更新日:2025年06月20日

【2025年新作】画家・山口晃氏とのコラボした限定モデル発売!セイコー クレドール GCBD997

手のひらサイズに、日本の美意識と匠の技を凝縮させるドレスウォッチブランド「クレドール(CREDOR)」。まだまだ世間一般では知名度が低いものの、海外では大手メディアを中心に脚光を浴び始めています。
2025年新作「GCBD997」では、画家・山口晃氏とコラボし「数寄(すき)」の文化をダイヤルに表現。メカニカルウォッチの心臓に該当する「テンプ」の鼓動を起点にした、万物流転の美しさを具現化しています。

セイコー クレドール2025年新作山口晃特別コラボモデルGCBD997

クレドールGCBD997/縦 44.0mm×横 38.0mm×厚さ 8.4 mm、ステンレススチールケース、メカニカル 手巻き キャリバー6899搭載。希望小売価格:3,300,000円(税込)、2025年8月8日発売予定、限定15本

2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」のOPタイトルバック絵、東京2020パラリンピック公式アートポスターの制作で知られる山口晃氏らしい、細密描写の息づかいがたまりませんね。
テンプの動き、美しさを際立たせるために6時から9時位置にくり抜いたスケルトン仕様のダイヤルは、新しいものが生まれる瞬間のエネルギーと広がりを創出しています。
「開かれる」イメージの造形、を再現しているとのことで、剥き出しになったテンプ周囲のパーツは、ダイナミックでもあり突飛なユニークさを醸し出しています。山口晃ワールド特有のワクワク感が全開ですね!

2019年にセイコーから独立し、俄かに国内外で評価を高めつつあるクレドール。手に入れたオーナーの心を満たす2025年期待の新作GCBD997の“数寄者”ぶりに迫ります。
本記事後半では、腕時計ビギナーの方が少しでも楽しめるように、クレドールってどんなブランドなのか?簡単にガイドしています。かつて山口氏も参加した「THEドラえもん展」のように、ウキウキした気持ちで読み進めください。

GCBD997のスペック

本作GCBD997は、クレドールの持ち味である“匠の精神と卓越した技術”と、山口晃氏の世界観が見事に融合。日本の名画のように、圧倒的な細密さが秀逸なGCBD997の鑑賞方法をまとめてみました。

≪GCBD997の見どころ≫

  • デザインコンセプトは「数寄メカニカル」
  • 菱(ひし)文様が生み出す立体感が特徴
  • 天体のリズムが息づく裏ぶたのデザイン

事前に一つだけお断りを入れますと、実物を隅々まで眺めないと値段以上の価値は判別できないかと思います。そのため本記事は、GCBD997のガイドブック的な立ち位置で走り読みしてもらえれば幸いです。

風流や風雅に心を寄せ、好きなものに徹する意味を持つ「数寄(すき)」。「好き」の語源であり、平安時代の文雅芸道や恋愛に陶酔する精神を「すき」と呼ぶそうです。一説では、取るに足らないもの(数)を集める(寄せる)、という意味もあり、含蓄のある言葉ですね。

GCBD997では、一滴の雫が波紋のように広がる「生命の律動」を表現。機械式腕時計が正確に時を刻む「一秒の価値」に山口氏らしい感性が存分に発揮されています。

クレドールGCBD997はメカニカルウォッチの心臓部「てんぷ」の動きが美麗

2024年にブランド誕生50周年を迎えたクレドール。本格的に海外高級時計市場へ進出する同ブランドの“新たな船出”を象徴するように、スケルトン仕様を部分的に採用、程よい解放感を演出しています。
せわしなく時間に追われる現代社会……仕事終わりのオフタイム(18時~21時)が開放的なアングルで、倦むことのない“時の価値”を大胆にデザインしています。
機械式時計の醍醐味である“温もりのある生命感”は、奥ゆかしいまでの色っぽさを漂わせていますね。続いて、インデックスの輝きを際立たせる菱(ひし)文様の芸術に注視しましょう。

GCBD997のインデックスは、60本に及ぶ(※合計11種)新開発の菱文様を採用。盤面の菱文様が重なり合うことで、だまし絵のような不思議な奥行きを生み出しています。褒め言葉ですが、目が落ち着かないですね。目移りするとは、まさにこのことでしょう。

GCBD997は日本画の技法を用い、ダイヤルに立体的な奥行きを生み出す

時計のインデックスは本来、正確な時刻を把握する役割を果たしているのですが、デザインの一部としてダイヤル全体を組み立て直すことで、三次元の美しさや迫力を極限まで追求。ムーブメントとダイヤルの間に差し込んだ透明なガラスは、様々な技法を施すことで、二次元でも三次元でもない“光と影の幻想的な空間”へ誘うことでしょう。

・・・筆者のチープな文章で、GCBD997の良さを汚してないかどうか、些か気がかかりなところですが、もう一言だけ。何といっても、あえてスペースを設けたであろう1時位置と6時位置付近のインデックスは、写真からも飛び出すかのような錯覚を抱きます。いつかは実機で隅々までその視覚効果を堪能してみたいものです。青い針の時分針が14時や20時頃に到達する頃、どのような空間の芸術が生み出されるのか!?

