更新日:2021年09月18日
1963年に誕生して以来、数々のディテールチェンジを経ながら進化し続けるキング・オブ・ロレックス、ロレックス コスモグラフ デイトナ(DAYTONA)。現行モデル”デイトナ116500LN”も大変な人気ですが、実は少し前の世代の”デイトナ ref.16520”は現行機をも凌駕するほどの高騰を見せてます!そこでこのブログでは、デイトナ 16520の買取価格を大きく左右する、希少価値が高いとされるディテールの違いや見分け方を徹底解説します!
まずはロレックスデイトナ16520の概要を確認しておきましょう。現行デイトナにはない独特の魅力があるヴィンテージ・デイトナはコレクターの垂涎の的であり、世界中のオークションでも高額で取引されています。初代Ref.6239から2代目Ref.6262、3代目Ref.6263を経て、1988年ゼニス製の名クロノ・ムーブメント”エルプリメロ”を搭載して登場したのが、今回取り上げる4代目のデイトナ Ref.16520です。
モデル | ロレックス コスモグラフ デイトナ
ROLEX COSMOGRAPH DAYTONA |
---|---|
型番(Ref.) | 16520 |
ケースサイズ | 40mm |
ケース素材 | ステンレススティール(SS) |
ベゼル | SS製・タキメータースケール |
ブレスレット | オイスターブレス |
風防 | サファイアクリスタル |
ムーブメント | 自動巻 cal.4030 (28,800振動/時) |
パワーリザーブ | 52時間 |
駆動期間 | 最大巻上時約72時間(約3日間)持続 |
防水性 | 100m |
製造期間 | 1988年~2000年 |
定価(当時) | 65万円 |
デイトナって昔は60万円台で買えたんですよね。なんだかもう遠い昔の話のようですね・・・。
ゼニスのエルプリメロの供給を受けたといっても、実態としては半数以上のパーツを新規に作り上げています。巻き上げ効率の向上のため、ゼンマイや香箱、切り替え車、ローターを一新。また本来10振動/秒(36,000/時)で高速駆動するテンプを、あえて8振動/秒(28,800/時)まで落とし、安定性と耐久性を追求するなど、もはや別物と言ってよいほどの代物となっています。
またREF.16520ではプラスチックベゼルが廃止され、メタル製ベゼルのみに一本化。エル・プリメロ搭載による自動巻き化、防水性も50mから100mへ向上と実用性がより高められました。
ここ数年、Ref.16520の分類・研究が進んできた背景には、近年3代目までの4ケタRef(型番)のデイトナの相場があまりにも高騰し、海外オークションでは億単位で落札されたり、と、もはや一般人には手の出しようのない雲上モデルとなってしまったことが考えられます。(まぁ最近16520も海外オークションでは1000万円以上で落札される個体があったりしますが。)
また、新型が出れば旧型が高騰する、というのがロレックスの定石。
2016年の新型116500LNの登場により、1世代前の116520はもちろん、さらにその先代機種であるエルプリメロ搭載の最初の自動巻きデイトナ16520にも注目が集まり、販売価格や買取価格の高騰してきているのです。
1988年~2000年まで12年間という長きに渡り生産されたデイトナ16520には、途中で様々な細かい仕様変更がありました。まずはロレックス デイトナ16520のダイヤル(文字盤)に注目してみましょう。
デイトナ16520には同一リファレンスで黒文字盤と白文字盤があり、以下のポイントによって基本的にはMK1(MK-1、Mark 1)からMK6(MK-6、Mark 6)まで分類されています。
トリチウムからルミノバに変更された”SWISS MADE”表記のものをMK-7とする説もあるようです。また、「逆6」とは、6時位置のインダイヤル(12時間計)の3.6.9.12の「6」が、逆さになっていて「9」に見えるもののことです。
ロレックスの腕時計は2010年頃までに生産されたものについては規則性のあるシリアルを見れば製造年がわかるようになっています(→「ロレックス(ROLEX)のシリアルナンバーの調べ方」)が、同一年製造のデイトナであっても、ダイヤルの違いが存在し、単純にシリアルだけでは同じ種類の分類することができません。
そのため、プロの鑑定士などはこれから説明するような細かなダイヤルの仕様の違いを確認して、その買取価格・販売価格を設定しているのです。
それではMK1、MK2、MK3、MK4、MK5、MK6、MK7の見分け方をご紹介しましょう。
・通称<段落ち>
またはフローティング・コスモグラフ
("Floating Cosmograph")
ROLEX
OYSTER PERPETUAL
SUPERLATIVE CHRONOMETER
