更新日:2026年02月06日
今年もやって来ました第7回LVMH ウォッチウィーク。オリンピック開催で盛り上がるイタリア・ミラノの地に、ブルガリ、ウブロ、ゼニス、ルイ・ヴィトン、ティファニーなど9つのLVMHメゾンが一堂に集結!名だたるブランドが2026年新作を発表し、高級腕時計の新たな一年の幕開けを彩りました。
「タグ・ホイヤー(TAG Heuer)」からは看板モデル「カレラ」に特化した4種6モデルが発表されました。
ザッと概要を説明すると、目玉はカレラコレクション初のラトラパンテ(スプリットセコンド)複雑機構搭載モデルCDD2180.FT8120、評判が良いのは1949年誕生のセーリングウォッチを現代的に再解釈したシーファーラーCBS2016.EB0430でしょう。
時代を先取りしたアバンギャルドな時計づくりを身上とするタグ・ホイヤーですが、全6モデルのうち5モデルをクロノグラフに振り切り、いずれもグラスボックスデザインを採用しています。「見た目はクラシック、中身は最先端」のギャップがたまりませんね。「シーファーラー=レトロ、カレラスプリットセコンドクロノグラフ=最新鋭」とデザインの方向性を真っ二つに分けているのも面白い点です。
2023年には39mmサイズでグラスボックスデザインのカレラクロノグラフを発表し、ヴィンテージカレラのエネルギーをブランドに吹き込んでいましたが、LVMH2026カレラも海外の口コミを中心に好スタートに成功しています。ピアゾスタッフの見立てですが、2026年カレラクロノグラフがデイト表示なしに変化&スプリットセコンドクロノグラフのプッシュボタンの新形状がオシャレ、など細かなブラッシュアップに好印象を持ちました!
1963年誕生の初代カレラのヘリテージ(遺産)と、見る者をアッと驚かせるテクノロジー(最先端技術)の共存を模索するタグ・ホイヤー。LVMH2026カレラのベストパフォーマンスを総合的に解析していきましょう。
1860年の創業以来、高精度クロノグラフの限界に挑戦を続けるタグ・ホイヤー。クロノグラフの上位機能ともいえるラトラパンテ(スプリットセコンドクロノグラフ)が、カレラコレクションでは初搭載となりました。2本のクロノグラフ秒針で異なる2つの時間を同時に計測できるラトラパンテは、「四大複雑機構」の一つにも数えられる高難易度の技術なのですが、遂にやってくれましたね!
創業者エドワード・ホイヤーが創り上げた「技術革新」というイズムは、ブランドの基盤でもあるので、ファンならずとも嬉しいトピックスです。
タグ・ホイヤー カレラスプリットセコンドクロノグラフCDD2180.FT8120は、技術面の凄さもさることながら外見の良さでも傑出。コンプリケーションを眺めるのにうってつけなスケルトン仕様を採用、機械式時計ならではの機能美を堪能できます。
カレラはスタイリッシュなカッコ良さがウリですが、タイムピースの心臓部がむき出しになったスケルトンウォッチも実に見事です!60周年の節目である2023年には、赤を基調としたビビッドカラーを推していましたが、本作では控えめな色遣いになり、クールさが増したような印象です。ウォッチアンドワンダーズ2024で発表されたモナコ・スプリットセコンド・クロノグラフCBW2181.FC8322に近い黒×赤のカラーコードで、カレラにもよく似合っていますね。
特にプッシュボタンの形状はピアゾスタッフ内でのイチ推しポイントです。空気の流れを切り裂く流麗なフォルムは、高級スポーツカーのようにエレガントな美しさを体現。ヴィンテージカレラのレトロな良さは残しつつ、要所で最先端技術を盛り込んでいるのは流石、と褒め称えたい手腕ぶりです。
LVMH2026カレラ全体に共通する傾向ですが、足し算引き算のバランスが素晴らしく、デザインのメリハリは合格ラインを余裕で突破しています。
・・・フライング気味にべた褒めしてしまいましたが、気を取り直してCDD2180.FT8120の訴求点・改善点に迫りましょう。
カレラスプリットセコンドクロノグラフCDD2180.FT8120は、スッキリした視認性の高いデザインがアピールポイント。サブダイヤルとメインダイヤルを同一素材で統一、3時位置の30分積算計&9時位置の12時間積算計&クロノグラフ秒針を赤く彩るなど、「見やすさとカッコ良さ」の両立に成功しています。
初代カレラの生みの親であるジャック・ホイヤー氏は自伝「THE TIMES OF MY LIFE」で、「私は文字盤をクリアで、クリーンなデザインにしたかった」と記述しており、その信条を現代的にアップグレードしている点は賞賛に値します。「クリア(透明性)」へのアプローチとして、ラトラパンテ機構をスケルトンウォッチで手掛けているのも、デザインコンセプトに矛盾がなく好感が持てますね。
