更新日:2026年01月26日
わずか2mm足らずの極薄ムーブメントに伝統工芸の“格式と華やかさ”を融合させる国産高級腕時計ブランド「クレドール(CREDOR)」。現代では稀有な薄型ドレスウォッチメーカーは、海外を中心に再評価されつつ流れにあり、巷の噂では“次に来る腕時計ブランド”の一つとしても注目を浴び始めています。
2026年新作GCBY991では、ゴールドフェザーコレクションの軽やかさに伊万里鍋島焼ダイヤルの繊細なグラデーションを調和させ、高次元の美しさを実現しました。
2025年7月にコレクション初のトゥールビヨンムーブメント搭載モデルGBCF999(※世界限定10本)をお披露目して、時計通を驚愕させたゴールドフェザーですが、新作のGCBY991もアート性の高さでは引けを取りません。
伊万里鍋島焼ならではの透明感ある「白」と呉須(ごす)が織り成す「青」のコントラストは何とも絶妙で、ケース径37.1mmの小さなキャンバスに、極上のアートが描き出しされています。“腕に巻く伝統工芸品”と称してもオーバーではない、華やかさ&緻密さは圧巻です!!
ダイヤルにはゴールドフェザーの醍醐味である外周にかけての優美なカーブ が余すことなく表現されており、“日本最高峰の磁器”伊万里鍋島焼さながらの吸い込まれるような奥行き感を演出しています。この滑らかな曲線を生み出す工程は、驚きに満ちたものです。完成サイズより一回り大きく焼き上げた磁器を、わずか1mm程度の厚さまで丁寧に削り出すことで、この繊細な起伏を作り上げているといいます。随所に宿る熟練の手仕事には、ただただ驚嘆するばかりです。
白×青の色味は通常よりも多い5回もの焼成を繰り返しており、「時間と手間」の尊さが存分に発揮されています。ゴールドフェザーに恥じぬ羽根の軽やかさがダイヤルに表現されているのは実に見事です。
絵画がそのまま時計に昇華された、身に着けて楽しむ工芸品クレドールウォッチの新作GCBY991。その控えめな主張と手作業の価値に迫りましょう。
本作GCBY991では、ゴールドフェザーコレクションの持ち味である「薄さ・軽さ・艶やかさ」のデザインコンセプトを伊万里鍋島焼とフュージョン、更なる新境地へ達しています。
透き通るような白い磁肌と呉須の豊かな色彩が素晴らしいGCBY991の美点は以下の通りです。
≪GCBY991のセールスポイント≫
見た目・値段は高級ドレスウォッチとして非のつけどころがありません。反面、ムーブメントに関しては1960年代の設計を受け継ぐCal.68系 (キャリバー6890)を搭載しており、性能面では改善の余地あり、といったところでしょうか。
値段でその価値を推し量りづらいブランドですが、SS製でコレクションの中では比較的お手頃な部類なのも強みです。細部まで描き込みされた数十万円の高級絵皿を愛機として身に着けるようなもので、贅の極みを味わい尽くしたい方にはたまらない一本でしょう。
ダイヤルのテイストが海外でも知名度の高い「叡智II」っぽさもあり、資産価値的にもポテンシャルは高めです。
限定60本という狭き門ゆえに、殆どの読者の方が入手できないのが誠に残念ではありますが、運よくこのモデルをゲット出来た方、今後クレドールウォッチを入手する予定のある方に向けて、その魅力を掘り下げていきましょう。
昭和元年創業の畑萬陶苑の伊万里鍋島焼、「染付」に代表される“青と白の世界”が魅力
GCBY991のダイヤルは、伊万里鍋島焼の名門「畑萬陶苑」と協同一致して白×青の磁器ダイヤルを採用。伊万里鍋島焼の伝統的な意匠が、クレドールのブランドフィロソフィー「The Creativity of Artisans(匠たちの探求と豊かなる創造)」と響き合うことで、飽くなき美を具現化させています。「共同」ではなく、心を合わせより良いもの生み出す意味を持つ「協同」の言葉を公式の文面に載せているところも、セイコーらしくて好感が持てますね。
