更新日:2023年06月27日

A.ランゲ&ゾーネ2023年新作オデュッセウス・クロノグラフ(463.178)特集

オデュッセウス・クロノグラフの概要

引用: www.alange-soehne.com

2019年にブランド 初のスポーツラインとして誕生したオデュッセウス。同年にステンレススティール、2020年にホワイトゴールド、2022年にチタン&アイスブルー文字盤を発表。時代を席巻したラグジュアリースポーツ(ラグスポ)分野に、「MADE IN GERMANY」の新風を吹き込んでいます。

そして2023年、オデュッセウスファミリーに満を持してクロノグラフが初登場!!開発に6 年の月日をかけた自社製「キャリバーL156.1 DATOMATIC」の唯一無二の「ダイナミックリセット機能」が繰り広げる、文字盤上の“クロノグラフパフォーマンス”は圧巻の一言です。

今回はWatches & Wonders Geneva2023で発表された新作「オデュッセウス・クロノグラフ」の魅力をたっぷりとご紹介致します。記事前半では、A.ランゲ&ゾーネの簡単な歴史、ランゲウォッチの時計づくりの凄さを丁寧に解説。その上で、新作オデュッセウス・クロノグラフの“注目ポイント” をわかりやすくまとめてみました。
「A.ランゲ&ゾーネ+オデュッセウス・クロノグラフ」両方の魅力をお伝えできるように、どどんと二部構成でお届け致します。
※お忙しい方は記事後半オデュッセウス・クロノグラフ(463.178)の特徴へどうぞ!

A.ランゲ&ゾーネはスイスブランドと一線を画す時計づくりで人気

引用: www.alange-soehne.com

ただ一つ、スイス以外のブランドで、世界5大ブランドに名を連ねるA.ランゲ&ゾーネ。1845年創業のドイツの老舗時計メーカーは、歴史に翻弄され続けました。第一次世界大戦の敗北やナチス政権、ソビエト占領に伴う国営化の後に、約40年間の休眠状態を経験。
時代も移り変わった1990年。東西ドイツ統一を機に、A.ランゲ&ゾーネ(※当時はランゲ時計株式会社の名)は、時計工房を再設立します。“繊細な手作業”と“グラスヒュッテ様式”をブランドの哲学とし、1994年に復興4大コレクション「ランゲ1」「サクソニア」「アーケード」「トゥールビヨン・プール・ル・メリット」を発表!約50年のブランクを感じさせない完成度の高さで、取材陣達の度肝を抜きました。そして、再興からわずか十数年程度で、世界5大ブランドに数えられるほどA.ランゲ&ゾーネは栄華を極めていくのです。

そんなA.ランゲ&ゾーネの魅力と特徴は以下4点です。

≪A.ランゲ&ゾーネの魅力と特徴≫

  • 各モデルにオンリーワンのムーブメント
  • 「グラスヒュッテ」様式の美しさ
  • ムーブメントの二度組み
  • 入念な手作業を必須とするオデュッセウスという極上ラグスポ

スイスブランドとどこか違うドイツメーカーの美学。オートメーション(機械化)の対極を行き、繊細な手作業を尊ぶブランドが、A.ランゲ&ゾーネなのです。

ここからがっつり語りますので、新作情報を手っ取り早く見たい人はこちらへ→オデュッセウス・クロノグラフ(463.178)の特徴

A.ランゲ&ゾーネは新作のたびに新しいムーブメントを開発する

引用: www.alange-soehne.com

A.ランゲ&ゾーネは“1モデルにつき1ムーブメント”を開発しています。合理性に決別し、新作モデルごとにゼロから新設計する、という独自の美学を貫いているのです。マニュファクチュールブランドであっても、自社製ムーブメントを“使い回す”ように、ベース改良&再設計をするのが一般的です。しかし、A.ランゲ&ゾーネは、「ランゲ1にはランゲ1の新作ムーブメント」「オデュッセウスにはオデュッセウスの新作ムーブメント」をいちから手掛けるのです!

