更新日:2022年09月28日
ここでは時計のオーバーホールについて徹底解説しています。オーバーホールとは何か?という初心者さんの疑問から、ブランド別の費用一覧、注意点などさまざまな内容を盛りだくさん! また、オーバーホールが限りなく不要なモデルや実際の体験談などの情報も併せてお伝えします。
〔修理・改良などのために〕~を徹底的に点検する、整備する・分解修理するという意味の他動詞であったり、
〔修理・改良などのための〕分解修理、総点検、全面的な見直し、徹底的調査という意味の名詞として用いられる単語です。
また、Wikipediaでは以下のように説明しています。
通常の点検作業では出来ない清掃作業や劣化部品の交換、調整を主目的とする。一般的には、使用される部品に対して時間や距離などの耐用限度を想定し、その想定に基づいた間隔で行われる点検である。引用:Wikipedia
オーバーホールという言葉自体にこのような意味があり、時計に限らず車やバイクなどの機器、会社の予算点検、アスリートの定期健診などにも用いられています。
さまざまな分野で用いられる言葉“オーバーホール(OH)”ですが、それぞれ認識が微妙に異なります。
一般的に時計のオーバーホールは車やバイクと似ていて、定期点検でありつつ、
必要部品の交換などが行われる可能性がとても高いという認識を持っておくといいでしょう。
つまり、単純な点検ではなく、「部品の交換もあるから値段もそれだけ高くなる」ということです。
車の車検でも紛失している車内パーツの追加やオイル差しなどがおこなわれて、実際の点検費用よりも高くなりますよね?
時計のオーバーホールも同様のシステムです。
サイトや個人ブログなどではオーバーホール=分解清掃という解釈のところもありますが、
オーバーホール=分解清掃ではなく、点検や修理の要素が含まれるという認識なんですね。
実際、動作には問題がない部品でも、メーカーでのオーバーホールでは経年劣化がみられる部品などは交換となる場合が多いです。
そのため価格は基本的にオーバーホール+部品交換代と思っておくといいかもしれませんね。
オーバーホールに出す頻度は、メーカーやムーブメントによっても異なりますが、一般的には5年に一度が推奨されています。
中には3~4年に一度など、もう少しスパンが短いところも多々あります。
時計は日々身に着けていることで忘れてしまいがちですが、一つの歯車が時計全体にも大きな影響を与えかねない、繊細な精密機器です。
オーバーホールは大きなトラブルによる完全な不動などを防ぎ、より長く使うための“予防”対策になります。
すでに時計に不具合があるのに放置していて、完全にムーブメントが壊れてしまうと修理費は一気に高額となります。
売却しようとしても、壊れた時計や傷ものはなかなか買取が難しく・・・
無償レベルの低価格な取引や、買取自体を拒否している業者も多々あります。
今後使い続けるにしても、いずれ買取査定に出すことをお考えでも、どちらにせよオーバーホールが重要というわけですね。
壊れた時計の買取については以下の関連記事をご参照ください。
オーバーホールをしない起こりことによっておこりうるトラブルには、以下のような点があげられます。
いくら高級ブランドの腕時計であっても、またいくら大切に取り扱っていても、生活振動や経年劣化を防ぐことはできません。 「取り扱いに気を付けているから」といってオーバーホールが不要というわけではないのですね。
実は近年、オーバーホールが推奨される間隔が延長しています。
実際、サイトなどを見ていると何年か前にアップされた記事には「オーバーホールは2~3年に1回」と記されているものも多々あります。
でも、最近では潤滑剤(オイル)やパッキンの素材、ムーブメント自体の制度などが格段に向上していることから、
オーバーホール自体の間隔ものびてきているのです。
また、ブランドやモデルによって、推奨しているオーバーホール期間が「10年に一度」というものや「50年に一度」というつわものまで!!