GCBD997の裏ぶたは山口晃の遊び心が詰まったデザイン

裏ぶたのデザインも凝っています。規則正しい動きが自慢のテンプを「月」に見立て、ススキ野原が広がる情景、曲線が描く天体の楕円軌道などを風情たっぷりに表現。裏ぶたの一部をくり抜き、表面のスケルトン部分にエレガントな輝きを届けます。表裏一体、ではないですが裏ぶたも贅沢にしつらえており、叙情的なムードが素敵ですね。

ロマンティックな裏ぶたに溶け込むように、山口氏の落款印(※「山愚痴屋」)の刻印がさりげなく大胆に刻印されているのもお見事です。山口氏が得意とする作風である“違和感の面白さ”が、デザインの一部として馴染んでいるのが興味深いところです。
好きには身をやつす、のことわざではありませんが、まじまじとGCBD997を見つめると、人生に最上の彩りをもたらしそうです。運の良いGCBD997のオーナー、数寄者15名の方が羨ましいですね。

クレドール キャリバー6899

彫金が施されたキャリバー6899

本作に搭載するのは厚さわずか1.98mmの極薄メカニカルムーブメント 「キャリバー6899」。最高級ドレスウオッチのための薄型ムーブメントとして誕生した68系キャリバーを、スケルトンウォッチ用に進化させたムーブメントです。歯車の動きが全部見えるように、「受」が全て中抜きされています。堅牢性を確保しながら、彫金技法も駆使し、日本らしい優美さと繊細さを兼ね備えたクレドールらしいムーブメントで、クレドールの初代スケルトンモデル「GBBD998」以来、数々の名作に採用されてきました。雫石高級時計工房で、高度な技能を有する時計師が一貫して組立・調整からケーシングまで手掛けています。本作では一部しか見えないこともあってか、彫金はさほど細かく施されていなさそうですね。

6899(スケルトン)初代モデル GBBD998 18KYG

6899(スケルトン)初代モデル GBBD998

薄く美しいだけでなく、実用性を確保している「キャリバー6899」ですが、精度は日差 +25 秒~-15 秒、パワーリザーブは約37時間と、日常使用には十分と言え、セイコーが世に送り出す高級腕時計の割には物足りない、というのが時計愛好家の本音ではないでしょうか。

例えばグランドセイコーの手巻きメカニカル「キャリバー9S64」は平均日差+5~-3秒という高精度と約72時間というロングパワーリザーブを誇ります。
ただしそこは「装の美」を信条とするクレドール、本作はケース厚が 8.4 mmに抑えられており、「キャリバー6899」は審美性と機能性を一体で実現するための選択、ということでしょう。たとえ“薄型”と呼ばれる「9S64」でも、搭載モデルのケースは11mm前後とならざるを得ません。
今後海外も視野に入れつつドレスウォッチを極めていくならば、「精度」の面では、改善の余地があるとも言えるでしょう。ブルガリのオクトフィニッシモやピアジェ アルティプラノなど、この世には高精度を保ちつつ、極薄ケースを実現した機械式時計がすでに存在しています。

折しもグランドセイコーは2025年に「The Evolution of Precision(精度の進化)」をテーマとして世界最高精度を誇る年差±20秒の新しい「スプリングドライブ U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)キャリバー9RB2」をリリースしています。クレドール仕様にアジャストした新ムーブメントもいずれは作れるのでは・・・?無茶振りが過ぎましたでしょうか。今後に期待ですね。

さて、これより先は、ジャパニーズドレスウォッチの雄 クレドールの魅力について、簡単な概略をご説明します。

スイス高級ブランドのように、派手な宣伝や徹底したマーケティング戦略を避け、粛々とニッチ層に響くドレスウォッチを生み出し続けるクレドール。「超限定」「日本国内向けモデル」を基本路線としているため、まだ世間一般には認知度が低いものの、熱烈なファン層が確実に存在しています。

GSは詳しいけどクレドールはあんまり……という方達向けに、少しでも分かりやすく要旨(アブストラクト)を整理してみました。

2017年に独立後、欧米で快進撃を続けるグランドセイコー(GS)。クレドールはその二年後である2019年に、セイコーから独立し現在に至ります。
クレドールは1974年に貴金属を用いた特選腕時計として誕生、独立した2019年は45周年の節目の年としても知られています。フランス語で「黄金の頂き(CRETE Dʼ OR)」を意味し、漢字の「山」と天にのびる三ツ星を融合させたクレストマークをブランドロゴとして1980年に制定。労力を惜しまず手間暇をかけて、“日本ならではの美意識”を調和の取れたプロポーションに仕立てます。

2021年に発売されたグランドセイコー&クレドールの和光限定モデル

2021年発売の和光限定モデル グランドセイコーSBGJ247&クレドール叡智Ⅱ Ref.GZLT999

読者の方にとって一番気になる「グランドセイコーとクレドールの違い」を簡潔明瞭に述べると、「GS=用の美、クレドール=装の美」を哲学に掲げており、グランドセイコーは実用性に秀でた高級ビジネスウォッチ、クレドールは日本の「贅」の美意識を纏ったドレスウォッチづくりを得意としています。

ジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたロコモティブの2024年新作GCCR999

クレドール 50周年記念限定モデル ロコモティブ Ref.GCCR999、発表当初から問い合わせが殺到!!

