更新日:2022年09月07日
「手の届くラグジュアリーウォッチ」で人気を博すタグ・ホイヤー(TAG・Heuer)。最近は、WATCHES AND WONDERS GENEVA 2022(ウォッチ & ワンダー ジュネーブ 2022)で発表した、オレンジのダイヤルが人目を惹く、「アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー ref.WBP201F.BA0632」や、7月に本数限定で発表したグラデーションのパープルダイヤル「タグ・ホイヤー モナコ キャリバー ホイヤー02 パープルダイヤル リミテッドエディション」、など、ユニークなカラーリングのモデルを相次いで発表しています。
2022年7月28日に、今回ご紹介する新作、“燃えるような真っ赤のデザイン”の「カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ レッドダイヤル リミテッドエディション(CBK221G.FC6479)」を世界限定600本でリリース。去年の「タグ・ホイヤー カレラ グリーン スペシャルエディション CBK221F.FC6479」「タグ・ホイヤー モナコ グリーンダイヤル スペシャルエディション CBL2116.FC6497」(※どちらも世界限定500本)は、グリーンで合わせてきたので、意表を突かれるカラーリングですね、両方とも。妖艶なパープルのカレラも見てみたかったところですが、タグ・ホイヤーにとって、シグネチャーカラーの“レッド”は、由緒正しいカラーリングです。
前作の2021年限定ウォッチCBK221F.FC6479を踏まえたプレミア化の可能性、タグ・ホイヤーと赤(レッドカラー)の逸話やエピソード、タグ・ホイヤーの新作傾向など、CBK221G.FC6479の魅力をたっぷりとご紹介致します!
目にも鮮やかなワインレッドが印象的な「タグ・ホイヤー CBK221G.FC6479」を 実機レビュー!
モータースポーツの進化とともに、「Techniques d’Avant Garde(フランス語でアヴァンギャルドな技術という意味。TAGの頭文字)」を改良し続けて、“手の届きやすいスポーツ クロノグラフ”を洗練させていったタグ・ホイヤー。1963年誕生のカレラシリーズは、60年に届く歴史と世界的に根強いファンを持つタグ・ホイヤーの代名詞に近い看板モデルです。
スポーティーなカッコ良さ・値段以上の性能・実績……有名ブランドもしのぎを削る、「スポーツクロノグラフ」のジャンルで、トップクラスの人気&実力、地位を築き上げているタグ・ホイヤーのカレラ。興味のわいた方は、実際に「スポーツクロノグラフ」で検索してみましょう!タグ・ホイヤー&カレラの揺るぎなき強さを実感できますから!!
トッププロレーサーも愛した“端正なフォルムと視認性の高さ”をカレラの美学として継承した新作限定モデルCBK221G.FC6479も、オリジナルのカレラRef.2447のクラシカルなシルエットをそのままに、要所をブラッシュアップ。伝統カラーの“レッド”を新しいエネルギーとしてチョイスしています。「一瞬一瞬の選択で人生の勝利が決まる」の理念を体現し続けてきたタグ・ホイヤー……創業者のひ孫、ジャック・ホイヤー氏が副操縦士として参加したエピソードを知れば、「カレラの視認性へのこだわり」も理解できて面白いですよ!!
YouTubeのレビュー動画や、インターネット上に寄せられたコメントも合わせてご紹介します。
定番モデルのカレラらしく、ファン達のハートを射止めていますね!気になるのは、やはりド派手な“赤”色。そう言えば、NETFLIX映画『グレイマン』のライアン・ゴズリングさんが着ていたスーツもレッドカラーでしたね!?
比較的、海外の口コミが目立つ状況ですが、燃えるような赤ですし、これから人気も沸騰していくでしょう。では、せっかくなのでタグ・ホイヤーと赤(レッドカラー)の歴史と逸話をご紹介致します!