50年に一度、、、頑張って40代で購入してもオーバーホールに出すのは90歳。生きてるかどうか…
オーバーホールが限りなく不要なモデルのランキングはこちらの項目に書いてますので、ご興味ある方はチェックしてみてくださいね。
では実際にオーバーホールはどのように進められていくのか、詳しい作業内容をチェックしていきましょう。
簡単に項目に分けてご紹介しましたが、実際はかなり細かな工程に分けられており、またとても繊細な作業です。
機械式ムーブメントなら100個以上のパーツがあるといわれている腕時計。
微風や吐息だけでも散ってしまうような細かなパーツをひとつ一つ洗浄・点検していく職人作業ですね。
また、外装も基本的に大きな傷がなければ、新品のようなルックスと仕上げてもらえます。
逆にラバーベルトは使い込んだ状態を保ちたいなどという細かなこだわりなどがある場合は、それに沿った対応をしてくれますよ。
上記では一般的なオーバーホールの作業工程をお伝えしましたが、実際はメーカーや修理店などによって異なることもあります。
洗浄一つをとっても、高額な洗浄機器を導入しているところ、超音波洗浄しているところ、薬剤でクレンジングするところ、すべて手作業で洗浄するところなど。
メーカー依頼であればもちろん時計にあった対応をしてくれますが、それ以外の場合は念のため申し込み前にしっかり確認してみてください。実際に格安の修理店などでオーバーホールをした結果、時計自体が壊れてしまったケースや口コミも見かけることがあります。
ケース痩せという言葉を耳にすることがありますが、これはオーバーホールや修理、
もしくは自分でお手入れをする際に、研磨やポリッシュ仕上げをしすぎることによってケースが痩せてしまう現象のことを言います。
刻印などが見えにくくなり、ケース自体が薄く痩せてしまうのです。
一般的に新品同様の状態を保てるのは、外装仕上げ5回までといわれています。
生活の中で細かな傷がついてしまうことはあるかもしれませんが、磨き上げれば何度でも元通りになるというわけではないのですね。
自分で磨く場合も注意が必要です。
弊社に査定依頼をされる時計の中にも、ケース痩せがみられる場合がありますが、その多くの場合はオーナーさまご自身でケアされているよう。
ムーブメントの故障であれば万が一純正パーツを入手できなくても修理することができますが、ケースが痩せてしまっては元に戻すことはできません。
時計自体の価値を下げてしまうことにもなりかねないのです。
ご自身でケアする場合は柔らかい布で軽く拭き掃除する程度に抑えておくのがベターと言えるでしょう。
また、日常使いで傷が気になるという方は以下のような素材で時計を選ぶのもおすすめですよ。
≪セラミック≫
SSなどよりも耐久性に優れている。金属ではない(焼き物の)ため、錆の心配も不要
≪チタン≫
日常生活での細かい傷がつきにくい。ただし、非常に硬い素材のため、大きな衝撃によって割れた欠けてしまう可能性はある。
≪カーボテックファイバー≫
セラミックやチタンよりも頑丈な新素材。(後ほど出てくるこちら項目で詳しくお伝えします。)
さらに、素材だけでなく加工技術でも傷を最小限に減らすことができます。
・DLCコーティング
=Diamond-Like Carbonコーティングとは非晶質の硬質炭素膜で加工する方法のことです。
タイヤモンドと黒鉛の中間に位置する性質を持つ物質で、「まるでダイヤモンドのような特性を持つ」ことからこのように呼ばれています。
・PVDコーティング
=Physical Vapor Depositionコーティングとは窒化チタン、炭窒化チタン、窒化チタンアルミニウムなどの特殊金属をイオン化して蒸着させる加工方法です。
ブラックカラー以外の加工が可能なため、DLCよりも多くの時計に用いられています。
オーバーホールの際のケース痩せや細かな日常傷か気になる方は、素材やコーティングもチェックしてみてくださいね。
ブランド別のオーバーホール費用を一覧にしてみました。 ただしあくまでもメーカーでのオーバーホールの費用であり、パーツの交換などは別途コストがかかります。 また民間企業でのオーバーホールは価格が異なりますので、その点も考慮しつつご覧ください。
ロレックスのオーバーホール費用一覧エクスプローラーI デイトジャスト | 約43,000円~ |
エアキング オイスターパーペチュアル サブマリーナ エクスプローラーⅡ ミルガウス GMTマスターⅡ シードゥエラー ヨットマスター | 約45,000円~ |
デイデイト | 約50,000円~ |
ディープシー | 約55,000円~ |
デイトナ | 約60,000円~ |
ヨットマスターⅡ | 約80,000円~ |
クロノグラフ クォーツ | SS、セラミック、チタンなど | 約57,000円前後~ |
クロノグラフ クォーツ | 18Kゴールド、プラチナなど | 約80,000円前後~ |
クロノグラフ 機械式 | SS、セラミック、チタンなど | 約86,000円前後~ |
クロノグラフ 機械式 | 18Kゴールド、プラチナなど | 約110,000円前後~ |
