更新日:2022年09月09日
グランドセイコー(Grand Seiko)より、北米限定のジャパン シーズンズ コレクションの特別モデルが発売されました。秋の終わり、初霜が降りる時期である「霜降(そうこう)」にちなんだ、グランドセイコー2022年新作をご紹介します。
日本では、四季をそれぞれ6つの区分に分けた二十四節気(にじゅうしせっき)が設けられており、季節の移ろいを愛でる文化があります。2019年、グランドセイコーはそんな日本の二十四節気を表現した、US限定モデル ジャパン シーズンズ コレクションを発表しました。
最初のUS限定モデル ジャパン シーズンズ コレクションであるSBGA413(春分)、SBGH271(立夏)、SBGH273(秋分)、SBGA415(大雪)は、小杉修弘氏によってデザインされ、普遍的な美しさを実現したヘリテージコレクションの62GSケースが採用されています。
アメリカで先行発売されたこれら4つのモデルは、後に世界市場に向けて販売されることになります。以前に弊社ブログ記事でもご紹介しましたが、2021年にはこのUS限定モデルと同じ時計が、SBGA443、SBGH271、SBGH273、SBGA445と型番を少し変えて日本国内で発売されました。
それから2年後、グランドセイコーは新たなジャパン シーズンズ コレクションを発表します。2021年に発表された4つのモデルであるSBGJ251(春分)、SBGJ249(小暑)、SBGE271(寒露)、SBGE269(冬至)は先のモデルと同じく、日本の繊細な季節の移ろいがダイヤル上で大胆に表現されました。
2021年に発表された4つのモデルはUS限定モデルではありませんでしたが、じつはその前年、2つの時計がUS限定モデルのジャパン シーズンズ コレクションとして発表されています。
この2020年に発表されたSBGA427とSBGA429は、1998年発表のグランドセイコースタイルを現代的に解釈したケースデザインを採用し、キャリバーにはスプリングドライブ9R65を搭載した39mm径のモデルです。初霜が降りる頃を指す「霜降(そうこう)」にちなんだ2つのモデルは、美しい日本の古都である京都・嵐山へのリスペクトと、初霜に覆われた歴史ある嵐山の竹林にインスピレーションを受けて誕生しました。
SBGA427とSBGA429は、竹の茎をイメージした縦パターンのダイヤルが特徴となっており、秒針とパワーリザーブには、竹林を表現するグリーンがアクセントカラーとして用いられています。そして今回、このSBGA427とSBGA429に続くUS限定モデルのジャパン シーズンズ コレクションとして発表されたのが、2022年新作のSBGA471とSBGH295です。
グランドセイコーから、2022年新作として発表されたSBGA471(霜降)。秋の終わりの初霜を連想させる、美しいアイスブルーのダイヤルが上品な印象のUS限定販売スペシャルエディションについて詳しくご紹介します。
グランドセイコーのジャパン シーズンズ コレクションのダイヤルは、二十四節気を表現するために、これまで日本を想起させる自然の色や質感をテーマにデザインされてきました。今回の新作であるSBGA471のダイヤルも例に漏れず、嵐山の竹の茎を模したダイヤルパターンとなっています。これは2020年発表のSBGA427とSBGA429と同じダイヤルパターンで、2022年新作のSBGA471が、それら2つの時計の後続モデルであることは明らかです。
前作に引き続き「霜降」の名を冠するSBGA471ですが、ダイヤルカラーが前モデルとは大きく異なっています。2020年の「霜降」が光と影を表す落ち着いたグレー系だったのに対し、2022年新作は明るいアイスブルーのダイヤルが特徴です。まるで薄氷が張ったかのような色合いをしているSBGA471のダイヤルは、京都・嵐山にある竹林の凍った竹稈(ちくかん)をイメージして生み出されました。ダイヤルの3時位置には日付表示機能が備わっているほか、8時位置には主ゼンマイの巻き上げ残量を表示する、パワーリザーブインジケーター機構が搭載されています。
1967年にグランドセイコーが発表した「44GS」は、グランドセイコーを象徴するデザインとして知られています。そのケースデザインをモチーフにしたSBGA471のステンレススティール製ケースは、直径40mm、厚さ12.5mmとつけやすさが魅力です。
ケースには、グランドセイコーが誇る「ザラツ研磨」による鏡面仕上げが施されており、高級時計にふさわしい貫禄を漂わせています。ちなみに、ザラツ研磨とはスイスのザラツ兄弟社製研磨機を使用した熟練職人による研磨作業のことを指し、SBGA471のように角張ったケースを作るのに向いた手法です。
SBGA471はムーブメントに、セイコー独自の開発機構であるスプリングドライブを搭載。長野県塩尻に拠点を構えるグランドセイコーの時計工房「信州 時の匠工房」で、手作業によって組み立てられたキャリバー9R65は、機械式時計と同じぜんまいを動力源にしつつ、クォーツ時計に匹敵する精度を誇ります。
一般的に機械式時計は、クォーツ時計に比べると精度がそれほど高くありません。しかし、スプリングドライブはクオーツ式のIC(集積回路)と水晶振動子で正確に精度を制御するため、月差±15秒(日差±1秒相当)の精度を実現しました。さらに、スプリングドライブはスムーズな運針が特徴で、機械時計やクォーツ時計よりも秒針がすべるように滑らかな動きをします。
グランドセイコー2022年新作のUS限定モデル ジャパン シーズンズ コレクションのもうひとつは、SBGH295(霜降)です。同じアイスブルーでも、シャープな印象を与えるSBGA471に比べると、こちらのモデルは温かみのある質感のダイヤルとなっています。
初霜が降りる時期の日本海上空に広がる、澄み切った青空をイメージして作られたSBGH295。3時位置には日付表示機能が搭載されているほか、ブルーのセンターセコンドがアクセントとなっています。アイスブルーのダイヤルには、「雲母摺(きらずり)」と呼ばれる浮世絵版画の技法が用いられており、海外では「Kirazuri Dial」として親しまれています。鉱物の一種である雲母(うんも)や貝殻の粉を用いて背景を塗る雲母摺は、滲み出るかのような温かみを持った上質な光沢が特徴です。