ムーブメントをあらゆる角度から鑑賞できるよう設計されたサファイアケースバックもそうですが、“見た目”は相当なハイセンスを誇ります。
「モナコ」55周年記念モデルのCBW2181.FC8322、四角いスクエア型ケースに映えるエッジの効いたボタンも魅力
前項目でチラッと触れましたが、プッシュボタンもカッコ良く生まれ変わりましたね。滑らかな形状の新しいボタンは、シャープなラグとの相性も良く、シルエットが上品に垢抜けた印象です。モナコ・スプリットセコンド・クロノグラフCBW2181.FC8322は四角いフォルムにマッチした角張ったボタンでしたが、本作は全体的に丸っこく可愛げがあるのが魅力です。このボタンを活かした可愛さ全振りの“パンダ顔”のスケルトンカレラも見てみたいですね、100万円程度の価格帯で。
エンジンも温まった頃なので、そろそろデメリットも記載しますと、価格とデザインのバランスは不釣り合いな面が目立ちます。CDD2180.FT8120が庶民向けのモデルではないのは重々承知ですが、2024年モナコ スプリットセコンド16,720,000円⇒2026年カレラスプリットセコンドクロノグラフ22,286,000円(※どちらも税込予価)と価格が急上昇……原材料や製造コスト、人件費の高騰を加味しても、“手の届くラグジュアリー”感が薄れてきてしまったのが気になるところです。タグ・ホイヤーといえば、20~30代の若者に訴求する「先進的で若々しいデザイン」を得意とするブランドイメージがありますが、この価格ではターゲットの姿が見えてこないように思われます。
雰囲気が割と近いCBG2010.BA0662は黒×赤のスケルトン仕様クロノグラフで税込価格1,226,500円ですし、無理難題を言うようですが、なんとか100~300万円の価格帯で勝負してほしかった、というのが本音です。
カレラ ホイヤー02T フライング・トゥールビヨンCAR5A8Y.FC6377は発売当時100万円台の価格で話題殺到
と言うのも、タグ・ホイヤーは2016年のバーゼルワールドで「カレラ ホイヤー02T フライング・トゥールビヨン」CAR5A8Y.FC6377は税込価格1,991,000円をリリースし、当時1000万円越えのモデルが当たり前の超複雑機構トゥールビヨンに価格破壊のイノベーションを巻き起こした過去があるのです。本作のデザインは完璧に近いので、コストパフォーマンスでも「10年前はよかった」にならないよう奮闘して欲しいものです。
| モデル | カレラ スプリットセコンド クロノグラフ
Carrera Split-Seconds Chronograph |
|---|---|
| 型番(Ref.) | CDD2180.FT8120 |
| ケース素材 | グレード5チタン サテン仕上げ / ポリッシュ仕上げ / サンドブラスト加工 プッシュボタン - サテン仕上げ/ポリッシュ仕上げ グレード5チタン |
| ケースサイズ | 42 mm |
| ブレスレット&バックル | ブラックラバーストラップ フォールディングバックル - サテン仕上げ/ポリッシュ仕上げ グレード5チタン |
| ケースバック | サファイア - グレード5チタン |
| 文字盤 | サファイアダイヤル |
| ムーブメント | 自動巻 キャリバーTH81-01 振動数:36000 (5Hz) |
| パワーリザーブ | 65時間 |
| 機能 | 時, 分, 秒, クロノグラフ:1/10秒計、30分計、12時間計、スプリットセコンド機能 |
| 防水性 | 30 m |
| 価格 | 22,286,000円(税込予価) |
※掲載内容は2026年02月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
1949年誕生の伝説的セーリングウォッチ「シーファーラー」を現代的にアレンジした、「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ シーファーラーCBS2016.EB0430」。デザインコードとして、1950年代の名作「アバクロンビー&フィッチ シーファーラー (Ref. 2443) 」の配色を取り入れており、新しいけど懐かしいネオレトロな世界を完成させています。
2023年には1960年代の名作「スキッパー」をトリビュートした「カレラ スキッパーCBS2213.FN6002」をリリースしていましたが、ジャック・ホイヤー氏社長就任の“黄金時代(※1958年~1969年頃)”は、デザイン的にも時代の最先端を行くカッコいいクロノグラフの名作が多く誕生していますね。