OFFICIALLY CERTIFIED
COSMOGRAPH
の5行表記の最下段<COSMOGRAPH>だけ少し下に離れている
・インダイヤル枠の数字: <逆6>
ロレックス デイトナ 16520 MK-1とは、自動巻きデイトナの最初期の1988年~1989年前半に製造されたシリアルがR番とL番のものを指します。非常に短い期間しか製造されていないため生産数は少なく、特にエナメル調の白ダイヤルはさらに希少性が増していて、海外オークションなどでも驚くほどの雲上な高額で落札されています。
12時位置の5行の文字列のの最下段の<COSMOGRAPH>だけ1段あけて下に記載されていることから通称<段落ち>、もしくは”モデル名が浮いている”という意味で<フローティング・コスモグラフ("Floating Cosmograph")>と呼ばれる事もあります。これは16520 MK1だけの特徴ですので、非常に見分けやすいポイントですね。
ロレックス デイトナ 16520 MK-1は他にも変わった特徴を有しています。
6時位置に配した12時間積算計の「3,6,9,12」の目盛りのアラビア数字が中心を基準とした形となっているため、「6」が「9」に見えるいわゆる<逆6>、と呼ばれる状態なのです。
また、のちほど説明しますが、ロレックス デイトナ 16520はダイヤルだけでなく、ベゼルにもMK1~MK6の分け方がある、と言われています。
文字盤MK1を含む、この時期に製造された時計に共通して見られるのが、ベゼルのタキメーターが"50~200"(MK1)や"225"表記(MK2)で、かなりのレアポイントと言えるでしょう。
・4行プリント (”Four Liner”)
ROLEX
OYSTER PERPETUAL
SUPERLATIVE CHRONOMETER
COSMOGRAPH
<OFFICIALLY CERITIFIED>の文字なし
・インダイヤル枠の数字:<逆6>
ロレックス デイトナ 16520 のL品番には、上述の通り1989年前半まで製造されていた通称<段落ち>と呼ばれる文字盤のロゴ表記が5段目だけ下に印字された通称MK1の他に、1989年後半~1990年代に製造された4段プリントになっている<MK-2>と呼ばれるモデルが存在します。
12時位置の表記が4行になったのは<OFFICIALLY CERITIFIED>という文字が削除されたためですが、もちろんムーブメントがクロノメーターでなくなったわけではありません。今ではなかなか考えにくい現象ですよね。16520の中で4行プリントはこのMK2だけですので、非常に見分けやすいポイントと言えるでしょう。 "COSMOGRAPH"の文字も段の間をあけることなく、詰めて印字されるようになりました。
12時間積算計の<逆6>はMK-1から継承されています。
ベゼルのタキメーター表記は、デイトナ16520のR品番、L品番それぞれの初期に存在した「50~200タキメーター(MK1)」と「225タキメーター(MK2)」は1988年~1989年で製造を止め、240数値に表記を変更した「60~400タキメーター」のみの製造に統一されていくため、MK2ダイヤルでもタキメーターの種類は混在していますが、やはり200タキ・225タキは非常に希少で、さらに価値が上がるポイントです。
・5行”セリフ”プリント
<OFFICIALLY CERITIFIED>が復活
ROLEX
OYSTER PERPETUAL
SUPERLATIVE CHRONOMETER
OFFICIALLY CERTIFIED
COSMOGRAPH
ゴシック体から飾り付きフォントに字体変更
・インダイヤル枠の数字:<逆6>
ロレックス デイトナ 16520 MK-3は1990年頃に製造されました。 MK-2との違いはなんと言っても「5行プリント」の復活です。 12時位置のロゴ表記に「OFFICIALLY CERTIFIED」の文字が再表記されました。
書体がゴシック体から「飾り付きフォント」(セリフプリント、ヒゲつきなどと呼びます)に変更され、文字に力強さが感じられます。
またMK1とMK3の違いは、同じ「5行プリント&逆6」でも、MK3は5行が等間隔に配置されており、<COSMOGRAPH>だけ1段あけた「段落ち」ではない点です。
・5行”サンセリフ”ブリント
”ROLEX”ロゴ :飾り付きフォント(セリフプリント)
下4行のフォント:飾りなしフォント(サンセリフプリント)
<COSMOGRAPH>が若干太字に。
・インダイヤル枠の数字:<逆6>
ロレックス デイトナ 16520 MK-4は1989年~1995年頃に製造されました。 同じ「5行プリント」でもMK-3との大きな違いはそのフォントです。