伊万里鍋島焼の醍醐味である白磁の美しさは、選りすぐられた高品質の天草陶石を用い、1,320度にも達する高温の還元焼成を24時間窯入れ~窯出しすることで、光を通す薄さを生み出します。透明感のある白い肌は、どんなシチュエーションにも自然な調和をもたらし、ヨーロッパ磁器にも影響を及ぼしたと伝えられています。
伊万里焼は17世紀にヨーロッパの王侯貴族をも魅了、“白き黄金”として「金」に匹敵する高値で取引された歴史を持ちます。その歴史を鑑みると、GCBY991の高いデザイン性は純金ダイヤルに比肩する価値を秘めていそうです。
鍋島の伝統である「色取り」もGCBY991に遺憾なく発揮されており、呉須染付の下絵付け、本焼成後の上絵付けを駆使することで、華美になりすぎない絶妙な配色と色量を完成させています。華やかではあるがくどくない、この辺のバランスはゴールドフェザーのコンセプトでもある「配慮の美学」に通ずるものがありますね。
みなまで言っては、GCBY991の魅力が安っぽくなってしまうので、ダイヤルの説明はこのくらいにしておきます。筆者個人としては、「白と青の羽根のモチーフ」に凄みを感じました。ゴールドフェザーのデザインが“白き黄金”の伊万里焼と融合したことで、その名の通り“金の羽根”へとコレクションの価値が跳ね上がったように思えます、本当に凄い・・・
クレドールは、日本伝統工芸の「漆芸」「螺鈿」「七宝」「切金」「木目金」などの優れた伝統技法を時計製造技術に結集させ、見る者の感情を揺さぶる「腕時計=小さなアート作品」を次々と生み出しています。時代ごとのエレガンスとは何か?を追求し、各分野のエキスパートと協同することで、日本人が感じる美しさを世界に向けて発信。手に取る顧客との距離感が近い少量生産を重んじるため、購入時の特別感・満足感が高く、需要と供給のバランス次第ではプレミア化する可能性もあり得ます。
セイコーの中でもちょっと特殊なポジショニングを続けるクレドールブランド。特殊技法をダイヤルに施したゴールドフェザーのアートピースを幾つか見学していきましょう。
シンプルなダークブルー文字盤に“日本の美”を集約したゴールドフェザー U.T.D. GBBY969。染の世界で技術と手間がかかる色として知られる「留紺(とめこん)色」をダイヤルに採用、凛とした雰囲気を移ろうように変化するグラデーションの奥深さは必見です!
GBBY969の兄弟機GBBY971は、高貴な色の象徴である紫(※鳩羽色)ダイヤルをチョイス。尾張七宝の老舗「安藤七宝店」が手掛ける艶やかなグラデーションの七宝ダイヤルモデルは、うっとりするほど繊細な「色の世界」を満喫できます。
トゥールビヨンの超絶技巧に多彩な漆芸を散りばめた傑作GBCF999。9時位置のトゥールビヨンを太陽に見立てたダイヤルは、加賀蒔絵の達人である田村 一舟氏の技でエネルギッシュな飛翔する鳥の群れを表現。トゥールビヨン付近の装飾には蒔絵の技法、ダイヤル内側の赤みを帯びた金色の鳥は切金、外側の色鮮やかな鳥は螺鈿の技法を用いるなど、漆芸と彫金の緻密な美しさは圧巻のクオリティーでした。
まだまだ紹介しきれませんが、お時間のある方は以下の時計もチェックしてみてくださいね。
≪伝統工芸を盛り込んだクレドール高級ドレスウォッチ一例≫
GBAQ954、GCBY997、GCLP991、GCLP989、GBAQ961、GBBY986など日本の美意識と匠の技を融合させた「日本発のドレスウォッチブランド」を標榜するクレドール。芸術的な薄型ドレスウォッチを得意とするスイス時計ブランドの名作とも軽く見比べていきましょう。
2021年発表のオクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダーは複雑な永久カレンダー機構と自動巻き機構搭載で薄さ5.8mm!