読者様のご想像の通り……このやり方は、開発期間や制作コスト、労力がかさみ、非効率的。ですが、「デザインの自由度が高い(※汎用ムーブメントはカスタマイズ性が乏しい弱点あり!)」という、 “圧倒的個性”を確立し、その結果、“特別感・ユニークさ・超高級感”を携えた、独創的な新作を発表し続けてきたのです。

ランゲのムーブメント

A.ランゲ&ゾーネのムーブメント展示(Watches & Wonders 2023にて撮影)

ピアゾの腕時計豆知識 
<繊細な手作業にこだわり続けるA.ランゲ&ゾーネ>

博識な時計愛好家の方なら周知の事実でしょうが、A.ランゲ&ゾーネも所属するリシュモングループは、ラグジュアリーブランド揃い!ヴァシュロン・コンスタンタンやカルティエ、パネライやピアジェ、ジャガー・ルクルトなど錚々たる顔ぶれの中、A.ランゲ&ゾーネは異色の存在です。
マニュファクチュールを謳っていても、生産数アップのためにオートメーション化を取り入れる時計メーカーがほとんどの中、A.ランゲ&ゾーネは手作業にこだわります。

超一流のマニュファクチュールブランド、パテック・フィリップが約60,000本、オーデマ・ピゲが約40,000本を年間製造していると言われる中……A.ランゲ&ゾーネは、わずか約5,000本と噂されています。生産本数を減らしてまで、一本一本の質にこだわってきたのが、大躍進の理由の一つなのでしょう。特に「グラスヒュッテ様式」が施された繊細な手作業は、圧巻の一言です!

A.ランゲ&ゾーネは数百万円単位のエントリーモデルにも、「グラスヒュッテ」様式のハンドクラフトにこだわる

引用: www.alange-soehne.com

A.ランゲ&ゾーネの創設者、フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏は、「グラスヒュッテ様式」という、“ドイツ式高級時計”の規範も確立しています。元々は、“4分の3プレートで覆った頑丈なつくり”を指していましたが、 息を呑むほど美しいのも、グラスヒュッテ様式の大きな特徴で、ムーヴメントに施す美しい仕上げの総称として用いられるようになりました。 独特な仕上げや装飾は、ルーペを持ってじっくりとムーブメントを堪能したいほど、“固有の美”が溢れています。

≪グラスヒュッテ様式の魅力≫

  1. 4分の3プレート
  2. 洋銀(ジャーマンシルバー)パーツ
  3. グラスヒュッテストライプ
  4. ビス止め式のゴールドシャトン
  5. ハンドエングレービングが施されたテンプ受け

フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏が約20年の歳月を重ねて1864年に開発。スイス式時計は複数のパーツで固定しているが、4分の3プレートは一つのパーツ(受け板)がムーブメントの4分の3を覆っている。安定性や堅牢性を高め、ムーブメントの構造精度を向上させている。

真鍮よりも硬い素材。表面にメッキ処理を施さないため、非常にデリケート!指先が少し触れただけで錆びの原因となる。徐々に褐色へ変色していくので、経年変化も楽しめる。

スイスではコート・ド・ジュネーブと呼ばれる帯状の縞模様のこと。きめ細かいサンドペーパーで、僅かな凹凸がつけられている。光の加減で波のような表情が味わえる。

ブルースチール(青焼き)のネジで固定されたゴールド製穴石留めリング。A.ランゲ&ゾーネのムーブメントは、ネジ穴やほぞ穴まで丹念に装飾されている。

A.ランゲ&ゾーネの時計は、テンプ受けに手作業でエングレーブされているため、ある意味全てがユニークピース。 フリーハンドで彫られた模様は、工房内のクラフトマンなら誰が彫ったかわかると言われているほど個性的。
ハンドメイドだからなし得る“繊細な美”は、時計愛好家の方に「一度は隅々まで見て欲しい!」レベルです。