ROLEXの書体はMK-3と同じく飾り付きフォント(セリフフォント、serif)ですが、下4行のフォントが飾り無し(サンセリフフォント、sans-serif)のゴシック体に変更されています。余談ですが、”serif(セリフ)”はフォントの端に施された突起状の装飾のことで、”sans(サン) ”はフランス語で「~がない」という接頭辞ですので、"sans-serif(サンセリフ)”は「セリフ(装飾)がない」ということになるわけです。
さらなる変化として、5行目の<COSMOGRAPH>の文字が若干太くなっています。
6時位置のインダイヤルの「逆6」はそのまま変化なしです。
・5行”下寄り”プリント
・インダイヤル枠の数字:<正6>
・「パトリッツィダイヤル」はMK5だけ
ロレックス デイトナ 16520 MK-5は1995年~1999年頃製造されました。 MK-4まではデザイン性を重視し、12時間積算計が「逆6」と呼ばれる表記の仕方をしていましたが、このMK-5からは視認性を重視し「正6」となるよう刻印されました。また、他のインダイヤルも同様ですが、目盛りの数字の書体が太く大きくなったことも視認性を向上させています。
同時期に製造されたMK-6との比較になりますが、5行プリントが下寄り(中央寄り)で、”COSMOGRAPH”の文字が左右のインダイヤルに挟まれる位置にまで下がっています。王冠マークとROLEXの文字の間のスペースがMK-5では広くなっています。
なお、このMK5にだけ「パトリッツィダイヤル」と呼ばれる、更なるレアモデルが存在します。・5行”上寄り”プリント
・インダイヤル枠の数字:<正6>
ロレックス デイトナ 16520 MK-6はロレックス デイトナ 16520 MK-5と同時期の1995年~1999年に製造されました。同時期に製造されたMK-5と比較すると、上寄りに5行プリントされ、”COSMOGRAPH”の文字が左右のインダイヤルより上の位置にあります。
ロレックス デイトナ 16520 MK-6は「トリチウム夜光」を使用した自動巻きデイトナの最終型として知られ、トリチウム夜光を使用していることを意味する、6時位置の「T SWISS」が表記されている最後の自動巻きデイトナとなっています。
・5行プリント、正6は”MK6”と同じ
・夜光塗料がトリチウム→ルミノバへ
”T-SWISS MADE-T”から
”SWISS MADE” へ。
12時位置の英字表記部分を並べてみました。(MK7は割愛します。)皆さん、その違い、もう判りますよね!
デイトナREF.16520をお持ちでしたら、ぜひぜひこちらと見比べてみてくださいね。
もしかしたらその時計、お宝レアロレックスかもしれません。特に製造年の古いMK-1(Mark1)、MK-2(Mark2)は場合によっては500~1000万円を超えるような高額で取引・買取されている場合も!さて、次はベゼルのタキメータースケールの違いによる見分け方について解説します!
1988年~2000年まで12年間生産されたデイトナ16520には様々な細かい仕様変更があり、その違いによって買取価格や販売価格に数十~数百万円の差が生じます。
前項では「文字盤のMK-1~MK-6の見分け方」についてお伝えしましたが、文字盤同様、ベゼル上に刻印された平均時速を算出するための”タキメータースケール”にもまた、その仕様の違いによって、
と分類されています。
一部ではMK-3以降、さらにMK-6まで細分化する説もあるようですが、あまりにも差が分かりにくく、さらに現時点ではMK-4からMK-6の相場に差はないという観点から、時計買取のピアゾでは大まかに3種類に分類する説について解説したいと思います。
・最大値200
初代デイトナから3代目Ref.6263までと同じ、最大値が”200”のタイプで、”200タキ”と呼ばれる。
最小値は”50”から。(MK-2、MK-3は"60”から)
生産期間は1988~1989年頃のたった1年程度で、R・L品番のみに存在し、希少性が高い。
最小値は60、最大値は400となる。
ベゼルの3時位置に”225”が刻印されているため”225タキ”と呼ばれる。
その上に250があるのも特徴。
1989年頃製造され、こちらも生産期間が短く個体数が少ないため、相場は高め。
・通常400タキ
MK2との違いは、”225&250”の代わりに3時位置に”240”を配置した点。
1989年以降生産され、現行モデルのデイトナも同じ60~400を採用している。
▼ロレックスデイトナ16250 ベゼル ”MK1” ”200タキ” 最小値は50▼
▼ロレックスデイトナ16250 ベゼル ”MK2” ”225タキ” 最小値は60▼
▼ロレックスデイトナ16250 ベゼル ”MK3” 通常400 最小値は60▼
以上、 MK1~3ベゼルを見分けるポイントを解説して参りました。お次は初期型に見られる「カマボコケース」を解説!まだまだ続きますよ~~!
