更新日:2023年06月14日
東京は新宿三角広場にて2023年6月10日から25日まで開催中のパテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)。6点のリミテッド・エディション、および希少なハンドクラフト作品のコレクションが発表されました!時計好きの皆様に、いや、そうでもない皆様にも言いたいことは、「とにかく行って!!」です。こんな美術館レベルの展示会が無料って太っ腹が過ぎますから!!
ちなみにピアゾではこのイベントにて発表される日本限定新作モデルについての願望強めの予想(→こちらのブログ参照。)を書かせて頂いておりましたが、これが結構当たっていたのでは・・・?「ワールドタイム・ミニッツリピーターREF.5531 東京2023」とか、「ワールドタイム クロノグラフ」とか。
しかし実物は、予想をはるかに上回る素晴らしさでしたので、ぜひ皆様現地で見て頂きたいところ。早速実機写真を交えつつ、ご紹介いたします!
イベントの開催概要や展示内容、イベント内で発表された過去の限定モデル(リミテッドエディション)についてなど、幅広い情報をまとめました。
パテック フィリップ カドラプル・コンプリケーション 東京2023 リミテッド・エディション 5308P-010は、なんと世界限定15本という超レアピース。プラチナ製幅42mm、厚さ17mmという堂々たる躯体。サーモンピンクダイヤルは特別感を漂わせています。
以上3つ(4つ?)の機能を搭載しています。
そうです、2011年に発表されたトリプル・コンプリケーション5208の派生モデルという位置づけで、スプリットセコンド機能が追加されたことで、「 カドラプル(quadruple)」4つの、と命名されたというわけです。
引用: www.patek.com
2本目の針。そう言ってしまえばそれだけですが、機構が増える、ということはもちろんそれだけ余分にエネルギーが必要となるわけですが、それが時計の「精度」を下げる要因にならないようにする、という点が今回の機能追加において最重要かつ最難関のポイントだったとか。そのあたりについては、会場にて技術者が模型を用いて(複雑すぎるゆえか、公開初日からその模型も”不調”とのことでしたが)説明しているコーナーがあるので是非とも立ち寄られたい。
引用: www.patek.com
緻密なムーブメント設計図。しばしこの前に佇むもよし。
パテック・フィリップ カドラプル コンプリケーション 東京2023 リミテッドエディション5308P-010
— 時計買取のピアゾ (@piazojp) June 14, 2023
など、詳しくはブログで!https://t.co/4DkSQTZjtg pic.twitter.com/nCxiQerSzn
モデル | カドラプル・コンプリケーション 東京2023 リミテッド・エディション
Quadruple Complication Limited Edition Tokyo 2023 |
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型番(Ref.) | 5308P-010 |
ケース径 | 42mm |
ケース素材 | プラチナ |
ムーブメント | 自動巻ムーブメント。Cal. R CHR 27 PS QI |
防水性 | 非防水(湿気・埃にのみ対処) |
機能 | ミニット・リピーター。スプリット秒針クロノグラフ。瞬時日送り式窓表示 永久カレンダー。クラシックな2ゴング・ニットリピーター。60分計、12時間計。曜日、日付、月、閏年、昼夜を窓表示。ムーンフェイズ。スモールセコンド。 |
その他特徴 | 18金ゴールドの文字盤プレート。オープンワークを施したラグ。 |
限定 | 15本限定 |
パテック フィリップ ミニット・リピーター・ワールドタイム 東京2023 リミテッド・エディション 5531R-014は文字盤中央にグラン・フー クロワゾネで仕上げられた東京の中心部の鳥瞰図が美しい、待望の1本です。
左上に描かれている緑の部分は皇居、東京駅を挟み、日本橋のビジネス街や銀座を超え、墨田川の向こうの月島・勝どきあたりまで、でしょうか。
プレスリリース写真とこんなにも”印象が違わない”時計も珍しい、と思わせる、実機の美しさと迫力。皆さん、この1本だけでも拝みに行く価値ありますよ!他にも素晴らしいタイムピース盛沢山ですが!ケースサイドにはホブネイルパターンが手彫りで施されています。美しい。
シースルーバック仕様の裏側、写真では見えませんが、”TOKYO”の文字が刻まれています。
自動巻きCal.R 27 HUを搭載し、ミニッツリピーター機能を備えたワールドタイムモデル。特許取得済みのストライキング機構により、文字盤の12時位置に表示されたタイムゾーンのローカルタイムをチャイムで知らせます。本作は既存ムーブメントで、その意味では特筆すべきところはありません。
40mmのローズゴールド製ケース、シンガポールでの2019年グランドエキシビションのために作られた「5531R-010」と遠目には同じように見えますが、あえて言うならば水路の青色も皇居付近のグリーンも日本のほうが濃い色調のように見えます。製作本数はこれまたたったの15本!!目新しさはないとは言えども、パテック・フィリップの技術力と芸術性の粋の詰まった1本、これ欲しくない日本の時計愛好家さん、います・・・?