予備知識として少しだけ余談を挟みますが、ホイヤーのヴィンテージ クロノグラフ Ref. 2443は、10数本程度しか現存しないと考えられている超激レアモデルで、「ニューヨーク ウォッチ オークション 2021」では$60,480で落札されています。ここ数年、タグ・ホイヤーの新作は過去の名作を彷彿とさせるデザインが目立ち、熱心なウォッチコレクターへのアピールを重視しているようですね。
ヴィンテージテイストの薄ベージュダイヤルに、最新鋭の3レジスタークロノグラフを組み合わせたカレラ クロノグラフ シーファーラー CBS2016.EB0430。こちらもグラスボックスを採用、7連構造のブレスレットがレトロ感を強調していて、ヴィンテージウォッチ好きに刺さりそうですね。
レトロな見た目に反して中身は最新、のコンセプトはCBS2016.EB0430にも当てはまっています。潮汐表示機構を搭載するために特別開発された新自社製ムーブメント「TH20-04」を採用、9時位置の「TIDE」プッシャーで潮汐ディスクを簡単に操作することが可能です。
モデル元であろうアバクロンビー&フィッチ シーファーラー Ref.2443のデザインコードをベースにしているので、ダイヤルの雰囲気がたまりませんね。9時位置のライトグリーン&ダークイエローのタイドダイヤル(潮汐表示機構)、3時位置のライトグリーン&ホワイトの30分積算計のコンビネーションは、クリームがかったメインダイヤルを絶妙に引き立てています。
ちなみに、アクセントカラーの青緑色は、「イントレピッド・ティール」と名付けられており、1967年にアメリカズカップを制した「イントレピッド号」のデッキの色を再現しています。オリジナル2443より色合いが柔らかくなり、全体的に可愛らしくなりましたね。
カレラスプリットセコンドクロノグラフでは価格面で難癖をつけましたが、カレラ クロノグラフ シーファーラーは1,270,500円(税込予価)と、価格とデザインのバランスが良く、全6モデルのうち納得感・満足度が高めです。2024年にはコラボモデルの「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ シーファーラー × Hodinkee」は発売されていますが、初代シーファーラーRef.346やRef.2443に近い本作の方がヴィンテージウォッチ愛好家には響きそうですね。
派手過ぎないデザインでありながら、どこか懐かしい味付けが小気味よく、レギュラーモデルとしてコレクションの売れ筋商品に名を連ねるかもしれません。1950年代のマリン系ヴィンテージ、というニッチなキャラクター性も個性がありますし、センスの良さが光る新作です。
| モデル | カレラ クロノグラフ シーファーラー
Carrera Chronograph Seafarer |
|---|---|
| 型番(Ref.) | CBS2016.EB0430 |
| ケース素材 | ステンレススティール サテン仕上げ / ポリッシュ仕上げ プッシュボタン - ステンレススティール |
| ケースサイズ | 42 mm |
| ブレスレット&バックル | ステンレススティール製ブレスレット フォールディングバックル - ステンレススティール |
| ケースバック | サファイア - ステンレススティール |
| 文字盤 | オパーリン |
| ムーブメント | 自動巻 キャリバーTH20-04 振動数:28800 (4Hz) |
| パワーリザーブ | 80時間 |
| 機能 | 時, 分, 秒, デイト, クロノグラフ:1/4秒計、30分計、潮位計 |
| 防水性 | 100 m |
| 発売日 | 2026年3月発売予定 |
| 価格 | 1,270,500 円(税込) |
※掲載内容は2026年02月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
一部コアな時計好きに議論を巻き起こし兼ねない(?)新作タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ。2026年のブランドコンセプトが「Mastering the Chronograph for More Than 160 Years (160年以上にわたるクロノグラフへの飽くなき探求)」ですし、なかなか気合いの入った進化をしています。
要点のみピックアップすると、①2023年発表の新作カレラクロノグラフと同じくグラスボックスを採用②ケースサイズは39mm⇒41mmへサイズアップ③6時位置のデイト表示はなし、とより存在感を増すチューンナップがされています。
ネットの評価を精査すると、サイズアップは好き嫌いが分かれそうですが、デイト窓の廃止はファン達にすんなり受け入れられている状況でした。