セイコーの「2025年3月期 決算説明会」の質疑応答では、『GSよりもさらに高価格でニッチなラグジュアリーブランドという位置づけ』でクレドールを海外発信していきたい』、との発言がありました。1970年代にジェラルド・ジェンタ氏がデザインした「ロコモティブ」をレギュラー化し、ブランドの価値を訴求できるモデルを中心にコレクションを組み立て直す方向性も示しています。ロコモティブは、一時期空前のラグスポブームを巻き起こした「ロイヤルオーク」「ノーチラス」風味のあるデザインですし、“和製ラグスポ”が海外にウケるヴィジョンも今後あり得ます。ラグスポ再ブームになった時は、爆発力がありそうです。

クレドールは「女性をターゲットにしたジュエリーウォッチ」もしくは「中高年男性向け」のややもすると少し古臭いブランド、というイメージが強かったのですが、少々旗色が変わってきましたね。「叡智II」は大手海外メディアでも別格扱いで紹介されており、一級の工芸品として愛好家の人気を集め、好評を博しています。

クレドールの今後の展開としては、少数精鋭の工芸品ジャンル&和製ラグスポのレギュラーを中心に、ニッチなラグジュアリーブランドの地盤を固めていきそうな気配です。“超少数限定”という属性が蒐集欲をかき立てそうですし、どれかしらのモデルが争奪戦にまで発展する可能性も考慮してアンテナを張っておくと、今後の新作をより楽しめると思いますよ!

リセールバリューも俄かに気になる動きを見せ始めており、一部モデルは若干の上昇傾向、根強い横ばい状態をキープしています。一例を挙げると、高機能系の「パシフィーク」がある程度の需要を保ち、「ロコモティブ」にインバウンド需要が高まっているなど、ブランド価値自体が向上している印象です。

そもそも、セイコーのヴィンテージモデル自体が高騰傾向で、GSのVFAシリーズや4520-8020天文台クロノメーター、などはプレミア化しています。業界の噂話ではありますが、ジェラエルド・ジェンタデザインの「クレドール 9300系」も海外を中心に問い合わせが増えつつある、とか。9300系はオールステンレスでありながらバリエーションも豊富ですし、ヴィンテージクレドールの象徴的モデル、として今後人気が出てきてもおかしくありません。昨今のヴィンテージ人気を思えばあり得る話ですし、(まだ警戒レベルで構いませんが)資産価値の面でも面白いブランドとして、そろそろ認識を改めた方が良いのかもしれませんね。

クレドールの「Art Piece Collection」現行モデルもザッと見ていきましょう。山口晃氏の名画さながら、圧倒的作り込みの凄さが写真からも伝わってきますね。

2025年6月現在、Art Piece Collectionの現行モデル

「胡蝶の夢」を表現したこの世にたった1本の「GBBY983」、桜模様の彫金を施した「GBBD961」、「エナメル(七宝焼き)」をダイヤルに採用した「GBAQ961」、「梅」をモチーフとしたプラチナモデル「GBBD985」が現行モデルとしてラインナップされています。

ラグスポブームに端を発する高級腕時計ブームの頃は、「腕時計=投資」に注目が集まりましたが、熱狂も冷め始め、「腕時計=趣味」の時代に戻りつつある印象です。一流の工芸品を手掛けるクレドールウォッチは、時代の波に対してどのようにアプローチしていくのでしょうね。

クレドール新作「Art Piece Collection 山口晃氏コラボレーション 限定モデル GCBD997」をご紹介いたしました。
アートにも造詣の深い愛好家が多く存在する海外に打って出るには抜群のデザインだと思うのですが、今回は日本限定での発売のようで、海外からは嘆きの声も。反応を見てプラチナバージョンで海外発売、なんて戦略も考えられるかもしれませんね。

空前絶後の世界的な腕時計ブームも落ち着き、苦境に喘ぐ高級腕時計業界。巨大市場である中国の大幅な冷え込み、トランプ大統領の大幅な関税引き上げ、などラグジュアリービジネス全般が苦戦を強いられています。

2024年版モルガン・スタンレー発表データでは、ロレックスやカルティエ、オーデマ・ピゲやパテック・フィリップは順調に売り上げを伸ばしている一方、オメガやヴァシュロン・コンスタンタンなどはシェアを落としており、「二極化」の傾向が顕著になりつつあります。

各国でコツコツとシェアを獲得し、堅調な動きが目立つセイコー。有名ブランドも頭を抱える「欧米と中国市場」「ラグジュアリービジネス分野」に、クレドールがどこまで割って入るのか要注目です。

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