薄型時計というとピアジェ、ブルガリ、リシャールミルの3ブランドが思い浮かびますね。ブルガリの「オクト フィニッシモ」シリーズは10回以上の世界最薄記録を更新する“超薄型時計の顔”的存在で、2024年にリシャールミルのRM UP-01 フェラーリ(※ケース厚1.75mm)に一度は最薄記録を更新されるも、同年「オクト フィニッシモ ウルトラ COSC」で厚さ1.7mmを達成し王者へ返り咲き!ウォッチズ&ワンダーズ 2025では10度目の世界最薄記録を達成したと発表、薄型時計のジャンルで快進撃を続けています。
クレドールの新作は、「腕時計」という日用品をどのような切り口で芸術的に表現していくのか、目が離せないところです。新型ムーブメントを引っさげ、薄型手巻き時計のスペシャリストを目指すのか、生産中止の憂き目を乗り越えた時計遺産Cal.68系を継承し続けるのか……記事後半ではいちセイコーファンとしての正直な見解を記載しています。
⇒「GCBY991のムーブメント」へ
古い記憶を掘り起こし、パテックフィリップの限定製作カラトラバ レアハンドクラフト系アズレージョ5089G-061にも技法的に通ずるものが感じました。クレドールはパテック・フィリップ同様に、最高峰の技術と品質を維持するべく、意図的に少量生産体制を貫き続けています。その“手間と暇”の価値が今後どのように国内外で評判を高めていくのか、要注目です。
海外の有名薄型ドレスウォッチもご紹介します。
≪有名ブランドの薄型ドレスウォッチ≫
ピアジェのアルティプラノ、ショパールのL.U.C.1860、ヴァシュロン・コンスタンタンのパトリモニー、ジャガー・ルクルトのマスター・ウルトラスリムGCBY991のケースは縦 43.2 mm 横 37.1 mm 厚さ 8.3 mmのステンレススチール製。セイコーの機械式時計開発の歴史において、「高精度化」と「薄型化」を目指して誕生したのが、それぞれグランドセイコー、セイコー ゴールドフェザーです。薄型メカニカルウオッチの原点でもある“サイズ感”は大きな武器として輝きそうです。
こちらゴールドフェザーの現行コレクションです。値段とデザインのイメージが掴んでいただけますでしょうか。3針モデルやクロノグラフが主流の高級腕時計では割と珍しい、クラシックな装いの2針薄型ドレスウォッチが素敵ですね。
少し深掘りして、ライバルブランドが手掛けるドレスウォッチのザックリとしたサイズをご紹介します。
ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリム パーペチュアルカレンダー Q1303520の実機レビュー写真、サイズはケース径39mm×ケース厚9.2mm
エレガントな薄型ドレスウォッチ、という視点でのべつ幕無しに有名モデルをご紹介しますと、ピアジェのアルティプラノ アルティメート オートマティックがケース径41mm×ケース厚4.3mm、ショパールのL.U.C.1860がケース径36.5mm×ケース厚8.2mm、ヴァシュロン・コンスタンタンのパトリモニーはケースサイズ40mm前後×厚さ5mm~8mm未満目安、ジャガー・ルクルトのマスター・ウルトラスリムは手巻きで厚さ4mm、自動巻きで7.58mm~9.3mm前後となっています。
業界内では真ん中くらいのサイズ感ですね。この辺は良し悪しもあり何とも言えないので、次項目では性能面も絡めて分析していきましょう。
GCBY991のムーブメントは、1969年発表の薄型2針手巻きムーブメントのCal.68系の設計を継承する「キャリバー6890」を搭載。パワーリザーブが最大約37時間、日差+25~-15秒と性能面では古めかしさが残ります。GCBY991の価値は、“腕に巻く工芸品”の側面が強く、「芸術性>性能」のベクトルで間違いはないと思いますが、スペック面を如何に改善するか課題が残るのは事実です。
ジェンタデザインのロコモティブもバックルの使い勝手が悪い、と海外の時計通達がやり玉をあげていましたが、確かに実用性では今一歩“痒い所に手が届かない”面が否めません。熱心なクレドール愛好家の方が適切なフィードバックをすることで、ブランドを育てていくとよいかもしれませんね。
クレドールの方向性について、いち時計ファンとして擁護しますと、1960年代誕生のムーブメントCal.68系を今もなお継承し続けるというスタンスは、日本の伝統文化を守る理念に相通じるものもあり、そのまま末永く受け継いで欲しい気もします。
薄型2針の手巻きドレスウォッチを製造できるメーカーは、時計史においても希少な存在です。熟練の技術と最適な環境なしには量産が叶わないこのジャンルは、いわば技術力の証明。それを形にできること自体が、ブランドの揺るぎないステータスを象徴しています。世界的に見ても、薄型手巻きの2針ムーブメントを製造するブランドは、ピアジェやブルガリくらいしかほかになく、活かしようによっては「古典的な薄型2針手巻きムーブメントの老舗ブランド」の権威として、その地位を高めていくのもアリな路線です。