数千万円クラスの超複雑機構時計だけでなく、エントリーモデル(※現行モデルのサクソニアRef.219.032で3,300,000円~)にも、①~⑤が全て施されているのがA.ランゲ&ゾーネの凄いところ。そのため、“全てが一点もの”という、「同じものは二つとない」美術品のような魅力も宿しているのです。

A.ランゲ&ゾーネは、ムーブメントの二度組み作業を全製品に徹底している

引用: www.alange-soehne.com

A.ランゲ&ゾーネの完璧性を追求する姿勢は、「ムーブメントの二度組み」にも顕れています。前項目同様、サクソニアや1815のエントリーモデルから、超複雑機構のハイエンドモデルまで、全ての時計達は、“最適解”を見つけるまで何度も、4分の3プレートを取り付けては外す作業が繰り返されます。

一回目の組み立て作業で“答え”が見つかった後は、一旦分解し隅々まで洗浄。繊細な取り扱いを要するジャーマンシルバーにサビがないか、その他微細な傷や汚れがないかを入念に確認。4分の3プレートやゴールドシャトンなどの各パーツ群は、完璧な装飾と調整を施された末に、二回目の組み立て作業が終えられるのです。

オデュッセウスの作成手順

引用: www.alange-soehne.com

これまでの説明でも十二分に超最高級の技術で作られた「超高級腕時計」だとわかるランゲウォッチ。2019年に“プロダクトファミリーの礎”として開発されたオデュッセウスも群を抜いています!スポーツウォッチや近年流行りのラグスポは多々あれど、オデュッセウスほど入念な手作業を施しているモデルはそうありません。完成後に見えなくなる箇所も手抜かりはなく、丁寧な表面仕上げが施されているのです。実際に、オデュッセウスが作られていく流れを簡単にご説明致します!

他のランゲウォッチ同様、オデュッセウスも二度組立て方式が取り入れられています。担当する時計師は、繊細な指先の感覚を武器に、全ての部品を完璧に調整。各パーツ達のアガキ(※適正な隙間調整)が最適になるまで、何度も分解作業が繰り返されるのです。
※この段階で4分の3プレートにグラスヒュッテストライプが彫られます。

ムーブメント組立て工程の最後に行われるローター取付け。オデュッセウスのローターは、中央部分の素材にブラックロディウム仕上げのアルカップを使用。ブラックロディウム加工を施した表面は、美観に優れる反面、傷つきやすい特徴もあるため、万全の注意を払って取り付けられます。

ムーブメントの二度組立て作業が終わり、検査完了後に文字盤と針が取り付けられます。ムーブメントはねじ込み式ケースバックに固定後、スリーパーツ構成のケースに組み込まれます。パッキンの点検やグリス塗布を終えると、防水検査が実施されます。

オデュッセウスの代名詞とも言える、テンプ受けに描かれた手彫りの波模様。職人達は己の個性を刻み込むように、独特な刀さばきで模様を入れていきます。彫りの深さや線の勢いだけでなく、最終的には工具そのもの(ビュラン)も“個性”に影響します。個々のエングレービングスタイルを高めるために、職人はビュラン(※彫刻刀)を自主製作。自分の手に適すように、彫刻刀の柄や長さをカスタマイズする徹底ぶりです。

オデュッセウス L155.1datomatic

オデュッセウス Ref. 363.179 L155.1 datomatic搭載 (Watches & Wonders 2023にて撮影)

「オデュッセウスは100分の1ミリの精度で製作をしています」
アンソニー・デ・ハス氏(※A.ランゲ&ゾーネ商品開発ディレクター)が、インタビューで自信たっぷりに語るように、312個の異なる部品(※L155.1ダトマティック)全てが磨き抜かれたオデュッセウス。卓越した器用さ、細心のデリケートさ、完璧な調整……全てが噛み合い、オデュッセウスという“英雄叙事詩”が物語られていくのです。

516全てのパーツに余念がないオデュッセウス・クロノグラフRef.463.178。今回の新作は、丁寧な仕上げ以外にも、奇想天外なギミックが仕込まれているので、要注目です!(※0:30~1:10秒当たりにご注目ください!)

