2024年4月9日、Watches＆Wonders 2024にてパテック・フィリップ（Patek Philippe）は「ノーチラス フライバック・クロノグラフ 5980」「ワールドタイム 5330」のほか、 「アラーム・トラベルタイム 5520」、「グランド・コンプリケーション」の新作も加わりました。

パテック・フィリップ2024年新作の注目すべき点の1つが「ブルーグレー・オパーリン文字盤」です。パテックにとって今年の新作の目玉カラーであり、発表された11本のうち実に4本にも採用されています。5811や5740の「ブルー・ソレイユ」とも、5712の「ブラック・ブルー」とも、7188の「スモークグレー」とも異なる、いわゆる「くすみカラー」。
「ブルーグレー」はこれまでも「アクアノート・ルーチェ 5067A-025」や2023年新作「アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー 5261R-001」など、レディースモデルで採用されてきた人気カラーです。
そしてそのカラーに対応する新しいデニム柄のカーフストラップも投入され、よりカジュアル感が増しています。

本ブログでは、パテック・フィリップ2024年新作ウォッチの魅力、仕様、価格などについて詳しくご紹介して参ります。

つい数ヶ月前、パテック・フィリップはカタログに残っていたノーチラス フライバック・クロノグラフ 5980（ローズゴールド製、ローズゴールドとスティールのツートンカラー製）をすべて生産終了とし、事実上、全リファレンスを終了しました。しかし今回のWatches & Wonders 2024で、5980は18Kホワイトゴールドケースを纏って鮮やかに復活。
しかもブルーグレー・オパーリン文字盤のカラーに合わせて採用されたのは、なんとデニム柄カーフストラップ！今の気分に合った「くすみカラー」のダイヤルも相まって、抜け感のある、「カジュアルなノーチラス」という今までにないコンセプトを打ち出しています。

ベルトはカジュアルながらも、サテン＆ポリッシュ仕上げを緻密に施した18Kホワイトゴールド製ケースやラグは相変わらずノーチラスらしい高級感を醸し出しています。
また、アイコニックな「耳」があるためケース幅は広いですが、ケース自体は非常にフラットで、さらにクロノグラフのプッシャーが角度をつけて配置されているため邪魔にならない形状です。

ホワイト・ステッチが施されたベルトは、一見デニム素材かと見紛うほどですが、あくまでも素材は「革」なのです。

果たして誰トクなのか、そもそもノーチラスにカジュアル感を求めるのは・・・Z世代？若い世代の富裕層にもよりアピールする狙いでしょうか。
ただ革ベルトをセレクトしたからこその、この1250万円という定価です。ブレスレットまでフルゴールドなら恐らく定価は2,000万円前後となるでしょう。もちろん、その需要もあるかとは思いますが。

定番の水平の溝が刻まれたブルーグレー・オパーリン文字盤はアプライドのバトンインデックス、そして丸みを帯びたバトン針を美しく引き立てています。
6時位置に配された60分および12時間の同軸積算計はダイヤルと同色が採用され、すっきりとした印象。また、2016年に開発された「ノーチラス40周年フォント」が使用されています。

搭載するムーブメントは、キャリバー CH 28-520 C。クロノグラフ計測中に停止することなく次の計測を開始できるフライバック機能は、4時位置のプッシュボタンで操作可能です。また、パワーリザーブは最大55時間で、ケース裏のサファイヤクリスタル越しにその動作を堪能することができます。

新しい「ノーチラス フライバック・クロノグラフ 5980/60G-001」限定モデルではありません。かつての5980Rは特にローズゴールドブレスモデルが人気だっとはいえ、もちろん革ベルトモデルも十分に需要がありました。今回のこの新しいルックスを得たノーチラス5980に、果たして市場はどう反応するでしょうか。ファブリック柄のブルーグレー・コンポジット・バンドも付属しますが、いずれアリゲーターストラップ、もしくはやはりゴールド製ブレスに替えたい・・・と思うときが来るかも？

