更新日:2026年04月14日
時計史における「薄型化」への挑戦。その最前線を走り続けるブルガリが、2020年に発表した衝撃の一本がこの「Ref. 103279」です。2020年1月にドバイで開催された「LVMH ウォッチ ウィーク」が鮮烈なデビューでした。
2016年に発表されたチタンモデルの衝撃から4年。満を持して投入されたローズゴールド仕様は、単なるバリエーション展開ではありませんでした。時計業界における複雑機構の代名詞であるミニッツリピーターを、ブルガリは世界限定わずか20本という極めて高い希少性と共に世に送り出したのです。
特筆すべきは、このモデルが「伝統的な複雑時計の権威」に、イタリアのデザイン美学とスイスの超絶技巧を融合させた「モダン・ラグジュアリー」としての回答であったという点です。時計愛好家にとって、この「20」という数字は、ブルガリが本作に注ぎ込んだクラフトマンシップの密度を雄弁に物語っています。
このモデルを語る上で避けて通れないのが、18Kローズゴールドに施されたサンドブラスト仕上げ。通常、ゴールドモデルは鏡面やヘアラインで輝きを強調しますが、ブルガリはあえて粒子を吹き付け、光を拡散させるマットな質感を選択しました。これにより、オクト特有の110面にも及ぶ多面体ケースが、彫刻のような陰影を湛えます。ギラつきを抑えつつも、ゴールド特有の重厚な色香が漂う、大人のためのモダン・ウォッチに仕上がっています。
文字盤をよく見ると、バーインデックスとスモールセコンドの目盛りがカットアウトになっていることに気づくでしょう。これは単なるデザインではなく、音響効果を最大化するための工夫です。ゴールドケースはチタン等に比べ比重が大きく、音の伝達には不利とされます。しかし、文字盤にスリットを設けることで、ケース内部で発生したゴングの共鳴をダイレクトに外部へ放出。薄型でありながら、驚くほどクリアで奥行きのある音色を実現しています。
内部に鎮座するのは、自社製手巻きムーブメント「Cal. BVL 362」。世界を驚かせた超薄型ミニッツリピーター専用エンジンです。数百ものパーツが複雑に連動する機構を、わずか3.12mmの厚さに凝縮。ケース全体の厚みも6.90mmという驚異的な数値を叩き出しています。これは一般的な3針ドレスウォッチよりも薄いかもしれません。
これほどの薄さでありながら、リピーターの安全機構(プッシュボタンによる起動)や、約42時間のパワーリザーブを確保しています。シースルーバックから覗くムーブメントは、コート・ド・ジュネーブやペルラージュといった伝統的な装飾が施され、最先端の薄型技術と伝統工芸の完璧な調和を堪能できます。
| モデル | オクト フィニッシモ ミニッツリピーター サンドブラスト ローズゴールド
Octo Finissimo Minute Repeater Sandblasted Rose Gold |
|---|---|
| 型番(Ref.) | 103279 |
| ムーブメント | ブルガリ キャリバー BVL 362 手巻き |
| パワーリザーブ | 42時間 |
| ケース径 | 40mm |
| ケース素材 | ローズゴールド |
| ダイヤル | ローズゴールド |
| 防水性 | 30m |
| ストラップ | マットブラウンのアリゲーターストラップ、18K ローズゴールドの尾錠付き |
| 機能 | 時間、ミニッツリピーター |
| 発売時期 | 3月予定 |
| 価格 | 19,000,000円+税 (税込) |
時計愛好家の皆様ならご存知の通り、ミニッツリピーターは「ケース内に十分な共鳴空間」があることが良しとされてきました。しかし、ブルガリはこの定説に「超薄型でも美しい音は作れる」というパラダイムシフトをもたらしました。
特にこのRef. 103279は、ゴールドという「重い」素材をサンドブラストで「軽く」見せ、音を「逃がす」ための文字盤設計を「デザイン」に昇華させています。まさに、理詰めのスイス時計製作と、感性のイタリアン・デザインが、1ミリ以下のせめぎ合いの中で結実した奇跡の一本と言えるでしょう。
20本という限定数は既にコレクターの元へ収まっていますが、歴史に残る名機として、我々愛好家が語り継ぐべき価値がこの時計にはあります。
ブルガリ(Bvlgari)2020年新作モデルについてはこちら
あなたの時計、今いくら?チャットで即答
本気で最高値を狙うなら一括査定(無料)