≪オデュッセウス・クロノグラフRef.463.178の見どころ≫

  • 電光石火の超速回転!「ダイナミックリセット機能」
  • オデュッセウス譲りの機能性&極上ラグスポ
  • A.ランゲ&ゾーネ初の自動巻きクロノグラフ!「キャリバーL156.1 DATOMATIC」

アントニー・デ・ハス氏によると、「オデュッセウスのリリース(※2019年)よりも早い、約6年前からクロノグラフバージョンの開発に着手していた」とのこと。争奪戦必至のワクワク&サプライズ要素を名状していきましょう!

13個目の開発となるA.ランゲ&ゾーネ初の自動巻きクロノグラフは、驚天動地のダイナミックリセット機能も搭載!!文章だけでは説明しづらいところもあるので、先述の公式動画を中心に、Watchfinderさんのショート動画説明と照らし合わせて、お読み進めください!

オデュッセウス・クロノグラフは、4時位置のリセットボタンを押すと、驚くべきショーが繰り広げられます。シルバーの針(分積算計)がフライバックするのと同時に、赤いクロノグラフ秒針もグルグルと超速回転をするのです!

クロノグラフの動く様子はコチラの公式ページへ⇒ オデュッセウス・クロノグラフ(公式サイト)

ダイナミックリセット機能は、クロノグラフ秒針が文字盤上を高速回転する

引用: www.alange-soehne.com

赤いクロノグラフ秒針は、1分経過するごとに、進んだ分数だけ反時計回りに逆回転(※2分なら2周、3分なら3周逆回転……29分なら29回逆回転)。そして、30分経過を境に、両方の針は時計回り方向に帰零。60分に満たない分数だけ(※37分間クロノグラフを作動させた場合、23回時計回りに回転)ぐるぐると素早く何周も巻き戻るのです。文章で書いていても、にわかには信じられませんが、とんでもない仕掛けですよね!?

今までも、優れた複雑機構を多数開発しているA.ランゲ&ゾーネ。今作も“ランゲ式複雑機構クロノグラフ”を堂々とRef.463.178に搭載!クロノグラフ機能の新境地を開拓していますね……それにしても、実機で弄って動作確認できる、超ラッキーな方が羨ましいですね!?

オデュッセウス・クロノグラフは3針モデルのようにシンプルなデザインで飽きがこない

引用: www.alange-soehne.com

A.ランゲ&ゾーネのDNAが、細部の細部にまで息づくオデュッセウス・クロノグラフ。オデュッセウス譲りの機能性、極上のラグスポ要素も顕在です。

クロノグラフ秒針と分積算表示をセンター針仕様にしたことで、“複数個のインダイヤル”がない、スッキリとした顔立ちに。オデュッセウス・クロノグラフの文字盤は、3時位置&9時位置のデイデイト表示、6時位置のスモールセコンドと極めてシンプル!「3針オデュッセウスとほぼ同じレイアウト」という離れ業を成し遂げています。
(※その他詳細は、「オデュッセウス・クロノグラフ(463.178)とオデュッセウス(363.179)を比較」項目で)

ブランド再興25周年に、満を持して発表されたオデュッセウス。立体感溢れるダイヤルデザイン、ランゲ独特の槍型の時分針。A.ランゲ&ゾーネの象徴とも言える大きなデイト表示。“無垢”の表現がピッタリな5連ブレスのラグとリンク……言葉で飾るのがもったいないほど、“完璧なルックス ”を今作も実現しています。

クロノグラフになっても、オデュッセウス譲りの機能性はそのまま。ステンレススティール製の42.5mmケースは、120mの防水性能&毎時28,800回振動(8振動)を携え、アクティブな場面も想定。防水性やスポーツを連想させる“波模様”が、手彫りでテンプ受けに描かれているのも嬉しいですね!

