更新日:2022年06月18日
誰もが憧れる高級ブランド品。バッグ、アクセサリー、時計など、昔から粗悪なニセモノが出回っていることは周知の事実だと思いますが、近年は「スーパーコピー」「N級品」などと呼ばれる、”高級ブランドの偽造品”まで登場しています。「スーパーコピー」「N級品」は、特に素人目には偽物と本物の区別がほぼ不可能なほど精巧にできているのが特徴です。
スイスの高級腕時計ブランドでも、ロレックス、オメガ、IWC、ウブロ、ブライトリングなどは、その人気の高さゆえに、激安のコピー時計(レプリカ、偽造品)が多く出回っており、最近では時計本体だけでなく、「箱」や「保証書(ギャランティーカード)」といった付属品まで精巧にコピーされているケースも見受けられます。
実際、インターネット上には激安コピー時計の販売サイトは数多くありますが、さらに個人間売買が可能なオークションサイトやフリマアプリなどでも偽物時計が溢れかえっています。
つい最近も「高級腕時計ロレックスの偽物など3千点超を販売目的で所持、ブランド品の偽物計約28万個を販売し、約34億円を売り上げた」なんてニュースもありましたね。
もちろん中にはコピーであると分かった上で購入する人も多くいるのも事実ですが、本当に正真正銘本物の時計が欲しい方が正規店以外で並行輸入品や中古の時計を購入する際、真贋の見極めは重要です。
そこで今回のブログでは、詐欺に合わないためにも、偽物と本物の見分け方のコツや、入手したコピー時計実物の例をご紹介します。
年々精巧さが増してきている時計の偽造品。スーパーコピーと呼ばれるレベルのものになってくると、本物かどうか見極めるのは素人には至難の業です。時計を見ずとも、たとえ袋に入った状態でも、持っただけで偽物は分かる、なんていう熟練のバイヤーも中にはいますが(オーラで分かるそうです)、その境地に達するのはなかなか・・・。鑑定する人の経験や知識によってもチェックポイントは違いますが、時計買取のプロが真贋鑑定の際にチェックしているポイントは大きくわけて下記の5つです。
それでは早速1つずつ詳しく解説して参ります。
まず目が行くのは時計のダイヤル(文字盤)ですね。ブランドロゴやインデックス、針の形状など、コピー時計は本物よりもシャープさに欠けていることが多いです。IWCの「ポルトギーゼ クロノグラフ IW500701」で比較してみます。
どちらが本物か分かりますか?
左が本物、右がコピー時計(偽物)です。こちらはいわゆる「スーパーコピー」レベルのものではないですので、並べて見るとその差は一目瞭然。インダイヤルや日付表示窓の配置バランスが全然違いますね。インダイヤルの線も偽物は太く、繊細な仕上げとは言い難いですね。
モデルによってダイヤルデザインは異なりますので、一概にこれ!とは言えませんが、なるべく公式サイトの画像などを探し、見比べてみるとよいでしょう。
高級ブランド時計は、その個体を識別するため、時計の裏蓋やケースサイドなどに「シリアルナンバー」が刻印されているものがほとんどです。安価なコピー時計はこのシリアルナンバーの刻印がなかったり、あってもデタラメな番号だったりします。
最近はリシュモン系の時計ブランドの中で、時計をオンラインで登録することにより保証を延長するシステムが増え、本来の趣旨とはズレますが、そのシリアルの時計が正規品として存在するのかどうか確認することが可能です。カルティエの”Cartier Care”や、パネライの”Pam.Guard”、ジャガー・ルクルトの”Jaeger Lecoultre Care Program”などです。
ちなみにこのコピー時計に刻まれていたシリアルナンバーをIWC公式サイトで時計を登録できる「MyIWC」で入力してみたところ、まったく別のモデルが表示されました。存在するシリアルナンバーではあるものの、まったく偽物だということが分かりますね。
ただし、そのシリアル番号自体が複数コピーされている可能性は否定できませんので、この方法は万能ではなく、あくまで参考程度とご承知おきくださいませ。
ケースやブレスレットの素材はステンレススティールやゴールド、チタンなど様々ですが、本物と偽物では形状や仕上げ、質感や重量感などに違いが見られます。