モデル | ミニット・リピーター・ワールドタイム 東京2023 リミテッド・エディション
World Time Minute Repeater Limited Edition Tokyo 2023 |
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型番(Ref.) | 5531R-014 |
ケース径 | 40.2 mm |
ケース素材 | 18Kローズゴールド |
ムーブメント | 自動巻ムーブメント。Cal. R 27 HU |
防水性 | 非防水(湿気・埃にのみ対処) |
機能 | ミニット・リピーター。ワールドタイム(24時間タイムゾーン)。 |
限定 | 15本限定 |
パテック フィリップ ワールドタイム 東京2023 リミテッド・エディション 5330G-010は今回のエキシビションのテーマカラーとなっている”プラム・カラー”をダイヤルに採用した、深い紫色が美しい300本限定モデルです。
写真をご覧になってもお分かりのように、光の加減では黒にも見える深いトーンの紫色です。40mmの全面ポリッシュ仕上げのホワイトゴールド製ケース、カーブした2段ラグ、センターのギョシェ装飾、アリゲーターストラップ。一見すると「いつものワールドタイムね」と思いそうなところですが、Refは従来のワールドタイムの「5230」ではなく「5330」。ケース径も38.5 mmではなく40mm、文字盤をよく見てください。
実機写真では光が反射して分かりづらいので、プレス用写真にて。
引用: www.patek.com
そう、今までにはなかった先端が赤く塗られた”透明な針”があることにお気づきになるでしょう。12時位置に選択されたローカルタイムの日付表示を備えた世界初のワールドタイムモデルなのです。
ちなみにこのセンター指針、サファイアクリスタルでは硬度が高すぎて形成が難しいため、”ガラス製”だそう。この日付表示のために超薄型の自動巻き240HUをベースに開発されたCal.240HU Cは、総部品数306個のうち、約70個の部品がこのデイト機構のための構成となっています。
昼夜を色分けした24時間表示リングには、通常の太陽マークの代わりに日の丸のような赤い丸があることも、日本限定モデルならではの演出ですね。好き嫌いは別として・・・!
モデル | ワールドタイム 東京2023 リミテッド・エディション
World Time |
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型番(Ref.) | 5330G-010 |
ケース径 | 40mm |
ケース素材 | ホワイトゴールド |
ムーブメント | 自動巻ムーブメント。Cal. 240 HU C |
防水性 | 30m |
機能 | ワールドタイム(24時間タイムゾーン)。日付表示(日付を指針表示)。 |
限定 | 300本限定 |
パテック フィリップ ムーンフェイズ 東京2023 リミテッド・エディション 7121/200G-010は2022年新作「7121/200G-001」のバリエーションで、本展示会のため200本限定で製作されたジュエリーウォッチです。33mmのホワイトゴールド製ケースは同じですが、ブルーではなくパーリーグレーが採用されダイヤルはソレイユ仕上げが施され、控えめでエレガントな輝きをしたためています。
ベゼルには「ダンテール(レース・スタイル)」と呼ばれるジェム・セッティング技術によって、132個のブリリアントカット・ダイヤモンドが2列に交互にセッティングされています。
パテック フィリップ最小のコンプリケーション・ムーブメントである手巻のキャリバー215 PS LUを搭載し、その鼓動の様子は”PATEK PHILLIPE -TOKYO”の転写の入ってサファイアクリスタルバックを通して鑑賞することが可能です。
モデル | ムーンフェイズ 東京2023 リミテッド・エディション
Moon Phase Limited Edition Tokyo 2023 |
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型番(Ref.) | 7121/200G-010 |
ケース径 | 33 mm |
ケース素材 | ホワイトゴールド |
ムーブメント | 手巻ムーブメント。 キャリバー 215 PS LU。 |
防水性 | 30m |
機能 | ムーンフェイズ。 スモールセコンド。 |
その他特徴 | 132個のダイヤモンド付ベゼル(約1.09カラット)、《ダンテール》セッティング。 |
限定 | 200本限定 |
パテック フィリップ カラトラバ 東京2023 リミテッド・エディション 6127G-010 7127G-010はこの展示会のために2022年に先行製作された日本限定のペアウォッチです。6127G-010 (36mm、ラック・ライトブルー)と7127G-010(31mm、ライラック・トーン)は各400本限定製作ですが、そのうち300本ずつはペアウォッチとして、残り100本ずつが個別販売されるとのこと。
さてさて、こちらは何気に物議を醸しそうなモデルだな、と思ったのですが、皆さんの印象はいかがですか?