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<A.ランゲ&ゾーネ自慢のオデュッセウスも“初物尽くし”>

A.ランゲ&ゾーネ史上初の“SS製スポーツウォッチ”という肩書きも美しいオデュッセウス。オデュッセウス・クロノグラフにはさらに多くの“A.ランゲ&ゾーネ初”の機能が、長所としてブレンドされています。

・ランゲ初の12気圧防水&ねじ込み式リューズ →※ランゲ1や1815は3気圧防水どまり
・ランゲ初の8振動 →※今までは18,000振動(5振動)や21,600(6振動)

そんなオデュッセウスの“史上初”の数々が、Ref.463.178にも基本性能として、“当たり前”のように融合されています。スペックダウンさせていないところが、オデュッセウスらしさなのでしょうね。

キャリバーL156.1 DATOMATICとデュアル機能ボタンの説明

引用: www.alange-soehne.com

ドイツ語で「Datum(日付)」「Automatik(自動巻き)」を組み合わせた造語、DATOMATIC(ダトマティック)。L156.1ダトマティックは、デザイン&機能の双方の面で、クロノグラフの新境地を切り開こうとしています。516個のパーツ群が目指した“未知なる領域への挑戦”は、トロイの木馬作戦のように、劇的でドラマチックです。

ジャーマンシルバー製の4分の3プレートやブリッジ。ブルースチールネジとゴールドシャトンの優美な一体感。オンリーワンの手彫りが施された“波模様”のハンドエングレービング……全てのパーツ達は、丁寧かつ贅沢なハンドメイド仕上げ。見えない箇所にも、グラスヒュッテ様式の“技術の粋”が、余すことなく施されていることでしょう!

そもそも、クロノグラフキャリバーの設計と製作は、時計づくりの最難関の一つです。A.ランゲ&ゾーネの凄いところは、“各モデルにオンリーワンのムーブメント”というブランド哲学をクロノグラフにも貫いている点です。1999年以来、13個というハイペースで、オンリーワンのクロノグラフムーブメントを自社開発してきたA.ランゲ&ゾーネ。いずれのムーブメントも業界では高い評価を得ています。その事実は、驚異的なマニュファクチュールブランド力を証明しているとも言えるのです。

機能性・利便性もオデュッセウス譲り。これだけの“特別感&超高級感”満載な中、「12気圧防水&8振動&パワーリザーブ約50時間」と基本性能も十分。MADE IN GERMANYらしい、質実剛健・機能重視な気風が伺えるのもいいですね!

L156.1ダトマティックには、前述のダイナミックリセット機能以外にも、「デュアル機能ボタン」というユニークな機能も搭載。2時位置と4時位置のピラミッド型ボタンは、リューズ位置次第で二段階操作を可能。通常位置の時には、クロノグラフ(開始、停止、リセット)操作。リューズが引かれた中間位置では、日付・曜日の調整を行えます。

外装やデザイン面は、“美術品”のような芸術的な仕上げにこだわり。実用性を重んじた“道具”らしいミニマル(機能)主義も随所に垣間見えるA.ランゲ&ゾーネ。“未知なる領域への挑戦”に果てはないから、ランゲウォッチは斯くも美しいのかもしれませんね!?

10年に及ぶトロイア戦争の末に、帰郷の旅路が始まる『オデュッセイア物語』。ホメーロスの『オデュッセイア物語』に、膨大なドラマ(※三部構成13エピソード)が、待ち受けていたように……2019年誕生のオデュッセウス版“英雄譚”も、まだまだプロローグの段階!第一章冒頭のオデュッセウス・クロノグラフが、どのような世界的大評価を残すか、乞うご期待です!!