巧みなブランド戦略を得意とするタグ・ホイヤー。前述の『グレイマン』のライアン・ゴズリングなど、時代の要所でアバンギャルドにイメージ戦略を成功させています。一説では、ジャックホイヤー氏は、ジャーナリストを装い、有力レーサーやドライバーとスポンサー契約を獲得したとも伝えられており、当時からモータースポーツとの関係性を重視しています。
2020年の実話カーレース映画『フォードvsフェラーリ』。ダブル主演のマット・デイモンが、「カレラ Ref.7753SN」を着用。タグ・ホイヤーになる前の“ホイヤー”カレラを随所で腕元で光らせています。それにしてもカッコいい!!
1976年のレース事故を実話映画化した『RUSH』でも、ジェームズ・ハント役のクリス・ヘムズワースが、「カレラ」を着用。現存の写真でニキ・ラウダ(※映画ではストーリーの都合上ジェームズ・ハントに変更)が、Ref.1158CHNを着用した写真も残されています。
新作限定モデルCBK221G.FC6479にも共通していますが、カレラの伝統的なモダンでエレガントなデザインは、60~70年代のサーキット全盛期の雰囲気がよく似合いますよね!!
ひときわ目立つCBK221G.FC6479のレッドカラー。カレラシリーズはダイヤル全体を赤一色でまとめることはほぼありませんが、タグ・ホイヤーにとって“レッド”はアイデンティティーに匹敵する重要なカラーリングです。「タグ・ホイヤーと赤(レッドカラー)」の足跡に迫ってみましょう!
企業のイメージを象徴する「ブランドロゴ」。旧ホイヤーロゴは、モノクロのシンプルなカラーリングだったのを「TAG HEUER」に生まれ変わる際に、配色も刷新。TAG社(※サウジアラビアの緑)とHEUER社(※スイスの赤)の国旗をモチーフに、緑と赤の2色デザインになったと伝えられています。
ダイヤルの印象を決定づけるさりげないデザイン言語とカラーアクセント。有名なグランドセイコーの“セイコースタイル”同様、タグホイヤーのカレラも1960年代前半の名機Ref.3147 “Dato 45” に見受けられるデザインをモチーフにしています。
※“Dato 45”は一部のコレクターに大人気のクロノグラフ初のカレンダー機構搭載腕時計です。
Ref.3147のデザインコードは、ホワイトを基調に要所で“赤”をトッピング。肝心かなめのデイト表示は赤文字でした。その後も、1960年代の第一世代カレラは、タキメータースケールに赤いラインをチョイスしたり、「カレラ1969 Ref.1153S」を筆頭に、随所で鮮やかな赤い針を採用。カレラ以外にも、1974年の「ホイヤー シルバーストーンRef.110.313」の真っ赤に目立つ赤い針、左リューズの個性的なフォルムで一世を風靡した「モナコ Ref.1133」にも個性を彩る重要色として、“赤”が用いられました。
悲劇のレジェンドレーサー、アイルトン・セナが愛用したクロノグラフ「プロフェッショナル・S/el(セル)クロノグラフ」も“赤”がデザインアクセントになっていたのをご存じでしょうか!?死後、31年経った2015年から再びブランドアンバサダーに起用されたアイルトン・セナ。
2017年(※セナがモナコグランプリで初優勝した30年目の節目)の「セナ スペシャル エディション Ref.CAR2A1L.BA0688」もブラックダイヤルのアクセントに選んだのは“レッドカラー”。同年発表のフォーミュラ1「アイルトン・セナ・エディション Ref.WAZ1014.FT8027」 も同様です。
近年は、セナのブランディングカラー「イエロー」を基調としたセナモデル(※Ref.CAZ201B.FC6487やRef.CAZ201B.FC6487)が数多くトリビュートされていますが、もしかしたら次回以降は“レッドカラー”がカムバックするかもしれませんよ!?