本物と見比べることができれば別ですが、ステンレススティール製ケースだとパッと見ただけでは本物かどうか、見分けはつきづらいかもしれません。それでもサテン仕上げや鏡面仕上げといった磨きの質感が本物とは全く違っていたり、印象としてはブレスレットの作りが雑で、くったりとダレてしまっているものが多く見受けられます。
ゴールド製、または一部ゴールド製のモデルであれば、ずっしりとした重量感や、輝きの違いで判断できます。ゴールド製の時計をコピーしたものは、ほとんどが金メッキを使用しており、部分的に剥げていたりするとすぐに偽物とわかります。裏蓋がシルバーのステンレスが剝き出し、なんてこともありますね。実際にIWCの時計で見比べてみましょう。
IWCのIW500701は18Kレッドゴールドケース製ですので、コピー時計とは見分けやすいですね。輝きも色味も、重量感も全く違います。
上が本物、下が偽物です。リューズの形状も驚くほど違いますね。時計の裏側も見てみましょう。
左が本物、右が偽物です。このように、ゴールド製の時計のコピー商品は、裏蓋に雑なメッキ感が見て取れるものが多いです。シースルーバックだとムーブメントも丸見えで、プロが見れば機構の違いはもちろん一目瞭然ですが、素人目にもこちらはローターに施された模様の雑さなどからもニセモノオーラを感じ取ることができるのではないでしょうか。
最後にバックルを見比べてみましょう。
左が偽物、右が本物です。IWCのIW500701の尾錠はフォールディングバックルがデフォルトの仕様ですが、偽物はただの尾錠で、しかも刻印もないもの・・・これはかなり雑なパターンです。
今回ご紹介したIWCの偽物時計は買取担当者曰く「100点中3点」という粗悪品。このように、一見して本物・偽物の区別がつくコピー時計もありますが、中にはとても精巧にできている商品も多数氾濫しています。
時計買取のピアゾにも、実は時々「ヤ〇オクで購入した」「メ〇カリで購入したんですが、、、」という商品の買取依頼があり、偽物と思しき商品が届くことがあります。
信頼のおける販売店以外の、ネットオークションやフリマアプリなどで実物を見ないで時計を購入することは偽物をつかまされる可能性が否定できません。非常に高いリスクを伴いますので、皆様注意してくださいね。
アンティークモデルでない限り、最近の高級ブランド腕時計の風防はほとんどサファイアクリスタルガラスが採用されています。コピー時計の場合、これが安価な”プラスチック風防”になっているものが多いです。プラスチックは小傷が入りやすく、ドーム状のものが多く、軽く爪でたたくと”コツコツ”と軽い音がします(新品のキズのないものではこの方法はお勧めしませんが)。サファイアガラスの場合、フラットな形状のものが多く、触ると硬く冷たい、といった特徴が見られます。
ただし、S級以上のスーパーコピー時計になると、サファイアガラスの風防が採用されているケースがあり、それだけで判断しないよう注意が必要です。ブランド・モデルによっては正規品は”両面反射防止加工”をしていたり、形状に特徴があるものがありますので、そのあたりは公式情報と照らし合わせてチェックするとよいでしょう。
まず粗悪品にありがちなのは、「自動巻き・手巻き時計のはずなのにクオーツ」というパターンです。
ここで初心者の方のために、「機械式時計とクオーツの見分け方」をご紹介しておきましょう。
また、「デイト表示による見分け方」もあります。ロレックスの「デイトジャスト機構」に代表されるように、日付表示が「0時に瞬時に切り替わる機能」を備えている時計であれば、クオーツや粗悪な機械式ムーブメントを搭載している偽物はきっかりに日付表示が切り替わらず、判別がつきます。
時計本体のコピー技術の進化と共に、ついには箱や保証書といった付属品に至るまで模造品が登場しています。
IWCの箱や保証書を見てみましょう。こちら、皆さん本物か偽物か分かりますか?
こちらはボックスも保証書も説明書もすべてコピー商品です。
保証書を見てみましょう。こちらはどれが本物でどれが偽物か分かりますか?