A. Lange & Sohne 463.178 / LSLS4635BAの仕様・価格
オデュッセウス・クロノグラフRef.463.178の仕様とスペック

引用: www.alange-soehne.com

モデル オデュッセウス・クロノグラフ
Odysseus Chronograph
型番(Ref.) 463.178 / LSLS4635BA
ケース径 42.5 mm
厚さ: 14.2 mm
ケース素材 ステンレススチール
ケースバック: サファイアクリスタル
ムーブメント キャリバーL156.1 自動巻き
ストラップ ステンレススチール
パワーリザーブ 50 時間
機能 日付表示および曜日表示, アウトサイズデイト, クロノグラフ
生産本数 100本限定
販売店舗 A.ランゲ&ゾーネ ブティックでのみ

オデュッセウス・クロノグラフの発表で、“クロノグラフの新境地”を切り開いたA.ランゲ&ゾーネ。年間製造本数わずか約5000本の激レアウォッチ達(※参考までに、ロレックスは年間約100万本)は、リセールバリューの面ではどれだけの価値を秘めているのでしょうか?

  • デザイン面や機能面で3針オデュッセウスと比較
  • 新作の評判と口コミ
  • コレクションの平均相場

オデュッセウス・クロノグラフのポテンシャルを多角的に推し量ってみましょう!

オデュッセウス3針モデルとオデュッセウス・クロノグラフの比較

引用: www.alange-soehne.com

パッと見では、双子のように瓜二つなオデュッセウス(※写真右)とオデュッセウス・クロノグラフ(※写真左)。わかりやすい変化は、銀&赤の二本クロノグラフ針です。他にも、よーく目を凝らすと、ベゼルが細くなりダイヤルが大きくなっていたり、“細かな変化”が加えられています。大まかな変更点をまとめてみました。

<オデュッセウス(363.179)とオデュッセウス・クロノグラフ(463.178)を比較>

  • オデュッセウスで312だったムーブメント部品数は、516と約1.65倍に
  • 「ケースサイズ40.5mm×ケース厚11.1mm」のオデュッセウスに対し、「ケースサイズ42.5mm×ケース厚14.2mm」とサイズアップ
  • オデュッセウスのダークブルー文字盤は、ブラック文字盤&2本の色違い(シルバー&レッド)クロノグラフ針へ変化

文字盤の「CHRONOGRAPH」赤文字も誇らしげに見えるほど、上品なクロノグラフですね。インダイヤルのないスッキリ感は、“完璧”と思えるスポーティーなミニマルデザインを完成させています。

しかし、“完璧”に近づいた分“完全無欠”ではない、のが時計づくりの奥深いところ……購入予定者にとって、最大のネックでもある“サイズ感”は大きな懸念事項の一つです。単純比較するのは失礼な話ですが、VCの自動巻きムーブメントCal.5200の263個と比較すると倍近い部品数なのも事実。その分、重量感も増しているでしょうから、「着け心地」が気になるところです。英雄オデュッセウスと言えど、 丁寧な仕事ぶりでは“重力”という弱点は、どうにもならないのか……それすらも克服してしまったのか。実機レビューの頃にでも、お伝えできればと思います。
※PPのCH 28-520Cは308個、APのCal.4401は381個

“完璧”な仕事ぶりを施された516個の部品で、「120m防水・8振動・デュアル機能ボタン」と実用性も完備。ダイナミックリセット機能で、斬新奇抜なクロノグラフリセットショーも楽しめる優れものです。ただ、ラグスポっぽいか(普段使いのしやすさ、ジェンダーレスな薄さ)と言われると、気掛かりが残るのも正直なところ。
まるで、トロイア戦争の1番の立役者、アキレス神話のように、“分厚く、大きい”というアキレス腱(短所)は、オデュッセウス・クロノグラフの“不敗神話(噂)”に傷をつけていくかもしれません。

まずは、国内SNSの反応をチェックしてみましょう!比較的、珍しい趣旨のコメントが目立つ印象です。

「クロノグラフのギミックが凄い!」
「リセット機構がヤバすぎる」
「インダイヤルを排除したシンプルなデザインなのがいい!」

主にダイナミックリセット機能へのリアクションが集中している印象です。クロノグラフをリセットした実機のショート動画は、表示回数も多く、注目度が高い傾向でした。文字盤を針がクルクルと回る光景は、からくり時計のように面白いので、ご自身でも探してみてください!

