更新日:2026年02月05日
2026年1月、時計業界の新年を告げる一大イベント「LVMH ウォッチウィーク 2026」がミラノにて開催され、ゼニス、ウブロ、ブルガリといった名門がひしめく中、ティファニー(Tiffany & Co.)から時計愛好家なら決して見逃せない限定モデルが発表されました。
60本限定の新作「ティファニー タイマー(Tiffany Timer)」は、単なるジュエラーのファッションウォッチではありません。これは、1866年にティファニーが初めて手掛けたストップウォッチ「ティファニー タイミング ウォッチ」の誕生から160周年を祝う、極めて野心的かつ歴史的なタイムピースです。
今回は、このティファニーならではの魅力に溢れる衝撃作について、多角的な視点で深掘りしていきます。
まずは、この時計の基本スペックと誕生の背景を整理しておきましょう。
| モデル | ティファニー タイマー
Tiffany Timer |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 75450125 |
| ケース素材 | プラチナ、ホワイトゴールド製クラウンとプッシュボタン |
| ケースサイズ | 40mm |
| ブレスレット&バックル | トープ アリゲーター 18K ホワイトゴールド製三つ折り式バックル |
| ケースバック | サファイヤクリスタル |
| 文字盤 | ティファニー ブルー ラッカー、インデックスは12 石のバゲット カット ダイヤモンド 針(時、分、サブダイヤル):ホワイトゴールド製 |
| ムーブメント | カスタマイズ エル・プリメロ400 一体設計のコラムホイール式クロノグラフ、自動巻きローター、18K イエローゴールドで彫刻されたバード オン ア ロック |
| パワーリザーブ | 50 時間 |
| 機能 | 時と分、時、分、スモールセコンド、日付、クロノグラフ |
| 防水性 | 10 ATM |
| 生産本数 | 世界限定 60本 |
| 価格 | 要問合せ 海外サイトにてUSD 55,000との情報あり |
※掲載内容は2026年02月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
1837年創業のティファニーは、ジュエラーとしての印象が強いメゾンですが、実は時計販売の伝統も長く、高精度な時計への強い需要に応じ、1847年から時計の取り扱いを開始しました。ロレックスやパテック・フィリップの「ティファニーWネーム」はコレクターにとっては憧れのモデルとなっていますが、ティファニー製作の時計で有名なもの、と言われるとピンと来るものがなかなかない方も多いでしょう。近年のリリースではパテック・フィリップからティファニーブルーの文字盤を備えた「ノーチラス 5711/1A-018」が記憶に新しいところですね。
そして今回の新作を語る上で欠かせないのが、モデルのインスピレーション源となった1866年発表のアーカイブピース「ティファニー タイミング ウォッチ(Tiffany Timing Watch)」の存在です。時はアメリカは南北戦争直後の激動期。産業と科学、そしてスポーツが急速に発展する中で、正確な時間計測のためにこの懐中時計は製作されました。
その2年後、スイスに時計組立工房を設立したことから、このウォッチは「ティファニー タイマー」と名称をあらたにしました。さらに 1874 年には、ティファニーはジュネーブの中心部に本格的な時計製作工房を構え、クロノグラフやカレンダー機能など多彩な複雑機構を備えた時計を製作し、ムーブメントや針の調整における革新的な技術によって、数々の特許を取得しています。
新しい「ティファニー タイマー」は、過去を単に懐古するためのものではなく、伝統と現代の融合として設計されています。プラチナのケースやティファニーブルーの文字盤など、クラフツマンシップとブランドアイデンティティが積極的に組み込まれている点が特徴です。
仏高級ブランドLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(以下、LVMH)は、11月25日、米宝飾品大手ティファニー(Tiffany & Co.)を約162億ドル(約1兆7600億円)で買収することに合意した、と発表しました。
2021年12月11日(土)に開催されたフィリップス(Phillips)ウォッチオークションで、パテック フィリップとティファニーのコラボモデル「ノーチラス Ref.5711/1A-018 」は、事前の予想落札価格の約130倍にもなる、6,503,500ドル(約7億3489万5500円)という超高額で落札されました!
