更新日:2024年05月21日
人気のカルティエ(Cartier)の腕時計、長く愛用するにはオーバーホールなどの定期的なメンテナンスが欠かせません。「オーバーホール」とは、腕時計の部品を完全に分解し、清掃や点検を行うことです。腕時計の内部(ムーブメント)では細かなパーツが複雑に組み合わされており、それらを定期的に分解清掃することで、時計の機能を正常に保つことができます。今回の記事ではカルティエのオーバーホールについて、料金や正規修理の内容、依頼方法などを解説します。また、正規サービスと一般的な時計修理店の比較も行いました。さらに、ご自宅でできる腕時計のお手入れや、使用上・保管上の注意点についてもまとめています。ぜひ参考にしてください。
ムーブメント内部には部品同士の摩擦を防ぐ潤滑油が施されていますが、これは時間とともに劣化していきます。潤滑油の劣化は部品の摩耗および腕時計の故障につながるため、予防のためには定期的なオーバーホールが必要です。カルティエの公式サイトでは、5年に一度のムーブメントの点検が推奨されています。スパンが長いため、忘れないように注意しましょう。
ちなみに、カルティエのクォーツ式時計における電池交換の推奨期間は、2~3年に一度です。自社製ムーブメントの中には寿命が6年という高性能なキャリバーも存在します。
時計にトラブルが起きた場合は、上記のような推奨期間に関わらず早めに対応しましょう。オーバーホールや修理が必要となるトラブルとして、以下のような例が挙げられます。
→原因として、ムーブメントの油切れや汚れ、部品の摩耗・破損などが考えられるため、オーバーホール(分解清掃・点検)が有効です。
→上記のほか、磁気を帯びている可能性もあるため、修理業者に相談するとよいでしょう。
→部品が破損している可能性があるため、部品交換を視野に入れて修理を依頼しましょう。
→湿気の多いところや水中で使用した場合は、リスクが高くなります。原因の一つとして防水パッキンの劣化が考えられるため、こちらも定期的な点検を行いましょう。
→機械式時計の内部ではローターやゼンマイが作動しているため、微かな音であれば問題はありません。しかし、ローターのゆるみやパーツの摩耗・破損などによって時計内部で衝突が起こり、カタカタと異音がすることがあります。
時計のトラブルは、時計の心臓部とも言えるムーブメントの異常によって生じるものがほとんどです。そのため、オーバーホールを行うことで、時計の故障を未然に防いだり、劣化を食い止めたりすることが可能になります。トラブルが生じたときはもちろん、何も異常がないときでも、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
カルティエウォッチの国際保証は、基本的に2年間(24か月間)です(※カルティエケア登録で最大8年。詳細はのちほど)。この期間内に、ウォッチに製造上の欠陥が見つかった場合は、カルティエが無料で修理および部品交換をしてくれます。その際、カルティエブティックまたはカルティエ正規特約店で購入時に発効された国際保証書が必要となりますので、忘れずに持参しましょう。
保証期間を過ぎた場合は、いかなるサービスも購入者負担となります。また、製造時ではなく使用時に生じた不具合については、期間内であっても保証の対象外です。したがって、不適切な取り扱いや不注意による損傷は有償修理となります。そのほか、ケースに刻印されている製造番号が正常に読み取れない場合も保証適用外となりますので、注意が必要です。
国際保証の期間内に、お手持ちの時計を「カルティエケア」に登録すると、保証期間を延長することが可能です。元々の2年保証に加え、最大6年間の追加保証を受けられるため、保証期間は最大8年間となります。また、延長保証は購入者ではなく時計本体に適用されるものですので、その時計が他者に譲渡された場合も、保証は継続されます。
カルティエケアに登録したい場合は、公式ページにアクセスし、時計のシリアルナンバーを入力してください。公式ページは保証書のQRコードを読み取るか、こちらのリンク「カルティエケアプログラム登録画面」をクリックすることでアクセス可能です。
