更新日:2025年10月09日
絶好調のカルティエ(Cartier)は「サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ラージモデル」に2つの新バージョンを発表しました。1つ目はオールスティール製ケースにスーパールミノバ加工が施されたスポーティなブラックダイヤル、もう1つはオールチタン製ケースにクラシックなシルバー仕上げオパラインダイアルを組み合わせたモデルです。
© CARTIER © Mathieu Rainaud
意外なことに(?)、現行のサントスLMのオールステンレスモデルにはブラックダイヤルがラインナップされていませんでした。スーパールミノバ加工が施されたブラックダイヤルは、オールADLCのサントス ドゥ カルティエ(WSSA0039)とADLCベゼル(WSSA0037)のモデルに採用されています。
また、チタンもサントスシリーズにとって新しい素材ではありません。2009年発表のサントス100(W2020010)はベゼルとリューズにチタンを使用していました。ただ、オールチタンのサントスはこれまで存在しておらず、ブレスレットとケースにチタニウムをフルで使用したウォッチはこれがカルティエ初となります。
それでは、詳しく見てみましょう。
今回の新作2本はいずれもラージモデル(LM)で、ケース幅は39.8mm、ラグからラグまでの長さは47.5mm、厚さは9.38mmです。
ブラックダイヤルバージョンは、クラシックなサテン仕上げとポリッシュ仕上げのステンレススチールケースを採用しています。
カルティエ サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ラージモデル WSSA0096 スティール製ケース、39.8mm、厚さ:9.38mm、キャリバー 1847 MC 自動巻きメカニカルムーブメント 搭載、1,372,800円(税込)、2025年10月7日(火)発売
トップとサイドがサテンブラッシュ仕上げされたケースは、エッジがポリッシュ仕上げで美しく面取りされています。それによって曲線美が際立ち、ポリッシュ仕上げのベゼルと美しく調和しています。そしてベゼルは、ポリッシュ仕上げのネジが備わったサテンブラッシュ仕上げのブレスレットへと繋がります。七角形のリューズにはブルースピネルがセッティングされています。
ブレスレットにはカルティエの「クィックスイッチ」交換可能システムが搭載されており、簡単にベルトを替えることができます。さらに、スティール製ブレスレットは「スマートリンク」サイズ調整システムにより、サイズ調整も簡単です。
© CARTIER © Mathieu Rainaud
ブラックの文字盤にも2種類の仕上げが施されています。文字盤中央には縦方向のサテンブラッシュ仕上げが、ホワイトのローマ数字インデックス部分には繊細なサンバーストテクスチャが施されています。
6時位置には、ブラックの背景にホワイトの数字が映える日付表示窓があります。時針と分針にもグリーンのスーパールミノバが塗布されており、暗い場所でも優れた視認性を発揮します。
搭載するのは、時、分、センターセコンド、日付表示を有するカルティエのマニュファクチュールキャリバー 1847 MC 自動巻きメカニカルムーブメント。2015年に初めて発表したこの自動巻きムーブメントは、毎時28,800振動、42時間のパワーリザーブ、23石を備えています。
ちなみにチタン製のサントス ドゥ カルティエも同じムーブメントを搭載しています。
現行のサントスLMのオールステンレスモデルには、シルバー仕上げオパライン、グラデーション グリーン グラデーションブラウン、グラデーション ブルーなどが用意されており、待望のブラックダイヤル追加、というところでしょうか。価格はいずれも1,372,800円です。
スーパールミノバ加工が施されたブラックダイヤルは、オールADLCのサントス ドゥ カルティエ(WSSA0039、1,465,200円)とADLCベゼル(WSSA0037、1,425,600円)のモデルに採用されています。仕様の違いを思えば実に妥当な価格設定です。いずれもブラックのダイヤルとベゼルが呼応してよりクールな印象があるかもしれません。
左)新作 WSSA0096 右)ADLCベゼルモデル WSSA0037
新作のブラックダイヤルモデルも、ベゼルは加工無しのスティールですが、ポリッシュ仕上げにより角度によっては反射して黒く見えたりしますけどね。
グリーンダイヤルのサントス ドゥカルティエ LM WSSA0062
正統派のホワイトダイヤル、あるいは個性的な他のカラーダイヤルよりもブラックダイヤルがよりお好みなのであれば、従来のADLC加工を取り入れたスティールモデルよりも安く購入できるバージョンとしてお勧めです。
