SBGY040。ケースサイズは横 38.5mm×縦 43.7mm×厚さ 10.2mmで、18KRG(ローズゴールド)素材が、薄く優雅なSBGY系のケースフォルムに見目好く馴染んでいます。
こちらはヨーロッパ市場版キャリバー9R31搭載モデルのコレクション一部です。
2024年10月現在、ヨーロッパ市場向けキャリバー9R31搭載モデルは全9種類。価格にもご注目。
基本デザイン・サイズ(※ダイヤルパターン・素材以外)などは、レギュラーモデルの“御神渡り”SBGY007、2024年11月新作“秋の穂高連峰”SBGY035とほぼ同じです。
文字盤の色味が近い“月天心”SBGY009(※SS製ケース)は、横 40.0mm×縦 46.2mm ×厚さ 10.5mmと若干大きめ。ダイヤルパターンの差はさておき、本作SBGY040は18KRGケースだからか、スッキリとしたボディーライン、グッと華やぐような“暗さを照らす明るさ”が目を惹きますね。
後ほど、“秋の穂高連峰”SBGY035と比較もしますが、隣に並び合うことで相乗効果を増すような“好対照の美”が目を幸せにします。
“御神渡り”SBGY007の淡い水色もいいですが、“池泉庭園”SBGY040の濃い青色もよきかな。
静まりきった黒き池にそぐわない、ド派手に見える赤文字盤の“錦鯉”SBGW321。ケースサイズは横 36.5mm×縦 42.7mm×厚さ 11.6mmです。
2022年当時、44GS史上最も小型なサイズで話題をさらった「44GS 現代デザインモデル」の“Kuuki(空気)”SBGW291&“Tsuji(辻)”SBGW293、2023年新作44GS 55周年記念限定モデル“桜隠し”SBGW289と同サイズ&ケースデザインです。
キャリバー9S64搭載モデルのコレクション一部です。
写真にはありませんが、2023年新作欧州限定モデル“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303も基本デザイン、サイズが同じです。44GS現代デザインは、オリーブグリーンカラーの柔らかい色合いともフィットしていますよ!
2023年~2024年頃から特に、グランドセイコーは(国内外問わず)ありとあらゆる赤文字盤モデルをリリースしています。
直近では、阪急電車のダイヤルカラー「阪急マルーン」を再現した“阪急うめだ本店限定モデル2024”SBGH359も黒みの強い赤色でしたね。それにしても、“秋の穂高連峰”SBGY035&SBGA499、“夏の穂高連峰の朝焼け”シリーズのSBGC275とSBGE305、GS海外ローカル限定モデル“レッドドラゴン”SBGH323や“赤富士”SBGH327など……既に多いのですが、掘り下げるとまだまだ魅力的なレッドダイヤルが存在します。ご自身でも気になったモデルをチェックしてみてください!
錦鯉は平均寿命が約20~30年、上手に飼育すれば50年以上生きるそうです。
環境適応力が高く、あらゆる池の大きさに合わせて育つ特徴を持ち、大きい池ではどんどん大きく育ち、小さい池では小型のままのサイズを維持するため、飼う人の生活環境に応じて育てやすいのが利点です。人懐っこい性格もペット向きで、よく慣れた錦鯉は頭をなでることもできるそうですよ、可愛いですね(˙︶˙ э )Э
熱心な錦鯉愛好家の方によると、「(錦鯉は)育っていく過程で色や模様が変わり始めるので、変化を想像するのが楽しい。想像通りになれば凄く嬉しいが、思い通りに育たない事も多く(それも含めて)楽しめる」とのことです。生活環境や育て方で、千差万別の“個性”が生じる部分は、腕時計に通じるものがありますね。
キャリバー9R31搭載のSBGY040は、シースルーバック仕様。裏面からも、パーツの動き(池の中)をじっくりと観察できるのも嬉しいポイントです。ローズゴールド製ケースの優しく温かみのあるゴージャスさ、裏側からほんのり覗かせるブルーのクロコダイル革ストラップが、細やかな艶やかさを演出していますね。
キャリバー9S64搭載のSBGW321は、ソリッドバック仕様。愛機が今どんな状況なのか“想像する楽しみ”が残されています。表面のダイヤルは錦鯉、裏面は獅子のメダリオンと、グランドセイコーならではの取り合わせは、「気韻生動」の四字熟語がピッタリですね。
SBGY040は18Kローズゴールドケース&青クロコダイルストラップ、31,000ユーロ(約5,034,000円)(税込)です。SBGW321はステンレススチールケース&黒クロコダイルストラップ、6,100ユーロ(約990,000円)です。それぞれの現行コレクションのラインナップを見てみましょう。
*注*1ユーロ=162.4円計算です。
2024年10月現在、18KPGケースのSBGWは3,575,000円(税込)。
雰囲気が似ているSBGW314(※18Kピンクゴールドケース)が国内市場では3,575,000円(税込)、ヨーロッパ市場では28,900ユーロ(約4,693,000円)と、約110万円の価格差が生じています。
一時期(2024年7月11日)の175円に比べれば、幾分マシなレートではありますが、根強い“円安ユーロ高”の影響が残る価格差ですね。
続いて、同シリーズの価格上昇(値上げ)を追ってみましょう。
先程チラッとご紹介した“桜隠し”SBGW289はSS製ケース&ブレスレット、2022年発売当時の価格が国内市場で627,000円(税込)、ヨーロッパ市場では5,400ユーロでした。2023年発売の欧州限定モデル“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303もSS製ケース&ブレスレット、5500ユーロ(※当時のレートで約88万円)と微増。スペックの近い本作SBGW321はSS製&革ベルトですが、6,100ユーロ(約990,000円)、単純比較で約11万円の差が生じています。
グランドセイコーの精神的価値はご覧の通りの奥深さですが、「円安ユーロ高&価格上昇」のWパンチで、金銭的負担が増しているのが切ないところです。2024年11月5日には価格改定も控えています。
世知辛い話が続いたので、明るいトピックスを一つ。
(まだ一部のみですが)グランドセイコーの海外展開モデルが、グランドセイコーオンラインにて“日本円の定価”で限定販売を開始しています。欲しかった“ご当地モデル”が、逆輸入される可能性も出てきましたので、気になる方はグランドセイコーブティックオンライン専用モデルをご確認ください。