ジャック・ホイヤー氏の自伝にも記載されている『セブリング・インターナショナル・レースウェイで聞いた“カレラ”というセクシーな響きと、そこに秘められた言葉の意味を気に入った』という言葉。CBK221G.FC6479がセクシーな雰囲気でまとまっているのは、基本となるシグネチャースタイルが、洗練されているからでしょう。タグ・ホイヤーの創業160周年(2020年)にも選ばれた人気モデル、カレラ。1963年発売の「Ref.2447S」が確立したデザインコードは、毎年発表されている限定モデルで重要な意味合いを持っています。
2020年発売の1860本限定、「タグ・ホイヤー カレラ 160周年 シルバー リミテッドエディション Ref.CBK221B.FC6479」と「タグ・ホイヤー カレラ 160周年 モントリオール リミテッドエディション Ref.CBK221C.FC6488」。2021年発売の500本限定、「タグ・ホイヤー カレラ グリーン スペシャルエディション Ref.CBK221F.FC6479」。そして、今作のCBK221G.FC6479……いずれのモデルも、“Ref.2447Sの系譜”であり、基本的なディテールを見事に再現しつつ、現代的にアレンジされています。
自慢の自社製ムーブメント「ホイヤー02」が引き立つよう、オリジナルのケースサイズを36mmから39mmへ変更。ダイヤルをサンレイ仕上げでまとめ、3つのクロノグラフカウンターをスネイル仕上げで構成。魅惑的な光の陰影は、腕元に絶妙なコントラストを演出。サファイアクリスタルのケースバックから見える、コラムホイールとローターにもレッドのアクセントが施されていていいですね!!カレラシリーズが、スポーティーでカッコいいのは、基本のデザインコードがスッキリと洗練されているから、どれもカッコいいのでしょう。
日本限定50本の新作、「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02T トゥールビヨン クロノグラフ ジャパンリミテッドエディションRef.CAR5A8AD.FC6415」のセールスカラーもズバリ“赤”でしょう!!ケースバックのサファイアクリスタルを大胆に、レッドで統一。45mmのチタンケース&カーボン製ベゼルの裏側に、力強いレッドのアクセントカラーをエッセンスとして採用しています。
それにしても、今年のタグ・ホイヤー(※特にカレラ)は、赤色を猛烈プッシュしていますね!?モーターレースでは、レッドゾーンは能力の限界ギリギリに挑戦する危険域ギリギリの回転限界を意味します。レッドを数多くのモデルでイメージカラーに採用するタグ・ホイヤー。もしかしたら、今年はより“限界ギリギリに挑戦”するという強い意志が込められているのかもしれませんね!?
2021年限定ウォッチCBK221F.FC6479(グリーン)と新作CBK221G.FC6479(レッド)。冒頭でも軽く触れましたが、二つ合わさるとタグ・ホイヤーのロゴカラー(グリーン&レッド)と同じになる限定モデル達。デザインやスペックはほぼ同一なので、前作のCBK221F.FC6479の傾向を踏まえつつ、今作のCBK221G.FC6479がどうなっていくか?を予想してみましょう!
まず、中古市場の人気や資産価値で言えば、2447S系の中でもグリーンのCBK221F.FC6479は若干プレミア傾向を見せる傾向があります。グリーン自体が2010年代後半~2020年代に流行を見せた色……というのも影響しているので、若干人を選ぶ傾向のあるレッドはどうなるか未知数です。
ただ、2019年のモナコCAW211W.FC6467(世界限定169本)は、ド派手なレッドカラーも功を奏し、プレミア化しています。一概に言い切れませんが、色調の近い新作CBK221G.FC6479も(鉄板のカレラ&珍しいレッド)の組み合わせで、一定以上のファンを獲得するのは間違いないでしょう!
“アバンギャルドでカッコいい”クロノグラフの代名詞的存在、カレラ。購入者のニーズを刺激する3つのポイントをハズさないから人気なのでしょう。
関連記事「タグホイヤーの人気モデル、カレラのモデル・種類と選び方まとめ」でも詳細を述べましたが、トータルバランスが高いレベル過ぎて選ぶのに難儀するほど、“選択肢が多い”のは、カレラ伝統の大きなセールスポイントです。
今作にも搭載されたキャリバー「ホイヤー02」は、高精度と約80時間のパワーリザーブを誇る自社製クロノグラフムーブメント。「ONE OF 600」と「LIMITED EDITION」の刻印などをケースバックから鑑賞できます。また、ワンタッチ操作で着脱可能なフォールディングクラスプ機能付きで、気分や目的に応じて、ブラックのアリゲーターストラップに変更可。「黒×赤」の組み合わせは、暗闇に血液(炎)を連想させる、インパクトの強すぎる難しい配色ですが、「タグ・ホイヤーのカレラはカッコいいぞ!」というメッセージ性を感じさせる、巧みなコーディネートぶりですよね!