古典的なスタイルを守り続ける、という個性は時が経てば経つほど、「伝統」という優位性が芽生えていきますし、ここ数年~十数年のイメージ作りが鍵となりそうですね。ムーブメントというパーツは、特定の方向に舵を切るには少々デリケートな“時計の心臓部”ですし、今後じっくりアイディアを煮詰めていって欲しいものです。
ムーブメントに関する結論としては、実用性で考えるならより精度の高いムーブメントの開発も期待はされますが、絶滅寸前の薄型手巻きの2針ムーブメントを製造するレアブランドとして、ブランドイメージを今後向上させる可能性も秘めており、現状維持が今のところはよいかもしれません。
目の肥えた時計ファン達に「ガワ時計(※外見は一流、中身はイマイチ)」と揶揄されないように、ポジショニング戦略を成功させられるといいですね。
GCBY991の希望小売価格は1,980,000円(税込)。伝統工芸品的な立ち位置も加味して、お手頃と判断して良いと思います。
コスパで考えるのはナンセンスな気もしますが、他のクレドールウォッチと見比べてもお安く見えますよね。日本最高峰に君臨する伊万里鍋島焼の陶磁器を高級ドレスウォッチとして嗜めるのは、外出時の空間を彩る“生きた美術品”として様々な景色を際立たせること請け合いです。
あまりにも贅沢な使い方ですが、大事な商談の料亭に出かける時、家族とのんびり自然を散歩、急な海外出張の勝負時計に……など、どんなシーンにも馴染むオールマイティー性があるのも優秀です。
本作との比較対象には、セオリー通りならゴールドフェザーコレクションの伝統工芸腕時計、ライバルブランドのブルガリ オクト フィニッシモ当たりが妥当でしょうが、ゴールドフェザーコレクションの更なる飛躍を願い、海外人気の高い“叡智II” GBLT999と比較していきましょう。
≪GCBY991と“叡智II”GBLT999の魅力≫
究極の美をどこに見い出すか、で結論は大きく変わりますが、透き通るようなトーンの磁器ダイヤルは、白のままでも抜群に映えますね!個人的には、GCBY991のデザインは“叡智II”のシンプリシティに近いものがあり、無駄を省き技を研ぎ澄ましたモノづくりに徹しているのが好印象です。
ゴールドフェザーは日本古来より重んじられた「配慮の美学」を重視していますが、時計からも気遣いや心馳せが沁みるように伝わってきますね。ダイヤルから陶磁器の温かみがほんのり広がるのが何とも素敵です。
伊万里鍋島焼の極上のグラデーション、ゴールドフェザーの優美な曲面が混ざり合ったGCBY991。ま~るい形に気品のある佇まいがギュッと集約されており、いつまでも眺めていたい完成度でしたね。
鍋島藩(佐賀)は外様大名でありながら、鍋島焼を将軍への贈り物にしたことで、江戸時代を通じて取りつぶしや領地替えをさせられることはなかった、という説もあり、“日本一のやきもの”の実力は歴史的にも折り紙つきです。
腕時計業界内でもまだまだ知名度の低いゴールドフェザーコレクションですが、いつの日か飛翔を遂げるかもしれない実力を秘めた、紛うことなき一級品です。また気になる新作が出た頃に熱弁を振るうことが出来るのを楽しみにしております。

| モデル | ゴールドフェザー U.T.D.
Goldfeather |
|---|---|
| 型番(Ref.) | GCBY991 |
| ケース素材 | ステンレススチール |
| ケースサイズ | 縦 43.2 mm 横 37.1 mm 厚さ 8.3 mm |
| ブレスレット&バックル | クロコダイルストラップ(紺) 三つ折れ方式中留(ステンレススチール) |
| ガラス材質 | ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング) |
| 文字盤 | 伊万里鍋島焼ダイヤル(ブルーグラデーション) |
| ムーブメント | メカニカル 手巻 キャリバー6890 |
| パワーリザーブ | 最大巻上時約37 時間持続 |
| 防水性 | 日常生活用防水 |
| 耐磁 | あり |
| 生産本数 | 60本限定 |
| 価格 | 1,980,000円(税込) |
| 発売日 | 2026年2月6日発売予定 |
※掲載内容は2026年01月調査時点のものです。
※価格・仕様は予告なく変更される場合があります。
クレドール買取 時計買取ピアゾでは腕時計買取を専門とする9社無料一括査定が受けられます!買取実績掲載中!
クレドールはもちろん、グランドセイコー、ロレックス、オメガ、タグホイヤー、オーデマ・ピゲなどの高級ブランド時計を独自ルートで激安価格にて販売中です!
あなたの時計、今いくら?チャットで即答
本気で最高値を狙うなら一括査定(無料)