クロノグラフ以外 クォーツ | SS、セラミック、チタンなど | 約52,000円前後~ |
クロノグラフ以外 クォーツ | 18Kゴールド、プラチナなど | 約65,000円前後~ |
クロノグラフ以外 機械式 | SS、セラミック、チタンなど | 約65,000円前後~ |
クロノグラフ以外 機械式 | 18Kゴールド、プラチナなど | 約75,000円前後~ |
カレラ | クォーツ(3針) | 約41,000円前後 |
カレラ | 機械式(クロノグラフ) | 約60,000円前後 |
モナコ | クォーツ(3針) | 約60,000円 |
モナコ | 機械式(クロノグラフ) | 約76,000円 |
グランドカレラ | 3針 | 約73,000円 |
グランドカレラ | クロノグラフ | 約93,000円前後 |
キャリバー36 | 約95,000円 |
モナコ24 | 約95,000円 |
ホイヤー02T | 約137,000円~ |
クォーツ | 約40,000円前後 |
機械式 | 約58,000円前後 |
クォーツ | 約75,000円前後~ |
クォーツ・クロノグラフ | 約85,000円前後~ |
機械式 | 約80,000円前後~ |
機械式・クロノグラフ | 約100,000円前後~ |
機械式・自社製ムーブメント | 約125,000円前後~ |
機械式・コンプリケーション | 約115,000円前後~ |
その他 | 約50,000円前後~ |
メカニカル | 約50,000円前後~ |
クォーツ | 約35,000円前後~ |
スプリングドライブ | 約60,000円前後~ |
グランドセイコーの修理についてはこちらの記事も併せてご覧ください。
★関連記事★クォーツ | 約80,000円前後~ |
手巻き | 約120,000円前後~ |
自動き | 約134,000円前~ |
永久カレンダ搭載クロノグラフ,レトログラード日付表示針付永久カレンダー | 約307,000円前後~ |
永久カレンダー,クロノグラフ,年次カレンダー搭載クロノグラフ | 約240,000円前後~ |
年次カレンダー,トラベルタイム,ワールドタイム,ムーンフェイズ,パワーリザーブ | 175,000円前後~ |
クオーツ | 450フラン~ 約51,848円~ |
手巻き | 700フラン~ 約80,652円~ |
自動き | 850フラン~ 約97,935円~ |
エクストラ シン(極薄) | 950フラン~ 約109,457円~ |
クロノグラフ | 1'300フラン~ 約149,783円~ |
パーペチュアルカレンダー (クロノ、パーペチュアルカレンダー、イクエージョン・オブ・タイム) | 1'300フラン~ 約149,783円~ |
クロノグラフ | 1'700フラン~ 約207,162円~ |
クオーツ | 550フラン~ 約63,369円~ |
自動巻 | 950フラン~ 約109,457円~ |
エクストラ シン(極薄) | 1'150フラン~ 約132,500円~ |
クロノグラフ | 1'450フラン~ 約167,066円~ |
パーペチュアルカレンダー (クロノ、パーペチュアルカレンダー、イクエージョン・オブ・タイム) | 1'800円~ 約195,870円~ |
ケースとブレスレット | 350フラン~ 約40,326円~ |
コンプリケーション | 200フラン~ 約23,043円~ |
コンプリケーション 薄型ムーブメント | 約90,000円前後~ |
その他機械式など | 約72,000円前後~ |
デイト | 約55,000円~70,000円前後 |
クロノグラフ | 約70,000円~80,000円前後 |
ムーンフェイズ | 約80,000円~90,000円前後 |
手巻き・エイトデイズムーブメント | 約90,000~110,000円前後 |
クロノグラフ | 約70,000円前後 |
手巻き式 | 約80,000円前後 |
自社自動巻き | 約95,000円前後 |
パーペチュアルカレンダー | 約160,000円前後 |
コンプリケーション | 約300,000円前後 |
3針+デイト | 約55,000~70,000円前後 |
クロノグラフ | 約70,000円~80,000円前後 |
スペシャルエディション | 約100,000円前後 |
デイト | 約55,000円/~70,000円前後 |
クロノグラフ | 約70,000円/~80,000円前後 |
通常モデル | 約55,000円~100,000円前後~ |
コンプリケーション | 約160,000円前後~ |
通常 | 約55,000円~ |
コンプリケーション | 約65,000円~ |
クォーツ | 約40,000円~約60,000円前後 |
機械式3針 | 約55,000円~ |
機械式クロノグラフ | 約70,000円~ |
クォーツ | 約45,000円~ |
自動巻き・クロノグラフ | 約100,000円前後~ |
ウニコ(自社開発ムーブメント) | 約130,000円前後~ |