ロレックス デイトナ Ref.16520のケースは形状の違いによって2種類に分けられます。
1989年の初期生産分にだけ存在する、いわゆる「カマボコケース」と、一般的なノーマルケースです。
「カマボコケース」はノーマルケースよりもラグのアール(曲線)が強く、ボリューム感のあるフォルムとなっており、個体数が少ないため、ノーマルケースよりも希少価値が高い、とされています。
そのため、海外オークション等では"thick non polished"などと謳われているように、その形状を継続させるためになるべく研磨されていないこともポイントとなるのです。普通に考えればツヤピカで綺麗な方がいいんじゃないの、と思いがちなところですが、なんともマニアックですよね。
余談ですが、「カマボコケース」はロレックスのディフュージョンブランドであるチュードル(TUDOR) クロノタイムなどにも存在しており、「ビッグブロック(BIG BLOCK )」と呼ばれて親しまれています。
16520単体で見ているとなかなかわかりづらいですが、ノーマルケースと並べてみると若干ぽってりと、厚みを帯びていることがわかりますよね。ね?!
一方ノーマルケースは後続のRef.116520に通じる、すっきりとスタイリッシュなサイドビューとなっていることが見て取れます。美観・装着性で言えばノーマルケースに軍配が上がる気もしますが、ロレックスの評価ってそういうところではないんですよね。
手巻きデイトナの時代はブレスレット自体にあまり耐久性が求められておらず、コマの伸びやヘタリが生じるのは当たり前、そうなれば交換、といった流れが普通でした。しかし素材の品質や成型技術の進歩により、Ref.16520の時代には飛躍的に堅牢性の高いハードブレスが採用されるようになりました。
ロレックス デイトナ Ref.16520のブレスレットも製造時期によって変更されていて、全部で3種類あります。
ご紹介してきた文字盤・タキメーターとともに、その製造時期に合った仕様のブレスレットとなっているかどうか、つまり”ブレスレットがオリジナルのまま”であるかどうかが、価値の分かれ目ポイントとなってきます。
初期モデルにセットされていたブレスレットはNo.78360/503。
オールサテン仕上げのシングルロックバックルを採用していましたが、1990年頃からはダブルロックバックルへと移行したようです。
また、現行では見られない分離型のフラッシュフィットを採用しており、裏側にナンバーの刻印があるため判別が容易です。
中期モデルのブレスレットは前述の通りNo.78360/503がダブルロックバックルにマイナーチェンジした後に登場した、No.78390/503B。
分離型のフラッシュフィット、ダブルロック式バックルで、コマ同士を繋ぐセンターリンクがポリッシュ仕上げとなりました。
最終期のブレスレットはNo.78390A/803B。
一体型フラッシュフィット(Solid End Link/SEL)を採用したことにより、剛性が増し、デザイン性も向上。フラッシュフィットのナンバー(803B)が内側に刻印されるようになりました。
また、時期によってバックルの王冠マークのサイズが違っており、当初のビッグクラウンが2000年(最終P番)の途中からスモールクラウンへ変更されています。
16520の最終品番として絶大な人気を誇るP番の一部のブレスレットだけに見られる特徴ですので、覚えておいて損はないですね。
製造時期 | 画像 | Bracelet ref | End link ref | 特徴 |
---|---|---|---|---|
初期 (1988~95) |
78360 | 503 | オールサテン シングルロック(~90) ダブルロック(90~) |
|
中期 (1995~98) |
78390 | 503B | サテン&ポリッシュ(センターリンク) ダブルロック |
|
後期 (1999~2000) |
78390A | 803B (SEL) |
一体型フラッシュフィット ダブルロック |
実用性を考えれば、圧倒的に後期からの一体型フラッシュフィットを採用したブレスレット78390A/803Bがよいと思いますが、”希少性”という観点では初期ブレスが一番、ということになるでしょう。
ロレックス デイトナ 16520の希少品番は、R番・L番・A番・P番だと言われており、通常品番よりも高値がつきます。
ロレックスの腕時計の製造年式は、2010年以降のアルファベットのランダム品番となる前まではシリアルによって判別が可能です。デイトナ16520は1988年~2000年にかけて製造され、シリアルで言いますと初代がR番、最終品番がP番となるわけです。