グランドセイコーはどのモデルも、“池泉庭園”SBGY040&“錦鯉”SBGW321のように、外見・テーマ性が素晴らしいので、読者様にゆかりのある「場所・季節・色」の時計が見つかるといいですね。
本作SBGY040&SBGW321と通底するモデルを比較考量してみましょう。
テーマ的には、「池泉庭園VS枯山水(SBGY027)」「錦鯉VS龍(SBGH323)」との対比が妥当ですが、鑑賞する姿勢次第で庭園の見え方はガラリと変わるため……今回は「秋」を主題に据えてみました。“秋の穂高連峰”SBGY035(※発売時期が近い赤文字盤)、“岩手山 秋の夕暮れ”SBGW303(※去年秋のEU限定モデル)とつき合わせて、違いを調べていきましょう。
大まかな違いを列記しましたが、いずれも劣らぬ絶景揃いでしたね。
グランドセイコーは、多種多様なカラーラインナップ&多彩なダイヤルパターンで、自分にビビッと来る“運命の愛機”を探しやすいのも長所の一つです。本作SBGY040&SBGW321は本数の少ない欧州限定モデルであるため、入手困難な超激レアモデルですが、既に発売されたGSウォッチを根気よく探せば、それに匹敵する“自分好みの時計”が見つかるかもしれません。
弊社姉妹サイトの『ブランド時計販売のクエリ』では、全1300本(※在庫切れ含む)のGSウォッチを取り扱っております。マニアックな国内ローカルモデル、滅多にお目にかかれない海外限定モデルが、タイミングよく入荷している場合もございますので、是非一度ご覧くださいませ。
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海外の方に“池泉庭園”SBGY040と“錦鯉”SBGW321をどのように映ったのでしょうか?興味深い意見が寄せられていた動画をご紹介します。
「黒っぽい池に赤い金魚が浮かんでいる、と説明されて、初めてテーマを理解した」
「デザインのインスピレーションを理解するには日本文化の理解が先決。一度でも日本庭園を見たことがあれば、別の感じ方になる」
「庭」は古来より空間的な広がりを意味するもので、荒れ果てた空き地でも庭と呼びますが、丹精込めて育てることで「庭園」という、優美な空間芸術へ昇華されます。
普通では気がつかない、細部にまで気を配ったグランドセイコーの“ものづくり”の魂。その心配りに、少しでも思いを馳せたいものですね。
色とりどりの美しい模様が自慢の錦鯉。元々、食用であった黒色の真鯉は、突然変異で赤色の緋鯉へ進化、白鯉と掛け合わせることで、紅白模様の錦鯉が生み出されたと伝えられています。錦鯉は人懐っこい温和な性格をしている以外にも、「群れを率いるボスがいない」「いじめもない」性質を持ち、“平和の象徴”ともされています。
そして、その錦鯉を泰然と泳がす、池泉庭園の雄大さも絶妙な趣きを醸し出しています。
世界最古の作庭指南書『作庭記』には、『人のたてたる石は、生得の山水にはまさるべからず(※技巧を凝らしても、自然の造形にはかなわない)』と記されており、大自然が作り出す芸術の偉大さを讃えています。その概念を理解した一流の庭師達は、どこに手を入れたのかわからないような自然な剪定を是としており、雨風が育てたかのように見せるそうです。
グランドセイコーの腕時計一つひとつは、一見してはわからない、細部にまで気を配った“ものづくり”の精神が息づいています。いち腕時計愛好家として、ディテールに込められた思いを少しでも汲み取りたいものですね。
モデル | エレガンスコレクション 欧州限定モデル 「池泉庭園」
Elegance Collection European Exclusive Model Chisen Teien |
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型番(Ref.) | SBGY040G |
ケースサイズ | 横 38.5mm×縦 43.7mm×厚さ 10.2mm |
ケース素材 | 18Kローズゴールドケース 裏ぶた:18Kローズゴールド+サファイアガラス |
ムーブメント | スプリングドライブ 手巻 キャリバー9R31 |
精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
駆動期間 | 約72時間(約3日間) |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり(4,800 A/m) |
その他 | 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記 |
生産本数 | 限定20本 |
取扱店舗 | 欧州のグランドセイコーブティック限定 |
発売日 | 2024年11月発売予定 |
価格 | 31,000 ユーロ |
モデル | ヘリテージコレクション 欧州限定モデル 「錦鯉」
Heritage Collection Mechanical European Exclusive Model Nishikigoi |
---|---|
型番(Ref.) | SBGW321G |
ケースサイズ | 横 36.5mm×縦 42.7mm×厚さ 11.6mm |
ケース素材 | ステンレススチール 裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス |
ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー9S64 |
精度 | 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当) |
駆動期間 | 約72時間(約3日間) |
防水性 | 日常生活用防水 |
耐磁性 | あり(4,800 A/m) |
その他 | 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記 |
生産本数 | 限定300本 |
取扱店舗 | 欧州のグランドセイコーブティック限定 |
発売日 | 2024年11月発売予定 |
価格 | 6,100ユーロ |
※販売開始時期・価格は予告なく変更される場合があります。
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