オーバーにかかる費用はブランド、モデル、製造年代などによって異なります。特に高級ブランド時計は海外でオーバーホールをおこなうものもあり、納期は数か月といわれる場合も。。。
また、宅配が混雑しているシーズンなどはオーバーホールの作業以外にも物理的に時間がかかってしまいます。
そのため、あらかじめ納期を確認したうえでオーバーホールに出すのがおすすめですよ。
ブランド別の納期は以下のようになっています。
ブランド | かかる時間 |
---|---|
ロレックス | 約4週間~ |
オメガ | 約6週間~ |
タグホイヤー | 約4週間~ |
ブライトリング | 約4週間~ |
グランドセイコー | 約4週間~ |
パテックフィリップ | 約6週間~ |
オーデマピゲ | 約6週間~ |
ヴァシュロンコンスタンタン | 約4週間~ |
パネライ | 約5週間~ |
IWC | 約4週間~ |
ゼニス | 約6週間~ |
ランゲ&ゾーネ | 要問合せ |
カルティエ | 要問合せ |
ブルガリ | 要問合せ |
ウブロ | 約4週間~ |
基本的に上記は日本で作業が可能な場合となっており、本国対応の時計や取り寄せが必要なパーツがある場合はさらに時間がかかります。 特に世界三大時計やロレックスのヴィンテージなどは時間がかかるといわれているので、注意が必要ですね。
メーカーでは主に以下のようなスパンで、オーバーホールすることを推奨しています。
ロレックスブランドによって頻度が異なるものの、多くの場合5年以内にチェックを受ける必要がありそうですね。
一方、個人ブログなどを見ていると、オーバーホールは壊れてからでOKなどという内容のものも見かけます。
「どちらにせよ分解掃除で劣化した部品などは交換されるのだから、
壊れるまで利用してからオーバーホールに出しても一緒だ」というような意見も多々見かけます。
実際、壊れた部品交換とオーバーホールで“まだ利用できるけど念のため交換しておく”という作業に対する価格は同じです。
ただ、時計はすべての歯車やパーツが組み合わさって動いています。そのため、一部の部品の欠陥はすべての故障につながるのです。
つまり、壊れてから部品交換するということは、未然に防げた一部の部品交換だけでなく、
より多くの部品交換が必要になっている可能性が高く、結果的に修理費は高くなってしまうでしょう。
また、ほとんどの時計には潤滑油が用いられており、この油の酸化は防げません。
時計は利用していなくても定期的な点検が必要というわけですね。
このように、壊れていなくても時計の内部では防ぐことのできない経年劣化が進行しているということを念頭に置きつつ、オーバーホールの時期や頻度を見極めることが大切なのですね。
それぞれのメーカーでは正規のパーツや手順でオーバーホールをおこなうのに対し、民間業者はよりリーズナブルで納期短く作業をおこなってくれます。
検索上位に出てくる民間の修理業者でおこなうオーバーホールの費用を調べてみたところ、大体20,000円~となっていました。
ネットでは~50,000円までの記載が多かったですが、これは分解清掃の価格となっているようなので、部品交換が含まれる場合は別途費用がかかるところはメーカーと同様です。
時にはメーカーよりもニッチな部品などを保有していることもあり、併せてカスタマイズなどを依頼するオーナーもいますよ。
民間業者のオーバーホールは価格に大きく差があり、それに比例してサービスも異なります。
ネットでリサーチしてみたところ、国内人気の高いロレックスやオメガは以下のような価格設定となっていました。
ロレックス | 30,000~90,000円 |
オメガ | 35,000~150,000円 |
ロレックスよりもオメガの方がオーバーホールの価格が高いのは、部品供給の影響もあるかもしれません。
現在オメガは純正の部品供給をストップ・もしくは値上げをしており、民間業者での対応が難しくなっているのです。
そのため、壊れた時計などを買取してパーツを集めたり、これまで確保しておいた在庫で対応している業者以外は基本的に純正パーツでの対応ができません。
リューズやボタンなど外観から見える部分のパーツ交換が費用な場合は特に、メーカーに依頼した方がいいかもしれませんね。
また、国内人気の高いカルティエですが、実は故障しやすいという口コミも多く見かけます。 そのため、民間業者でも修理やオーバーホールに対応しているところが多く、価格帯は以下のようになっていました。
カルティエ | 20,000~35,000円 |
ただし、アンティークやヴィンテージの腕時計など、メーカーでの生産が終了していてオーバーホールに対応していない場合もあります。 そういうときは、信用できる民間業者にオーバーホールを依頼する必要がありますね。 また、メーカーよりも納期に柔軟に対応してくれるところも多いため、お急ぎの方は一度お近くの業者に相談してみるのもおすすめですよ。
オーバーホールは大きく分けると2種類の方法があります。それが、メーカーでのオーバーホールと民間業者でのオーバーホールです。
それぞれの特徴を比較してみたのが下記の表になります。
メーカーオーバーホール | 民間企業・業者でのオーバーホール | |
