更新日:2022年03月11日
今月初旬、「パテック フィリップ ノーチラス 5711からティファニーのWネームモデル5711/1A-018が出る」、という驚きのニュースが飛び込んできましたが、そのうちの1本が先日海外オークションにてなんと約7億円で落札された、ということで、業界にさらなる衝撃が走りました。
2021年12月11日(土)にオークションハウス・フィリップス(Phillips)は米国ニューヨークでウォッチオークションを開催し、パテック フィリップとティファニーのコラボモデル「ノーチラス Ref.5711/1A-018 」は、50,000ドルという事前の予想落札価格の約130倍にもなる、6,503,500ドル(約7億3489万5500円、1ドル=113.4円、2021年12月11日時点)という超高額で落札されました!
ちなみに今回落札された 5711/1A-018のムーブメントナンバーは 7'441'868、ケースナンバーは 6'497'092 で、2021年12月11日の日付が記された保証書が付属します。
話題沸騰の「パテック・フィリップ ノーチラス ”ティファニーブルー” 5711/1A-018」。本ブログではその誕生の背景やパテック・フィリップとティファニーの関係性、スペックや発売情報などをご紹介します!
スイスの高級時計ブランド「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」と、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」が、170年続くパートナーシップを記念して、ステンレススチール製で文字盤が“ティファニーブルー”のノーチラス「Ref.5711/1A-018」を170本限定で発売する、と発表したのは2021年12月初旬のこと。
このニュースが時計業界にもたらした”2つのサプライズ”は以下の通り。
2021年にブラックブルー文字盤のRef.5711/1A-010が生産終了すると発表され、いよいよ5711のディスコンへの流れが加速する中、2021年4月に開催されたWatches & Wonders 2021で発表されたグリーン文字盤の「ノーチラス 5711/1A-014」は誰もが皆、これがノーチラス5711の最終モデルだ、と思っていました。
パテック・フィリップ ノーチラス Ref. 5711/1A-014
しかし、確かにパテック・フィリップはグリーンのノーチラス 5711/1A-014を発表した際、「これで最後だよ」と正式にリリースしたわけではありません。が、まさかこれほどにインパクトのあるモデルを用意していたなんて!!本当に嬉しいサプライズでした。
ところでパテックフィリップとティファニーって関係あるの?と思われる方も多いかもしれませんが、1851年にティファニーはパテック フィリップの米国市場における初の公認リテーラーとなり、両社は長きにわたって提携してきた歴史があります。現在もニューヨーク、ロサンゼルスなどの一部のティファニーブティックでは、パテック・フィリップの商品を販売しており、ティファニーで販売された時計に限り、文字盤上に“Tiffany&Co.”のサインが入ります。これがいわゆる「ティファニーダブルネーム」です。そう、両者がWネームモデルを発表するのはこれが初めてではないのです。近年はあえてダブルネームモデルとして特別製作されたモデルもあり、例えば2001年にはパートナーシップ150周年記念モデル「T-150 Ref.5150」が発表されました。
パテックフィリップ ティファニーダブルネーム T-150-Ref.5150
ティファニーWネーム、と言うとロレックス(ROLEX)も有名ですが、ロレックスは他にもカルティエやリアルマッコイ、ドミノピザなど、様々なWネームモデルが存在するのに対し、パテック フィリップの時計の文字盤にブランド名を刻んだリテーラーは現在のところ「ティファニー」のみ。他に類を見ない、特別な間柄なのです。
そして今回のモデルがあまりにも特別でセンセーショナルなのは、先にも述べた通り、そのダイヤルカラーです!今回販売されるノーチラス「Ref.5711/1A-018」の最大の特徴でもあるこの“ティファニーブルー”の文字盤!一目見てひっくり返りそうになったのは私だけではないはず。パテックフィリップとティファニーのWネームモデルは数あれど、かつてこのティファニーを象徴する、美しく鮮やかなカラーが採用されたことはありませんでした!早速時計の詳細を見ていきましょう!