シーファーラーCBS2016.EB0430が個性強めのレトロ顔に対して、2026年新作カレラ クロノグラフは、オーソドックスな正統派レーシングクロノグラフに仕上げています。カラーバリエーションもブルー・ブラック・グリーンのシンプルな色味で、癖のないスポーツウォッチを取り揃えました。
約80時間のロングパワーリザーブを誇る自社製ムーブメント「TH20-01」、ヴィンテージカレラのDNAを継承する現代版ドーム型プラスティック風防“グラスボックス”、緩やかなカーブがセクシーなタキメータースケール、など2023年新作に見られた“カレラ60周年のデザインコード”はそのままに、初代カレラと同じノンデイト仕様、ヴィンテージカレラ(※36mmサイズが多い)の逆を行く41mmケース径、と大胆不敵な変貌も遂げています。
デイト窓がなくなったことで、既存のレギュラーCBS2212.BA0048系、12位置にデイト窓があるCBS2210.BA0048より、更にスタイリッシュになった印象です。無い方が潔く、デザインに一体感がありますね。
筆者個人の感想としては、サイズアップ含め見た目はほぼ文句のない出来栄えです。欲を言えば、プッシュボタンがカレラスプリットセコンドクロノグラフ仕様の流線形なフォルムだと尚良かったのですが、この辺は致しかたなしと割り切っています。次回作以降のバージョンアップに期待しましょう。
性能・外観ではハイクオリティな2026年カレラ クロノグラフですが、値段は税込1,149,500円でリーズナブルとは呼べない価格帯に。スイス高級腕時計業界全体で値上げ傾向ですので、現行価格としては妥当ですが、“若者向け”のブランドイメージにはそぐわなくなってきているのが課題でしょうか。
2023年発売の39mmカレラクロノグラフと比較すると、トータルバランスは良くなったのは好材料です。6時位置のスモールセコンドにも段差が入り、デザインにまとまりが出ましたね。CBS2212.BA0048は現価格1,089,000円で、本作と価格の差が少ないのはプラス要因です。20~30代の若者のエントリーモデルとしては少々厳しい価格帯ではあります。売れ行きがどこまで奮闘するか吉報を待ちましょう。
| モデル | カレラ クロノグラフ
Carrera Chronograph |
|---|---|
| 型番(Ref.) | CBS2113.BA0053(ブルー) CBS2115.BA0053(グリーン) CBS2114.BA0053(ブラック) |
| ケース素材 | ステンレススティール サテン仕上げ / ポリッシュ仕上げ |
| ケースサイズ | 41 mm |
| ブレスレット&バックル | ステンレススティール製ブレスレット フォールディングバックル - サテン仕上げ ステンレススティール |
| ケースバック | サファイア - ステンレススティール |
| 文字盤 | ブルー、グリーン、ブラック(サーキュラーサテン仕上げ) |
| ムーブメント | 自動巻 キャリバーTH20-01 振動数:28800 (4Hz) |
| パワーリザーブ | 80時間 |
| 機能 | 時, 分, 秒, クロノグラフ:1/4秒計、30分計、12時間計 |
| 防水性 | 100 m |
| 発売日 | 2026年1月発売 |
| 価格 | 1,149,500 円(税込) |
※掲載内容は2026年02月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
ふんわりとしたシャンパンカラー文字盤に、ゴールドベゼルを調和させたタグ・ホイヤー カレラ デイデイトWDA2150.BA0043。ウォッチアンドワンダーズ2024新作のカレラデイト3種もK18 5Nローズゴールド製を用いていましたが、本作もダイヤルから大人びた可愛さを醸し出していますね。
18Kローズゴールドベゼル製が影響して、現行レギュラーWDA2112.BA0043より30万円高いのは気になりますが、ダイヤルの雰囲気は上品で素敵です。
同価格帯で個性的なモデルをお求めの方は、限定モデル「カレラ アストロノマー」 WBX2111.BD0002(¥1,089,000)も販売中ですし、ローズゴールド系のコレクション拡充も順調ですね。
| モデル | カレラ デイデイト
Carrera Day-Date |
|---|---|
| 型番(Ref.) | WDA2150.BA0043 |
| ケース素材 | ステンレススティール サテン仕上げ / ポリッシュ仕上げ |
| ケースサイズ | 41 mm |
| ブレスレット&バックル | ステンレススティール製ブレスレット フォールディングバックル - サテン仕上げ ステンレススティール |
| ケースバック | サファイア - ステンレススティール |
| 文字盤 | ベージュ サンレイ加工のサテン仕上げ |