---|---|---|
価格 | 高い | 安い場合が多い |
時間 | 基本的に時間がかかる場合が多い | スピーディーさを売りにしている業者もあり、メーカーよりは早い場合が多い |
パーツ | 純正 | 代用パーツの場合もある |
メリット | ・オーバーホールで変更されたパーツもすべて純正 ・メーカー作業なので安心 ・メーカー保証が受けられる | ・価格が安い ・納期が短い(時間が早い) ・製造終了モデルやメーカー対応不可のモデルも対応してくれる可能性が高い |
デメリット | ・高い ・時間がかかる ・永久保証でない場合は対応してくれないモデルもある | ・純正パーツがない場合は時計の価値が下がることもある ・メーカー保証でない ・業者によってスキルや基準などがことなるため、よく選ぶ必要がある |
上記ではメーカーでのオーバーホールがおすすめとお伝えしましたが、物理的にメーカーでは対応してくれないモデルもあります。
アンティークやヴィンテージなど、製造終了から数年以上経過しているモデルは“対象外”となっているのです。
もちろんすべてのモデルに対して“永久保証”をしているブ
多くの時計修理専門店はロレックスやオメガ、タグ・ホイヤーといった有名ブランドに対応していますが、それ以外のブランドはケースバイケースだったりします。
お持ちの時計が、その修理店の対応可能なブランドのものかはホームページなどで事前に確認しておくとよいでしょう。
時計修理業者を選ぶ際に注目するべきポイントとしても最重要とも言えるのが、これまでのオーバーホールや修理の実績です。
これまでに対応した修理やオーバーホールの内容が事細かに説明されていたりすると、在籍している時計修理士の技術力を窺い知ることが出来ます。また、年間の対応件数なども一つの目安となるでしょう。
オーバーホール実績はほとんどの業者のホームページに記載されていますので、ホームページでチェックしてみてください。
選び方その③HPに惑わされないHPがキレイだったり内容がわかりやすいと安心してお任せできそうな気がしてしまいますが、そこだけで判断するのはあまりおすすめではありません。
大手の代理営業者などでは、多額の広告費を出してHPを作り上げることが可能だからです。
逆に経験豊富な熟練技術がいる工房ではHPを問合せ先くらいしか記載していないところも多々あります。
実際、銀座で数十年修理やオーバーホールを担っている工房は「知る人ぞ知る」といった感じで、
口コミは多いものの当のHPは電話番号と店舗の場所しか記載されていません笑
もちろんHPがキレイで信頼できる業者もたくさんいますが、あくまでもHPのルックスだけでなく、
上記でお伝えした保証期間や技術者、独自工房などの情報がしっかり書かれているかを重点的にチェックするのがベターです。
業者でのオーバーホールでは価格に大きな差があり、完全に比例するとまでは言えませんが、価格相応の対応が期待できると考えてよいでしょう。
値段が高いということは、それだけ高い技術力を持つ技術者への人件費、お客様対応のためのシステム、
上質なパーツにかかるコストをかけているということですよね。
逆にあまりにも安価なところではこうした品質の高さを見込むことは難しいといえます。
壊れてしまってメーカーに依頼することになれば無駄な出費を生んでしまいますので、価格だけを見た業者選びはおすすめではありません。
どんなに技術力の高い技能士が修理やオーバーホールを行っていても、不具合が発生してする可能性はゼロではありません。 そのため、例えばメーカーの正規オーバーホールでも、オーバーホール終了から通常1年程度の保証が用意されているところがほとんどです。
メーカーでない時計の修理業者を選ぶときも、修理保証が用意されているかどうか、事前に確認しておきましょう。最近では、1年間の無償修理保証を設けている業者が多いようです。
並行輸入は国内の定価に縛られることがなく、為替などをチェックしておけば断然お得にブランド時計をゲットできる方法ですね。
大手並行輸入店では、メーカー並みの手厚いアフターサービスが用意されていることもあり、安心して購入できるショップも多数あります。
また、並行輸入では正規店にないモデルなどを取りそろえている可能性も多く、あえて並行輸入店を選ぶ人もいるようです。
ただし、安く購入できる分、そこには落とし穴も。
ブランドによって、正規店での購入と差別化を図るため、「並行差別」を設けているところがあります。
その大きなデメリットの一つがオーバーホールの価格。
高級ブランドの多くで正規販売店での購入者のみが利用・登録できるメンバーズ会員制などが採り入れられており、
会員の人はメンテナンスを安く済ませることができる仕組みです。
主に以下の代表的なブランドが会員システムを採用しています。
ブライトリング | クラブ・ブライトリング |
タグホイヤー | エドワードクラブ |
IWC | MyIWC |
上記では正規店と並行輸入店でのブランドによる差別化についてお伝えしましたが、そうした並行差別を設けていないブランドもあります。