特筆すべきは、プラチナケースとエル・プリメロの組み合わせです。ステンレススチールではなく、あえて重量感のあるプラチナを選択した点に、このモデルを「実用的な計器」ではなく「記念碑的なラグジュアリーピース」として位置づける意図が見て取れます。
この時計を腕に乗せた瞬間、理屈よりも先に感情が動かされます。ロビンズエッグブルーがもたらす幸福感は決して他にないものです。
文字盤の「ティファニーブルー」は、これまでのポップな印象とは異なり、マットラッカー仕上げによって深みのある落ち着いた表情を見せます。光の反射を抑えたこの質感は、クロノグラフという計器としての視認性を確保しつつ、大人の品格を漂わせています。
文字盤の製作には、高精度で複雑な工程が必要とされ、なんと50時間以上もの時間が費やされるというから驚きです。
はじめに、極小の手動工具を用いて、文字盤の表面にティファニー ブルーのマットなニスをスプレーで8回塗布し、理想的な奥行きのある色味へと仕上げます。その後、ダイヤルは厳密な温度管理のもと、窯炉で 2 時間乾燥させます。
次に職人が、透明ラッカーを 15 層にわたり塗り重ねていきますが、各層ごとの温度管理によって完全に自然乾燥させることが求められます。
さらに 12 時間におよぶ焼成によって合計約 40 時間の初期工程が完了します。
その後、転写プリントによるディテールが施され、最後にジェムセッターが文字盤にバゲット カット ダイヤモンドのインデックスをセッティングします。
ティファニーのジェムストーン セッティングにおける卓越した技と宝石への豊かな伝統へのオマージュとして、インデックスには12個のバゲットカットダイヤモンドが配置されています。
ラウンドブリリアントではなくバゲットカットを採用した点は高く評価できます。幾何学的でシャープな輝きは、クロノグラフの目盛りと喧嘩することなく、時計全体の構築的な美しさを際立たせているからです。
あまりに馴染んでいるので、筆者は初見では見落としてしました。一見するとそれが豪奢なダイヤモンドであると分からないほどだと思いませんか?
色の調和を保つため、時分針およびサブダイヤルの針にはホワイトゴールドが用いられています。文字盤全体の静謐さと統一感の秘密がここにあります。
本作で最もクリエイティブで、見る者を驚かせたディテールは、時計を裏返したシースルーバックにあります。
ローター(回転錘)には、ティファニーの伝説的デザイナー、ジャン・シュランバージェの代表作「バード オン ア ロック(石上の鳥)」のミニチュアが18Kイエローゴールドであしらわれています。
通常、ローターはブランドロゴを刻印する程度の処理が一般的ですが、ティファニーはここで「回転するジュエリー」という新たな表現を試みました。エル・プリメロの高速振動に合わせて、金色の鳥が機械の上を旋回する様は、まさに時計愛好家のためのキネティックアートです。この「見えない部分への過剰なこだわり」こそが、真のラグジュアリーであると言えるのかもしれません。
わずか1.4cm幅のこの小さな鳥は、18Kイエローゴールドの豊かな素材感を生かし、手彫りで彫刻されます。その後、ダイヤモンド研磨材やゲンチアナ ウッド(リンドウの木)の小さな棒など、様々な道具を用いた伝統的な手作業による研磨を重ね、輝きに繊細な濃淡を与えながら、フォルムの輪郭を美しく際立たせていきます。
デザインにおけるもう一つのハイライトはリューズ(竜頭)です。通常、時計のリューズは機能部品ですが、本作ではティファニーの象徴であるエンゲージメントリング「ティファニー セッティング」の6本爪を模したファセットカットが施されています。
クロノグラフのプッシャーが緩やかなカーブを描いてリューズガードの役割を果たしており、機能美とジュエリーデザインの融合が見事に成立しています。
高級時計愛好家が最も警戒するのは、「ガワ(外装)だけ豪華で中身が伴わない」ことです。しかし、本作においてその懸念はまったく不要です。
心臓部に搭載されているのは、同じLVMHグループ傘下のゼニス(ZENITH)が誇る名機「エル・プリメロ 400」です。
1969年に誕生した世界初の自動巻きクロノグラフの一つであり、毎時36,000振動(5Hz)のハイビートが生み出す高精度は、半世紀以上にわたり時計界のベンチマークであり続けています。
ゼニス社の名機「エル・プリメロ(El Primero)」は、1969年の誕生以来、その卓越した精度と薄さから、ゼニス自社製品だけでなく、数多くの他社ブランドのトップモデルに心臓部として採用されてきた歴史があります。
ロレックス「コスモグラフ デイトナ」Ref. 16520に搭載されていたことはあまりにも有名ですが、同じLVMHグループでもタグ・ホイヤーのキャリバー36(36,000振動に由来)、イタリア語で「最速」を意味するブルガリ「オクト ヴェロチッシモ」、スケルトン化したウブロの「HUB4700」など、エル・プリメロをベースとしたムーブメントが多数採用されています。
ティファニーが自社ムーブメント開発に固執せず、グループ内の最高のリソースを活用したことは、論理的かつ賢明な判断です。これにより、メンテナンスの信頼性や将来的なパーツ供給の不安も解消され、コレクターは安心して所有することができます。