昨年6月に東京開催された『ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)』にてわずか300本のリミテッドエディションとして発表された「ワールドタイム 5330」がWatches＆Wonders 2024で現行コレクションに仲間入りしました。40mm径×11.57mm厚のポリッシュ仕上げのホワイトゴールド製ケースを採用しています。前述のノーチラス同様、ブルーグレーオパーリン文字盤とデニム柄のブルーグレー・カーフスキン・バンドも大きな特徴です。

このモデルは、東京限定モデルと同じく、都市表示リングの12時位置に表示されている選択されたタイムゾーンの時刻と同期した「日付表示」（ローカルデイト）という、特許取得の世界初の機構が搭載されています。この革新的な差動システムを可能としているのが、2つの同軸の歯車（星車）からなる特許取得の中央差動システムを備えた新しいムーブメント、キャリバー240 HU Cです。

日付を指すのは、先端部分を赤くラック塗装したハンマー型の透明なガラス製センター日付表示針。これは日付表示針という動きの少ない針が”透明”になることによって、他の情報の読みやすさを妨げないようにしているのです。あえてのポインター仕様は、いくつもの目盛りが同軸円上に配置されている本作に、日付表示窓があっては興ざめ、というところでしょうか。

10時位置のプッシュボタンを押すごとに都市が書かれたリングが反時計回りに回転し、それに連動して日付を指すガラス製センター針が前後する仕組みです。

「ワールドタイム 東京2023 リミテッド・エディション 5330G-010」の文字盤センターにはギョシェ装飾をが施されていましたが、こちらは“カーボン”パターンを採用しており、ややスポーティかつモダンな印象を与えますね。

新作5330Gの定価は、1213万円（税込）です。

ホワイトのステッチをあしらったデニム柄のブルーグレー・カーフスキンストラップに、ホワイトゴールド製のカラトラバ十字が高貴さを添えています。

アクアノートには「アクアノート・トラベルタイム 5164G-001、5269R-001」と「アクアノート・ルーチェ・モデル 5268/461G-001」という新たな3つのバージョンが追加されました。

「アクアノート・トラベルタイム5164」モデルに、初のホワイトゴールド・バージョンが登場。既存のローズゴールドモデル 5164R-001 とスペック・価格（税込定価 9,980,000円）は同じです。

パテック フィリップ 「アクアノート・トラベルタイム Ref. 5164R-001」

ブルーグレー・オパーリン文字盤には、お馴染みのアクアノート・パターンが施されています。

文字盤と同系色のコンポジット・バンドは、特許取得のホワイトゴールド折り畳み式バックルを備えています。

ピタっと合わさるカラトラバ十字が見事です。

直径40.8mm、厚さ10.2mmのホワイトゴールド製ケースには、トラベルタイム表示を備えた自動巻ムーブメント、キャリバー26-330 S C FUSが収められています。

ケース側面左側の2個のプッシュボタンのいずれかを押せば、現地時刻表示用の時針のみを1時間単位で前進・後退させることができます。また6時位置のサブダイヤルで現地の日付を指針表示します。

優れた視認性と使いやすさを兼ね備え、「コンテンポラリーなカジュアル・エレガンスを体現したトラベルウォッチ」と謳うにふさわしい1本ですね。

昨年新作の「アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー 5261R-001」がローズゴールドケース×ブルーグレー文字盤で大成功を収めたことも記憶に新しいですが、満を持して（？）今年は「アクアノート・トラベルタイム 5269R-001」が登場しました。

クォーツムーブメントを搭載する、直径38.8mmと控えめなサイズ感のアクアノート・トラベルタイム Ref.5269モデル。
Ref.5269と言えば、かつてベゼルにダイヤモンドをセッティングしたホワイトカラーの「アクアノート・ルーチェ 5269/200R-001」が思い浮かびますが、本作はダイヤなしの18Kローズゴールド・バージョンで、シンプルで洗練された外観です。

