更新日:2020年04月20日
「LVMHよ、お前もか」
なんて呟いたかどうかは分かりませんが、ついに表題の通り、2020年 4月17日付のプレスリリースでLVMHグループのウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニス、ブルガリがバーゼルワールドからの離脱を発表しました。
2021年のバーゼルワールドへの参加を見合わせる理由についてLVMHは、4月14日に「ロレックス(ROLEX)」「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」「シャネル(CHANEL)」「ショパール(CHOPARD)」「チューダー(TUDOR)」の5ブランドが同見本市からの離脱を発表したことを挙げた上で、
「スイス時計産業の存在価値が明らかな低下し、必然的に参加が減少するという状況において、 LVMHウォッチブランドのイメージ、そしてクライアント、メディアとの良好な関係を保持するため」と説明しています。
実は今年1月、すでにLVMHグループの中核をなすブルガリ、ウブロ、ゼニス3社は、ドバイのブルガリホテルにて「LVMHドバイウォッチウィーク」を開催して新作ウォッチを発表しており、その時点で彼らの中で「バーゼルワールド出展の必然性」はすでに失われつつあったのではないかと推測されます。
もうこんな光景を目にすることは二度とないのか・・・。
バーゼルワールドは、世界最大の時計・宝飾品の新作見本市として、毎年3月にスイス・バーゼルで開催され、世界中の名だたるラグジュアリーメゾンが一堂に会し、新作発表を行ってきました。
特にロレックス・パテックフィリップ・スウォッチグループ(オメガやブレゲなど)・LVMHグループ(ウブロやタグホイヤー、ゼニス、ブルガリなど)・ショパールはバーゼルワールドの「BIG5」と称され、メイン会場となる「ホール1」に出展していました。
今回の発表で、この「BIG5」と称されるブランド全てがバーゼルワールドを去ることになってしまったわけです。正直フロアはすっからかんです!
バーゼルワールドに出展しているのは時計ブランドだけではなく、宝飾系ブランドも多数ありますが、これだけの腕時計のメインブランドが離脱してしまっては、存続は難しいのではないでしょうか。
追い打ちをかけるようにして、 時計・宝飾品、マイクロテクノロジー、医療技術などの見本市を主催しているEPHJ-EPMT-SMTという団体が、小中規模の出展者については バーゼルワールドが2021年1月に開催された場合、イタリアのVicenzaoroや、 アリゾナのTuscon Gem and Jewelery Show、マイアミのMiami Beach Antique Showなどのジュエリーに特化したイベントに出展するだろう、と述べています。ジュネーブで開催予定のGem GenèveもWatches&Wondersに開催時期を合わせる可能性もあり、こちらへ流れる可能性は大きいと思われます。
実際、バーゼルワールドではジュエリー系や小規模な時計ブランドの多くは、ホールの2階以上か離れたにブースが追いやられ、人出もホール1と比較すれば雲泥の差がありました。莫大な費用をかけてバーゼルワールドに出展するよりも、中規模でその分野に特化したイベントに出展する方が、効率もよくメリットが多いと判断するのではないでしょうか。
LVMHは今後の新作発表について、
「様々な形式のイベントの可能性を模索しており、タグ ・ ホイヤー、ウブロ、ゼニスからなる LVMH ウォッチ メイキング ディヴィジョン、そしてブルガリは、今後数週間のうちにそれぞれの目的に応じた方針を決定する予定です。」と述べています。
一方、先日離脱を表明したロレックス、パテックフィリップ、チューダー、ショパール、シャネルは 2021年4月にジュネーブ・パレクスポで開催されるリシュモングループ主体の”Watches&Wonders Geneva”と同期に新作発表の展示イベントを予定している、と発表しています。
恐らくLVMHグループもこれらのイベントに同期する形で連携して開催されるのは、理にかなったことであり、当然の選択でしょう。同時期開催してくれれば、世界中のバイヤーやメディアは何度もスイスまで往復することなく、すべてのイベントを網羅することができ、それはお互いにとって最良の選択となるはずだからです。
ちなみにこの発表の前、LVMHはブルガリを中心として独自に「ジュネーヴ・ウォッチ・デイズ(Geneva Watch Days 2020)」という展示会を8月に開催する旨を発表していましたが、こちらは2021年4月ジュネーブ開催のイベントに吸収される可能性もありますね。今後の動向に注目が集まります。