2017年に発売された「ヘリテージ オータヴィア」は、「オータヴィア・カップ」という世界的なファン投票によってデザインが決定されるという、異例の試みから誕生しました。16種類ものヴィンテージ・オータヴィアの中から、5万人以上のファンが選んだのは、1966年に伝説のドライバー、ヨッヘン・リントが愛用した「Ref.2446 Mark3」。つまり、この時計は「時計好きが最も望んだデザイン」の具現化なのです。
特に純正ブレスレット(BA0687)仕様のこちらは、当時のゲイ・フレアー社製ビーズ・オブ・ライスを彷彿とさせる意匠から、コレクターの間で高く評価されています。60年代の魂を宿したブラックダイヤルに、アズラージュ加工(同心円状の溝)が施されたホワイト(シルバー)のインダイヤル。いわゆる「逆パンダ」の配色です。当時のアクリル風防の膨らみを再現するため、複雑なドーム型サファイアクリスタルを採用。
両方向に回転するアルミニウム製ベゼルは、幅広なフォントが力強い印象を与えます。アルミニウムベゼルと言えばオメガ「スピードマスター」やロレックス「コスモグラフ デイトナ」といった名だたるクロノグラフの名作でも用いられてきていますね。
オリジナル(Ref.2446)が39mmであったのに対し、今作は42mmへとサイズアップされています。「ヴィンテージなら39mmが良かった」という声も一部でありましたが、実際に着用すると、肉厚なラグとベゼルの存在感により、現代のラグジュアリー・スポーツウォッチとしての風格が際立ちます。特に、ポリッシュ仕上げのステンレススチールケースは、光の反射が非常に美しく、高級感を演出しています。
また自社製「ホイヤー02」の真価外観が「古き良き」を体現している一方で、中身はタグ・ホイヤーの最新鋭技術が注ぎ込まれています。心臓部には、自社開発・製造の自動巻きクロノグラフ、キャリバー ホイヤー02が搭載されています。パワーリザーブ:約80時間。高級クロノグラフの証であるこの機構を採用。プッシュボタンを押した際の「パチッ」という小気味よい操作感と、針飛びのないスムーズな始動を可能にしています。
「ヴィンテージは壊れやすそうで怖い、でも現代の時計はどこか無機質だ。」そんな贅沢な悩みを解決するのが、このCBE2110.BA0687です。このモデルの文字盤構成には、タグ・ホイヤーの「歴史への敬意」と「道具としての実用性」への執念が感じられます。かつてヨッヘン・リントが愛したデザインを、80時間のパワーリザーブとともに現代で使い倒す。これこそ、大人の時計選びの醍醐味と言えるでしょう。