こちらはカルティエの規格上「ラージモデル」と呼ばれるもので、39mmという幅は決して現代の時計業界において大きい、という部類ではありません。ただ、スクエアシルエットはラウンド型のそれよりも当然面積は大きく、存在感がありますので、購入にあたっては腕に乗せてみることをお勧めします。
やや大きい、と感じるようであれば、幅35.1 mmの「サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ミディアムモデル(MM)」を検討してみてください。ただし、現状ブラックダイヤルはありませんので、グラデーションブルーのWSSA0063あたりが第一候補となるでしょう。
MMであれば6時位置の日時表示がなくなり、デザインとしてはよりすっきりする、と、あえてMMを選ぶ方もいらっしゃいますよ。
カルティエ サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ラージモデル WSSA0089 チタニウム製ケース、39.8mm、厚さ:9.38mm、キャリバー 1847 MC 自動巻きメカニカルムーブメント 搭載、1,742,400円(税込)、2025年11月1日(土)発売予定
前述の通り、サントス ドゥ カルティエにはこれまでもチタンケースが採用されてきましたが、チタンブレスレットを採用したサントス ドゥ カルティエは今回が初めてです。カルティエによれば、チタンはスティールよりも43%軽量でありながら、1.5倍の硬度を誇ります。プロポーションは前述のステンレススチールバージョンと同じですが、およそ50gほど軽量なので、装着感は全く異なるでしょう。
© CARTIER © Mathieu Rainaud
新しいチタンケースとブレスレットは、エッジにはポリッシュ仕上げのアクセントが見受けられるものの、全面にマイクロビーズブラスト仕上げを施しています。そのマットな質感がチタニウム独特の色味を際立たせ、控えめながら輝きのあるステンレスバージョンとは趣を異にしています。
7角形のリューズにはブルーではなく、ブラックスピネルがセッティングされています。
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こちらもスティールモデル同様、ヌバック仕上げのアリゲーターレザー製のセカンドストラップが付属し、「クイックスイッチ」交換可能システムを搭載しており、工具を使わず容易にストラップを交換することができます。
チタンモデルを選ぶ際に1つだけ心に留めておいて頂きたいのは、
チタンブレスレットのリンクは平頭ネジで固定されており、スティールモデルに搭載されている「スマートリンク」サイズ調整システムが採用されていないことです。
スマートリンクとは、各リンクの裏側にある小さなボタンで、リンクを取り外したり追加したりすることでブレスレットのサイズを簡単に調整できるものですが、この機構はチタンブレスレットとは互換性がないらしく、これはおそらくチタンの物理的特性によるものと思われます。
そのため、チタンブレスレットのサイズ調整は、リンクを固定しているネジを外すという従来の方法で行う必要があります。とはいえさほど頻繁に行う必要のある動作ではありませんので、購入意欲を削ぐほどのものではないでしょう。スティールブレスレットがより便利、と言った程度のことではあります。
正直なところ、オールチタン製のカルティエ サントスの誕生には、驚きを覚えました。
非常に軽量で丈夫、という長所は百も承知ですが、この素材が本当にこのエレガントなブランドにふさわしいのか、という点で疑問を感じたからです。
「王の宝石商、宝石商の王」とも呼ばれるカルティエの時計がそれでいいのか、と。そして果たして需要があるのか、という点にも。
© CARTIER © Mathieu Rainaud
やや濃いグレー味を帯びたビーズブラスト仕上げのチタンはスティールよりも温かみがあり、しかし同時に、より無機質な印象も持ちます。エレガントで魅力的なものというよりは、いかにも”ツール”然としたルックスに思えるのです。
ただ確かに今や巷には、ロレックスの「ヨットマスター 42」、ブルガリの「オクト フィニッシモ」、ショパールの「アルパイン イーグル」など、高級チタニウムウォッチが溢れています。素材の研究や仕上げの技術も向上し、より剛性に優れ、美しいチタンウォッチが続々と生まれているのです。
そして2011年以降、カルティエは「サントス デュモン スケルトンXL」や「ロトンド ドゥ カルティエ ミニッツリピーター フライングトゥールビヨン(CRW1556209、CRWHRO0016)」など、最も卓越した作品のいくつかにチタンを採用してきた実績もあります。実際、チタンの優れた音響特性はミニッツリピーターのケース素材として理想的であり、その軽量性は複雑な時計の装着感を向上させる役割も果たしていました。まさに適材適所、というわけですね。