「アクアノート・ルーチェ 5269/200R-001」

40.8mmの機械式アクアノート・トラベルタイム・モデルよりも小さいとは言え、38.8mmという直径は、多くの人が完璧と考える39mmに近いサイズです。さらに言えば、クォーツムーブメントを搭載しているため、ケースサイズはわずか8.77mmと、機械式モデルより約1.5mm薄くなっているのも装着性という点では魅力でしょう。

このパテック・フィリップのクオーツ Cal.E 23-250 S FUS 24Hというのは非常に興味深いムーブメントで、 鮮明なストライプ、ゴールドのエングレービングが施され、プラスチックパーツは一切使われていないところを見ると、さすが、と言いますか、まるでクォーツらしくないのです。

96個の部品から成るムーブメントは9石で、電池寿命は3年。精度は年間+127/-18秒とされていて、シチズンなどが10秒/年のクオーツムーブメントを製造していることを考えると、これは少し残念ポイントかもしれません。美観は圧勝でしょうが、裏蓋はもちろんソリッドバック、如何せん、普段見ることのない部分なのです。

文字盤は従来のアクアノート同様、経度と緯度を想起させる地球儀のようなエンボスラインが施されています。中央の模様入り文字盤の周囲には、ゴールドのミニッツトラックと蛍光塗料を塗布した四角形のプロットが配されています。針と植字されたアラビア数字は、ケースと同じローズゴールド製です。

文字盤には2本の時針が備えられ、ひとつは出発地の時刻、もうひとつは現地時刻を表示します。パテック・フィリップが提供する他のトラベルタイムウォッチとは異なり、すべての時刻設定はリューズで行われ、一見するとシンプルな3針時計かと思うほど。
特筆すべきは6時位置の「HOME」の文字。その下には小さな開口部があり、白い時針がホームタイムの昼夜を示します。「5269/200R-001」には「HOME」の文字はありませんでしたね。

正直言えば、他のインジケーターや表示でごちゃごちゃしているものが多い中（昨年の「カラトラバ・トラベルタイム 5224」を除いて）、これはパテック・フィリップのトラベルタイム・ダイヤルの中でもすっきりしている部類に入ります。個人的にはただ一つ、秒針はローズゴールドにすればさらにすっきりしたのでは、とも思いますが。

ブルーグレー・オパーリン文字盤と同色のコンポジット・バンドは、4つの止め金により安全性を高めた特許取得の折り畳み式バックルを装着しており、手首にしっかりと包み込みます。

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3針の5167系よりも小さいこの時計は、現時点で「宝石のない最小のアクアノート」である、という事実も面白いところです。定価は5,600,000円です。

アクアノート2024年新作、最後にご紹介するのはハイジュエリーモデルの「アクアノート・ルーチェ・モデル 5268/461G-001」です。ダイヤモンドとブルーサファイアで時計のほぼ全面が覆われてしまっています！圧巻ですね！

文字盤センターには、バゲットカット・ダイヤモンドとブルーサファイヤがパヴェ・セッティングされ、アクアノート・コレクションの象徴的パターンを彷彿させるチェッカー模様のモチーフを形成しています。外周には、アワーマーカーのバゲットカット・ブルーサファイヤとスノー・セッティングによるブリリアントカット・ダイヤモンドが交互に配置されています。

直径38.8mm、厚さ9.1mmの5268ホワイトゴールド製ケースには、淡いブルーから濃いブルーのグラデーションで40個のバゲットカットサファイアがセッティングされたベゼルを備えています。ラグやバックルにもバゲットカット・ダイヤモンドがあしらわれていて抜かりありません。