雲母摺が使用されたダイヤルと聞くと、グランドセイコーが2018年に発表した北米限定コレクション「ヘリテージ コレクション U.S.リミテッドエディション」を思い浮かべる方もいるかもしれません。アメリカ市場向けモデルの第一弾となったそれら3つの時計の中でも、SBGA387は淡いブルーの雲母摺ダイヤルで、SBGH295のダイヤルと非常に似通っています。しかし、2022年新作のSBGH295のダイヤルは、2018年モデルとは別のメーカーが生産しているため、同じKirazuri Dialでありながらも同一のダイヤルではありません。1967年に発売された「62GS」は、グランドセイコー初の自動巻きモデルとして誕生しました。グランドセイコーにとって歴史的なタイムピースである「62GS」のケースをモチーフにしたSBGH295は、直径40mm、厚さ12.9mmでSBGA471よりも若干厚みがあります。
ステンレススティール製ケースは、ベゼルの幅を絞った広いダイアル開口部が特徴的です。高度な職人技を必要とする「ザラツ研磨」による鏡面仕上げで、シャープな造形が維持されています。美しく輝くSBGH295のダイヤルを守るのは、傷に強く高い耐久性を持つサファイアクリスタルで、100m防水仕様です。また、SBGA471とSBGH295の両モデルとも、プッシュボタン式の3つ折りクラスプを備えた、クロコダイルレザーのストラップが付属しています。
SBGH295に搭載されているのは、メカニカルハイビート36000・キャリバー9S85です。岩手県にある雫石時計工房にて手作業で組み立てられたこのムーブメントは、毎秒10振動という高い振動数で動作し、55時間のパワーリザーブを実現しています。
機械式時計の心臓部には、天輪と呼ばれる車輪のような形をしたパーツや天真と呼ばれる車輪の中心の軸などがあり、これらの部品の集合体を「テンプ」と呼びます。天真にはヒゲ(ヒゲゼンマイ)が固定されていて、この部分がテンプをコントロールして往復運動を繰り返すことに。時間を刻む速さはテンプによって決定されますが、時計の精度もテンプの性能にかかっています。
テンプの命ともいえるヒゲゼンマイは製造が難しく、自社製のヒゲゼンマイを使用している時計メーカーは世界でも数えるほどしか存在しません。そのうちのひとつであるグランドセイコーでは、優れた技術力を駆使して高い耐衝撃性と耐磁性を備えた新素材「スプロン610」のヒゲゼンマイを開発し、静止状態で日差-3/+5秒の高精度化に成功しました。
グランドセイコー2022年新作のUS限定モデルであるSBGA471とSBGH295は、アメリカ各地にあるグランドセイコーブティックのほか、グランドセイコーを取り扱っている正規代理店で購入可能です。
2022年2月時点の情報ですが、グランドセイコーブティックは北米に4店舗あり、ニューヨークに2店舗、フロリダ州マイアミに1店舗、カリフォルニア州ロサンゼルスのビバリーヒルズに1店舗あります。ニューヨークでは、マンハッタン区ダウンタウンのショッピングエリアであるソーホーと、世界の一流ブランドが集まる高級ショッピング街であるマディソン・アベニューに店舗を構えています。
気になる価格ですが、パワーリザーブインジケーター機構が搭載されたSBGA471が6000ドル(約68万円)、 雲母摺のダイヤルのSBGH295が 6900ドル(約78万円)となっており、両モデルとも北米にて現在発売中です。また日本でも発売されないか、期待したいところですね!
グランドセイコーUS限定モデルのSBGA471とSBGH295の評価は、かなり良いようです。グランドセイコーの時計を取り扱っている店舗のInstagramには、好意的なコメントや口コミが多く見受けられました。
グランドセイコーから2022年新作として発表されたSBGA471とSBGH295は、晩秋に当たる「霜降」にちなんだスペシャルモデルです。日本の自然観や伝統文化を伝える華麗なダイヤルは、アメリカのグランドセイコーファンならずとも魅了されるに違いありません。日本国内の発売をいまから心待ちにしたいですね!
モデル | ヘリテージコレクション「霜降」 USA限定エディション
Heritage Collection Sōkō Edition USA Exclusive |
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型番(Ref.) | SBGA471 |
ケースサイズ | 横 40mm × 厚さ 12.5mm |
ケース素材 | ステンレススティール製ケース |
ムーブメント | 自動巻きスプリングドライブ Cal. 9R65 |
精度 | 平均月差±15秒(日差±1秒相当) |
駆動期間 | 最大巻上時約72時間(約3日間)持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
その他仕様 |
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取扱店舗 | US限定 |
発売日 | 2022年 |
価格 | USD 6,000ドル |
モデル | ヘリテージコレクション「霜降」USA限定エディション
Heritage Collection Sōkō Edition USA Exclusive |
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型番(Ref.) | SBGH295 |
ケースサイズ | 横 40mm × 厚さ 12.9mm |
ケース素材 | ステンレススティール製ケース |
ムーブメント | 自動巻きメカニカルハイビートCal. 9S85 |
精度 | 平均日差-3/+5秒 |
駆動期間 | 最大巻上時約55時間持続 |
防水性 | 日常生活用強化防水(10気圧) |
その他仕様 |
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取扱店舗 | US限定 |
発売日 | 2022年 |
価格 | USD 6,900ドル |