正規店購入だとギャランティーカードにオーナーの名前を刻むシステムなどはありますが、それがなくてもオーバーホールの価格に違いはありません。
アフターサービスには違いがないということですね。
ただし、定価やサービスを全国で統一している正規店と違い、並行輸入をしているショップは店舗によってサービスが大きく異なります。
点検を怠って、小さな傷などが残る時計やアフターサービスが不十分なところもありますので、購入前には以下のような点もチェックするのがおすすめです。
☑アフターサービスやオーバーホール、修理に対応している、もしくは提携先がある。
☑保証期間が長い。
☑時計に詳しいスタッフが対応してくれる。
☑ネットの口コミも確認。
☑時計激戦区に店を構えている店舗。
オーバーホール前にやってしまいがちな注意点を、SNS上のコメントなどからピックアップしていくつかご紹介したいと思います。 「わかっていたけどやってしまった・・・」「良かれとおもってやったけど…」などなど。。。 意外とあるあるな実体験も多いので時計のお手入れをする前に一回チェックしてみてくださいね。
注意点1、磨くこれは「え?いいんじゃないの?」と感じる人もいると思いますが、磨きすぎるのはNGです。
もちろん汚れなどをふき取るために、眼鏡拭きのような柔らかい布できれいにお手入れするのは大切です。
細かな混みや誇りの侵入を防ぐことにもつながります。
ただ、中には研磨剤で磨き上げる方もいらっしゃるのですが、こちらはよほど時計の扱いに慣れている方以外はおすすめできません。
特にSS(ステンレススチール)の鏡面仕上げのモデルなどは、職人以外が磨くと細かな傷を大量につけてしまうことになりかねません・・・
磨き一つでも、時計のルックスが圧倒的に変わってしまいますのでご注意くださいね。
時計の磁気はテレビやスマートフォン、パソコンなどの身近な電化製品からも移行してきます。
そして、蓄積された磁気は時計の動きを遅らせたり止めてしまう要因に。。。
そのため、定期的に磁気を抜いてあげる必要があるのですね。
でも、「自分で時計の磁気を抜く方法」などを紹介しているサイトも多いですが、これはあまりおすすめではありません。
まず、時計の磁気抜きには専用の“消磁器”や“脱磁器”と呼ばれるものが必要です。
大手通販サイトでも簡単に購入することができ、価格は500円~5,000円以上とピンキリ。
やり方も単純で、ほとんどの場合は磁気のあるものを近づけるとメーターが動き、磁気が抜けると反応しなくなります。
簡単なので自身でやることも可能ですが、磁気自体が目に見えないものなので、本当に対応できているかわからないのが正直なところ・・・
実際にあるコメントでは、定期的に自分で磁気抜きをしていたはずなのに時計が止まってしまい、電池切れかと思ったが磁気が原因だったというものもありました。
そのため、磁気抜きは定期的なオーバーホールの際に併せてお願いするのがおすすめです。
中には時計の裏蓋をあけて自分でオーバーホールする強者のオーナーさんもいます!
実際に分解掃除したレビューややり方の動画なども多くありますが、高級ブランド時計ではあまりおすすめの方法ではありません。
もちろん手先がとても起用で、時計の扱いに慣れている方ならできるかもしれませんが、多くの場合は大惨事に…
また、このような行為をおこなったあと、時計が動かなくなってしまってもメーカー保証はうけられなくなってしまいます。
コストはかかってしまいますが、裏蓋をあける作業はプロにお任せするのがベストですね。
大手の質問サイトやSNSなどに記載されている質問やその語の回答などをご紹介していきます。 オーバーホールのリアルな価格や常識などが垣間見える体験談など、ぜひ参考にしてみてくださいね。
海外製の機械式腕時計のオーバーホールや修理の質問です。 ネットで検索しても様々な口コミがあり、広告に出ている所などは露骨に批判されている方もいらっしゃいます。 いのえーさんというユーチューバーの方の動画はとても誠実そうで提携されている修理工房も安心出来そうなのですがどなたかそこに依頼されたか 信用出来る他の修理工房をご存知であれば教えて頂けますか? 今検討中の時計はオメガ スピードマスター・マークⅡ(70年代)の風防交換とオーバーホールです。引用元
先日、近所の老舗の有名時計店に1週間ほど預けて見てもらいましたが、裏蓋を開けてみたら出来ないですと言われました。 返却の際、タキメーターがズレていて裏蓋もきちんと閉じきれてなく、ケースと裏蓋に名刺1枚位の隙間がありました。 毎年スイスのバーゼルに行っていると言われていた時計店なので何を信じれば良いのか分からなくなりました。 ちなみに日本のオメガ正規の修理工房での見積もりは約10万円、スイスに送るそうですがその際、どの位か分からない追加料金が発生する可能性があるそうです。
やはり、高額でも正規の修理工房に依頼するのが良いのでしょうか? 以前、セイコーの修理工房に70年代の時計の風防交換やオーバーホールや研磨などを何本か依頼しましたが現存しない部品を作っていただいたり、 現存しない文字盤を製作して頂いたりとても親身になって対応して頂きました。パラジウム・メッキもしていただきました。価格はオーバーホールで1本、3~4万円だったと思います。