しかもこの時計には自動巻ムーブメント、キャリバー26-330 Sが搭載されており、サファイヤクリスタル・バックを通して鑑賞することができます。

ここでふとした疑問なんですが、こういった時計は毎日着けるもの？パワーリザーブ45時間しかない自動巻き時計、着用する度に時間をセットする羽目になりそうな、、、どう考えてもクォーツの方が利便性が高いと思うんですが、いかがでしょうか。いやいや、こんな時計を買おうという方は毎日がパーティなのか、それとも日常使いにも問題ないさ、と仰るのかもしれません。実際、海外の俳優やスポーツ選手といったセレブリティの方々は、ハイジュエリーウォッチもさらりと日常使いされていますもんね。余計な心配でした。

そしてプールよりもパーティにふさわしいであろう、このアクアノートの防水性は30m。定価は37,310,000円です。

今年もパテック・フィリップは「時計製作の頂点に位置し、時計製作者に究極のチャレンジを挑むタイムピース」と謳う「グランド・コンプリケーションコレクション」に新作を追加しました。

2019年発表の「アラーム・トラベルタイム Ref.5520」に、18Kローズゴールドケースのニューバージョンが追加されました。 「アラーム・トラベルタイム」には、異なる2つのタイムゾーンの時刻を同時に表示する独自の「トラベルタイム機構」と、ハンマーでクラシック・ゴングを鳴らす24時間対応の「アラーム機構」が搭載されています。

2019年発表モデルRef.5520P-001はプラチナ製ケースにエボニーブラック・ソレイユ文字盤を備えたモノトーンでしたが、新作は金属部分だけでも18Kローズゴールドケースに、4つのホワイトゴールド製プッシュボタンチューブを組み合わせた2トーンの仕様となっています。

さらに蓄光性のアンスラサイトホワイトゴールドのアプライドアラビア数字インデックスと、剣型の時分針が配された文字盤はグレーソレイユとアンスラサイトの2トーンで、プラチナモデルよりもソフトで温かみのある印象を与えます。6時位置のサブダイアルに配された日付リングがアクセントを添えています。

実はオリジナルのプラチナ・バージョンに比べ、この新しいローズゴールド製5520RGは、文字盤に微妙なアップデートが施されています。まず、ミニッツレイルウェイが拡大され、10分ごとにアラビア数字を配置。そのため、植字されたアラビア数字の位置が変更され、ベル型のアラーム・インジケーターと日付インダイヤルに近接するため、その一部がカットされています。

搭載される自動巻きCal.AL 30-660 S C FUSは日差-3～＋2秒という驚くべき精度で作動し、42～52時間のパワーリザーブを誇ります。

アラーム時刻は12時位置の2つの窓にデジタル式で表示されます。アラームが鳴る時間になると、古典的なゴングがハンマーで約35秒間叩かれ、音楽的なチャイムが響き渡ります。

夜光塗料を塗布した剣型のソリッドな時針と分針はローカルタイムを、スケルトンの時針はホームタイムを示します。 8時位置と10時位置のトラベルタイムプッシュボタンは、＋と－の浮き彫り入りで、押すと現地時刻を1時間単位で前進・後退させることができます。

中央の秒針と6時位置のサブダイヤルの日付ポインターは白色です。さらに、デイ／ナイト表示用の2つの丸い開口部には、”LOCAL”と”HOME”の文字が明記されています。

目立つ4つものプッシャーを備えた外観は独特ではあるものの、意外なほど手首に大きな違和感や圧迫感を与えるものではありません。

さて、パイロットスタイルの時計は、現在でこそパテック・フィリップの数ある時計の中で確固たる地位を築いていますが、2015年に発表された「カラトラバ パイロット トラベルタイム 5524」はひと騒動を巻き起こしました。
カラトラバシリーズのタイムレスな製品とは明らかに異なるデザインは、長年の期待に挑戦するものでしたが、典型的なパテック・フィリップの美学からの逸脱を感じ、多くの人が驚きを隠せなかったのです。
パテック・フィリップが1930年代に軍用に「アワー・アングル」またはシデロメーター・パイロット・ウォッチを製造していた歴史からインスピレーションを得たという説明にもかかわらず、論争はしばらく続きました。