【2021年新作】パテック・フィリップ5711/1A-018 ノーチラス ”ティファニーブルー”は40mmのステンレススティール製ケースに21金ゴールド中央ローターを装備した自動巻ムーブメント キャリバー 26-330 S Cを搭載。日付表示窓とセンターセコンドを備え、パワーリザーブは 最小35時間~最大45時間です。予定価格は 52,635 USドル(約598万円)です。
モデル | ノーチラス ”ティファニーブルー”
Nautilus Tiffanys 170th Anniversary |
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型番(Ref.) | 5711/1A-018 |
ケース | ステンレススティール製。40mm。 |
バンド | ステンレススティール製ブレスレット |
ムーブメント | 自動巻ムーブメント。 キャリバー 26-330 S C。 日付を窓表示。 センターセコンド。 外径: 27 mm。 厚さ: 3.30 mm。 部品総数: 212個。 石数: 30石。 連続駆動可能時間: 最小35時間、最大45時間。 自動巻ローター: 21金ゴールド中央ローター。 テンプ: ジャイロマックス。 毎時振動数: 28 800 (4 Hz)。 Spiromax®。 認定刻印: パテック フィリップ・シール。 |
機能 | 時、分、秒、日付 |
文字盤 | ティファニー ブルー |
生産本数 | 170本限定 |
価格 | 52,635 USドル(約598万円) |
ティファニーブルーのダイヤル6時位置には「ティファニー(Tiffany & Co)」、12時には「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」のロゴが記されています。
ティファニーのブランドカラー(コーポレートカラー)でもあり、誰もが一目見ればそれと認識する”ティファニーブルー”という色は、「ロビンズエッグブルー」とも呼ばれるコマドリの卵の鮮やかな青色に由来しています。コマドリはイギリスの国鳥で、春を告げ、幸せを運ぶ鳥と言われていて、ティファニーブルーは幸せと品格を暗示します。いまやティファニーブルーのボックスに白いリボンは幸せの象徴となっており、それ自体が商品のモチーフにすらなることも。
実は現在、この”ティファニーブルー”は世界中の様々な国で商標登録されていて、色見本を提供するPANTONE(パントン社)の「1837ブルー(1837 Blue)」として標準化されています。(1837という番号はもちろんティファニーの創設年を示しています。)
1837ブルーは色情報が一般公開されておらず、またティファニー以外の企業がこの色を使うことは許されていません。今回のダブルネームモデル製作にあたっては、もちろんパテック・フィリップにこの色情報が提供されたのでしょう。ここまでこだわりのある門外不出のカラー、発色させるまでにはきっと試行錯誤が繰り返されたことでしょう。
周りが黒く縁取られた18Kホワイトゴールド製のアワーマーカーと針は、ラッカー仕上げによるティファニーブルーダイアル上でくっきりとしたコントラストを成し、視認性を高めています。
お次は時計の裏側を見てみましょう。
サファイアクリスタル製の裏蓋には「170th Anniversary Tiffany & Co - Patek Philippe 1851 - 2021」と刻印され、2021年の数字「1」をよく見てみると、 "LVMH"の文字が縦に並んでいることが分かります。ティファニーは2019年に世界の高級ブランドの最大手であるLVMH(LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)に買収され、傘下におさめられましたが、独立した立場を守るパテック・フィリップとしてはティファニーとの関係性は何も変わらないよ、という絆の証でもあるのでしょう。
販売数は170周年にちなんで限定170本となっており、取り扱い店舗はニューヨーク、ビバリーヒルズ、サンフランシスコにある「ティファニー」の店舗のみ。
また「ティファニー」はそのうちの一本を12月11日、オークションハウスのフィリップス(PHULLIPS)に出品し、その収益は100%自然保護団体の「ザ・ネイチャー・コンサーヴァンシー(THE NATURE CONSERVANCY)」に寄付される、と公表されていました。
さて、こんなレア中のレアな時計、一体どんな人がゲットできるのか、と気になるところですが、いましたー--!!!グラミー賞に史上最多ノミネートされた大御所ラッパーのJAY-Z(ジェイ・Z)が5711/1A-018を身に着けている写真をインスタグラムにアップしています!
一緒に写っているのは宝石商のアレックス・トッド氏。ジェイ・Zがこの時計をどのように入手したのかは現時点では明かされていませんが、オークションを落札したわけではないようです。ジェイ・Zはビヨンセの夫としても知られています。ジェイ・Zとビヨンセ?そう、まさに2021年のホリデーシーズン、ティファニーのキャンペーン フィルム「ABOUT LOVE」に夫婦で共演していますよね!
「ティファニーで朝食を」の主題歌として知られる往年の名曲「ムーン・リバー」をビヨンセがアレンジして歌い、それをジェイ・Zがカメラで撮影する様子は、本当に愛に溢れていて素敵です。アンバサダーとして広告塔を務めているのですから、何らかのルートがあっても不思議ではありませんよね。
さらにレオナルド・ディカプリオもこのパテック フィリップティファニー限定ノーチラス Ref.5711/1A-018を着用してアメリカ・ロサンゼルスで開催されたレイカーズ戦を観戦しているところがキャッチされています!
Leonardo DiCaprio wears the Patek Philippe Nautilus with a Tiffany-blue dial: https://t.co/oCW5efRQBq pic.twitter.com/8ltmzEBAWL
— GQ Magazine (@GQMagazine) February 12, 2022
さすがレオ様。お似合いです・・・!
パテック・フィリップ ノーチラス 5711の真の最終モデルは5711/1A-018でほぼ確定でしょう。有終の美を飾るに相応しい、驚きと幸せに満ちた1本。ノーチラス5711の(多分)最終モデルにして170本限定という、稀少極まりない垂涎モデルであることは疑いようもありませんから、フィリップスで7億円、と聞いても実はあまり驚きませんでした・・・。残りの「普通に」定価で販売されるティファニーブルーのノーチラスを手にするのは本当に幸運な方々ですよね。7億円(!)という実績がついてしまいましたが、持っているだけでまさにコマドリのように幸せを運んできてくれそうな1本ですから、大事にして頂きたいですね。
最近ロレックスのオイスターパーペチュアルもティファニーブルーのようなターコイズブルーダイヤルモデルを発表し、人気が沸騰しています。
ティファニーブルーのほうが若干グリーン味を感じるような。カラー商標の壁はありますが、次のトレンドカラーになるのかもしれませんね。レディースモデルに取り入れられると特に嬉しいところです。来年のロレックス新作に「レディーデイトジャスト ターコイズブルー&ダイヤ文字盤」なんて出たらめっちゃくちゃ売れると思うんですけども・・・。