シリアルナンバーは個体ごとに割り振られており、購入時に配布された国際保証書に記載してあります。ウォッチの裏蓋にも2箇所に分けて刻まれており、4桁の数字と、「5~6桁の数字+2文字のアルファベット」を組み合わせたものがシリアルナンバーです。
シリアルナンバーを登録したら、保証の延長を申請しましょう。その際、カルティエからのお知らせの受信に同意することが必要です。これに同意しない場合、延長保証が受けられなくなります。
カルティエの正規修理・アフターサービスには、様々なメンテナンスを含む「コンプリートサービス」や防水機能整備、クォーツ時計の電池交換などがあります。コンプリートサービスは、オーバーホール(部品の完全分解)に加え、ポリッシングや防水機能整備、損傷した部品の交換などを行うものです。
「ポリッシング(研磨)」をすると小キズが綺麗になくなり輝きを取り戻すため、どうせなら、とメンテナンスのたびにピカピカにしたくなってしまいますよね。
「ポリッシング」はケースやブレスレットの輝きを保つ上で大切な工程ですが、実は一つの時計に対するポリッシング回数には限りがあります。研磨しすぎると、「ケース痩せ」と言って、もとのラインを損ねてしまったり、防水性の低下につながる場合があるからです。
カルティエの公式サイトが発表しているポリッシング推奨限度回数は、ホワイトゴールドウォッチで2回、イエローゴールドウォッチで3回です。ご自身の時計がポリッシング可能か分からない場合は、専門の時計技術士に判断を仰ぎましょう。
カルティエのコンプリートサービスでは、ムーブメントの完全分解(オーバーホール)を含めたあらゆる調整を行います。時計が正常に動くように修理するのはもちろん、外観検査や防水機能検査などのメンテナンスもサービスの一環です。ただし部品を交換する場合は、別途料金が請求されます。
修理を行う前に専門家が時計をくまなく検査し、故障箇所などを診断します。次に空気抵抗や水力抵抗を調整し、磁気を取り除いた後、ケース・ムーブメントを完全分解します。このとき、針や破損部品などの付け替えも行います。内部の点検が終わったら、ケースやブレスレットをポリッシングして艶を出し、洗浄して外観を整えます。最後に、防水性能を保つガスケットを交換し、48時間の機能テストなどをクリアしたら、作業完了です。
カルティエのコンプリートサービスの料金は、以下を参考にしてください。交換する部品や修理内容によって料金が変わりますので、必ずシミュレーション・見積もりを行いましょう。
※スマホでご覧になる場合は横にスクロール可能です。
ムーブメント種別 | コレクション種別 | オーバーホール料金(税込) |
---|---|---|
クオーツ | マスト&ソロ | 43,120円 |
コレクション・2針モデル | 53,680円 | |
クロノグラフ | 71,500円 | |
メカニカル | コレクション | 71,500円 |
クロノグラフ スモール コンプリケーション |
91,300円 | |
ミディアム・ハイ コンプリケーション | お見積もり | |
グランドコンプリケーション | お見積もり |
※掲載の価格は2024年5月調査時点のものです。
カルティエではクォーツ時計の電池交換も行っています。工程としては、まず専門家による診断および空気抵抗や水力抵抗を調整します。次に時計の裏蓋を取り外し、特殊な機械を用いて電池を点検した後、電池交換を行います。防水モデルには裏蓋やリューズにパッキンがついているため、ここでこちらも交換しておきます。裏蓋を取り付けたら、防水モデルは防水機能整備を、その他のモデルは機能点検のみを行って、作業終了です。必要に応じてクラスプ・バックルの調整や、ブレスレットの超音波洗浄も行います。サービス料金は6,600円~(※2024年5月調査時点)です。
カルティエの正規修理を依頼するには、全国のブティックへ持ち込む方法と、オンラインで完結させる方法があります。オンラインではカスタマーサービス送付用の修理キットを利用してやり取りを行うため、外に出ずに修理を依頼することが可能です。
ブティックや正規販売店は、店舗検索機能で検索できます(https://stores.cartier.com/ja/search?category=storeLocatorSearch)。お住まいの地域の市町村や郵便番号を入力し、お近くの店舗をご利用ください。