しかし、リファレンス5524は瞬く間にパテック・フィリップの大成功を収めました。2018年にはミディアムサイズ（37.5mm）の「カラトラバ パイロット トラベルタイム 7234R」をリリースし、2020年にはホワイトゴールドバージョンも登場。
そして2019年にパテックは「アラーム トラベルタイム 5520P」の発表に至ります。コノモデルで「カラトラバ・パイロット」の名称は正式に除外されているものの、シリーズのエッセンスが受け継がれていることは明らかです。
このタイムピースは、5524の特徴的なデザインと機能性はそのままに、アラーム時刻をデジタル表示する24時間アラーム機構という新たな複雑機構を導入し、現在では4,000万円にも及ぶ価格が設定されています。（ちなみに昨年、パテックは「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ」も発表しています。）

新作の「アラーム・トラベルタイム 5520RG-001」定価は41,040,000円です。

新作「グランド・コンプリケーション Ref. 5160/500R-001」（レトログラード日付表示針付永久カレンダー、希少なハンドクラフト）は、2016年にリリースされた18Kホワイトゴールド製の「グランド・コンプリケーション Ref.5160/500」を再解釈したものです。シルバー・オパーリン文字盤にレトログラード式日付表示と永久カレンダーを備え、幅38mm、厚さ11.81mmの非常にコンパクトな18Kローズゴールド製ケースを採用しています。

目を引くのは、ケース本体はもちろん、ベゼル、ケース本体、リュウズ、ヒンジ付カバーとラグ、折り畳み式バックルとネジに至るまで隈なく施された、豪奢にして繊細な渦巻と草木模様の手彫金です。パテック フィリップ・ミュージアム所蔵の懐中時計からインスピレーションを得たというこのクラシカルな模様は、職人の手作業によってエングレービングされています。

マット仕上げのシルバーオパーリン文字盤の中央にも、華麗な模様が彫り込まれており、それを囲むようにしてレトログラード式日付表示、ムーンフェイズ、曜日と月、閏年サイクルの小窓を実に見事なバランスで配しています。
黒く塗られたホワイトゴールド製のアプライドインデックスはブレゲ数字で、同じくブラック仕上げのエレガントでスリムなブラックのスペード針、分針と併せて、クラシカルな雰囲気を強めています。
外周の目盛りには5分毎に数字が配置されており、こちらはよく見ると黒ではなくネイビーブルー。こちらはあってもなかってもよかったような気もします。

本作はかつての懐中時計によく見られたような、オフィサータイプのケースとなっており、ヒンジ付カバーで保護されたサファイヤクリスタル・バックを備えています。
搭載するムーブメントは、自動巻き レトログラード日付表示針付永久カレンダー Cal. 26-330 S QRです。2019年に登場したCal.26-330 S Cをベースとしており、パワーリザーブは最大45時間。パテック フィリップを象徴するカラトラバ十字が彫刻された21Kゴールド製ローターや、コート・ド・ジュネーブ装飾を施したブリッジなど、壮麗なディテールも魅力です。

Watches and Wonders 2024で発表された中でも、最高級かつ最も古典的なスタイルの複雑時計の一つであることは間違いありません。定価は31,990,000円です。

2021年に登場した「インライン永久カレンダー Ref.5236P-001」はプラチナケースにダークブルーの文字盤を備えていましたが、新バージョンの新作「インライン永久カレンダー ref. 5236P-010」は、ヴィンテージ風のローズゴールドのオパーリン文字盤（サーモンとは言わないんですね）に、チャコールグレー仕上げのアントラサイト・ホワイトゴールドの針とインデックスで登場しました。