この質問者さんはその後、メーカーへオーバーホールに出したそうですが、古い時計ということもあってスイスでの作業になるといわれたそうです。 オーバーホールで約10万円、スイスへの送料や作業などで追加料金あり、納期は大体3~6ヵ月で長ければ1年と考えておいてくださいと言われたようですが、 やはりメーカーの対応なら安心して大事な時計を任せられますね。また、最終見積で価格があまりにも高額ならキャンセルもできるそうです。
ちなみにこちらで話題に出てきたYoutuberさんの動画はこちらです。“時計のオーバーホールについて 近場の正規店とちょい遠めのブティックだとどちらに出したほうがいいでしょうか? 正規店だとオバホ代+仲介手数料をとられそうな気がするのですが・・・
回答者の方も実体験を記載されていました↓
2週間ほど前に所有している時計のオーバーホールを地元の百貨店に入っている正規店に依頼しました。 見積もりとオーバーホールは東京の本店で行うとの事でしたので手数料の話をしたところ「必要ないです」と言われました。 1週間ほどで見積もりの連絡があり、オーバーホールの依頼を正式に致しました。 という事で、私の場合はオーバーホールの代金支払いだけです。引用元
お預かりしてますブライトリングでございますが、クロノグラフのセンター秒針の取り付け部分である筒にヒビが入っており 交換が必要な状態でございます。 針に関してはメーカーが外部に供給しておりませんので、弊社でオーバーホール後にメーカーにお出しする必要がございます。
修理開始をして、すぐの連絡ならともかく、3週間も経ってからの報告なので、技術者のミスではないかと勘ぐってしまいます。 -一部抜粋-今後はどの様な対応をしていくのがベストか、アドバイスをお願い致します。
見積りからしばらく放置されていて、順番が回ってきていざ始めようと思ったらその不良を発見したのでしょう。 見積りの際に全てを分解するわけではないので仕方ありません。-一部抜粋-次のオーバーホールはメーカーに出すのが良いと思います。 残念な事ではございますが、◎◎◎◎が悪事を働いたわけではございません。引用元
さて、調子は良いけどオーバーホールに出してくるかな❣️
— おむれつパロリ (@sougo_f_omuretu) December 22, 2020
60歳のナイスな時計です#セイコー #ローレル #時計好き #古い普通の時計が好き pic.twitter.com/tqrHR2Wqmo
オーバーオールを継続的することで、時計は一生ものの相棒になってくれるのですね。
日ロレにオーバーホールに出すともらえます。 pic.twitter.com/jc5pwrk5Tg
— パンダ 時計・車・くいもん (@EEpanda33) December 25, 2020
また正規でオーバーホールに出すとこういう特典がある場合もあるようです。
グランドセイコー コンプリートサービスから帰ってきた時計を見て新品じゃんって思うレベルで帰ってきた。修理内容も細かく記載されてて大変満足。良いものには良いサービスが付いてくるのね。4年に一度はオーバーホール出そうと思います。
— ささき (@DP3G5YA) December 22, 2020
さすが国内最高峰の高級時計です。
ここまで、定期的なオーバーホールが必要とお伝えしましたが、いくつかのモデルの中にはオーバーホールが限りなく不要なものも存在します。そんな最強スーパーウォッチがこちら↓
サイズ | 49㎜ |
カラー | ブラック |
ムーブメント | 手巻き |
キャリバー | 自社P.3001/C |
防水 | 10気圧 |
素材 | カーボテック |
限定 | 世界限定50本 |
参考価格 | 6,800,000円 |
オーバーオールが50年不要というほぼ無敵なパネライ ルミノール PAM00700 1950 カーボテック™ スリーデイズ。
50年って、半世紀ですよね。生きてるうちにオーバーホールに出せないかもしれません(笑)
20代とかでこの時計を購入できれば別ですが、、、すごく頑張って働いて40代で購入したら、オーバーホールに出せるのは90代って。。。
この50年間オーバーホール不要を実現させたムーブメントは自社開発の“P.3001/C”です。
最大の特徴は注油が不要というところ!
人口ルビーを通常の6つ→4つに抑えてDLC(炭素コーティング)を施すことで、油さしが不要になりました。
部品と部品の間に生じる摩擦を最小限に抑えることで部品自体の破損も最小限に。
オーバーホールでは油さしや破損部品の取り換えなどがメインにおこなわれますが、
この2つの作業が不要となることで、オーバーホール50年不要という破格の期間を打ち出すことに成功したんですね。
さらにケースにはカーボンファイバーという素材が採用されているところも、長持ちの秘訣。
セラミックやチタンよりも軽くて丈夫な合成素材で、アレルギー反応も少ないことからさまざまなジャンルでも注目されている素材です。
ちなみに公式サイトで公開されているCM動画はもはやスター〇ォーズのような世界観!