時計を裏返すと、シースルーケースバックから、コラムホイールと水平クラッチによる精巧な構造を余すことなく眺めることができます。ローターに配された「バード オン ア ロック」の18Kゴールド製ミニチュアと、「Limited edition of 60」の刻印は、特別な満足感をもたらすでしょう。
「ティファニー タイマー」の価格情報は公式には公開されていませんが、一部の海外メディアでは予価55,000ドル(約800万円台)、あるいは62,000ユーロ(約1147万円)といった情報が流れています。
以下の要素を加味すると、この価格は正当化される可能性があります。
特に「世界限定60本」という数字は、世界中のVIP顧客の数を考えれば少なすぎます。店頭に並ぶことはまずなく、発表と同時にアロケーション(割り当て)が決まっている可能性が高いでしょう。
この希少性は、二次流通市場において価格を維持、あるいは高騰させる要因となり得ます。つまり、「時計を買う」というよりは、「ティファニーというブランドの歴史の一部を所有する権利を買う」と捉えるべきです。
高いと感じるか安いと感じるかはその人次第でしょうが、ちなみにロレックス デイトナのプラチナ&バゲットカットダイヤインデックスモデル ref.126506Aが約1350万円ほどであることを考えると、さほど突飛な価格設定とは思えません。
LVMH ウォッチウィーク 2026における「ティファニー タイマー」の発表は、ひとつの明確なメッセージを放っています。
それは、「ティファニーは、ジュエリーブランドの余技として時計を作っているのではない」という宣言です。
1866年のストップウォッチという自社のルーツを掘り起こし、プラチナとエル・プリメロという最高級の素材とエンジンを組み合わせ、そこにシュランバージェの芸術性を加える。この一連のアプローチは、過去・現在・未来を一直線に繋ぐ、極めて戦略的なものです。クロノグラフというマスキュリンな時計機構を、ティファニーらしい美学で表現したこと自体が新しい価値提案と言えます。
もちろん、ジュエリーウォッチをないがしろにしているわけではありません。LVMHウォッチウィーク2026ではティファニーの伝説的なダイヤモンドの専門性を物語る、19世紀から現代に至るまでの精巧なアーカイブ時計の数々が展示され、時計製作の世界におけるティファニーの深いルーツが示されました。同時に、ジェムストーン セッティングの芸術性を象徴する新作も発表されています。
「ティファニー エタニティ」のバゲット カット モデル新作は自動巻き機械式ムーブメントを搭載。ティファニー エタニティの象徴である12種類のカットを施した貴石のインデックスは可愛らしくもゴージャスですね。一つはサファイヤ、トパーズ、エメラルドをセットしたベゼルにダイヤモンドインデックスを配した「エタニティ バゲット ブルー グラデーション」、もうひとつはダイヤモンドベゼルにアクアマリンのインデックスを組み合わせた「ティファニーエタニティバゲットダイヤモンド」です。
マザー オブ パールの文字盤に、ダイヤモンドとゴールドのクロスステッチ モチーフをあしらった象徴的な回転リングを特徴とする1本はジャン・シュランバージェに敬意を表した新作「"ジャン・シュランバージェ バイ ティファニー "16ストーン マザー オブ パール ウォッチ」。1959年に誕生した、テキスタイルから着想を得たアイコニックなジュエリーデザインに着想を得た「16 ストーン」コレクションは、彼の独創的なデザインの遺産を再解釈したものです。18K ホワイトゴールド製ケースに、合計 3.8 カラットを超える 433 石のダイヤモンドがセットされています。
もしあなたが幸運にも購入の権利を得られる立場にあり、資産価値と歴史的意義の両方を重視するコレクターであれば、答えは「イエス」です。ただしすでにこの時計は売り切れた、という情報も目にしました。きっとそのうち海外セレブの腕で目撃される日が来るでしょう。またオークションピースとして登場する未来も想像に難くありません。
一方で、純粋な機械式時計のコストパフォーマンスを追求する層には向きません。
果たして廉価版は登場するでしょうか?この時計がダイヤなしのステンレスモデルとして、手の届く価格でリリースされたならば、と願わずにはいられませんが、まずそんな未来はすぐには来ないでしょう。プラチナ製の記念モデルという特別感を著しく損なうものとなってしまいますからね。
「ティファニー タイマー」は、LVMHグループ内でのティファニーの立ち位置が、単なる「宝飾部門」から「ハイウォッチメイキングの一翼」へとシフトしたことを証明する、2026年を象徴する一本となることは間違いないでしょう。このモデルのDNAを引き継ぐ時計が今後登場するのかどうか、要注目ですね!
ティファニー買取 時計買取ピアゾでは腕時計買取を専門とする9社無料一括査定が受けられます!買取実績掲載中!
ティファニーはもちろん、ロレックス、オメガ、タグホイヤー、オーデマ・ピゲなどの高級ブランド時計を独自ルートで激安価格にて販売中です!
あなたの時計、今いくら?チャットで即答
本気で最高値を狙うなら一括査定(無料)