これまで述べてきた通り、ダイヤルやベゼルのMK-1、MK-2などの特徴を備える初期のR番・L番は場合によっては1000万円近くの超高額で販売・買取されているのですが、実はロレックス デイトナ 16520の最終品番P番と、その1つ前のA番の取引価格も高騰しているのです。
1999年~2000年に製造されたA品番(Aシリアル)は、ダイヤルも外装も遂に完成の域に達したと宣言して良いほどの完成度。12時表記の印字技術の高い「5行」ゴシック体、12時間積算計の認識しやすい「正6」表記。夜光塗料も1999年を境に、自発光タイプのトリチウムから蓄光タイプのルミノバへ移行。それに伴いサブダイヤル下部の「T SWISS MADE T」の表記は「SWISS NADE」へと変化しました。
そして何より完成形と呼ばれる理由は、フラッシュフィットが分離型から無垢素材のブレス一体型へと進化した事でしょう。
分離型は構造が簡単であるためチープ感は拭えず、経年劣化によりダイヤルとブレスの間に隙間ができるなどメンテナンスを必要とする場合がありました。一方、一体型はブレスの端の駒がそのままケースとつながるため堅牢性が大幅に向上。またブレスと一体となった無垢素材のフラッシュフィットは、工作技術の高さからケースとの隙間も皆無。高級感を増しています。
ロレックスデイトナ16520P品番(Pシリアル)は、エル・プリメロ搭載モデルの最終型として絶大な人気を誇ります。バックルのスモールクラウンがその証。ロレックスデイトナ16520は、A品番(Aシリアル)の段階ですでにデザイン的にも機能的にも完成の域に達したと言われていました。
それでも最後にバックルにセットされたクラウンマークがリサイズされ、名機エル・プリメロを搭載したデイトナの中でもモデルの最終型として別格的な人気を誇ることになったのは、A品番(Aシリアル)ではなくP品番(Pシリアル)となったのです。
このロック式バックルは、1995年にシングルロック式からダブルロック式にすでにリニューアル済み。クラウンマーク(王冠ロゴマーク)のサイズダウンによるメリットは未だ不明です。
ラージサイズのクラウンマークはダブルロックパーツからやや上部へはみ出しています。スモールサイズにリサイズされたクラウンマークは、ダブルロックパーツに全体が収まります。開閉時に触れる部分ではないので操作性の妨げになるわけではありませんが、やはりスマートな印象ですね。
品番(シリアル) | 製造年 |
---|---|
R000001~ | 1987年~1988年 |
L000001~ | 1989年~1990年 |
E000001~ | 1990年~1991年 |
X000001~ | 1991年 |
N000001~ | 1991年 |
C000001~ | 1992年 |
S000001~ | 1993年 |
W000001~ | 1994年~1995年 |
T000001~ | 1996年 |
U000001~ | 1997年 |
A000001~ | 1998年~1999年 |
P000001~ | 2000年 |
ロレックス デイトナ 16520 P番シリアルの販売価格の相場は、2015年時点では最高300万円ほどでした。ところが2017年9月末時点で最高額400万円前後まで上昇、2021年9月現在では、3,300,000円~6,300,000円と、10年と経たないうちに急騰しています。
また、ロレックス デイトナ 16520 A番シリアルの販売価格の相場も、2015年時点では最高170万円ほどでしたが、2017年9月末時点で2,400,000円~3,380,000円と倍近くに膨らみ、2021年9月現在では、3,600,000円~5,400,000円と、P番に負けず劣らず高騰し続けています。
これまでロレックス デイトナ 16520のMK-1、MK-2ダイヤル、A番・P番など高額になるポイントについてご紹介してまいりましたが、これからご紹介する『エナメルダイヤル(ポーセリンダイヤル)』『ブラウンチェンジダイヤル(ブラウンアイ)』『パトリッツィダイヤル』はさらに”別格”と言えるほど希少価値が高いとされ、海外の有名オークションなどでも超高額で取引されています。
エルプリメロ搭載の自動巻きデイトナref.16520の最初期生産分、つまりR品番の一部の個体だけに見られる、エナメル調のホワイトダイヤル。それが「エナメルダイヤル」です。
海外では「ポーセリンダイヤル(porcelain dial)」の呼称のほうが一般的。ポーセリンとは「陶器」のことですが、実際に陶製なわけではなく、メタル製のダイヤルの上に釉薬を塗って焼いて陶器のような艶を出したもので、1920年代ごろから一部の高級機種に採用されていました。