そして新技術が織り込まれている様子がわかるディテールが盛り込まれています。
コーアクシャルムーブメントは一般的なムーブメントに比べて、オーバーホールの回数を約1/2に抑えることが可能です。
コーアクシャルムーブメントの大きな特徴としては、アンクルと呼ばれる部品の形が通常と異なることがあげられます。
アンクルの数が2→3つに増えることで、回転時の摩擦を最小限に抑えることが可能。
それぞれのパーツがなめらかに動くようになり、素材も改良されたことで、油さしや部品交換のスパンを長くすることが可能となったのですね。
実はコーアクシャルムーブメントはオメガだけの特許があるわけではなく、
機構自体は1974年にイギリスの時計師であるジョージ・ダニエルズによって開発されたものです。
そのため、自社開発ムーブメントを製造しているその他高級ブランドでも、同様のムーブメントの製造自体は可能です。
ただし、量産にするための開発コストやデザイン性の問題などから、
現状ではオメガでしか発売されておらず、コーアクシャル=オメガのイメージが強くなっています。
もちろん高級ブランドは定期的なメンテナンスやオーバーホールが必要です。
でも、購入した価格によってはオーバーホールする方が高くつく場合も。。。
10万円以下のモデルや中古で購入した時計の場合は無理にオーバーホールに出さずに、時間調整などのメンテナンスだけで抑えておくのがベターと言えます。
次の項目では先30年の定期的なメンテナンスをおこなった場合の費用を算出してみたので、
そちらのオーバーホール代と購入価格を照らし合わせながら、今後のオーバーホールの予定の参考にしてみてくださいね。
いくつかのモデルをピックアップして、30年間に価格オーバーホールの費用を単純計算してみました。
購入後のランニングコストの面を考慮しながら時計選びをするのもおすすめです。
以下はあくまでも部品交換などを含まず、分解清掃だけの価格です。
この他にパーツの破損や磨き上げなどさまざまなエクストラコストがかかることもご念頭におきつつご覧ください。
モデル | オーバーホール基本料金 | 30年でオーバーホールする回数 | 価格 |
---|---|---|---|
ロレックスデイトナ | 約60,000円~ | 7回(4年に1回で算出) | 約420,000円~ |
オメガスピードマスター(機械式) | 約86,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約516,000円~ |
タグホイヤーカレラ(機械式) | 約60,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約360,000円~ |
ブライトリングクロノマット(機械式) | 約100,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約600,000円~ |
グランドセイコー スプリングドライブ | 約60,000~ | 7回(4年に1回で算出) | 約420,000円~ |
パテックフィリップ 自動巻き | 約134,000円~ | 7回(4年に1回で算出) | 約938,000円~ |
オーデマピゲ 自動巻き | 約95,000円~ | 7回(4年に1回で算出) | 約665,000円~ |
ヴァシュロンコンスタンタン 自動巻き | 約84,000円~ | 7回(4年に1回で算出) | 約588,000円~ |
パネライ コンプリケーション | 約90,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約540,000円~ |
IWC ポートフィノ ムーンフェイズ | 約90,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約540,000円~ |
ゼニス コンプケーション | 約60,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約360,000円~ |
ランゲ&ゾーネ ケース含む | 約116,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約696,000円~ |
カルティエ クォーツ | 約60,000円~ | 6回(5年に1回で算出) | 約360,000円~ |
「売却に出したいのですが、査定前にオーバーホールしておいた方が買取価格は高くなりますか?」
というご質問をいただくことがあります。
これはオーバーホールの時期や対象モデルにもよるのですが、基本的にはそのままお持ち込みいただくのがベターと言えるでしょう。
もちろん、オーバーホールをしてから査定に出す方が、買取価格は多少高くなるかもしれません。
ただし、その分オーバーホールに対するコストがかかってきます。
そのコストを考慮して考えると、買取価格が多少下がったとしても、そのまま査定に出すのがおすすめなのです。
オーバーホールの期間を過ぎた状態が長く、点検されていない時計もオーバーホールに出さずにできるだけ早めに査定依頼しましょう。
買取業者が独自ルートによるオーバーホールや修理方法を保持していますので、お手持ちの時計と付属品などを一緒にそのまま査定依頼することができるのです。
今回は時計のオーバーホールについて、さまざまな観点から情報もりだくさんでお届けいたしました。メーカーと民間業者の違いや、オーバーホールの期間、新しいモデルの登場、実際の体験談など。 ご参考にいただけるものがありまたでしょうか?オーバーホールのメーカー価格などは随時変更があるため、更新していきたいと思います。