次に、Watchfinderさんの動画に寄せられた和訳要約コメントをご紹介致します。褒め言葉ですが、癖のあるコメントも多々見受けられ、遠回しに応援していたように思えます。

「私的に2023年のベストリリース。賞をとるはず」
「1994年の発表以来、ALS(※A.ランゲ&ゾーネの略称)の勢いはとどまることを知らない」
「うんざりするほど美しい時計」
「やり過ぎなくらい素敵」

若干、シニカルな褒め言葉が目立ったかもしれません。それだけ、オデュッセウス・クロノグラフの凄さは“補って余りある”ということでしょうか。多少のケチをつけたとしても、本当に美しいですからね。

限定数100本の“超激レア”なオデュッセウス・クロノグラフ。万が一、手に入れられた場合、「資産価値がどうなる(どうなっていく)のか?」も気になるところです。そこで、海外マーケケットプレイスで、オデュッセウスの出品状況を調べてみました。一つの試算値として、お役立てください。

≪オデュッセウスの相場動向(※2023年6月版)≫

  • オデュッセウスRef.363.179(SS、ブルー文字盤)・・・国内参考定価3,410,000円 (税込)、相場(※中古・新品未使用込み)目安約1000~1200万円前後
  • オデュッセウスRef.363.068(18Kホワイトゴールド、グレー文字盤)・・・国内参考定価5,159,000円 (税込)、相場目安約800~900万円前後

国内中古相場でも、363.179は同価格帯(※約1000万円前後)で、ちらほらと出品されています。“ラグスポブームの流行り廃り”はさておき、まだまだ根強いリセールバリューを誇っているのは好材料です!順当に考えれば、オデュッセウス・クロノグラフもプレミアになりそうです。
しかし、「相場は水物、油断は大敵」です。オデュッセウス・クロノグラフの評判に、尾ひれがつき過ぎてしまった結果……出品状況が、“プレミア価格のバーゲンセール”になっていないか、ご注意ください。

ブースを遠目で眺めれば、その年の“目玉”がひと目でわかるA.ランゲ&ゾーネの巨大オブジェ。現地レポを交えて、ランゲブースの様子をお届けします!会場の雰囲気を楽しみたい方は、公式ダイジェスト動画も合わせてご覧ください。

ウォッチ&ワンダー 2023のA.ランゲ&ゾーネのブース

オブジェの大きさを見て、いやが上にもボルテージが高まります!受付の方も優しい雰囲気。参加者の方々からは、時折和やかなドイツ語交じりの単語が。

オデュッセウス・クロノグラフの巨大オブジェ裏側

裏側に回った様子です。ジャイアントウォッチの大きさ(※なんと、高さ約5メートルの50倍スケール!)につい圧倒されますが、それ以上に!細部までみっちり作りこまれているのが、写真からもおわかりになると思います。
個人的に印象に残ったのは、【※スワンネック緩急針の形状の変化】でしょうか。間近で見ると、レプリカの鮮烈な印象と重なり、美しかった記憶がふと呼び起されます。

歴代オデュッセウスのショーケース

歴代オデュッセウス揃い踏みの写真です。優れた美観に秀逸な仕上げ。パーツ数が516と増えているのに、文字盤がシンプルに見えるのがいいですね!「“MADE IN GERMANY”ここにあり!」と語りかけてくるようでした。

オデュッセウス・クロノグラフの実機写真

わずか100本しか製造されない、メゾン渾身の最高峰クロノグラフです。主観かもしれませんが、物珍しさも合わさり、光の粒子がきめ細やかに見えました。
泰然自若なブラック文字盤に、レーシーな赤のワンポイント……さりげないのがカッコいい。カッコつけてないからカッコいいのかもしれません。
“機能美”をここまで丁寧に、シックな装いでまとめあげているのですから、「凄い!」のひと言に尽きます。時計好きなら一見の価値ありですよ!!