そもそも「サントス」は航空用時計として構想されたもの。チタン製のカルティエ サントスは、その実力とタフさを誇示するために登場した、と考えれば納得も行きます。
大きめサイズのサントスを検討しているけれど、重量が気になる、スティールのポリッシュ仕上げのベゼルに傷が付くのが心配、といった人にとっては、素晴らしい選択肢となるでしょう。
サントス ドゥ カルティエに誕生したフルチタンモデル。スティールモデルと比較してみましょう。
いずれもシルバー仕上げオパライン ダイアルには、メゾンの特徴であるローマ数字、ブルースティールの剣型針、クラシックなレイルウェイミニッツトラック、そして「VII」に刻まれた「シークレットシグネチャー」があしらわれています。
確かに変更の余地のない完成されたデザインですが、カルティエはスティールバージョンともう少し差別化を図ってもよかったのではないか、という気がしないでもないですね。スピネルの色の違いはあるものの、パッと見では見分けがつかないでしょう。
価格面では、スティールモデルが1,372,800円、チタンモデルが1,742,400円(予価)と約37万円高額に設定されています。
チタン製の時計がスティール製の時計よりも高価になるのは、高級時計業界ではよくあることとはいえ、これだけの価格差を妥当と思うかどうか、読者の皆さまはいかがでしょうか。
参考までに、「サントス ドゥ カルティエ LM」のイエローゴールドとスティールの2トーンモデル(W2SA0009)の定価は2,072,400円で、チタンモデルとの価格差は33万円です。
2024年新作として登場した「サントス ドゥ カルティエ デュアルタイム WSSA0076」の定価は1,623,600円。40.2mmのスティール製ケースにデュアルタイムゾーン表示つき自動巻きムーブメントを搭載しており、通常サントスの定価にプラスαして、とお考えなら、より機能性を重視した選択としてこちらもありではないでしょうか。
サントス ドゥ カルティエ デュアルタイム CRWSSA0076
「サントス ドゥ カルティエ」新作についてご紹介して参りました。毎年のように魅力的なバリエーションが登場するサントス。2024に発表された「サントス ドゥカルティエ XL クロノグラフ WSSA0078」は興味深いモデルでしたし、2025年新作として「サントス ドゥ カルティエ」にスモールモデル(SM)が追加されたことも記憶に新しいところです。
カルティエは今後もラインナップを拡充していくことでしょう。どんな新作が追加されるか楽しみですね。
| モデル | サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ラージモデル
Santos de Cartier watch LM |
|---|---|
| 型番(Ref.) | WSSA0096 |
| ケース素材 | スティール製ケース、七角形のリューズにファセットを施したシンセティック ブルースピネル |
| ケースサイズ | 幅:39.8mm、厚さ:9.38mm |
| ムーブメント | キャリバー 1847 MC 自動巻きメカニカルムーブメント |
| 防水性 | 10気圧(約100m)防水 |
| ストラップ | スティール製ブレスレット/ヌバック アリゲーターレザーのセカンドストラップ |
| ダイヤル | ブラック ダイアル、スーパールミノバ仕上げ針 |
| 発売日 | 2025年10月7日(火)発売 |
| 価格 | 1,372,800 円(税込) |
※掲載内容は2025年10月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
| モデル | サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ラージモデル
Santos de Cartier watch LM |
|---|---|
| 型番(Ref.) | WSSA0089 |
| ケース素材 | チタニウム製ケース |
| ケースサイズ | 39.8mm、厚さ:9.38mm |
| ムーブメント | キャリバー 1847 MC 自動巻きメカニカルムーブメント |
| 防水性 | 10気圧(約100m)防水 |
| ストラップ | チタニウム製ブレスレット/ヌバック アリゲーターレザーのセカンドストラップ |
| 発売日 | 2025年11月1日(土)発売予定 |
| 価格 | 1,742,400 円(税込) |
※掲載内容は2025年10月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
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