また、クロノグラフで見れば、ちょうどいい大きさの39mmケースサイズは、インデックス&時針・分針にファセット加工。ロジウムプレートとスーパールミノバも施し、確かな視認性を確保しています。
個性的なド派手な“レッドカラー”でも、性能面・機能面・デザイン面のツボを抑えているから、大人が着けても恥ずかしくない“落ち着き”も全体的に演出できているのでしょうね……赤色は心理効果として、他にも「時間経過を早く感じさせる」「目を惹き注目を集める」副次的効果もあります。“アバンギャルド”を追求する、タグ・ホイヤーの中核的カラーリングにピッタリですね!!
モデル | カレラ キャリバーホイヤー02 クロノグラフ レッドダイヤル リミテッドエディション Carrera heuer02 Chronograph Reddial LimitedEdition |
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型番(REF.) | CBK221G.FC6479 |
ケースサイズ | 横39mm |
ムーブメント | 自動巻き キャリバーホイヤー02 |
ムーブメント | 最大巻上時約80時間持続 |
防水 | 10気圧防水 |
その他 | 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記 世界限定600本 |
定価(税込) | 803,000 円(税込) |
※掲載内容は2022年08月調査時点のものです。最新情報は公式サイト等をご確認ください。
次々と魅惑的な新作&カラーリングを発表し続けるタグ・ホイヤー。アクアレーサーの新作=オレンジ、モナコの新作=パープル、カレラの新作=レッド……デザインや機能を純粋にブラッシュアップすることで、“正統派”にまとめつつ、単色のヴィヴィッドカラーで勝負する人気モデルが多く見受けられます。
限定カレラシリーズで見れば……
シルバー⇒グリーン⇒レッド⇒??
と来ているので、業界人気色の水色(スカイブルー、アイスブルー)はあり得るカラーリングでしょう。
青空のように透き通るアイスブルーのカレラやスカイブルーのモナコ……楽しい想像は幾らでも膨らんでしまいますね!
来年、2023年はカレラ生誕60周年の節目。1963年のオリジナルモデルを作る際に、ジャック・ホイヤー氏が『私は文字盤をクリアで、クリーンなデザインにしたかった。そして技術的な革新がその助けになった』と発言したと伝えられているので、その理想を現実に変える“珍しい素材のオールスケルトン”も可能性としてはあり得ます!
かつて、防水性を保つために、ジャック・ホイヤー氏が、「テンションリングに5分の1秒のスケールをプリント」するアイディアで、クリアさの向上に成功したカレラ。いよいよ、60周年の節目も近づいており、奇想天外なカレラが登場するかもしれません。毎年そうですが、“色を予想する楽しみ”があるのがいいですね!!一歩踏み込んで、素材まで予想できたら、立派なタグ・ホイヤーフリークでしょう!!
毎年、斬新な組み合わせでタグ・ホイヤーファンを魅了するカラーダイヤルリミテッドエディションシリーズ。「来年はどんな色を出すのだろう?」「いや、来年は素材に珍しいものを出すのかも!」そんな当て推量の予想をするだけで楽しめますよね。
2022年新作のカレラプラズマ、アクアレーサーオレンジ。7月新作のモナコパープル……「マスタリング タイム(時を制する)」どころか、「マスタリング カラー(色も制する)」な勢いのタグ・ホイヤー。これからもその勢いとインパクトは加速していくでしょう。
カレラ生誕60周年の2023年に、どんな意欲作が飛び出すかが今から待ち遠しいですね。WATCHES AND WONDERS GENEVA 2022(ウォッチ & ワンダー ジュネーブ 2022)で、“アバンギャルドダイヤモンド”のカレラ プラズマref.CBN5A90.FC8315を試金石として発表しているので、もしかしたら「マスタリング マテリアル(素材も制する)」な一年になるかもしれませんよ!!