「インライン永久カレンダー」は曜日、日付、月を12時位置の大型表示窓に並べて表示することで、煩雑な印象になりがちな複雑時計を、まるでそうとは思わせないほどにスマートな見た目に仕上げているところがポイントです。

また、6時位置にはスモールセコンドと同軸にムーンフェイズを、4時位置に閏年サイクルを、8時位置には昼夜表示の丸窓を配置し、同じくその複雑さをおくびにも出しません。

ポリッシュ仕上げのプラチナ950製ケースは直径41.3mm、厚さ11.07mmで、文字盤側と裏蓋にはサファイアクリスタルが使用されています。ブルー文字盤の前モデルと同様、防水性は30m。ケースの6時側のラグの間には小さなダイヤモンドがセッティングされていますが、これはパテック・フィリップがプラチナ製タイムピースだけに使用する意匠です。

2021年に発表されたブルー文字盤モデルと同様に、新しいパテック・フィリップ グランド・コンプリケーション インライン・パーペチュアル・カレンダー ref. 5236P-010は、薄型自動巻きムーブメントCal.31-260をベースにしたCal.31-260 PS QL自動巻きムーブメントを搭載しています。ローターには、ゴールドよりも比重の重いプラチナが使用されています。

ちなみにこちらはサファイアクリスタルのオープンケースバックが標準仕様ですが、よりトラディショナルな好みの方にはプラチナ製ケースバックも用意しています。

本作にはソリッドプラチナのフォールディングクラスプを備えた、手縫いのアリゲーターレザーストラップが装着されています。2021年モデルでは、文字盤に合わせてブルーのストラップが装着されていましたが、本作にはブラウンのアリゲーターストラップが採用され、ヴィンテージ風のカラーリングがさらに強調されています。

定価もブルーダイヤルモデルと同じで、22,390,000円です。

グラデーションブルー文字盤とダイヤモンドのバゲットインデックスを加えた、ホワイトゴールド製の「年次カレンダー Ref.5396G」が発表されました。
ケースサイズは直径38.5mm×厚さ11.2mmで、サファイアクリスタルのケースバックから見えるパテックのCal.26‑330 S QA LU 24Hは、年次カレンダーにムーンフェイズ、センタースイープ秒針を備えています。

文字盤の曜日と月の表示は12時位置の下に並べて配置され、日付は6時位置のサブダイヤル部分に切り出されており、実にシンメトリーな美が光る逸品です。

Ref.5396の変遷を追ってみましょう。まず、パテック フィリップ初、そして世界初の年次カレンダー（Ref.5035）は1996年に発表されました。10年後の2006年、Ref.5396（Ref.5396G-001、Ref.5396R-001）は、カラトラバスタイルのケースを採用した初の年次カレンダーモデルとして登場します。2010年にはバーインデックスを採用するなど、よりシンプルなダイヤルへデザインチェンジした「Ref.5396G-011」「Ref.5396R-011」が登場。
さらに年次カレンダー誕生の20年後となる2016年にブレゲ数字インデックスを備えた「Ref.5396G-014」「Ref.5396R-012」が追加され、2017年には本作とよく似た特徴を持つ、ローズゴールドバージョン2作（5396R-014、5396R-015）が追加されました。

これらのうち、2024年現在コレクションに残っているのはローズゴールドケース×オパーリン文字盤の「Ref.5396R-011」だけです。

左）Ref.5396R-011　右）5396G-017

従来のモデルは315/324系キャリバーが採用されてきましたが、新作「Ref.5396G-017」に搭載するムーブメントは自動巻きCal.26-330 S QA LU 24Hを搭載しています。こちらは324系をブラッシュアップして、ハック機能が付き、日付変更の禁止時間帯をなくした新たなCal.26-330ベースとなっており、他モデルにおいても2019年頃からCal.26-330ベースのキャリバーへと順次入れ替えが進んできていますね。トランスパレント式の裏蓋から21Kゴールド製ローターとともに、その意匠を眺めることができます。