| ムーブメント | 自動巻 キャリバーTH31-02 振動数:28800 (4Hz) |
| パワーリザーブ | 80時間 |
| 機能 | 時, 分, 秒, 曜日、日付 |
| 防水性 | 100 m |
| 価格 | 968,000 円(税込) |
※掲載内容は2026年02月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
「シーファーラーの色彩は最高だ」
「ブレスレットがキングセイコーみたいで美しい」
「カレラクロノグラフは白いスピマスと同じくらいの値段か」
「タグ・ホイヤーのスプリットセコンド・クロノグラフが11万スイスフラン・・・」
外観は絶賛、値段は否定的な見解が目立ちました。海外の見識者達も「手の届くラグジュアリー」の謳い文句を過去の物、と捉えつつある状況です。ジャン-クロード・ビバー氏が提唱した「同じ価格なら倍の価値」をいかに新作に盛り込めるか、ブランドの浮き沈みを左右するターニングポイントに差し掛かっているような気がしてなりません。四大複雑機構のトゥールビヨンを10年前に200万円以下で開発したメーカーが、少しマイナー寄りの機能であるラトラパンテ機構を2000万円で発売、言葉に詰まります。。。
160年以上にわたるクロノグラフへの飽くなき探求、を今年のテーマに掲げ、優れた技術とデザインの良さを証明したタグ・ホイヤー。外観・機能性をアップデートさせた分、100万円オーバーの新作が当たり前になりつつある状況は、昔馴染みのホイヤーファンからすれば些か抵抗感を抱くのではないでしょうか?
かつて「タグ・ホイヤーは平均単価1,500〜4,000スイスフラン(約20万〜60万円程度)の王であるべきだ」と宣言したジャン-クロード・ビバー氏が根付かせた「手の届くラグジュアリー」は躍進の鍵となりましたが、フレデリック・アルノー氏がCEOに着任した2020年頃から再び高級化路線が推進され始めました。2024年、ブルガリのウォッチ部門を統括していたアントワーヌ・パン氏の就任は、タグ・ホイヤーが「美学と素材の高級化」へさらに舵を切ることを示唆しています。
かつての「タグ・ホイヤー=コストパフォーマンスが良い(安い)」という定義は薄れつつあります。現在は、価格の安さで勝負するのではなく、「価格以上の体験やステータスを提供する」という意味での新しい「手の届くラグジュアリー(=現実的なドリームウォッチ)」へ移行していると言えるでしょう。
ただ、『時計投資のパラダイムシフト|金相場4倍・フラン高で高級時計の資産価値はどう変わる?今が『最後の買い時』か?』でもお伝えしたように、日本の時計愛好家の「感情」を置き去りにした値上げラッシュは、ブランドへの付き合い方自体を見直さなければならない、由々しき問題を内包しており、最悪の結果“ブランド離れ”を誘発しかねません。
時代が違うのは理解しているものの、2016年のバーゼルワールドでカレラ ホイヤー02T フライング・トゥールビヨンCAR5A8Y.FC6377で“手の届くラグジュアリー”の極致を体現した、あの頃のタグ・ホイヤーが復活することを一人の時計好きとして、願わずにはいられません。
フレデリック・アルノー体制下のタグ・ホイヤーは単価を上げたことで、販売本数が横ばいでも利益率が改善し、収益体質が強化され、「経営数値(売上・利益)の面では成功している」と言えます。しかし、「ブランドの立ち位置(ポジショニング)」としては難しい局面に差し掛かっており、微調整が必要な段階にあると分析できます。
値上げがエントリー層のチューダーなど実力派競合ブランドへの流出を招き、また中途半端な価格設定は、少し背伸びをすればオメガ(OMEGA)やIWC、カルティエに手が届く、という顧客心理を呼び起こし、ブランド力がまだ追いついていない、という指摘もあります。
今のタグ・ホイヤーには、単に定価を上げるだけでなく、目の肥えた時計愛好家を納得させる「ムーブメントの性能向上(パワーリザーブや精度)」や「外装仕上げのレベルアップ」が急務です。ブルガリ出身のアントワーヌ・パン氏がSEOに就いたのはこの部分の強化を図ったものと思われましたが、その彼もLVMHウォッチ・ウィーク(新作見本市)の直前という異例のタイミングで退任しています。一部報道では戦略上の相違があったとも報じられていますが、どういった事情だったのか気になるところですね。後任は近日中に発表、とされていますが、発表されれば今後のタグ・ホイヤーの方向性を占う一助となるでしょう。
タグ・ホイヤーにはいつまでも色褪せず「アバンギャルド(※意味:既存のルールや価値観に挑戦する芸術運動)」の地位に君臨して欲しいものです。
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