ライラックとベイビーブルーの文字盤に、同色のアリゲーターレザーのストラップがマッチしています。海外では「日本は超保守的であると同時に、非常にクリエイティブでスタイリッシュである」と認知されているそうで、この「パテックらしからぬ」軽快さはそういったものが反映されているのでしょうか。
パテックの公式な説明によれば”日本の洗練された精神へのオマージュ”として、全く新しい”カラトラバ・ケース”をデザインした、とのこと。Ref.5270に着想を得て、蝶の羽のようなベベルカットされた2 段のラグが特徴です。スリムなバー型インデックスと針(パテック公式は”シュブー型指針”と呼称)も、より現代的な印象を高めていますね。
どちらもスモールセコンドを備えた手動式キャリバー 215 PS 手巻きムーブメントを搭載しています。
シンプルでバウハウス的な文字盤。誤解を恐れずに言えば、原宿を闊歩する10代のカップルが腕に着けていたとしてもしっくりくるような”カワイイ”ポップさ。しかしながら当然お値段は可愛くありません。2022年後半に販売開始されており、早くも並行市場に出てきていますので気になる方はお値段チェックしてみてくださいね・・・。
モデル | カラトラバ 東京2023 リミテッド・エディション
Calatrava Limited Edition Tokyo 2023 |
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型番(Ref.) | 6127G-010 7127G-010 |
ケース径 | 6127G-010 :36mm 7127G-010:31mm |
ケース素材 | ホワイトゴールド |
文字盤 | 6127G-010 :ラック・ライトブルー 7127G-010:ライラック・トーン |
ムーブメント | 手巻ムーブメント。 キャリバー 215 PS。 |
機能 | 時、分、スモールセコンド。 |
限定 | 400本限定(300本をペアウォッチとして販売) |
ジュネーブで脈々と受け継がれる伝統技術を継承するべく、クロワゾネ本七宝、フランケ七宝、パイヨネ七宝、木象嵌、ギョシェ装飾などを組み合わせた目も眩まんばかりの芸術作品を毎年発表しているパテック・フィリップの「希少なハンドクラフト(RARE HANDCRAFT)」シリーズ。この展示会を機会に、パテック・フィリップは40点(ドーム・テーブルクロック8点、懐中時計9点、腕時計18点、テーブルクロック5点)を発表しました。
どれも甲乙つけがたい素晴らしい作品ですが、その中から数点、ご紹介いたします。
筆者は日本の着物ほど独創的でカラフルな芸術モチーフはないのではないかと常々思っているので、この作品を見た瞬間「あっ」と声を上げそうなほど歓喜いたしました次第です。
写真左、1920年代の着物から着想を得て「波模様の着物」と題された「5077/100G-048」は、日本の伝統柄で青海波を思わせるパターン。無限に広がる穏やかな波に未来永劫と、平和な暮らしへの願いを込めている、といわれる縁起もよい文様です。極細のゴールドワイヤーを手作業で細かくカット・成形してから文字盤に配置しています。
中央と右は「花柄の着物」と題された5077/100R-056 & 5077/100R-057。ゴールドの文字盤プレートにギョシェ装飾のモチーフが半透明なフランケ七宝を通して輝きます。何度も釉薬を塗り、焼成する過程を経てようやく出来上がるこれらの貴重な腕時計は各10本限定です。
雪に包まれた東京と橋をモチーフとした版画を元にクロワゾネ本七宝装飾で創作された10本限定のゴールデン・エリプス。
お隣には木象嵌を用いた役者絵をモチーフとしたモデル「歌舞伎役者 5738/50G-024」も。
「鶴」という予想が当たりましたね(というか動画で示唆されていたので当然ですが)。
左の5077/100G-056は竹と塔をバックに静止した姿を、右の5077/100G-057は山頂と桜の枝をバックに飛翔する姿を、白リモージュによるグリザイユ七宝によって表現しています。
一見するとこの草木っぽい柄は日本とどういう縁が・・・?と思ったわけですが、モチーフは「鍔(つば)」、つまり日本刀の柄(つか)と刀身との境にある平たい鉄板の部分のことですね。「鍔迫り合い」なんて使いますけども。いやそんなところに目をつけるなんてどんなリサーチしていらっしゃるんでしょうか。これは予想無理ですw