ブティック・店舗に持ち込む場合も、オンラインで修理の進捗をチェックすることは可能です。時計を預けた後、まずはWeb上でカルティエアカウントにサインインし、見積もりの承認を行ってください。その後、経過を確認することができるようになります。詳しくは、訪問したブティック・店舗のスタッフに相談してみましょう。
オンラインの場合、公式サイトから修理キットを取り寄せ、修理したい時計を直接工房に送ります。配送料は基本的に無料ですが、見積もり後に修理をキャンセルする場合は時計の返送料がかかるため、注意が必要です。修理料金は、修理済みの時計が返送された際に代引きで支払います。支払い方法は現金かクレジットカードです。
ここではカルティエ公式サイトのシミュレーション機能を利用して、正規修理の料金例を挙げてみます。
モデル:タンク フランセーズ (W51008Q3)クオーツ、コレクション
ムーブメント種別:クォーツ
<<修理内容・料金>>
モデル:サントス ドゥ カルティエ LM (WSSA0030) メカニカル、コレクション
ムーブメント種別:自動巻き
<<修理内容・料金>>
モデル:パシャ ドゥ カルティエ クロノグラフ (WSPA0018) メカニカル、クロノグラフ
ムーブメント種別:自動巻き
<<修理内容・料金>>
モデル:タンク マスト LM (WSTA0052) クォーツ、マスト
ムーブメント種別:クォーツ
<<修理内容・料金>>
モデル:パンテール ドゥ カルティエ SM (W2PN0006) クォーツ、コレクション
ムーブメント種別:クォーツ
<<修理内容・料金>>
モデル:マスト21 クロノスカフ クォーツ、クロノグラフ
ムーブメント種別:クォーツ
<<修理内容・料金>>
モデル:カリブル ドゥ カルティエ ダイバー (W7100057) メカニカル、コレクション
ムーブメント種別:自動巻き
<<修理内容・料金>>
一般的な修理店でのオーバーホール料金は、正規修理と比べて安めに設定されています。また、カルティエはメジャーなメーカーですので、対応可能な業者も多いです。
一般的な時計修理店でのオーバーホール料金は、正規修理に比べて安くなります。以下はメジャーな修理店の料金表です。ぜひ参考にしてください。
種類 | A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | |
---|---|---|---|---|---|---|
クォーツ式 | 3針モデル | 24,000~ | \22,000~ | \32,780~ | 要確認 | \24,200~ |
クロノグラフ | \35,000~ | \26,400~ | \43,780~ | \38,500~ | ||
電池交換のみ | 2,000円~ | - | - | - | - | |
機械式 | 手巻き | - | \24,200~ | - | \33,000~ | \27,500~ |
自動巻き | \28,000~ | \24,200~ | \41,800~ | \25,300~ | \27,500~ | |
クロノグラフ | \38,000~ | \29,700~ | \49,500~ | \37,400~ | \38,500~ | |
外装仕上げ | \11,000~ | - | \11,000~ | \7,700~ | - |
カルティエの時計をオーバーホールに出す場合は、正規修理と時計修理店のどちらがおすすめなのでしょうか。ここでは双方のメリット・デメリットを紹介しますので、よく比較したうえで、自分の条件に合う方を選びましょう。
料金を気にしない場合は、正規修理をおすすめします。正規オーバーホールのメリットは、正規の保証が得られる点と、純正パーツを保持しているという点です。修理のクオリティも信頼できるため、安心感があります。
デメリットは、柔軟性に欠ける点と、納期が比較的長いという点です。例えばアフターダイヤモンドが施された時計(メーカー以外の手によって宝石が後付けされた時計)は、正規のメンテナンスを受けられない可能性があります。また、時計によってはスイスに送付することもあり、その場合は納期がさらに長くなります。