こちらは上の2つは本物、一番下が偽物の保証書です。実はこちら、一見してこれが偽物!と断定できる要素が見当たりません。さらに同じブランドでも時期や商品によって、保証書には細かい仕様の違いがあったりするので、真贋を確かめるのは非常に難しい、ということがお分かりいただけますでしょうか。次に説明書を見てみましょう。
こちらは左と真ん中は本物、右が偽物の説明書です。パッと表紙を見ただけでは真贋は区別がつきにくいですね。中身を少し見てみましょう。
上が本物、下が偽物の説明書です。下の偽物は文字が掠れたり滲んだりしていることが分かります。
このように、付属品に関してもコピーがどんどん進んできていますので、保証書や箱、説明書など付属品が揃っているから安心、とは言えない、ということを覚えておいてくださいね。
まず当然のことですが、コピーのブランド品を「製造」したり「販売」する行為は、違法です。
ブランド品のロゴなどは商標登録されていて、商標権者の許可なく商標を使用した場合には商標権侵害に当たり、罰則が科せられています。
それでは「個人的に使用すること」を目的に、コピー商品を「購入」する行為は違法になるのでしょうか?
結論から申し上げますと、現状の法律では、「個人的に使用する目的」でコピー商品を購入する行為自体は犯罪にはなりません。
しかし、関税法では「商標権を侵害する物品」を輸入してはならないと規定されていて、税関では輸入品が知的財産を侵害しているかを判定する「認定手続」を行う場合があります。
海外サイトで購入した商品が税関に知的財産侵害疑義物品と判断されると、「認定手続開始通知書」が届き、侵害しているか否かの認定のため、30日程度引き渡しが保留されるケースがあります。この場合、意見書の提出など措置を取ることは可能ですが、その期間倉庫に預けている費用は輸入する人の負担になり、商品を諦めて放棄するケースも多いです。
また、2021年5月の商標法・意匠法改正により、「輸入の定義」が追加され、施行後はコピー商品を海外から輸入購入することは、たとえ個人的に使用する目的であっても、商標権侵害や意匠権侵害を問うことが可能になります。
そしてブランドコピー商品の購入リスクは法律違反だけではありません。
コピー商品を製造・販売する行為は違法ですから、その業者はモラルのない犯罪者です。
氏名、住所、クレジットカード情報などの個人情報が悪用・流出されるリスクは否定できません。
そもそも購入しても商品が届かない、詐欺被害に遭う可能性もありますが、コピー商品を買おうとしていた、とは警察に届け出にくいですよね。 そういった心理も巧みに利用されているのです。
また、ブランドコピー品は処分にも困ります。ブランドコピー品を中古買取店、リサイクルショップに持ち込んで買い取って貰ったり、ヤ〇オクやメ〇カリのようなオークションサイトやフリマサイトで売る行為、これらは全て違法です。安易にコピー商品を購入するには様々なリスクが伴うということを、肝に銘じておいてください!