とはいえ、A.ランゲ&ゾーネはオデュッセウスだけではありません!ここでなければこんなに勢揃いすることはないレアモデルが目白押しですので、さらっとブース内部の展示時計をご紹介させて頂きます。まずはやはり時計好きにとってランゲと言えばこのモデル!「ランゲ1」のコーナーです。

ランゲ1の展示コーナー(Watches & Wonders 2023にて撮影)

どのランゲ1も素晴らしいのですが、特に目を奪われたのがこちら。「リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ」です。

リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ

シルバーにダークブルーのゴールドストーン層を重ねたダイヤルが、まるで星空のようにきらきらと輝いています。・・・美!!!まさに息を呑む美しさ!!

そしてこちらもなかなかお目にかかることもない超絶複雑機構搭載の逸品、「リヒャルト・ランゲ・パーペチュアルカレンダー “テラ・ルーナ” Ref. 180.026FE」です。

リヒャルト・ランゲ・パーペチュアルカレンダー “テラ・ルーナ” Ref. 180.026FE L096.1搭載

手巻きキャリバーL096.1を搭載、ムーンフェイズ表示とデイ・ナイト表示が一体になった独創的な時計ですが、その機構のある裏側が見れずちょっと残念・・・。せめて鏡を置いてもらえたらなと。

こちらも超絶コンプリケーション。「ダトグラフ・パーペチュアル Ref. 410.038 E」です。

ダトグラフ・パーペチュアル Ref. 410.038 E

「ダトグラフ・パーペチュアル」は、部品総数556個に及ぶキャリバー L952.1を搭載。A.ランゲ&ゾーネが初めてクロノグラフに日付、曜日、うるう年とムーンフェイズ表示からなる永久カレンダーを組み合わせた腕時計です。

お次はツァイトヴェルクの展示コーナーへと参りましょう。

ツァイトヴェルクの展示コーナー

3枚のディスクにより構成される瞬転数字メカニズムの導入によって「機械式デジタル時計」という革新的コンセプトを実現した「ツァイトヴェルク」。今回特に目を引かれたのがこちら。2021年発表モデルの「ツァイトヴェルク・ハニーゴールド “ルーメン”Ref. 142.055」です。

ツァイトヴェルク・ハニーゴールド “ルーメン”

ダークカラーのサファイアクリスタル越しに数字のディスクが見え、さらに「ルーメン」を冠する通り、蓄光塗料が施された数字は闇で幻想的に浮かび上がるのです。いやー、本当に見ごたえありすぎなラインナップでした!!

A.ランゲ&ゾーネ2023年新作まとめ

さてさて、一点突破のA.ランゲ&ゾーネ2023年新作をまとめた今回の記事いかがだったでしょうか?知れば知るほど、職人気質な“良い仕事ぶり”に惚れ惚れしてしまいますね。ブランドの信条でもある「NEVER STAND STILL(決して立ち止まらない)」という姿勢は、ダイナミックリセット機能や デュアル機能ボタン、シンプルなデザインへのこだわりにも反映。ひたむきなまでに、丁寧な手作業を今作も積み重ね……信頼という“不動の土台”をまた盤石のものにしたようにも思えます。

一切の無駄を省き、挑戦という歩みを止めないA.ランゲ&ゾーネ。
ミニマルなデザインでありながら、どこか誇らしげなランゲウォッチの数々。
インダイヤルも消去したオデュッセウス流クロノグラフのシックさ。
オーナーの所有欲を深く満たす“比類なき個性”は、時流に流されていないから、カッコいいのかもしれません。

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