ラッカー仕上げの通常ダイヤルに比べて、独特の艶を持ち、ロゴなどの文字がうっすら膨らんでいるように見えます。
↓こちらはノーマルなラッカー仕上げダイヤル
ただでさえ「段落ち」「逆6」「200タキ」などのレアポイント満載のR品番で、さらにエナメルダイヤルとなると、価値が飛躍的に上昇するんですね。ちなみに同時期の金無垢デイトナRef.16528にもこのエナメルダイヤルが存在します。
【海外オークションでの落札結果】を見てみますと、
ロレックス デイトナ 16520 R番シリアル”ポーセリンダイヤル”は生産された本数が圧倒的に少なく、価格は鰻登り。国内の中古腕市場でも2021年現在は900~1000万円前後まで相場が上昇している、モンスター級のモデルです。
ロレックス デイトナ 16520には、インダイヤルの枠が経年変化によって茶色く変色したものがあり、「ブラウンチェンジ(ブラウンアイ)」と呼ばれています。
ブランチェンジは1993~1997年に製造されたS番、W番、T番、U番に多く見られ、その価値は色が濃くなればなるほど価値が上がる、とされています。
世界最大の時計専門オークションハウスであるアンティコルムの創設者オズワルド・パトリッツィ(Osvaldo Patrizzi)氏はグイド・モンダーニ氏出品によるスペシャルオークションにて、1994年~1995年に製造されたS品番とW品番のデイトナRef.16520ブラックダイヤルにのみインダイヤル枠が濃いブラウンに変色していることを指摘しました。
以前から"ブラウンチェンジ"の呼称はありましたが、この通称「パトリッツィダイヤル」は特定の年代に作られたもの、比較的濃いブラウンカラーに変色するという特徴を持ったものとされています。
↓こちらはうっすら茶色くなったタイプ。
ちなみに経年変化が進んだ物にはほぼブラックに近い色になるものもあり、文字盤カラーとの見分けをしづらい時計も存在します。
えっと、目盛り、み、見えない・・・。いいの?それがいいの?
ただ、一般的にはあまり細かい区別をせず、【ブラウンチェンジ=パトリッツィダイヤル】という認識が広まってきているようで、特定品番でなくても”パトリッツィダイヤル”と称して販売されている例が散見されます。
ブラウンアイ・パトリッツィダイヤルは海外オークションなどでも、”TROPICAL”と表現されて非常に高額で取引されており、
国内でも真っ黒に変色したREF.16520 パトリッツィダイヤルが1,000万円超えで販売していたことも。
ダイヤルやベゼル、シリアルなどの「レア度チェックポイント」をご紹介して参りましたが、そのディテールの違いによって販売価格がどう違うのか?という点にも注目しながら、現在の国内の販売市場での実勢販売価格を調査してみました。
2021月9月現在、ロレックス デイトナ REF.16520の実勢販売相場は約330万円~約1200万円と、非常に幅が広いです。さほどレアとも思われないものでも400万円程度の値段で設定されているものが多く見受けられます。まさに右肩上がりの価格推移を見せており、2017年頃の調査では最も安いもので180万円ほどで購入できたのですが、最安値でも倍近く上昇しています。
「デイトナ16520をいくらで売るのか?」という値段設定は、売り手次第なのですが、これまでお伝えしたような希少性の高いものは軒並み販売価格は高額です。例えば段落ちMK1ダイヤルのR番・L番は1,000万円超えの超高額ですが、 一方同じR番でもオリジナルのトリチウムからルミノバへダイヤル交換してしまっているものは、大幅にお値段が下がります。それだけシリアルだけでなく、文字盤のディテールが重要、ということですね。
ブラウンチェンジ(ブラウンアイ)やパトリッツィダイヤルは、730~890万円前後と、同じシリアル番と比べても一気に200万円~300万円プラスになっていたり、そのわずかなディテールの違いでこれほどの値段の差がつくのか、と驚かされます。
お持ちの腕時計がもしかしら上記のようなレアロレックスかも?!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。表を見ていただければお分かりのように、ちょっとしたポイント一つで販売価格が数百万円も変わってしまうのが、レアロレックスです。
もしロレックスの腕時計の売却をご検討中であれば、良心的で、かつ経験豊富なバイヤー・買取店に相談しないと、大損してしまうかも?!
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