コンプリケーション（年次カレンダー、ムーンフェイズ）5396G-017の定価は10,060,000円です。ローズゴールドモデルの5396R-011の9,120,000円より94万円プラスとなっていますね。

角丸四角型のケースが優美な「ゴールデンエリプス」。自動巻きムーブメントを搭載しながらもケース厚はたった5.9 mmに抑えられています。ピアノのような漆黒の文字盤にシンプルなバーインデックス、オニキスをあしらったリューズ、そして363個のエレメントから構成されるローズゴールドのチェーンブレスレットがクラシカルでエレガントな雰囲気を醸し出していますね。

大型のゴールデン・エリプス5738モデルが初めてメタル・ブレスレットを装着しました。チェーン・ブレスレットを思わせる細かいリンクで構成された、このしなやかでエレガントなチェーンスタイルのローズゴールド・ブレスレットと彫金を施したバックルは、ゴールデン・エリプス・ウォッチが主役の役割を果たした1970年代への見事なトリビュートといえましょう。

エボニーブラック・ソレイユ文字盤は、ローズゴールド・バトン型植字アワーマーカー、ローズゴールドの《シュヴー》型時・分針を配しています。この時を超越した、整然とした造形美は、ゴールデン・エリプスの精神を完璧に体現しています。

著名な黄金分割からインスピレーションを得た調和のとれたプロポーションのケースには、超薄型自動巻ムーブメント、キャリバー240が収められています。

パテック・フィリップ ゴールデンエリプス 5738/1R-001の定価は9,510,000円（税込）です。

Twenty~4の誕生25周年を記念して誕生した新作「TWENTY~4 4910/1201R-010」。ローズゴールドのケースにはダイヤモンドがセッティングされ、上品なパープルカラーのダイヤルには同心円状の波模様が刻まれています。

時を超越したエレガンスのクラシックとしての地位を確立した婦人用コレクションTwenty~4の誕生25周年を記念してパテック フィリップは、きわめて洗練された文字盤を特徴とするクォーツ《マンシェット》タイプのニューバージョンを発表しました。文字盤プレートにはまず同心円状の波模様がエンボス加工され、次いで半透明なパープル・ラック塗装で何十層もコーティングし、さらに無色透明のラック塗装を施すことにより、美しい奥行きのある効果を生み出します。

2重の段差を持つレクタングラー型ケースの独自性溢れるフォルムは、文字盤の両側に17個ずつ並んだブリリアントカット・ダイヤモンド（0.63カラット）によって強調されています。

カーブした全面ポリッシュ仕上げのローズゴールド・ブレスレットには、快適さと安全性を保証するローズゴールドの折り畳み式バックルが装着されています。

比類なき気品を漂わせる新作「TWENTY~4 4910/1201R-010」の定価は7,540,000円（税込）です。

パテック・フィリップの2024年新作腕時計をご紹介いたしました。
やはりハイライトは「ノーチラス フライバック・クロノグラフ 5980/60G-001」でしょうか。ステンレス製の新作はありませんでしたね。

相次ぐ値上げと円安で、パテック・フィリップの腕時計はさらにどんどん手が届かなくなってきています。
弊社の姉妹サイト『ブランド時計販売のクエリ』でもパテック・フィリップの腕時計をたまに入荷・販売しておりますが、状態が良いものが多いのもあり、すぐ売り切れになってしまいます。

現行のステンレス製ノーチラスを見てみると、年次カレンダームーンフェイズ 5726/1A-014が定価 8,920,000円、ムーンフェイズ5712/1A-001が定価 8,120,000円。一方、2021年で生産終了したステンレス製三針モデル「5711/1A-010」はいまだ中古市場で根強い人気を誇り、最終定価を大きく上回る1,600～2,000万円前後で販売されています。

多くの要望があるとは思いますが、やはりブランドの方針としてステンレス製ウォッチはなかなか増やしてもらえないようですね。