とはいえ、「高級ブランドの腕時計をなるべく安く買いたい」、という気持ちはだれにでもあるもの。しかし、なかなか手の届く時計がない。
では安全に安く購入するにはどんな方法があるのでしょうか?次項でご紹介します。
高級ブランド腕時計を「安全かつ安く」購入する方法は大きく分けて以下の2つです。
それぞれについて説明して参りましょう。
「並行輸入」とは、「正規代理店ルートとは別のルートで真正品を輸入すること」です。
海外の有名ブランド品等を、輸入販売契約を結んでいる正規代理店以外の「第三者」が、外国の直営店や正規代理店、免税店や特約店などで合法的に製造・販売された商品を外国で購入し、正規代理店ルート以外のルートで輸入する行為を指しています。
よくある疑問が「並行輸入品って本物?」というものです。上記の説明でお分かりいただけたかと思いますが、答えは「並行輸入品はれっきとした”本物”」です。
ただ「正規品」と「並行輸入品」は、品物自体は全く同じ時計でも、販売店舗や販売価格、購入後のアフターフォローなどに違いがあります。
正規代理店では基本的に「定価」で販売されますが、並行輸入店では販売価格を自由に設定できるため、正規輸入品よりも価格が安く設定されていることが多いです。ただしロレックスや一部の人気ブランド時計では、定価より高い値段がつけられていることもあります。
また、正規店以外で時計を購入すると、ブランド独自で用意されている保証や保証延長、アフターサービスなどが受けられない場合があります。
高級ブランド腕時計を安く購入したいなら、中古腕時計もお勧めです。腕時計は大事に使えば本当に長く使えるものですので、発売されて間もないモデルや、よくメンテナンスされた商品であれば、中古商品であっても、より安く購入し、長く愛用することができるでしょう。
たとえメーカー保証期間が過ぎてしまった腕時計でも、販売店独自で保証期間を設定している店舗もありますので、購入前にはアフターサービスをチェックしておくことも重要です。
並行輸入店や中古腕時計店を利用するメリットは、まずは「価格が安い」ことです。
そして、正規代理店ではどんどんと新作が入荷されるため、生産終了となったいわゆる「型落ち」商品は在庫限りで販売終了となりますが、並行輸入店や中古時計販売店ではそれらも流通しているため、「選択肢が豊富」、という利点もあります。
弊社も並行輸入品や中古腕時計を取り扱う「ブランド時計販売のクエリ」という販売サイトを運営しております。探していたモデルや掘り出し物が見つかるかもしれませんね!
一方、並行輸入店や中古腕時計店を利用するデメリットは、「時計選び」「店選び」の難しさがある点でしょう。
新品の腕時計であれば、なるべく安いお店を選ぶのが王道でしょうが、それでも販売店によって保証内容に差がある点には注意が必要です。
また中古の腕時計の場合、時計本体の傷や、ムーブメントの消耗具合などコンディションに時計ごとに「個体差」があるので、同じ商品であればなるべく安いところで買えばいいや、と単純に考えるわけにはいきません。
信頼できる店舗を探し、慎重に時計を選ぶ必要があるのです。
また、先述の通り、正規代理店で購入していない腕時計は、各ブランド・メーカーが独自で用意しているアフターサービスへの登録対象外となることがほとんどです。ブランドによっては、正規店購入か否かでアフターサービス料金に差をつける、いわゆる「並行差別」を設けていて、オーバーホール料金などのメンテンナンス費用が高額になるケースもあります。
何かしらの商品を安く買うために、ヤ〇オクやメ〇カリのようなオークションサイトやフリマサイトを利用する、という方もいらっしゃるでしょう。ただし、結論から申し上げますと、高級腕時計を購入するためにオークションサイトやフリマアプリを利用する行為は、絶対にお勧めできません。
再三お伝えしている通り、スーパーコピーのような一見して本物と見分けがつかないような偽物時計が市場には多く出回っており、実際に偽物を掴まされる詐欺行為が横行しているのです。保証書などもコピーされている場合がありますので、保証書があるから安心、というものでもありません。
ネットに出ている画像だけで真贋を判断するのは非常に難しいのです。
また、逆に不要になった時計を、ヤ〇オクやメ〇カリなどに「時計を出品する」行為にも注意が必要です!
というのも、落札者・購入者に時計を送ったところ、「偽物だった」などとクレームをつけられ返金対応を迫られた上に、偽物にすり替えられてしまった、という「すり替え詐欺」の被害が続出しているのです。なんとも巧妙な手口で、恐ろしいですね。
どちらの場合も自分自身が「正真正銘の本物の時計を受け取った・送った」、ということ自体を証明するのが難しいことや、手間や時間的・精神的負担を避けるため、訴えずに泣き寝入りになるパターンも多いようです。
そんな悔しい辛い思いをしないためにも、高級ブランド時計は信頼できるお店で購入してくださいね。
高級ブランド時計の真贋の見分け方や、よくある詐欺の手口、高級腕時計を安く買う方法などをご紹介して参りましたが、いかがでしたでしょうか。ぜひ正しい知識を身に着けて、犯罪やブランドの不利益になるような行為に手を貸すことになってしまわないよう、気を付けながらショッピングをお楽しみくださいね!