時計修理店のメリットは、何といっても料金の安さです。また、正規よりも柔軟な対応が可能なため、カスタムモデルを修理したい方などにも適しています。納期は正規よりも短めの傾向です。
デメリットは、業者選びが難しいという点です。2020年、スウォッチ傘下であるETA社が、リシュモン系ブランドへのムーブメント供給をストップしたことによって、時計業界では自社製ムーブメントの開発が進むこととなりました。この「ETA問題」の影響を受けて、各メーカーのムーブメントの機構が複雑になり、業者によってはオーバーホールを行うことが難しくなっています。受け付けてもらえないケースや、メーカー見積もりとなり、かえって高くつくケースもあるでしょう。
また、純正部品の在庫がない場合、結局メーカー修理や代替パーツになってしまう店舗もあります。純正外のパーツを使用していると、売却時に評価が下がる恐れがあるため、業者選びは慎重に行いましょう。
腕時計を長く大事に使うためには、日頃の取り扱いがとても重要です。ここではカルティエの公式情報をもとに、お手入れや保管方法、使用上の注意点についてまとめました。
腕時計は精密機械ですので、使用には注意が必要です。熱や磁気に弱いため、強い熱源や磁石・電気製品などの傍には置かないようにしましょう。急激な温度変化を避けるため、サウナなどの極端な環境も不適切です。また、ムーブメントを振動させると故障に繋がりますので、ゴルフ・テニスなどのスポーツをする際も時計を外してください。
腕時計に傷を付けたくないという方は、ブレスレットと同じ腕に装着するのは避けましょう。同様に、睡眠中は家具などに腕をぶつける可能性がありますので、就寝前に外すようにしてください。
そのほか、防水時計をご利用の場合は、リューズがしっかりと押し込まれていることを確認してから水につけるようにしてください。プッシュボタンなどの操作も厳禁です。また、機械式時計をご利用の場合は、定期的にリューズの巻き上げを行いましょう(目安は12回)。そうすることで、潤滑油をムーブメント全体に行き渡らせ、乾燥を防ぐことができます。巻き上げ中に張りを感じたら、そこで終了です。さらにコンプリケーションウォッチをご利用の方は、リピーター作動中および永久カレンダー変更中は時刻合わせや日付合わせをしないようにしてください。各ムーブメントの仕様を確認し、然るべき時間帯・範囲内で調整を行いましょう。
腕時計は水や汗、皮脂などに触れると劣化してしまうため、日頃のお手入れが大切です。使用した日は、乾いた柔らかい布でやさしくふき取るようにしてください。
防水モデルのパッキンは年とともに劣化するため、定期的に防水機能検査を受けましょう。また、クォーツ時計の電池寿命は2~3年ですので、こちらも定期的な電池交換が必要です。5年に一度のオーバーホールも含め、計画的にアフターサービスを利用しましょう。
ストラップの取り扱いは、素材によって異なります。レザーストラップは比較的デリケートで、耐用期間は約6~12ヶ月です。水などの液体に触れないよう注意しつつ、寿命が来たらアフターサービスで交換しましょう。ラバーストラップの耐用期間は18ヶ月~2年間で、マニキュアに触れないよう注意が必要です。お手入れには石けん水を使用しましょう。メタルブレスレットは、長さを手首に合わせて着用してください。比較的丈夫ですが、定期的にアフターサービスのブレスレット洗浄を受けると、より綺麗な状態を保つことができます。
腕時計は熱や湿気に弱いため、それらに晒される環境を避けて保管しましょう。直射日光が当たる場所や水場、磁気の影響を受けやすい場所は厳禁です。また、高い場所に保管していると落下の危険性があるため注意してください。腕時計を埃から守るため、ケースなどに入れて保管するのも有効です。
オーバーホール料金があまりにも高額になる場合は、思い切って売却し、新たなモデルを購入するという選択肢もあります。時計買取のピアゾでは、壊れた時計でも買取可能です。価格交渉はピアゾのスタッフが行い、できるだけ高額での買取を目指していますので、お気軽にご相談ください。
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