ホワイトゴールドやイエローゴールドの手彫金によって浮彫りになる精密な図柄。5177は38mm、5089は38.6mmで各5本限定です。
文字盤からサイドパネルにまで溢れるように、東京の中心部をクロワゾネ本七宝で描き出したテーブルクロック。
ベゼルの四方にある菱形のアプリックは、クォーター(15分)と方位を指し示すものです。このほか「東京の地図(25016M)」「大阪の地図(25017M)」「博多の地図(25018M)」「名古屋の地図(25019M)」も制作されています。
いずれもユニークピースです!
新作を中心にご紹介して参りましたが、このパテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)で見られるのはこれだけではありません!普段なかなかお目にかかることもできない現行モデル実機からW&Wで発表された新作、果ては希少なミュージアムピースまで、500点以上の時計が展示される様は壮観です。ごくごく一部ですが、気になったものをピックアップします!
まずはみんな大好き?ノーチラス。
パテック・フィリップ2023年新作 カラトラバ 6007Gもお披露目。
パテック・フィリップ2023年新作 グランド・コンプリケーション 5178G-012。う、美しすぎる。
ミニット・リピーター、トゥールビヨン、レトログラード日付表示針付永久カレンダー、ムーンフェイズ表示という、愛好家から最も追い求められる5つのコンプリケーションを組み合わせた手巻キャリバーR TO 27 PS QR搭載の「パテック・フィリップ2023年新作 5316/50P - グランド・コンプリケーション」。ブラック・グラデーションのメタリックブルー・サファイヤクリスタル文字盤が!スケスケですよ!(語彙力)
創業175周年記念モデル の「グランドマスター・チャイム 5175」。もう神々しいとしか・・・。
そしてジュネーブにあるパテック・フィリップミュージアムのオールド・コレクションより「時計、オルゴール、オートマタ付き 嗅ぎタバコ入れ”蝶”」。1820年頃製作されたもの。PPミュージアムには「時計付嗅ぎタバコ入れ」の膨大なコレクションが展示されているのですが、館内撮影禁止のためご紹介できずにいたところ、東京では写真撮れるんだーーー!と喜んだ筆者。オートマタ、面白いですよね。
懐中時計もね、丸いものだけじゃないんですね、ハートや花の形だったり。ジョン-アブラアン・リシニョール作とされる七宝細密画、オルゴールにオートマタ。もりもりですね。
エキシビションにあたり、日本人コレクターが貸与した日本がテーマのタイムピースも展示されていました。「クロワゾネ七宝文字盤を備えたカラトラバ”芸者”」
このほかにも多数の驚きに満ちた時計たちがあなたを待っています・・・!!
2023年6月現在、パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)開催中。具体的な概要は以下の通りです。
日時 | 2023年6月10日(土)~6月25日(日) 10:00~20:00(最終入場は19時まで)※25日(日)は10:00~17:00(最終入場は16時まで) |
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開催場所 | 東京・新宿住友ビル三角広場 |
入場料 | 無料 |
公式サイト | https://www.patek.com/watchart2023 |
パテック・フィリップの時計の製造工程をつぶさに観察したり、ムーブメントを間近で見たり。
グランドマスターチャイムの様々な機構について紹介するシアターはスターツアーズ的没入感もあって楽しいですよ!
会場の外ではこのイベント限定のグッズや図録(オリジナルカタログ)なども販売されています。グッズの一例をご紹介しておきましょう。
パテック・フィリップの所蔵する貴重なミュージアムピースから新作まで、幅広い時計に触れることができる滅多にないこの機会。皆様ぜひチェックしてみてくださいね!